【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 102 [千五百七十三年 三月中旬]
书名 战国小町苦劳谭
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作者: 夹竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
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千五百七十三年 三月中旬(*原文网页序列号 - 119)
三月に入り、信長は足満に密命を与えた。内容については静子にすら秘され、足満が出発する直前に家を空けると告げたため、その存在を認識したほどであった。
三月初,信长派足满执行秘密任务。任务内容甚至对静子也保密,足满离开前才告知要离家,因此静子意识到了他的存在。
自身の身内に自分が把握していない危険が降りかかる恐れはある。
自己的亲属可能会遭遇自己未能察觉的危险。
しかし信長も足満も、それを良しとして自分に話さないのなら、その方が良いと判断されたと思い、一切の疑問を飲み込んで送り出した。
但是,如果信长和足满不认为这是好事而不说给我听的话,那么我就认为这是最好的决定,并且我会消除所有的疑问并执行他们的决定。
折り悪く、静子もまた京へと赴く必要があり、時間的に問い質す余裕も無かったとも言える。
不幸的是,静子也需要前往京都,时间非常紧张,无法质疑。
仮に訊ねたところで、知らせない方が良いと確信している足満は、難しい顔をするだけだったであろう事は間違いない。
即使问过足满,他确信不告诉也是最好的,所以他可能只会皱起眉头,显得很困难。
何しろ足満が帯びた密命は、近衛前久を伴って上杉謙信の居城たる春日山城へと赴くことだからだ。
说起来,这个带着沉重使命的人,连同近卫前久一起,要前往上杉謙信的居城春日山城。
雪解け前の残雪が多く残る時期に、あえての強行軍。政治的にも危険度的にも静子には伏せておく方が、彼女の精神衛生を考えるならば得策だと足満は判断した。
在雪融化之前仍有大量雪的季节,冒险前进是故意的。从政治和危险性角度考虑,对静子保持沉默是一个好主意,这样她的心理健康会得到保障,足谷做出了这个判断。
「此度(こたび)の道行(みちゆき)は命懸けの過酷なものとなる。わざわざ、わしについてくる必要はない」
「这次的路途将会是冒着生命危险的艰难之旅。不必特意跟着我一起走。」
「気にするな。私が行きたいと思ったのだ、偶には無茶も良いだろう」
“别担心,这是我想去的地方,偶尔冒险也没什么不好的。“
言外について来るなと告げる足満だが、前久は理解していながら聞き流す。翻意は無理だと察した足満は、小さくため息を吐いた。
告诉前久不要跟着自己的言外之意,但前久听到了却没有理解。足满察觉到难以改变前久的想法,叹了口气。
「防寒対策はしっかりとしておけ。冬山は人の領域にあらず、準備を怠れば命を落とす」
“防寒措施要做好。冬山并非人们的领地,如果准备不足,就会失去生命。”
「そう言うと思ってな、事前に静子殿へ防寒装備の準備を依頼しておいた」
“我就想到你会这么说,所以提前让静子准备了防寒装备。”
足満が前久を睨む目線に剣呑な光が宿る。しかし、睨まれている当人は飄々とした態度を崩さない。
足满瞪视着前久,眼中闪烁着凶光。然而,被瞪视的人却面带淡然,毫不动摇。
「これを見越して半年も前から依頼してあるのだ、今回の件と結びつきはすまい。偶然今回初めて使うだけのこと、雪山を想定した本格的なものだ」
“这项请求半年前就已经考虑到了,这次的事情与它没有任何关系。只是偶然第一次使用而已,这是一种考虑到雪山情况的正式设备。”
「……そうか」
“原来如此。”
前久が木箱から取り出し始めた装備を見て、足満は納得した。
看到前久开始从木箱中取出装备,足満满意了。
厚手の革で作られた外套は、油と蝋で処理されて撥水能力を持っているのが良く判る。しかも内側に起毛した毛皮を貼り合わせてあり、保温能力も高そうに見えた。
这件外套是用厚实的皮革制成的,经过油和蜡的处理,具有很好的防水能力。此外,内部还贴有起毛皮,看起来保温性能也很高。
同じく革製の長靴も起毛処理は勿論、先端に詰め物がされており、底面には鋲が打ち込まれた滑り止め加工もなされていた。
同样的革制长靴也进行了起毛处理,鞋头处充填了填充物,并在底部铆上了防滑钉。
更には携帯用の簡易かんじきまで入っており、状況に応じて使い分けることが可能となっていた。
此外,还包括了一个便携式的简易尺,可以根据情况进行使用。
衣類についても厚手の布を袋状に縫い合わせ、内側に綿を入れ込んだ実用性の高いものだった。
这些衣服也非常实用,它们用厚布袋缝制成,并在内部填充棉花。
外見からは少し着ぶくれしているぐらいにしか見えないが、製品の質を知っている足満から見ても太鼓判を押せる装備だった。
从外表看只有一点点显得有些臃肿,但对于了解产品质量的足满来说,这是一个值得肯定的装备。
「吹雪いた時に必要となるから、頭巾や襟巻も用意しておけ」
"因为下雪天会需要,所以准备好帽子和围巾。"
「そうか、忠告に感謝する。何だかんだと言いつつ貴様が世話を焼いてくれるから、私は安心していられる」
“原来如此,感谢你的提醒。虽然我不断地抱怨,但因为你一直帮我照顾,所以我能放心。”
「ほざけ」
"ほざけ" can be translated to Simplified Chinese as "废话".
前久の返しに不本意だと言わんばかりの足満は、話はこれまでだと背を向けると、前久を置いて歩き出す。前久は苦笑しつつも、彼の背中を追った。
足满不情愿地回答了前久的问题,仿佛在说这个话题到此为止,他转过身来离开前久。前久苦笑着看着他离开。
足満が越後へと発った一方で、静子も京へと出発していた。兵を伴って京へと入ると、彼女は早速最初の目的である但馬牛(たじまうし)の買い付けを実施する。
足满前往越后的同时,静子也前往京都。她带着士兵进入京都,立即开始了她的第一个任务——购买但马牛。
但馬牛と言えば平安時代に編纂された続日本紀にも登場する、古くから本邦に根付いた牛だ。
“但马牛”这一说法出现在编纂于平安时代的“续日本纪”中,是一种古老的在本国扎根的牛。
現在日本の和牛の内、八割ほどが但馬牛の系統となっており、和牛のルーツとも言える品種である。
现在日本的和牛内,约八成为但马牛的血统,可以说是和牛的根源品种。
但馬牛の特徴は何と言ってもその食味にある。無論通常の牛と同じく農耕や荷役もこなすが、長命で連産可能、繁殖力が旺盛という畜産に適した特性を備えていた。
但马牛的特点在于其美味的食味。当然,像普通的牛一样,能够耕种和运输货物,但具有长寿、高产和繁殖能力强等适合畜牧业的特性。
古来より取り沙汰されてきた但馬牛は、以降も様々な書物にその姿を残している。
自古以来,但馬牛就被广为传颂,其形象被记录在各种文献中。
史実に於いて秀吉が大阪城を築城した際に、一日だけだが武士の身分を与えられた但馬牛さえも存在する。
在历史上,当秀吉建造大阪城时,甚至连但马牛这种动物一天也被赋予武士的身份。
明治時代に外来種との交雑で、更なる品種改良を求めた結果、純血種が激減してしまい、一時期は絶滅の危機に陥ったこともあった。
在明治时期,由于与外来物种杂交以寻求更进一步的品种改良,导致纯种数量急剧减少,曾经一时处于灭绝的危险。
しかし、後に奇跡の4頭と呼ばれる純血種が残されていたことで復活し、今日の和牛を生み出したのだ。
然而,由于当时留下了被称为“奇迹的四头”纯种牛,才得以复苏并创造出今天的和牛。
長い歴史を持つ但馬牛の買い付けをするのは、信長が但馬牛の肉をいたく気に入ったためだ。
购买历史悠久的丹波牛,是因为信长非常喜欢丹波牛肉。
御用牛のような扱いとなり、京へと赴いては但馬牛を買い付け、みつおに飼育と品種改良を任せていた。
被看做是专用牛,前往京都采购丹波牛,委托光男饲养和改良品种。
静子が買い付けてくる但馬牛は純血種であり、品種改良が進んだ現代の知識はそれほど通用しない。
静子所采购的丹波牛都是纯种的,现代的品种改良知识在这里并不起作用。
安易に外来種との交雑などしようものなら、明治時代の失敗をなぞってしまうことになる。
如果轻易地与外来物种交叉育种,就可能重蹈明治时代的失败之路。
純血種の良い点を残しつつ、更なる食味を求める飽くなき挑戦が必要となったが、みつおはむしろそれを楽しんですら居た。
寻求更美味的味道是一项无止境的挑战,需要保留纯种的优点,但是Mitsuo反而享受其中。
いつもは買い付けた牛を商人が尾張まで運ぶのだが、今回は静子自身の京滞在が短期間であり、彼女が尾張に戻る際に一緒に運ぶこととなった。
通常是商人负责运送采购的牛到尾张,但这一次因为静子在京都停留时间较短,她决定在返回尾张时和商人一起运送。
事前に交渉は済んでおり、特に揉めることもなく取引は成立した。後は静子が京へと来ることになった本来の目的を果たすだけとなった。
事先已经进行了谈判,交易顺利达成,没有出现任何争议。现在只需要实现静子来到京都的本来目的。
「いつまで経っても男装には慣れないなあ」
无论过了多久,我都无法习惯男装。
静子が京を訪れた理由。それは外国の技師を取り込むためだ。取り込むと言っても、現代のように技術を持つ個人が勝手に亡命など出来るはずがない。
静子造访京都的原因是为了吸引外国技术专家。但即使想要吸引,也不能像现代那样,技术专家自作主张地逃亡等行为。
国家にとって有益な技師が国外へと流出するのは、国力の低下に繋がるためだ。無論抜け道はあるのだが、それをすれば引き抜かれた側が警戒心を抱くようになる。
国家失去有益的技师流向国外会导致国力下降。虽然有些方法可以避免这种情况,但这样的行为会让被挖走的人心生警惕。
政治的な摩擦を避けるため、静子は盲点となっているルートを通じて技師を買い入れた。
为避免政治摩擦,靜子通过盲点路线引进了技师。
端的に言えば奴隷売買である。奴隷落ちした技師を買い取ったのだ。
直截了当地说,这是奴隶贸易。 我们买下了一名被奴役的技师。
勿論技師が奴隷落ちした場合、国家がその売却先に目を光らせている。しかし、売却先から更に転売された場合についてはその限りではなかった。
当然,如果技师跌入奴隶的境地,国家会审视其出售者。但如果被出售者进一步再次转售,就无法再管了。
鉱山労働などの過酷な労役で使い潰されると判っているため、それ以上の追跡調査が行われないのだ。
因为知道他们会在艰苦的矿工劳作等工作中被用尽,所以不会进行进一步的追踪调查。
奴隷貿易が本格化して大規模化する前だからこそできた荒業である。とはいえ、大航海時代とも言われる戦国時代でも奴隷の売買は行われていた。
因为在奴隶贸易大规模化之前,它才得以进行。然而,在被称为大航海时代的战国时代,也有奴隶买卖的发生。
特に日本から近い中国・マカオはアジア最大の奴隷集積地となっていた。高い技術を持った奴隷を隠すのには、うってつけの場所となる。
特别是离日本最近的中国和澳门成为亚洲最大的奴隶集散地。对于隐藏高技能奴隶而言,这是一个非常理想的地方。
「……しかし、凄い理由で奴隷にするんだね、キリスト教って」
"但是,基督教将人变成奴隶的理由非常可怕。"
今回買い付けた奴隷四名の経歴書を確認して、静子は枯れた笑いを浮かべた。四人とも火刑という極刑が下されたが、寛大な処置という名目で鉱山労働へと切り替えられた。
确认了购买来的四名奴隶的履历后,静子露出了苍白的笑容。虽然四人都被判处极刑火刑,但出于宽大处理的名义,他们被转换成矿山劳工。
寛大な処置とは言っているが、少しでも金になる奴隷として売り払うのだから、物は言い様だと静子は思った。
虽然他们称之为“宽大的处理”,但静子想,既然把人作为奴隶出售,即使说话方式不同,实际上也是将他们看作能带来收益的东西。
「えーとなになに……天動説を否定した? 許可なく主の偶像を作った? 教会の教えを批判した? 何だこれ。伴天連って馬鹿しかいないのか?」
「嗯,什么什么......否定天动说?未经授权制作主的偶像?批判教会教义?这是什么?伴天连里只有傻瓜吗?」
静子が見ている経歴書を、背後から覗き込んでいた長可が呆れ声を上げた。キリスト教を知らない長可にとっては、それが死に値する罪とは到底思えなかった。
静子看着她的简历,背后的长可偷看并惊讶地喊出声来。对于不懂基督教的长可来说,他无法理解这是犯下了应该受死罪的事情。
歴史的背景も含めて詳しく知っている静子ですら馬鹿らしいと思っていた。しかし、これらを大真面目に取り締まっていたのが中・近世までのキリスト教圏だ。
即使是了解历史背景的静子也认为这很荒谬。然而,直到中近世期间,基督教世界一直认真地制裁这些行为。
「向こうは大真面目だよ。社会は急な変革を嫌うからね、私たちにとっては馬鹿みたいに思える内容でも、社会を揺るがす大罪になるんだよ」
“那边非常认真。社会不喜欢急剧改革,所以对我们来说似乎很愚蠢的内容也可能成为动摇社会的大罪。”
「静子様、奴隷商人が参りました」
"静子小姐,奴隶商人来了" (Note: Simplified Chinese characters are used in this translation)
経歴書をお膳の上に戻すと同時、小姓が来客を知らせる。いつもの頭巾を被ると、長可に所定の位置に控えるよう指示を出す。
当将履历书放回托盘时,小姓将通知客人的到来。戴上头巾后,请指示长可在指定位置靠边站立。
「通しなさい」
"通行吧"
小姓に命じてから少しおいて、ポルトガル人らしき奴隷商人と、彼が連れてきた男女四名が室内へと通される。
命令名不明的人稍作等待后,一名看起来像葡萄牙奴隶商的人和他带来的两男两女被引进房间。
野心溢れるポルトガル人冒険者上がりの商人らしく、不遜な態度が目についた。しかし、同時に商売人らしく金主となり得る静子の動向を見定めようとする態度も見えた。
充满野心的葡萄牙探险家出身的商人表现出傲慢态度,但同时还表现出商人的心态,试图观察静子成为潜在金主的动向。
意外に曲者だなと思いつつも静子は挨拶を交わす。無駄話は好まないのだが、商人は今後も継続した取引を見込んでいるのか、ベラベラと自分の事を売り込もうとしていた。
静子心中虽然觉得他意外地棘手,仍然和他打招呼。她不喜欢闲扯,但那商人似乎希望继续和她做生意,开始大谈自己的事情。
「殿、明智様がお見えになりました」
“殿,明智阁下到了。”
いい加減、静子を含む全員の憤りが限界に達しつつあったその時、玄朗が明智光秀の来訪を告げた。
当所有人包括静子的不满已经到达极限时,玄朗宣布了明智光秀的来访。
「あいわかった」
"我明白了" (wǒ míng bái le)
ちょうど良いと思った静子は、これ幸いと商人を追い出した。
想着正好合适,静子便趁机把商人赶了出去。
商人としては次へ繋がる言質が欲しかったのだが、周囲が発する剣呑な雰囲気に気付き、臍(ほぞ)を噛む思いで立ち去った。
作为商人,他想要得到可以带领他前进的承诺。但是,他注意到了周围散发出的敌意气氛,心中苦恼地咬紧了牙关,离开了那里。
「苦労をかける、玄朗爺」
"给您添麻烦了,玄朗爷" (Guǐ nín tiān máfan le, Xuánlǎng yé)
商人が退出してから、静子は盛大にため息を吐いた。光秀の来訪は玄朗が咄嗟にでっち上げた嘘だった。要人同士が事前連絡もなく相手を訪(おとな)うなどあり得ない。
商人退出后,静子大大地叹了口气。光秀的来访是玄朗匆忙捏造的谎言。重要人物没有提前通知就拜访对方是不可能的。
外で控えていた玄朗が気付く程の鬱憤に気付かない商人の図太さは、ある意味で賞賛に値するものであったのだろう。
在外面等候的玄朗并没有意识到那位商人不知道自己憋了多大的怒火,这种厚颜无耻在某种意义上值得赞扬。
さりとて到底真似したいとも思わないし、真似できるとも思わなかった。
虽然我并不打算模仿,也不认为自己能模仿。
「勿体なきお言葉。某はこれで」
"不必客气,我知道了" (Simplified Chinese)
玄朗が一礼して去っていくのを見送り、静子はもう一度ため息を吐いた。そして改めて四人の奴隷へと視線を向ける。
玄朗鞠了一躬,然后离开了。静子叹了口气,重新把目光投向四个奴隶。
四十路の男性、三十路の男性と二十代と見える女性、十代に見える少女の四人だ。
四十多岁的男性、三十多岁的男性和看起来像二十多岁的女性、看起来像十几岁的少女,共四个人。
そもそも静子は外国人との接点が少ないため、外国人の容姿は良く判らない。しかし、十代の少女は際立って異質だったため、強く彼女の目を惹いた。
首先,由于静子很少与外国人接触,因此她并不了解外国人的外貌。然而,由于十几岁的女孩特别与众不同,因此她的外貌特征吸引了静子的注意。
洗髪をしていないため脂ぎってぼさぼさになっているが、しっとりとした黒髪に宝石かと見紛うような鮮やかな翠眼が印象的だった。
因为没有洗头,头发油腻杂乱,但湿润黑发中鲜艳的翠绿色眼睛,让人误以为是宝石般闪闪发亮,给人留下深刻印象。
経歴書によれば年長の男は複数の言語を操る事が出来るとのこと。言語学者という肩書もあったため、通訳兼翻訳者として採用した。
据履历表,年长的男性能够操纵多种语言。由于拥有语言学家的称号,因此被雇用为一名口译兼翻译。
三十路の男性は金属加工職人であり、女性は妻ではなく男性の妹にあたる。職人は男性だけで、妹は連座で奴隷に落とされたと静子は考えた。
三十岁的男性是金属加工职人,女性是他的妹妹而不是妻子。静子认为这个职人只有男性一个人,他的妹妹因连坐而成为奴隶。
最後の少女が謎だった。職業の記載がない代わりに、魔女の子であるという記載があった。このことから恐らく薬師であろうと静子は当たりを付けた。
最后的少女是个谜。职业没有写明,但说明她是魔女的孩子。从这里可以推断出她很可能是一位药剂师,静子得出这个结论。
「……腹を空かせておろう。某は着替えをするので、彼らに食事を与えよ」
"肚子饿了,等我换衣服,给他们准备食物。"
経歴書を一読して最も困ったのは、彼らの名前が記載されていない事だった。
阅读简历后最让我困惑的是,他们的名字没有被提及。
奴隷に名前は不要と考えたのか、それとも新たな主が付けるのが常なのか、理由は判らないが名無しでは不便だ。
奴隶不需要名字,还是通常由新主人取名字,我不知道原因,但是没有名字很不方便。
ともあれ、まずは腹ごしらえが必要と静子は考えた。何よりも息苦しい男装から解放されたかった。
无论如何,静子认为首先需要填饱肚子。比起任何事情,她更想从沉闷的男装中解放出来。
自身の処遇を決めることなく退出した主に困惑する彼らを置いて、静子はさっさと別室へ移った。いつもの恰好に着替え終わると、再び室内に戻り、上座へと腰を下ろす。
静子没有决定自身的处置就匆匆离开了,让那些主要是感到困惑的人们待在那里。她换好常服后再次回到房间,坐在上座上。
静子の素顔を目の当たりにして、四人は一様に驚いていた。
看到静子的真实面目,四人一致惊讶。
少女を除く全員にとって、自分よりも年若い女が、周囲に控える男性よりも上座に座しているのだ。驚くなというのは無理な話だ。
对于除了少女以外的所有人来说,比自己年轻的女孩子比身边站着的男性坐得更高,这让人惊讶也是无可奈何的事实。
「食事は口にあったかな」
“饭菜适口吗?”
静子の問いに、最初に反応したのが少女だった。彼女は首を傷めるのではと思える程に激しく首肯を繰り返す。
最先回应静子的提问的是一个少女。她强烈地点头,以致可能会伤到她的脖子。
年長の男は渋い表情だが、食事の内容に問題は無いようで、黙々と食べていた。残り二人は困惑しながらも、供された食事の味に驚いて、不満を述べるなどあり得なかった。
年长的男人面露严肃的表情,但食物的内容似乎没有问题,默默地吃着。另外两个人困惑不解,但吃到供应的美食时感到惊讶,没有抱怨的可能性。
彼らに与えられた食事はチキンクリームシチューに白パン、鹿肉の唐揚げ、生野菜のサラダ、そして澄んだ水だ。
他们被提供了炖鸡奶油汤、白面包、鹿肉炸鸡、生菜沙拉和清水的餐食。
現代の欧米では肉食化が進み、パンや野菜は添え物扱いだ。しかし、近世初期までは日本と変わらず穀物中心の食事をとっていた。
现代欧美地区肉食化趋势增强,而面包和蔬菜只是附带的食物。但在近代早期,日本和西方一样,以谷物为主的饮食是普遍的。
庶民だけでなく豪農や地方領主、下級貴族などの食事も穀物が主体だった。
不仅百姓,而且富农、地方领主、下级贵族等人的饮食也以谷物为主。
貧しい地域では税として徴収される小麦ではなく、ライ麦、えん麦や大麦、蕎麦などを荒く挽き、水や牛乳で炊いたポリッジや、それよりも薄くして水だけで炊いたグリュエルと呼ばれる粥として食べていた。
在贫穷的地区,人们不食用征收的小麦作为税收,而是粗磨黑麦、荞麦、大麦、荞麦等杂粮,用水或牛奶煮成粥,或加水稀释后煮成叫做“粥”的糊状食品食用。
パンはパン粉を作る際に製粉する必要がある。粉挽きは領主の専権事業であり、領主所有の粉挽き所を使用して使用料を払う必要があった。
制作面包时需要粉碎面包屑。粉碎是领主的专属行业,需要使用领主拥有的粉碎设备并支付使用费用。
そのため、貧しい者は自宅の石臼を用いて粗く挽く以外になかったのだ。
因此,穷人除了使用自家的石磨粗磨以外别无选择。
細かい粒にしようにも時間をかければ摩擦熱で変質してしまうため、粗い粉を用いる他なかった。
只能使用粗粉,因为即使将其磨成细粒,也需要花费很长时间,会因摩擦热而改变其质地。
更に食塩すら加えず水だけで練り、保存を第一に考えて焼しめるため固くてパサパサしたパンとなった。
甚至连食盐都不加,只用水揉面,为了考虑保存而将面团烤成了硬且干燥的面包。
このためパンと言えばスープに浸したり、飲み物でふやかしたりしてから食べるのが通常だった。
因此,通常情况下,在说到面包时,人们会先将其浸泡在汤中或用饮料润湿后再食用。
しかし、彼らが今口にしているパンは驚く程に白く、そして柔らかい。含有水分量も多く、塩は勿論、卵やバターをも加えて充分に発酵させた極上の品であった。
然而,他们现在嘴里的面包惊人地白色、柔软。含水量很高,盐当然不可少,蛋和黄油也添加了,发酵得非常好,是顶级产品。
柔らかく甘みさえ感じる白パンに彼らが陶然とした表情を浮かべるのも無理からぬことであった。
柔软甜美的白面包引起了他们陶醉的表情,这也并不奇怪。
西洋に於いて狩猟は貴族の特権とされ、狩猟される食肉の中では鹿肉が最も好まれたことから、鹿肉は贅沢な肉として遇された。
在西方,狩猎被认为是贵族的特权,鹿肉则是最受欢迎的猎物之一,因此鹿肉被视为奢侈的食品。
しかし、最上の贅沢とされたのは生野菜であった。
然而,被认为是最奢侈的东西是生菜。
現代日本では誰もが新鮮な野菜を口にすることができるが、これは発達した流通や優れた保存技術があっての事。
在现代日本,每个人都可以享用到新鲜的蔬菜,这要归功于发达的流通业和优秀的保存技术。
それらが未発達な中世に於いては、新鮮な生野菜などというものは専用の畑と使用人を邸内に抱える、限られた王侯・貴族の食べ物とされた。
在那些未发达的中世纪,新鲜生蔬菜等食品被视为仅限于拥有专门菜园和仆人的少数王侯贵族享用。
庶民はたとえ生産者であったとしても、売れ残りの干からびた腐りかけの野菜を食べており、生野菜を食べるという事は富と権力の象徴となっていた。
庶民即使是生产者,也会吃剩下的干燥腐烂的蔬菜,而吃生菜则成为富裕和权力的象征。
「慌てなくても、誰も取ったりしないよ」
“不要慌,没有人会拿走的。”
がっつく彼らに静子は慌てる必要はないと語るが、大貴族であっても容易に口に出来ないご馳走を前にして、彼らの手が止まる事はなかった。
然而静子告诉他们不必慌张,但是面对即使是贵族也不敢口出的美食,他们的手还是没有停下来。
瞬く間にシチュー、唐揚げに生野菜サラダ、山盛りに用意されたパンが胃袋の中へと消えていく。
转眼之间,炖菜、炸鸡和生蔬菜沙拉就消失在了胃里,还有一堆面包等着吃。
「(なあ静子、本当に大丈夫なのか?)」
“(静子,你真的没事吗?)”
彼らの食事が終わるまで待っていると、ふいに長可が静子に耳打ちした。大丈夫、という言葉の意味をすぐに理解した静子は、扇子を広げて口元を隠すと、長可に耳打ちを返した。
当她们等待他们吃完饭时,长可突然在静子耳边低语。静子立刻明白了“没事”的意思,便打开扇子遮住了嘴巴,然后悄悄地回答了长可。
「(ちゃんと一定の調査はしているよ。それをしたから、こんなに長い時間を掛けたのに四人しか集まらなかったんだよ)」
「(我们进行了充分的调查。所以,即使花费了这么长时间,只有四个人聚集在一起)」。
長可が気にしているのは彼らがヨーロッパ諸国や伴天連のスパイではないか、という点だ。
长可担心的是他们是否是欧洲国家或伴天连的间谍。
奴隷が実は日本国内の内情を収集する役目を負ったスパイという可能性は、静子も最初から考えていた事だ。その為、色々な『検査』を足満に依頼している。
奴隶实际上担负着搜集日本国内情报的间谍角色这一可能性,静子一开始就考虑到了。因此,她向足满委托了各种“检查”。
そして彼の『スクリーニング検査』を終えて問題なしと太鼓判を押されたのが、今目の前にいる四人だ。
然后他们四个现在就在我面前,因为他们完成了他的“筛查测试”,被证明没有问题。
「(何をどう『検査』したかは知らないけど、あの足満おじさんが問題なしって保証したんだから、大丈夫だと思うよ?)」
「(虽然不知道他是怎么『检查』的,但那个足满叔叔保证没问题,所以我觉得没事了吧?)」
「(ああ……確かに足満のおっさんは苛烈だからな。じゃあ大丈夫か)」
「啊......确实足满的大叔很残忍呢。那就没问题了吧。」
足満が調査した、その一言で長可は納得した。長可には話していないが、静子が問題なしと判断した他の理由は、彼らが『破門』されている点だ。
足满所调查的那句话,让长可信服了。除了没对长可说,静子认为没有问题的另一个原因是他们被“开除”了。
破門とは教義に反している信徒を、宗門(しゅうもん)から追放する事を言う。破門されるとキリスト教信者としての立場を失うが、中・近世においてはそれだけではすまない。
"破门是指将违背教义的信徒从宗门中驱逐出去。被破门者失去了基督教信徒的身份,但在中近代社会,这还不足以解决问题。"
信者として認められている権利や自身が所有する財産、破門された者が王族なら王位や領土、さらには嫡子にそれらを相続する権利を失う。
作为信徒,有权享有认可,并拥有自己的财产。如果被开除教籍的人是王族,则会失去王位、领土甚至继承嫡子的权利。
更に教会で宗教的儀式を受ける権利を失い、死した後も墓に入る権利すら失う。端的に言えば「人として扱われず、社会的に追放される」、それが中・近世のキリスト教の破門である。
而且失去在教堂接受宗教仪式的权利,即使在死后也失去进入墓地的权利。简单来说,“不被视为人,被社会放逐”,这就是中近世纪的基督教开除教籍。
中世に於ける有名な事件として『カノッサの屈辱』など攻撃的な面もあるが、破門は基本的には異端的信仰を防ぐ教会の措置だ。
在中世纪时期,出现了一些著名事件,例如“卡诺萨屈辱”,虽然其中有攻击性的一面,但破门基本上是教会为了防止异端信仰而采取的措施。
それゆえ教義の解釈違いによる聖職者同士の争いが起きた際、互いに破門される相互破門という結末を迎える事もあった。
因此,当因教义解释上的分歧而发生神职人员之间的争执时,有时会以相互排斥的结果相互排斥。
十一世紀にカトリック教会と東方正教会とに分裂したが、この時双方の最高責任者が相互破門となった事が分裂した理由であり、相互破門の最たる一例とされている。
在11世纪,天主教会和东正教会分裂了,造成这种分裂的原因是双方的最高领袖相互破门,被视为相互破门的最典型例子。
(この経歴書を見ると、一番年下の少女は庶子(しょし)か。これまた凄い苦労してそうだなあ)
(看到这份履历表,最年轻的女孩是庶出子,想必她也经历了许多艰辛呢)
庶子とはキリスト教世界では『不義の子』という意味を持つ。庶子には親から遺産を相続する権利を初めとした諸々の権利が与えられない。
庶子在基督教世界中意味着“不义之子”。他们无权继承父母的财产以及其他权利。
また世間からも厳しい目を向けられる事が多い。これはキリスト教の教義、つまり神学的に性行為は原罪と考えられていたからだ。
由于基督教信仰,性行为被认为是原罪,因此经常受到社会的严厉批评。
しかし、正当な婚姻の結果として子孫をもうけるための性行為は神に認められた事であり、罪には当たらないと考えられていた。
然而,性行为为了正当的婚姻而生育后代在神的眼中是被认可的,不被视为罪过。
その考えから、正当な婚姻以外での性行為は神の意志に背き、悪魔の誘惑にそそのかされた罪深き邪悪な行為と考えられるようになった。
由于这种想法,除了合法婚姻之外的性行为被认为是违背上帝意愿、被邪恶魔鬼引诱的罪恶行为。
(平民の庶子というだけでも辛いのに、更に宗教裁判にかけられて魔女とされた女の娘、しかも教会から破門か。短い間に一体何をしたのかな?)
(仅仅是平民的私生女就已经很不容易了,现在还被指控为女巫并接受宗教审判,而且还被教会开除了。她到底在这短暂的时间内做了什么呢?)
そんな事に思いを巡らせていると、静子は全員が食事を終えている事に気付いた。知らないうちに考え込み過ぎた、と思った彼女は頭を軽く振って思考を新たにする。
想着这种事情,静子注意到所有人都吃完饭了。她意识到自己不知不觉地想太多了,轻轻地摇了摇头,重新开始思考。
「食事は満足いったかな? 誰もが食べ残しをしていないことから、満足したと考える。では最初に、私の言葉を『理解』出来る者は手を上げて欲しい」
「大家都吃得很满意吧?从大家没有残留食物来看,我认为是满意的。那么现在,请那些『理解』我的话语的人举手。」
咳払いをした後、静子は彼らの反応を待った。少し間を置いて全員が手を上げた。少なくとも意思疎通に問題がない事に安堵する。
咳嗽了一下后,静子等待他们的反应。稍等片刻,所有人都举起了手。至少可以放心,沟通没有问题。
「(まあ日本語の勉強をさせていたから当然か)ならばよし。君たちの経歴は見させて貰った」
「让你们学习日语是当然的,这样就好了。我已经看过你们的履历了。」
言いながら静子は経歴書を軽く振る。途端に最年長の男性が険しい顔つきを浮かべた。
说着话,静子轻轻晃动着简历。瞬间,最年长的男性脸上浮现出严肃的表情。
「が、こんなものは参考程度だ。我が国、少なくとも上様の統治下にある地は、出自や肌の色で差別はしない。キリスト教を破門? 庶子? 全て考慮に値しない。人種や信仰が違おうとも有能でありさえすれば良い」
“但这只是参考而已。 在我们的国家,至少在上様的统治下,不会因出身或肤色而歧视。 驱逐基督徒?私生子?这些都不值得考虑。 只要种族和信仰不同,只要有能力,就可以。”
薄く笑ったあと、静子は経歴書を丸めて後ろへ放り投げた。最年長の男性は驚愕に目を剥くが、静子は彼らの反応を無視して言葉を重ねる。
薄笑一声后,静子将履历表揉成一团扔到了身后。最年长的男性目瞪口呆,但静子却无视他们的反应,继续说话。
「本来ならば己で言うべきではないのだが、私は悪しき因習を捨て、新しい文化を受け入れる程度の度量を持っているつもりだ。キリスト教の教義に反していようが、それが有意義であるならば私は認めよう。尤も私自身がキリスト教徒ではないので、教義に則した判断など出来ないし、するつもりもない」
“本来我不应该自夸,但我认为我有足够宽容的胸怀,能够放弃不良的传统,接受新的文化。即使与基督教的信仰相悖,如果这有意义的话,我也会承认。当然,由于我本人并非基督教徒,因此无法做出依据其信仰做出的判断,也没有这个意向。”
「……」
「……」 can be translated to Simplified Chinese as "……".
「君たちは、今食べた食事をもう一度食べたいと思わない? もし思うのならば、私に己の才を示しなさい。君たちの才が優れているのなら、私はそれに応じた報酬を支払おう。私からの言葉は以上だ。何か質問があるのなら、この場で遠慮なく問うが良い」
你们不想再吃一次刚刚的饭菜吗?如果想的话,就表现出你们的才华来。如果你们的才华非凡,我会给予相应的报酬。这就是我要说的话。如果有什么问题,请毫不犹豫地在这里提问。
箔を付けなければならないため、静子は少し偉ぶった口調で四人に宣言した。
需要装箔,静子用有点儿自大的口吻向四个人宣布。
四人はめいめいに悩み、時に四人で相談しあった。やがて結論が出たのか、最年長の男性が咳払いをした。
四个人各自烦恼,有时他们四个人一起商量。最后他们似乎得出了结论,年长的男性清了清嗓子。
「アー、私が代表して質問をしたい」
"啊,我想代表提问"
流暢な日本語で男性が喋る。ともすればフロイスよりうまく日本語を使えているのでは、とも思えた。
男性讲流利的日语。有时甚至会认为他比弗洛伊斯更能熟练地使用日语。
「構わぬ。申すがよい」
"无妨,你可以说" (Simplified Chinese translation)
「では……まずは我らに十分な糧を与えて頂いた事に感謝を。このような食事は未だかつて食べた事がない。これだけで、この国が如何に富んでいるかが解った」
“那么……首先要感谢给予我们充足食物的恩赐。我们从未嚐过这样美味的食物。仅凭这些美食就可以看出这个国家有多么富有。”
「……」
「……」 translates to "……" in Simplified Chinese.
「先ほど貴女は出自や肌の色を問わぬと仰った。ならばこそ問おう、我々はユダヤ人だ。それを知ってなお、先ほどの言葉を違(たが)えることが無いと断言できますか?」
“你刚才说过不计出身和肤色,现在就问你了,我们是犹太人,你能断言你之前所说的话不会因此而有所改变吗?”
ユダヤ人。現代では一部を除いて、一般的に受け入れられている人種だが中・近世に於ける彼らの扱いは、弾圧の一言では語りつくせない。
犹太人。在现代,除了一部分人以外,他们一般被接受为种族,但他们在近现代的对待,仅仅用“压迫”一词是无法描述的。
基本的に中世では「ユダヤ人はいかなる権利も所有出来ない」という考えがヨーロッパ中に蔓延していた。細かい理由は割愛するが、ユダヤ人は当時ヨーロッパ中で嫌われていた。
基本上在中世纪,“犹太人没有任何权利”这一观念在整个欧洲广泛流传。虽然细节不再赘述,但在当时犹太人在整个欧洲都不受欢迎。
もっともありふれたユダヤ人への非難が「彼らは高利貸しである」という点だ。
"对犹太人最常见的指责是他们是高利贷者。"
誤解なきよう付け加えるが、ユダヤ教でも高利貸しは禁止され、度々指導者たるラビたちによって高利貸しの禁止が説かれていた。
然而需要补充的是,在犹太教中也禁止高利贷,而且经常被领导者拉比们所强调。
だが、金貸し以外に生きる道なし、となるとユダヤ教のラビたちも高利貸しを認めざるを得なくなり、ユダヤ教の経典とも言えるタルムードにある禁止内容の緩和をする以外になかった。
然而,如果除了放债人以外没有生存之道,那么犹太教的拉比们也不得不承认高利贷,除了放宽《塔木德》禁止内容以外别无选择。
一方、中世キリスト教の聖職者は資産家であり、聖職者の他に様々な役割を持っていた。その中の一つに金貸しの役割があった。だが、中世教会は聖職者の金貸しを度々禁じた。
一方,中世纪基督教的神职人员是资产家,并且除了神职人员之外还担任着各种不同的角色。其中之一是担任放贷人的角色。然而,中世纪教会经常禁止神职人员放贷。
1179年の第3ラテラン公会議において「金貸しをするキリスト教徒は、キリスト教徒として埋葬するに相応しくない」という宣言を出した。
1179年第三届拉特朗公会宣布:“提供金融贷款服务的基督徒不适宜作为基督教教徒进行埋葬。”
しかし、金を借りる側の王や貴族、商人達は様々な理由から金を貸してくれる存在が必要だった。
然而,借钱的国王、贵族和商人们需要有人出借金钱,他们有各种各样的理由。
今まで金を貸してくれる相手が聖職者であったため、教会の威光を畏れて賃借の問題はおきなかった。
由于借给我钱的人是一名教士,因此我十分敬畏教会的威望,从未发生过租借问题。
だが聖職者が金貸し業から駆逐されユダヤ人が後釜に収まった時、ヨーロッパ人の敵意はユダヤ人に対して向かう事となった。
然而,当圣职者被驱逐出借贷业务,犹太人取而代之时,欧洲人的敌意转向了犹太人。
普段軽視しているユダヤ人から金を借りる。それだけでも屈辱だが、高まった敵意を抱いたキリスト教徒たちは、借金をしておきながらユダヤ人などに金を返済したくない、と考える者が出てきた。
平时轻视犹太人,现在却向他们借钱。这本身就是一种屈辱,但怀有敌意的基督徒们不仅借了钱,还有些人不想还给犹太人等人。
そういった反感を利用し、返済を出来なくなった自分達の苦境を救う手段、と言い訳を並べて借金を踏み倒す者が出始めた。
这些人利用这种反感,为了拯救自己无法偿还债务的困境,开始借债并找各种借口来逃避债务。
中にはユダヤ人が武器携帯の禁止、土地の所有を禁止されているのに目を付けて、暴動を起こして虐殺し、その隙に借金の証文を破棄する者も現れた。
其中一些人注意到被禁止携带武器和拥有土地的犹太人,发起了暴动并屠杀他们,同时趁机毁掉了债务文件。
借用書が破棄されてしまうと、ユダヤ人の所有者(大抵は王)は返済を請求できなくなり、結果的に債権を放棄せざるを得なくなった。
如果借书被销毁,犹太人所有者(通常是国王)将无法索取偿还,最终不得不放弃债权。
「先ほども述べたが、もう一度宣言しよう。君たちは有能さを示せばよい、出自や肌の色など些末な事だ」
“刚才已经说过了,我再重申一遍。你们只需要展示自己的能力,而不是关注出身或肤色等无关紧要的事情。”
「解りました。そのお言葉を信用し、お仕えさせて頂きます」
“我明白了。我信任你的话,我会为你服务的。” (Simplified Chinese)
「私が仕えるに相応しくない、と考えたのならば遠慮なく申すが良い。追手を掛けるような事はしない。私がその程度の人間だった、と思うだけだ。しかし考え違いをしてはならない。己の才に胡坐をかき、精進を忘れた時、私は容赦なく君たちを切り捨てる」
如果你认为我不值得服务,那么请毫不犹豫地说出来。我不会派人去追你。这只是因为我认为自己不如你们而已。但不要误解了,当你自满于自己的才华时,却忘记了精进,那么我将毫不留情地切断你与我之间的联系。
最年長の男性が反応を示すが、静子は無視して言葉を続ける。
最年长的男性表现出反应,但静子无视他继续讲话。
「それは君たちがユダヤ人だからではない。目標を持ち、歩み続けることで人足りえる存在になり、生きる意味を持つ、と私は考えている。ただ口を開けて餌を待つだけの家畜は必要ない」
“这不是因为你们是犹太人,而是因为拥有目标并不断前行才能成为有价值的存在并拥有生命的意义。我们不需要只张开嘴等待食物的牲畜。”
静子が言い切ると同時に、最年長の男性は膝を叩いて破顔した。それは侮蔑ではなく、歓喜の笑みに見えた。
静子一说完,最年长的男性便拍着膝盖哈哈大笑。他的笑容并非蔑视,而是充满了欢喜。
「失礼しました。お若いというのに良く学ばれている。実を言うと、言葉を交わすまではどんな馬鹿の相手をするのか、と考えていました。今までの主は口ばかり達者で、頭の方はサッパリという方が多かったもので」
“抱歉,即使是如此年轻,您也已经学到了很多。说实话,在交谈之前,我一直在想要面对什么样的笨蛋。以前的主人都只善于口头表达,大脑方面却没有什么多余的东西。”
笑みをひっこめた男性は居住まいを正す。それを見た残りの三人も後に続いた。
收起笑容的男子住进了他的住所。其他三个人看到后紧随其后。
「我らは貴女様にお仕え致します。ご存分に我らをお使い下さい」
「我们将侍奉您。请随意使用我们。」
「君たちの主人として合格、と見て良いかな?」
“作为你们的主人,可以认为我合格吗?”
「満点とは申しませんが、最高点とだけ」
“虽不敢说满分,但至少是最高分。”
そう言って男性は笑った。今度は残りの三人も同様に笑みを浮かべる。
男人笑着说:“就这么说吧。”接着另外三个人也露出了笑容。
黙ってやり取りを聞いていた長可達は困惑していたが、静子とユダヤ人との間に流れる和やかな雰囲気を感じて口を閉ざした。
沉默地听着交流的长可达感到困惑,但感受到静子和犹太人之间和谐的氛围,她闭上了嘴。
「あ、忘れるところでした。一つだけお願いがございます」
“啊,差点忘了,我有一件请求。”
「無茶な要望でなければ」
「只要不是无理要求」
「いえ、単純な要望です。我らに名前を頂きたい」
“不,请给我们一个名字,这只是一个简单的要求。”
男性の言葉に静子は首を傾げた。自嘲気味に笑いながら、男性は言葉を続ける。
男性的话让静子不禁歪了头。男性一边自嘲地笑着,一边继续说话。
「我らはユダヤ人。争いに敗れキリスト教へと改宗させられ、散々侮辱的な名で呼ばれた。我らは生まれ持った名前を思い出すことができません。ならばここで新たに生まれ直し、出発地としたいと思います」
“我们是犹太人。我们曾被打败并改宗为基督教,被称为许多令人侮辱的名称。我们无法记得自己天生的名字。因此,我们想在这里重新开始,作为我们的起点。”
レコンキスタ達成後、キリスト教に改宗されたユダヤ人や北西アフリカのイスラム教徒たちは、新キリスト教徒と呼ばれた。
“在收复失地战役之后,改宗基督教的犹太人和西北非的穆斯林被称为新基督徒。”
だが改宗者という意味のコンベルソや、酷い場合によってはマラーノ(スペイン語で豚、汚い人という侮辱用語)と蔑称される事が多かった。
然而,改宗者这一称谓的意思“Converso”,在极端的情况下还会被称为“Marano”(在西班牙语中意为猪,指一个脏的人并作为一种侮辱用语)。
改宗する理由は国家からの強制改宗令が出たり、経済的な苦境や社会的な弾圧から逃れる為であったりした。
改宗的原因可能是因为国家发布了强制改宗令,也可能是为了逃离经济上的困境或社会上的压迫。
だがキリスト教に改宗する事はヘブライ語やアラビア語の名前を捨て、洗礼名を名乗る事と同義だった。
但改宗基督教意味着要放弃希伯来语或阿拉伯语的名字,取而代之的是领受洗礼时所受的新名字。
また改宗した事で、ユダヤ人共同体からは批判的な視線を向けられ、キリスト教徒からは背教の疑いを常に向けられた。
他们又因此改变信仰,遭到犹太人社区的批评目光,而基督教徒则常常怀疑他们背教。
中には改宗をうまく利用し、今まで自分たちにかけられた規制の対象外となり、権力を得て成りあがった有力なユダヤ人もいた。
其中有些犹太人巧妙地利用改宗,成功摆脱了之前针对他们的限制,获得了权力并成为了有影响力的人物。
「それはこの国の民として生きるという意味かな」
“这意味着以这个国家的民族身份生活吧。”
「その通りです。もう宗教に振り回されるのは御免です。どちらも都合の良い時だけ仲間扱いをして、困った時には切り捨てられる。あんな連中とは決別したいと思うのです」
“没错。我不想再被宗教操纵了。他们只在方便的时候把你当作同伴,需要帮助的时候就把你放弃了。我想跟那些人划清界限。”
吐き捨てるように男性が言う。静子が視線だけを長可達に向けると、彼らは小さく頷いた。彼らから見ても男性の言葉に偽りはないと判断した。
男性如吐露口水一般说道。当静子只是把目光凝视到很远的地方时,他们微微点头。他们判断男性的话即使从他们的角度来看也是无假的。
もとより足満の調査を潜り抜けた以上、どこかからのスパイという点は考えていなかったのだが。
既然已经通过了对足满的调查,我没有考虑到有来自其他地方的间谍。
「ふむ……では後に名前を知らせる。今日はもう休むが良い」
“嗯......那么我以后再告诉你名字。今天最好休息。”
「主人からの頂き物ですから、期待しております」
“这是主人赐予的礼物,我很期待。”
男性はニヤリと笑いながら言った。
男性咧嘴笑着说。
後日、静子は彼らに名を与えた。一番流暢な日本語を話せる最年長の男性は「虎太郎(こたろう)」、寡黙な三十路の男性には「弥一(やいち)」、その妹は「瑠璃(るり)」、十代の少女は「紅葉(もみじ)」という名をつけた。
后来,静子给他们起名字。能说流利日语的最年长男性被命名为“虎太郎”,沉默寡言的三十岁男性被命名为“弥一”,他的妹妹被命名为“璐璃”,十几岁的女孩被命名为“红叶”。
政治的にも軍事的にも敗北した足利義昭は、毛利家が引き取る事となった。
足利义昭在政治和军事上都失败了,只能被毛利家收养。
対外的には体調を崩して政務が行えなくなり、長期療養のために征夷大将軍の位を帝へとお返しすると発表された。
对外宣布因健康原因无法履行政务,需要长期疗养,故将征夷大将军的职位归还天皇。
だが京の民や周辺国の民は殆ど信じておらず、信長に反逆したために放逐されたと考えていた。
但是京都和周边国家的人几乎没有相信,认为他们因为反叛信长而被放逐。
まだ荷物の整理や人員確保などが残っているが、義昭が京を去る時、それが室町幕府の閉じる日となる。
尽管仍有整理物品和确保人员等任务尚未完成,但義昭离开京城的时候,它将是室町幕府的结束之日。
とはいえ信長が幕府を滅ぼしたという外聞は悪いと考え、自分の役目は義昭の子を次代の征夷大将軍に相応しい者に育てることだと宣言した。無論、誰も信じることはなかった。
然而,他认为“信长摧毁幕府”的外传是不好的,宣称他的职责是培养义昭的儿子成为下一任适合担任征夷大将军的人。当然,没有人相信。
反織田勢力へ睨みをきかせた後、静子は尾張へ帰国する、はずだった。だが岐阜へと辿り着いた頃、信長から呼び出しを受けた為、静子は岐阜に残る事にした。
反对织田势力后,静子原本应该回到尾張国。但到达岐阜后,因得到信长的召唤,静子决定留下来。
新しく出来た静子の岐阜用邸宅に、軍を置いても良かったのだが、これと言った用事もなく、また信長からの指示もなかったため、指揮を玄朗に任せ、尾張に到着次第、軍を解散するよう命じた。
新建的静子岐阜用府邸,虽然可以驻军,但由于没有特殊任务或信长的指示,因此委托玄朗指挥,并命令到达尾张后解散军队。
「また気まぐれかな」
"再次任性了吧" (note: this translation may not be exact as the original phrase may have different nuances depending on the context)
そんなことを呟きつつ静子は信長の許へと案内される。この頃の信長は茶室を密会の場にしているため、静子が案内された場所も茶室だった。
呢喃着这样的话语,静子被带到信长的处所。当时的信长把茶室作为秘会之地,所以静子被带到的地方也是茶室。
普通の茶室と違う点は、少し離れた場所に警護の人間が目立たないよう配置されている点だ。
和普通的茶室不同的是,警卫人员被安置在较遥远的地方,以不引人注意的方式。
「上様、お呼びでございましょうか」
"先生/女士,需要召唤您吗?" (Note: "上様" can have different translations depending on context and the target audience. This translation is one of the common ways to address someone in a respectful manner in Japanese, but the appropriate translation may vary depending on the situation.)
「入れ」
"入れ" in Simplified Chinese is "放入" (fàng rù).
茶室の外から声をかけると、すぐに信長から入室の許可が返ってきた。静子は一度息を吐くと、静かに客用の入り口へと歩み寄る。
当从茶室外喊话时,信长马上回复了进入房间的许可。静子呼出一口气,静静地向客用入口行去。
茶室にある客用の入り口は「にじり口(ぐち)」と呼ばれている。狭い入り口ゆえ膝をついて入る必要があり、勢いよく踏み込む事は不可能であり、急所を相手に晒しつつゆっくりと入ることで敵意の無さを示すことができる。にじり口は千利休が舟座敷を見て思いついたものと言われている。
茶室里客人使用的入口被称为"にじり口(ぐち)"。由于入口狭窄,必须跪着进入,并且无法用力踏进去,只能缓慢地进入,以展现出对于敌意的无意。据说,にじり口是千利休看到舟座敷后想出来的。
まだ千利休のわび茶は大成していないため、客用の入り口は少し低い程度に抑えられていた。無論、茶室に入るには武器や防具を外す必要があるのは変わらない。
因为千利休的侘茶还没有完全成熟,所以客人的入口被略微压低。当然,进入茶室仍需要脱下武器和防具。
「失礼します」
"失礼了" (shī lǐ le)
入り口を静かに開け、一礼した後、静子は茶室に入る。信長は茶を点(た)てていた。
推开门,静静地鞠躬后,静子走进了茶室。信长正在烹茶。
「先だって南蛮の奴隷を買ったと聞いた」
听说最近买了南蛮的奴隶。
静子の前に茶が置かれる。奴隷を買った理由を話せ、と察した静子は茶碗を手元に寄せると、奴隷購入の理由を語る。
茶被放在静子面前。静子察觉到必须说出买奴隶的原因,便把茶碗放在身边,开始讲述买奴隶的原因。
「南蛮の技術を得るためです。私が伝えられる事には限界があります。新しき技術を広めるには、奴隷商人から技師を買い取る以外にありません」
获取南蛮技术。我能传授的有限。要推广新技术,只有从奴隶商人那里购买技师。
「買う理由には弱い」
「购买理由很充足」
「その為の言語学者です」
"为此而生的语言学家"
「ほう?」
"哦?"
信長の表情が変わる。静子は信長が興味を示した事を確信した。
信长的表情变了。静子确信信长表示了兴趣。
「伴天連が我が国の言葉を喋っているのですから、こちらも彼らの言葉を理解する必要があります。こればかりは、向こうで言葉の研究を行っている者を連れてこなければなりません。が、普通に取り入れようとしても、相手が警戒心を持ってしまいます」
“伴天连已经说出我们国家的语言,我们也需要理解他们的语言。这需要我们带来在那里研究语言的人。但是,即使我们普通地接受他们的语言,对方也会感到警惕。”
本来の意味での言語学者は、言葉が多数喋られるのではなく、言語について研究を行っている者を指す。だが、今は信長に説明するため、その辺りの違いを静子は省略した。
本来的意义上的语言学家是指研究语言的人,而不是讲话很多的人。但现在为了向信长解释,静子省略了这方面的差异。
「しかし、奴隷ならばその無用の軋轢を回避出来ます。無論、間者が入り込む可能性はありますので、その点は足満おじさんが検査しました」
“但是,如果是奴隶,就可以避免这种无用的摩擦。当然,间谍可能会潜入,这一点被足满叔叔检查过了。”
「ふむ……伴天連どもの言葉か。確かに知っていて損はないな」
「嗯……伴天连们的话啊。确实知道也不会有害处。」
顎に手を当てて信長は考える。南蛮の言葉を知っていて損はない。連中が密談している内容も知ることができる可能性が高まる。
把手放在下巴上,信长思考着。了解南蛮语言是有好处的。这样可以增加了解他们秘密谈话内容的可能性。
足満が検査をしたのならば、間者として紐が付いている可能性は限りなく低くなる。利点があると分かると、信長は小さく笑った。
如果足满进行了检查,则作为间谍绑带的可能性将无限接近于零。 知道了优势,信长微笑着说。
「茶が冷める」
"茶变凉"
「頂戴します」
「拜托了」
そう言うと静子は信長が点てた茶を飲む。すっかり冷めてぬるくなっているが、その事を言うわけにもいかず、4、5回に分けて茶を飲み干した。
这样说着,静子喝了信长泡的茶。茶已经彻底凉透了,不过她无法说出这件事,只好分四五次将茶喝完。
「さて南蛮の奴隷の件は良い。我が国の話をしよう」
"那好,关于南蛮的奴隶的事情就不说了,我们来谈谈我们国家的事情吧。"
「承知しました」
「我知道了」
「貴様の献策通り、捕らえた一向宗の者を大量に石山本願寺へ送り付けてやった。最初は効果が見えなんだが、最近の報告を聞いてようやく貴様の目論見を理解出来たわ」
"按照你的建议,我们大量地将捕获的一向宗信徒送到了石山本愿寺。起初看不出效果,但听到最近的报告后,我终于理解了你的计划。"
信長が語りながらニヤリと笑う。静子としては史実上で行われた信長の虐殺を阻止したかった、だけだがそれ以外に効果があったのか、と内心首を傾げる。
信长一边说着话一边咧嘴笑着。作为静子,她只是想阻止信长所犯下的历史上的暴行,但她内心忧虑着是否还有其他的效果。
「本願寺は今、長島一向衆を支えるだけで精一杯だ。教義の関係で見捨てる事は出来ぬ。武具がないゆえ兵にも出来ぬ。飢えた連中を受け入れれば治安が乱れ、疫病が流行する。中々の策よ」
“本愿寺现在已经全力支持长岛一向宗了。由于教义的关系,我们不能放弃他们。但我们没有武器,也不能派兵。如果收留饥饿的人,会导致治安混乱和疾病传播。这真是一个难题。”
信長の言葉で静子はようやく気付く。長島一向衆にどれだけの人口がいたか不明だが、史実で2万人が焼け死んだと言われているので、少なくとも数万人がいた事は確実だ。
信长的话让静子终于意识到,虽然不知道长岛一向众有多少人口,但据史实说有2万人被烧死,所以人数至少有几万人是确凿的。
それだけの難民が石山本願寺へ押し寄せる。受け入れる側の石山本願寺にいる顕如と側近たちは頭を抱えたに違いない。
那么多难民涌向石山本愿寺。石山本愿寺作为接纳方的顕如和他的助手肯定很为难。
何しろ食料は殆ど所持していない、武具は取り上げられ何もない、金子も少額しか持っていない。そんな人間を数万人も抱えなければならない。
说起来食物几乎没有,兵器也被夺走了,一无所有,只有少量的金子。必须要负责这么多人。
そして宗教の性質上、押し寄せた難民を見捨てる事は出来ない。しかし、難民を受け入れると士気が下がり、治安は悪化し、下手すると疫病が流行する。
由于宗教的性质,无法抛弃涌入的难民。但是,接受难民会降低士气,治安恶化,如果不小心,可能会爆发疾病。
結果的に彼らは私財を投げ打って、数万人の難民を養わなければならないのだ。
结果,他们必须投入自己的财产来养活数以万计的难民。
「この策は使える。今後も一向宗は丸裸にして石山本願寺へ送り付けるよう、各方面へ通達した」
这个策略是可行的。未来,我们将向各方面通达,继续揭穿一向宗,将其送至石山本愿寺。
「(効果あると分かれば、容赦なく策を実行するのは変わらないな)承知しました。我が軍も一向宗と相対した時、なるべく敵を殺さず石山本願寺へ送り付けるようにします」
「如果确认有效果,那么无情地执行策略是不会改变的。我明白了。当我们的军队面对一向宗时,会尽可能地不杀敌人,把他们送到石山本愿寺去。」
「うむ。さて次だが、貴様に10万石の領地を与える」
“嗯。那么接下来,我会给予你十万石的领地。”
「はい? あのー、土地を頂いても私は管理出来ないのですが……」
"喂?那个,虽然给了我土地,但我无法管理它……"
浅井滅亡後に秀吉が信長から任された領地が約12万石とされている。つまり10万石とは光秀や秀吉、柴田たちと肩を並べる領地を所有している事となる。
据说浅井家灭亡后,信长授权给秀吉的领地约有12万石。也就是说,拥有10万石的领土意味着与光秀、秀吉、柴田等人拥有同等规模的领土。
名実ともに大名と言えるが、静子からすれば土地の管理などしたくないのが本音だ。
名副其实可以称为大名,但从静子的角度来看,她内心并不想管理土地。
「慌てるな。まず10万の内、5万は近衛家のものだ。これは畿内の土地整備をした場合、近衛家の荘園が減るゆえの措置だ。この5万石に関して、貴様は何もしなくて良い」
“不要慌张。首先,在这十万石中,五万石属于近卫家。这是为了在整理畿内土地时,减少近卫家庄园的措施。对于这五万石,你什么也不需要做。”
「しかし、それでも5万石ですよ。私、土地の管理は無理な気がします……」
“但是,仍然是五万石呢。我感觉土地管理很难…… ”
「補佐官の派遣はする。数年もあれば、土地の管理に支障はなくなろう」
"我们将派遣助理官,几年时间后,土地的管理将不再成为问题。"
「(ああ、決定事項なのですね)承知しました。色々とご迷惑をおかけする事になるかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます」
"啊,我知道这是个决定事项。可能会给您带来一些麻烦,非常抱歉,请多多关照。"
信長の中では決定事項だと理解した静子は、何を言っても無駄だと悟った。毎度の事ながら突然の命令は勘弁して欲しい、と静子は思った。だが言ったところで改善されるはずもない。
明白信长已经做出了决定,静子认识到说什么都是徒劳无功。如往常一样,静子想要避免突然接到的命令,但她知道即使说了也无济于事。
何しろ彼は織田信長なのだから。
毕竟他是织田信长。
「板挟みになった補佐官が胃痛で倒れない事を祈ります」
“祈愿被夹在两难境地的副官不会因胃痛而倒下。”
「安心しろ。倒れるぐらいならクビを切る」
“放心吧。如果要垮掉,我会开除你的。”
そのクビは解雇(クビ)なのか、それとも斬首(クビ)のどちらか少し気になった。だが、指摘するより聞かなかった事にした方が良いと思い、静子は信長の言葉を聞き流した。
那个“头”的意思是解雇还是斩首,让静子有点疑惑。但她觉得不如不指出这点,听听信长接下来要说什么,于是她便置若罔闻。
「さて、もうすぐ畿内は慌ただしくなる。各陣営に服従か徹底抗戦、どちらを選ぶのだと文を送った。今ごろ、連中はどうするか頭を抱えているだろうな」
“现在,近畿地区很快就会变得忙碌起来了。我向每个阵营发了一封信,询问他们选择服从还是全力抵抗。现在,他们可能正揣摩着该怎么做。”
悦に入った顔で信長は語る。織田包囲網の意趣返しが出来て、彼はとても楽しそうだった。何しろ反織田連合の頼みの綱である武田軍は、完全に敗北したのだ。
信长满脸喜悦地说道。织田包围网终于奏效,他看起来非常高兴。毕竟,作为反织田联盟的支柱,武田军已经被完全击败了。
今の時期、織田陣営が一気呵成に動くのは道理だ。勝機ある時、手間を惜しまず打てる手を全て打つのが信長だ。
现在这个时候,織田军团全力行动是理所当然的。在有胜利的机会时,信长会毫不犹豫地尽其所能去打出最好的手牌。
各陣営に旗幟の宣言の打診をしたとの事だが、静子は信長の目的がそれだけではない事を察する。
据说各阵营已经打算宣布旗帜,但静子察觉信长的目的不仅仅是这个。
この時期に降伏を促せば、自身の寛容さを知らしめる事が出来る。また、服従を蹴った場合、いくさもやむなしという空気が作れる。
在这个时候敦促投降,可以展示出自己的宽容。同时,如果不服从,也会制造出“战争不得不进行”的氛围。
だが、これだけとも思えない。信長が単純にそれだけの理由で手紙など送るはずがない。何か一つ、肝になるものがある、と静子は考えた。
但是,我不认为只有这些。信长不会仅仅因为这个原因发送信件。静子认为,一定有重要的理由存在。
「……なるほど」
"原来如此"
そして静子は察した。足満が急に単独で仕事をこなす事、それ以前に前久が防寒用具を発注してきた事、そして信長が各陣営に送った服従を促す手紙。
然后静子猜到了。足满突然独自完成工作,之前前久已经订购了防寒用具,信长也派了一封催促各阵营服从的信。
全てをつなぎ合わせると、信長が各陣営に服従しろと迫ったのは、ただのブラフで本当はどちらでも良い事だと静子は理解した。
把一切连接起来时,静子明白信长威胁要让各阵营屈服只是强词夺理,其实无论选哪边都无所谓。
彼が手中に収めたい陣営はただ一つだ。他は信長が送った服従の手紙の返答は、どちらを選ぼうが信長にとっては些末な事だ。
他想要收复的阵营只有一个。其他的,无论选择哪个,对信长来说都是不重要的,只是回复服从信长的信件而已。
「お茶、馳走になりました」
"茶水请享用"
だが答えは口にしない。どこで誰が聞いているか不明だし、信長も静子が語る事を望んでいない。茶と一緒に言葉を飲み込んだ静子は、からになった茶碗を置いた。
但是答案不会说出口。在不确定在哪里和谁在听的情况下,信长也不希望静子说些什么。静子将话语和茶一起咽下,放下了空茶碗。