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【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 130 [千五百七十五年 九月中旬]

2023-05-02 00:33 作者:爱吃果冻的沙耶  | 我要投稿

书名 战国小町苦劳谭

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作者: 夹竹桃

原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/

翻译工具:ChatGPT

*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*

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千五百七十五年 九月中旬(*原文网页序列号 - 147)

高天神城を挟んで織田・徳川連合軍と武田・北条連合軍が睨み合う中、一夜が明けた。


在高天神城之间,织田德川联军和武田北条联军互相对视,一夜过去了。


東の空がようやく白み始めた薄明の中、僧形の人物が単騎で武田の本陣へと訪れていた。


在东方的天空逐渐变白的微明中,一个僧侣般的人物独自前来拜访武田家的大本营。


「どうあっても軍を退いては頂けませぬか?」


无论如何你们能否退军?


「よもや其方(そなた)が軍使になっていようとは思わなんだぞ、武藤……いや、いまは真田か。帰って主に伝えよ、東国に織田と武田は並び立たぬ。今こそ雌雄を決する時よ!」


“我从未想过你会成为使者,武藤……不,现在是真田。回去告诉你的主,东国的織田和武田并列不了。现在是时候决定胜负了!”


軍使として武田本陣へと通されたのは、勝頼が語ったように真田昌幸その人であった。元は武田家に仕える身であり、勝頼本人は元より多くの人物に知見を持つ人物だ。


被派遣作为军使前往武田本阵的正是真田昌幸,就像信长所说。他曾是武田家的仆人。信长本人也是个拥有广泛知识的人。


しかし、武田家から見れば主家を裏切って織田へ寝返った裏切者であり、こうして本陣へと辿り着く前に討ち取られる可能性すらあった。


然而在武田家的观点中,他是背叛主家投向织田的叛徒,甚至在抵达主营之前就有可能被击杀。


そんな危険を冒してまで昌幸が伝えたかったのは、織田・徳川連合軍よりの降伏勧告であり、撤退するのであれば追撃をしないという徳川家康からの書状すら携えていた。


昌幸如此冒着危险所想要传达的是向織田・德川联军提出投降建议,甚至带有德川家康的书信表示如果撤退将不会追击。


「この昌幸、無念でなりませぬ。かつての御恩に報いる最期の御奉公と思い軍使に名乗りを上げましたが、ご翻意には至りませぬか……」


“这昌幸,不能不感到遗憾。虽然我想以最后的奉仕来回报您的恩情,但是我并没有得到您的谅解……”


「くどい! 其方の覚悟はしかと受け取った。それでも曲げぬ! 曲げる訳にはゆかぬのだ」


"太啰嗦了!本人已经听到你的决心,但本人也绝不会屈服!绝对不会屈服!"


かつての主従による停戦交渉は物別れに終わった。昌幸が立ち込める朝靄(あさもや)の中、敵陣へと戻っていくのを見送り、日輪が天に姿を現したころ、両軍は揃って動き始めた。


曾经的主从之间的停战谈判以失败告终。在朝雾弥漫之中,昌幸目送敌阵返回,当太阳升起时,双方军队开始行动。


双方の陣で盛大に陣太鼓が打ち鳴らされ、織田・徳川連合軍に先駆けて武田・北条軍が進軍を開始した。一方の織田・徳川連合軍は密集陣形を形成するが、一向に動こうとしなかった。


双方的阵地上响起了盛大的阵太鼓声,武田·北条军在织田·德川联合军之前开始了进攻。而织田·德川联合军则形成了密集阵形,但一直没有动静。


両軍の距離が狭まるにつれ緊張が高まり、両軍がお互いの陣容を視認出来るまで近づいたその時、雷鳴の如き轟音と共に高天神城が火を噴いた。


随着双方军队间距越来越近,紧张情绪加剧。当双方军队互相识破对方的队形时,高天神城突然喷发出如雷的巨响和火焰。


凄まじい炸裂音と共に武田・北条連合軍の後方に布陣していた北条軍へと焼けつく死の礫(つぶて)が降り注いだ。


在令人惊恐的巨响伴随下,火热的死亡之石向着布阵在武田·北条联合军后方的北条队投掷而至。


北条軍上空で炸裂したそれは、鉄の颶風(ぐふう)と化して地上の兵士を打ち据えた。


那在北条军上空爆炸的东西化作了铁的飓风,将地面上的士兵击倒。


徳川軍に織田軍が合流したことで、武田・北条連合軍は長射程の新型銃を警戒しつつ進軍していた。


德川军和织田军的合流使得武田·北条联合军在警惕着长射程新型枪械的同时前进。


しかし、かつての合戦で得られた新型銃の射程を鼻で笑うような距離であるにも関わらず攻撃を受けた。


然而,尽管攻击距离甚至嘲笑了先前的战斗中获得的新型枪支射程,但仍然受到了攻击。


更にただの一度の攻撃であるにも関わらず、数十人が、下手をすると百人に届こうかと言う兵士が死傷するという悪夢の光景が繰り広げられ、将兵ともども恐慌へと陥った。


数十名甚至可能达到百人的士兵在一次袭击中死伤,这场可怕的噩梦般的景象令将士们陷入恐慌。


「敵陣上空にて炸裂を確認。狙点修正の要あり、距離計測を求む」


请帮我将「敌阵上空确认爆炸。需要调整瞄准点并进行距离测量。」翻译成简体中文。


「方角修正東に三度、距離修正手前二百メートル」


"方角修正东三度,距离修正前两百米"


敵陣で大混乱が発生しているころ、高天神城の三の丸では夜を徹して補強が加えられ、拡張がなされた、かつての物見櫓に静子軍の技術者たちが集まっていた。


当敌人阵营发生混乱时,天之神城的三之丸经过一夜的加固和扩建,曾经的瞭望塔成为静子军的技术人员聚集之地。


櫓の中央には小型の大砲のような物が二門据えられ、車輪止めで固定されていた。何よりも特徴的なのは、櫓の左右から突き出た金属製の部品。


在楼塔中心,有两门类似小型大炮的武器,被车轮卡住固定。最显著的特征是从左右伸出的金属部件。


陽光を反射し、不気味に輝く異形の物体。誤解を恐れずに形容するなら、櫓から水平に突き出したカニの目玉のように見えた。


阳光反射,异形物体发出令人毛骨悚然的光芒。若要形容,类似于蟹爪塔平面上突起的眼珠子。


「足満おじさんの秘密兵器、『カニ眼鏡』こと測距儀(そくきょぎ)(視差を利用した三角測量をする機械)は問題なく運用出来てるみたいだね」


「足满叔叔的秘密武器『蟹眼镜』也就是测距仪(利用视差进行三角测量的机器)似乎可以正常使用。」


「そちらは問題ありませんが、迫撃砲(はくげきほう)に問題が発生しております。こちらへ運ぶ前の試射と、先ほどの第一射で開閉機構に歪みが出ております」


“那边没有问题,但迫击炮出现了问题。在运到这里之前进行的试射和刚刚的第一枪中,开关机构出现了扭曲。”


「うーん、実戦投入はやっぱりまだ早いよね。足満おじさんがどうしてもって言うから持ってきたけど、耐久性に難ありだね」


「唔,实战投入还是有点早呢。虽然足满大叔坚持要用,但这东西的耐久性存在问题。」


静子は櫓から離れた地上の陣にて、技術者の助手から報告を受けていた。程なく警告の鐘が打ち鳴らされ、暫く間を置いた後、再び轟音が鳴り響いた。


静子在离开了高塔,到达地面的营地接到了技术人员的报告。不久后,警钟敲响了警报,等了一会儿之后,又响起了一阵轰鸣声。


すかさず物見櫓に赤色の手旗が掲げられる。これは命中の印であり、報告をしていた助手は一礼して静子の前を去り、伝声管にとりついた。


紧接着,红色的手旗被挂在了望塔上。这是一个击中的信号,报告者鞠了一躬,离开了静子的面前,然后去了传声筒。


伝声管の蓋を開き、耳を当てて櫓上部から伝えられる内容を手元でまとめ、再び静子の許へと走って報告に戻ってくる。


打开传声管的盖子,将耳朵贴在楼塔的顶部,记录下传达的内容后,再次跑回静子那里报告。


「距離、方角共に良好。砲が壊れるまで効力射を続けるとのことです」


“距离、方位均良好。据说将持续有效射击,直到炮火损坏。”


「了解しました。砲身や開閉機構に致命的な損傷が出たら、砲撃は中止してね。足満おじさんが万が一にって持たせてくれた、この砲弾は使わないで済みそうだね」


“了解。如果炮管或开闭机构出现致命损坏,请停止炮击。幸好阿满叔父留给我们的这个炮弹可能不需要使用。”


そういって静子は足元に置かれた木箱に鎮座する一発のどんぐり型砲弾へ目線を落とす。無垢材の木箱にオガクズが満たされ、その中にごろりと横たわる無機質な砲弾。


静子说着,低头看着放在脚边木箱里的一个栗子形状的炮弹。这个无垢木制的木箱里装满了石灰,炮弹像个圆滚滚的无机物一样躺在里面。


木箱には朱色で『危険』と大書され、一種異様な雰囲気を放っていた。自身が静子に従軍出来ないため、敗走しそうになったらとにかく風上に逃げて敵陣に撃てと渡された砲弾であった。


木箱上朱色的字写着“危险”,笼罩着一种诡异的氛围。这些炮弹被交给了那些无法跟随静子出征而可能会溃退的士兵,以便他们在逃脱时向风向前方开火。


足満曰く、一発で戦況をひっくり返せる起死回生の秘密兵器とのことだが、静子は嫌な予感がしたため封印しようと考えていた。


据足满所说,这是一种可以瞬间扭转战局的救命稻草,但静子因为不祥的预感打算将其封印。


先ほどから一定間隔で鳴り響いていた砲声が唐突に止まった。暫く待っても再開される様子がなく、状況を確認していた助手が再び報告に戻ってきた。


刚刚一直以固定间隔响起的炮声突然停止了。过了一会儿,助手确认情况后回到报告岗位,但再次听不到炮响。


「迫撃砲二門とも閉鎖機構が破損しました。補修して無理をするなら、もうしばらく砲撃は続けられるとのことですが、敵陣が崩壊したため中止したとのことです」


「两门迫击炮的关闭机构都已经损坏。如果进行维修并勉力而为,还可以继续进行炮击,但由于敌阵已经崩溃,所以已经停止了炮击。」


「判りました。では、砲撃終了とします。必要な計測を終えたら、撤収準備に掛かって下さい」


"明白了,那么炮击结束。完成必要的测量后,请开始撤退准备。"


静子の指示を受けた助手が伝声管に走り、再び周辺が慌ただしくなり始めた。ここからでは見ることが叶わないが、遠く離れた戦場を思い、静子は空を見上げた。


在受到靜子的指示之後,助手跑向傳聲管,周圍再次變得煩亂不堪。靜子抬頭看向天空,想起了遠方的戰場,從這裡無法看到那裡。


東国の覇を争った一戦は、開戦から僅か一刻(2時間)ほどで終わりを告げた。太陽が中天に懸かる頃には、既に勝敗が決しており、敗走する武田・北条軍へ織田・徳川連合軍は追撃を放たなかった。それほどまでに一方的かつ、圧倒的な勝利であった。


东国争夺霸权的战斗仅持续了短短一刻钟(两小时)就宣告结束。太阳到中天之时,胜负已定,织田·德川联军并未追击败逃的武田·北条军。这场战斗如此一边倒和决定性的胜利。


「勝頼はボロボロだな。おそらく捲土重来(けんどちょうらい)を期しての行軍だったんだろうが、手痛いしっぺ返しを貰った形になったな」


「胜世已经破败不堪了。可能是为了东山再起而进行这次行军,但却遭受了沉重的回击。」


勝頼は、どのようにしてか北条の協力を取り付けたことで欲が出てしまったのだろう。狙った場所も、軍の陣容も問題なかった。ただ一点、時期が悪かった。


胜道是如何获得北条的帮助而贪心的呢?他所瞄准的地方和军阵并没有问题,唯一的问题就是时机不对。


相手が徳川軍だけであったなら、勢いのまま押し切って幾らか領土を切り取れたかも知れない。通常であれば、援軍要請を送ったとして、これほどまでに早く援軍が駆けつけることはあり得ない。


如果对手只有德川军,或许可以抓住时机,一鼓作气,切割一部分领土。通常情况下,即使请求增援,也不可能这么快就接到增援。


更に引き際を見誤った。予想よりも早く援軍が駆けつけ、少なくない被害を受けて睨み合いとなり、不確定要素の塊とも言える静子軍の旗印を目にした時点で退くべきだったのだ。


进一步看错了撤退的时机。援军比预期到达得更快,双方遭受了相当大的损失,并且在看到了代表了许多不确定因素的静子军队旗帜的时候,应该撤退。


「武田勝頼、武将としては優秀だけど、国人としては未熟だね。時代の変化に対応できなかった」


「武田胜赖作为武将很优秀,但作为国人还不够成熟。无法应对时代的变化。」


軍神とも呼ばれた上杉謙信をして警戒させるほどのいくさ上手として勝頼は名を馳せていた。しかし、静子軍の登場によっていくさの在り様が変わり始めた。


后来,由于静子军队的出现,战争的形式开始发生变化,甲斐武田家的胜应声名大噪,曾让被称为军神的上杉谦信感到担忧。


前(さき)の三方ヶ原の戦いで明らかになったように、既に個人の武勇がものを言う個の戦闘ではなくなりつつあった。


正如在前三方原之戰中所顯示的那樣,個人的武勇已經不再是決定戰鬥結果的唯一因素。


自軍の銃よりも射程に優れた武器を持ち出された時点で、時代の変革を感じ取れないようでは同じ土俵の上にすら立てない。


当你拿出比我们的武器射程更优秀的武器时,如果你不能感受到时代的变革,甚至无法站在同一平台上。


「三国志に登場する呂布のようなタイプだったのかな、勝頼って。いくさでは鬼神の如き強さを誇っても、為政者としては二流に留まる」


「勝頼这样的人,或许可以被视为像《三国演义》中的吕布那样的类型。虽然在战斗中拥有着鬼神般的强大力量,但作为治理者只能算二流。」


容赦なく静子に酷評される勝頼だが、やむを得ない理由もまた存在していた。


容赦地被静子严厉批评的胜利者,也存在不得已的理由。


勝頼は武田家当主となるべく育てられた訳ではなく、たまたまお鉢が回ってきただけの中継ぎ当主と考えられていた。


胜须并非被培养成为武田家当主,而只是被视为临时中间管理人,因为碰巧轮到他了。


それ故に周囲は勝頼に期待せず、次の当主が決まるまでの腰掛けとして、ただそこに座っていることだけを求められた。


因此,周围不期待胜劳,只需要他坐在那里,作为下一任主人被确定之前的摆设。


当然ながら勝頼としては面白いはずがなく、しかしながら勝頼がどれだけ努力しようとも、武田家家中の誰からも認められることはなかった。


当然作为胜道来说,他觉得这并不有趣。但是无论胜道如何努力,他都无法得到武田家中任何人的认可。


そうして主従関係が捻じれた結果、判り易いいくさでの勝利という成果に飛びついたのかも知れないと静子は考えた。


这样,静子想,那可能是因为主从关系扭曲了,所以他们追求了在明显的草地上获胜的结果。


「前のいくさの結果を含めて、この先を見据えた意見が欲しい。このまま東国征伐に赴いたとして、上手な敗北は可能かな?」


“需要考虑之前战争的结果,希望听取关于未来的意见。如果继续前往东方征伐,是否有可能经历一次巧妙的失败?”


「十中八九無理でしょう。自軍は戦意も高揚し、勢いにも乗っております。こういう場合の趨勢は二つ、大勝か大敗ですな」


「十之八九不可能吧。自己军队的战意也很高涨,处于势头上。在这种情况下,趋势只有两种,一是大胜,二是大败。」


戦後処理の始まった高天神城に滞在している静子は、昌幸を秘密裏に呼び出すと、開口一番に秘された目標達成の是非を問うた。


静子在开始战后处置的高天神城逗留,她秘密地召唤昌幸,第一句话就问及是否达成了隐藏的目标。


ある程度予想していたとはいえ、昌幸から色よい返事は得られなかった。静子はがっくりと肩を落とすと、重いため息を吐く。


虽然有一定的预期,但是没有得到昌幸的积极回应。静子失望地耸了耸肩,叹了口重气。


「奇妙様に目に見えるような隙がございません。行軍開始から今までの指揮だけを見ても、二十そこらの若者に出来る芸当ではありませぬ。本来ならば喜ぶべきことなのでしょうが、此度に関しては悩ましいですな」


“没有任何明显的缺陷。仅仅看到从开始行军到现在的指挥,这已经超出了二十岁左右年轻人的能力范围。本来应该是一件令人高兴的事情,但这次却令人很烦恼。”


「上様の命が果たせない……か。戦況的にも負けて許される状況ってのは得難いから、今を逃すと良くないよね」


"您是否无法履行您的命令?情况已经如此劣势,很难容忍失败,如果现在放弃就不好了。"


「事がここに至っては運を天に任せるより他ございません。奇妙様の命令に従わず、独断専行をする馬鹿が続出するようなことがあれば、敗北もしましょうが……」


没有比把事情交到天意中更好的选择了。如果有人不遵循奇怪的命令,而是孤注一掷地行动,那么失败也是可能的。


「……運任せ、か」


「……一切随缘吧」


最早通常の方策では目的達成の目はなくなった。それでも敗北させようとすれば、自軍に対して破壊工作を仕掛けるような真似をする必要があり、一歩間違えば静子であろうとも死罪を免れない。


最早通常的策略已经失去了实现目标的可能性。但若要继续追求胜利,就需要采取类似进行破坏活动的行动来对抗自己的军队。一旦出现偏差,即使是静子也难免面临死刑。


そんな静子の苦悩を他所に、信忠と家康は軍を再編成し、武田領に向けて進軍する計画を練っている。勝頼自身は武田領へと逃げ戻り、再び防衛のための陣容を整えつつあるところを見るに、武将としての資質は非常に高い事が窺えた。しかし、既に死に体となった武田が防戦に回ったのではじり貧だ。


忽略静子的痛苦,信忠和家康重新组建了军队并计划向武田领地进军。看到勝頼自己逃回武田领地,并再次准备防御,可以看出他作为武将的素质非常高。但已经奄奄一息的武田回到防守状态已经无利可图了。


「甲斐までの道程があまりにも険しいから、写真撮影用の機材運搬も諦めたのに、この上に密命というか主目的を達成できる見込みが立たない……東国征伐は苦難続きだよ」


由于前往甲斐的道路太过艰险,我已经放弃了运送摄影设备的想法,而且现在好像也无法完成任务了……东国征讨真是一连串的艰辛啊。


最早諦観の域に達しつつあった静子だが、ある時を境に状況が変化した。静子にとっては運が向いてきたのだが、織田・徳川連合軍にとっては不幸な出来事であった。


最初,静子正在达到顿悟的领域,但在某个时刻,情况发生了变化。对于静子而言,运势开始好转,但对于织田·德川联军而言,这是不幸之事。


徳川領から武田・北条連合軍を追い返したことを契機に、軍議が催された。


以德川领土击退武田·北条联军为契机,召开了军事会议。


議題は武田領へと攻め込むか、否かであった。通常ならば一定数が慎重論を唱えるのだが、前の一戦による損害がほとんどなかったことが災いし、強硬論一辺倒となってしまった。


议题是要不要攻入武田领。通常情况下,一定数量的人会提出谨慎论,但由于上一场战斗几乎没有损失,这成为了厄运,强硬论成为了唯一的声音。


「武田が敗走した今こそ攻め時! これを逃す手はありませぬ!」


“武田败退,现在正是进攻的时候!不能放过这个机会!”


「東国の雄と謳われた北条も尻尾を巻いて逃げおった。武田を潰した行きがけの駄賃で、北条をも平らげてくれる!」


「被称为东国英雄的北条也缩起尾巴逃走了。在打败武田的回程中,也请平定北条作为奖励!」


武田・北条連合軍は弱い。そんな増長ともとれる感情に支配された武将たちは、一様に進軍を求めた。


武田·北条联合军很弱。被这种可能被认为是傲慢的情感所支配的武将们都一致要求进军。


最も強硬に主張しているのは信忠陣営であり、次点で徳川陣営。滝川軍はやや慎重な意見を出しつつも、進軍に反対とは言わなかった。


最强硬主张的是信忠阵营,其次是德川阵营。滝川军提出了稍微谨慎的意见,但并没有反对进军。


大戦果を挙げた静子軍だが、虎の子の秘密兵器が早々に破損してしまった事だけを報告し、後方支援に専念するとだけ告げて沈黙を守っていた。


静子军取得了巨大的战果,但仅向后勤部门报告了虎子军的机密武器早早失效,并承诺将专注于后方支援,然后保持沉默。


(慢心し過ぎかな。勝ち戦は少しのミスで総崩れになり易いから、ちょっと怖いのよね)


(太过自信了吧。在胜利中稍有失误就很容易全军覆没,所以还是有点害怕的。)


勝頼は当主としての訴求力こそ損ねているものの、いざいくさ場に立てば一騎当千の武将として働くことができる。


胜世虽然作为家主的诉求力有所损失,但一旦站在战场上,却能发挥出千人斩的武将实力。


北条軍は迫撃砲の集中砲火にさらされ、大きな損害を出して潰走したが、勝頼率いる武田軍は軍としての体裁を残して退却している。


北条军遭受迫击炮的集中火力打击,遭受了巨大损失并溃败了,但由武田信玄率领的武田军,则保留了军队的形象并撤退了。


相手に地の利がある武田領へと攻め込んだ挙句、反撃を受けて自軍が崩壊となっては目も当てられない。


进攻有地利优势的武田领并遭到反攻,导致军队崩溃,情况十分危急。


信忠に敗北を経験させるという目的は達成できるかもしれないが、それでは何も学ぶことが出来ない。


让忠诚者经历失败这一目的可能是能够达成的,但却不能让他们学到任何东西。


信忠が勝算ありと踏んで仕掛け、それを相手が上回るか想定外の出来事により失敗し、己の至らなさを痛感しつつ負けなければならない。単に運が悪かったでは、負ける意味がない。


信忠认为自己有机会获胜,于是发起攻势,但由于想不到的事件使对手超越了他,他必须认识到自己的不足,并接受失败。仅仅说自己运气不好是没有输的意义的。


(さてどうするか……んー?)


(现在怎么办呢……嗯?)


既に結論が決まっている会議ほど無駄な時間はない。そう思いながら窓から空を見上げていた静子は、ふと違和感を覚えた。


已经决定结果的会议没有比这更浪费时间的了。静子从窗户向天空望去,一边想着这样的想法,突然感到不安。


秋の日中だけあって天高く晴れ渡っているが、遠くの空は鉛色に曇って見える。


秋天白天,天空高远晴朗,但远处的天空看起来阴沉沉的铅灰色。


(雲が速く流れている!?)


(云在快速地流动!?)


雲の移動速度は平均して時速五十キロほどだが、季節によっては倍ほどにも達することがある。典型的な秋の空模様に於いて、雲が速く流れる要素は一つ。即ち、低気圧の接近だ。


云移动的速度平均大约每小时50公里,但根据季节有时可以达到两倍以上。在典型的秋天天气中,云快速移动的要素只有一个。也就是低气压的接近。


(これは数日中にも雨が降るね。雨具の用意をしておこう)


「这几天可能会下雨。我们要准备好雨具。」


晴れ間が続いた後の低気圧到来は、高確率で雨天となることを意味している。


晴间持续后低气压的到来意味着有很高的可能性会有雨天。


正確に天気を予測するためにも、詳細な観測データが欲しいと静子は考えるが、存在しないデータについては地道に記録を取り続ける以外なかった。


为了准确预测天气,静子认为需要详细的观测数据,但对于不存在的数据,除了持续记录,别无选择。


現代であれば気象衛星という神の視点からの情報を得て、リアルタイムで気候変動を察知することができるが、ようやく機械化の端緒に辿り着いたばかりの戦国時代に求めるのは酷というものだ。


现代可以通过神的视角——气象卫星获取气候变化的实时信息,但我们不能苛求战国时代这个才刚刚开始机械化的时期。


ゆえに考えるのを諦め、対策として雨具の準備だけを指示すると結論づけた。


因此,我决定放弃思考并仅指示准备雨具作为对策。


(何もなければいいなあ)


(希望没有什么事情发生)


強硬派の意見で塗りつぶされつつある軍議を横目に、静子は天候が大きく崩れない事を祈っていた。


在强硬派的意见下,军事会议似乎被掩盖了。在一旁,静子默默祈求天气不要突然变坏。


それから一刻ほどして、無駄に時間を取った軍議は結論を出した。


然后大约过了一刻钟,浪费了时间的军议得出了结论。


容易に徳川領へ攻め込もうなどと思わせないためにも、武田領へと進軍し、ある程度の戦果を挙げる。


为了不让人们认为能够轻易地攻击德川的领土,我们必须向武田的领土进军,并取得一定的战斗胜利。


全軍で進軍したところで、道が悪く一度に進軍出来る兵数が限られるため、追撃部隊は信忠軍と家康軍のみと決まった。


全军出发虽然可以继续前进,但道路狭窄,一次可前进的士兵数量有限,因此追击部队决定仅限于信忠军和家康军。


滝川軍はこのまま高天神城に滞在し、万が一に備えることとなる。静子軍は本陣を高天神城に据え、家康と信忠が追撃し易いよう後方支援部隊を出すこととなった。


滝川军将留在高天神城,以备不时之需。静子军则将设立总部于高天神城,并派遣后勤支援部队,以方便家康和信忠进行追击。


(何もかも投げ出して、ただ従軍するだけなら、これほど気楽なこともないんだけどねえ)


(扔掉一切,只是去当兵的话,这也是件很轻松的事情)


信忠軍の編成を聞かされた静子はそう嘆息していた。まさに増上慢と言える陣容だった。


听到了信忠军的编组,静子不禁叹息。可以说,这是个典型的过于自信的阵容。


今まで碌に戦功を立てた事のない者ばかりを寄せ集めたかのような、あまりにもあまりな自軍に目の前が暗くなる。


好像聚集了一群从来没有立过战功的人,组成了实在太弱的自己的军队,眼前一片黑暗。


恐らく信忠本人の意向よりも、周囲の意向が強く反映されているのだろうと静子は推測する。


静子推测,可能是周围的意见比信忠本人的意愿更强烈地反映出来。


長可が武田四天王の一角を討ち取り武名を得たように、かつてほどの勢いがないとは言え武田を相手に勝ちいくさである。


长可曾打败武田四天王之一,赢得了武名,尽管它不再像以前那样强劲,但对战武田,仍有获胜的机会。


信忠や家康の家臣が武田を破った者という名声を欲しがっても不思議はない。


想要拥有「打败武田的家臣」这样的名声,不足为奇,毕竟信忠和家康的家臣打败了武田。


そして信忠や家康には、逸る彼らを諫めるに足るだけの論拠が無かった。


而信忠和家康没有足够的论据来劝阻这些狂热者。


結果として逸る飼い犬の首縄を主君が握り、彼らのいくさのお膳立てを整え、また万が一の時に備えるという貧乏くじを滝川と静子が引いた。


结果,滝川和静子抽中了一张不幸的彩票,他们必须掌握脱缰的狗,准备他们的战斗,并为万一情况做好准备。


「はあ……どうしよう?」


“啊啊……怎么办啊?”


今から先の事を考えた静子は、無意識の内に胃の辺りへ手をやっていた。


静子开始考虑将来时,下意识地抚摸着胃部。


「武田、北条恐るるに足らず! 奴らに目にもの見せてやろうぞ、真に東国の覇者足りえるのは誰かと言うものをな!」


“武田、北条不足为惧!让我们向他们展示真正能称雄于东国的人是谁!”


高天神城で補給を済ませ、軍を再編成した信忠と家康は勝頼を追い、武田領を目指して出陣していった。


在高天神城補給并重新组建军队之后,信忠和家康追击了勝頼,向武田领土出发了。


諏訪の要衝である高遠城を落とすことが目的とされ、高遠城を押さえれば武田にとって喉元に刃を突き付けられたに等しい状況となる。


以攻下諏訪的要衝-- 高遠城為目標,掌握高遠城相當於將刀子架在武田家的喉嚨上。


高遠城を甲斐攻略の橋頭保(きょうとうほ)とできれば、東国征伐は一気に現実味を帯びることになる。


如果能够把高远城作为甲斐攻略的桥头堡,东国征讨就有可能变为现实。


流石に戦国時代を生きる武将だけあって、どれほど増長しようとも、現状の軍勢で武田本国へ攻め込もうとするほどの愚か者はいなかった。


不愧为生活在战国时代的武将,即使变得多么傲慢,也没有愚蠢到以目前的军势攻打武田本国。


信忠と家康とが出陣した後、静子は主だった家臣を集めて軍議を開いていた。


信忠和家康出发后,静子召集了主要家臣开会商讨军务。


「さて、奇妙様と徳川様が出陣されたけど……真田さんは引き続き情報収集をお願いします。特に奇妙様の本陣の動きに注視してください」


“好的,奇妙大人和德川大人已经出发了……请继续收集情报,特别关注奇妙大人的大本营活动。”


「心得ました。しかし、奇妙様ならば、大きく動く前にはこちらへも連絡があるのでは?」


“领教了。但是,如果奇妙先生有大的行动计划,是否需要先联系我们?”


「通常ならそうでしょう。ただ、欲に目が眩んだ人たちは、自分の手柄に介入されることを嫌って報告を曲げたり、隠蔽したりする可能性があると考えます。勝ちいくさの軍は勢いがありますが、反面統制を失い易い。ひとたび不測の事態に陥れば、瓦解するまでそれほど時間を要さないでしょう」


「通常情况下应该是这样的。但是,贪婪的人们会因为不愿意让别人分享自己的功劳而可能篡改或隐瞒报告。胜者通吃的军队虽然声势浩大,但同时也容易失控。一旦遇到意外情况,就很容易崩溃。」


「承知しました」


"知道了"


「他の皆は補給部隊の支援をお願い。正直、今の武田に遊撃隊を作って補給部隊を叩く余裕はないと思うけど……こといくさに関して(・・・・・・・)は天稟(てんぴん)を持つのが勝頼だからね」


“请其他人向补给部队请求支援。说实话,我认为现在的武田家没有时间去组建游击队并攻击补给部队……但在战斗方面(...)胜长拥有天赋这一点是毫无疑问的。”


勝頼は自領へと逃げ込んで以降、一切攻勢に打って出ていない。更に北条は余程損害が大きかったのか、武田領へは退却せず、そのまま自国へと退却していったとの報告を受けている。


自从胜项逃回自己的领土后,他们一直没有采取进攻性的行动。此外,据报道,北条家在损失惨重后没有撤回至武田领地,而是直接退 却至他们自己的国家。


「義理は果たしたってところかな、北条は。一応確認するけど、もし北条が退却したふりをしていて、こっそり戻ってきたらどうする?」


“义务完成了,北条吧。我再确认一下,如果北条假装撤退,悄悄地回来怎么办?”


「勿論、ぶっ飛ばす」


当然,猛击。


長可が即答する。慶次や才蔵も同意見だったのか、口元に笑みを浮かべていた。


张可立即回答。庆次和才藏也持相同意见,脸上带着微笑。


「結構。次に北条軍を見かけたら容赦なく叩いてね。本来なら上様にお伺いすべきなんだろうけど、噛みつかれて叩かない方が上様のご機嫌を損ねるだろうしね」


“好的。如果下次看到北条军,就毫不留情地打击他们。虽然本来应该去询问上方批准,但如果不打击他们可能会伤害上方的好心情。”


東国に進軍している彼らは知り得ないことだが、武田と北条が手を組んだと知った信長は激怒していた。


他们正在向东方前进,尽管不知道,但信长得知武田和北条联手后非常愤怒。


事前に北条の行動を予測していたとはいえ、武田と手を組めば織田を倒せるとまで侮られては、信長でなくとも怒り心頭になるのは避けられない。


尽管预测了北条的行动,但如果被轻视为只要与武田联手就能打败織田,那不仅信长,其他人也会感到非常愤怒。


「しかし、勝ちいくさは面白みがないな」


"但是,赢了也没有什么乐趣"


前線から遠く離れて退屈なのか、慶次が欠伸をかみ殺しながら呟いた。


"是因为离前线太远而感到无聊吗?景次咬着欠的同时喃喃自语。"


才蔵が軽く脇腹を突いて反省を促すが、慶次が態度を変えることはなかった。


才藏轻轻捅了一下腰间,促使景次反省自己的态度,但景次并未改变态度。


「一応敵地へ向かっているとは言え、前線は遥か遠くだし、この見晴らしが良い場所で敵襲なんてありえないしね。更に行軍速度の遅い補給部隊に足並みを揃えるから、慶次さんが退屈に思うのは仕方ないね。でも、こうも思えない? 楽な仕事を一日勤めあげれば、その日の終わりには旨い酒が飲めるって」


“虽然我们正在朝着敌方领地前进,但前线却很遥远,而且这个视野开阔的地方是不可能遭到敌人袭击的。此外,由于要与行军速度较慢的补给部队保持一致,所以无可避免地可能会让景次觉得无聊。但你不觉得呢?只要完成一天轻松的工作,晚上就能喝上美酒。”


「補給物資には酒もあるから、その役得は嬉しいね。向こうに着くまで酒が残ってりゃいいけどな」


“补给物资里还有酒,这份额外待遇真是令人开心。但希望在到达目的地之前酒还能剩下一些。”


「流石にそれは困るよ。まあ、冗談はこれぐらいにして、今回もしっかりお願いするね」


「那真的很麻烦。好了,玩笑到此为止了,这次也请你认真对待。」


「静子様、こやつの事ですから敵に後れは取らぬでしょうが、危険が迫らぬ限り飲んだくれて終わる気が致します」


“静子小姐,虽然他们不会被敌人追上,但只要没有危险,他们就会沉迷于饮酒而结束。”


慶次の態度に思うところがあったのか、才蔵が話に入って苦言を呈した。


“看到庆次的态度,才蔵觉得有所思考,于是插话发表了批评的观点。”


「慶次さんが敵襲の可能性がある処で、己を失うほどに酔うことはないですから。務めをしっかり果たした上で、少々羽目を外したところで目くじらを立てる気はありません」


“因为在有可能遭受敌袭的地方,慶次先生不会醉得失去自我。他会认真履行职责,并且即使稍微放松一下也不会被挑刺。”


予想以上に静子から高い評価を得ていると知り、むずがゆくなったのか慶次は顔を背けて煙草をくゆらせた。


得知静子对自己的评价比预期高,慶次不知为何感到有点尴尬,背过脸去,只顾弹着烟灰。


「才蔵さんの言わんとすることも判ります。しかし、これは慶次さんを家臣とする時に交わした約束なんですよ」


「我能理解才藏先生的意思。但是,这是与景次先生成为家臣时所达成的约定。」


「……ならば静子様には申しませぬ。しかし、そのお約束は静子様とこやつが交わしたこと。某が咎める分については構いませぬな?」


"如果那样的话,我不会向静子提出要求的。但是那个约定是静子和那个家伙所达成的。某对于提出的指责并不在意,你同意吗?"


「それは構いません。不満を溜め続けても歪みが出ますから、直接口にする方が健全でしょう」


“没关系。不满积攒太久会产生扭曲,直接表达更健康。”


元より他人の理解を得ようとも思わぬ傾奇者。実直な才蔵が理解できることばかりではない。


他是一个不寻求别人理解的傾奇者,即使才蔵这样正直的人也不能完全理解他。


「話が脱線しましたが、我々は後方支援に専念します。差し当たっては補給部隊の護衛です。襲撃者は山賊であれ敵軍であれ一切合切殲滅します。後は各自の判断に委ねます」


"话题跑偏了,我们将专注于后方支援。目前要做的是保护补给队。无论攻击者是山贼还是敌军,我们都会将其全部消灭。其余事项由每个人自行决定。"


余計な話が増えないよう言葉に注意しつつ、静子は軍議を締め括った。


为了避免多余的谈话,静子小心措辞,结束了军事会议。


信忠と家康が武田領へと攻め入って既に五日が経過していた。


信忠和家康已经入侵武田领地五天了。


地元住民は一部を除いて武田家に、ひいては勝頼に非協力的であった。


当地居民除了部分人以外,对于武田家,甚至是对于胜须的合作都持非协力态度。


対する信忠は開戦前に買い集め、静子軍の補給部隊に運ばせていた余剰食糧を自軍に協力した地元民へ、褒美として分け与えていた。


信忠在开战前购买了大量食物,将多余的粮食运往静子军的补给部队,并将其分配给协助自己军队的当地民众作为奖励。


更に昌幸が信忠に進言し、この信忠の方針を武田領全土へと広めるよう動いていた。


进一步,昌幸向信忠提出建议,推动信忠的方针在武田领土全境得到推广。


武田領へ入って以来、何処の農村も困窮しており、事前に噂を聞いていればよりスムーズに話が進むと考えた信忠は、昌幸の献策を了承した。


自进入武田领地以来,所有的农村都处于贫困之中。信忠认为,如果事先听到谣言,对话会更顺利,因此他同意了昌幸的建议。


ゆく先々で食料を配り歩いているため、信忠軍の進軍速度はそれほど速くない。


由于在各地分发食品,因此信忠军并没有那么快的行军速度。


しかし、武田領へ入ったと言うのに、武田軍は抵抗らしい抵抗を示さず、信忠も家康も肩透かしを食った状態となっていた。


然而,虽然据说已经进入了武田领地,但武田军似乎没有表现出任何抵抗,使得信忠和家康都失望不已。


未だ姿を見せぬ敵と、各地で受ける歓迎に武田軍の崩壊を感じ取ったのか、信忠配下の若年層は一層増長し、手綱を握る信忠は統制を維持するのに苦心していた。


信忠注意到了未曾现身的敌人以及各地受到的欢迎,感受到了武田军队的瓦解。年轻的信忠手下更加嚣张,他正在努力维持控制。


「さて……本格的に雨だね」


“好了……正式下起雨了”


静子は雨が降り出した外を眺めて呟いていた。


静子望着下起了雨的外面喃喃自语。


雨が小降りである内に、信忠と家康の陣へ物資を届けた部隊が戻ってきており、再び補給物資の積み込みが始まっていた。


在小雨中,将物资运到信忠和家康的阵营的队伍已经返回, 再次开始装载补给物资。


甲斐は尾張や美濃と比べて街道整備など無いに等しい。雨が本降りとなれば、路面は泥濘(でいねい)化し、物資の運搬どころか兵士の歩行すら難しくなる。


甲斐与尾张、美浓相比,几乎没有街道整修。如果下起大雨,路面会变成泥泞,不仅难以运送物资,就连士兵的行走也变得困难。


それを見越して次陣の出発は雨が止むまで見合わせるようにと、信忠から静子へと託(ことづけ)が添えられていた。


"信忠向静子嘱托道,在考虑到这一点,下一阵的出发将推迟到雨停的时候。"


高天神城に駐留する滝川軍と、高遠城を目指す信忠・家康軍との中ほどの位置に静子軍の中継基地が建設されていた。


在高天神城驻扎的滝川军和前往高遠城的信忠·家康军之间,有一个位于中间的静子军中转基地建立了。


物資集積所も兼ねるため、即席ではあるがプレハブ建築の応用で屋根のある小屋をいくつも擁する陣が構築されており、多少の雨風程度ではびくともしない造りになっていた。


为了兼备物资集结所的功能,一些临时性建筑安装了带有屋顶的小屋,虽然它们是由简易的预制建材所构建,但是在一定程度上能够抵御一些雨风。


静子の予想では今後雨脚が強くなると見込んでいたため、黒鍬部隊が総出で補強をして回っている。そんな中、静子は自分に割り当てられた建物内にて昌幸の報告を受けていた。


静子预计雨会越下越大,因此黑鍬部队正在全力加固和巡视。在这期间,静子在被分配的建筑里听取了昌幸的报告。


「奇妙様は高遠城の手前で陣を張られたのね」


「奇妙様在高远城前扎营了呢。」


「はい。しかし、この雨の中、平野部に陣を張るのは危険ではないかと思います」


“是的。但是,在这场雨中,我认为在平原上扎营是很危险的。”


本格的な嵐となる予感を得た家康は、進路上にあった落とした城に留まり、嵐をやり過ごそうと考えた。


得到了即将到来的严重暴风雨的预感,家康决定留在掉落的城堡上避难,打算逃避风暴的袭击。


一方信忠は、配下の意見もあって進軍を続け、高遠城を望む平野部に陣を張ることとなった。


一方信忠领下的部下们提出意见,继续向前推进并在高遠城正对的平原上扎营。


大雨が予想されるなか、山裾の平野部に陣を構えるのは鉄砲水の危険まである。


在预计有大雨的情况下,设置在山脚下平原地带的阵地存在着暴雨洪水的风险。


しかし、一度雷雨の中、夜襲を成功させた信忠だ。今回も同じ手段を取るのではないかと静子は考えた。


然而,信忠曾成功地进行了一次夜袭,那时正下着雷雨。静子认为他这次也会采用同样的手段。


「今更何を言っても間に合わないし、そもそも意見に耳を傾ける余裕があるかすら疑わしいね」


现在说什么也来不及了,而且根本就不确定是否还有闲心倾听意见。


「某が先走ったばかりに……申し訳ござりませぬ」


由于某人过于急躁......请多原谅。


「構いません。私もあそこまで戦功に逸っているとは思いませんでした」


“没关系。我也没想到你战功居然那么高。” (Simplified Chinese)


昌幸は静子の判断を仰がず、信忠に協力者への褒美の話を流布する提案をしていた。


昌幸没有征求静子的意见,提出了与信忠合作者有关的奖励计划。


これ自体は静子も信忠も問題視しておらず、むしろ効果的な立案であったと褒めてすらいた。


这本身并不是静子或信忠所关注的问题,相反,他们甚至赞扬它是一种有效的计划。


しかし、功に逸る配下にとって余所者である昌幸の功が認められたという事が焦りを生んだ。


然而,对于那些太过追求功劳的手下来说,认可了作为外来者的昌幸的功劳,这种情况引发了焦虑。


自分達が何の手柄も立てていないというのに、安全圏で後方支援だけをしている輩が主君のお褒めを与(あずか)る。


即使我们没有立下任何功劳,那些只进行后勤支援的人却被主君表扬。


この一事が、信忠の配下を駆り立て無理な進軍へと繋がってしまっていた。


这件事激起了信忠手下的狂热,导致了不合理的进军。


「ともかく起きてしまった事はどうしようもない。これからどう対処するかに気持ちを切り替えましょう」


"无论如何,已经发生的事情无法改变。让我们把心态转变到如何处理接下来的事情上。"


「ははっ」


"哈哈"


「問題は天候がどう推移するかですね。風もどんどん強くなってきていますし、もしかして嵐になるかなとも考えています」


「问题在于天气变化如何。风也越来越强,我甚至考虑可能会变成暴风雨。」


雨戸が動かないように目釘を打ち付けたと言うのに、吹き付ける風によってガタガタと音を立てている。


窗户上打上了目钉,以便其不会移动,然而当风吹过时,它仍会发出哔哔的声响。


その様子を見て、静子はこれが単なる雨ではなく、季節外れの台風が到来したのではないかと考えていた。


看到那种情况,静子认为这不仅仅是一场雨,可能是到来的季节外的台风。


(もし、これが台風だったとしたら……)


(如果这是台风的话……)


最悪のケースを想像した静子は、その考えを追い出すように頭をふった。


想象最糟情况的静子摇了摇头,试图将这个想法赶出脑海。


得てして悪い予感というものは的中するもので、静子の予想は正に正鵠を射ていた。


通常,不好的预感总是能够实现,静子的预测完全正确。


日没を迎えた頃に、若干雨脚は弱まったものの、代わりとばかりに風の勢いが増した。


太阳落山时,虽然雨势略微减弱,但风势却增强了。


風速を計測していないため、正確な値は判らないが体感的には昼間に数倍する風を感じていた。


由于没有测量风速,因此无法确定准确值,但在感觉上,白天能感受到数倍于平常的风。


それを裏付けするように、櫓が倒壊し、背の高い樹木が倒れたという報告が相次いだ。


据证实,塔楼倒塌和高大树木倒伏的报告不断出现。


静子は小屋に居ること自体が危険だと判断し、少し窮屈になるが全員を物資搬入用倉庫に退避するよう命じた。


静子判断在小屋里待着本身就很危险,她命令所有人撤到物资储藏室,虽然动作有些受限,但安全。


この建物が一番頑丈な造りになっており、また補給物資の木箱が山積みになっているため、孤立したところで物資が不足することは無い。


这座建筑是最坚固耐用的建筑之一,而且由于补给物资的木箱堆积如山,因此在孤立无援的情况下也不会短缺物资。


「うう、さみぃ……これでは外に出られぬ」


哎呀,好冷啊……这样可出不去了。


「こんな時だからこそ、あったけぇ汁は身に染みる」


“正因为这个时候,热汤才能渗透到身体里。”


気温はそこまで下がっている訳ではないが、雨に濡れた体を激しい風に晒した結果、体温を急激に奪われた兵士たちは凍えており、兵士たちには火鉢を囲んで暖を取るよう命じていた。


虽然气温没有大幅下降,但因为被雨淋湿的身体暴露在强烈的风中,士兵们的体温被迅速剥夺,他们感到寒冷。命令士兵围在火盆旁取暖。


濡れた衣服は着替えさせ、温かい味噌汁を配るよう手配していた。濡れたまま放置していれば、瞬く間に低体温症に陥り、一時間と経たずに意識を失うことになる。


湿衣服要更换,应安排提供热味噌汤。如果长时间放置湿衣服,很快就会导致体温过低,不到一小时就会昏迷。


「この暴風雨では、野外に陣を張った奇妙様の処は危ういやも知れぬ。暴風雨の勢いが弱まり次第、奇妙様と徳川様の陣を確認し、滝川様の待つ高天神城へ戻ることになると思う。多くの物資はここに放棄することになる上、足場も危うい中での困難な作業になると思うがよろしく頼む」


「在这场暴风雨中,扎营在户外的奇妙大人可能会有危险。一旦暴风雨减弱,我们将确认奇妙大人和德川大人的营地,然后返回等候的滝川大人在高天神城。很多物资可能会被抛弃在这里,而操作也会变得更加困难,但请务必提供帮助。」


台風が猛威を振るう中、静子は後方支援部隊の隊長を集め、状況が落ち着いた後の活動方針を告げた。


台风肆虐期间,静子召集了后方支援部队的队长,并告知了在情况稳定后的活动方针。


比較的堅牢な建物に籠っている状況でこれだ、山裾のそれも野外に陣を張った信忠の処では相当な被害が出ていると予想された。


处于相对坚固的建筑物中,这种情况下,预计信忠山脚下的野外营地受到了相当大的损失。


報告によれば徳川軍は城に入ったとあったので、ひとまず家康の心配はないだろう。問題は野外で孤立している信忠軍となる。


据报告,据说德川军已经进入了城内,所以暂时不用担心家康的安危。问题在于信忠军被困在野外。


しかし、この暴風雨の中、夜間行軍で信忠の陣へ向かうなど自殺行為にほかならず、信忠を救うどころか徒(いたずら)に犠牲者を増やすことにしかならない。


然而,在这场暴风雨中,夜间行军前往信忠阵营无非是自杀行为,不但无法拯救信忠,反而只会增加更多无谓的牺牲。


静子に出来ることは、嵐が通り過ぎるまで只管耐え、嵐が過ぎた後、吹き戻しが来る前に救助へ向かえるよう準備を整えるだけだった。


静子所能做的只有忍受暴风雨过去,等待救援前做好准备工作。


台風は夜半過ぎまで猛威を振るい、朝日で東の空が白み始めるころに凪(なぎ)となった。


台风在半夜之后肆虐,直到早晨东方天空开始变白时才平息下来。


「酷い有様だ……」


"太糟糕了……"


櫓は一つ残らず倒壊し、風による飛来物が衝突したのか、いくつもの小屋が押しつぶされていた。


所有的塔楼都倒塌了,似乎是被风吹来的物体撞击所致,许多小屋也被压垮了。


外壁として立てていた壁板も倒壊しており、外部から静子達が籠っていた倉庫が丸見えになっていた。


外墙立着的墙板也已倒塌,从外面可以看到静子等人所躲藏的仓库。


才蔵を伴って中継基地の被害状況を確認していた静子は、いくつかの部隊が姿を消していることに気付いた。


静子带着才藏前往中转基地确认损害情况时,发现有些部队消失了。


逃亡という言葉も一瞬頭を過(よぎ)ったが、暴風雨の吹き荒れる中、安全な室内よりも屋外を選ぶ間抜けはいない。


逃亡虽然在一瞬间闪过了我的脑海,但在狂风暴雨中,选择户外而不是安全的室内,这是没有头脑的。


「……妙に兵士が少ないけど、勝蔵君は何処かにお出かけかな?」


「……奇怪,士兵们好像很少,胜藏君去哪儿了呢?」


「は、はっ。そのようです!」


"是、是的。就是那样!"


たまたま近くにいた長可軍の兵士に確認すると、露骨に目を泳がせながら言葉を返した。何かを知っているが、口止めをされていて報告も出来ないと察した静子は、質問を変えた。


确认了身边的长可军士兵后,他明显眼神游移地回答了静子的问题。静子察觉到他是知道些什么,但因被要求保密而无法报告,于是改变了提问方式。


「奇妙様の陣を確認しにいったのかな?」


“你是去确认奇妙大人的营地吗?”


「そ、そう——」


"那、那个——" (nà, nàge)


「というのは建前で、奇妙様の陣へ敵が仕掛ける前に先手を打つつもりなんだろうね、あの二人は」


“那只是表面上的说辞,我想他们两个是打算在奇妙様的军队发起攻击之前占据先机。”


長可と慶次の考えそうな事だと静子は思った。


長可和慶次正在思考的事情,靜子想到了。


新式銃を扱う兵士と火薬や弾薬類を持ち出しているところを見るに、接近戦を仕掛けるのではなく、遅滞防衛(足止めを主眼に置いた戦法)を仕掛けるつもりだと判断した。


看到操纵新式枪械的士兵和携带火药及弹药的情况,判断对方不是在发动近战,而是打算实行防御拖延战术。


本来なら主君の許可なく武器弾薬を持ち出した上に、独断専行で兵士を連れ出している。


本来就不应该在未得到主君的允许下擅自携带武器弹药并带着士兵私自出击。


処罰は確実なのだが、元々静子は二人の内どちらかを、信忠の陣防衛に回すつもりだったため、穏便に済ませることにした。


惩罚是肯定的,但由于静子原本打算让其中一人为信忠的阵地防御而选择了温和的方式来解决问题。


「やれやれ、確かに奇妙様の陣へ救援に向かうよう命じた(・・・)けれど、二人とも向かえって言ったつもりはないんだけどね」


“唉,虽然我确实下令前往奇妙阵地提供救援(...),但我并没有让两个人都去的意思啊。”


「え? あ、そうなのですか?」


"嗯?啊,是这样吗?"


呆けた顔で兵士が問い返した。才蔵が軽く睨むと兵士は慌てて背筋を伸ばす。


士兵呆滞地回答。当才蔵怒视他时,士兵急忙挺直了腰杆。


「命令が行き違いになったのかな? この暴風雨で奇妙様の陣は壊滅的被害を受けているでしょう。ならば、その隙を狙って武田が兵を派遣する可能性は高い。何せ大将首が目の前にありますからね。ゆえに少しでも早く、奇妙様の陣へ向かうよう命じたのです」


“是命令出现了混乱吗?在这场暴风雨中,奇妙阵营遭受了毁灭性的破坏。因此,武田派出士兵利用这个机会的可能性很高。毕竟,主帅就在眼前。所以我命令你们尽快前往奇妙营地。”


尤も、二人は事後承諾で赦されると妙な信頼をした上でのことだろうと思うと、静子は微妙な気分になった。


然而,当静子意识到他们被宽恕是在事情发生后才同意的情况下,她感到非常微妙的情绪。


【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 130 [千五百七十五年 九月中旬]的评论 (共 条)

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