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白色相簿2中日对照 第二章 ギターとピアノとボーカルと 吉他、钢琴和主唱 (日语)

2022-11-07 02:26 作者:杉浦小春首席老公  | 我要投稿

从附属时间线开始到发现主唱部份

武也

「ちょつ、ちょっと待てって! お前まで行っちまうの!?」

軽音部員

「離せよ!

てか、なんで俺だけ残んなきゃなんないの?」

武也

「お前だけじゃないって。 ほら、ここにはまだ三人も」

軽音部員

「いいや二人だ。

つい10分前まで六人いたのにな。

仲間割れだよ。空中分解だよ。電撃解散だよびっくりだ」

武也

「ドラムどうすんだよ!

他にいないんだぞ。放り出す気かよ?」

軽音部員

「じゃあべースは?

キーボードは?

そもそも最初にいなくなったボーカルは?」 武也

「そ、そんなの俺がなんとかしてみせるって! もともとが一月で集めたメンバーだし」

軽音部員

「今度の一月後は学園祭本番だな。

…で、どうやって間に合わすの?」

武也

「........最初から上手い奴らに頼むとか。 

音楽科の連中とか」

軽音部員

「あいつらが普通科のお遊びに参加するかよ」

武也

「…そうなんだよなあ」

軽音部員

「毎年仲間内だけで寄り集まって、

自己陶酔の小難しい曲ばつか演奏じやがって、

俺らを違う意味で夢の世界に誘ってくる奴らだぞ?」

武也

「いっつも訳わかんねえクラシックを次から次へと。

 お祭りだってのに白けるわ眠いわ」

軽音部員

「楽しんだもの勝ちってことわかってないんだよ。

 毎年毎年コンクールみたいにピリピリしやがって」

武也

「空気読んでねえよなあ。

本人たちは芸術のつもりか何だか知らねえけどさ」

軽音部員

「まったくなあ…」


武也

「ああ…ホントに参るぜ」

軽音部員

「………」

武也

「………」

軽音部員

「と、話がまとまったところで

 俺は行かせてもらう」

武也

「ああう!?

いつの間に振りほどいた!?」

軽音部員

「頑張ってくれ飯塚。成功を祈ってるそ。

草葉の陰から白旗くらいは振っててやるからな」

武也

「てめこら藤代!裏切り者! 

戻れ、戻って来い!」

武也

「恨むぞ!呪うぞ!

いつか思いっきり晴らすぞ~!」

武也

「頼むよおおお~!

戻ってきてくれえええ~!」

武也

「…ったく、

どいつもこいつも」

武也

「学園祭の主役は自分たちだって意識がないんだよな。 

だからすぐに投げ出しちまう」

武也

「何のための学園生活だよ。

若いうちしかできないことってあるだろ?」

武也

「......おい」

武也

「そうやって絶望感を煽るな! 

まだ終わってねえよ!」

春希

「お疲れ~」

男と男の修羅場が終わると、

そこには男と男の二人が残っていた。

というかあいつら、

俺がここにいるのも忘れてすっかり工キサイトしてたし。

…ま、ある意味仕方のない展開ではあったけど。

武也

「なあ春希どうしよう?

とうとう俺とお前の二人だけになっちまった…」

春希

「いいや一人だ。

10分前まで六人いたのにな」

武也

「裏切り者っ!?

お前がいなくなったらギターどうすんだよ!」

春希

「お前もギターだろうが部長」

残ったのはギターが二人。

今や、とてもフォークな軽音楽同好会。

武也

「はあ·なんでこんなことに? 

もう学園祭は来月だってのに」

春希

「お前が俺の忠告を聞かずに、

 勝手に話を進めるからだ」

武也

「だって春希、説教臭えんだもん」

春希

「いいか武也?

俺は最初から言ってたよな?

あのコを入れるのはやめとけって」

武也

「言ってる側から説教だし」

そう、発端は一人の下級生。

春希

「別に女の子のボーカルが悪いなんて言ってない。 

けど、こうなることは十分予測できたはずだよな?」

2年C組 柳原朋。

去年の学園祭の裏コンテスト『ミス峰城大“付属”』にて、

準優勝を獲得した逸材にして、今年も堂々の優勝候補。

武也

「んなこと言ったって…

彼女の方からどうしてもやりたいって…」

噂では芸能界入りを狙ってるらしく、

そのため今年のコンテストに賭ける意気込みは 

並々ならぬものがあったようで。

春希

「見返りは?」

武也

「自分の奥底にある想いを精一杯表現したいって情熱を 誰が止めることができようか反語…」

で、今年の学園祭では、どうやら当日のアピールを

ステージに見出したらしく…

春希

「…で、見返りは?」

武也

「ちょっとだけ、手付けをいただきました..」

その煽りを食らったのが我らが軽音楽同好会。

毎年、学園祭の三ヶ月前に集まる有志によって、

脈々と受け継がれるこの適当な呼称を持つ当会は、

今年は我がそこそこの友、飯塚武也によって旗揚げされた。

春希

「お前にしては珍しく、してやられたな武也。

その結果がこれだ」

そこに唐突に加わった紅一点は、

メンバーの中に様々な軋轢をもたらした。

武也

「…女は見かけによらね」

要するに完全無欠のサークルクラッシャーだった。

春希

「やってることお前と同じじゃん」

彼女の加入を快く思わないメンバーを、

なりふり構わない手段で懐柔して、

全員を自由自在に操ろうと画策していた。

武也

「俺は見るからにそういう人間だからいいんだよ」

何故そこまで彼女の手口に詳しいかと言うと、

まあ、俺も彼女のターゲットの一人だったからだけど。

春希

「俺をそこまで深く納得させたって何の得もないぞ?」

まさに『懐柔』という言葉が

ぴったり来るくらいに柔らかそうだった。

何がとは敢えて言わない。

武也

「春希…どうする?」

春希

「確かに…困ったことになったな」

武也

「もうエントリーは済んでるし、 

プログラムも入稿寸前だし、 

…何が何でも形にしないと」

春希

「そうだな。深刻な事態だ」

武也

「今から間に合うような奴に心当たりないし。 

…お前、あるか?」


春希

「いや…残念ながら」

武也

「だよなあ。

かと言って、音楽科の連中に頭下げるのも」

春希

「足下見られて散々こき下ろされた挙句断られるか、 

一言の下に切って捨てられるかどっちかだろうな」

武也

「どうすりゃいいんだよ…」

春希

「本気で…参ったなあ。

 八方ふさがりだ」

武也

「………」

春希

「………」

武也

「…春希」

春希

「ん?」

武也

「お前全然困ってないだろ!

思いっきり他人事だろ!」

春希

「え~、ソンナコトナイデスヨ?」

武也

「お前の場合弾いてる曲で判んだよ! つかわざとだろ絶対!」

春希

「あ、いやへ、これは体が勝手に」

武也

「もういい!

お前におんばぶにだっこで全部丸投げしようとしてた 

俺が馬鹿だった!」

春希

「って、そんな都合のいいこと考えてたのかよ…?」

武也

「探してきてやるとも!

ベースの天才とドラムの天才とキーボードの天才と、

 あと、極めつけの美少女ボーカリストをな!」

春希

「お前ちっとも懲りてないだろ本当はそうなんだろ」

武也

「じゃあな!

後で泣いて頼んだって入れてやんねえからなり」

春希

「あ~」

…と、言うわけで、

週に二回しか使わせてもらえない第一音楽室に、たった一人残されてしまう。

あと一月半…

ここで練習できるのも残り10回を切ったところで、

事態は綺麗に無垢にまっさらに白紙に戻ってきた。

春希

「どうするかなあ…」

無責任かつ火種な軽薄部長の手前、

こっちも無関心を装わせてもらったが...

そうは言ってもこの事態、

ある程度の想定はしてたけど、

期待をしてたかというと、むしろその逆だったりして。

春希

「ほとんど出来てたのになあ…」

例えボーカルが、

男同士の友情を、天秤の重りくらいにしか考えてない、

計算高い科学者だったとしても

それでも、その人気と外見と媚ぴ慣れた態度があれば、

 俺の目的は、結構な確率で達成されたんだろうけどな。

春希

「本気で…参ったなあ」

峰城祭を来月に控えた、秋も深まる10月の夕暮れに…

俺、峰城大付3年E組北原春希は、

誰も聞いていないのをいいことに、盛大なため息をついた。

……

親志

「予想の修正?」

春希

「ああ、二年の柳原を◎から○に変更で頼む」

…それはともかくとして。

学園祭で「ミス峰城大付属実行委員」を担う身としては、

その逆境すら情報戦の一つとして利用する

したたかさが必要だったりする。

親志

「つい先週まで、

小木曽の三連覇に黄信号って言ってたのに、

どういう風の吹き回しだ?」

春希

「選挙ってのは生き物なんだよ。

昨日までの予想が今日はまるっきり役に立たなくなる。

俺たちは毎年そんな生きた情報と戦わねばならない…

親志

「てことは今年も波乱はなし…か?」

春希

「お前、俺の話聞いてたか? 

今日の予想は明日には…」

親志

「ま、でも…

個人的には小木曽独走でまったく異存ないけどな」

春希

「…それには同意せざるを得ないな」

峰城大付属の学園祭は、

キャンパスが隣接する峰城大の大学祭と 

同日開催で行われる。

近隣どころか県外からも多くの人が押し寄せる

峰城大祭に比べ、そりゃ悲しいほどの規模の差を誇る

まさに“付属した祭”なのは仕方のないところ。

それでも大量に押しかける峰城大祭側の客を

騙したりすかしたり休憩所と偽ったりで誘致して、

毎年、そこそこの賑わいを見せている。

中でも向こうの看板イベントにあざといまでに便乗し、

ある意味本家以上に“内輪で”盛り上がるのが、

この『ミス峰城大付属』。

本家の「ミス峰城大」は、

峰城大祭最終日のステージを独占して行われ、

マスコミまで注目する一大イベントと化している。

けれど、大学ほど自治権を認められていないしがない付属。

色々と世間の批判とかも考慮した職員側の判断もあり、

ミスコンの正式開催が理事会で通ることはなかった。

となると逆に、ちょっと背伸びしたくなるお年頃の付属生。 

体制に従うふりをして、地下に潜った。

しかし、地下で懦っているような先輩諸兄では…

彼らは、付属祭実行委員会を二段構えで組織して、

めでたく『ミス峰城大付属』は裏開催される運びとなった。

それが10年くらい前の話。

そんな反社会的な伝統に限って、

絶えることなく脈々と受け継がれるのはこの世の常で。

ステージイベントもない、水着審査もない。

ただ、当日配布される写真入りパンフレットをもとに、 

普通に学園祭を楽しんでいる参加者を探し、

気に入った女の子に投票するだけの裏コンテスト。

そんな華々しくない、学生側の自主規制と

学園側の黙認によって成り立っているイベントは、

すでに付属祭の裏目玉として定着した趣がある。

なお、俺がここに入学して以来、

そのトップの座は一度も摇らいだことがない。

…ま、それはともかく。


春希

「おはよう。

毎日毎日律儀に5分の遅刻だな」

隣席の女子生徒

「…….」

春希

「たった5分早く来るだけで、

あの不快で嫌味で私情溢れる説教を聞かずに済むけど、 

考慮してみる気ないのか?」

隣席の女子生徒

「…はあ」

春希

「ま、心の隅にでも留めておいてくれればいいや。

 それじゃ、今日も一日頑張ってこ~ぜ」

隣席の女子生徒

「………」

秋深し 隣はなにも しない人


親志

「は~い、じゃ次こっち向いて笑って~」

春希

「去年、一昨年と連続優勝。

当然今年は三連霸の期待がかかるわけだけど、

その辺りの意気込みは?」

雪菜

「あ、あの…」

春希

「『初心を忘れず頑張ります』…と。

今回のコンテストでライバルはいますか?

また、注目している人は?」

雪菜

「え、え~と?」

親志

「次は…悪い、そっち向いてくれる? 

横顔も撮っておきたいんで」

雪菜

「あ、は、はい」

春希

「『参加者の誰もがライバルです』…と。

じや、最後に自己紹介をお願いします」

雪菜

「え、え?」




春希

「あ、自己紹介だけは

サイトにそのままボイスをアップするから、 

直接これに喋って欲しいんだけど」

雪菜

「…ボイスレコーダー?」

春希

「アップするのは峰城の学園内ネットだし、

一応、セキュリティもかけてダダ漏れにはしないつもり。

ま、嫌なら文字コメントだけでも構わないけど」

雪菜

「あの、実行委員さん…」

春希

「いや、実行委員はこいつだけで、

 俺は単なる手伝いなんだけど…」

親志

「E組の早坂。よろしく~」

雪菜

「あ、そなんですか? 

えっと、それでですね…」

男子生徒1

「あ、いたいた、春希。

ラグビー部の屋台の許可ってどうなった?」

春希

「それなら昨日通しといた。

申し送り事項は全部まとめて部長に渡したから」

男子生徒1

「お、サンキュ。 

いつも悪いな」

春希

「…と、話の腰を折ってごめん。

 で、何だっけ?」

雪菜

「その、今さらこんなこと言うの、

本当に申し訳ないって思うんですけど…」

春希

「あ…」

雪菜

「わたし、今年は辞退って訳には…」

親志

「え? な、なんで?」

春希

「…もしかして、

前からこういうイベント自体が嫌だった?」


雪菜

「………」

親志

「で、でも、去年も一昨年もエントリーしてたのに…」

雪菜

「あれは…友達が勝手に。

わたしは最初からあまり気が進まなかったんだけど」

親志

「そうは言ってもさあ、

入学して以来二年連続優勝なんだぜ?

それを今さら…」

春希

「まあ待てって親志」

親志

「春希…」

春希

「な、小木曽」

雪莱

「は、はい…」

春希

「あのさ…」

女子生徒1

「見つけた、北原く~ん!

パンフレットの校正なんだけど~」

春希

「それは今夜中にやっとくから。

 もう週明けで印刷所押さえといて」

女子生徒1

「ありがと、恩に着る!

明日の午前中までに打ち出しといて」

春希

「委細了解してるから。

…ごめん、また話の腰を折った」

雪菜

「う、ううん、それはいいんだけど…」

春希

「エントリー条件には「自薦·他薦を問わず」とあるけど、 もちろん本人の合意が大前提だ。

小木曽が嫌だったら、エントリーは取り消す」

雪菜

「あ…」

親志

「お、おい…それは困るって…」




春希

「実行委員だろうが生徒会だろうが、

参加を強制していいわけないだろ。

親志、学園祭は所詮お祭りだって覚えてるか?」

親志

「また始まった…」

春希

「俺は単なる手伝いだから、

なるべく口を差し挟まないようにしてたけどな」

親志

「いや思いっきり挟んでたから。

結局お前が全部取り仕切ってたじゃんかよ」

春希

「だってお前ら見てられないし。

本番までもう2月を切ったってのに、 

なんでそんなに吞気なんだよ?」 

親志

「お前が心配性すぎんだよ」

春希

「…それより話を戻すそ。 

参加の強制はNG。異論は?」

親志

「うう…」

春希

「それに小木曽だって色々気苦労も多いようだし。 

あまり有名になりすぎても困るんだろ」

雪菜

「え?」

担任教師

「お、北原!

悪いんだけどな、これ西山に届けてくれないか?

あいつ今日病欠しちまって」

春希

「あ~、今日帰りに寄っとくよ。

渡すだけでいい?」

担任教師

「悪いな。明日が提出期限なんだ」

春希

「それって明日も休んだらどうするつもりだよ。

 いいよ回収もやっとくから」

担任教師

「そうか、頼めるか?ほんと済まん。 

じゃ、よろしくな」

雪菜

「………」

春希

「悪い、何度も何度も」

雪菜

「ううん、そんなこと」

春希

「とりあえず、エントリーは取り消しだ。 

それでいいよな?親志」

親志

「…ま、な」

雪菜

「………」

春希

「色々と不躾なことして悪かった。 

それじゃ」

親志

「ごめんな、小木曽」

雪菜

「あ…」

春希

「おし、次行くぞ次。

今日中に回れるところだけ回っとこうぜ」

雪菜

「あ、あの…」

親志

「ええと…次は2-Cの柳原だな」

春希

「…今日はここまでにしとくか?」

親志

「さっきまでの無駄な責任感はどうした?」

雪菜

「実行委員さん!」

親志

「ん? なに?」

雪菜

「…の、お手伝いさん」

春希

「俺?」

雪菜

「その、えっとですね…」

春希

「うん?」

雪菜

「……棄権、撤回します。 

3年A組小木曽雪菜です。

今年もよろしくお願いします」

春希

「え?」

親志

「え?」

雪菜

「やっぱり…責任ってものがあるよね。

わたしの場合は、選んでもらった者として」

春希

「…無理してない?」

雪菜

「してるけど、大した無理じゃないから。

…比較的」

春希

「そ、そう?」

親志

「で、それを伝えるのに、

わざわざ俺じゃなく春希を指名する理由は?」

雪菜

「それじゃ、さよなら。 また明日」

春希

「あ、ああ、また明日」

親志

「またね~」

春希

「.......」

親志

「………」

春希

「結局、単なる気まぐれだったのかな?」

親志

「俺…お前を尊敬するわ。 

その、背中で語る様に」

春希

「…そんなにしょぼくれてるか?」

春希

「やってるやってる」

春希

「お疲れ~、って、なんだよ武也だけか。 他のメンバーはどうした?」

武也

「親友らしい遠慮のない嫌味をありがとう」

週に二度しか使えない第一音楽室。

そこで何の準備もせずに佇んでいたのは、

軽音楽同好会の部長と、二つ隣のクラスの同級生と、腐机縁の親友の一人だった。

春希

「で、どうだった?」

武也

「駄目。全然駄目。

目ぼしい奴らはほとんど別メンバーで参加してるし」

春希

「だよなあ…」

我らが同好会が空中分解してから二日間。

女がらみで崩壊した友情が修復することは、

経験上最初からアテにしていないはずの武也は、

どうやら新メンバーを探して奔走していたようだけど…

武也

「ベースの天才もドラムの天才もキーボードの天才も、 

極めつけの美少女ボーカリストも、

実は空想上の生き物だったんだよ」

春希

「どうしてお前はベースの経験者とドラムの経験者とキーボードの経験者とちょっと可愛いボーカリストを探そうとしないんだ?」

まあ、主にどうしようもある理由で 

結果は芳しくないようだった。

武也

「夢は大きく持ちたいだろ?」

春希

「今俺たちが話してるのは将来の壮大な夢じゃなく、 

一月後の切羽詰まった現実だと思ってたんだがな」

武也

「もう諦めるか…」

春希

「潔つ!?」

武也

「…お前今どう発音した?」

春希

「問題発生してからわずか二日だぞ?

足搔くというにもおこがましい期間だろ·」

武也

「たった二日ではあるけどな、

本番までもわずか一月と十日くらいなんだよ…」

春希

「………」

武也

「『最初から無理だったんだよ』って結論を出すのに、 

二日は長すぎたかもしれないな」

春希

「でも武也…

お前、この三年間の集大成だって、

あんなに気合入れて…」

それこそ、三年になるまでギターの経験がなかった俺を、 無理やり同好会に引き入れて補欠要員に充てるくらいに。

武也

「確力に集大成だった…

もうステージ上でのサインも決めてたしな」

春希

「だったら…」

武也

「こう、親指一本を立てたときは恵子へのサインでさ。 「お前だけのために弾くぜ」という意味で」

春希

「…は?」

武也

「手拍子取ってるときは玲奈へのサインで、

前に出てきて手を振ったら優へのサインで、

 あと、立てて弾いてるときは望へのサインで」

 春希

「………」

武也

「集大成になるはずだったんだけどなあ…」

春希

「何を集めるつもりだったんだよお前は!?」

ステージ終了後の楽屋が怖すぎる…

春希

「前から言おうと思ってたんだけどな武也…

今日こそはハッキリ言わせてもらうぞ」

武也

「前から何度も何度もハッキリ言われてるから、

今さら余計なこと思わなくていい」

春希

「大体、お前、本命は…」

武也

「ストップ。

そこから先は親友と言えども聞く耳持たない」

春希

「武也…」

武也

「それに、これ以上春希の負担を増やしても

しょうがないしな」

春希

「俺は別に…

ただ適当に参加してるだけだし」




武也

「今はそうだけどな。

でも、周りの人間に困ったことがあると 

すぐに場を仕切り始めるから、お前は」

 春希

「そんなことは……

自分の意志でやってることだし」

『そんなことはないけど』と、

自分でもとても言えないという現状にちょっと愕然。

武也

「ウチらの手伝いだけじゃなく、

学園祭の表実行委員に、裏実行委員に、Web担当に、

クラス委員と図書委員としかも全部ヘルプで」

春希

「なんか嫌な気分になってくるから 

それ以上はやめてくれ」

役職を挙げられるだけで、

今夜のスケジュールが頭の中で組み上がっていく。

…2時間寝られればいい方かな。

武也

「俺だってさ..

自分のことしか考えてない自己中みたいに見えるけど、 

これでも親友の心配は人並みにしてるつもりなんだぜ?」 

春希

「前半に関しては全面的に同意だけどな…」

武也

「ちえ…」

とは言え、後半だってまるっきり否定するつもりはないし。

まぁ確かに女の子関係で便利に使い倒されることは、 

それこそ人間の三大欲求の残り二つの頻度くらいに 

発生する事態ではある訳だけど。

でも、こいつの場合、まるっきり嫌味がないし、

何より俺に自分の残りを紹介しようとする親切心がある。

…それを親切心と表現していいかはまた微妙な判断だけど、 

とにかく俺のことを気に掛けていることだけは間違いない。

それに、一年前までは、

ここまで色々とはっちゃけた人間じゃなくて…

武也

「…なんだこれ?」

春希

「なんだろうな。いつの間にか合ってた」

武也が窓の外に顔を出し、

隣室の音に耳を傾ける。

俺のギターとシンクロしてるピアノの音色に。

最初に気づいたのは、二月ほど前。

そもそも本番でメンバーに数えられていない俺は、 

みんなで合わせてる時には参加せず、

全員が帰った後にひとり個人練習することが多かった。

何度も何度もつっかえて、ようやく形になって、

一人悦に入っていたとき、その伴奏は自然にやってきた。

俺の音にイタズラしているようにも、

俺を導いてくれてるようにも、

腕の違いを見せつけてるようにも聞こえる、不思議な音。

春希

「たまにピアノじゃないときもあるんだよな。

ベースだったり、ドラムだったり…」

先週はいきなりサックスが重なってきてビビったっけ。

武也

「隣もバンドやってんのか?」

春希

「さあ?

でも合わせてるの聞いたことないな。 

どれも一人でやってる感じ」

だからこそ、こっちが一人の時を狙って介入してくる。

どうやら、よほどの暇人らしい。

武也

「…にしても、トチんねえな」

それもいつものこと。

どんな楽器でも、どんな曲でも、

向こうがミスってるのを聞いたことがない。

…やっぱり、練習時間が有り余ってる、 

よっぽどの暇人なのかも。

春希

「.なあ、武也。

提案があるんだけどさ」

武也

「無理だ」

春希

「…まだ何も言ってないけど?」

武也

「第二は音楽科のテリトリーだろ?

俺たち普通科のお遊びには付き合わねえって」

春希

「.......そうか」

用意された答えは、

あまりにも痒いところに手が届いてた。

武也

「ほんっと殿様だよな音楽科。

学年に1クラスしかないのに

音楽室を二つも独占しやがって」

峰城大付の音楽室は、こっちの本館に第一と第二、

向かいの新館に、こっち二つを繋げたくらいの、

特大の第三と、全部で三つも用意されている。

けれどそのうちの第二と第三は、

学年8クラス中1クラスしかない音楽科専用で、

他の部活や同好会は、狭い第一音楽室を分け合うしかない。

まあ、将来音楽で飯を食う野望を秘めた奴らの巣窟だし、 

学校側も相当に力を入れてるしで、仕方ないんだけど。

でも、そんな事情を

普通科の人間が愉快に感じるはずもなく、

普通科と音楽科の仲の悪さは、すでに伝統となっていた。

武也

「女子はお嬢様ばっかだから

簡単に引っかかると思ったんだけどな…

すぐにレッスンがどうとかコンクールがどうとか」

こいつの場合、

どうやらそれ以外にも根深い問題を抱えてそうだけど。

武也

「ま、それを差し引いても望み薄だな。

特に今年の三年はかなりレベル高いって話だし」

春希

「そうなんだ?」

武也

「なんでも松川って奴が、

春の全国コンクールで3位入賞だって騒ぎになってたし」

春希

「じゃあ、隣はその松川君かな?」

武也

「確認してないのかよ?

何度もお手合わせしてんだろ?」

春希

「鍵かけっぱなしなんだよ。

ドアの隙間も全部力-テンで遮られてて」

武也

「えらく人見知りだな。

秘密特訓でもしてるんか?」

春希

「さあな…」

お隣さんに興味がないって言ったら嘘になる。

しかもこうして鉄のカーテンを引かれると余計にだ。

素人耳には、完璧にしか聞こえないピアノ。

それより少しは落ちるけど、きっちり合わせてくる

 ベース、ドラム、サックス。

もし一人でやってるとしたら、ありえない多芸多才。

天才芸術家とは違うかもしれないけど、

天才芸人であることは間違いない。

今まであまり接点がなかったからよく知らなかったけど。

峰城大付属音楽科、侮りがたし.

武也

「…にしても」

春希

「…ん?」

武也

「わかうちゃいたけど、お前、上手くなんねえなあ」

春希

「お前がいちいち話しかけるからだよ!」

こいつやっぱ親友じゃないから。

春希

「…ふう」

自己满足的に熱いセッションをこなし、

西山宅でちっとも病気じゃない和司を説教してたら、

いつの間にか秋の夕暮れは赤みを消していた。

学校から二番目に近い末次町駅前は、

学生たちの歓楽街を最寄り駅の南末次に譲り、

来るたび代わり映えのしない光景を映し出している。

色鮮やかな店内の照明を一気に落とし、

駅前の寂しさをさらに増幅させる花屋の女主人。

スーパーの店先で、

一生懸命品出しに励む三つ編みの少女。

杖をつき、ものすごくゆっくりした足取りで、

思いっきり目的もなさそうに行き来を繰り返す老人..

春希

「あ…」

依緒

「春希?」

春希

「え? ああ、依緒か」

…と、そこで珍しい人間に会った。

いや、学校で会う分には珍しくも何ともないけど。

依緒

「どしたのこんなところで?

こっちの駅、あんたん家の反対側じゃなかったっけ?」

—水沢依緒

一年の時に武也から、

『中学からの腐れ縁』と紹介されて以来の付き合い。

春希

「そっちこそ俺と同じ方向のくせに」

依緒

「予備校がね、こっちの方でね…」


現在は引退してるけど、

女子バスケ部でキャプテンを務めていたほどの、

運動能力と統率力と俺以上のお節介さを併せ持つ逸材。

春希

「ああ…

そういえば、上への推薦ヤバいんだっけ?

 3分の2は通るってのに」

依緒

「やかましい。

コツコツやってる卑怯者は余計なこと言うな」

春希

「学生の本分を計画的にこなしてなにが卑怯か」

なんだけど、成績や細かさで優位に立てるおかげで、

 異性としての苦手意識を感じさせない貴重な友人の一人。

春希

「そいや、小木曽って依緒と同じクラスだよな?」

依緒

「なんで急に?」

春希

「いや…別に」

現在、3年A組在籍中。

依緒

「なに?雪菜に興味ある? 

春希もやっと女の子に

人並みの関心を持つようになった?」

そう、こういうデリカシーのないところとかが貴重。

春希

「俺は前から人並みだ。

俺ほど男子学生の平均点に近い人間はいないぞ」

『比較対象のせいで朴念仁に見られるだけだ』

という、いつもなら絶対に口をついて出る弁解は、 

諸般の事情を鑑みて自肃しておいた。

依緒

「そっか、とうとう春希にも名前通りの季節がねえ…

あんたあのマメさをそっち方面に発揮すれば、

武也なんかメじゃないくらいモテるよきっと?」

春希

「そういう意味でのフリじゃなかったんだけどな」

依緒

「…にしても、いきなりハードル高くない?

最初は武也に紹介されたコくらいから始めればいいのに」

春希

「たったひとことでどれだけの方面に 

喧嘩を売れば気が済むんだその発言は」

こういうデリカシーのないところとかが色々問題で…

依緒

「だって雪菜だよ?二年連続ミス峰城大付だよ?

 三年連続優勝はあのコしかいないって

もっぱらの噂だよ?」

春希

「噂にしては確度が高いなそれは」

なにしろ、他の参加者が優勝したらそれは初優勝だし。

依緒

「それに思いっきり身持ち固いよ?

初心者に崩せる相手じゃないと思うけどなあ」

春希

「詳しいな?

誰か付き合ってる相手でもいるのか?」

依緒

「付き合ってる相手どころか、

誰とも付き合い悪いんだよね~。

帰りに買い物やカラオケ誘ってもほとんど来ないし」春希

「…だろうなあ」

依緒

[? 詳しいんだ?」

春希

「いや。昨日知り合ったばかり。 

ただ、それだけ」

依緒

「ふうん…?

ま、いっか」

俺がそんな態度で『話は以上』とばかりに

口を閉ざすと、依緒はきっちり空気を読んでくれる。

依緒

「あ、そいえばさあ、あんたたちの同好会、 

学園祭の出演ヤバいんだって?」

春希

「……ま、な」

…という評価は、俺の見込み違いだったらしい。

依緒

「また武也のいい加減な口車に乗って貧乏くじ。 

そろそろ学習すればいいのに」

春希

「そんなにいい加減かな?武也。 

あいつはあいつなりに…」

依緒

「なにしろ長い付き合いだからね。

あの馬鹿の行動なんて大抵は読めるよ。

どうせ今度も女の子関係のトラブルなんでしょ?」 


春希

「……」

『長い付き合いな奴が、だんだんとあいつの性格を

 今の形に歪めていったとは思わないのか?』

…なんて言葉は、もしかしたら、

目の前の女とまだ四年間一緒にいる可能性を鑑みて、

口には出さないでおく。

女性教師1

「では次は…ええと、早坂君、お願いします」

親志

「........ふえつ?

え?あ、はい、えっと…」

春希

「47ページ5行目」

親志

「サンキュ。

ちょろっと待っててくださいね~」

春希

「ふう…」

親志の無事を確認すると、

俺はもう一度、手元のプリントの束に目を落とす。

10:00演劇部『雨月山の鬼』

11:00吹奏楽部『ゲーム音楽メドレー」

春希

[休憩時間15分だと入りきらないか…?

でも10分じゃ…」

学園祭当日のステージプログラムを前に、

無駄に喰ってみせる俺。

明日の朝がステージイベントプログラムの最終入稿。

つまり今日が実質上のエントリー最終締め切り。

今日より後でも変更や追加は利くけど、 

これを逃すと、事前告知に間に合わず、

校内HPでの告知だけになってしまう。

春希

「演劇から演奏への切り替えに15分。

演奏から演奏なら10分これでどうだ?」

だから、この時点での精度は

できるだけ詰めておく必要がある。

学園祭実行委員でもプログラム作成担当でもない、

本当なら何の権限もないこの俺が...

そんな理不尽とやるせなさも感じないではないけど、

 それよりも湧き上がる無駄な責任感と節介癖は、 

どうやら自分でも制御不能な域に達してるようで。 



春希

「あ…」

けれど…

そんな、学園祭実行委員代理補佐としての目が、

 ふと素に帰ってしまう瞬間がある。

春希

「15:00軽音楽同好会…..」

軽音楽同好会補欠の方の俺が、軽くため息をつく。

武也に言われて俺がエントリーしたのは、

ステージイベント参加者募集の開始日...

だから、ステージがきちんと盛り上がり、

しかも告知しやすい区切りの時刻を取ることができた。

あの時は『これくらいの見返りはないとな』と、

ちょっと得意になってたものだけど、今となっては..

春希

「………」

赤ペンのキャップを抜くと、

15時の部分に二本線を引…こうとして止まる。

今日止めないと、プログラムに載ってしまう。

けれど今日ここで掲載をやめると、

もうモチベーション的に同好会の復活はないだろう。

退いて後悔するか、

進んで玉砕するか…

なんて、今の状況じゃ、

どっちで考えてもネガティブな答えしか出てこないのが...

女性教師1

「はいありがとう。

ではその次…後ろの席の人」

春希

「え…?」

あまりに授業に集中していなかったせいで、 

その指名に一瞬ビビった。

春希

「あ…」

…けど、

よく考えたら俺は、親志の斜め後ろであって…

隣席の女子生徒

「……」

要するに、親志の後ろの席とは、

無愛想な俺の隣人のことであり。

女性教師1 

「……?

 どうしたの?」

春希

「あ…つ」

隣席の女子生徒

「……」

そして俺は、ふたたび内心でビビる。

ええと·確か親志の時が、47ページ5行目で、

そこから大して時間が経過していないことを考えると…

そうだ、親志に聞けば…

親志

「……(く~、すうううう)」

…任務が終了した瞬間にまた気を失ってやがる。

女性教師1

「冬馬さん?」

隣席の女子生徒

「すいません。

聞いてませんでした」

席順で当ててることを考慮に入れてなかった。

春希

「…悪い。

俺も聞いてなかった」

お隣はいつも授業なんか聞いてるわけがないんだから、 

これはフォローできなかった俺の責任だ。

隣席の女子生徒

「…….」

お隣も、助けれくれなかった俺を 

恨みがましい視線で見つめている。

…という意図の目つきじゃないけどな、あれは。 

どう見ても呆れてるというか。

女性教師1

「…冬馬さん。

あなた最近、ちょっと集中力に欠けるところがあるわね。 

やっぱり普通…」

隣席の女子生徒

「今度から気をつけます。

すいません」

女性教師1

「……」

隣席の女子生徒

「どうぞ授業を続けてください。 

あたしのことでしたらお構いなく」

…にしても、相変わらずなんというか、

ここまで謝意のない謝り方をする人間も珍しいよなあ。

女性教師1

「…ふう、では授業を続けます。 

じゃあ次は隣」

春希

「……え?」

隣は窓際だから、隣の隣は右隣だけで、

でもって隣の右隣はつまりここの……

女性教師1

「続きをお願いします。北原君」

春希

「あ、えっと、はい!

その、ちょっと待ってください…」

隣席の女子生徒

「49ページ16行目」

春希

「う!?」

隣席の女子生徒

「………」

秋深し 情けは人の ためならず


て言うか、

わかってんならちゃんと自分で読んでくれ…

春希

「…よかった。

今日もいた」

春希

「こっちは…もう誰もいないか」

週に二度しか使えない第一音楽室。

けれど、来週からは…

武也に無理やりこの音楽室に連れ込まれたのは4月。

クラス替えで二年間の腐れ縁がようやく切れたと思った、 

その始業式の日だった。

女を口説<環境作りに余念のないあいつと違って、

俺は単なる文章好きの文系学生だったから、

最初はコードの存在すら知らなかった。

ま、今でもそんなに上達してるかと問われれば、

様々な観点から総合的に評価して首を捻る程度だけど。

俺以外に集まった面々も、

別に音楽を本気でやってるふうではなく、

ただ『最後の学園祭でイイ感じに目立ちたい』って感じで。

そんな適当な仲間にも、俺は全然ついていけなくて。迷惑をかけたという程には相手にされてなかったけど。

それでも、指が徐々に動くようになり、 

コードが確実に押さえられるようになり。

自分で聞いてても『なんだか普通じゃね?』

くらいには感じられるようになり。

結局、最初からの予定通り、

俺は裏方に回ることになったけど。

何だかんだ言って、武也は俺を見捨てず、

しつこい俺の質問にも、ある程度丁寧に答えてくれた。

とは言え結局、そのリーダーのとある判断が、

4月に発足した軽音楽同好会を半年で潰してしまった。

ま、いっか。

春希

「今日はこっちの趣味に付き合ってもらうからな。 

…なにしろ最後だし」

俺が一番最初に練習して、

最初にトチらずに弾けるようになった曲。

武也には「ミーハーかつマイナー」と笑われたけど、

好きなものは好きなんだから仕方ない。

—WHITE ALBUM

十年近く前に発売され、

しばらくの間、冬の定番ソングとして街を賑わせていた。

今や、カラオケや有線でもある程度定番化されてて、

これからの季節、リクエストが徐々に増えていく、 

地味に愛されてる曲。

春希

「っし!

ありがと、音楽科君」

そして、そんな『ある程度有名な曲』に、 

第二音楽室の主は、しっかりと応えてくれた。

初めてこの曲を聴いたのは、小さい頃、

テレビの生中継で放送されていた『音楽祭』だった。

今でもあの番組のことは鮮烈に覚えてる。

最優秀賞は緒方理奈。

今や全米チャートにでさえ顔を出す国際的アーティストは、

その頃からやっぱり実力が並外れてた。

けれどその時、俺の中に一番深く刻み込まれたのは、 

彼女の最優秀賞受賞曲じゃなく…

堂々の優秀賞…次点を獲得した、

森川由綺という新人アーティストのこの歌だった。

その番組を見てからしばらくは、

キーが合わないのを承知の上で、裏声で歌いまくり、 

家族やクラスメートのひんしゅくを買いまくった。

だから、ギターを弾くだなんて似合わないことを

始めたときも、やっぱり皆のひんしゅく覚悟で、

最初に挑む曲は決まっていた。

一月早いけど、これがラストステージ。

最後だけは、

どうしてもこの曲で終わらせたかつ…

春希

「え…?」

最後になるはずだった。

このセッションをもって、

我が軽音楽同好会は、その活動を終焉させるはずだった。

なのに。

それなのに…

雪菜

「つ!?」

春希

「え、え?」

雪菜

「あ…あれ? もしかして」

春希

「小木曽.........?」

雪菜

「実行委員さん…

の、お手伝いさん?」

ボーカルが…

よりにもよって、

絶対見つかるはずがないと思ってた、 

『極めつけの美少女ボーカリスト』が…

雪菜

「もしかして…

あなたが、ギターの人…」

俺の目の前に、立っていた。


白色相簿2中日对照 第二章 ギターとピアノとボーカルと 吉他、钢琴和主唱 (日语)的评论 (共 条)

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