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【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 105 [千五百七十三年 六月上旬]

2023-04-04 00:20 作者:爱吃果冻的沙耶  | 我要投稿

书名 战国小町苦劳谭

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作者: 夹竹桃

原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/

翻译工具:ChatGPT

*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*

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千五百七十三年 六月上旬(*原文网页序列号 - 122)


五月下旬、戦国時代の終焉を告げる歴史的イベントが美濃は岐阜城で幕を開けた。


五月下旬,揭示战国时代即将结束的历史事件在美濃的岐阜城拉开序幕。


戦国時代を代表する大名の一人と言っても過言ではない上杉謙信が、信長の居城である岐阜城にて臣下の礼を取った。


上杉謙信是代表战国时代的一位大名,他在信长的居城岐阜城向信长致以臣下的礼节,这并不过分。


これを以て越後は信長の支配下に組み込まれる。これが意味することは一国が陥落しただけで終わらない。


这意味着通过这个,越后被整合到信长的支配下。一国的陷落不会结束这一事件。


美濃より東国は上洛しようと思えば、必ず信長の支配地を通らねばならず、結果的に上洛が不可能となった。


从美濃到东国,如果想去京都,则必须经过信长控制的领土,结果导致去京都变得不可能。


織田、徳川、上杉の三ヶ国で以て西国へ通じる道へ蓋をした。


将織田、德川、上杉三个国家的道路封锁,堵塞了前往西部的道路。


この事実は信長にとって東国に対して動員する兵数を少なく出来、かつ西国問題へと集中対応できるようになるというメリットを齎す。


这个事实为信长带来了好处,他可以减少对东国动员的士兵数量,集中精力应对西国问题。


一方、勢力を分断された形となった越中や越前の一向宗は窮地に陥った。


一方,势力被分断的越中和越前的一向宗陷入了困境。


陸伝いの補給路は断たれ、織田・上杉の二正面作戦を強いられることとなる。武力で劣る一向宗では逆立ちしても勝てない図式が出来上がっていた。


陆路补给线被切断,迫使织田和上杉进行两线作战。一向宗无论怎样努力都无法战胜武力更强的对手。这样一来,劣势已经深入人心。


周辺国が突如として塗り替わった勢力図に対応すべく奔走しているなか、元凶の一人たる静子は別件で忙殺されていた。


在周边国家的力量格局突然发生变化时,作为罪魁祸首之一的静子正在应对另外的繁忙事务。


「どうしてこうなった?」


"为什么会变成这样?"


何がどうなって今の状態になったのか、静子をして理解できなかった。上杉謙信が信長の許を訪ね、臣従するまでは予定通りだった。問題はその後だ。


静子无法理解现在的状态是如何形成的。之前上杉謙信拜访了信长并臣服,一切都按计划进行。问题出现在此之后。


「どうしてうちの新築祝いが、いつの間にか上杉家を歓迎する酒宴に変わったのかな?」


“为什么我的新居落成庆祝会不知道何时变成了欢迎上杉家的酒宴呢?”


静子は一人愚痴を零す。新居が完成したものの、新築祝いが出来ていなかったため、身内を招いて内輪だけの祝宴を開こうと思ったのだ。


静子一个人抱怨。新房子建好了,但因为没有新屋庆典,她打算邀请家人举办只有亲戚参加的庆典。


その場に主君たる信長や、その盟友たる家康が参加するまでは、何とか納得も出来た。


在主君信长和其盟友家康到场之前,我想我还能感到理解。


自分が知らない間にその祝宴に上杉謙信までもが参加することが決まったと知らされ仰天した。


得知自己不知情的情况下上杉謙信也参加了那个庆典,让他感到非常吃惊。


そもそも上杉家が臣従することを、祝っても良いのかという根本的な疑問が静子にはあった。


静子心中存在一个根本问题:是否可以庆祝上杉家臣従的决定。


「これからは我々も静子殿の身内となる。身内の祝い事に不満などあろうはずがない」


"从现在开始我们也成为静子殿的身内。身为身内自然不可能有对庆祝活动的不满。"


しかし、当の謙信が全く意に介しておらず、それどころか静子邸の造りに興味津々で祝宴へと参加する始末。


然而,关键的信长一点也不在意,反而对静子府邸的建筑非常感兴趣,并参加了宴会。


「これが尾張の今様(いまよう)屋敷……随所に工夫が凝らされておる」


“这就是尾张的今样屋……到处都充满了巧妙的设计。”


「御実城様、暫しの滞在を経て理解できましたが、新旧の建築様式が見事に融合しております! こちらをご覧ください」


“御実城大人,经过短暂停留,我已经理解了,新旧建筑风格巧妙融合!请看这边。”


「本日はお招き頂き、ありがたく存じます。実に素晴らしき邸宅ですな、静子殿」


"谨此感谢今天招待我,非常感激。真是一座美妙的庄园,静子女士。"


「これはこれは静子殿、大層立派な御殿ござるな。某もいつかこのような屋敷を、持ちとうござる」


“这真是太好了,静子殿,你的宅邸非常宏伟壮观。我也希望有一天能拥有这样的住所。”


「がっはっはっはっ、善哉(よきかな)善哉! めでたい事が重なって、我らの行く末も明るいと言うもの」


“咳咳咳,好啊好啊!事情都往好的方面发展,我们的未来也会变得光明”


その後も誘った覚えがない面子までもが次々と訪れる。


之后,连我没邀请过的人也接连到访。


武田を打ち倒し、上杉が臣従したことにより、当面の脅威がなくなったためか、織田家の重臣たちも気兼ねなく新築祝いに顔を出せるようになっていた。


由于打败了武田并使上杉臣服,当前的威胁消失了,因此,織田家的重臣们毫不犹豫地参加了新屋的庆祝活动。


予想外の大賑わいに収容能力が試されることとなったが、奇跡的にも参加者全員が宴会場へと収まった。


意料之外的人潮考验了场馆容量,但令人惊讶的是,所有参与者都奇迹般地挤进了宴会厅。


ただし異常に人口密度が上がっているため、どこに誰が居るのか上座付近以外は判らない有様となっていた。


然而,由于人口密度异常高,除了上座附近,无法判断任何人在哪里。


「もう別に私の新築祝いじゃなくても良いのでは」


"也许不必非得是我的新居庆祝礼物了吧"


静子はそんな事を呟きつつ、この日のために準備してきたデザートの仕上げを行っていた。それは所謂イチゴのショートケーキだ。


静子一边喃喃自语着,一边着手准备今天精心备制的甜点,那就是所谓的草莓奶油蛋糕。


イチゴとは言っても現代のようなオランダイチゴではなく、日本に古くから自生しているキイチゴ属のクサイチゴを用いている。


虽然说“草莓”,但使用的并非现代荷兰草莓,而是日本自古就生长的猕猴桃属草莓。


クサイチゴはキイチゴの中でも大型で、現代の品種程ではないにせよ強い甘みを持っている。


臭草莓是草莓中的较大型号,虽然不如现代品种,但它们具有浓郁的甜味。


現代の品種と異なりやや自己主張の強い酸味を持つが、ジャムなどに加工してしまえば気にもならない。今回は酸味をやわらげるべく、シロップを絡めて少し火を通してある。


现代的品种与之不同,略带自我主张的酸味,但加工成果酱等后便不再那么显著。这次为了减轻酸味,加上糖浆稍微煮过了一下。


余談だがスポンジとクリームを層状に重ね、クリーム飾りと共にイチゴなどの果実を載せたショートケーキは日本発祥である。


顺便说一句,将海绵蛋糕和奶油层层叠加,在奶油上装饰水果等如草莓的草莓蛋糕是日本发明的。


英語圏ではレイヤー(あるいはレイヤード)ケーキと呼ばれ、似たようなケーキが存在している。


在英语国家,这种蛋糕被称为"层状蛋糕"或"分层蛋糕",类似的蛋糕也存在。


しかし、使用される生地はスポンジではなく、ビスケットと呼ばれるしっかりとした口当たりの生地を使い、クリームや果実を挟み込むのが特徴となる。


然而,所使用的面料不是海绵,而是使用称为饼干的口感坚实的面料,并且夹有奶油和水果是其特点。


ゆえに日本に於いて誕生日やクリスマスで定番となるイチゴのショートケーキというのは、日本にしか存在していない。


因此,在日本,草莓蛋糕成为生日和圣诞节的经典,这种蛋糕只存在于日本。


「うーん、やっぱりケーキは良いねえ。食べ過ぎると太るけど……いや、昔とは運動量が違うから、あと一つぐらい大丈夫……かもしれない」


"嗯,蛋糕真不错。虽然吃多了会胖...但是,因为运动量和以前不同,再来一个应该没问题...也许吧。"


もう一つぐらい、と思った静子だが、丸みを帯びた自分を想像して自制した。そしてお膳にいくつかのショートケーキを載せた大皿を置き、これを濃姫の許へと運ぶよう小間使いに命じる。


静子心里想着再来一份,但想象到自己变得圆润,便克制住了。随后,她将一些草莓蛋糕放在餐盘上,命令下人端着餐盘前往浓姬处。


その後、別室にて自由気ままに家主不在の新築祝いを堪能している濃姫達に声をかけ、信長のおわす上座へと静子は足を運んだ。


之后,静子前往信长主持的上座,向正在享受没有房东的新居庆祝的浓姬等人发出了呼叫。


祝われる立場の家主だと言うのに何故あくせく働いているのかと、一瞬余計な事を考えたが、自分が不在の間に信長たち庇護者が政治的なやり取りを取捨選択してくれていると思い直して立ち直る。


尽管自己是被祝福的地主,为什么还要忙忙碌碌地工作,这个念头一闪而过,但在意识到信长等庇护者在自己不在场的时候会进行政治协商后,他又振作了起来。


「皆の者、今日は大いに飲んで食べて騒ごうではないか」


“各位,今天我们大喝大吃,狂欢一番吧!”


その後、信長が開始の挨拶をして、静子邸新築祝いの宴会は開幕した。


之后,信长发表了开场致辞,静子邸新建的庆祝宴会正式开始。


初めて目にした越後人を一言で言い表すならば、彼らは酒に対して遠慮が無かった。越後人の居る席と、居ない席では酒樽の消費量が目に見えて違うのだ。


如果要用一句话来描述第一次见到越後人的印象,那么就是:他们对酒没有任何控制。在有越後人的席位和没有越後人的席位,酒桶的消耗量明显不同。


余人からすれば恐ろしい勢いで飲んでいると言うのに、酔い潰れもしない蟒蛇(うわばみ)揃いであった。


在旁人看来,他们喝酒的势头非常可怕,但却像遇见一堆喝不倒的巨蟒一样。


噂に違わぬ越後人の酒豪っぷりを目の当たりにし、流石の信長や家康も驚きを隠せなかった。


目睹了妇人话所说的越后人酒豪的真实一面,就连信长和家康也惊讶不已。


(相変わらず私の禁酒令は解かれていないけど……ね)


(虽然我的禁酒令依旧未解除……不过……呢)


流れ作業のように酒樽から汲み出されては、運ばれていく徳利を眺めながら、静子は我が身に架せられた軛(くびき)を思う。


眺望着从酒桶中汲出来然后被运输的德利,就像流水线上的操作一样,静子想起了她身上的重担。


念の為にと大量に酒を用意し、かつ酒屋からも大量に買い入れたが余ることは無さそうだと彼女は思った。


她为了以防万一准备了大量的酒,还从酒店里买了很多,但她认为这些应该足够了,不会有剩余。


上杉勢に対して家康たち徳川勢は、未だ清酒に慣れておらず、その消費ペースはゆったりとしたものだった。


德川军队的家康等人对上杉军队还不太习惯清酒,他们的消费速度比较缓慢。


今では三河や遠江にも尾張や美濃で作られた清酒が並ぶようになったが、まだまだ生活に浸透するには至っていないようだ。


现在,已经可以在三河和远江看到尾张和美濃制造的清酒,但是它似乎还没有完全渗透到生活中。


信長はいつものように、自分のペースで飲んでいた。元より下戸で知られた信長ゆえ、それほどの酒量を欲する訳ではない。どちらかと言えば、彼は酒よりも甘い物を好む傾向にあった。


信长一如既往地按自己的节奏喝酒。信长因为被认为是不擅长喝酒的人,因此并不渴望喝太多。相反,他更喜欢甜食而不是酒。


(内輪だけの気楽な宴会が、なんだか大げさな酒宴になっちゃったなあ)


(原本:内輪だけの気楽な宴会が、なんだか大げさな酒宴になっちゃったなあ) (简体中文翻译:原本是只有内部成员轻松愉快的聚会,结果变成了有些浮夸的酒宴。)


主役であるため、静子は信長と同じく上座に身を置いている。周囲を見渡せば目に入るのは信長、家康、近衛前久、上杉謙信という錚々たる面子であるため、少しも気が休まらない。


由于是主角,静子与信长一样坐在上座。周围可见信长、家康、近卫前久、上杉谦信等闻名遐迩的面孔,让她感到非常不安。


さらにこの後、濃姫たちとも顔を合わせる必要がある。


此外,还需要与浓姬们会面。


(気が重い)


(心情沉重)


少しも寛げない宴会が続くとあれば、流石の静子も気が滅入る。しかし立場上、祝われる家主が参加しないという暴挙はあり得ないため、やがて諦めの境地へと達した。


如果持续了无法放松的宴会,即使是静子也会感到沮丧。但是出于地位上的原因,作为被祝福的主人不参加是不可能的,所以她最终达到了放弃的境地。


「相済みませぬ。所用のため、中座致します」


抱歉,我因为有事需要中断了。


そろそろ頃合いかな、と思った静子は信長に席を外す事を告げる。濃姫たちの事だと理解している信長は、静子の頭をぽんぽんと軽く叩いた後、告げた。


静子觉得差不多该离开了,便向信长告别。信长理解了她是为了濃姬们的事情,轻轻拍了拍静子的头后,让她离开了。


「骨は拾ってやる」


「我会帮你把骨头拾起来的。」


「いや、死にに行くわけではありませんから」


“不,我并不是去死的。”


「普段でも一筋縄ではいかぬお濃に、酒まで入っているのじゃぞ。まともな結果に終わるわけがなかろう」


"即使平常也无法轻易应对的重要局面中,连酒都喝了。不可能得出正常的结果。"


信長の言葉を聞いて静子は思わず、頷きそうになった。しかし主君の目の前で細君の悪口を肯定する訳にもいかず、慌てて態度を取りつくろった。


听了信长的话,静子不由自主地点了点头。但是她不能在主君面前赞同夫人的恶言恶语,于是急忙表现出另一种态度。


深々と頭を下げた後、静子は静かに宴会場を後にした。尤も、宴もたけなわとなり、酔漢であふれ返った会場である。


在深深地鞠了一躬之后,静子静静地离开了宴会厅。那里尽是喝醉了的人,宴会正处于高潮。


仮に静子が分かりやすく退出したとしても、気に留める者は少なかったであろう。


即使静子退出得容易明白,也会有很少的人注意到。


「ふぅ……疲れる」


"呼……累了"


宴会場から少し離れた場所に移動したところで、静子はふっと息を吐いた。自身の肩を揉みながら歩くと、曲がり角から彩が姿を見せる。


走到宴会场稍远的地方,静子松了口气。她一边揉着自己的肩膀走着,一边从拐角处看到彩的身影。


彼女は静子に気付くと、足音を立てずに静子へ近づいた。何か人に知られたくない事があるのか、と瞬時に理解した静子は、近くの部屋へ彩を招いて先行する。


当她发现静子时,她悄无声息地走近了她。静子立刻明白她是否有什么不想让别人知道的事情,邀请彩到附近的房间,优先进入。


少しだけ間をおき、彩も静子を追って入室した。


稍微停顿了一下,彩也跟着静子走进了房间。


「領内に潜り込んでいた真田の間者を捕縛しました。しかし奇妙な事に、その間者は静子様にこの文を渡すようにと……」


我们抓住了潜伏在我们领地的真田家忍者,但奇怪的是,他交给我一份信要转交给静子女士。


「良く入り込めたね……いや、今だからこそか。部外者がこんなに多く入り込むのは、今しかないもんね」


“不错地深入了啊......不,现在才是时候。现在是外部人员深入的最佳机会。”


自分がかつて使った策を使われたのだと、静子は察した。


静子意识到自己曾经使用的策略被使用了。


織田、徳川、上杉の人間が一堂に会したのだ。招待客までは把握できても、付き人の一人一人に至るまでは流石に手が回らない。


织田、德川和上杉的人物齐聚一堂。即使可以掌握邀请的客人,也无法处理每个随从的细节。


「しかし『空番(そらばん)』だけは誤魔化せなかったようです。秘密裡に処分しようとしましたが、真田からの情報を所持していると聞いて、今は縛って牢に閉じ込めているだけにしています」


“但似乎只有‘空班’无法掩饰。 尽管我们尝试秘密处置,但听说他持有真田的情报,现在我们只是将他绑在监狱里。”


「今なら、この屋敷を縄張りにしている子よりも人数の方が多いしね。まあ『空番』のカラスたちなら数も揃っているけども」


“现在,我们的人比划定了这座住宅的孩子要多。虽然一群‘空番’的乌鸦也有很多人。”


ヴィットマンたちやシロガネなど、静子の邸宅を縄張りにしている動物は多い。だが、それ以外にも同じ空間を縄張と定めている動物はいる。


维特曼和银之间等许多动物都将静子的宅邸作为疆域。但是,还有其他将同一空间定为领地的动物。


もっとも多いのがカラスファミリーだ。正確な数は不明だが100羽近くが静子の邸宅付近を根城にしている。


最多的是乌鸦家族。虽然确切的数量不清楚,但有接近100只乌鸦在静子的豪宅附近驻扎着。


掃除屋(スカベンジャー)の位置づけ通り、静子の邸宅から出る生活ゴミの処理をカラスたちは担っていた。


根据扫除工人(清道夫)的职责,乌鸦们负责处理静子家产生的日常垃圾。


その関係で、静子の邸宅に間者が入りこもうとすると、餌を奪い取る敵と認定され、どこに隠れていたのかと問いたくなるほどの数で、間者たちに襲いかかる。


因此,当间谍们试图潜入静子的豪宅时,它们会被视为抢夺食物的敌人,并且会以数量庞大的方式袭击他们,以至于人们想知道它们藏在哪里。


生活ゴミを指定の場所に捨てるだけで出来る、天然の間者対策だった。


只需把生活垃圾丢到指定的地方,就可以实现天然的间谍防治。


「ふむ……ふむ」


“嗯……嗯”


真田からの文を彩から受け取り、静子は文の内容を確認する。読み進める程に静子の顔が険しくなり、必然的に彩の緊張も高まっていく。


取得了来自真田的信后,彩将信递给静子确认内容。随着阅读的继续,静子的面容逐渐变得严峻,这也不可避免地增加了彩的紧张感。


「参ったね、これは」


“这真让人疲惫啊。”


「どのような内容が書かれていたのでしょうか」


"内容是关于什么的呢?"


「簡単に言うとお家騒動。送り返した武藤喜兵衛が真田家を継いだけれど、彼が武田に背いて織田へと下ることを由としない連中と揉めているらしいね。更に合戦中、撤退命令前に軍を退いたため、責任を問われているみたい。武田家の間者たちも同じような状況みたいだけど」


“简单地说就是家庭纷争。武藤喜兵衞被送回去后继承了真田家,但他和反对他背叛武田家向织田家投降的人争执不休。在战斗中,他在退却命令之前撤退了军队,貌似因此受到责备。武田家的间谍们似乎也处于类似的情况中。”


文の中には武田家の状況と、真田家の置かれている状況が書かれていた。まず武藤喜兵衛は正式に真田家を継いで真田昌幸と名乗るようになった。


文中写有武田家的状况以及真田家的处境。首先,武藤喜兵衛正式继承真田家并改名为真田昌幸。


しかし真田家を継いだ途端、彼は三方ヶ原の戦いで信玄の撤退命令より先に兵を下がらせた責任を問われた。


然而一旦继承真田家,他就因在三方原之战中先下令撤退而被追究责任,超越了信玄的撤退命令。


責任を問うと言えば聞こえは良いが、ようは敗戦の損失を少しでも補てんするべく、見せしめとして領地を没収すると言い渡されたのだ。


责任问题听起来不错,但实质上是为了弥补战败的损失,将领地作为示范收回了。


昌幸をはじめ、真田家全体が軽んじられているという状況は想像に難くない。


昌幸和整个真田家都受到了轻视,这种情况很难想象。


見せしめに使われたのは武田の間者たちも同様だった。勝頼は信玄が苦心して作り上げた間者組織を「浅ましい人でなしの集団」と断じた。


展示被用作示威的不仅是武田的间谍,同样也适用于信玄苦心打造的间谍组织,而勝頼则断言这些间谍们是“卑劣无耻的一群人”。


そして三方ヶ原の戦いにて、織田側の情報を集められなかったことの責任を彼らに負わせた。


然后在三方原之战中,他们被迫承担起无法收集到織田方信息的责任。


これにより武田子飼いの間者ネットワークは壊滅に近い打撃を受けることとなる。


这将对武田家的间谍网络造成接近于毁灭性的打击。


後に勝頼の犯した手痛い失態として度々取り上げられることになるが、戦国時代において間者軽視はごく一般的な考えであった。


但在战国时代,轻视间谍是一种普遍的观念,在后来被视为勝頼犯下的惨败之举。


だからとは言え、文字通り命懸けで集めてきた情報を、吟味すらされることなく捨てられるのでは士気は保てない。


然而,如果毫无审查地丢弃了以命悬一线的代价所搜集到的情报,士气将难以维持。


かつて武田に仕えた間者たちが信玄の死後、真田の配下に収まったのも新生した真田が情報を重要視し、間者たちを捨て駒同然に扱わなかったからだと言える。


曾经在武田家服役的间谍们在信玄去世后,成为了新生真田家的部下。这也是因为真田家高度重视情报,没有将间谍们视为棋子而抛弃他们的缘故。


「見せしめ……ですか?」


“是要示众吗?”


「端的に言うなら組織全体の問題を、特定の個人に負わせることで体裁を保ったんだよ。損失も補てんできるしね。あの状況じゃ、真田が兵を退かなくても勝ち目なんか無かったんだけど……まあ、難癖だよね」


“简单来说,我们通过让某些特定的个人来承担整个组织的问题,以此来保护组织的形象。我们也可以进行赔偿以进行损失的弥补。在那种情况下,即使真田不退兵,也没有获胜的机会……总之,这是一句无关紧要的话。”


「それは、自分の手足を食べて飢えを凌いでいるだけで、手足がなくなれば畑も耕せません……」


“这只是靠自己的手脚克服饥饿,如果失去了手脚,就不能耕种田地……”


「そういう事だよ。武田は組織全体として負けたと認めたくなかった。それどころか、一部の臆病者が足を引っ張ったとして保身に走った。こちらとしては良い傾向だけど、責任を取らない責任者を抱く組織は、遠からず崩壊するからね」


“那就是这样啊。武田不想承认作为整个组织的失败。相反,他为了自保,指责某些胆小鬼阻碍了组织的进步。虽然这对我们是好现象,但是一个组织如果容忍那些不负责任的领导人,就会很快崩溃。”


さて、と静子は顎に手を当てて考える。既に歴史は既知の史実から外れている。これから先、知っている史実通りに各勢力が動くとは限らない。


好的,静子搁在下巴上思考。历史已经偏离了已知的历史事实。未来,各方势力不一定会按照已知的历史事实行动。


それを考えると真田昌幸には早く帰参して欲しいと静子は思っていた。これからは情報が何よりも重要視されると、彼女は考えているからだ。


想到这一点,静子希望真田昌幸早日归来。因为她认为在未来,信息比任何东西都更重要。


「間者はもう暫く牢に入れておいて。下手に動かれて、これ以上情報を知る人が増えれば確実に消される。それを避けるためにも、牢にいれて後日放つ方が得策よ」


"让间谍再待一段时间被投入监狱。动得太麻烦,如果知情者继续增加,他就一定会被消灭。为了避免这种情况,最好还是把他关在监狱里,过些日子再放出来。"


「承知しました。間者については秘匿するよう命じておりますし、万が一知られても情報収集中と答えます」


“我知道了。我们已经下令对间谍进行保密,并在万一被发现时答复说我们正在收集情报。”


「よろしくね。これからのいくさは情報が大事になる。今以上に情報収集しなければならないし、それには腕の良い間者が沢山必要になるからね」


“以后要彼此多多关照。战争时期信息的重要性将更加凸显。我们需要比现在更加积极地收集情报,这需要很多高超的间谍。”


これで話は終わり、と言わんばかりに静子は立ち上がった。


静子站了起来,仿佛在说“谈论到此为止”。


濃姫は髪を弄びながら静子はまだか、と呟く。小間使いたちは背筋を伸ばしながら、まだお出でになりませんと答える。


浓姬弄着头发,喃喃自语地说静子还没来吗?小仆人们挺直了腰杆回答说还没有出来。


ため息を吐きつつ濃姫は小間使いたちを下がらせた。


一边叹息,濃姬让小间使们退下。


「濃姫様、静子は兄上に捕まっておるのでしょう。今暫く、時間は必要かと」


“浓姬殿下,静子应该已经被兄长抓住了。现在需要一些时间。”


市が濃姫を宥めるが、肝心の濃姫には効果が薄かった。


市政府安抚了小姐,但对于关键人物小姐却没有太大的效果。


「殿も静子をこき使いすぎじゃ。せっかくの祝いごとなのだから、気楽に過ごさせるのが良かろうに……のう、市よ」


“公子,您让静子工作太多了。这是个值得庆祝的日子,让她能够轻松愉快地度过会更好......哦,市啊。”


「妾には兄上のお考えは理解出来ませぬ。それゆえ、何を考えてこのような場を設けられたのか」


“我无法理解大哥的想法。因此,您为什么要设立这样的场合呢?”


「殿の考えは難解に思えるが真っすぐじゃ。おおかた静子の影響力を見せつけておるのじゃろう。外にも、内にもな」


“虽然殿的想法看起来很难理解,但是他很直爽。大概是为了展示静子的影响力,无论内外都是如此。”


語りながら、濃姫は手前にあった皿に載せられた菓子をつまむ。市には濃姫が若干、苛立っているように見えた。


说话间,浓姬夹起放在面前的甜点。她看起来有些烦躁。


「しかし、それは男社会でしか通じぬ理屈よ。女ならぬ殿はそこが分かっておらぬ。女子社会(おなごしゃかい)では、婚姻をして子を為し、家内をまとめ上げ、奥方(おくがた)を切り盛りし、嫡子を育て上げてこそ一人前と見做される。その観点で見れば、静子は何の義務も果たしておらぬ、穀潰しよ」


“然而,这只是男性社会才能理解的逻辑。像殿般的女性并不明白这一点。在女性社会中,只有通过婚姻生子、管理家务、掌管家中事务、抚养继承人等才能成为合格之人。从这个角度来看,静子没有履行任何义务,只是个无能之辈。”


「確かに静子は家を持てど、婿も居なければ子もおりませぬ。しかし、それは兄上の許、天下統一に心血を注いでいるがため。妾たちの生活が豊かになったのも、織田家が隆々たる勢いを保てているのも静子が尽力した結果でございましょう」


“确实静子虽然有房子,但没有女婿也没有孩子。但这是因为她兄长为了天下统一而倾注心血。妾们的生活变得富裕,織田家能够保持旺盛的势头,这都是因为静子的努力和贡献。”


「市よ。悲しいかな、人間とはそのように物分かりが良い者ばかりではない。静子がどれほどの難事を成し遂げようとも、女子としての義務を果たしていない、その一事だけを以て批難する輩は掃いて捨てる程におる。特に家という狭い世界に閉じこもり、我が子を育てたことだけを唯一の誇りとする無能(・・)どもにはな」


"城市啊。可悲的是,人类不仅仅是那些理解力强的人。即使静子完成了多么困难的事情,但作为一个女孩没有完成她作为女性的责任,那些只因一事就批评她的人很多。特别是那些关在狭小世界里,只以抚养自己的孩子为唯一自豪的无能之辈"


珍しく感情を隠そうともせず悪罵を放つ濃姫に、市は内心驚いていた。だがそれも市を信用しているがゆえと思えば、それは面映ゆくすらあった。


市内心感到惊讶,因为濃姬不经意间发出了憎恶的言辞,而不试图隐藏她的情绪。但是,市认为这也是因为濃姬信任他,这让他感到欣慰。


濃姫が語ったように戦国時代の武家社会の最奥、女社会には明確な義務が存在した。


就像浓姬所说,在战国时期的武家社会中最深处的女性社会,存在着明确的义务。


男社会と密接に関りつつも、その影響から隔絶された社会にあっては、如何に男社会で有用さを示したところで、女社会では一切評価されることはないのである。


即使与男性社会有密切关联,但在一个与其影响隔绝的社会中,即使在男性社会中表现出其有用性,在女性社会中也不会受到任何评价。


「それで、折に触れて静子に無茶をさせておられるのですね」


"所以,您经常让静子做一些过度的事情是吗。"


女として義務を果たしていないにも関わらず、女社会の頂点たる濃姫から寵を得ている。当然下位の女たちが面白く思うはずがない。


尽管作为一个女性没有履行义务,但却获得了女性社会的顶点浓姬的宠爱。底层女性自然不会觉得有趣。


しかし濃姫から格別の引き立てを受けつつも、厄介ごとを押し付けられ、ことあるごとに苦労している姿を見せられればどうか?


然而,如果被濃姬格外照顧卻一而再再而三地被扔上麻煩,每次都陷入困境,您會怎麼想?


静子に嫉妬しつつも、その立場に成り代わりたいと思う女は減るだろう。


嫉妒静子的女人想要取代她的位置越来越少。


そして静子が発信する様々な文物を、濃姫が代わりに広めることで軽んじられることも無く受け入れられ、静子本人はともかく、静子の生み出す物は有用であると認識するようになる。


濃姬通过代替静子传播各种文物,得到了广泛的认可,不再被轻视。虽然静子本人不一定得到了认可,但人们开始认识到静子创造的东西是很有用的。


これらの見えない配慮があって初めて、静子は男社会にのみ専念でき、かつ義務を果たしていないにも関わらず女社会でも受け入れられているのだ。


只有这些看不见的关怀,才使静子得以尽其专注于男性社会,并在女性社会中得到广泛认可,而她并未履行其义务。


女たちにとって静子は有用であるが、目障りなほどではなく、一身に寵を集めつつも全体として不遇であるという絶妙の配役をこなしているのだ。


静子对于女性们来说非常有用,但并不让人感到烦恼,她拥有宠爱之心,但整体上却是不太幸运的。这是一个巧妙的角色安排。


「妾が単純に静子を可愛がって引き立てれば、その僻みや嫉みは静子に集中する。どれほど社会全体にとって有益であろうとも、女の義務を果たしていないという一事のみを以て悪に仕立て上げられるのじゃ」


“如果我只是简单地疼爱和提拔静子,那么别人的嫉妒和妒忌也会集中在她身上。无论这对整个社会有多少益处,如果女性没有履行他们的义务,她们就会被视为罪人。”


何処の世界でも同じだが、義務を果たさずに報酬だけ受け取る者は嫌われる。たとえどのような偉業を成し遂げようとも、ズルをしたとして評価されない。


无论在哪个世界,只领取报酬而不履行义务的人是不受欢迎的。即使取得了多么伟大的成就,如果作弊,也不会得到评价。


例えば株式の誤発注があり、誤って異常に安く放出された銘柄を買い占めて、適性価格で売ることで巨額の富を得た者がいるとする。


例如,假设出现了股票误下买单的情况,某人通过抢购异常低价出售的股票,在适当的价格出售后获得了巨额财富。


世間は彼を評価するだろうか? 人の弱みに付け込んで暴利を貪っただとか、単純に運が良かっただけと評されるのがせいぜいだろう。


世界会如何评价他呢?最多只会认为他是利用了别人的弱点来谋取暴利,或者只是单纯地运气好而已。


しかし、現実にはその場に立ち会えるか否かだけが運の要素であり、異常な安値を見抜く眼や、即座に可能な限り買い込むという決断力や資金力といった、その場に立つための見えない積み重ねが存在している。


然而,现实情况是,能否在场只是运气的要素,存在着难以察觉的积累,如能发现异常低价的眼力,立即采取大量购买的决断力和资金实力,这些是在场所需要的。


これらの要素を見抜ける人は非常に少ない。静子の例で言えば、その数少ない理解者が濃姫であり、運だけで成り上がった女として不要な嫉妬や隔意(かくい)に脚を引っ張られないよう守っているのである。


很少有人能够识别这些要素。以静子为例,她理解的人很少,其中最重要的就是濃姬。作为一个依靠运气成功的女人,她保护自己,避免被不必要的嫉妒和隔阂拖累。


その甲斐もあってか、静子は男社会では織田家の重臣として一目置かれ、女社会でも自分達に有益な結果を齎す苦労人という立ち位置を確保できている。


由于她的努力,静子在男性社会中作为织田家的重要人物备受尊重,在女性社会中也确立了艰苦奋斗的地位,并产生了对她们有益的结果。


それでも関わる人間が増えれば増える程、静子に対して嫉妬を抱くものが出る。こればかりは致し方ないため、折に触れて皆に見えるよう静子を振り回しているのだ。


然而,与静子有关的人变多了,就会出现更多嫉妒她的人。这是无法避免的,所以就会时不时地将静子搞得很被动。


「ここに来て、静子は殿に課された最大の難事、武田討伐を成し遂げた」


「静子来到这里,完成了她被赋予的最大任务——讨伐武田家。」


「確かに。知勇備えた多くの将を抱えた武田を倒してこいなど、無茶にもほどがあります」


“确实。打败了拥有许多知勇兼备的将领的武田家族,这也太勉强了。”


「だが静子はやりきった。これにて男社会での地位は安泰じゃ。となれば……分かるじゃろう?」


「但静子已经完成了。有了这个,她在男性社会中的地位就可以稳固了。你明白吧?」


扇子で口元を隠した濃姫が、次に何を言いたいのか市は理解した。市も濃姫に倣い、扇子で口元を隠して声量を下げた。


扇子遮住了嘴巴的浓姬,市理解了她接下来要说的话。市也跟着浓姬的样子,用扇子遮住了嘴巴,降低了音量。


「(殿は静子に我が子を養子として出すそうじゃ。これで無能どもは黙らせられる)」


“大人将把孩子作为养子送给静子。这样无能的人将会保持沉默。”


「(なるほど……そして静子は兄上の子を我が子とする事で、兄上への忠誠を示せます。一石二鳥とはこの事です)」


"(原来如此……因此静子将兄长的孩子视为自己的孩子,可以显示出对兄长的忠诚。这就是一箭双雕的效果。)"


「(うむ。殿も静子の婿は考えたそうじゃ。が、何度近衛殿と話し合っても結論が出なかったそうじゃ。もっとも、これは静子が問題というより、奴の軍が崩壊する事が大問題だからの)」


“是的。殿也在考虑让静子成为婿。但是,据说即使与近卫殿商量了多次,也没有得出结论。不过,这不只是静子的问题,而是他的军队崩溃的大问题。”


「(兄上も仰っておりました。静子軍がいるお陰で、いくさで抱える厄介ごとが半分になったと。なるほど、今から倍の仕事をしろ、と言われても不満が噴出しますね)」


“(兄长也说过,多亏有静子军,战争带来的麻烦减少了一半。确实,就算现在让我们做双倍的工作,也会引发不满情绪吧)”


「(じゃろう? じゃが時期は不明ゆえ、こうして妾たちで静子を守らなければな)」


「(我不知道吗?虽然马铃薯的季节不明确,但我们必须像这样保护静子)」


「(濃姫様の深謀遠慮、誠に感服いたしました。ならば、微力ながらこの市もお手伝いいたします)」


「深谋远虑,让我非常钦佩。我会尽我微薄之力,帮助这个城市。」


「(これ、難しく考えるな。いつも通りにすればよいのじゃ、いつも通りに、な)」


「不要想得太复杂。只要像平常一样做就好,照平常的方式做就可以了。」


それを最後に濃姫は扇子を閉じる。秘密の会話は終了、という合図だ。市も少し遅れて扇子を閉じた。


这是最后一把扇子了。这是结束秘密交谈的信号。市稍微晚了一点才合上扇子。


彩と別れた後、静子は濃姫たちがいる女子用の宴会場に足を運ぶ。近づくほどに足が重くなる静子だが、無視する訳にもいかなかった。


分别彩后,静子来到了为丰姬等女生准备的宴会场。靠近时,静子的脚变得越来越重,但她不能忽略它。


「失礼します」


"失礼致します" translates to Simplified Chinese as "失礼了".


宴会場といっても信長のいる大会場ほど堅苦しくはない。むしろ格式ばった事は主催者の濃姫が嫌うため、酷く砕けた空気が満ちていた。


宴会场虽然说是场合隆重的地方,但并不像有信长在的大会场那样拘谨。相反,为了回避形式主义,主办方濃姬不喜欢过于庄重的氛围,因此现场充满了非常轻松的气氛。


「おおっ、ようやく参ったか。さっ、こちらへ来やれ」


"哦,终于来了啊。来这边。"


いの一番に静子に気付いた濃姫が手招きをする。言われるがまま静子は濃姫が指定する場所へ腰を下ろす。


首先注意到静子的浓姬示意她。静子依指示坐到指定的地方。


「設計段階でも目にしたが、なかなかに立派な邸宅じゃの。殿も気合いを入れすぎじゃな」


"即使在设计阶段也看到了这个相当宏伟的住宅。主人也不要过于紧张了。"


「はあ……確かに過分な豪邸になっています。お陰でいろんな人を雇わないと手が回りません」


“啊……确实成为了豪宅,感觉有些过分。因此需要雇佣不少人手。”


「聞いておるぞ。まつ殿の娘だけでなく、明智殿の娘も雇い入れたとか、な」


“听着呢。不仅雇用了松殿的女儿,还雇用了明智殿的女儿。”


「どこでお耳にされたか分からないですけど、その通りです。なーんでか皆、我が娘をどうだ、とか仰るんですよね」


“我不知道你在哪里听到的,但那是正确的。不知道为什么大家都在说我的女儿怎样怎样。”


明智光秀の娘、名を珠(たま)(玉だったり珠子(たまこ)の場合もあるが、ここでは珠を採用する)という。


明智光秀的女儿,名叫珠。 (玉也可以用作珠子的意思,但在这里选择使用珠。)


だが明治期にキリスト教徒が彼女を讃えたために、今日(こんにち)では細川ガラシャの方が有名だ。


但是因为明治时期基督教徒对她的赞颂,今时今日细川伽羅奢这个教名更为出名。


新邸宅は以前のものと比較にならない広さのため、彩や蕭だけでは手が回らなくなってしまった。


新的宅邸空间比之前的大得多,彩和蕭两人忙不过来。


そこで静子は新しく人を雇う事にしたが、これを聞きつけた光秀が「我が娘はどうですか」と推薦した。


因此,静子决定雇用新的员工,但是光秀听到这个消息后推荐了“我的女儿怎么样?”


これが引き金となったのか、他の武将も我も我もと後に続こうとして、ある種の騒ぎとなりかけた。


这是否成为了引子,其他武将和我也跟随着,开始变成某种骚乱。


知らない人間を雇うよりは、と考えて静子は武将たちの娘を預かる形で雇う事となる。当初は不安もあったものの、そこは教育された武将の娘たちだった。


与其雇佣陌生人,静子决定雇佣武将的女儿们。起初可能存在一些不安,但她们是经过教育的武将之女。


はじめこそ自分達の暮らしと隔たった環境故に行動が覚束なかったものの、すぐに適応するや、てきぱきと仕事をこなしている。


开始的时候由于生活环境与自己相差甚远而行动不够自然,但很快适应了环境,工作也办得很快捷。


それでも国語や算数と言った静子邸でのみ必要とされる知識レベルが低いため、時々それらの補習を行って知識の底上げをしていた。


然而,由于在静子家仅需要国语和算术等低水平知识,因此我们偶尔会进行这些课程的补习,以提高知识水平。


お陰で何も教えていない娘から漢字で書かれた手紙が届く、という愉快な状況があちこちの家で起きていた。


各家都出现了一种有趣的情况:尽管从未有过任何教导,却收到了女儿用汉字写的信。


「蕭ちゃんは元気だけど、珠ちゃんは好奇心旺盛ですねー。私が雇った南蛮人にも物怖じしませんからね。まぁ猪突猛進過ぎるのが、珠に瑕です」


“萧酱很健康,但是珠酱非常好奇,对我雇用的葡萄牙人也毫不害怕。但是,珠酱过于冲动可能是她的缺点。”


「良いではないか。そちらの方がおも……コホン、愉快だからの」


“不错啊。那样更有趣……咳咳,更愉快。”


「誤魔化そうとすらしない!」


“甚至不想掩饰!”


言葉を言い換えるかと思いきや、濃姫は単に意味は同じだが違う言葉を口にしただけだった。がっくりと肩から力が抜けた静子は、疲れたようなため息を吐く。


转换语言的时候,静子本以为濃姬想要用不同的词语来表达同样的意思。但事实上,濃姬只是说了些不同的话。静子失落地耸了耸肩,松弛了下来,发出了一声疲惫的叹息。


実際、敵意のない笑顔をし続けるのは疲れる事だった。


事实上,不断保持没有敌意的微笑是一件很累的事情。


「疲れておるのう。そういう時は、遊び倒すことが肝要じゃぞ」


「疲倦了啊。这时候,玩得尽兴才是关键啊。」


「これが終わったら暫くは気楽に過ごします」


“这件事结束后,我会过一段轻松的日子。”


そんな事を言っていると廊下側から慌ただしい足音が聞こえた。急な用向きがあったのかな、と静子が入り口へ顔を向けた瞬間、襖が勢いよく開けられた。


刚说完这话,从走廊那边传来了匆忙的脚步声。静子转向门口的瞬间,听到了突然有急事的声音,屏风门也被猛地推开了。


「とうちゃーく!」


"到达!"


「ちゃくー」


"达~"


襖の向こうにいたのは茶々と初だった。周囲の驚きを無視して二人は室内を見回す。そして目的の人物である静子を見つけると、表情をほころばせながら彼女に突撃する。


把襖拉开,出现在那里的是茶々和初。两个人无视周围的惊讶,环顾房间。当看到目标人物静子时,他们面带微笑地突击向她。


「しずこぉー、あたらしいいえ、おめでとうなのじゃー」


“静子,新房子,恭喜啦”


「なのじゃー」


"啦~"


二人は子ども、されど全体重の乗ったタックルは子どもでも堪える。


两人都是孩子,但即使是小孩子,用上所有体重的擒抱也很难承受。


そんな事を思いつつ静子は二人のタックルを受け止める。だが二人は意に介さず、子猫のように静子の懐でゴロゴロと甘える。


想着那些事情,静子接受了两个人的扑倒。但这两个人似乎毫不在意,像小猫一样在静子的怀里咕噜咕噜地撒娇。


「はい、二人とも。いきなり入り口を勢いよく開けてはいけません。ものは大切に扱いましょう」


“是的,请两位注意。不要突然用力打开门口。让我们珍惜物品。”


「はーい」


"是"


静子の言葉に元気よく返事をする二人だが、静子が何を言いたいかまでは理解していなかった。理解するより先に、興味の対象が別に移ったからだ。


两个人高高兴兴地回答了静子的话,但他们并没有理解静子想表达的意思。这是因为他们在理解之前已经转移到了其他感兴趣的内容。


「しずこー、これなーに?」


"静子,这是什么?"


茶々は静子の背中に乗っかりながら、お膳に乗せられている菓子を指さす。


茶々坐在静子的背上,指着放在膳桌上的点心。


「これは南蛮のお菓子よ。呼び方は色々とあるけど、私はgateau(ガトー)(フランス語でケーキの意味)と呼んでいるね」


“这是南蛮的点心。虽然有各种叫法,但我称其为“gateau(ガトー)”(法语中的蛋糕意思)。”


ケーキの歴史は古く、古代ローマ時代に作られた甘いパンがケーキの始まりと言われている。


蛋糕的历史悠久,据说始于古罗马时期制作的甜面包。


プラケンタと呼ばれる古代のチーズケーキも誕生しているが、今日のケーキと毛色が少し違う。


被称为“Placenta”的古代乳酪蛋糕也诞生了,但与今天的蛋糕略有不同。


現代人が思い浮かべるケーキが誕生したのは、それから一千年近く経った中世ヨーロッパ時代、現代の焼き方になったのはそれから更に数世紀後を経た17世紀と言われている。


据说现代人所想象的蛋糕诞生于距今将近一千年的中世纪欧洲时代,到达现代的烘焙方式还需要数个世纪,直到17世纪才逐渐形成。


一方、日本では戦国時代に伝来したカステラがケーキの始まりだ。それから数世紀経ち、大正時代に不二家が現代のショートケーキを開発・販売した。


在另一方面,日本的卡斯特拉是从战国时代传承下来的,这是蛋糕的起源。经过数个世纪后,不二家在大正时期研发了现代的草莓蛋糕并开始销售。


静子が作ったケーキは一口サイズのスポンジの間にクリームと果実を挟み込み、上にバタークリームでちょっとしたデコレーションを施した程度のプチサイズケーキだ。


静子做的蛋糕是一口大小的海绵蛋糕夹着奶油和水果,在上面加上一些奶油装饰的小蛋糕。


しかし砂糖や卵、生クリームにバターをふんだんに使うため、プチサイズと言っても権力者しか味わう事が出来ない超の付く高級菓子となっていた。


然而,由于使用大量的糖、鸡蛋、生奶油和黄油,即使是迷你尺寸的点心也成为只有权贵才能品尝的超级豪华甜点。


「あまーい、すっぱーい、でもあまーい」


“甜甜的,又酸酸的,但还是甜甜的。”


「落ち着いて食べるんですよー。酸味があるのは、クサイチゴを挟んでいるからです」


“要冷静地吃,因为里面夹着酸味较强的木莓。”


前述したようにクサイチゴはやや酸味が強いのだが、それでも野イチゴの中では酸味が少なく甘味が強い品種だ。


如前所述,臭草莓有点酸味,但在野草莓中,它仍然是酸味较少、甜味较强的品种。


栽培も容易で、乾燥と日当たりにさえ気を使えば、手間いらずで増やすことができる。


栽培容易,只要注意干燥和充足阳光,便能轻松繁殖。


ただし、地植えにすると地下茎を伸ばして野放図に増殖するため、培地を限定できるプランター栽培が望ましい。


然而,如果在地上种植,它会延伸出根茎并且野蛮生长,因此建议采用限制培地的盆栽种植方法。


クサイチゴは収穫したてのものにシロップを絡めて甘さを強調しているのだが、子供の鋭敏な味覚には酸味が強く感じられるようだ。


新摘的臭草莓将糖浆涂抹其上以突出其甜味,但对于儿童敏锐的味觉而言,酸味更加明显。


「びみょうにすっぱい。でもあまいから、きにならない」


有点酸。但因为很甜,所以不介意。


何だかんだと言いながらも、茶々と初はプチサイズケーキを気に入った。並べられているプチサイズケーキを次々と平らげる。


茶茶和初说了这么多,还是喜欢上了小蛋糕。把摆着的小蛋糕一个接一个地吃掉.


しかし、二人とも一桁代の子ども、満腹になるのはそう遠くなかった。


然而,两个年仅两位数的孩子,并不远就可以吃饱了。


「まんぞくじゃー」


"满足啦"


「のじゃー」


「啦~」


お腹をさすりながら二人は静子にもたれかかる。呆れながら静子は小間使いに毛布を持ってくるよう命じた。


两人一边揉肚子,一边靠在静子身上。静子无奈地命令下人拿来毛毯。


だが、すぐに静子は後悔する。毛布をかけた事で、茶々と初が本格的に寝入ってしまい、動かせない事実に気が付いた時に。


然而,很快静子就后悔了。当她意识到覆盖毯子后,茶茶和初已经进入了酣睡,她无法移动的事实时。


「全身が痺れた」


全身麻痹


動けなくなって困っている静子を見かねた濃姫が、茶々と初の乳母を呼んで二人を回収させた。静子は濃姫に礼を言った後、固くなった体を解(ほぐ)すためにその辺りを歩く。


深姬看到不能动弹的静子很困扰,便叫来茶々作为她的第一位乳母,并让她们两人回收。静子在向深姬道谢后开始四处走动以放松僵硬的身体。


宴会場をそっと覗いてみたが、既に出来上がった人が沢山いたため、静子はそっと入り口を閉じ、静かにその場を後にした。


宴会场内已经有许多已经准备好的人,静子轻声关上门,静静地离开了那里。


「うーん、体がゴキゴキ言っているなあ」


"嗯,身体有点发麻呢"


関節をボキボキ鳴らしながら静子は伸びをする。このままうまくいけば数年の内に、日ノ本が織田家によって統一されるだろう、と静子は考えていた。


关节发出“咔嚓咔嚓”的声响,静子伸展身体。她想,如果一切顺利的话,未来数年内日本很可能会被织田家族统一。


無論、それは全てがうまくいけば、の話だ。何かしら問題が出て、とん挫する可能性は十分にある。だが、それでも織田家が天下統一するのは、ほぼ既定路線と言えた。


无论如何,只有一切都能顺利进行,否则可能会出现问题而受挫。但是,可以说織田家几乎已经是天下统一的既定路线。


「ん? あれは……」


"嗯?那是……"


「静子殿」


"静子殿"


遠くの方で何かが見えた静子だが、目をこらす前に呼びかけられたため、彼女はそちらへと意識を向ける。顔を向けると、そこには若干酒臭い光秀がいた。


远处看到了什么的静子,但在她用力凝视之前就被呼喊过去了,她的注意力被转移到了那里。当她扭头望去时,看到了微醺的光秀。


彼は静子が自分に気付いたのを知ると一礼した。


他看到静子注意到了自己,便向她鞠了一躬。


「我が娘が世話になっていながら、挨拶が遅れて申し訳ござらぬ。娘はお役に立っておりますか?」


“很抱歉迟了问候。我的女儿受到了您的照顾,她帮到您了吗?”


光秀の問いに静子は言葉ではなく、ある地点を指さして答えた。最初は首を傾げた光秀だが、静子が指さした方を見て、手で顔を覆った。


在光秀提出问题时,静子没有用语言回答,而是指了一个地方。起初,光秀摇了摇头,但当他看到静子所指的方向时,他用手捂住了脸。


「元気ですよ。ご覧の通り、元気すぎますが」


“我很好哦。如你所见,我是非常健康的。”


静子が指さした先には、光秀の娘である珠が猫じゃらし片手に猫たちと戯れていた。今は静子の新築祝い、小間使いたちの彼女も必然的に忙しくなる、のだが彼女はサボっていた。


静子指着的地方,是光秀的女儿珠手持猫棒与猫咪嬉戏的地方。尽管她因静子的新居落成和新添的女佣们而变得很忙,但她还是偷懒了。


おおかた猫が気になって、そちらに意識が集中したため、仕事を忘れているのだろうと静子は理解した。


大概是因为猫引起了注意,志子意识集中在那边,所以她理解自己忘记了工作。


光秀にとっては羞恥の余り茹で上がりそうであり、とても心中穏やかではいられない。


对光秀来说,他感到非常羞耻,以至于他似乎快要煮熟了,无法保持心情平静。


「……躾のなっていない娘で申し訳ない。粗相をしたら、遠慮なく叱って頂いて構いませぬ」


“不好意思,我是个没有受过良好管教的女孩。如果我做错了什么,请毫不客气地责备我。”


「普段はきちんと仕事をこなしておりますゆえ、この程度で目くじらを立てる必要もないと思います」


"由于平日里我认真地完成工作,所以我认为没有必要在这种程度上生气。"


「そう仰って頂けると幾分安堵いたします。しかし、放っておけば図に乗るやもしれませぬ。少し、失礼を」


如果您能这样说,我会稍感放心。但是,如果让它自行发展,可能会变得更糟。稍等片刻,失陪了。


言い終えると同時に、光秀は珠に向かって大股で歩み寄る。猫に集中している彼女は、猫じゃらしを揺することに夢中で、光秀の存在に気付かない。


说完这句话的同时,光秀大步走向珠。她全神贯注地玩弄着猫玩具,毫不注意光秀的存在。


光秀が真後ろに立って、ようやく珠は背後に誰かがいる事に気付いたが、遅きに失した。


光秀站在后面,珠终于注意到背后有人,但已经太迟了。


「ち、父上! こ、これはその……猫可愛いですよ!」


「父亲,这个……猫很可爱啊!」


「そんな事は分かっておる! 珠! 仕事を忘れて猫と戯れるとは、どういう了見だ!」


“我知道那件事!珠!忘记工作和猫玩耍是什么意思!你怎么想的!”


「ぎゃっふん!」


"啊咳!".


(あ、珠ちゃんがゲンコツ喰らった。言い訳するより、早めに謝罪した方が良いと思うんだけどねー)


(啊,珠吃了一拳。我觉得早点道歉比找借口要好。)


アドバイスを心の中で思いつつも、静子は決して光秀と珠の会話に近づかなかった。10分ほど叱られた後、二人は揃って静子の許へ戻ってきた。


虽然在心里想着给出建议,但静子并没有接近光秀和珠的对话。在被训斥了大约十分钟后,两人一起回到了静子的身边。


ゲンコツが痛かったようで、珠は頭をしきりにさすっていた。それでも猫を抱えている姿に、静子はもはや苦笑しか浮かばなかった。


似乎拳头很疼,珠不停地摸着头。尽管如此,看到她抱着猫的样子,静子已经忍不住苦笑了。


「しかとお勤めするよう言い聞かせておきました。次に、あのような事をしておりましたら、遠慮なくお申し付け下され。某自ら処断致します」


“我已经告诫他好好工作。如果再出现这样的事情,请毫不犹豫地告诉我们,我会亲自处理。”


「静子様、仕事を忘れて申し訳ございません」


「静子女士,非常抱歉忘记了工作。」


最初に光秀が、それに続く形で珠が頭を下げる。


最初光秀鞠躬,珠紧随其后。


「顔をお上げ下さい、明智様。珠ちゃんが叱られた理由を、しっかり理解しているなら問題ありません。さ、珠ちゃん。遅れた分を取り戻すぐらい働いてね」


请抬起头来,明智先生。如果完全理解珠子被训斥的理由的话就没有问题。阿珠。努力工作,把迟到的部分补回来。


「は、はい!」


"是,是的!"


元気よく返事をした後、珠は小走りに去って行く。走るときも猫を放さなかったが、途中で飽きたのか猫が珠の手を蹴って跳びだした。


精神饱满地回答后,珠小跑着走了。她一边跑还没有放开猫,但在半路上猫似乎厌烦了,一脚踢开珠的手跳了出去。


一瞬、立ち止まった珠だが光秀の叱りを思い出したのか、猫から視線を外すと慌てて厨(くりや)方面へ走って行った。


刹那间,珠停了下来。可能想起了光秀的责骂,它移开了视线,急忙向厨房方向跑去。


「やれやれ、子どもとはいえ、もう少ししっかりとして欲しいところです」


"做得好,虽然是孩子,但希望能更加稳健一些"


珠の慌ただしさに、ため息を漏らす光秀だった。


珠子的匆忙使光秀叹了口气。


「じいさん、入るぞー……相変わらずだな」


"老爷爷,进来了……还是老样子啊"


酒瓶を片手に、慶次は虎太郎が籠もる部屋へ入る。相手の返事を待たず入った瞬間、部屋の乱雑さに慶次は苦笑いを浮かべる。


拿着酒瓶,慶次走进了虎太郎藏身的房间。进门就见到了一片凌乱,慶次苦笑不已。


あちこちに書き殴られては床に散らばる図式や計算式は、学のない慶次には理解できない。だからといって、その辺りに散らかすのは如何なものか、と彼は思った。


到处都写满了图表和计算公式,散落在地板上,对于没有学问的慶次来说难以理解。虽然如此,他还是觉得散乱在周围不是什么好事。


「……んあ? 何じゃ若造か。頼まれた仕事なら片付いておるぞ」


"嗯……你是谁啊?年轻人。如果是被委托的工作,我已经处理好了。"


椅子に座ったまま寝ていたのか、寝ぼけ眼で虎太郎が言葉を口にする。今は星を観測する必要があり、虎太郎は昼夜が逆転した生活を送っていた。


坐在椅子上睡着了吗?虎太郎朦胧地说话。现在需要观测星星,虎太郎已经颠倒了昼夜生活。


「じいさん、酒でも一杯やらないか」


"老爷爷,要不要喝一杯酒?"


「断ったらその辺で飲むのじゃろう。全く、少しは老人を労ってくれても良かろうに」


如果你拒绝的话,就只能在这里喝了吧。真是的,就算稍微照顾一下老人也好啊。


「労ってるからこそ、根詰めすぎてぶっ倒れないよう、こうして足を向けているんじゃねぇか」


正是因为辛苦劳累,才要避免过度追求和身体崩溃,就像这样把脚朝向这里。


「まぁ……それは一理あるな」


“嗯……那倒是有一定道理的。”


立派なあごひげをしごきながら、虎太郎は小さなテーブルを引っ張る。途中、テーブルの角が近くにある本の山を引っ掛けて更に露出している床面積が減ったが、虎太郎はさして気にも止めなかった。


虎太郎一边挠着他齐整的胡子,一边拉着一张小桌子。桌子的角碰到了旁边堆着的书堆,露出的地面面积更小了,但虎太郎似乎没有在意这点。


「研究は順調かい」


"研究进展顺利吗?"


「順調……とはいかぬが、良い機材が準備されているので困ってはおらぬな」


“虽然不算顺利,但是好的设备已经准备好了,所以我并不担心。”


虎太郎の盃に酒を注いだ後、慶次は自分の盃にも酒を満たしながら訊ねる。虎太郎の研究とは地動説が正しいかを証明する事だ。


在虎太郎的杯子加了酒后,慶次也倒了一杯酒,然后问道。虎太郎的研究是证明地动说是否正确。


その為に静子から色々な機材を与えられていた。望遠鏡(屈折式)は勿論、太陽投影板や専用の太陽時計などだ。


为此,静子给了她各种各样的设备,包括折射式望远镜、太阳投影仪、专用日晷等等。


特に太陽投影板は優秀であり、これのお陰で虎太郎は失明の怖れなく太陽を観測出来る。


特别是太阳投影板非常优秀,多亏它的作用,虎太郎能够观测太阳而不必担心失明的风险。


投影板と仰々しい名前はついているが、原理は単純で天体望遠鏡の接眼レンズの延長線上に、白い紙や板を設置するだけの単純なものだ。


虽然它有投影板和华丽的名字,但其原理很简单,只需要在天体望远镜的接目镜延长线上安装白纸或板即可。


観測対象が太陽ゆえ低倍率の接眼レンズでも機能するが、対象を観測しながらの微調整が出来ないため、太陽を投影板に写す手間の分だけ余分な時間を必要とする欠点も持っていた。


观测对象为太阳,因此即使使用低倍率的目镜也能发挥作用,但在观测对象的同时无法进行微调,因此还需要额外的时间来投影太阳到投影板上,这是一个缺点。


「そうか。俺には何が何やら分からぬが、じいさんが楽しそうで何よりだ」


“这样啊。虽然我不知道发生了什么事,但看到爷爷开心我就比什么都高兴。”


「コペルニクスの著書を翻訳しただけで、元はそれほど興味があった訳では無かったのだがな。しかし、知れば知るほど面白い。それに、これが正しいと判明出来れば、教会の連中に吠え面をかかせることができる」


“只是翻译了哥白尼的著作,并不是我非常感兴趣。但是,越了解越有趣。而且,如果能证明这是正确的,就可以让教会那帮人吓得狗吠了。”


「楽しそうだな、じいさん。だが、楽しむってのは重要だぜ」


“看起来很有趣,老先生。不过,享受乐趣可是很重要的。”


「もうお偉方の顔色を窺って卑屈に生きるのは勘弁じゃ。どうせ人の生は一度きり、ならば後悔なく死ぬために、好きな事をして生きるのも一興じゃわい」


「不要再卑躬屈膝地追逐权贵的眼色了。毕竟人生只有一次,为了不留遗憾地离开这个世界,也可以做自己喜欢的事情而活着。」


「そうそう、旨いもの食って、日向で寝転びながら過ごすのも楽しいぜ。今日は祝い事しているから、旨いものを拝借するのも簡単だしな」


“对啊,吃些美味的东西,在阳光下躺着也很愉快呢。今天在庆祝,所以弄些美味的东西还挺容易的。”


「何やら騒がしいと思ったが、そんな事をしておったのか。若造、お前は出なくて良いのか?」


“我本以为怎么这么吵闹,原来是你在搞这些事情。小子,你还不出来?”


「俺はあんな堅苦しい席はご免だ。腹の底を探り合いながら飲む酒など美味くないだろ」


“我可不喜欢那种古板的场合。喝酒时还要沉闷地探究内心,多没意思啊。”


「違いない」


"绝对是"


そこで二人は笑い合い、そして盃の酒を飲み干す。


于是两个人一起笑了起来,然后干杯喝尽了酒。


「最初は奇妙な味と思ったが、慣れるとこの酒も旨いのう」


「一开始觉得这种酒味道奇怪,但是习惯后也很好喝呢。」


「へっへっ、今日は祝い事だからな。良い酒がゴロゴロ出てたんだ。ちょっと多めに失敬しても目に付かないって寸法よ」


"嘿嘿,今天是庆祝的日子,有很棒的酒在流动。多喝一点也看不出来啦。"


「なるほどのう。しかし、無性に故郷のワインが飲みたくなる。主人に話せば興味を惹けるか……いや、主人ならばワインの作り方ぐらい知っていそうではあるな」


"原来如此。但是,突然想喝故乡的葡萄酒。如果跟主人说,能引起兴趣吗......不,主人应该知道如何酿造葡萄酒吧。"


「静っちなら知っていても不思議はないな。かくいうこの酒だって、静っちが音頭を取って作り始めたんだぜ。まあ、静っちに酒を飲ませると色々と大変だから、皆静っちに酒を飲ませないようにしてるけど」


「如果静知道这个也不奇怪。这瓶酒,其实是静带头开始酿造的。但是呢,因为让静喝酒会出些问题,所以大家都不让他喝。」


「酒乱のたぐいか。それぐらいが丁度良い。人間、完璧過ぎるとつまらんからな」


“难道是酒鬼吗?这种程度恰到好处。人太完美反而让人感到无聊。”


「んー、酒乱……かな。まあ、酒癖が悪いってのは一緒か。ともかく酒に限らず、色々な物事を知っているだろうし、もしかしたら作り方も把握しているかもな」


"嗯,酒鬼吧......也许吧。不管怎样,应该知道很多事情,不仅仅是关于酒的,说不定还知道如何酿制。"


曖昧な返事を訝しげに思う虎太郎だが、それほど興味を惹かれなかったので聞き流すことにした。それから二人は色々と談笑し、時々酒を呷った。


虎太郎怀疑着含糊其辞的回答,但他并不那么感兴趣,所以决定听而不闻。接下来两人聊天笑闹,偶尔喝点酒。


「南蛮ってのはどんな感じだ?」


“南蛮是什么感觉?”


「どう……と言われてもな。わしはとある学者の許で働いていた。学者というのは世事に疎くてな。そのお陰で、わしも世俗のことを殆ど知らぬまま歳を取った」


“即使你问我怎么想我也说不上来。我曾经在一位学者的门下工作。学者通常对世俗的事情不太了解。正因为这个,我也几乎一无所知地变老了。”


「そりゃあ大変だ。人生は楽しまないと損だぜ。たまには遊び倒さないとな」


这很不容易啊。人生必须享受乐趣,否则会有损失。偶尔要放纵一下,才行。


「わしの場合は遊び始めるのがちと遅くなっただけじゃ」


我的情况只是开始玩得有点晚。


「お、なかなか言うじゃねえか、じいさん」


"哦,老头子说得还不错啊。"


ニヤリと笑った後、慶次は盃の酒を飲み干す。少し遅れて虎太郎も杯を乾す。慶次が虎太郎の盃に酒を注ぎ、ぶっきらぼうながらも虎太郎も慶次に返杯する。


面露微笑后,景次一饮而尽。稍有耽搁,虎太郎也一饮而尽。景次为虎太郎斟满杯,虎太郎虽然傲慢,但还是向景次敬了一杯。


「お前の言うところの南蛮は、端的に言えば最悪じゃ。宗教で民を縛りつけ、暗黒時代を進んでおる。主にも言ったが、わしらはユダヤ人。伴天連どもからすれば、ユダヤ人というだけで悪とされる」


“你所说的南蛮,简明地说就是最糟糕的。他们用宗教束缚人民,走向黑暗时代。虽然主人已经说过,但我们是犹太人。对于伴天连一伙人来说,只是因为我们是犹太人就被视为罪恶。”


「下らん話だな」


"真是无聊的话"


「ああ、実に不条理な話だ。しかし、そう考える人々が集まって国が形成され、その国の国教として据えられたなら、その考え方が常識となる。まあ、わしらユダヤ人とて排他的なところを持つゆえ、多数派になれば変わらぬのだろうがな」


“啊,这真是荒谬的故事。然而,如果这些思想汇聚成国家,并确立为该国的宗教信仰,那么这种思维方式就会成为常识。嗯,我们犹太人也具有排外性,如若成为多数派,这种情况也不会改变。”


「妙な話だ。俺から見れば、信じる神は同じなのだろう? 日ノ本でも同じ仏を崇めながら、様々な宗派に分かれている。そして自分が属する宗派以外をやれ異端だと排斥する。教えは同じなのだから、解釈の違いでしかないのに争うのでは不毛でしかない」


“很奇怪的事情。对我来说,相信的神都应该是相同的,对吧?在日本,即使崇拜相同的佛祖,也会被分为不同的宗派。并排斥不属于自己宗派的异端。虽然教义是相同的,但只是因为解释上的差异而争吵,这是毫无意义的。”


「そうだな。しかし、この国では宗教家が幅を利かせていないのが良い。聖地奪回だの、異端者狩りだの、そんな馬鹿騒ぎに巻き込まれるのは御免被る」


“嗯。不过,在这个国家,没有宗教家的影响是好事。我可不想卷入那些圣地夺回、异端者追捕等愚蠢的骚动中。”


「うちじゃあ、信仰を強要することがないからな」


“我们家不会强迫信仰的。”


「己の配下が何を信じていようと拘泥せぬのか、それも主人の方針か。それで思い出したが、主人は一体何者だ? あの歳で、あれほどの達観している人間などそうはおらぬ。未だ奥底の見えぬ見識を持っているようだしな」


“自己的下属相信什么并不拘泥,这也是主人的方针吗?另外,我想起来了,主人到底是什么人?那个年纪,没有多少人能像他那样达观。他似乎还拥有着无法触及底部的见识。”


「さあ?」


"那么呢?"


「さあ……って」


"那么……"


慶次の投げやりに聞こえる返事に、虎太郎は呆れかえった。主人の事を何も知らない、それどころか興味もないという態度に見えたからだ。


听到庆次那个漫不经心的回答,虎太郎感到非常吃惊。因为这种态度让他感觉到庆次不仅对主人一无所知,而且也完全没有兴趣了解。


虎太郎の表情に気付いて、慶次は邪気のない笑みを浮かべながら言葉を口にした。


看到虎太郎的表情,桂次露出了毫无邪恶的微笑,说出了话。


「静っちが本当は何者か、なんて知っても意味はない。興味もない。俺たちゃ……少なくとも俺はそう思っている。それは静っちに対して距離を置いているからじゃない」


“知道静小姐到底是谁,其实也没有什么意义,也没什么兴趣。至少我是这么想的。这并不是因为我对她保持距离。”


「……」


"......"


「静っちのやる事は面白いし、次にどんな事をしでかすか、期待と興味でわくわくする。それだけで十分」


「静小姐做的事情很有趣,我期待并感到兴奋,不知道她接下来会做什么。仅此一点就足够了。」


「なるほどな。確かに期待できるというのは重要じゃ。まあ主人の場合、脈絡のない事に手を広げ過ぎていて、何をやりたいのか見えてこないのが難点だが」


“我懂了。确实,能够期待是很重要的。不过,对于主人来说,他过于涉猎没有脉络的事情,让人看不出他想要做什么,这是一个难点。”


「それすらも楽しめるようになれば、じいさんも一人前さ」


「如果你能享受那个,爷爷也算一个合格的人了。」


「年長者を半人前扱いするな!」


不要将年长者视作半个人。


そう言って二人は笑い合う。それからも二人は酒を交わしつつ会話を楽しんだ。


两个人这样说着,相互笑了起来。接着,两个人一边喝酒,一边享受着交谈。


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