欢迎光临散文网 会员登陆 & 注册

【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 131 [千五百七十五年 十月中旬]

2023-05-02 00:34 作者:爱吃果冻的沙耶  | 我要投稿

书名 战国小町苦劳谭

-------------------------------------------------------------------

作者: 夹竹桃

原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/

翻译工具:ChatGPT

*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*

-------------------------------------------------------------------

千五百七十五年 十月中旬(*原文网页序列号 - 148)

尾張に残った足満は、技術街に存在する兵器廠(へいきしょう)に詰めていた。


尾張剩下的足满被调往技术街的兵器厂。


前線から早馬で齎された迫撃砲(はくげきほう)の運用データと、破損個所のスケッチを眺めて足満は唸っていた。


从前线送来的快马骤递的迫击炮运用数据,以及损坏部位的素描,让足满不禁发出感叹。


「火砲自体が未成熟な今ならば、野砲(やほう)と迫撃砲の良いとこどりをした兵器が通用するかと開発したが、先人の踏み固めた道をなぞらぬ独自の兵器は、そうそうものにはならぬか……」


“如今火炮本身还不成熟,我们开发了一种结合了野战炮和迫击炮优点的武器,以期能够派上用场。但是,自己走不同于先人的老路,独创新武器可不是那么容易的事情……”


破損した現物は重量があるため早馬では運べず、紙に墨で描かれた部品の図だけであったが、それでも何が原因で故障が発生したかは理解出来た。


损坏的实物因重量过重无法快速搬运,因此只有用墨水画在纸上的图纸部件,但仍能理解故障的原因。


そもそも足満が開発した迫撃砲は、厳密には迫撃砲とは呼べない。迫撃砲とは高い射角を取ることで、発射の衝撃を地面に逃がす構造になっており、射程や精度を犠牲にする代わりに極めてシンプルで軽量な砲である。


首先,足満开发的迫击炮严格来讲并不能称作迫击炮。迫击炮通过采用高射角的结构来减少发射冲击对地面的影响,从而在牺牲射程和精度的同时保持了简单和轻便。


対して射程や命中精度を求めた火砲が、野砲(やほう)やカノン砲と呼ばれる砲となる。長大な砲身と堅牢な支持架(しじか)を必要とする複雑かつ重量級の砲だ。


要求射程和命中准确度的火炮被称为野炮或火炮,需要长炮身和坚固的支架,是复杂而重的炮。


迫撃砲がより簡素に、より軽量で可搬性に優れる方向性を持つのに対し、野砲やカノン砲はより遠くへ、より正確に砲弾を届かせると言う方向性を持っている。


迫击炮具有更简单、更轻便的可搬性优势,而野炮和加农炮则具有将炮弹投射到更远更准确的方向性。


前述の通り迫撃砲は射程と精度を犠牲にしてシンプルな発射構造を実現したため、お互いに相反する設計思想を持つようになった。


前述的迫击炮牺牲了射程和精度,实现了简单的发射结构,因此双方具有相反的设计思想。


足満は静子の生まれた時代に迷い込んだ際、図書館通いをしていて火砲の存在を知った。自分の生まれ育った時代には存在しなかった長射程、大威力の兵器に魅せられ、それぞれの砲の構造と利点や欠点、進化の足跡を頭に叩き込んだ。


足满在静子出生时迷失了方向,他在去图书馆的路上得知了火炮的存在。他被这些长程、高威力的武器所吸引,这些武器在他成长的时代并不存在,他热衷于研究每一种炮的结构、优缺点以及进化的历程。


その上で、火砲自体が一般的ではない過渡期の今ならば、野砲やカノン砲よりも構造がシンプルかつ、純粋な迫撃砲よりも長射程高精度の砲が万能兵器として通用すると考えた。


此外,在目前这个火炮不普及的过渡期,认为比野炮或加农炮结构更简单,比纯迫击炮射程更长、精度更高的炮可以作为通用武器。


「やはり隔螺式(かくらしき)閉鎖機(へいさき)は工作精度的に難しいか」


「隔壳式闭锁机在工作精度方面是否仍然存在困难?」


隔螺式閉鎖機とは、砲身の後部より砲弾を込めた後、螺旋型の溝を掘ったネジをはめ込むことで砲を閉鎖する。こうすることで、砲弾の発射される際の爆発による推進力を砲弾に余すところなく伝えることができる。


隔螺式关闭机是一种将炮弹装填进炮管后,通过将螺旋形凹槽的螺丝螺入炮内以实现关闭的机制。这种关闭方式可以确保炮弹在发射时能够最大限度地利用爆发出的推进力。


閉鎖機上部に存在するハンドルを回すことで、蓋の開閉及びネジの締め込みと緩めを実現するため、どうしても構造が複雑となり、可動部が多いため故障が生じ易くなった。


通过旋转关闭机的上部手柄,实现盖子的开关和螺母的拧紧和松动,因此结构必须变得复杂,可动部件较多,容易发生故障。


案の定今回もそこに問題が生じ、ハンドルを取り外した上でネジを嵌めたり外したりして運用したとのことだった。ネジの開け閉めに時間を要するため、発射間隔が伸びるが運用自体には問題がないためそのまま運用した。


事情按照惯例出现问题,据说取下方向盘后拧下或拧紧螺丝进行操作。由于需要耗费时间拧开或拧紧螺丝,射击间隔变长,但因为运转本身没有问题,所以继续使用原来的方法进行操作。


そして次の問題が明らかになる。それは砲を構成する素材の強度不足だった。繰り返される砲撃による熱と衝撃のため徐々に砲身に歪みが生じ、ついには迫撃砲二門のうち片方の砲身に亀裂が生じてしまった。


然后,下一个问题变得明显了。那就是炮构成材料的强度不足。由于反复的炮击,炮身逐渐产生了扭曲,最终导致其中一门迫击炮炮身产生了裂缝。


こうなってしまっては爆圧がそこから漏れ、最悪の場合は砲身が爆発して大惨事を引き起こす。このため砲弾は未だ残っていたが、砲撃を中止せざるを得なくなったのだ。


这种情况下,压力就会泄漏出去,最坏的情况是炮管爆炸,引发大灾难。因此,虽然还有炮弹剩余,但不得不停止炮击。


「いくさに於ける、数の原理を覆す兵器は未だ完成には遠いか。静子が窮地に追い込まれ、例の砲弾を使わずに済んだだけでも良しとしようか」


“在战争中,能够打破数量原理的武器还远未完成。如果静子被逼入绝境,能够不使用那种炮弹也算是好的。”


そう独り言(ご)ちて、足満は報告書を片手に技術者たちの許へと歩んでいった。彼が最後に一瞥した場所には静子に渡したのと同型の砲弾が木箱に入った状態で安置されていた。


这样自言自语着,足满手持报告书向技术人员走去。他最后一眼看到的地方是一个装有与交给静子相同型号的炮弹的木箱。


木箱の置かれた棚に付けられた名札には『白燐(はくりん)弾』と記されている。白燐弾とは現代でも存在する煙幕弾の一種であり、封入された白燐が大気中で燃焼すると吸湿して視認性を阻害する極めて透過性の悪い煙幕を発生する。


木箱放在货架上,贴着名牌上写着“白磷弹”。白磷弹是一种现代烟雾弹,封装的白磷在大气中燃烧时,会吸湿并产生一种非常透不过的烟雾,妨碍可见性。


しかし、足満が静子の身を護る最終手段として託した武器がただの煙幕だけであるはずがない。足満が準備した白燐弾には焼夷(しょうい)効果が持たせてあった。


然而,防御静子的最后手段由足满托付的武器不可能只是简单的烟幕。足满准备的白磷弹具有燃烧效果。


燃焼中の白燐が炎の粒子となって降り注ぎ、煙幕を無視して静子を追撃しようとした者には極めて重篤な火傷を生じさせる。付着した白燐自体が化学的に燃焼するため、容易には消火できず、露出した肌などに触れようものなら身を焦がされる地獄の苦痛を味わう羽目になる。


燃烧中的白磷变成火焰颗粒降落,无视烟雾屏障追击静子的人会遭受极为严重的烧伤。因为附着的白磷本身会在化学上燃烧,难以轻易扑灭,若碰触到暴露的皮肤等会感受到被烧毁的地狱之痛。


視界を遮りつつ追撃をも阻むため、逃げた方向すら掴ませない撤退時には極めて有効な兵器だが、風向き次第では自軍をも破滅に追い込むため、逃走時にしか使えない運用の難しい武器でもあった。


遮挡视野并阻止追击,对撤退时极为有效,甚至可以防止追踪逃跑的方向。但是,由于风向的关系,也可能导致自己的部队陷入灭顶之灾,因此这是一种难以使用的武器,只有在逃离时才能使用。


武田領へと攻め込んだ信忠は、季節外れの台風に直撃され壊滅的な損害を出していた。戦功を求めて逸(はや)る配下を抑えきれず、視界を遮るものすらない平野部に陣を張っていたため、被害が拡大した。


攻击武田领土的信忠,遭遇了意外的台风袭击,遭受了毁灭性的打击。他无法控制他渴望战功的部下,他们在视野开阔的平原上扎营,由于无阻挡的风,灾害进一步扩大。


激しい風雨に晒され、雑兵は元より彼らを率いる将兵すらも散り散りになってしまい、信忠の周囲には馬廻衆など最低限の側近しか残されていなかった。


在狂风暴雨的袭击下,不仅是雇佣兵,就连带领他们的将兵也四散而逃。只有最少量的亲信,如骑手等,留在信忠身边。


先日の血気盛んに進撃を訴えた軍議が嘘であったかのように、惨めな様相を呈していた。荒ぶる大自然の脅威に打ちのめされた信忠は、かつて静子が語った「勝ちいくさの時ほど、僅かな失策が軍全体の崩壊に繋がる」という言葉を噛みしめていた。


不久前,他们热衷于进攻的讨论像谎言一样变得灰败。信忠被蛮荒的自然威胁击垮了,他铭记着静子曾经说过的:“即使在胜利之战,一点小失误也可能导致整个军队的溃败。”


一方、武田側では勝頼が葛藤していた。物見より報告を受け、信忠の本陣が台風により大きな損害を出した事を知ったが、これを好機と見て追撃を出すか迷っていた。


然而,在武田一方,勝頼正在为该怎么做而犹豫不决。尽管得到了从望楼传来的报告,得知信忠的主阵地因台风受到了严重的损害,但他仍然在犹豫是否趁机发动进攻。


豪雨によって大地は泥濘(でいねい)化しており、武田が誇る騎馬隊の機動力は殺(そ)がれてしまう。更には無敵と呼ばれた信玄すらをも討ち取った静子軍の存在があった。


豪雨导致大地泥泞,武田引以为傲的骑马队机动力全被削弱。此外还有被称为无敌的信玄也被静子军所击败的存在。


何が飛び出してくるか判らないビックリ箱のような存在であり、高天神城での合戦では空から死の礫を降らせるという妖術めいた手段で、友軍の北条軍を壊滅へと導いた。


就像一个意外惊喜的盒子一样,不知道会冒出什么,它是一种妖术般的手段,在高天神城的战斗中从空中降下死亡石头,导致友军北条军覆灭。


信忠を討ち取る絶好の機会でありながら、致命的な逆撃を受ける可能性を捨てきれず、追撃の命令を下せずにいた。


信忠的绝佳机会就在眼前,但是不能轻易放弃防备致命逆击,所以不能下追击的命令。


元より勝頼は織田を倒せるとは思っていなかった。武田家の態勢を立て直す時間稼ぎが目的であり、織田に対して武田は侮り難(がた)しと思わせることさえできれば良かった。


从一开始,信长就没有想过能够打败胜须荣。为了争取时间来重建武田家的姿态,如果能够让武田家在織田面前变得不容小觑,那就足够了。


そこへ折よく北条から共闘の申し出があった。仮に信玄が存命中であれば、援軍を頼ることもなく、北条の申し出の裏に存在する狙いをも見抜いて応じなかったであろう。


正巧北条提出了联合战斗的请求。假如信玄还活着的话,他也不必依靠援军,还能看出北条背后的目的,并不会同意这个请求。


しかし武田家内で孤立し窮地に陥っていた勝頼は、国人としての教育を受けておらず政治的な視野に欠けることもあり、北条の甘言に飛びついてしまった。


然而,身处于武田家族的孤立和困境中的勝頼,没有接受作为国人所必需的教育,也缺乏政治视野,因此被北条的甘言所迷惑。


いざ蓋を開けてみれば、高天神城での壊滅的な損害を出した上での大敗。北条の狙いが何処にあったにせよ、到底割の合うものではないだろう。


一旦揭开这个盖子,发现在高天神城遭受了毁灭性的损失和重大失败。无论北条的目的在哪里,这绝对不是一笔合适的交易。


それでも信忠の首を取れば帳尻は合う。降って湧いた絶好の機会だと言うのに、勝頼は嫌な予感を拭い去れず二の足を踏んでいた。


即使这样,如果能够取下信忠的头,就可以弥补过错。尽管这是一个难得的机会,但是信忠拿下后,功劳偏偏属于麻烦的勝頼,他感到不祥的预感而犹豫不决。


勝頼は自領にある高遠城へと引き上げたが、北条軍は違っていた。勝頼を唆して戦端を開いたものの、織田・徳川連合軍に良いように打ち負かされ、看過できない損害を出していた。


胜世退回自己的领地高远城,但北条军却不同。他们挑唆胜世开战,但最终被织田·德川联军打败,遭受了无法容忍的损失。


何一つ戦果を上げることなく壊滅的な損害を被(こうむ)った。ここはたとえ末席であっても、織田家に連なる武将の首級が欲しいと思っていたところへ台風が押し寄せた。


没有获得任何胜利,遭受了灾难性的损失。即使在末位,也有想要得到織田家武将首级的想法,但是台风袭来了。


幸い撤退の途上に存在した寺に身を寄せ、台風をやり過ごすことが出来た。そこへ信忠軍の本陣が台風により壊滅したとの一報が入った。


幸好在撤退途中找到了一座庙寺躲避,并成功度过了台风。后来接到消息,信忠军的大本营因台风而遭受灭顶之灾。


目の前に大将首と言う金星をぶら下げられ、北条軍は急遽軍を編成し直し、信忠軍の本陣跡へと襲撃を企てた。どれ程の失態を演じようとも、次期織田家当主の首を挙げれば補って余りある。


眼前挂着一个名叫大将首的金星,北条军急忙重新组建军队,企图攻击信忠军的主营地。无论犯下多大失误,只要能取下下一任织田家当主的首级,就能弥补过失。


しかし、元々敗走中であり士気も低く、速力優先で負傷者を運搬する荷車を牽く馬すら騎馬に仕立てて無茶な編成をしたため、寄せ集めでちぐはぐな部隊が出来上がった。


然而,由于原本处于溃败中且士气低落,为了优先速度将运载受伤者的马车编为骑马设定,以及不理智的组合,导致了集合杂乱、不协调的部队。


一方、信忠軍の本陣跡には、既に長可と慶次が到着して本陣の立て直しをしていた。地元住民の協力もあって、土砂崩れで通行不能となった道を避けて裏道を通り、早期の合流を果たしていた。


一方,信忠军的本阵遗址已经由长可和慶次到达,他们正在进行本阵的重新建设。在当地居民的帮助下,他们避开了因土石崩塌而无法通行的道路,通过小路早日汇合。


静子の許可を得ずに出陣したため、多くの物資は持ち出せず、手勢も少数に限られている。しかし寡兵とはいえ、普段から長可の無茶な行軍に付き従う一騎当千の猛者が揃っていた。


由于没有得到静子的允许而出征,无法带出许多物资,手下也仅有少数人。但虽然兵力不足,却聚集着平常跟随长可荒唐行军的勇将。


そして僅かとは言え、彼らが持参した糧食や医薬品によって信忠軍の本陣も多少の落ち着きを取り戻しつつあった。そこへ北条軍の残党が泥濘を掻き分けるようにして、隊列を伸び伸びにした状態でやってくるのが見えた。


然后即使是一点点,凭借他们所带来的食物和药品,信忠军的营地也开始略微恢复了一些安定。就在那时,北条军的残余部队一股脑地挤进泥淖之中,看起来像是在陈列队伍。


静子軍制式採用の遠眼鏡でいち早くそれを発見した長可軍は、入念に準備を整えて待ち伏せを仕掛けた。新式銃は数が限られているため、鹵獲(ろかく)(戦場で敵より奪取すること)した火縄銃をも用いて一斉射撃で奇襲した。


长可军使用了采用静子军制式的远视镜及时发现了敌军,并精心准备伏击。由于新式步枪数量有限,他们使用抢夺的火绳枪,并进行了突袭的齐射。


射程も命中精度も違う武器を用いた射撃など、出合い頭の一度しか通用しないと割り切っている長可軍は、新式銃を装備した銃兵を残すと、火縄銃を放り捨てて突撃した。


使用射程和精度不同的武器进行射击,长可军考虑到只有一次邂逅的情况,决定放弃火绳枪,保留装备新式枪械的步兵,并率领冲锋。


「だっしゃぁぁ!!」


"大嘿嘿!!"


長可愛用のモーニングスターが騎馬の脚を粉砕した。泥濘に脚を取られて速度が落ちていたとは言え、甲冑を着た状態で落馬した武将の運命は潰えるしかない。


晨星,这个既长又可爱的武器,粉碎了骑马战士的腿。尽管他被泥泞地面缓慢下来,但身穿盔甲的将领从马上摔下就注定了他的命运。


運悪く頭から落ちた武将は首を奇妙な方向へと捻じ曲げた無残な死体へと変じた。銃撃を受けて脚が止まったところへ、横合いから攻撃され北条軍は軍としての機能を失っていた。


不幸的是,被从头顶落下的武将的颈部扭曲到了奇怪的方向,变成了残忍的尸体。北条军队接受了枪击并受到横向攻击,失去了作为军队的功能。


準備万端待ち構え、長物を掲げて小部隊で攻撃してくる長可軍に、連携を失った個でしかない北条軍に勝ち目はなかった。


准备万端等待,长可军举着长枪组成小队发起攻击,而北条军没有协作只是一群散兵,胜利的可能性很小。


「ひゅー! 相変わらず凄まじい勢いだな。さて、こっちも負けちゃいられない」


「呼呼!还是一如既往的猛烈气势呢。好了,我也不能输啊。」


長可軍の突破力に口笛を吹いた慶次は、北条軍が立て直しつつあった槍部隊の後方から奇襲をかけた。たとえ連携が取れない雑兵であっても、槍を持たせて数を揃えれば敵の突撃を防ぐ盾となり得る。


庆次吹了口哨,突破了长可军的防线,并从北条军正在整顿的枪部队后方进行了突袭。即使是无法协作的雑兵,只要让他们拿着长矛并排站成一排,就能成为防御敌人冲锋的盾牌。


予期しない襲撃を受けた混乱の最中(さなか)、それでも槍部隊を立て直した北条軍の指揮官は優秀だったが、慶次の策略は更にその上を行った。


在混乱中遭受意想不到的袭击时,北条军的指挥官虽然还是很优秀地恢复了矛兵部队,但景次的策略更胜一筹。


騎馬だけでなく歩兵を随伴していたことから、混乱が収まれば態勢を立て直されると読んだ慶次は、茂みに身を隠して背後に回り込み、今まさに長可軍へと反撃しようとしていたところへ襲い掛かった。


由于他不仅骑马,还有步兵陪同,慶次认为一旦混乱得到缓解,他们就会恢复姿态。他藏身在灌木丛中,绕到对方身后,正当他们准备向长可军发起反击时,他们袭击了他们。


奇襲に次ぐ奇襲を受け、状況を把握しようと馬上で周囲を見渡していた武将が唐突に落馬した。遅れて響いた乾いた銃声が、彼が銃撃を受けた事を知らせた。


接连受到突袭后,一位武将在马上环顾四周试图了解情况,却突然从马上跌下。随之传来的干响枪声表明他遭到了枪击。


脚が止まり棒立ちとなった騎兵など、新式銃を装備した銃兵の敵ではなかった。歩兵の守りを越えて、馬上の武将を次々に撃ち落としていく。


脚步停滞,立着像木桩一样的骑兵们,对于装备着新式枪械的步兵来说并不构成威胁。他们突破了步兵的防线,接连击落了骑马的武将们。


北条軍の隊列が伸びていたことも災いし、戦力の漸次投入という失態を招いた。抵抗らしい抵抗も出来ず討ち取られる武将を哀れに思ったが、慶次が手を緩めることは無かった。


北条军的队伍延伸开来也造成了灾难,导致逐渐增加的战力投入的失误。虽然感到可悲地击败了抵抗无力的武将,但是慶次并没有放松他的手。


「こっちは出番がなくて暇を持て余してたんだ、ここは一花咲かせてみせようか!」


「这里没有机会,我太闲了,要在这里试试看吗!」


言葉と共に慶次が繰り出したハルバードが一閃した。足場が悪い為、大きく踏み込まず足を踏ん張った状態での横薙ぎだったが、雑兵の首が三つ宙を舞った。


随着语言,景次挥出了他的战戟,一闪而过。由于地形不利,他没有大步前进,而是以踏实的姿态横扫而过,三个士兵的头颅在空中飞舞。


「ほいきた! もう一丁!」


"快来!再来一杯!"


軽快な掛け声と共に、勢いを殺さずその場でくるりと回転した慶次が今度は一歩踏み込んで得物を大きく振るった。今度は首ではなく、ハルバードの回転半径上に存在した雑兵が十人ほども薙ぎ倒された。


伴随着轻快的呼喊声,景次没有减缓势头,立即转身并一步踏入,并大幅挥动他所持有的武器。这次不是砍向头颈,而是斩倒了十名在他戈戟旋转半径上的士兵。


長柄武器の遠心力と重量のある斧が繰り出す斬撃は、雑兵の鎧を打ち砕いて絶命させていた。その惨状を目にした雑兵は武器を放り捨てて、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。


长柄武器的离心力和具有重量的斧头发出的斩击,打破了雑兵的盔甲并使其死去。看到这种惨状,雑兵放下武器,如散布蜘蛛卵一般逃跑了。


「逃げるんじゃねえ! 俺と戦え!!」


"不要逃!和我战斗!!"


敵が逃げ出したからと言ってむざむざ見逃す長可軍ではなかった。彼らは逃げる敵の背に追い縋り、刀で切り伏せ、拾った槍で突き刺し、槍が届かない位置まで逃げられれば投石をして追い討ちをかけた。


敌人逃走并不意味着长可军会袖手旁观。他们追击敌人背后,用刀砍杀,用拾起的长矛刺杀,并在无法用矛接近时,用投石器进行追杀。


そこらじゅうで悲鳴が上がり、断末魔の叫びが響く阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられた。


到处都响起了悲鸣声和绝望的喊叫声,一幅地狱般的画面出现在眼前。


「東国の連中は鉄砲を持ってないのか? これじゃ相手にならないだろ!!」


“东国的人没有枪吗?这样不是无法匹敌!!”


いかに長可が強いと言っても、鉄砲を前にすれば等しく命の危険に直面する。しかし、信長が東国に鉄砲や火薬が流れないよう締め付けているため、東国の鉄砲保有数そのものが少ないのだ。


即使长可再强,当面对火枪时同样会面临生命危险。然而,信长为防止火枪和火药流入东国而加强了控制,因此东国拥有火枪的数量本身就很少。


当然北条軍も鉄砲は保有しているのだが、騎兵を主体とした奇襲をかけるつもりであったため殆ど持って来ておらず、更に混乱の最中に火縄が濡れてしまい発砲できなくなっていた。


当然北条军也拥有火枪,但由于计划以骑兵为主进行突袭,因此带来的火枪很少。此外,在混乱中火绳被弄湿了,无法射击。


「ひいっ! 鬼じゃ! 地獄の蓋が開いたんじゃー!!」


"挖!鬼啊!地狱之门打开了!!"


北条軍の足軽が悲痛な叫びをあげた。彼の目には返り血で真っ赤に染まり、見た事もない武器を振り回し、次々に味方を撲殺して回る長可が地獄の獄卒にしか見えなかった。


北条军的足轻发出了悲痛的叫喊声。他的眼睛被反血染成了红色,挥舞着从未见过的武器,一次又一次地殴杀着自己的同伴,像地狱的狱卒一样可怖。


「ふう。スッキリしたが、酷い臭いだ」


“嗯。感觉很清爽,但气味很难闻。”


周囲から悲鳴が聞こえなくなった頃、長可は懐から手拭いを取り出して血塗れの顔を拭いた。溜まっていたストレスが発散出来た事もあり、血化粧が拭い去られると爽やかな笑みを浮かべてさえいた。


当周围的尖叫声不再听得到时,长可从怀里拿出手巾擦拭着沾满血的脸。由于释放了积压已久的压力,血涂妆被擦掉之后,他露出了爽朗的笑容。


そもそもが数に劣るため、長可軍はこれ以上の追撃を中断し、慶次達と合流して信忠の許へと戻っていった。


因为数字劣于原本的人数,长可军中止了进一步追击,与慶次等人会合后一起回到信忠的那里。


「た、大儀であった。その……怪我をしてはおらぬのか?」


"这、这真是太伟大了。那……你没受伤吧?"


全身に返り血や肉片、臓物を貼り付けたままの長可は、むっとするような血臭を漂わせており、到底無事には見えなかった。一方で戦闘をしたとは思えぬような身綺麗な慶次は、長可が手傷を負ったなどとは考えていなかった。


全身沾满鲜血和肉片器官的长可,散发着让人作呕的血腥味,看起来绝对不安全。与此同时,身上一点伤痕都没有的景次似乎并没有想到长可可能会受伤。


「問題ございませぬ。散々に追い散らしたゆえ、すぐには戻って来ぬでしょうが、ここは敵地の真っただ中。長話をする猶予はございませぬ。我々が通ってきた裏道をご案内しますゆえ、静子の待つ中継地までご同行願います」


“没问题。因为已经彻底将其赶走,所以不会很快回来。但是,这里是敌人的中心地带,我们没有时间说长话。我将带领你们通过我们走过的小路,希望你们能陪同我到达等待着我们的静子的中转点。”


「む、そうじゃな。判った、皆の者かさばる荷物は捨てて構わぬ、引き上げるぞ!」


「嗯,是这样啊。明白了,大家不必带着笨重的行李,撤离吧!」


勝ちいくさから一転しての敗走に信忠が難色を示すかと思ったが、予想外に素直に撤退を受け入れたことに慶次はほっと胸を撫で下ろした。


信忠本来可能会对从胜利到失败的逃跑表示反感,但出乎意料的是他很坦诚地接受了撤退,这让景次松了一口气。


長可と慶次の独断専行も信忠の命を守り抜いてこそ赦されるものであり、本来ならば懲罰を受けて然るべき行動であり、悪くすれば謀反と断じられる可能性すらあった。


长可和慶次的独断专行只有保护信忠的命才能获得宽恕,本来就应该接受惩罚,并且有可能被视为叛变行为。


一体何を察知したのか判らないが、今動かねば信忠が命を落とすと訴え、慶次を説き伏せて無理矢理出陣した長可も安堵した表情を浮かべていた。


不知道他察觉到了什么,但长可强行出征并说服了慶次,声称如果不出动,信忠就会丧命。长可露出了放心的表情。


慶次を先頭に据え、中ほどに信忠を配し、殿(しんがり)は長可が引き受けると言う隊列で物資集積拠点を目指した。信忠は長可に協力した村人は勿論、途中に通りかかった村々で北条軍から奪った金品を分け与えた。


以庆次为先锋,把信忠放在中间位置,长可担任后卫,他们带着物资前往集结点。信忠不仅帮助长可和当地的村民,还在途中经过的村庄里分发从北条军队那里夺来的财宝。


こうすることで織田軍に与(くみ)すれば利益があり、次に訪れた際の協力を得やすくなる。更には仮に武田軍や北条軍が追撃を放ったとして、途中の村々が潤っていれば、彼らはそちらに目を奪われて手が緩むかもしれない。


这样做可以给織田军带来利益,并且下次访问时更容易得到合作。此外,即使武田军或北条军进行追击,如果中途的村庄繁荣起来,他们可能会被吸引并分散注意力。


自分達に協力しなかったと言いがかりをつけて、彼らの財産を奪おうものなら、更なる国力の弱体化を招くことになる。一石二鳥の策略だが、成功する目算は高くない。


如果我们指责他们不愿意合作,并试图夺取他们的财产,那将进一步削弱我们的国力。这是个一箭双雕的计策,但成功的可能性不算高。


それでも種を撒かねば、芽は出ない。少しでも次に繋がる投資とすべく、信忠は身銭を切ってでも武田領の領民へと施しをしながら撤退していった。


即使如此仍需撒种,否则种子不会发芽。 信忠花费自己的钱来撤退,同时向武田领地的居民施舍,以期进行尽可能与未来联系的投资。


幸いにして両軍の追撃を受けることなく、信忠は静子の待つ中継基地へと辿り着いた。信忠は撤退を決めた際に、友軍である徳川軍へも知らせを遣わせており、静子軍、滝川軍と共に徳川軍も合流してきていた。


幸运的是,信忠没有遭受双方的追击,成功到达了等待他的静子基地。在决定撤退时,信忠已经派人通知了友军德川军,静子军、滝川军和德川军都汇合在一起。


「此の度は無様を晒し申した。一人の脱落者をも出されぬ徳川殿との差を思い知り、恥じ入っており申す」


“这次暴露了我的无能。我深感自己与没有一个退役者的德川殿相比的差距,十分惭愧。”


「年若い貴方が年経た私と同じことをされたのでは、年長者として立つ瀬がござらん。それにそのような窮地にあって尚、命を拾われた。それは天の配剤(はいざい)というもの、武田を追い返し痛手を与えたことで良しといたしましょう」


「如果你们年轻人和我一样被年龄更大的人这样对待,你们也无法站在年长者的位置上。此外,你在那样的困境中能够保护自己的生命,这可以看做是上天对你的恩赐。我们应该把这段经历视作对武田教训的一种惩罚。」


「格別のご配慮痛み入り申す。我らは一度尾張へと戻ります。細かい戦後の処理については後ほど」


「格外的关照,深表谢意。我们将返回尾张。有关细节的战后处理将在以后进行。」


家康としては自領へと攻め入った武田・北条連合軍を追い払った上、逆に幾ばくかの武田領をも切り取ることが出来た。信忠軍には大きな損害が出たようだが、自軍には損害らしい痛手は皆無。上々の出来と言えた。


家康成功击退了进攻自己领地的武田·北条联合军,甚至还削减了一些武田的领地。虽然信忠军损失惨重,但是自军毫发无损,可以说是非常出色的表现。


家康の見立てでは、今回の失敗をばねに信忠は更なる成長をするだろう。次に東国征伐が持ち上がった際には、今回の反省も踏まえて万全の状態で臨み、必ずや武田を打倒して見せると思われた。


据家康的评估,这次失败将成为信忠更进一步成长的弹簧。下一次东国征伐提出时,他将在反思这次失败的基础上做好万全的准备,一定能够击败武田。


味方でいる間は頼もしいが、己が天下を狙うならば必ずや眼前に立ちはだかるであろう強敵となる片鱗を感じていた。


只要在同一阵营,他很可靠,但是如果他打算称霸天下,必然会感到一股强大的敌人在眼前。


信忠と静子は家康と別れると尾張へと戻った。静子は尾張で戦後処理をし、信忠は一足先に信長へ報告するため安土へと旅立っていった。


信忠和静子与家康分别后返回尾張。静子在尾張进行战后处理,信忠则前往安土,为了先向信长报告。


静子自身も信長へと報告の義務を負っているのだが、信忠が先に報告して次に静子が報告をするという形を取らねば、信忠の面目を潰してしまう。


静子自己也有向信长报告的义务,但如果信忠先报告,静子接下来再报告的话,将会破坏信忠的面子。


迅速な情報伝達が求められるべきところにまで政治が関わってきており、面子を大事にするのって面倒だなと思いつつ、静子は自軍を解散させた。


政治已经涉及到需要快速传递信息的地方,尽管静子觉得重视面子很烦人,但她还是解散了自己的军队。


(台風の到来は予想外だったけど、上様の課題は果たせたかな)


(台风的到来虽然出乎意料,但是是否完成了上様的任务呢)


信忠は自身が出来る人事を尽くし、及第点以上の運用をしてみせた。しかし、天は身内の手綱を握り切れなかった彼に味方しなかった。


信忠尽其所能地处理事务,并展示了高于及格分数线的管理能力。但是,由于他无法完全掌握身边关键人物,造成了失败,天命不偏向他。


天が彼に微笑む時機を待てなかったのが敗因と言った処だろう。


他们说败因可能是没有等到天公对他微笑的时机。


(神ならぬ人の身では、どうする事も出来ない理不尽な失敗も起こり得る。己が手痛い失敗をしない限り学べない経験を積めた……ある意味、天は私に微笑んだのかな?)


(即使不是神的身体,也可能发生无理失败无法做任何事情的情况。只有经历过自己痛苦的失败,才能学到东西...... 在某种意义上说,上天是否微笑着看着我呢?)


信長が信忠に負け方を教える為、許容できる敗北を演出しようとした理由はそこにある。


为了教信忠败北的方式,信长的理由在于他想制造一个可以接受的失败场面。


敗北を知らない大将は、優勢な時は頼もしいが、一度劣勢に陥れば踏みとどまれない。敗北が忍び寄ってくる気配を己の肌で感じ取り、負けの気配に敏感にならねばいつか足元を掬われる。


不知道失败的将军,当处于优势时很可靠,但一旦陷入劣势就难以挽回。应该用自己的身体感受到失败正在逼近,对败北有敏锐的感知,否则总有一天会被踩在脚底下。


こればかりは誰であろうと教えることが出来ず、己が敗北の中で学び取るしかないため、危険を承知で我が子を千尋(せんじん)の谷へと突き落とすような真似をして見せたのだ。


无论是谁都无法教授这一点,只能在自己失败的过程中学习到,因此,我冒着危险将我的孩子推进千寻谷,以示为例。


この敗北は多くの事を信忠に与えるだろう。それは自分達の手勢を失った身内からの糾弾であったり、対外的にもいくさ下手との評がたったりするかもしれない。


这次失败可能会让信忠和他们面临许多问题。可能会受到失去手下的家族成员的指责,在外部也可能会因为不擅长战争而受到评价。


それでも信長は、その苦境の中から信忠が再び立ち上がると信じていた。彼一人では難しくとも、傍に寄り添う頼もしい先導役もいるのだ。


然而信长相信,在那困境中,信忠再次站起来。虽然他一个人很困难,但有一个可靠的指引者支持着他。


「しかし、あの奇妙様が恋文とはねえ」


"但是,那个奇怪的人和情书可没有任何关系"。


静子は少し前のことを思い返して頬を緩めた。信忠が東国征伐に意欲的に取り組んでいるのは周知の事実だが、静子には普段以上に入れ込んでいるように思えた。


静子回忆起一些时间以前的事情,松了口气。信忠积极地参与东国征讨是众所周知的事情,但静子感觉他比平时更加沉迷其中。


はじめは譜代の家臣に舐められないよう、己こそが次代の織田家を担う存在だとアピールしようとしているのだと思った。しかし、よくよく観察しているとそれだけではなさそうに思えてきた。


起初,我以为他只是试图证明自己是下一代织田家的支柱,以免被下属视为此前不受尊重的家臣。然而,仔细观察后发现情况并不仅限于此。


下世話な話だが男がやる気を振り絞る時、その陰には女の存在が付き纏う。そして静子は歴女の教養として信忠に関する予備知識を持っていた。


男人振作士气时,往往会有女性的存在陪伴。静子作为历史爱好者,对信忠相关的备选知识有所了解。


予想はついていたが、女の為に張り切るのも男の甲斐性と見守っていた。敗戦を経て尾張への帰還中、聞くのならば今しかないと思い、信忠に訊ねてみた。


预料到了,但看到为了女人而全力以赴也算是男子汉的表现,默默注视着。在经历了失败后回到尾张的路上,觉得现在问的时候再没有别的机会了,于是向信忠询问了一下。


「妙に張り切っていたけれど、そこまでして武田に固執した理由って、もしかして松姫かな?」


“虽然她看起来很兴奋,但她那么执着于武田,也许是因为她是松姫吧?”


その瞬間、信忠の顔が真っ赤に染まった。周囲を固める護衛とは距離があり、彼の異変に気付けたのは轡(くつわ)を並べた静子だけであっただろう。


那一瞬间,信忠的脸涨得通红。他离周围的护卫有些距离,注意到他异常的只有静子坐在旁边。


松姫とは、今は亡き武田信玄の六女であり、永禄12年(1569年)に信忠11歳、松姫7歳にして婚約していた。


松姬是武田信玄的六女,她已经去世了。在永禄12年(1569年),信忠11岁、松姬7岁时就已经订婚了。


しかし、信玄の西上作戦によりこの婚約は破棄されることとなる。戦国時代の婚約は現代のそれとは異なり結婚とほぼ同義であり、婚約した時点で妻は夫に対して全てを捧げるのが一般的であった。


然而,由于信玄的西上作战,这次婚约将被取消。战国时代的婚约与现代的婚约不同,几乎等同于结婚,一旦订婚,妻子通常将把自己全部献给丈夫。


婚約が破棄された後も、松姫は信忠に対して心を捧げ続け、密かに文のやり取りを通じて愛を育んでいた。松姫には婚約破棄後に何度か縁談が持ち上がったのだが、彼女は決して首を縦には振らなかった。


即使婚约已被取消,松姬仍然继续心怀信忠,并通过秘密书信往来培养爱情。松姬曾经几次被提及新婚姻,但她从未点头。


当時の女性は政治の道具であり、敵となった信忠に操を立てて縁談を断り続ける松姫の待遇は決して良いものではなかった。文を通じてその状況を知っていた信忠は、彼女を救い出すべく奮起していたのだ。


当时的女性是政治的工具,松姬因为相信成忠是敌人而拒绝订婚,她的待遇并不好。信忠通过书信了解了这种情况,并为了拯救她而振奋精神。


「静子、その話を誰から聞いた?」


“静子,你从谁那里听到这个故事的?”


「誰からって、文を届ける間者たちの元締めは私だよ? 文は上様が検閲されてるし、私は中身こそ見ないけれど、何処に届けるかは知っています」


“不管是谁发出的信件,作为传递信函的间谍的总负责人是我。信件都要经过上级的审查,虽然我不看内容,但是我知道该送到哪里。”


信忠は馬上で顔を覆って悶絶した。普段から然(さ)も女には興味ありませんよと言う態度を見せてきた姉に、己の直筆ラブレターを見られた心境と言えば彼の苦悩が理解できるだろう。


信忠骑马时捂着脸感到昏厥。姐姐平时表现得好像一点也不对女生感兴趣,但她却看到了他亲笔写的情书,可以理解信忠此时的痛苦。


信忠は一心に自分を慕ってくれる松姫に絆(ほだ)され、何時しか彼も彼女に恋愛感情を抱くようになっていた。それは婚約が破棄され、互いが敵味方の陣営に分かれても変わりがなかった。


信忠被松姬的倾慕所感召,逐渐产生了对她的爱慕之情。即使订婚被取消,彼此分属不同的阵营,他们的感情却始终未改变。


松姫の置かれた境遇を知り、己の手で彼女を救い出す機会が巡ってきたのだ、それで張り切らない男はいまい。


知晓松姬的困境后,有机会救她于水深火热之中,如不奋发努力,不称为男子汉。


「ち、違うぞ静子。お前は思い違いをしている。次期織田家当主のこの俺が、たかが女一人の為にそんな公私混同な真似をするはずないだろう?」


“静子,你错了。你误会了我。作为继承織田家家主的候选人,就为了一个女人而做这种公私混淆的事情,我不可能做得出来吧?”


「別に私は松姫のこともあったのかなって聞いただけで、それが主要因だとは言ってないんだけど?」


“我只是问问自己是否与松姬有所牵连,并没有说这是主要原因。” translated to Simplified Chinese is: “我只是在询问自己是否与松姬有关,没有说这是主要原因。”


語るに落ちるとはこのことであり、再び信忠は顔を覆って馬上に突っ伏した。


低头讲述的故事,讲到最后顿时黯然神伤。信忠再次遮面趴在马上。


「良いじゃない? 好きな女の子の為に頑張れる男の子って恰好良いと思うよ?」


“不错吧?为了喜欢的女孩而努力的男孩很帅气。”


「ちが……違わない。もう良い、その代わり誰にも言うなよ?」


「不对......不能说出口。好了,反正别跟任何人说?」-> "不对......不能说出口。好了,反正别跟任何人说?"


「良いよ。でも、割と知っている人は多いと思うけどね」


“好的。但我觉得相当多的人都知道。”


「ちょ!! ちょっと待て静子! そ、それは誰なんだ? 言えー!!」


“等等,静子!那、那是谁?说出来!”。


信忠が取り乱して叫ぶが、静子は含み笑いを浮かべたまま聞き流す。周囲を固める馬廻衆も、いつもの事だと微笑ましく見守っており、二人を制止する者はいなかった。


信忠大声叫喊,但静子面带含笑听之不动。围绕着他们的侍从们微笑着守望,似乎已习以为常,并没有人去制止他们。


因みに信忠を窮地から救い出すと言う大金星を上げた長可と慶次の沙汰についてだが、結果だけ見れば大手柄となる反面、軍隊と言う綱紀粛正(こうきしゅくせい)を旨とする組織に於いて重大な違反をも犯していた。


顺便提一下,关于长可和庆次救出信忠的伟大成就,虽然结果是大功一件,但在以纪律整顿为宗旨的军队组织中,也犯下了重大违反。


彼らは直属の上司である静子に無断で軍を動かし、更に極秘扱いの新式銃や銃弾をも持ち出して使用している。これは日本でたとえるなら自衛隊が最高指揮監督者である内閣総理大臣の許可を得ずに勝手に出撃し、他国と一戦交えたに等しい暴挙となる。


他们未经直属上司静子允许就擅自行动,并使用既保密又新式的枪支和子弹,这就好比在日本,自卫队不经过最高指挥监督者——内阁总理大臣的批准而擅自出动,与他国交战一样,是一种暴行。


しかし、彼らの行動が無ければ信忠が命を落としていた可能性は高く、対外的には長可と慶次は出陣しておらず、信忠は独力で敵を退け、逃げ延びたという事になった。


然而,如果他们没有行动,信忠很可能会丧命。从外部来看,长可和庆次并未出征,信忠则独自一人击退了敌人并逃脱了。


無論彼らの命懸けの行動に対する報酬等存在しない。因みに彼らに従った配下については、特に罰されることもなく、正当な軍務に就いたとして報酬が支払われる。


无论他们冒着生命危险行动的报酬是否存在。顺便提一下,他们的下属不会受到特别惩罚,并且会获得正当的军事报酬。


一方彼らを率いた二人に対しては、内部的に懲罰が課せられることとなった。流石にこれだけの事をしでかしてしまうと、如何に静子であっても彼らをかばい切れない。


一方他们领导的两个人则受到了内部惩罚。即使是静子也无法完全力挺他们,因为他们做出如此过分的事情。


長可と慶次の二人には名誉も報酬もなく、信忠個人の覚えが目出度くなったと言うのが唯一の報酬だろう。彼らに課せられた懲罰は、譴責(けんせき)処分(失敗や不正を厳しく咎めること)となり軍規違反者として記録される。


对于长可和慶次这两个人,荣誉和报酬都没有,唯一的报酬是信忠个人的印象变得更好。他们所面临的惩罚是受到谴责处理(严厉谴责失败或不正当行为)并被记录为违反军规者。


彼らに与えられる俸給も減額され、休暇や自由裁量権についても一定期間制限されることとなった。


他们的工资也被减少了,假期和自由裁量权也被限制了一段时间。


「今回は私の軍単独で行動していたから内々に処理できたけど、たとえ同じ織田軍であっても他の組織と合同で作戦行動をしている最中に独断専行をやらかしたら最悪謀反(むほん)と判断されて死罪を申し付けられるから気を付けてね。行動の発端が勝蔵君個人の勘であったとしても、相談されれば無下にはしないと約束するから二度とやらないこと。対外的には無かったこと(・・・・・・)になっているから、この件に関しては関係者全員に箝口令(かんこうれい)(他者に話す事を禁ずる命令)を敷きます」


“这次是我军单独行动,所以能够在内部解决,但即使是同为织田军的其他组织,在进行联合行动时如果擅自行动将被判断为严重叛乱,处以死刑。即使动机是以君子之交担负起始,也承诺不再发生任何事情。对外来说,这件事将被保密,涉及此事的所有人将被施加口头禁令(禁止向他人泄露)。"


静子は関係者全員を集めた上で、部下の面前にて二人に処分を言い渡した。配下の眼前で譴責されることは、二人にとって不名誉だが二人とも静子が出来る最大の譲歩と判っているため甘んじて処分を受け入れた。


静子集合了所有相关方,在部下面前向这两个人宣布了处罚。在下属面前受到指责对这两个人来说是不光彩的,但他们都知道静子作出了最大的让步,因此甘愿接受处罚。


長可の勘という根拠が薄い理由で軍を動かせば、静子が全責任を負う事になる。静子の迷惑にならないように、と考えた末での行動だったが、かえって静子に迷惑をかける事となってしまった。


如果只因为长可的直觉而缺乏根据就行动军队,静子将要承担全部责任。我是出于考虑不给静子带来麻烦的想法而采取行动的,但结果却反而给静子带来了麻烦。


それゆえ、尾張への帰途についても、二人については騎乗が許されず、営倉代わりの荷車に押し込められての謹慎処分に対しても文句一つ言わなかった。


因此,即使是返回尾张的途中,也不允许两个人骑马,而是被强行塞进了货车作为监禁处分,并没有一句话抱怨。


「お帰りなさいませ」


欢迎回来。


静子が軍を解散させて屋敷へと戻ると、彩を筆頭に蕭、四六、器と静子に近しい面々が揃って静子を出迎えた。早馬によって負けいくさとなったことは伝えられており、静子の無事も伝えられていた筈だが、傷を負った可能性を考慮して医者と医薬品までが準備されていた。


静子解散了军队回到庄园,彩和静子关系亲密的人们如蕭、四六和器等已准备好接她,传来了战败和静子平安的消息。虽然应该已经知道她没有受伤,但还是为了考虑到可能会受伤,医生和药品也准备好了。


少し過保護だと思いつつも、静子は彼らの心遣いに感謝し、やっと自分の家に帰ってきたのだと言う気持ちになった。


虽然少许觉得过于保护,但静子感激他们的关心,终于有了回到自己家的感觉。


「ただいま、皆出迎えありがとう。いやー、負けた負けた。ここまでの大敗は宇佐山城以来かな? 後で上様からお叱りを受けるだろうけど、まずはお風呂に入りたいな。準備をお願い出来る?」


“刚回来,谢谢大家接待。唉~输了输了。这样的大败是自宇佐山城之后了吧?虽然之后会被上级叱责,但现在想先洗个澡。能麻烦准备一下吗?”


「既に用意してあります、すぐにでもお入り頂けます」


“已经准备好了,您可以随时进来。”


いくさの後も、畑仕事の後も一仕事終えた後はまず風呂と言っていたからか、入浴の準備は整っていた。彩を筆頭に侍女たちの手によって静子はいくさ装束を解かれ、慌ただしく風呂場へと向かった。


经历了战斗和农活之后,一项工作结束后,他们通常会先洗澡。因此,沐浴的准备已经准备妥当。由彩和其他侍女解开静子的战斗服饰,然后匆匆忙忙地前往浴室。


手早く体を洗い流し終えると、やや熱めの湯船に肩まで沈み込んだ。


迅速地冲洗完身体后,我沉到肩膀的稍微热点的浴缸里。


「っああ……ふぅ……天然温泉を自由に使える……この役得だけは手放せないなあ」


「啊啊……呼……自由使用天然温泉……这个优势真是舍不得啊」


じわじわと込み上げてくる熱に押されるように、口から奇妙な声を上げつつ静子は温泉を満喫した。広い湯船で手足を思いっきり伸ばし、大きく伸びをすると全身に凝り固まっていた疲れがお湯に溶けていくようにすら感じた。


渐渐升腾起来的热量逼得静子发出奇怪的声音,她尽情享受着温泉。在宽敞的浴池中伸展着手脚,大声呻吟着,感觉全身的疲劳都被水溶解了。


余りの極楽気分に思わず寝そうになったが、何とか耐えていつもより長風呂を味わった。程よく茹で上がった肌を外気に晒して涼を取り、着替えて己の自室へと戻ると静子の自室を根城にしていたヴィットマンや、ユキヒョウのゆっきーやしろちょことともに、久々の自由を満喫していた。


在极为愉悦的心情下,我差点儿睡着了,但我忍住了它,享受了比平常更长的浴室时间。我把我的肌肤煮得恰到好处,然后在外面晒晒,以取得凉爽,换好衣服回到我的房间,静子的房间成为了维特曼、Yukihyo的Yukki、Shirochoco等人久违的自由之地。


「アニマルセラピーって本当に効果的だよね、この時代だと誰にでも出来ることじゃないんだけども」


「动物疗法真的非常有效,但在这个时代,并不是每个人都可以做。」


主人の帰還に対する喜びを、体全体を用いて表現してくれるヴィットマン達の歓迎を受け、武田・北条連合軍とのいくさも過去のものへとなっていく。


接受维特曼们用整个身体表达对主人归来的喜悦的欢迎,与武田・北条联军的战争也逐渐成为过去。


「結局、上杉家に巣くう親北条派は蜂起しなかったんだね。高天神城での圧勝を耳にして、時期を見合わせただけかな?」


“结果,栖身于上杉家的亲北条派并没有起义。听说在高天神城取得压倒性胜利后,他们只是等待时机吧?”


武田・北条連合軍の決起と呼応して何らかの行動を起こすと思われた親北条派は、不気味な沈黙を守っていた。


在武田・北条联合军发动起义并采取行动时,支持北条氏的人士似乎打算采取某种行动,但他们保持着不寻常的沉默。


本来は織田・徳川連合軍と武田・北条連合軍のいくさが長引き、上杉謙信が信長からの援軍要請に応えて出陣して留守になったところで行動するつもりだったのだろう。


本来是打算在織田·德川联合军和武田·北条联合军的战斗持续下去时,上杉谦信响应信长的援军要求并出征而不在之时采取行动。


彼らの見込みでは高天神城は武田・北条連合軍の手に落ち、少なくとも籠城戦でいくさが長期化すると睨んでいたのだろう。しかし、蓋を開けてみれば電撃戦で決着がついてしまい援軍要請すらなかった。


根据他们的估计,高天神城会落入武田北条联军之手,至少会打长期的围城战。但实际上,闪电战很快决定了胜负,甚至没有请求增援。


流石に謙信が睨みを利かせている状況で下手な動きなど出来ず、面従腹背を継続しているのかも知れない。


在信玄这样的角色注视下,可能不能够做出笨拙的动作,必须继续保持表面的敬意和内心的背叛。


「今回で馬脚を露(あらわ)してくれれば楽だったのに……いずれにせよ、今回の件で北条は苦境に立たされることになるね」


“如果这次暴露了马脚就好了……无论如何,这次的事情将使北条处于困境中。” 转化为简体中文。


北条が堂々と敵対し、真正面から戦ったのであれば信長にも一考の余地があっただろう。たとえ敗北して織田の軍門に降ることになったとしても、北条家の存続が許された可能性すらあった。


如果北条家族能够大胆地对抗并正面战斗,那么即使是信长也会有重新考虑的余地。即使北条家族被打败并向织田家投降,北条家族的存续也存在可能。


しかし、今回のように姑息な搦め手を用い、中立を装っていながら奇襲するような真似は信長の心証を悪くする。以降、北条家の態度には信が置けないとして、お家断絶すらもあり得るのだ。


然而,像这样使用狡猾的手段,装作中立却进行奇袭等行为的做法会损害信长的印象。之后,北条家的态度就无法信任,甚至可能会导致断绝家族的可能性。


如何なる思惑で北条は挙兵したのか? 失敗した際のリスクを考えれば、到底割に合うとは思えない暴挙に静子の思考は出口のない迷路へと迷い込んだ。


北条出于何种思想而发动叛乱?考虑到失败带来的风险,静子认为这是一种不划算的冒险,她的思维陷入了一个没有出路的迷宫。


「情報が足りないね。考えるのを止めよう」


「信息不够。停止思考吧。」


いくら考えても答えは出ないと割り切り、静子は思考を放棄した。


无论怎么想,静子都得出不了答案,于是她放弃了思考。


「素晴らしい」


"素晴らしい" translated to Simplified Chinese is "很棒" (hěn bàng).


静子は届けられた刀を手にし、光に翳(かざ)してうっとりと呟いた。上気した頬と恍惚とした表情を浮かべ、余人が見れば恋でもしているかのようだが、手にしているのは人斬り包丁こと日本刀。


静子拿起收到的刀,在光线下摇晃并喃喃自语。她脸颊泛红,神情恍惚,让人误以为她正在沉迷于爱情之中,但实际上她手握的是人斩刀,也就是日本刀。


明らかにお近づきになりたくない類の人に見えるが、静子の刀剣蒐集癖は周知の事実となっており、それを口に出して指摘するものはいなかった。


明显看起来像是那种不想接近的人,但静子收集刀剑的癖好已经成为公开的事实,没有人会口出指责。


静子が手にしているのは古刀ではなく、前々から依頼を出してついに打ち上がった刀剣であった。しかも、製造方法が戦国時代のものではなく、敢えて鎌倉時代の手法で鍛えられた一口(ふり)であった。


静子手中所拿的并不是古刀,而是前前后后都曾请求制作,最终打造而成的刀剑。而且,其制造方法并不是战国时代的,而是采用故意采用鎌倉时代的打造方式来打造的一口刀。


現代に於いては失伝してしまった技術だが、刀剣蒐集の過程で技術を伝える一族が見つかったため、静子が一族の保護と引き換えに依頼したものであった。


现代已经失传的技术,在收集刀剑过程中,静子为了获得这些技术,找到了能够传授技术的一个家族,并请求保护他们。


待ちに待ったその刀がようやく自分の手に入ったのだ。静子が興奮するのも無理はない、しかし余人には到底理解し得ない話でもあった。


期待已久的刀终于落在了自己的手中。静子的兴奋是可以理解的,但对于旁人来说,这可能是无法理解的故事。


「さて、留守中に届けられた文を片付けるかな」


“那么,我是不是应该把在我不在家时送来的信件整理一下呢。”


ひとしきり眺めて満足すると、静子は刀を鞘に納めて鹿の角で造らせた刀掛けにそっと置いた。興奮の余韻を振り払い、帰宅して以来決裁を保留し(サボって)ていた書類に手を付ける。


一段时间欣赏后,静子将刀收入鞘中,轻轻放在鹿角制作的刀架上。她洒去了兴奋的余韵,开始处理自己回家后一直懒得审批的文件。


優先順位の高い方から上になるよう重ねられた書類をペラペラと捲り、その分量を見てゲンナリとした。なお、積み上がった書類を気合で片付け、信長に報告するため安土へと赴き、再び尾張へと戻ってきた際に、同分量が積み上がっているという未来を彼女はまだ知らない。


从优先级高的文件开始往上翻阅,看着越来越多的文件,感到有些挫败。然而,她还不知道在回到尾張后,会有同样数量的文件等待她重新整理并向信长汇报。


「秋は収穫絡みがあって、色々と判断することが多いなあ」


「秋天涉及到收获季节,需要做出许多判断呢。」


書類の大半は報告であり、決裁をするものはそれほど多くない。報告書は流し読みをする程度だったのだが、その中の一枚に静子の興味を引くものがあった。


大部分文件都是报告,需要审批的并不多。报告通常只是粗略地阅读,但其中有一份文件引起了静子的兴趣。


「ほう! 隕石と隕鉄、両方手に入ったんだ」


“哦!我已经得到了陨石和陨铁两者了。”


静子が言う隕鉄とは現代に於ける『白萩隕鉄1号』の事である。1890年に富山県上市川上流で漬物石を探していた者が偶然発見したものだ(鉄隕石は大きさの割に非常に重いため、漬物石として適している)。なお、その発見から二年後に同じ地域から『白萩隕鉄2号』が発見されている。


静子所说的陨铁是现代的“白萩陨铁1号”。它是1890年在富山县市川上游寻找漬物石的人偶然发现的(铁陨石非常重,非常适合作为漬物石)。另外,两年后在同一地区也发现了“白萩陨铁2号”。


静子が隕鉄の場所を知っていた理由は、この隕鉄を使って作られた長刀二口に短刀二口の流星刀(りゅうせいとう)の逸話を知っていたからである。


静子知道陨铁的位置是因为她知道使用这种陨铁制作而成的长刀二口和短刀二口的流星刀的传说。


そして史実に於いて明治時代に榎本(えのもと)武揚(たけあき)がそうしたように、自分も隕鉄で造られた刀が欲しいと考えた。更に時勢も静子に味方した、謙信が信長に臣従したことを機に、謙信に許可を得た上で隕石探しを開始した。それがようやく発見されたとのことだ。


然后在历史上,就像榎本武扬在明治时期所做的那样,他也想拥有一把用陨石制成的刀。此外,时势也支持静子,类似于謙信向信长归附的事情,他获得了謙信的许可并开始寻找陨石。最终终于发现了。


対する隕石とは1885年に田上山で百姓が偶然発見した日本最大の隕石である。田上隕石とも呼ばれ、こちらも鉄隕石でありその重量はなんと173.9kgもある。


对应的陨石是日本最大的陨石之一,于1885年由一名农民在田上山偶然发现。该陨石也被称为田上陨石,同样是一种铁陨石,重达173.9公斤。


静子の居た時代では東京の国立科学博物館の入り口正面に展示されていた代物だが、静子が欲した理由は単純だ。天からの飛来物であり、縁起を担ぐことの多い武家が好みそうだと考えたからだ。


在静子所处的时代,这个东西在东京的国立科学博物馆正门前展出。但是静子想要它的原因很简单,那是来自天堂的飞行物,并且武士们通常会喜欢带来好运的东西。


静子自身の蒐集心も少なからずあるが、信長自身は縁起を担がずとも、配下に褒美として与える事もできるのではと考えたのだ。


静子本身也有一定的收集欲望,但信长认为即使不注重吉祥之意,也可以作为赏赐给手下。


当然無償で献上するつもりなどさらさらなく、彼秘蔵の刀剣などと引き換えにすることを目論んでいる。


当然不打算无偿献出,而是打算用他珍藏的刀剑来换取。


そんな当人の内心を他にすると、余人の目にはただの石ころにしか見えないため、誰の共感も得られなかった。


这样一来,如果把当事人的内心转化成别的东西,对旁人而言,只会看到一块普通的石头,因此无法得到任何人的共鸣。


「……さっぱり分かりません」


“完全不明白。”


「安心しろ、俺にも分からん」


“放心吧,我也不知道。”


静子の養子である四六は得意満面の笑みでこの隕石を見せられ、困惑して上記の言葉を漏らした。四六の隣で静子の講釈を聞いていた慶次も、爽やかな笑みを浮かべて同意した。


静子的养子四六得意洋洋地笑着给他看这颗陨石,他感到困惑,说出了上述的话。旁边听静子讲解的慶次也露出爽朗的笑容,并表示同意。


大金を払って一抱え以上もある岩塊を買い付けたと聞いた時は静子の正気を疑った。確かに同じ大きさの石と比べると重いが、それが即ち天から飛来した証左になるとは到底思えず、粋を理解する慶次をして眉唾物であった。


听说静子花了大笔钱买了一大块岩石时,慶次觉得她疯了。虽然和同等大小的石头相比确实更重,但他无法相信这就证明它是从天而降的,因此认为这是个骗局。


「前田様もそう思われますか?」


“前田先生您也这么认为吗?”


「まあ、静っちが言うように漬物石には良さそうだが、それ以外は判らん。まあ、理解できずとも良いじゃねえか。静っちが嬉しそうなら、金を払った価値はあったってものさ」


“嗯,就像静一说的那样,似乎酱菜石很有用,但其他的我不懂。嗯,即使无法理解也无妨。如果静很高兴,那么付出金钱也是值得的。”


「そんなものですか……」


这样的东西吗……


以前とは異なり、妙に静子を意識しているなと慶次は思った。親が大人物だと子は萎縮するか、反発するものだが四六の様子はどうもそのような感じではなさそうに思える。


与以前不同,桂次觉得自己不知怎么地在意着静子。父母是大人物的话孩子们或者会感到退缩或者会反抗,但是这种情况在四六身上并没有体现出来。


「どうした? 何か気掛かりな事でもあるのか?」


“怎么了?有什么烦心的事吗?”


「静子様が私たちに愛情を向けて下さっているというのは、周囲の方々の言葉から理解できるのです。頭では理解できるのですが、今一つ腑に落ちないと申しますか、心で感じ取ることが出来ないのです。器は感じ取ることが出来たのか、すっかり静子様に打ち解けて、静子様に懐いています。私は未だ静子様を理解できずにいるから、その境地に至らないのかと思い、理解しようと努めているのですが……」


「从周围的人的话语可以理解到静子对我们怀有深情。虽然我在头脑上理解了这一点,但感觉并没有完全相通,不能从内心深处真正体会到这份情感。但我已经能感受到她的气质,完全融入了静子的怀抱。我还无法理解静子,所以无法达到那种境界,但我一直在努力理解……」


「わっはっはっはっ!」


"「わっはっはっはっ!」" can be translated to Simplified Chinese as "「哇哈哈哈!」".


四六が静子を気にかけている理由を知って慶次は呵々(かか)と大笑した。四六を馬鹿にしている訳ではなく、嬉しくなってつい破顔してしまったのだ。


知道四六为什么关心静子,慶次哈哈大笑了。他并不是在嘲笑四六,只是因为高兴而不由自主地露出了笑容。


「そのように笑われるのは、あんまりです!」


“那样嘲笑是不好的!”


「悪い悪い、お前さんが可笑しかった訳じゃないんだ。ちと予想外の出来事に、嬉しくなっちまってね。まあ、方向性が間違っちゃいるんだがな」


"不好意思,不是你让我觉得好笑。只是有点意外的事情让我感到高兴。虽然方向有些错误。"


四六の抗議に慶次は素直に謝った。煙管を煙草盆に打ち付け、灰を落とすと慶次は再び煙草を詰めながら言葉を紡いだ。


四六的抗议使慶次诚恳地道歉。他把烟斗砸在烟草盆里,并洒下灰烬,然后又重新装满了烟草,并开始说话。


「愛情なんてもんは理解するもんじゃないんだ。腹を痛めて産んだから子供を愛するのか? 食い詰めて我が子を捨てる親なんぞ、掃いて捨てるほどいる。お前さんはなまじ知恵が回るから余計な事を考えるんだ、静っちを信じて本音でぶつかれば良いんだよ」


"爱情这玩意儿是没法理解的。难道因为痛苦地生下孩子就能爱上他们吗?世上有很多穷困潦倒的父母抛弃自己的子女。你太聪明反被聪明误了,相信自己的内心直接表达是最好的。"


もしも自分に弟が居たのなら、こんな会話を交わしたかも知れない。そんな事を想いつつ慶次は言葉を重ねた。


如果我有一个弟弟,我可能会有这样的对话。在想到这件事的同时,慶次说了这些话。


「恥も外聞も取り払い、拒絶されたらどうしようとか思わず、静っちに抱きついてきな。人の体温ってのは、百の言葉を重ねるよりも愛情を伝えてくれるぜ?」


「不要感到害臊或尷尬,也不要考虑被拒绝的事情,静静地拥抱着对方吧。人的体温传递的爱意比百言千语更能让人感受到。」


「はい……」


"是的......"


一応返事はするものの、顔を赤らめて俯くのみで一向に行動しようとしない四六に慶次は発破をかけた。


尽管四六有回应,但只是脸红低头,始终没有行动,慶次于是催促他。


「おいおい、母に甘えるのは子供の特権だぞ? 何を躊躇う必要がある、今にしたくとも出来なくなるんだ。やらずに後悔するよりも、やって後悔した方が良い。静っちが拒絶するとは思わんが、上手くいかなかったら俺が良い場所に連れていってやるよ」


“喂喂,依赖母亲是儿童的特权啊?有什么犹豫的必要呢,过了这个年龄就不能做到了。与其后悔没有试过,还不如尝试后再后悔。虽然我不觉得静子会拒绝,但如果行不通的话,我会把你带到适合的地方去的。”


慶次の言葉に四六は言葉を詰まらせる。四六の態度に気をよくした慶次はニヤリと笑う。


庆次的话让四六说不出话来。四六对庆次的态度感到高兴,露出了坏笑。


「そうと決まれば善は急げだ。早速行ってこい。今なら静っちも暇していると思うぜ」


"既然决定了,就赶紧行动吧。现在去的话,我想静子应该也有空。"


そう言うと慶次は四六を無理やり立たせて、背中を押して送り出す。それでも尚振り返ると、慶次は和やかな笑みを浮かべて頷いていた。


这样说着,慶次强迫着四六站起来,推着他离开。即使这样,四六仍然回头看着,而慶次则微笑着点头。


こうなっては腹を括るしかないと理解すると、四六はおずおずと歩き出した。


既然明白只能下定决心,四六就小心翼翼地开始走了。


「ありがとうございます。それでは行ってきます」


谢谢了。那我走了。


何とかそれだけ口にして、悩みが晴れて爽やかな気持ちになった四六は、意気込んで静子の部屋へ向かった。


不知怎么地,只说了这些话,四六的烦恼消失了,他变得神清气爽,充满朝气,信心十足地走向静子的房间。


その後、静子の部屋まで行ったまでは良いが、肝心なところで言葉が出ずにすごすごと帰ってきた四六を、慶次が慰めて色街へと連れ出そうとしたのを彩が見咎(とが)め、雷を落としたのは言うまでもない。


之后,慶次想安慰因话不投机而灰心丧气、退缩回家的四六,带他去色街玩,但被彩察觉并当场猛烈斥责。这不用说,雷霆大作。


【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 131 [千五百七十五年 十月中旬]的评论 (共 条)

分享到微博请遵守国家法律