【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 100 [千五百七十三年 一月下旬]
*网络序列号109-116和169-175这几章为短篇小说。因为每日投稿限制,暂时放在主线之后更新了*
书名 战国小町苦劳谭
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作者: 夹竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
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千五百七十三年 一月下旬(*原文网页序列号 - 117)
年の瀬。新年を迎える人々は、属する陣営によってはっきりと明暗が分かれていた。
年末了。迎接新年的人们,根据所属的阵营,明暗分明地分开了。
織田家を筆頭に、同盟関係にある徳川家も輝かしい新年に期待し、慌ただしくも賑やかな歳末を過ごしていた。
以织田家为首的同盟家族期待着光彩夺目的新年,忙碌而热闹地度过了年终。
対照的に反織田同盟の面々は、お通夜のような重苦しい雰囲気の中、暮れつつあった。
与此形成鲜明对比的是,反织田同盟成员们在沉重忧郁的氛围中度过了这个夜晚。
それと言うのも反織田同盟の旗頭であった武田家の敗北という事実が重く圧し掛かっていたからだ。
“这也是因为作为反织田同盟的旗头,武田家的失败事实沉重地压在了心头。”
局地的な敗北ではなく、武田家の総力を挙げて尚、完敗と言える程に完膚無き敗北を喫したのだ。
不是地方上的失敗,而是武田家動員全部力量,結果輸得落花流水,可以說是彻头彻尾的失败。
反織田勢力は、誰一人として武田の敗北を想定しておらず、多少の苦戦はすれども武田軍の上洛を疑っていなかった。
反织田势力没有一个人预料到武田的失败,尽管有些苦战,但没有人怀疑武田军队的上洛。
しかし、蓋を開けてみれば首魁である武田信玄をはじめ、馬場 信房、山県 昌景、内藤 昌豊という武田四天王のうち、実に三人までもが討ち死にした。
然而,当揭开盖子时,最主要的领袖武田信玄以及武田四天王之一的马场信房、山县昌景、内藤昌豊中有三人牺牲了。
辛うじて諏訪四郎勝頼(のちの武田勝頼)は逃げ延びたものの、武田家の有力な武将は軒並み戦死しており、武田家の存続が危ぶまれる程の惨状となっていた。
辛苦逃生的諏訪四郎勝頼(後來的武田勝頼)雖然倖存,但武田家的大部分重要武將都戰死,情況十分危急,使得武田家的存續受到了威脅。
それに比べて織田側の損害は軽微であり、織田・徳川合わせて500程の死傷者を出しはしたが、有力な武将が討ち取られるようなことは無かった。
相比之下,織田一方的損失輕微,織田和德川共出現約500名死傷者,但沒有有力的武將被討伐。
三方ヶ原の戦いで圧勝し、天下を震撼せしめた織田・徳川軍だが、その後の織田軍の行動は反織田同盟の参加者たちの度肝を抜いた。
在三方原之战中取得了压倒性的胜利并震撼了整个天下的是織田·德川军队,但之后織田军的行动震惊了反織田同盟参与者们。
武田軍の歴史的大敗から二日。混迷を極める織田包囲網をよそに、信長は一気呵成に長島を攻め落とした。十四を数えた防衛の要たる砦も、日に三つという非常識な速度で攻略された。
自从武田军的历史性大败已经两天了。尽管織田包围网已经混乱不堪,信长仍然一鼓作气地攻下了长岛。防御要地砦堡中包括十四个要塞,也以每日攻下三个的非常规速度被攻克了。
世の中が武田家の敗北という衝撃から立ち直る前に長島は丸裸にされ、織田軍による長島城への侵攻が始まる前に降伏の憂き目を見た。
世界还没有从武田家的失败的震撼中恢复过来,长岛已经被剥光了衣服,在織田军开始攻打长岛城之前,就遭受了投降的痛苦。
この電撃的な侵攻を可能としたのは、三方ヶ原の戦いに於いて自軍の勝利を確信し、余力を残していたという衝撃的な事実を天下に知らしめたのだ。
让这场闪电般的入侵成为可能的是,在三方原之战中确信自己军队胜利并留有余力的震撼事实,向全国公布了这一事实。
十二月の中頃に徳川家への増援を決定し、僅か半月ほどで世の中は一変してしまっていた。歴史の転換点だったのだろうが、渦中に居る者にとっては堪ったものではない。
十二月中旬决定增援德川家,短短半个月世事已大局异变。虽是历史转折点,但身处其中者却难以承受。
特に一転して劣勢へと追い込まれた反織田同盟に与する者たちにとって、この年の瀬は迫りくる死の気配に身を凍らせる、一息つくことすら許されぬ厳しいものとなった。
尤其是与反织田同盟站在一起的人们,陷入了劣势,这一年的结尾就像临近死亡般让他们感到紧张,即使稍作喘息也是不被允许的严酷现实。
対外的には信長が武田信玄を打ち破り、嫡男の信忠(奇妙丸)が長島一向宗を蹴散らしたとされている。
据说在对外宣传中,信长打败了武田信玄,嫡子信忠(奇妙丸)又踢散了长岛一向宗。
しかし織田家家中に於いては、それらの大事を支えた静子の存在こそが、勝利の要であったと理解されていた。
然而在织田家中,大家都明白,支撑这些重要事务的正是静子的存在,她才是胜利的关键。
実際、徳川への後詰めとして浜松城へ赴き、逼迫(ひっぱく)する戦況に慄(おのの)く徳川家家臣たちをも説得し、三方ヶ原の戦いを勝利に導いたのも、長島での快進撃を支えた兵の練度と武装を整えたのも、全て静子が入念に計画を練り上げた賜物であった。
实际上,作为德川军的后勤支援前往浜松城,并劝说了惊恐的德川家家臣,将三方原之战带入胜利,整备了士兵的训练水平和武装,在长岛支持并展开了猛攻,所有这些都是由静子精心策划的结果。
奇しくも武藤喜兵衛が予言したように、織田家内外にその存在を示しつつある静子は、普段ならば自宅で過ごす元日の夜明け前より信長の呼び出しを受けていた。
就像武藤喜兵衛所预言的那样,静子正在織田家内外展示其存在,在通常情况下,她在元日的黎明前就接到了信长的召唤,而不是在家中度过元日。
それも初日の出を拝むから供をせよ、という理由からだ。
这也是因为要看日出,所以要供奉。
「寒い……」
「寒い……」 translates to "冷啊……" in Simplified Chinese.
「寒いと思うから寒いのだ」
「因为觉得冷所以才感到冷。」
「いや実際寒いですよ。というか何故、私なんですか。日の出までは温かい家でごろごろさせて下さいよ」
“实际上很冷。为什么是我呢?请让我在温暖的家里蜷缩直到日出。”
信長が天下に手を掛けようとも、静子がどれほど武功を積み上げようとも、周囲の見る目は変わったが、二人の関係は変わらなかった。
无论信长将天下掌握在手中,亦或是静子积累了多少功勋,周围人的看法或许改变,但两人之间的关系却始终不变。
「何、貴様にこの光景を見せたいと思ったからよ。それ以外に理由など必要あるまい」
“为了让你看到这个场景,我才想让你来的。除此之外,没有其他理由必要。”
「そうですか」
"这样啊"
あまりにも信長らしい言い様に、静子は納得せざるを得なかった。夜明け前の冷え込みに、流石の信長も口数が少なくなり、二人の間に沈黙が落ちた。
因为信长说话的方式太过信长式,静子不得不同意。在黎明前的寒冷中,即使是信长也变得话少起来,二人之间的沉默变得更加沉寂。
気まずい沈黙ではなく、静かに時間が過ぎるのを待っていると、夜闇に一筋の光明が射した。
不是尴尬的沉默,而是静静地等待时间过去,夜色中闪烁着一线光明。
どちらからともなく光へと目を向けると、地平線の彼方から周囲を朝焼けに染めつつ太陽が昇ってきていた。
不知不觉间,当看向光芒时,太阳正在地平线的那边升起,将周围染上晨曦的色彩。
「わぁ」
"わぁ" in Simplified Chinese is "哇".
それは見事な初日の出の光景だった。空気が澄んでいるためか、現代よりもはっきりと夜が明け行く様が見えた。
那是一个令人惊叹的初日出景象。也许是因为空气清新,夜色渐渐消散的过程比现代更加清晰可见。
余談だが元日の日の出を指す言葉として『ご来光』と『初日の出』があり、この二つは混同され易い。
顺便说一下,新年第一天日出的词语有“来光”和“初日之出”,这两个很容易混淆。
しかし『ご来光』は高山から見る日の出を意味し、釈尊が光背と共に来迎するのになぞらえたものである。つまり信仰対象は仏陀であり、仏教行事の一つに数えられる。
然而,“来光”意味着从高山上看到的日出,被比作释迦牟尼佛背着光一同到来。换句话说,信仰的对象是佛陀,被视为佛教仪式之一。
対する『初日の出』は、日の出と共に年神様が降臨すると信じられていたことから参拝対象となった。信仰対象は年神であり、神道に於ける正月の中心行事となった。
“对于‘初日之出’,因为被认为是年神降临乘着日出到来,所以成为参拜的对象。信仰的对象是年神,成为神道中正月期间的主要活动。”
「悪くない気分だ」
"不错的心情"
長く立ち塞がっていた懸念が払しょくされ、初めて迎える元旦という事も相まって、信長は再生される太陽をいつもより神聖で荘厳なものとして心に焼き付けた。
悬念一直困扰着信长,但随着新年的到来,这些问题终于得以解决。信长将这个新开始看作是太阳的再生,心中对其神圣和庄严的印象更为深刻。
「しかし、本当に武田を破るとはな」
"但是,真的能够打败武田家吗?"
今でも時折夢を見ているのではないかと、信長でさえ思う事がある。
即使是信长也有时会想,“现在他们难道还在偶尔做梦吗?”
本当の自分は三方ヶ原の戦いで武田を撃破出来ず、岐阜城に籠り迫りくる死に怯えており、今の自分は絶望から見た都合の良い泡沫(うたかた)の夢ではないのかと。
真正的自己是无法在三方原之战中击败武田,在岐阜城中躲避并害怕死亡,现在的自己不是来自绝望的方便之梦吗?
そのような事はあり得ないと思ってはいても、折に触れて確認してしまうのも無理からぬことだった。
即使我认为那是不可能的事情,但偶尔还是不得不确认一下。
「私は出来ない事を出来るとは言いません。出来ると言ったからには、ちゃんと勝算あってのことです」
“我并不说我能做不可能的事情。既然说能做,那就是有把握的事情。” translates to Simplified Chinese.
「ふっ……それにしてもかの新式銃は凶悪だな。向こうの攻撃が届かぬ遠間より、一方的に狙い撃てるのだから。撃ち合いになる前に大損害を強いられるとあらば、どれほど物分かりの悪い阿呆とて二の足を踏もう」
“嗯……话说回来那件新式枪确实很凶险。因为可以单方面地从遥远的地方瞄准攻击方。如果在交火之前遭受到大量损失,即使是多么愚蠢的人也会感到犹豫。”
「銃だけの功績ではないのですよ。皆が私の言葉を信じてついてきてくれたからこそ、この大戦果を得られたのです。此度の戦功は私個人が受けるのではなく、皆が受けるのが相応しいと思います」
“这不仅仅是枪的功劳。正是因为大家相信我的话,跟随我,我们才能获得如此辉煌的胜利。这次的战功不是由我个人获得的,而是应该归功于大家。”
「貴様は変わらぬな。初めて会ったときから、何も変わっておらぬ」
“你没变,从我们第一次见面到现在,什么都没有改变。”
昔を懐かしむように溢す。初めて目にした時から妙な奴だとは思っていたが、不思議とどこか地に足がついた安定感があった。
仿佛怀念过去一般溢出来。自从第一次见到他时,我就觉得他是个奇怪的人,但奇妙的是,他总能给人以稳定和踏实的感觉。
延々と大地に挑み続ける農業を生業とするからか、しっかりと大地に根を張った奇妙な存在感を持っていた。
由于他一直从事着与大地挑战的农业生计,因此他有着扎根于大地并散发着奇特存在感的稳固气质。
誰もが羨む大戦果を打ち立てながらも寸毫(すんごう)もぶれることなく、最初と同じように自然体であり続ける。
一边取得让所有人羡慕的巨大战果,一边始终保持不动摇、自然不做作的态度,与一开始如出一辙。
信長にとって、静子とは好き放題に枝葉を伸ばし、酷く剪定に手が掛かるが、大きな実りを齎しもする大樹の如き「変な奴」であり続けるのだろう。今までも、そしてこれからも。
对于信长来说,静子就像一棵大树,可以随意伸展枝叶,但也需要剪枝修剪,但她可以带来丰硕的收获。她是一个“奇怪的人”,现在过去,将来也是如此。
「武田がかつての勢いを取り戻すことは最早ないだろう。上杉の帰趨は判らぬが、北条は酷く動揺しておる。本願寺も頼みの綱が断たれたとあって、内部では上を下への大騒ぎだろう。そして己を顧みぬ将軍には足満を遣わせる」
“武田已经无法恢复过去的强势。上杉的归宿不确定,而北条已经非常动摇。本愿寺失去了主要支持者,在内部可能会陷入混乱。而且,将会派遣足满去面对不顾自己的将军。”
「足満おじさんをですか?」
"你见过足满叔叔吗?"
「うむ。奴を目にして尚、寝ぼけた夢を見られるようなタマであれば見直しもするが、そんな器量は無かろうよ。流石に此度の件では甘い対応は取れぬ。息子を人質に差し出させ、その上で奴自身の蟄居を申し付ける」
“嗯。如果他是那种即使看见他也能做梦的家伙,我可能会重新考虑,但他不是这样的人。这次事件中我们不能采取宽容的态度。让他把儿子当成人质,然后让他自己蟄居。”
強い語調とは裏腹に、信長の様子からは徒労感が窺えた。将軍義昭の件は信長にとって頭痛の種なのだろう。
尽管语调强硬,但从信长的表情中可以看出他感到徒劳。将军义昭的问题对信长来说可能是一场头疼。
幾らお飾りの神輿とは言え、ここまで政治感覚が無いと、担いでいる方も堪ったものではないのだ。
即使是华丽的神轿,如果没有政治意识,扛轿的人也会感到难受。
「この先一年だ。貴様の軍は纏まって運用するのではなく、小規模に編成しなおして活躍して貰う。無論、貴様の虎の子である鉄砲衆も含めてだ」
"接下来的一年里,你的军队不应该集中运用,而应该重新组织成小规模作战。当然,其中也包括你的精锐部队——火枪手们。"
「盤石な支配体制を確立するためですか?」
"您是为了确立稳固的统治体制吗?"
「今の統治では各地が反旗を翻せば、それだけで兵の運用に支障が出る。畿内の安堵は本願寺を叩く上で必須だ。まあ貴様自身が出向くような事態はそうそうなかろうがな」
“现在的统治,如果各地都反叛起来,就会对兵力的运用造成影响。为了攻击本愿寺,安定畿内是必不可少的。虽然你自己很少有必要去派遣,但这种情况也不是经常发生的。”
「え、それはどういう意味ですか?」
“哎,那是什么意思?”
静子の問いには答えず、信長はニヤリと笑みを浮かべるのみだった。こういう態度を取る時の信長は、たいてい容赦のない事を考えていると、静子は経験的に学んでいた。
信长并没有回答静子的问题,只是露出了一丝奸笑。静子从经验上了解,信长这时的态度通常表示他在考虑毫不留情的事情。
「貴様自身がどう思おうと、武田と長島とのいくさで為した静子軍の働きは頭抜けておる。その静子軍の本隊が動かず、各地に別動隊が派遣されれば敵はどう受け取る?」
“无论你自己如何想,静子军在武田和长岛的战争中的表现都是出色的。如果静子军的主力不动,而派遣分队到各地,敌人会怎么看?”
「……別動隊の派遣は警告。たとえ退けたところで、倍する軍勢に攻め滅ぼされるといったところでしょうか」
「……别动队的派遣就是警告。即使驱逐了他们,也可能被加倍的军队攻破消灭。」
「良い読みじゃ。簡単に屈したとあっては面目が立たぬが、武田をも挫いた本隊が相手では勝負にならぬ。警告段階で如何に上手く立ち回るか、目を付けられたというそれだけで心労は計り知れぬ」
“很好的阅读。虽然轻易投降会失去面子,但与挫败武田的本队对决无法胜利。在警告阶段如何巧妙地应对,仅被注意就足以让心情非常劳累。”
酷い精神的重圧だと静子は思った。今や付城戦術が標準の織田軍だ。瞬く間に周囲を包囲され、打って出ようにも新式銃で蹴散らされ、援軍の無い絶望的な籠城を強いられる。
静子认为她承受了沉重的精神压力。现在,付城战术已经成为织田军的标准。他们迅速包围了周围,即使想要打破围攻,也会被新式枪支打散,而且还被迫忍受没有援军的绝望围城。
四方八方からいつ攻められるともしれず、刻一刻と減りゆく兵糧を眺めて、やがて訪れる死を待つ緩慢な自殺。まともな神経では耐えきれるものではない。
四面八方不知何时会遭受攻击,不断减少的军粮令人担忧,面对即将到来的死亡,这是一种缓慢的自杀,健康的精神无法承受。
「何、一罰百戒を実践しておるだけじゃ。死肉を貪り、血で喉を潤す惨状を知れば、迂闊に歯向かおうなどとは思うまい」
“仅仅实行一罚百戒是不够的。只有了解贪婪噬食腐肉,用鲜血灌溉喉咙的惨状,才不会轻率地反抗。”
「一罰が苛烈過ぎる気もしますが、まあそれは仕方ないのでしょう。彼我の差を推し量り、最善の手を講じるのが国人の仕事ですから。判断を誤る国人を擁いた報いは受けて貰う他ないかと」
“虽然惩罚可能过于残酷,但这是不可避免的。因为判断差异是国民的工作,需要采取最佳措施。如果支持错误判断的国民,只能接受报应。”
「その通りじゃ。さて、初日の出も充分に満喫した。そろそろ戻らねば、濃めに正月料理を食いつくされようぞ」
“就是这样。好,我们已经充分享受了初日的美景。现在得回去,好好享用浓郁的新年美食了。”
言葉を言い終えると同時に、信長は踵(きびす)を返した。呆気に取られていた静子だが、我に返ると慌てて信長の後を追った。
同時に,信长说完话便掉头走了。静子呆若木鸡,但她意识到后悔,立即慌忙跟上了信长。
「今年も天下取りで忙しくなりそうじゃ」
"今年也忙于谋取天下啊"
静子が近づいてくる足音を聞きながら、信長はそんな事を呟いた。
听着静子靠近的脚步声,信长喃喃自语道。
元日の朝。信長が最初に挨拶を述べるのは、彼の一族衆と定められている。これは「家族や親族を軽んじる者は、家臣や兵をも同様に扱えぬ」という信長の考えによるものだ。
元日早晨,信长首先向他的家族成员致意。这是基于信长的信念:“轻视家人和亲戚的人无法对待家臣和军队。”
率先して範を示すべく、信長は正月を妻子や親族と迎える。つまり、それ以前に静子と日の出を見に出かけた事は、信長にとって静子は家族も同然と言うことを意味している。
为了率先树立榜样,信长跟妻子、子女和亲戚一起度过了新年。换句话说,在此之前,他跟静子去看日出的事情表明,对信长来说,静子与家人同等重要。
信長がそれを意図していたのか、それとも無意識だったのかは彼以外には窺い知れない。
无论信长当时是有意还是无意,除了他自己之外,谁也不知道。
「ぶえっくしょ。うう……誰か噂でもしているのかな」
"噫呀。嗯......是不是有人在传闻什么?"
初日の出を拝んだ後、一度家へと戻った静子だが、昼を過ぎた頃に再び信長の許へと赴く必要があった。
拜完初日的日出后,静子回到了家,但到了午后的时候,她又需要再一次前往信长的地方。
それは元日に催される信長の茶会へ参加するためだ。いつもは不参加を決め込んでいる静子だが、流石に今年ばかりは参加せざるを得なかった。
那是为了参加元旦举行的信长茶会。静子通常决定不参加,但今年她无法不参加。
面倒だとは思いつつ、静子は正装へと着替える。身支度を整えた静子は彩に見送られて、信長の居城を目指して出発した。
虽然感到麻烦,静子还是换上正装。整理完毕,静子在彩的送别下出发前往信长的居城。
流石に正月ともなれば人々の往来も減り、商人たちがひっきりなしに行き来する大通りも閑散としていた。
过了年节,人们的往来逐渐减少,热闹的商业大街也变得冷清寂静。
主要な街道はおろか、街道沿いの大通りは全て舗装されているお陰で、道中何事もなく岐阜城へと辿り着くことが出来た。
主要的大道甚至是沿大道的大街,全部都铺设了路面,使得整个道路行程都没有任何事故地平稳地到达了岐阜城。
天下人に一番近いと目される信長がおわす岐阜城ともなれば、信長への年賀の挨拶に訪れた人々が列をなしており、付き人なども含めれば足の踏み場もない程の賑わいを見せていた。
天下人眼中认为最接近的信长前往岐阜城,来拜访他的人们排成一列,连随从也非常拥挤,可谓人山人海,足不出户。
静子は馴染みの小姓に馬を託すと、待ち合わせをしている面々を探す。
静子将她的马托付给熟悉的小姓,然后开始寻找等待着她的人。
「確か現地集合って話なのだけど……あ、いた」
“确实是集合在现场的说……啊,他来了。”
才蔵や長可も正月には呼ばれていたが、彼らは家に戻っていたため、昼から赴く信長への挨拶に現地集合という事になっていた。
才藏和长可虽然在新年期间受到邀请,但他们已经回家了,所以决定在当地集合后前往拜访信长。
辺りを見回すと静子は才蔵の姿を見つける。静子が才蔵の許へ駆け寄ると、才蔵の方も静子に気付いた。
四周环顾时,静子发现了才藏的身影。静子向才藏奔去时,才藏也注意到了静子。
「新年、あけましておめでとうございます」
“新年快乐”
「あけましておめでとうございます、静子様。本年もよろしくお願いします」
"新年快乐,静子女士。希望今年也能得到您的支持。"
二人は新年の挨拶を交わす。それが終われば才蔵は、普段通り静子の後ろに立つ。新年から馬廻衆の仕事をしなくても良いのでは、と思った静子だが才蔵の好きにさせる事にした。
两人交换了新年的问候。然后才蔵像平常一样站在静子的后面。静子认为他不必从新的一年开始做马廻,但决定让才蔵自己决定。
その後、長可に足満、高虎と次々と合流する。驚いたのは慶次が正月の挨拶に現れた事だ。
其后,长可和足满、高虎相继汇合。令人惊讶的是景次在新年拜访时出现了。
「流石に今年は行ってこい、と養父殿に言われてな」
“養父殿告诉我今年必须去玩一趟。”
傾奇者の慶次も恩義ある養父には弱く、今年は挨拶をしてきなさい、という養父の言葉に逆らえなかった。色々と思うところがあるようで、慶次は微妙な表情をしていた。
倾奇者的庆次虽然对有恩义的养父表现得很软弱,但今年他还是听从了养父的话,前来拜访。庆次似乎有很多事情在思考,面部表情微妙。
「良い養父殿じゃないですか。『親孝行、したいときに親はなし』ですよ」
“你不是个好养父吗?毕竟“亲孝行,想孝顺的时候却没有父母”。”
「分かってはいる。が、どうにもこの年になると何をして良いのか」
"我明白。但是,当年龄增长时,好像不知道该做些什么。"
今まで傾奇者として生きてきた慶次にとって、何が養父にとって孝行になるか思いつかなかった。頭をかきむしっても良い考えが浮かばず、彼は悶々とした正月を迎えていた。
对于一直以来都以奇人异士的身份生活的景次而言,他不知道什么是对他的养父孝顺。他挠了挠头,却无法想出一个好的想法,于是他度过了烦恼的新年。
「まあ、ゆっくりと考えれば良いんじゃないですか? 急いては事を仕損じる、って言いますし。そろそろ行きましょう」
“嗯,不如慢慢想想?急于求成会坏事的,不是这么说的吗?差不多可以出发了。”
話を打ち切ると静子は信長の許へと向かうべく、皆と歩調を合わせて進んでいく。足満が隣に並び、慶次や才蔵、長可は静子の後に続く。
打断谈话后,静子和大家步调一致地前进,向信长前进。足满站在她旁边,庆次,才藏和长可跟在静子后面。
進むうちにあちらこちらから囁き合う声が耳に届く。その内容は様々であり、静子の業績を称えるものもあれば、羨望や嫉妬、悪罵に近いものまでがあった。
越往前走,耳边就传来了各种各样的窃窃私语声。有些是赞扬静子的成就,而有些则是嫉妒、嫉恨甚至是谩骂的声音。
羨望の的になるのは仕方がない。戦国最強の代替わりを成し遂げた。最強の座に居る限り、これ以上の武功は存在しない。静子の武功に難癖を付ければ、恥をかくのは己となるのだ。
羡慕成为无可避免的目标。完成了战国最强的更替。只要坐在最强的位置上,就没有比这更高的武功了。如果在静子的武功上挑毛病,那么就是自己丢脸。
武田に黒星を付けたという事は、静子を所詮は裏方と軽んじていた人間が、逆立ちをしても敵わない圧倒的な武功であった。
赤藤给武田拜了一拜,她知道,在这个城市里,她目前只能暂时依靠这个黑巫师。
一方、嫉妬や悪意を向けられる静子は、柳に風とばかりに平然と受け流していた。
然而,受到嫉妒和恶意的静子却像柳树一样淡然接受和放下。
人とは感情の生き物である以上、そういった悪意を向けられるのは仕方ないと割り切り、付き合うだけ無駄だと切り捨てた。
既然人类是情感动物,那遭受这种恶意是无可避免的,因此只有割舍,否则只会浪费时间。
建設的な意見や、意味のある批判なら受け止めるが、単なる感情を持て余した誹謗中傷の類では、疲れるだけで得るものもないため、付き合うつもりは毛頭ない。
如果是建设性的意见或有意义的批评,我会接受,但我不打算参与那些纯粹由情绪驱动的诽谤和中伤,因为这样只会让人更加疲倦,无法得到任何有益的东西。
元日の信長は、午前中を家族や一族と過ごすため、必然的に対外的な挨拶は午後に集中する。
元日的信长必须与家人和族人度过上午,因此必须在下午集中精力进行对外问候。
主要な家臣も同様ではあるが、準備の為に動く人々は奔走しており、元日の岐阜城から人の気配が絶える事はない。
主要的家臣也是如此,但为了做好准备而行动的人们正在奔波,直到新年的第一天,岐阜城没有人的踪迹。
尤も信長に限れば、二日以降も訪問客が途絶える事はないのだが。ともかく静子も他の訪問客と同様に並び、信長へと目通りを許され正月の挨拶を述べる。
对于信长而言,第二天往后就没有停止访客的情况了。总之,静子也像其他访客一样排队,被允许与信长目光相遇,向他表达新年的问候。
「今年もよろしく頼むぞ」
"今年也请多关照"
静子が正月の挨拶を告げた時、信長は不敵な笑みを浮かべていた。何やら嫌な予感がした静子は、早くも帰りたい気持ちになった。そして彼女の予感は当たっていた。
当静子向信长拜年时,信长露出了一丝嘲讽的笑容。静子产生了一种不祥的预感,心情着急想要离开。最终,她的预感成为了现实。
(えーと、なんでこんな事になっているんだろう)
(嗯,为什么会变成这样呢)-->(嗯,为什么会变成这样呢)
静子は内心頭を抱えたが、目の前に映る光景は変わらない。
静子内心很苦恼,但眼前的景象却没有改变。
「どうした。遠慮はいらん、望みのものを申すが良い」
“怎么了。不必客气,尽管说出你的心愿。”
自信満々に信長は言葉を発した。彼の目の前には曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)が置かれていた。
信长充满自信地说话。他面前放着曜变天目茶碗。
現代においては国宝。それも現存する数は三つのみという最上級の天目茶碗である曜変天目茶碗が、惜しげもなく置かれていた。
现代的国宝中,被视为最高级别的天目茶碗之一的曜变天目茶碗只有三个现存,它们被珍惜地展示在那里。
それだけではなく、他にも信長が愛用している茶器が並べられていた。茶器だけではなく日本号や実休光忠などの名槍や愛用の刀まで置かれていた。
不仅如此,在那里还陈列着信长另外喜爱的茶具。不仅有茶具,还放置着日本号、实休光忠等著名的名剑和他喜爱的刀。
名物を前に静子はため息を吐く。信長は三方ヶ原の戦いで武田に決定的な敗北を与え、かつ長島の一向衆を駆逐する事に成功した。
名物面前,静子叹了口气。信长在三方原之战中给予武田决定性的失败,并成功驱逐了长岛的一向宗。
その最大功績者である静子に、信長は望みの褒美を与えると語った。前回と違い、今回は様々な現物を静子に見せつつ、彼は論功行賞を始めた。
信长说,将给予静子最值得称赞的奖励。与上一次不同的是,这一次他会向静子展示各种实物,开始奖励他们的功劳。
(どうしようかなあ。茶器なんていらないし、扱いに困るし……かといって刀や槍ってのも味気ないよねえ)
(该怎么办呢。茶具也不需要,而且使用也很棘手......但是刀剑之类的也很无聊啊)
腹の中で唸りながら静子は考える。突然、正月に論功行賞をするのも、信長に何か考えあっての事だろうと彼女は思っていた。
腹中咕噜着声音,静子思考着。她认为,在新年期间进行功绩奖励的突然行动,信长肯定是有些打算在背后。
現物が沢山あるのに土地については一言も語らない時点で、思惑が込められた論功行賞だと存外に語っているようなものだ。
在不谈及土地的情况下,仅仅存在着许多实物时,就像是在做着带有企图的功劳奖励的交易一样。
暫く考えて静子は結論を出す。これならば信長の面子を守り、かつ自分の欲しいものを手に入れられると、彼女は考えた。
暂时考虑后,静子得出结论。她认为这样既能维护信长的面子,又能获得自己想要的东西。
「おや……コホン、上様(・・)。それでは3つお願いがございます」
「哦……咳咳,阁下。那么,我有三个请求」。
上様とは信長の敬称になる。前まで『お館様』だったが、年末頃から周囲は信長の事を『上様』と呼ぶようになった。
“上様”是对信长的尊称。之前,大家称呼他为“館様”,但自年末以来,周围开始称呼他为“上様”。
武田と長島を倒した事で呼び方が変わったのか、それとも単に偶然かは不明だが、静子も信長の事を『上様』と呼ぶように改めた。
打败了武田和长岛后,静子是否改变了称呼,或者只是偶然的,不确定,但她也开始称呼信长为“上殿”。
「申してみよ」
"申请试试"
信長に促されて静子は居住まいを正す。ニヤリと笑って話を聞く態勢となった所作から、信長は静子の言動を楽しんでいるように見えた。
被信长促使,静子纠正了她的住所。从她咧嘴笑着听话的姿势来看,信长似乎很喜欢静子的言行举止。
「……では一つ目、いくさにて散った者の御霊を鎮魂する社の建築許可を頂きとうございます。二つ目は藤四郎吉光(よしみつ)の刀蒐集にお力添えを願います。三つ目は日本号を頂戴しとう存じます」
「首先,我们申请建造一座为追慕在战争中战死的灵魂而兴建的社祠,并请求批准。其次,我们希望能够获得对于富田四郎吉光的刀具收集的帮助。最后,我们请求赐予日本号。」
「良かろう、日本号は其方(そなた)に遣わそう」
"好吧,我派遣日本号到你那里。"
静子の願いに信長は躊躇いなく了承を口にした。一瞬の迷いすら見せなかったことに、逆に静子の方が戸惑ったぐらいだ。
信长毫不犹豫地同意了静子的请求。他没有一丝犹豫,反而让静子感到困惑。
だが信長は静子の狼狽振りを見てニヤリと笑うだけだった。何度か深呼吸して気持ちを落ち着けた後、静子は信長に頭を下げる。
但是信长只是看着静子惊慌失措的样子,嘴角勾起一丝笑容。静子深呼吸几次平静下来后,向信长鞠躬致歉。
「有り難き幸せ。しからば、日本号の運搬準備をするため、これにて失礼します」
「感谢的幸福。那么,为了准备日本号的运输工作,我在此告辞。」
日本号を運ぶ準備をする、という名目で静子は席を外す気でいた。気を遣いすぎて疲れたとも言える。少し休憩する時間が欲しくて言った理由だが、信長はさして気にせず承知した。
静子以“准备运送日本号”为名离开座位,实际上她只是想找个借口休息一下。她过于担心,已经有些疲惫了。虽然她说是想休息一会儿,但信长并没有特别在意。
「捕まったら諦めよ」
"被捕后要放弃"
最後に信長が言った言葉に静子は首を傾げた。しかし、日本号の運搬準備をしている時、静子は信長の言葉の意味を知る。
最后,信长说出的话让静子感到疑惑。但是,在准备运载“日本号”时,静子明白了信长话语的意义。
「静子よ。妾に挨拶なしで帰ろうとは、随分と不人情な仕打ちよのう?」
"静子啊。你不跟我打招呼就走了,太不仁慈了吧?"
「疲れた。もう二度と行きたくない」
"累了。再也不想去了。"
日本号の運搬準備をしている時、運悪く濃姫に捕まったために、静子は大変な目にあった。
在准备搬运日本号的时候,由于运气不佳被濃姬抓住,静子经历了一场可怕的经历。
何とか運搬に関する指示は出せたものの、それ以上何かを言う前に、静子は濃姫に引きずられていった。
虽然静子在交通方面已经下达指示,但在她说出更多之前,濃姬拉着她走了。
途中で市と茶々たちにも見つかり、そのまま女子たちが集まっている部屋へと強制連行された。そこからは静子にとっての地獄だった。
在途中,她被市和茶々发现,并被强制带到了聚集女孩的房间。从那里开始,这对静子来说就像是地狱。
濃姫と市のコンビは全く気を遣わない、逆に初対面の人間は既に静子に対して何らかのイメージを持っているのか、応対するだけで大変だった。
濃姬和市的組合完全不在意,反而對於初次見面的人對靜子已經有了某種形象,只是應對就很困難。
「まぁ上様に薬研や乱とかの下賜を確約して貰えただけ、良かったと思おうか……」
“嗯,能够确保向上大人赐予药刀和乱,就算只有这一点也值得感到高兴了吧……”
薬研藤四郎(やげんとうしろう) は足利将軍家の重宝だったが、松永弾正が足利義輝を暗殺した際、不動国行(ふどうくにゆき)などとともに分捕って所持していた。
药研藤四郎在足利将军家中备受重视,但在松永彈正暗杀足利义輝时,与不动国行等人一起被抢夺并掌握。
しかし、元亀四年一月十日に、松永弾正は薬研藤四郎と不動国行を信長へ献上したと伝えられている。
然而,据传松永弹正于元亀四年一月十日奉献给信长药剂师藤四郎和不动国行。
「あ、どうせなら不動国行も頂戴、と言えば良かったかな。ま、愛刀にするから無理だろうけども」
“啊,如果可以的话,不动国行也送给我就更好了。不过,可能没法送,因为我要让它成为我的爱刀。”
「静子様、集計が終わりました」
静子小姐,统计完成了。
そんな事を考えながら空を眺めていると、彩が声をかけてきた。正月から働かせる事になってしまったが、それを考えても少し困った状況が静子にはあった。
当静子凝视天空时,彩走过来和她打招呼了。虽然静子从新年开始就要工作,但她还是有一些困难的情况要考虑。
「で、幾らあったの?」
“所以,有多少钱?”
「上様(・・)からの下賜を合わせて2万7500貫文になります」
「上方的赏赐加起来是2万7500贯文。」
問題とは静子の金子所持額だった。
问题是静子的金子持有量。
「大金渡されても困るのだけどねぇ」
“即使拿到大笔金钱也会感到困扰呢”
「仕方ありません。ここ尾張や美濃のものは、殆ど静子様が関わっております。それゆえ金子が一番無難なのでしょう」
“没办法。这里的尾張和美濃的事物大多数都与静子有关,因此金子是最保险的选择。”
何故、静子が大金を所持しているかと言うと、信長は武功のあった者には茶器や金子で報酬を支払っていた。
为什么静子持有大笔财富呢?因为信长会用茶具或金子来报酬做出战功的人。
武将たちが茶器を求める中、静子は信長から金子を得て開墾を行っていた。それゆえ、いつしか静子には金子で褒賞を渡すのが常となっていた。
武将们在寻找茶器的时候,静子得到信长的金币并开始开垦土地。因此,逐渐地,给静子发放金币以表彰她的表现成为一种惯例。
だが尾張・美濃においては、知多半島に農業用水を引くなどの国家的超巨大な工事以外、一定の開墾は終えていた。
但在尾张和美濃地区,除了进行国家级的大型工程,如引入农业用水到知多半岛之外,已经完成了一定的开垦。
他の地域はそれぞれ支配者がいるので、静子は開墾について口を挟む権利がない。
其他地区都有自己的统治者,静子没有干涉开垦的权利。
彼女の影響力は尾張・美濃に限定されていた。それでも信長のお膝元で色々と出来るのは、それだけで特権とも言えるのだが。
她的影响力仅限于尾张和美濃。即使是在信长的故乡,能够做许多事情,也可称之为一种特权。
「どうしようっかなあ……あ、伊勢神宮があったね。神宮式年遷宮(じんぐうしきねんせんぐう)のために寄進しよう。とりあえず3000貫ぐらいかな」
“该怎么办呢……啊,伊势神宫对了。为了神宫的式年遷宫,我们捐赠吧。暂时先捐个三千贯左右吧。”
「静子様の事ですから、家臣や兵たちに分け与えるかと思っていました」
“因为是静子大人的事,我曾经想过要将它分给家臣和士兵们。”
「それも良いけど、そろそろ余所にもお金を回さないとね。それには大きめの所が使う方が楽なの。後、寄進する事によって『織田家は寺社勢力を滅ぼす気はない』ってアピールも出来るしね」
“虽然也不错,但现在该把钱花在其他地方了。而且使用较大的机构更方便。此外,通过捐赠,还可以表达‘织田家不打算消灭寺社势力’的意思。”
信長は寺社勢力に苛烈な態度をとり続けているが、基本的に扱いは平等だった。敵対するならどの宗教、宗派問わず戦い、中立や味方陣営に与するならば平等に保護した。
信长对寺社势力一直采取残酷态度,但基本上对待却相当平等。如果敌对的话,不管哪个宗教或宗派都要战斗,如果中立或是加入盟友阵营的话,就会平等地保护他们。
静子が捕鯨で活用している鯨神社が信長から何も言われず活動できるのも、彼らは信長と敵対する気はなく、掲げている言葉通り鯨に関する事しか従事していないからだ。
静子在捕鲸时利用的鲸神社之所以能够活动而未受到信长的干涉,是因为他们并不与信长敌对,并且只从事与鲸有关的事,与他们所提倡的口号相符。
逆を言えば武具を購入し浪人を雇い始めると、信長から目を付けられる事になる。
说反了,如果购买武器并雇佣浪人,就会引起信长的注意。
「とりあえず上様に伊勢神宮への寄進について許可を得ておいて。それ以外は、他の面子が帰ってきた時に考えよう」
“先暂时先得到上様对于对伊势神宫的捐赠的许可。其他的事情等其他人回来后再考虑。”
「承知しました」
"我知道了" (wǒ zhī dào le)
「よろしくー。もうすぐ引っ越しだけど、引っ越しが終わったらみんなに役職とか割り当てようね。そろそろちゃんと組織化しないと、誰が何を担当しているか分からなくなるから」
“请多关照。虽然我们马上要搬家了,但是等搬完家了,我们会给大家分配职务。我们应该开始把组织建起来,否则就不知道谁负责做什么了。”
信長が用意した静子の邸宅に引っ越すと、今以上に家人が増える事となる。
信长为静子准备的宅邸搬进去后,家人数量将增加。
こうなると今までのように、いい加減な組織では運営出来なくなる。円滑に家を運営するにも役職を割り当てる必要があった。
这时就不能像以前一样运作马虎的组织了。即使是顺畅地运作家庭,也需要分配职责。
「お考えは既におありでしょうか」
"你已经有想法了吗?"
「とりあえず表と裏を分けないとね。表は慶次さんや勝蔵君たちが頂点で、裏は彩ちゃんと蕭ちゃんが頂点かなあ」
"暂时先把正反面分开吧。正面是景次先生和胜藏君等人位居顶点,反面可能是彩酱和萧酱位居顶点吧。"
「……それは……」
"那是……"
彩は少しだけ迷った。蕭は前田利家とまつの子だ。家柄は申し分なく、実力も他の人間が認めるほどだ。今では内容にもよるが、書状に「蕭」の印鑑を押して処理する権限もある。
彩有些迟疑。萧是前田利家和松的孩子。他的家世无可挑剔,实力也得到其他人的认可。现在,根据情况,他有权在信函上盖章以处理事务。
つまり静子の家は、蕭が切り盛りしていると言っても過言ではない。
换句话说,可以说静子的家是由萧来打理的。
対して彩の作業は、今も静子が私的、公的問わず所有しているものの管理となる。つまり倉のものと、金の管理。言い換えれば彩の仕事は現在で言うところの管財人となる。
然而,Sai的工作是由静子所有和管理的,无论是私人的还是公共的。换句话说,她管理仓库里的物品和金钱。换句话说,Sai目前的工作相当于财产管理员。
「家柄なんて気にする必要ないよ。と、言うか私は倉の管理を誰にしようか一番迷う所だったんだよね」
“家世什么的不需要在意。而且,说实话我最困惑的是该让谁来管理仓库。”
「それは、何故でしょうか」
“那是为什么呢?”
「簡単だよ。私の倉は色々と入っている。その中には、まだ世に知られたくないものもある。そういうものの誘惑に負けず、しっかり仕事する人が倉を担当して欲しいのよ。武田戦だって、倉に保管している新式銃が流出していたら、今のような結果にはならなかったしね」
"很简单。我的仓库里有各种各样的物品。其中还有一些不想让世人知道的东西。我希望有能够抵挡这些诱惑并认真工作的人来管理仓库。就像在武田战争中那样,如果我们仓库中保管的新型枪支被泄露出去,就不会有现在这样的结果了。"
遠回しだが静子の言いたい事は、一番信用を置いているのは彩、という事だった。
委婉的说,静子想表达的是,她最信任的人是彩。
「静子様の信に報いられるよう、ご奉公致します」
“我将尽职尽责地服务于静子女士,以报答她对我的信任。”
「ちょっとはデレようぜ、彩ちゃん。今は人がいないのだから、さあ! お姉さんの胸で感激の涙を流すのだ!」
"稍微变得可爱一点,彩酱。现在没人在,来啊!在姐姐的胸前流泪哭出感动吧!"
両手を広げてウェルカムをする静子を見て、信用していると言われたときに抱いた感謝の気持ちは霧散した彩だった。
看到展开双臂并欢迎我们的静子,我曾经抱有的因她说我值得信任而感到的感激之情,如今早已消散得无影无踪。
「それでは3000貫文、用意して参ります」
"那么,我将准备三千贯文。"
「お〜い、このままだと私はかなり空しいのだけど……くっ、彩ちゃんがデレる日はいつになるのだ」
“嘿,如果这样下去,我会感到相当空虚......咕,彩酱什么时候会变得温柔呢?”
「馬鹿な事を仰っていないで、正月らしい事をして過ごして下さい」
“不要说傻话,请过一个正宗的新年。”
そんな事をいう彩は気付いていない。彼女はうっすらと笑みを浮かべている事を。
她没有意识到说这种话的影响。她脸上浮现出淡淡的微笑。
もうすぐ引っ越しというタイミングで信長から京へと同行しろ、という命令が静子の許に届く。
很快受到命令,随着信长一起从静子那里搬到京都。
鷹狩りを行うというのが表向きの理由だが、本当の狙いは別にあると静子は理解した。何しろ鷹狩りを行うには不相応な武装を指示されているからだ。
表面上的理由是进行鹰猎,但静子理解真正的目的是另外一件事。毕竟,他们被指示配备了不合适的武装来进行鹰猎。
明らかに示威行為だ。信長は己の勢いを見せつけて、敵対者の反抗の芽を摘むつもりでいるのだ。そのために静子軍を活用する気だと静子は思った。
显然是示威行为。信长展示自己的力量,打算摘除敌对势力的反抗之芽。静子认为他打算利用静子的军队来实现这一目的。
「中々に酷い事を考えるなあ。まあこれでいくさが減るなら良いのだけれど」
“想得还真是挺糟糕的。不过如果能减少战斗的话,那也不错。”
命令書を読み終えた静子は、彩にいつもの面子を集めるよう指示した。慶次だけは、どこにいるか分からず時間はかかったが、何とか全員を集める事に成功する。
命令书读完后,静子指示彩集合众人。虽然不知道庆次去哪里了,但最终成功召集了所有人。
「ふわぁ〜、寝ている所を起こすとか、静っちは酷いぜ」
「嗯哼~~,把我吵醒还想静静,太不仁义了!」
「ごめんね。ま、お仕事と思って諦めてね。これが終われば、多分暇になると思うから」
"对不起。那就当做工作而放弃它吧。等这件事情结束后,我想我应该会有时间的。"
大あくびをしつつ愚痴を零す慶次に、静子は片手で拝むようにして詫びる。慶次もそこまで文句はなかったようで、才蔵が肘でつつくと頬をかいて黙る。
就在桂次打了个大哈欠、发牢骚的时候,静子用一只手摊开,深表歉意。桂次似乎没有太多的抱怨,当才藏用手肘碰了碰他后,他只是挠了挠脸颊,静默下来。
「さて、今回は単純に京へ行くだけだよ。ただ色々と思惑が絡んでいるから、ちゃんと武装して行く事になる。まあこっちはこれだけの力があるんだぞ、って見せつけるためかな」
“好了,这一次只是去京都而已。但由于有许多思想上的纠葛,我们需要去装备一下。我们也许需要展示一下我们的力量。”
「なんとまあ、やる気の出ない話だ。その為に俺たちが出る必要はあるのか?」
“真是没什么动力的话题啊。我们需要为此出门吗?”
「まあまあ、これでふるい落とされる相手なんて、最初から期待しなくて良いじゃない。力を見せつけて、なお戦う気概を持つ相手を見定めると思えば、悪い事じゃないと思うの」
「嘛,这样被淘汰的对手,从一开始就不必抱有期望。如果能够展现实力,并且确定对方具备继续战斗的决心,我觉得这并不是一件坏事。」
「む、まあ……確かにな」
"嗯,嗯……确实是这样"
いの一番に愚痴を零した慶次を、静子は何とか宥める。やる気が出ないのは静子も同じだ。
静子设法安抚抱怨最多的慶次。静子自己也缺乏干劲。
わざわざそんな事をしなくとも、既に武田戦で散々実力を見せつけたのだ。これ以上、見せつけるような事をする必要はないと、静子も思っていた。
即使不费那么多力气,已经在武田之战中展现出了强大的实力。静子也认为没有必要再展示更多的实力了。
「まあ、京では遊んでいても問題ないのじゃない? 費用ぐらいなら、ある程度は出すよ」
“那么,在京都玩耍应该没有问题吧?费用的话,出一定的金额也没关系。”
「ヒュー、さすが静っち。話が分かるじゃないか」
「哦,果然是静子啊。听得懂我的话呢。」
「こら、みっともない事を言うな。地味に見えるが、示威行為も重要な仕事だ」
“喂,不要说不体面的话。看起来很不起眼,但示威行為也是一项重要的工作。”
「分かっているよ。分かっているけど、つまらないものはつまらん」
“我懂。虽然我懂,但无聊的东西就是无聊。”
「まー私も乗り気ではないよ。ただ、例のものを受け取らないといけないから、ちょうど良かったと思っておくよ」
“嘛,我也不是很情愿。不过,必须领取那个东西,所以正好可以这样想。”
「お、じゃあようやく引き渡しが出来るのか!!」
“哦,那么终于可以交付了吗!!”
静子の言葉に長可が反応する。長可の問いに静子が頷くと、彼は諸手を挙げて喜んだ。
静子的话引起了长可的反应。当静子点头回答长可的问题时,他高举双手欣喜若狂。
例のもの、それは海外の土着猫の事だ。ターキッシュアンゴラに惚れて以降、信長は他の海外猫をも気に掛けていた。
那个例子是指海外土生土长的猫。自从爱上土耳其安哥拉猫以来,信长就关注着其他海外猫。
海外の猫がもっと欲しい、いつしかそんな欲求を抱くようになった信長は、静子に「金に糸目はつけない。他の猫も集めよ」と命じた。
信长渐渐地产生了想要更多海外猫的欲望,他对静子说:“不要在金钱上吝啬,多收集其他的猫。”
持てるコネを最大限に駆使して、静子は西洋猫を集めた。
利用她可以利用的一切关系,静子聚集了许多西方猫。
まずロシア東部で自然発生した土着猫サイベリアン。西暦千年ごろから存在が確認され、現代ではロシアの歴代大統領に愛されている猫だ。
首先是在俄罗斯东部自然发展而来的土生土长的西伯利亚猫。自公元一千年左右开始被确认存在,现今已成为备受俄罗斯历届总统钟爱的猫咪。
好奇心旺盛かつ頭脳明晰ながら温厚で忍耐強く、そして甘えん坊な性格の猫だ。
这只猫好奇心旺盛、头脑明晰,性格温厚、忍耐力强,而且喜欢撒娇。
それでいて卓越した狩猟能力を持ち、水を忌避する猫種にあって、魚を捕獲するサイベリアンまでもが確認されている。
即使如此,西伯利亚猫不喜欢水,但他们卓越的狩猎能力已经被证明能够捕捉鱼类。
次にイギリスの土着猫ブリティッシュショートヘア。始まりは古代ローマがイギリスを侵攻した際、食料を狙うネズミ対策として連れてきた猫が始まりと言われている。
接下来是英国土著猫——英国短毛猫。据说起源可以追溯到古罗马入侵英国时为了对付老鼠而带来的猫。
20世紀に品種の標準化が確立したが、それより一世紀も前にイギリス国内で土着猫として関心が向けられていた。
在20世纪确立了品种的标准化,但在一个世纪之前,英国国内就已经将注意力关注在当地土著猫上。
本種は短毛種だが、長毛種としてブリティッシュロングヘアーという猫も存在する。こちらは比較的新しい猫の品種である。
本物种为短毛种猫,但作为长毛种猫也存在一种名为英国长毛猫的品种。这是一种相对较新的猫品种。
次にノルウェーの土着猫ノシュク・スコグカット。英語でノルウェージャンフォレストキャットと呼ばれ、意味はノルウェー語と同じくノルウェーの森林ネコだ。
接下来是挪威本土的猫种诺尔斯科格凯特。英语中被称为挪威森林猫,其含义与挪威语相同,即挪威森林中的猫。
ノルウェーで古くから存在する土着猫だが、四千年以上前から存在する猫だと言われたり、南ヨーロッパにいた短毛種がノルウェーの寒さに耐えるため長毛種に変化したと言われたり、十一世紀にバイキングが連れてきた猫が元だと言われたり、今もなお起源が判然としない。
挪威有着一种古老的土著猫,但据说这种猫已经存在了四千多年,也有人认为它是从南欧短毛品种演变而来,能够适应挪威的严寒。还有人认为它是在十一世纪时由维京人带来的,但至今仍不确定其起源。
はっきりしている事は、防水機能のある2重状の毛などノルウェーの環境に適応している点だ。
明显的特点是具有防水功能的双层毛发适应了挪威的环境。
ただし寒冷地方に適応した品種のため、亜熱帯や熱帯地方では熱中症にかかりやすく、防水のための皮脂は皮膚炎になりやすい問題がある。
然而,由于适应寒冷地区的品种,亚热带和热带地区易患中暑,并且为了防水而产生的皮脂容易引发皮肤炎问题。
最後に最も古いイエネコと言われているエジプトの土着猫エジプシャン・マウ。マウとは古代エジプト語で猫を意味する。
埃及土著猫埃及猫被认为是最古老的家猫种之一,也被称为埃及猫。Mau是古埃及语中猫的意思。
ピラミッドの壁画にも、エジプシャン・マウらしきものが描かれており、エジプシャン・マウは古代エジプトから存在しているのでは、と推測されているが確証はない。
金字塔壁画上也画有类似埃及猫的形象,据推测埃及猫可能存在于古埃及时期,但尚无确凿证据。
斑点模様を持つ猫だが、この模様は猫の品種の中で、唯一人の手が加えられてついたものではなく、自然と斑点模様になったと言われている。
这只猫有斑点图案,但据说这种图案并非人工加工而成,而是自然形成的,是猫中唯一具有这种特征的品种。
なお現代のエジプシャン・マウは最古の猫として有名だが、ロシア王女ナタリーがエジプトよりイエネコを数匹取り寄せ、アメリカに猫とともに亡命してから品種改良した猫が正式な品種として登録されたため、比較的新しいアメリカ原産とも言われている。
尽管现代埃及猫被认为是最古老的猫之一,但俄罗斯公主娜塔莉曾从埃及带回了许多猫,在美国与这些猫一起流亡,并通过品种改良成为正式的品种,因此被认为是相对较新的美国原产品种。
静子が取り寄せたのは、ナタリー王女がエジプトより取り寄せたと言われるイエネコだ。混乱を防ぐため、静子はエジプシャン・マウと呼ぶことにした。
静子所取得的猫被认为是纳塔莉公主从埃及进口的伊及猫。为了避免混淆,静子决定称其为埃及猫。
これらの土着猫を購入した静子だが、その購入方法は少し特殊だった。まずこの時代、猫は荷物をネズミから守る重要な存在だった。
购买这些当地的猫的是静子,但她的购买方式有点特殊。那个时代,猫是保护货物不受老鼠侵害的重要存在。
見慣れた土着猫とはいえ、南蛮商人は猫を簡単に手渡す訳にはいかなかった。そこで静子は猫を一時的に預かり、日ノ本で繁殖させてから南蛮船に親猫を返却するという手法をとった。
即使是见惯了的土著猫,南蛮商人也不能轻易地交出它们。因此,静子暂时收养了这些猫,并让它们在日本繁殖,然后再将它们的母猫归还给南蛮船,采用了这种方法。
無論、その間船舶は移動が出来なくなったが、それらの費用は信長(正確には堺の商人たち)が受け持った。
不管怎样,在那段时间,船只无法移动,但这些费用由信长(确切地说是堺城的商人)承担。
こうして育てられた子ネコが、ようやく引き受けられる時期になった。受け取りはいつもと同じく京で執り行われる。
经过这样的成长,这只小猫终于到了可以被领养的时候。领养仪式将和往常一样在京都举行。
他にも静子が依頼していたものがあるが、それはまた今度でも問題なかった。
他还委托了其他事情给静子,但这一次没有问题。
「よしよし、俺は俄然やる気が出てきたぞ」
"好了好了,我突然有工作的动力了"
「現金なものだな」
“这就是现金的力量啊。”
長可の手のひら返しに才蔵は呆れた。だがやる気がないより、ある方がマシだと思い、それ以上の苦言は口にしなかった。
长可的反复无常让才藏感到惊讶。但他认为有些进展总比毫无动力好,因此没有再多说什么贬义之词。
慶次はやる気ない態度ではあるものの、暇つぶしにはなるだろうと思っていたのか、強く拒絶はしなかった。
"虽然景次表现出了没有积极性的态度,但似乎认为这可能会成为打发时间的好方法,所以并没有强烈拒绝。"
「ま、気楽に構えよう。それじゃあよろしく」
"那好吧,就轻松点儿吧。那么请多关照。"
静子の締めの言葉に、おのおの自分なりの返答をした。
每个人都用自己的方式回应了静子的结束语。
一月下旬、将軍義昭は武田が敗れた事で、嫌々ながらも信長に降伏した。しかし、当の信長は義昭が対織田家のために挙兵していた事すら知らなかった。
一月下旬,将军义昭因为武田的失败而不情愿地向信长投降。然而,信长本人甚至不知道义昭曾经为对抗织田家而发动起义。
知らなかった、というより意識にも上らなかった。何しろ彼の頭の中は、静子が武田を破るまでずっとそちらに集中していたのだ。
不是不知道,只是根本没有意识到。他一直在集中精神关注静子是否能够击败武田,根本没有留心其他事情。
最初に知った光秀も報告こそ上げはしたが、それ以降は武田に集中したため、京に戻った時に義昭からの使者が来てようやく思い出したという状況だった。
最初知道的光秀虽然上报了,但之后都集中于武田一方。直到回京后才接到义昭派来的使者,才想起这件事情。
それほどまでに義昭の挙兵は、信長にとって些事に過ぎなかった。
这对信长来说,并不是什么大不了的事情,义昭的举兵只是如此而已。
今回、形式上は軽はずみに挙兵した義昭へ苦言を呈する形だが、京の誰もが信長は義昭を懲罰するためにやってきたと思っていた。
这次虽表面上是对轻率举兵的义昭提出批评,但京都的每个人都认为信长来是为了惩罚义昭。
実際その考えは正しく、ただ叱責するだけなら軍を連れてはこない。軍は義昭に対する威圧と脅しのためだと京の民は思っていた。
实际上,这个想法是正确的。如果只是责备他,他不会带着军队出现。京城的人认为,这支军队是为了对义昭进行威慑和恐吓。
「そういえば、もうすぐ織田軍が来るらしいぞ」
“顺便说一下,据说織田军很快就要到了。”
「将軍様は挙兵したってのに、一回もいくさする前に降伏だったかな。全く情けねぇよな」
“将军大人发动起义了,但在发动一次战斗之前就投降了。真是太可悲了。”
「ほんとほんと、せめて一回は戦えよーって思ったわ」
“真的真的,至少想让你战斗一次。”
今までの言動が重なり、将軍義昭に対する敬意など望むべくもなかった。そもそも敬意がなければ、天下人すらコケにするのが京の民だ。
现在他的言行举止已经累积起来了,对于义昭将军的尊敬也无从谈起。总之,如果没有尊敬的话,那么就连天下人也会成为京都居民所看不起的人。
一回も戦わず降伏したとなれば、幾ら将軍とは言え嘲笑するし、笑いのネタにもする。そんな話をしていると、彼らが向いている方とは反対側から、男が一人走ってきた。
如果我们投降而没有作战,即使我们是将军也会被嘲笑并成为笑柄。正在这时,从他们所面向的相反的方向,一个男人跑了过来。
「お、様子を見てきた奴が戻ってきたぞ。どうだった?」
“噢,去看了一下的那个人回来了。怎么样了?”
「ど、どどどうだったじゃねぇ! と、とにかく下がれ、お前ら!」
“你、你、你们如何了!?总之先退后吧!”
両膝に手をついて呼吸を整えた男は、慌てて押し出すようにして男たちを端に寄せようとする。困惑した男たちだが、尋常ではない慌てぶりに渋々言う事を聞く。
双膝着地的男子手扶着膝盖调整呼吸,急忙推开男众靠近边缘。虽然其他人感到困惑,但在他慌张不安的情况下,他们勉强听从了他的话。
道路の端に寄ってから少しして、織田軍の旗が見えた。のぞき見ようと首を伸ばした男を、様子見した男が慌てて引っ込める。
靠近道路边稍稍停顿一下,便看见了织田军的旗帜。想要窥探的男人被稍稍观察一下的男人急忙拉了回来。
「(な、なんだよ。見るぐらい問題ないだろ)」
「(哪、哪里啊。光看看没有问题吧)」
「(いいから俺の言うとおりにしておけ!)」
“别管了,按照我说的做就行了!”
そんなやりとりをしている内に、織田軍が彼らの視界に入るまで近づいていた。そして、様子見してきた男が、異常な様子になっている理由を、彼らは知った。
就在这样的交流中,当他们注意到时,織田军队已经悄悄地接近到他们的视线之内了。随后,那个一直在旁观的男子向他们解释了自己为什么变得异常紧张。
織田軍の行進は非常に統率が取れていた。五人を一列とし、太い木のような列をなしていた。
织田军的行进非常有条不紊。五人一列,像粗壮的木头一样排列着。
通常、雑兵や足軽が混ざれば列は形を成さず、細長い形になる。それが等間隔に列をなしていれば、それだけで驚愕する光景だ。
通常情况下,如果混杂了杂兵或步兵,队伍就不成规则的形状,呈现出细长的形态。如果他们能够保持等距离的分列,那么这样的光景也足以令人惊叹。
更に武装も驚きだった。両端の人間は槍を携えていたが、中3人は銃を装備していた。それが長い列を成す。理解の良い者なら、それだけで大量の火縄銃を所持している、と考える。
此外,他们的武装也令人吃惊。两侧的人持有长矛,而中间的三人则配备了枪支。他们排成一排,如果你理解得好,那么这就意味着他们持有大量的火枪。
ましてや遠巻きに見ている間者なら、その光景だけでどう報告するべきか頭を悩ますだろう。
更何况偷偷观察的间谍,看到这样的景象也会为该如何汇报而感到困扰。
(やれやれ、上様も人が悪い。きっと将軍向けと、京にいる間者たちの両方に見せつけているんだろうね。現代で言う軍事パレードかな?)
(唉,上头也挺过分的。肯定是要向将军和京城中的间谍们展示实力。算是现代的军事阅兵吧?)
もう何度見たか分からない京の民の驚いた顔を流し見しつつ、静子は手綱を握る。徒歩行進訓練は現代の自衛隊も行うほど、体力の向上を目的とした基本的な訓練だ。
静子握紧缰绳,看着京都居民惊讶的脸孔流淌而过。步行行进训练是现代自卫队进行的基本训练之一,旨在提高身体素质。她已经无数次目睹京都居民的惊异表情。
もう一つ、地形の把握という目的もあるが、静子は体力の向上を主としていた。兵士訓練所では基本中の基本であり、入隊した者全てが数え切れないほど行う。
另外一个目的是了解地形,但静子主要是为了提高体力。这是军人训练中最基本的基本,所有入伍者都要进行无数次。
訓練によっては背納の重さが代わり、軽ければ20キロ、重ければ60キロを背負う。距離も短ければ数キロだが、長ければ尾張から岐阜まで移動する事もある。
训练后背负的重量将会有所变化,如果重量较轻则会背负20公斤,而如果重量较重则会背负60公斤。移动的距离也会根据任务而异,短距离仅数公里,而长距离则可能需要从尾张移动至岐阜。
それゆえ信長は静子軍を京へ連れてきた。統率の取れた軍が多くの火縄銃(半分以上は訓練用の射撃性能がないモックアップ)を装備している光景は、敵の戦意を挫くのに十分だ。
因此,信长将静子军带到了京都。这支统率有序的军队配备了许多火绳枪(超过一半是没有射击性能的模型枪),这一景象足以挫败敌人的战斗意志。
武装して行進するだけで、反抗の芽を摘み、無用ないくさを減らし、敵に味方する者をも減らすことができる。しかも、信長に付き従うは武田を倒した静子軍だ。
武装游行能够摘除反抗之芽,减少无谓的矛盾,甚至减少归附于敌方者。而且,追随信长的,正是打败武田的静子军。
信長からすれば、これほど効率が良い策はなかった。傍目にはただ歩くだけで、敵が減るのだから。
信长看来,没有比这个更高效的策略了。从旁观者的角度来看,只是在行走,却可以削弱敌人实力。
(まあ、無用ないくさが減るのは私も賛成だけどね)
(虽然我也同意减少无用的废话,但是嘛) --> (虽然我也同意减少无用的废话,但是嘛)
そんな事を考えつつ静子は目的地に向かう。
想着这些事情,静子朝着目的地走去。
彼らを呆然とした表情で見送った京の民は、しばらく呆気にとられていた。
他们愣在那里,茫然失措地注视着京都居民,许久无法反应过来。
「……な、なんか、前回見たときより更に強くなってないか、織田軍って」
「……那、那个,是不是織田军比上次见时更强了呢?」
誰かがポツリと呟き、続いてようやく実感がわいたのか、男たちは顔から汗を吹き出す。
有人喃喃自语,接着男人们才终于产生了深刻的认识,脸上开始冒汗。
「やばいよな……あんな連中に逆らおうって考えるのは、馬鹿のする事だぜ」
“那很危险啊……想要对那些家伙反抗可是傻瓜才会做的事情。”
「そうだそうだ。それに考えてみろ。織田軍がつえぇって事は、この街が安全って事だ」
"是的是的。而且想一想,織田军很强大,这意味着这个城镇很安全"。
「噂じゃ武田軍が全力で戦ったのに、ボロッボロにして追い返したそうだぞ」
“传闻据说武田军全力以赴战斗,却被粉碎并击退了。”
「うーん、織田軍はすげぇわ」
"嗯,織田軍厉害啊"
その後も男たちはあれやこれやと語り合い、その会話を聞いた連中が別の人へと話を伝え、いつしか元の話に尾ひれどころか脚まで生えて独り歩きしてしまっていた。
之后,那些男人继续交谈着各种话题,听到他们谈话的人把这些话告诉其他人,不知不觉中,这些话甚至已经发展到了牵扯到完全无关的内容了。
京の民の織田軍に対する噂を聞いたとき、信長は人目も憚らず呵々と大笑いした。
当听到关于京都民众对织田军的传言时,信长毫不在意地哈哈大笑。