【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 116 [千五百七十四年 三月下旬]
书名 战国小町苦劳谭
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作者: 夹竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
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千五百七十四年 三月下旬(*原文网页序列号 - 133)
静子は中断していた清書を手早く済ませると、すぐに着替えて謁見に臨んだ。小姓が到着を告げて静子が入室すると、光秀の遣いは平伏して待っていた。
静子中断了她正在进行的整理手稿并迅速完成了清書,然后更换衣物前往会见。当女侍到达房门时,小姓报告了静子的到来,光秀派遣的人在那里恭候。
「お待たせしました。挨拶や口上は無用です。早速本題と参りましょう」
“不好意思让您等了。不需要问候和开场白,我们直接谈正事吧。”
夕暮れ時に訪れ、日を改めることも出来ぬという用件だけに、静子は少しでも時間を節約すべく先を促した。
夕暮时分到来,因为只有紧急且不能改期的事情,静子急切地催促前行,以节省时间。
恐縮しつつも光秀の遣いが語った内容は次の通りであった。
恭敬地表示歉意,但光秀的使者说的内容如下。
京の治安が回復して以降、商人たちが持ち込む様々な物が流通し、公家達はおろか庶民にまで幅広く親しまれ始めた。
京都治安恢复以后,商人们带来的各种物品开始在各处流通,不仅名家,普通老百姓也开始广泛的喜爱它们。
大通りには大店(おおだな)が軒を連ね、珍しいものを商(あきな)っている。
大街上有大型商店林立,售卖着稀奇古怪的商品。
中でも歌会や茶会に欠かせぬ菓子を扱う商店は、公家達の遣いが競うように商品を購入するようになっていた。
其中,在歌会和茶会上必不可少的糕点商店开始受到公家的竞相购买。
そして帝主催の歌御会(うたごかい)の席で、反近衛派の公家達が供された茶請けにケチをつけた。
然后在帝皇主持的歌会上,反近卫派的公家们对茶点挑剔挑剔。
曰く、近年朝廷に齎される流行はいずれも近衛家から発されるものであり、帝のご威光も翳(かげ)ってしまった。
据说,近年来朝廷流行的一切都是源自近卫家,连帝王的威光也被掩盖了。
近衛家だけに大きな顔をさせるのではなく、帝の権勢が衰えぬことを示されてはいかがかと。
不只让近卫家独大,还应该展示皇权不衰的力量。
ともすれば不敬に問われかねない挑発的な発言だが、こうまでコケにされては帝も引き下がるわけにはいかなかった。
这种挑衅性发言很容易被视为不敬,但是既然被看作这样不起眼的存在,我们(帝王)也没法轻易放弃。
そこで帝は朝廷に近い光秀を頼り、近衛家を通さず公家達をあっと言わせる菓子を求めた。
因此,皇帝依赖靠近朝廷的光秀,不经过近卫家,寻找能让官员们感到惊讶的甜点。
「……格式高く、それでいて誰も目にしたことのない美味なる菓子ですか……」
“……这是一种高雅而又别具一格、美味无比的糕点吗……”
用件を聞く前から嫌な予感はしていたのだが、悪い予感ほど良く当たる。格調などとは縁遠い、庶民派の静子としては暗澹たる思いだった。
在听到事情的细节之前,我就有了一种不好的预感,但这种预感通常都很准确。作为一个平民派的静子,格调等方面离我很远,这让我感到很沮丧。
「我らも方々手を尽くしましたが、ついぞこれだと言うものを見出せませなんだ……。されど、我らが主は静子様ならば良いお知恵をお貸し下さるのではと……」
"我们也尽了各种努力,但始终找不到合适的方法......但是,如果我们的主人是静子女士的话,我相信她会给我们提供宝贵的智慧......"
「ふむ……」
"「ふむ……」" translates to "嗯……" in Simplified Chinese.
静子は扇子で口元を隠しながら、目まぐるしく思考を巡らせた。おおよその事情は理解でき、使者が持参した光秀の文より、公家達の狙いどころも把握できた。
靜子拿著扇子遮住口,腦海中快速思考。大概了解了情況,通過儀使帶來的光秀文書,也掌握了朝廷官員的目標。
これは朝廷内の権力闘争の一環なのだ。朝廷での力学が近衛家の独壇場であるのを面白く思わない勢力がおり、彼らが手勢を使って帝を挑発したという背景があった。
这是朝廷内的权力斗争的一部分。朝廷内的力量机制是近卫家族所独霸的,但有一些力量不喜欢这个情况,他们雇佣手下挑衅皇帝。
事実、帝は近衛家を頼らず光秀に協力を打診した。近衛家一派外しの第一歩は成功したが、帝が頼った相手が悪かった。
事实上,天皇没有依靠近卫家,而是向光秀寻求合作。排除近卫家派系的第一步已经成功,但天皇选择的合作对象不好。
朝廷の事情にも明るい光秀は、正確に公家達の思惑を見抜き、最善の一手として静子に白羽の矢を立てた。
朝廷局势明亮的光秀准确地揭示了公家们的想法,将静子看作最佳抉择。
静子は恐縮しきりといった遣いの様子を見て、ふと思いついたものがあった。それは現代に於いて静子の祖父が黄綬褒章を賜ったおり、時の天皇陛下より下賜された記念品の存在であった。
看到静子非常谦虚地说话,突然有些想法。那是关于现代时代静子的祖父被授予黄绶褒章时,时任天皇陛下赐予的纪念品的存在。
「(あれなら格式高く、帝の権威を示せるね)帝直々のご依頼とあれば断ることもできませんね。少し時間を頂戴しますが、帝のご威光を示す菓子については承りました」
“如果那个的话,就能够体现出高贵的身份,以及皇帝的权威呢。如果是皇帝亲自委托的话,也不能拒绝呢。虽然需要一点时间,但是已经收到了关于展示皇帝威光的点心的委托。”
信長に問い合わせようかとも考えたが、黒幕の狙いが読めている以上、受けろとしか言われないのは明白だった。
考虑要向信长询问,但既然已经读懂了幕后黑手的意图,明显只能接受下去了。
光秀の遣いが辞去(じきょ)した後、静子は改めて帝に相応しい菓子について思いを巡らせた。
光秀的使者辞职后,静子又重新考虑了适合皇帝的糕点。
演出については参考に出来るものがあるため問題ない。肝心な中身をどうするかについて、静子は知恵を絞ることとなった。
关于表演,因为有可以参考的东西,所以没有问题。关键是要考虑如何处理实质性的内容,静子开始动脑筋。
「確かに私にしか出来ない依頼かな。近衛様が力を持ちすぎる事を警戒しているんだろうね」
“确实是只有我能够完成的请求吧。我想近卫大人是担心持有太多权力的事情吧。”
中々に難しい問題だと静子は思っていた。単に珍しい菓子を用意するだけなら光秀にも出来る話だ。
静子认为这是一个相当困难的问题。如果只是准备一些罕见的糖果,光秀也能做到。
彼の伝手を駆使すれば、尾張・美濃の職人たちを動員して、珍しい菓子を用意することも難しい話ではない。しかし、そこに静子を絡ませねばならない理由。
如果利用他的关系,调动尾张·美濃的工匠,准备珍稀的糕点并不是难事。但其中却有必须牵扯进静子的理由。
「帝が自発的に求めた織田家に属さない勢力。それを担ぎ上げて朝廷での勢力を二分しようとする者たちが居る……か」
“皇帝自愿加入织田家以外的势力。有人试图支持他们,在朝廷上分裂权力……吗?”
近衛前久が織田家と親しいのは公然の事実であり、朝廷にとって信長は最大のスポンサーでもあった。しかし、朝廷も一枚岩ではなく、全員が信長の影響下にあることを良しとしている訳ではなかった。
近卫前久与织田家亲近是公开事实,对于朝廷来说,信长也是最大的赞助商。但是,朝廷也并非一致同意,也不是所有人都认为受信长影响是一件好事。
中には勢力基盤に寺社勢力を抱える、織田家に反抗的な公家も存在する。武家や仏家でも同じことが起こっているのだ。公家内で起きないはずがない。
其中有一些反抗織田家的公家,他们拥有寺社力量作为基础。同样的情况也发生在武家和佛家中。在公家内部,这种情况无可避免。
しかし、前久の関白就任以降、このパワーバランスが大きく崩れたのだろう。
然而,自前久任关白以来,这种权力平衡显然已经被严重破坏。
今までは勢力維持に汲々としており、表立って反抗することは無かった。しかし、この度は手勢を捨て駒として切り捨てでも、大きく博打を仕掛けてきていた。
过去我们一直为了维持力量而忙碌不已,从未公开反抗。然而,这一次我们不惜放弃手下,大胆地发起了赌注很高的冒险。
考えようによっては、相手はそれほど追い詰められているとも見られる。
从另一个角度来看,对方可能被逼得走投无路。
「黒幕まで一気に潰すのは無理だけど、噛みついてきた以上は手足の一本も貰わないとね」
“要一口咬定了就不能放过他,虽然无法一口吞掉黑幕,但至少也不能让他逃脱制裁。”
直接自分達の手を汚さず、帝の威を借りて博打を打つ。悪くない手だと静子は思った。しかし、知略に優れる光秀の目にはその思惑が透けて見えていたというのが運の尽きだった。
直接利用皇帝的声威赌博,而不用亲自沾手,这不是一个坏主意,静子认为。然而,这个计划被光秀聪明的眼睛洞穿,这就是厄运的开始。
ようやく訪れた平和な時間に、要らぬことを企んで余暇を奪ったからには、相応の報いを受けてもらわねば静子の腹の虫は収まらない。
在终于到来的和平时刻,如果因为策划了不必要的事情而剥夺了悠闲时光,那么必须受到相应的惩罚,否则静子的不满足感就无法消退。
これを機に、黒幕の喉元まで刃を突き付けることが肝要だと静子は考えた。
静子认为,现在重要的是向幕后策划者逼近并逼其就范。
「よし! 中身はともかく、外側を造るにも時間が掛かる。早速取り掛かろう」
“好!虽然内部还没有决定,但是外部也需要时间来制造。我们立刻开始吧。”
良い作戦を思いついた静子は、各所に協力を求める文をしたためるべく筆を取った。
想出了好策略的静子拿起笔,写下了请求各处协助的文书。
各所に文を飛ばしてから数日が経ち、静子が滞在する京屋敷に文を送られた相手が集まっていた。近衛前久、明智光秀、細川藤孝の三人であった。
几天过去了,静子向各处寄出了信件,她的来信终于被近卫前久、明智光秀和细川藤孝三人收到,他们聚集在静子逗留的京都府邸里。
静子は試作品を見せつつ、彼らに手筈を説明した。
静子一边展示试作品,一边向他们解释了细节。
「悪くない趣向ですね」
“这不是坏主意。”
試作された容器を眺め、細川が感想を述べた。静子が参考にしたのはボンボニエール(ボンボン容器という意味のフランス語)。皇室の慶事の祝宴などで引き出物として配られてきた『菓子器』であった。
观赏着试制的容器,细川发表了感想。静子参考的是法语单词“Bonbonniere”(指的是糖果盒)。这是被用作皇室庆祝仪式等场合礼品分发的“糖果器”。
開いた扇を象(かたど)り、いぶし銀で表面を仕上げた手のひらサイズのボンボニエールは、雅かつ重厚であった。
象征着打开的扇子,用老银制成并表面抛光的手掌大小的小饰盒,雅致而又沉重。
誰の目にも一目で高級品と判る存在感を示しつつも、決して下品にならない風格を備えていた。
任何人都能够立刻看出它的高品质,同时又拥有着从不低俗的气质。
中に込められた菓子は、尾張の酒蔵に特別に作らせた特濃の濁り酒を閉じ込めた日本酒ボンボンとでも呼ぶべき菓子だった。
其中包含的糖果是一种叫做日本酒软糖的糖果,它们是用特别厚的浑浊酒从尾张酒厂制作而成的。
菊の花を模したボンボンを噛み砕けば、中からトロリと濃厚な糖液が広がる。特別に発酵の終わった醪(もろみ)を砕いて入れ、蒸留しない範囲で最大限濃度を上げた濁り酒を用い、米の香りを感じられるシロップに仕上げていた。
咀嚼菊花造型的糖果,就会散发出浓郁的糖浆。这是使用特别处理过的酒压榨并蒸馏而成的米糖浆,米的香气十分突出。
「それで、この菓子の発案者を『仁比売(ニヒメ)』とするわけですか」
“所以,将这个糖果的发明者称为‘仁比卖(ニヒメ)’是吗?”
光秀の言葉に静子が頷いて見せる。相手の狙いとしては信長と光秀の関係を悪くする、いわゆる離間工作にある。
光秀的话让静子点头。对方的目的是要破坏信长和光秀的关系,进行所谓的离间工作。
信長が近衛家の娘である静子を担ぎ、対する光秀は帝の親任篤い『仁比売』を奉じる。反織田家の公家達としては、織田家に楔を打ち込めた気になるだろうが、現実は同一人物である。知らぬは敵ばかりとなっていた。
信长挟持近卫家的女儿静子,而光秀则奉持帝的亲任深厚的“仁比卖”。作为反对织田家的公家,他们可能会感到已经敲打进了织田家的楔子,但现实上他们面对的是同一人。不知道只会让自己变成敌人。
これを機に光秀には反織田勢力の公家達が接触を図ってくるだろうが、全てが信長に筒抜けとなる手筈となっている。
这将成为光秀反对织田势力的公家们接近他的机会,但所有事情都已经落入信长的掌控之中。
「そして私が後で悔しがってみせれば、相手は策が成ったと馬脚を露(あらわ)すわけか」
“如果我后悔并表现出来,那对方就会暴露出他们的阴谋了。”
前久が顎を撫でながら感心する。肝心の歌会は狩野(かのう) 松栄(しょうえい)の絵に対して歌を作り、その出来栄えを競うというものだ。
前久满怀赞叹地摸着下巴。这个重要的歌会是为了创作与狩野松栄的画相呼应的歌曲并竞赛其表现。
絵の選定は前久が行い、細川が歌を考え、光秀が懇意にしている公家がそれを歌って賞を賜る。いわゆる出来レースだが、舞台裏を覗けぬ限り、敵方である前久が混じっているため露見することは無い。
选定画作由前久负责,由细川考虑歌曲,光秀的熟人公家演唱并颁奖。虽然被称为假的比赛,但只要你不能偷看幕后,由于敌人前久也混在其中,所以不会暴露。
「こういう時は第三者を混ぜておくと良い。どこかにケチを付ければ、色々な方面に喧嘩を売る事になる」
“这种情况最好牵扯第三方。只要找出岔子,就会和各个方面起争执。”
静子は腹黒い男達の駆け引きに感心していた。絵は狩野派(かのうは)の物であり、歌については細川が著名な歌人と謀(はか)り、賞を得るに相応しいと言質を求める。
静子对阴险的男人们的博弈感到钦佩。这幅画属于狩野派,关于歌曲,静子建议向著名的歌人细川商议,寻求赢得奖项的保证。
そして帝の威光を示す菓子は、目の肥えた前久からしても出色の出来であった。絵も歌にも文句を付けられず、恩賜品の発案者は帝のお気に入りである。
而展示皇帝威严的糕点,即使在眼光挑剔的前久眼中也非常优秀。无论是图画、歌曲还是文词,都无可挑剔。恩赐品的策划者是皇帝的心爱之人。
反織田家の公家達は勢いづくであろうが、それこそが致命の罠となる。光秀という毒を飲み、手の内を晒して失脚するという未来へ、自ら進むこととなるだろう。
反织田家的公家们会变得强势,但这恰恰是致命的陷阱。他们将喝下毒药光秀,暴露自己的阴谋并走向失势的未来。
「承認を頂けたようで幸いです。では、皆様よろしくお願いします」
"很幸运获得批准。那么,请大家多多关照。"
静子の言葉に各々が頷いた。作戦の成果は覿面(てきめん)であった。光秀は反織田の公家達に取り入り、知り得た情報を前久に流す事により、反織田勢力の手足を潰していった。
静子的话得到了每个人的认可。这个计划取得了明显的成果。光秀利用反对织田家的公家人和他们得到的情报,不断瓦解反对织田家的力量。
彼らは拠り所を求めて光秀に傾倒し、光秀と前久が共謀しているが故に飼い殺しとなった。
他们寻求着支撑,在向光秀倾斜,但因为光秀和前久共谋,变成了被牺牲的对象。
「順調順調」
"顺利顺利"
歌御会でお披露目されたボンボニエールは帝の権威を充分に示し、以降も折に触れて下賜される品として定着した。容器には十六八重表菊、いわゆる菊のご紋が刻まれ、皇室のみに卸されることとなる。
在歌御会上展示的糖果盒充分展示了皇帝的权威,并已成为定期赠送的礼品。容器上刻有十六八重表菊,即所谓的菊花纹章,这是皇室特供的。
継続して皇室にボンボニエールを納める手配をしている頃、静子の許に信長からの文が届いた。
正当他们正忙着安排继续向皇室捐赠糖果盒之时,静子收到了信长寄来的信。
自分が居なくては出来ない仕事は無いと判断し、三人に後を託して京を離れた。
他认为没有他就不能完成的工作,便将工作交给三个人后离开了京城。
岐阜城に着いた静子は、信長が指定した彼の茶室へと向かった。茶室の躙(にじ)り口を難なく潜り抜け、人払いの済んだ室内に上がった。
静子到达岐阜城后,前往信长指定的他的茶室。她轻松穿过茶室的门口,进入经过人扫除的室内。
室外に護衛こそ立つものの、内部の会話は外には漏れない。護衛すら排する必要のある話題なのだと静子は悟り、自ずと背筋を伸ばして座った。
虽然有警卫站在户外,但内部的会话不会泄露出去。静子意识到这是一个需要甚至排除警卫的话题,于是自然而然地挺直了背。
「これを見よ」
"看这个"
信長は静子の到着を労う前に、折りたたまれた文を投げ渡す。
信长在赞扬静子的到来之前,递给她一份折叠好的文件。
対面に座す信長から炉を跳び越えて飛来した文が、畳を滑って静子の許へ届いた。彼女はそれを受け取り、中身に目を通す。
从信长坐在对面的位置,越过火炉飞来的信件,在滑过榻榻米的过程中,到达了静子的手中。她接过信件,阅读了其中的内容。
内容は北条の動向に関する報告書であった。北条家に潜り込ませている間者が齎した情報だが、読み進むにつれて静子の眉間に皺が刻まれる。
报告书的内容与北条家的动向有关。这是由渗透到北条家中的间谍带来的信息,但是随着阅读的进行,静子的眉头皱起来。
「これは……厄介ですね」
"这个有点麻烦啊"
「決断できぬ愚図と侮っておったが、こうも状況が嵌(はま)ると評価を改めねばならぬ」
“我曾经轻视过那些无法决断的愚蠢之人,但当情况变得棘手时,我必须重新评价他们。”
北条家の当主、北条氏政が織田家に降(くだ)らぬ理由として、連綿と関東を支配し続けてきた北条家の自負があった。
北条家的当主北条氏政之所以不向织田家投降,是因为北条家一直以来都自豪地统治着连绵不断的关东地区。
仮に織田家に降ったとして、北条家を待ち受けるのは武田との合戦となる。領土を多少切り取るいくさではなく、双方の存亡をかけた総力戦の先鋒を務めることとなる。
假设織田家被降伏,北条家将面临与武田家的战斗。这将不是为争夺一些领土而战,而是成为决定两家生死存亡的一场总力战的先锋。
そうなれば領民にも多大な負担を強いることとなり、織田家にとって都合の良いよう使い潰される未来が予想される。
如果这样的话,将会给领民带来巨大的负担,很可能会被织田家利用、消耗殆尽。预计未来会是对织田家有利的局面。
これ以上決断を先延ばしにすることは出来ない。織田家に降るか、それとも武田と手を取り合って牙を剥くか。決断の場面に至っても、なお北条氏政は決断を保留していた。
这已经无法再拖延决定了。是向织田家投降,还是与武田结盟一起反抗?即使在决定的关键时刻,北条氏政仍在犹豫不决。
「これを見て、貴様はどう思う?」
“看到这个,你怎么想?”
「東国征伐に影響が出るやも知れません。武田は三方ヶ原で敗北を喫して以降、上杉の南下を危惧して北条と同盟を結びました。結果的には杞憂に過ぎませんでしたが……今もなお、同盟が継続しているということが問題です。武田征伐に向かえば北条とも矛を交えることになるでしょう」
“东国征伐可能会受到影响。自从武田在三方原遭受失败后,就与北条结盟,担心上杉南下。结果证明这只是杞人忧天……但他们的联盟至今仍在持续,这是个问题。如果对武田发动攻击,就必须与北条并肩作战。”
潜在的な敵は他にも存在した。それは味方である上杉家が抱える北条氏康の七男(上杉景虎)の存在だ。上杉謙信がかつて養子に取った彼の陣営が、北条の危機に際してどのように動くかが不透明であった。
潜在的敌人还存在着其他人。那就是盟友上杉家所拥有的北条氏康七儿子(上杉景虎)的存在。当北条氏康面临危机时,上杉謙信曾经收养的景虎的阵营不透明地行动。
「ふっ……唐(から)(ここでは中国の唐(とう)王朝ではなく、漠然と外国を指す)の故事に、難事に立ち向かう姿勢を矢に喩(たと)えた逸話がある。一本の矢は容易く折れるが、幾本もの矢を束ねれば折ることは適わぬ。人もまた同じ……武田、北条、上杉の跳ねっ返り。これら三者が強固に結託すれば、如何に我らとて容易ならざる苦戦を強いられる」
「呼……在唐朝的寓言中,有一个比喻面对困难时的姿态的故事。一支箭很容易断,但如果数支箭绑在一起,就无法折断。人也是一样的……武田、北条、上杉的反弹。如果这三方联手,我们也会面临不容易的苦战。」
信長の言葉を耳にし、静子は毛利元就(もとなり)の『三矢の教え』を想像していた。
信长的话萦绕在耳边,静子想象着毛利元就的“三矢之教”。
しかし、毛利元就が息子三人に伝えたとされる『三矢の教え』は、後世での創作と見做(みな)されている。
然而,据认为毛利元就传给他的三个儿子的“三矢教训”被视为后来的创作。
信長が挙げた中国の『西秦録』の故事や、モンゴル帝国を築いたチンギスハーンの逸話、イソップ物語など世界各地でその類型が見られる。
信长所提到的《西秦录》中的故事、建立蒙古帝国的成吉思汗的逸事,以及伊索寓言等在世界各地均可见到其类型。
「しかし好機ともとれる。これで奇妙にいくさの負け方(・・・)を学ばせる場が作れる」
"但也可视为好机会。这将为学习奇怪的战败方式创造机会。"
一歩間違えば関東に反織田の橋頭保を築かれるという瀬戸際だと言うのに、信長の口からは予想外の言葉が漏れた。
信长口误了,说出预期之外的话。这是一个处于悬崖边缘的情况,一步错就会建起抵制织田势力的桥头堡,进而向关东地区发展。
静子が思わず彼の顔を見つめるが、信長は楽しげに笑みすら浮かべていた。
静子不由自主地盯着他的脸,而信长却一脸愉快的笑容。
「いくさの負け方……ですか? しかしそれでは……」
「败在战斗中……吗?但是那样的话……」
「勝敗は兵家の常。しかし、奇妙は負けを知らぬ。常勝無敗などという事はあり得ぬ。いつか必ず敗北を喫するときがくる。だが、負けいくさにも上手な負け方というものが存在する。勝てぬと踏んだなら、早期に見切りをつけ、再起に繋がる有利な状況で負けることが肝要。負け知らずでは、己が失敗を受け入れられぬ。佞臣(ねいしん)(主君に媚び諂(へつら)う家来)を囲い、己の敗因を探りすらしなくなろう。そのような輩に天下を差配する資格はない」
「胜败乃兵家常事。然而,奇妙却永不失败。常胜无败这样的事情是不可能的。迟早会遭遇失败的时刻。但是,在输了的情况下仍有明智的败法存在,即及早判断情势不利,争取在有利的情况下重新振作。一个不懂得如何接受失败的人注定会失败。那些阿谀奉承主君的佞臣已经不会去探寻自身失败的原因,不能够胜任治理天下的任务才对。」
静子の言葉を遮り、信長は信忠の望ましくない未来を語った。
静子的话被打断,信长说了信忠不希望听到的未来。
「己が至らなさを認め、より高みを目指して反省・努力出来る者は強くなる。わしが尻を拭ってやれるうちに、奇妙には『自分が特別ではない』事を学ばせる必要がある。己の弱さと向き合った時、自分が見下してきた者たちが、自分よりも強いと言う現実を受け入れることが出来るようになる」
「承认自己的不足,在反省和努力中追求更高境界的人会变得更强。在我还能擦拭别人屁股的时候,必须让他们知道“自己并不特别”。当我们面对自己的弱点时,我们会接受那些我们曾经瞧不起的人比自己更强的事实。」
「それがために武田・北条、上杉の三国同盟が成立しても良いと仰るのですか?」
“因此您认为武田、北条和上杉的三国同盟也可以成立吗?”
「そうじゃ。若い奇妙ならば、老獪な北条に屈したとて、恥とはならぬ」
“是啊。年轻无谓的话,就算被老谋深算的北条所打败,也并不会感到羞耻。”
「北条が敵対せず、軍門に下る可能性は……」
「北条不敌对,投降的可能性是......」
「ない。北条がどれほどのうつけ者であろうとも、一度たりとも矛を交えず降りはせぬ。北条侮り難(がた)しと思わせねば、彼奴(きゃつ)には勝ち目が見えてこぬ。根底にあるのが北条家の矜持か、それとも苦難を受ける領民を想っての慈悲やもしれぬが、北条は必ずわしに牙を剥く」
“没有。无论北条有多么愚蠢,也从未与我们交锋。为了不让北条感到轻视,我们必须让他知难而退。这是北条家族的傲气,还是为了同情受苦百姓的慈悲,我们不得而知。但北条一定会向我展露獠牙。”
「そこまで見越して、なお負けますか?」
你连这都预知,还会输吗?
北条は優柔不断から旗幟を鮮明にしないのではない。自身が不確定要素となることで、少しでも東国征伐に対して優位を得られるよう動いている。
北条不是因为优柔寡断而没有明确的旗帜。他们通过成为不确定因素来努力获得在东国征伐中的优势。
そこまで見越していながら、敢えて後継者たる信忠の学びの場とする。並みの国人では到底下せぬ非情かつ合理的な判断であった。
即使已经预料到这一点,我们仍然决定将其作为信忠继承者学习的机会。这是一个普通士兵无法做出的无情且理性的决定。
負けいくさとなれば少なからず損害が出る。しかし、信長はそれすらも取り返せると嘯(うそぶ)いてみせているのだ。
如果败战的话,少不了会有一些损失。但信长大声咆哮着他甚至可以弥补这些损失。
つまり、北条も武田も上杉も信長の予想の範疇(はんちゅう)を超えず、手のひらで転がされているに過ぎない。負けた後の局面までをも見通す信長の眼力に、静子は空恐ろしいものを感じずにはいられなかった。
换句话说,北条、武田、上杉都没有超出信长的预期范围,只是在信长的手掌中滚动。静子不得不感受到信长可以看到失败后的局面,这种洞察力令人生畏。
「然(さ)りとて、不安がないわけでもない。そこで静子、貴様には奇妙の目付役を申し付ける」
"虽然并非没有不安,但静子决定让你担任奇怪的随从。"
「目付役ですか?」
“你是监督人吗?”
「負けを知らぬ奇妙は、劣勢に追い込まれようと逆転の手を模索しよう。しかしそれでは将来に禍根を残す、下手な負けいくさを演ずることとなる。貴様が目を光らせ、分の無い賭けに出ようとする奇妙を掣肘(せいちゅう)するのだ。奇妙が心から敬意を抱く人物は、そう多くない。数少ない存在である貴様の言葉なら、逆上した奇妙にも届こう」
「不知输的怪人,即使被逼入劣势也会寻找逆转之策。但这样做会在将来留下祸根,演出糟糕的失败战。你要抑制那些无法取胜的怪人,不要去冒无法预知的赌注。怪人们对他们真正敬重的人并不多。你这种存在稀少的人,你的话可以传达给狂怒的怪人。」
「微力ながら務めさせて頂きます」
“虽微力, 也将尽力尽责。”
承諾の言葉と共に静子は信長に頭を下げた。色々と懸念事項は存在するが、今回ばかりは信忠の件が最優先と考えた。
随着承诺的话语,静子向信长鞠躬。虽然存在许多担忧,但此次她认为信忠的事情最为重要。
「ふむ……負けいくさの後、再起を誓う言葉が欲しいな」
“嗯……想要宣誓再起的话,输掉了游戏后。” (Simplified Chinese)
「景気づけですか?」
“需要打气吗?”
「負けいくさから学び、そして再起に懸ける奇妙の意気込みを示せる言葉が良い。敗北を単なる失敗で終わらせぬ、単純で力強い言葉が良い」
“通过失败来学习,展示能够重振旗鼓的奇妙决心,需要一些好的话语。需要一些简单而有力的话语,不让失败以失败告终。”
「そうですね……」
“那个……”
静子は頤(おとがい)に手をやって考え込む。どう言い繕おうとも負けは負け、それを呑んだ上で前向きの姿勢を強く示す。中々に難しいと思ったが、先ほどの故事に閃くものがあった。
静子放下手,陷入沉思。无论怎样掩饰,失败就是失败,她要坦然面对,积极向前。虽然感到有些困难,但是她想到了先前的故事,恍然大悟。
「では、こういうのは如何でしょう? 束ねた矢は折れずとも、束ねた藁なら容易く折れる。か細い藁を、太い矢と見紛うたのが敗因よ!」
"那这样怎么样?虽然束在一起的箭不容易折断,但束在一起的稻草却很容易折断。把细小的稻草误认为是粗大的箭才是失败的原因!"
「……ふっ、くっくっくっ、はっはっはっ! 負けてなお、過大評価をしたと嘯くか! 余程の勝算を示さねば、到底受け入れられぬ言葉だが、だからこそ面白い!」
“呵呵……哈哈哈哈哈哈,就算是输了也要高估我啊!虽然这话若没有足够的胜算是绝对不会被接受的,但也正因为如此才有意思!”
静子の提案に信長は声を大にして笑った。
静子的提议使信长高声笑了。
静子は信長との謁見後、京へととんぼ返りする予定だった。しかし、帝から継続的に恩賜品の注文をしたいと言う申し入れが光秀を通じて届き、食材や職人の手配を尾張と美濃で行う必要がでてきた。
静子在与信长会面后原计划返回京城。然而,通过光秀传达给她的消息是帝想要不断地订购恩赐品,并需要在尾张和美濃采购食材和职人。
諸々の手配が終わるまで京へは戻らない旨を早馬で伝えることにし、そのまま自邸へと向かうことにした。
决定立即传达不会回到京城直到所有安排完成,并直接前往自己的住所。
今回帝に献上したボンボニエールは材料から厳選し、最高の職人の手により仕上げられている。尾張最高の職人をほいほいと引き抜かれては堪らないため、徒弟を京へと派遣するよう手筈を整えた。
此次献上给帝王的精美糖果盒经过从材料到工艺的严格选拔,由最优秀的工匠亲手打造。为避免挖走尾張最优秀的工匠,特别安排派徒弟前往京都学艺。
日本酒ボンボンについても、原材料こそ尾張でしか生産できないが、材料さえ持ち込めば現地で生産できるよう、皇室御用達(ごようたし)の菓子店を京に構えることにした。
就连日本酒巧克力,虽然原材料只能在尾张生产,但只要携带材料,就可以在当地生产,因此我们在京都开设了一家皇室御用甜品店。
静子は職人たちの移動や、機械設備などの搬送に過剰なまでの配慮をした。
静子对工匠们的移动和机器设备等的搬运过分关怀。
その甲斐あってか、京までの道中では何事も起こらなかった。否、起こせなかったというのが正しい。
因此,往京都的路上没有发生任何事情。事实上,它甚至无法发生。
反織田派の公家達は妨害を企み、荒くれものたちを雇い、野盗を装って襲撃を試みた。しかし、運の悪い(・・・・)ことに同日、周辺の山狩りが行われ、彼らは襲撃前に算を乱して逃げ散ることとなった。
反织田派的公家们企图进行干扰,雇佣粗鄙之徒,伪装成野盗试图袭击。 然而,不幸的是,在同一天附近进行了山猎,他们在袭击前就算乱了,逃之夭夭。
襲撃の失敗を知った公家達は、次なる一手を講じようとした。しかし、何故か(・・・)荒くれもの達を雇った公家の遣いが拘束され、芋づる式に彼らの行いが明らかになった。
得知袭击失败后,朝廷官员们试图采取下一步行动。然而,由于某种原因,雇佣了粗野的人的官员代表被拘留,他们的行为被逐一揭露出来。
トカゲの尻尾切りどころか、頭と胴体を残して手足の全てをもがれた反織田の公家達は、長く苦しい雌伏の時を強いられることとなる。
不仅断尾弄残头身,连四肢也被割去的反织田派的官僚们,将被迫长时间忍受痛苦的隐匿生活。
その後は滞りなく万事が進み、京に到着後数週間を経て、次なる恩賜品の容器となるボンボニエールを献上することが出来た。最終の仕上げに関しては、尾張でしかできなかったため、多少の時間を要したが帝や公家達を唸らせる品が出来上がった。
之后一切顺利进行,几周后抵达京城,能够献上下一份赏赐品——香盒。最后的加工只能在尾张完成,因此需要一些时间,但最终制作出让天皇和贵族们赞叹的高品质产品。
帝への献上は、依頼を受けた光秀が行ったが、発案者たる『仁比売』に帝より恩賜品が届いた。帝の威光を発揚(はつよう)させ、面目を保ったことに対するお礼であった。
献上给帝王的事由光秀接受请求而执行,但提出该方案的“仁比売”却从帝王那里收到了恩赐品。这既是为了彰显帝王的威仪,也是感谢他们保持了面子。
静子は桐の箱を開け、中身を確認した。そこには香木である白檀(びゃくだん)の木片を透かし彫りにした美麗な扇子が入っていた。
静子打开了梓木盒,确认了里面的内容。里面装着透过香木白檀制成的优美扇面。
それは涼を得るための物ではなく、上品な香りを楽しむための扇子であった。療養中の身でありながら、帝の面目を保つため骨を折った『仁比売』への気遣いが窺える品であった。
这不是为了获得凉爽而是为了享受高雅香气的折扇。这是对正在康复的'仁比売'表现出关心并为保持皇帝尊严而努力的一个品质。
帝からの恩賜品を大事に懐へしまった静子は、決然と顔を上げて声を発した。
帝赐予的珍宝静子珍视收藏,她毅然抬起头,发出了声音。
「それじゃあ帰りましょう」
“那么我们回去吧。”
京での引継ぎや残務処理を終わらせた静子は、尾張へと帰国する。
完成京都的交接和尾残工作后,静子回国到尾張。
自邸へと戻った静子は、決裁待ちの書類を確認した。彩が気を利かせて優先順位の高いものから上に置かれた書類にざっと目を通す。
回到自己的住所后,静子确认了等待批准的文件。彩很体贴地将优先级高的文件放在前面,静子大致浏览了一下。
やはりと言うか黒鍬衆に対する要請が多いのが判る。
似乎可以理解为对于黑鍬众的请求很多。
近江では治水工事、越前では敦賀港の港湾整備、近江へと通じる商用利用に耐える街道整備と大規模なインフラ事業が目白押しとなっていた。
近江进行了治水工程,越前进行了敦贺港口的港湾整备,同时进行了通向近江的商用路修建和大规模的基础设施工程。
更には公にこそなっていないが、信長が拠点を安土へと移すことが決定しており、その下準備として安土での調査が盛んになっていた。
而且虽然尚未公开,但信长已决定将基地迁至安土,并且为此正积极开展在安土的调查工作。
他は決裁書類ではなく、東国の調略に対する報告書が並んでいた。内容を確認すると、勝頼というより武田家が悪循環に陥っていることが記されている。
他手边并非审批文件,而是有关东国谋略的报告书。确认内容后,内容记载的是武田家陷入恶性循环,与胜赖无关。
武田家の重臣が勝頼を侮り、その態度に反発する勝頼は強硬な政策を講じる。こうなると領主同士の不和からくるツケを払わされることになるのは領民である。
武田家的重臣轻视了信长,而信长对此感到反感,开始采取强硬的政策。这样一来,受到领主之间不和带来的代价的将是领民。
甲斐の国に潜り込ませた間者の手により、武田家の不和や醜聞は下々に至るまで広く知られるようになっていた。民は勝頼という暗君はもとより、暗君を制することの出来ない武田家自体にも不満を抱くように仕向けられていた。
通过潜入甲斐国的密探的手,武田家的内讧和丑闻如今已广为人知。人民不仅对于暗君勝頼不满,也被煽动对于无法控制暗君的武田家本身感到不满。
重臣の誰かが不利益を被(こうむ)ってでも、勝頼を当主として支え、一致団結すれば民の不満はいくらかでも和らいだであろう。しかし、既に双方の関係は修復不可能なまでに冷え切っていた。
如果重臣们中的某些人即使遭受不利,仍然支持和团结勝頼作为当主,那么民众的不满也许会得到缓解。但是,双方的关系已经变得彻底冰冷,无法修复。
「これは予想外だなあ。想定以上に勝頼というより、武田家全体が民の信用を失っている。上様は負けいくさを見込んでいるけど、戦端を開く前に武田家が自壊しそう」
这真是出乎意料啊。 不仅仅是信长认为的Katsuyori,而是武田家族失去了人民的信任。 主上希望看到他们失败,但似乎武田家族在开战前就可能崩溃。
史実でも甲斐侵攻から一月で大勢は決している。この様子だと一年を待たずに武田との開戦となる可能性も出てきた。このまま勝頼の求心力が落ち続ければ、早々に武田を下し、余勢を駆って北条まで攻め込み、勝ちを拾う可能性すらある。
历史上,在武田之侵略甲斐一月后,形势已经决定。如果这个情况继续下去,可能不到一年就会与武田开战。如果信的凝聚力继续下降,有可能迅速打败武田,向北条进攻,并有可能取得胜利。
「ふー、畿内の政務でも忙しいのに、更に東国征伐のお目付け役かあ。頭が痛い……」
「哎呀,已经忙于处理京内的政务,还要担任东国征讨的监督者。我的头疼死了……」
悩ましい問題が山積している現実を前に、静子は気分が滅入るのを隠せなかった。
面对堆积如山的棘手问题,静子无法隐藏她情绪低落的心情。
三月下旬に差し掛かり、静子は自領に配布する苗の生育状況を確認していた。同時に苗植えに使用する各種道具の整備をも命じていた。
三月下旬,静子正在确认她领地上分发的苗木的生长情况。同时,她还命令维护各种用于种植苗木的工具。
尾張・美濃の領民は自身で種籾(もみ)を撒いたりしない。毎年、織田家によって育苗(いくびょう)された苗を支給され、これを植え付ける。
尾张·美濃的领民不会自己播种种籽。每年都会由织田家提供培育的幼苗,并种植它们。
種籾ではなく苗の状態まで生育しているため、発芽率を気にする必要もなく、環境の変化にも強い。織田家が育苗を代行する間、百姓たちは荒起(あらおこ)しと呼ばれる田の整備を行う。
由于它们已经生长到了幼苗的状态,因此不需要担心发芽率,并且对环境变化也很适应。在織田家代为育苗期间,农民们会进行所谓的“荒起(あらおこ)し”田地整理工作。
早い者は1月や2月から荒起しを始めるが、それほど多くの田を抱えていない百姓は、気温の緩む3月ごろから着手する。
较早开始进行田地工作的人从一月或二月就开始翻土,但农民不拥有太多的田地,他们通常会在气温回升的三月左右开始准备工作。
織田家が苗を管理することで、百姓は種籾を自前で確保する必要がない。織田家は苗を支給することで、安定した収穫を期待できる。
织田家管理苗种,农民不必自己确保种子。织田家提供苗,可以期望稳定的收成。
苗の元となる種籾は、税として徴収した中から賄われているため百姓側に負担はなく、苗に病気が発生したとしても一方的に破棄を命じることができ、病気が蔓延することを防止できる。
种子是通过征收税收来支付费用的,因此农民不需要承担负担,即使苗木生病,也可以单方面下令销毁,从而防止病害扩散。
双方にとってメリットのある制度だが、苗をどれだけ用意できたかが収穫量に直結するという欠点を抱える。そして尾張・美濃に配られる苗は、静子の領内で全て作られているという点も問題であった。
这项制度对双方都有利,但其缺点是收成量取决于提供了多少苗。而且,分配给尾张和美濃的苗子在静子领地内全部生产的这一点也是一个问题。
「各地からの報告では、今のところ問題ないようね」
"根据来自各地的报告,目前似乎没有问题。"
「はい。順調に生育を続けております。昨年、選別されました籾種も順調です」
“是的。我们的生长情况很好。去年筛选出来的稻种也很正常。”
書類を確認しつつ、静子は彩から報告を受ける。植え付けた苗が順調に生育しているという事は、今年も期待通りの収穫量が見込める事になる。
在确认文件的同时,静子从彩那里接到了报告。种植的幼苗顺利生长,预计今年也能如期获得收成。
開墾も順調に進んでいるため、来年からは越前や近江にも苗を配れるだろう。もっとも、どちらの領土も石高より、まずは地域の安定化を図る方が先決ではあるのだが。
由于开垦工作进展顺利,明年我们将能够将幼苗分配到越前和近江。然而,在稳定地区之前,重要的是要优先考虑领土的石高问题。
「近江は治水工事が目白押しだね。何度も税の軽減を陳情されるだけはあるね」
“琵琶湖周边的防洪工程一直都很紧张啊,已经有好几次陈情请求减税了。”
現代の滋賀県からは想像しにくいが、近江は水害の多い地域であった。特に姉川や野洲川流域は、水害が絶えない地域でもあった。
现代的滋贺县难以想象,但近江曾经是一个水害频发的地区。特别是姐川和野洲川流域,一直是水害不断的地区。
歴史を紐解いてみれば、野洲川は10年に一度の割合で水害が起きている。住民にとっては日常茶飯事とは言わないまでも、50年も生きれば数回は遭遇するイベントだ。
如果追溯历史,可以看出湖南川每十年就会发生一次水灾。对于居民来说,虽然不是家常便饭,但在生命50年内会遇到几次此类事件。
「まずは河川の拡張工事があり、更に京への水路を作っております」
首先进行了河川扩建工程,同时还建造了通往京城的水路。
琵琶湖は膨大な水量を湛えるが、その水を排出する出口は淀川(瀬田川とも言う)ただ一つしかない。それゆえ、淀川が土砂などで堰き止められると、行き場を失った湖水が氾濫することとなる。
琵琶湖拥有巨大的水量,但只有一个出口——淀川(也被称为瀬田川)用于排出水流。因此,当淀川被土壤和泥沙等物质阻塞时,湖水就失去了流通通道,可能导致洪水。
現代には治水や利水目的で造られた瀬田川洗堰(せたがわあらいぜき)が存在するが、戦国時代には影も形もない。余談だが明治時代には南郷洗堰という旧洗堰が建造されていた。
现代建造了瀬田川清淤堰来控制洪水和供水,但在战国时代并不存在。顺便说一下,明治时代也建造了一座旧洗堰名叫南郷洗堰。
洗堰のような設備が無ければ、どのような悲劇を招くかが記録には残されている。明治29年に発生した洪水では、氾濫した琵琶湖の水が2ヶ月以上に亘って引かなかった。
没有像清洗堰一样的设施,记录中留下了会招致什么悲剧。发生在明治29年的洪水中,溢出的琵琶湖水在两个月以上都没有退去。
彦根では八割以上の地域が水没し、大津に至っては中心部の全てが水に沈んだ。野洲川も決壊し、流域に存在した居住区は数か月に亘って水没することとなった。
彦根地区有80%以上的地区被淹没,大津市中心区更是全部被水淹没。野洲河也决堤,流域中的住宅区被淹没了几个月。
琵琶湖は畿内における重要な水源だが、ひとたび牙を剥けば全てを押し流す荒ぶる龍と化す存在でもあった。
琵琶湖是畿内重要的水源,但一旦发怒,就会变成能冲走一切的狂暴龙存在。
「川浚(かわざら)えの税が余分にかかるね」
“清理河道的税收多收了呢”
川浚えとは川底にたまった土砂や汚物を取り除くことを言う。近江の治水の歴史は、淀川に対する川浚えの歴史と言い換えても良い。
川淤是清理河床上积存的泥沙和污物。近江的治水历史就是淀川川淤历史的另一种说法。
史実の江戸時代では大阪に川浚冥加金(かわざらえみょうがきん)と呼ばれる、水利の恩恵を受ける対価が存在した。これは積み立ての側面も持ち、これを原資に川浚えが実施された。
在历史上的江户时代,大阪曾存在一种称为“川浚冥加金”的形式,以获得水利的恩惠作为补偿。这种形式也具有储蓄的特点,可用于川浚的资金来源。
いずれにせよ、根幹にあるのは流入量に対して流出量が制限されることに起因する氾濫だ。洗堰の整備に留まらず、淀川を拡張し、疎通能力を拡大する必要があった。
无论如何,涨水的根本原因是流入量受到限制。需要的不仅是清理障碍物,而且要扩建淀川,提高排水能力。
「直接的な恩恵を受ける京や堺は勿論、水運を利用する越前などからも臨時の税を徴収するようです。制度が安定すれば徴収額自体は低く抑えるようです」
「京都和堺直接从中受益,还要向利用水运的越前等地征收临时税。如果制度稳定下来,征收金额本身应该会被抑制在较低水平。」
「となると、加賀の国に対しても請求できるかな? なるほど……ふむ」
“那么,是否可以向加贺国提出要求呢?原来如此……嗯”
「水運の利用状況を見る限りでは、請求しても問題ないかと」
根据水运利用情况来看,提出申请应该没有问题。
琵琶湖を利用する地域に等しく税の負担を求める。川浚えの資金を確保でき、余剰分で河川拡張も行える上手い制度だと静子は思った。
静子认为,让利用琵琶湖的地区平等分担税收负担是一种聪明的制度,可以确保筹集淤积河道的资金,并可用剩余部分进行河道扩建。
交通網の発達した現代では陸運と海運が主役であり、河川を利用した水運などは殆ど見る事が出来ないが、戦国時代に於いては大きな割合を占めていた。
在交通网络发达的现代,陆路交通和海运是主角,而利用河流的水运等现象已经很少见了;然而在战国时代,水运占据了相当大比例的位置。
史実に於いて、信長の死後、秀吉が琵琶湖の湖上利権を支配したように、輸送路としても重要な存在であった。
在历史上,就像丰臣秀吉在织田信长死后控制琵琶湖水域的利益一样,琵琶湖作为交通运输路线也是一个重要存在。
近江の国は街道整備が遅れており、加賀の国と京や堺との交易を支えるのは、ひとえに琵琶湖の水上運輸に懸かっていた。
近江国的街道建设滞后,支持加贺国、京都和堺市的贸易,完全依靠琵琶湖的水上运输。
中央を大幅にショートカット出来る水運と異なり、大きく迂回することを余儀なくされる陸路は運送時間も、それに掛かる費用も嵩む傾向にあった。
与能够大幅缩短中央距离的水上运输不同,陆路运输不得不远道而行,导致运输时间和成本增加的趋势。
琵琶湖の湖上権を信長が握っている以上、税の支払いを拒否すれば、輸送路が閉ざされるのは目に見えている。加賀一向宗は憎い信長に対して、税を納めるしか道はない。
既然信长握有琵琶湖的湖上权,如果拒绝缴纳税款,运输路线关闭是显而易见的。加贺一向宗对讨厌的信长别无选择,只能缴纳税款。
「さて、一向宗たちは大人しく言う事を聞くかな? まあ、応じたら出費が嵩んでじわじわと首が締まる。反抗すれば武力による制圧が待っている。うん、遅いか早いかの違いしかないね」
“好的,那么一向宗会乖乖地听从命令吗?如果是这样的话,花费会增加,压力会逐渐增大。如果反抗的话,将会面对武力镇压。嗯,这只是时间的问题。”
「新しい陸路を開こうにも、近江を支配しているのは織田家の家臣。どう転んでも加賀の一向宗に先はありません。後一押しという状況かと思われます」
“即使要开辟新的陆路,近江地区也为织田家臣所控制。无论如何,加贺的一向宗都没有先机。现在似乎是关键时刻。”
「後は柴田様次第かな。ここで頑張れば北陸一帯が柴田様の支配下になるね。そうなると佐々様や前田様も北陸の大名か」
"看来接下来就看柴田大人的决定了。如果我们在这里继续努力,整个北陆都会落入柴田大人掌控之下。这样的话,佐佐大人和前田大人也可能成为北陆的大名呢。"
「成功すれば家中で一歩先んじることになります。しかし、明智様や羽柴様も負けてはおられません。特に明智様は畿内にある輸送路の権益を殆ど握っておられます。また、静子様が提供された輸送船が予想以上の成果を上げており、坂本は京への玄関とまで言われるほどに賑わっております」
「如果成功的话,将会领先家族一步。但是,明智先生和羽柴先生也不会输。特别是明智先生几乎掌握了在畿内的运输路线利益。此外,静子提供的运输船也取得了预期以上的成果,坂本甚至被称为通向京都的门户而变得繁荣起来。」
海洋では失敗と断じられた中型の輸送船が、琵琶湖では脚光を浴びた。多少の天候崩れなどものともせず、一日あれば長浜から坂本までを航行する速度を誇った。
在海洋上被认为是失败的中型运输船,在琵琶湖却受到了瞩目。尽管遭遇了一些天气不好的情况,但它仍然可以以每天从长滩到坂本的航行速度自豪。
また、スクリュー推進であるため、船の移動に櫂(かい)を必要としない。これにより、節約できた空間を貨物スペースに転用できるという利点もあった。
另外,由于采用螺旋推进系统,船只移动时无需使用桨。这样就可以将节省的空间用作货物储藏空间,这也是其优点之一。
欠点は蒸気機関であるため、木炭や石炭と言った燃料を必要とすることや、喫水が浅いため、運搬する重量に制限があることだった。
缺点在于它使用蒸汽机,因此需要燃料,如木炭或煤炭,并且由于它的吃水较浅,运输重量受到限制。
この為、日持ちしない積荷などを運ぶ商人は、何艘もの船を手配して積荷を運ぶこととなる。船に積載出来ない程の重量物や、多くの積荷を運ぶ場合は陸路を選ばざるを得ず、護衛や人足の手配を考えると余計に高くつくようになっていた。
因此,运输易腐货物的商人需要安排多艘船只进行货物运输。当货物重量超过船只承载能力或需要运输大量货物时,只能选择陆路运输,这将导致更高的成本,因为需要考虑护卫和雇佣搬运工的费用。
「あー、あれね。活躍の場が出来て良かったよ。職人たちも喜んでいたしね」
“啊,那个啊。能有发挥的机会很好。工匠们也很高兴。”
「便を増やして欲しいという要望がありますが」
“有人要求增加方便之处。”
「その辺りは羽柴様と明智様次第かなー。まあ、どっちも商売の機会が増えるから、嫌とは言わないだろうけど……また主導権を巡って争いになるかも……」
“那就取决于羽柴先生和明智先生了。不过,两者都会因此增加商机,应该不会反对……但也可能会因争夺主导权而发生冲突……”
琵琶湖の湖上権は織田家が握っているが、琵琶湖で使われる商船ルートの主導権を巡って秀吉と光秀がにらみ合っていた。
琵琶湖的湖上权力掌握在织田家手中,但在琵琶湖中使用的商船路线的主导权引发了秀吉和光秀之间的对峙。
現在はいくさ続きで荒廃した近江の復旧を優先しているため、秀吉が主導権を握っている。しかし、機会があれば主導権を奪い返そうと光秀は機会を窺っていた。
眼下优先考虑恢复荒芜的近江,由秀吉掌控主导权。然而,光秀在等待机会夺回主导权。
商業が盛んになるにつれ、水運の重要度は増していく。それに比例して産み落とされる権益も巨大となるため、彼らの因縁は深まっていった。
随着商业的繁荣,水运的重要性变得越来越大。随着这种重要性的增长,由此产生的利益也变得巨大,因此他们之间的纠纷也加深了。
「まあ、主目的は厭戦(えんせん)の気運を作りだすことだけど、こうも露骨だと流石に考えないといけないかも」
“嗯,虽然主要目的是制造反战的舆论氛围,但这样过于明显的话,可能也需要考虑一下。”
厭戦とは戦争を嫌う考えをさす言葉だ。
厌战是指厌恶战争的思想。
いつまでも政治が不安定では、短慮からいくさに走る馬鹿者が現れる可能性がある。そこで、畿内だけでもいくさを毛嫌いする空気を作る必要があった。
如果一直保持政治不稳定,可能会出现冲动而走向战争的愚蠢之徒。因此,至少在畿内需要营造讨厌战争的氛围。
まだ兵農分離が完全ではない以上、兵士の大半は百姓たちだ。その百姓たちがいくさを嫌うようになれば、いくさをしたくとも兵が集まらない。また、刀狩りもし易くなる。
只要兵农分离还不完全,大多数士兵都是农民。如果这些农民开始厌战,即使想打仗也招不到士兵。此外,刀狩也变得更容易。
刀狩りによる武装解除、商人たちの活発な活動、治水などの公共事業による災害対策、米や野菜などの生産力向上、これらを行う事で民の生活を安定させていく。
通过削减武装、商人们的积极活动、防洪等公共工程,以及提高粮食和蔬菜的产量,通过这些行动来稳定民生。
生活が安定すればするほど、命を懸けてまでいくさに出掛ける者は少なくなる。農閑期に開墾などの仕事を作れば、より一層いくさへ出掛ける気持ちは萎える。
随着生活越来越稳定,愿意冒着风险出去打仗的人就越来越少了。如果在农闲时期安排好开垦等工作,那么想要出去打仗的决心就会减弱。
多くの者は一つ間違えば命を落とすいくさよりも、堅実に働けば確実に利益を得られる仕事の方が良いと考える。
许多人认为,与其从事一项稍有差错就可能丧命的战争,还不如从事一份可靠地获得利润的工作。
「伊勢は管轄外だけど、近江や越前に関しては、安定するまでに数年は必要かな」
“伊势虽不在我们管辖范围内,但至于近江和越前,可能需要数年时间才能稳定下来。”
「その間に本願寺を征伐されるのでしょうか?」
“同时是否会征服本愿寺?”
「いや、本願寺の征伐はしないよ。細かい条件はあるけれど、一向宗の存続を認める代わりに、石山から退去するのが大筋かな」
“不,我不会征讨本愿寺。虽然有一些具体条件,但大致上是承认一向宗的存在,以石山为代价撤退。”
「それは……」
"那是……"
今まで滅ぼす勢いの信長の行動と食い違わないか、と彩は思った。そんな彩の考えに気付いたのか、静子は言葉を付け足した。
彩觉得她的想法是否与信长毁灭一切的行动相矛盾。 静子似乎注意到了彩的想法,并补充了一句话。
「今は顕如を交渉の席に(・・・・・)着かせる事(・・・・・)に力を注いでいるからね。それに本願寺を完全に潰せば、かえって情勢を不安定にさせちゃうから、生かしておく方が良いの」
“现在我们正致力于让顕如出席谈判会议……保持生命。如果我们完全摧毁了本愿寺,情况可能会变得不稳定,所以最好留着。”
「そうなのですか?」
“是这样吗?”
「ふむ……では静子お姉さんが、彩ちゃんに政治のお話をして上げましょう」
"Hmm... then let's have Shizuko talk to Ayame-chan about politics." 嗯......那就让静子姐姐和彩酱聊聊政治吧。
彩に政治を教えるという状況が楽しいのか、静子は自信満々に胸を反らして言い放った。
教授政治给彩这种情况很有趣,静子信心十足地说出来。
対する彩は、然して興味がある風でもなく、静子の次の言葉を待った。
对于彩来说,她并不是特别感兴趣,只是等待着静子接下来的话语。
「仮に本願寺が潰(つい)えたとしましょう。その場合、信者はどうするかな?」
“假设本愿寺倒闭了,信徒们该怎么办呢?”
「改宗でしょうか?」
"改宗吗?" (Simplified Chinese)
「そうだね。でも信仰は内面の問題。明日から別の宗派に鞍替えしてね、と言われても困るでしょう? 明日から伴天連を信仰して、と言われたら彩ちゃんはどう思う?」
“是的。但信仰是内在的问题。如果明天要你换到另一个宗派,你会感到困惑吧?如果明天被要求信仰伴天连,彩酱会怎么想?”
「それは……」
那是……
「そう、戸惑うし受け入れられる訳がない。それを強制すれば弾圧となり……抑圧された信徒は一致団結して立ち上がり、為政者に対して牙を剥く。そうなれば、血みどろの宗教戦争が始まってしまう」
“是的,让他们困惑并接受是不可能的。如果强制他们,就会变成镇压……被压迫的信徒将团结一致,反抗当权者。这样一来,宗教战争就会爆发,血腥的战争就会开始。”
「それを防ぐ為ですか?」
“为了防止这个吗?”
「そうよ。敵に最後の逃げ道を用意しておくのは大事。『本願寺の為に』という自分を納得させる言い訳があれば、下は素直に負けを認める。逆に逃げ道がなければ、命尽きるまで抗い続ける。それに……」
"是的。为敌人准备最后的逃跑路线非常重要。如果有一个自己可以接受的理由,比如‘为了本愿寺’,下属会诚实地承认失败。相反地,如果没有逃跑路线,将会一直抵抗直到丧命。而且......"
「それに?」
"那又怎么样?"
「本願寺の経済力や他勢力との繋がりは惜しい。完全に潰すよりも、生かさず殺さず、自分の持ち駒として利用出来る程度の状態にしておく方が便利だよ」
「本愿寺的经济实力和其他势力的联系是很可惜的。与其完全摧毁它,不如将其保留在可以利用它作为自己的棋子的程度上,最好不要让其生不如死。」
一応の納得はした彩だった。しかし、疑問点がない訳でもない。
彩确认了一下,但仍有疑问。
「ですがそれは静子様の考えであって、上様の考えではないですよね」
但那只是静子的想法,不是上様的想法,对吧。
「お、良い処に気付いたね、彩ちゃん。確かに細かい点で差が出ているでしょうけど、でも私と上様の考えに、大きな食い違いは起きてないと思うよ」
"哦,发现了一个好的点子,彩酱。虽然在细节上可能会有所不同,但我认为我和上様的想法没有太大的差异。"
「そうでしょうか。上様の言動を思えば、和睦などあり得ないと思えますが」
“这真的吗?考虑到上方的言行,我认为和解是不可能的。”
「そこは自分なりに考えて、答えを導きだせば良いよ。大丈夫、私の言葉を聞いて自分で考え、疑問を持った彩ちゃんならきっと辿り着けるよ」
“你可以自己思考,找到答案。相信自己,听取我的话后,自己思考并拥有疑问的彩子,一定能够找到答案。”
「お褒め頂き恐縮ですが、なにやら答えをはぐらかされたように思います」
「感谢夸奖,但我感觉好像逃避了回答问题。」
「えー、そこは喜ぶところじゃないかなー?」
“嗯,那不是应该高兴的地方吗?”
「過大評価です」
"过高评价"
不満げに言う静子だが、彩は静子の言葉を聞いても表情を変えず返答した。
静子不满地说道,但彩听到静子的话后,面部表情没有变化,并作出了回答。