天声人语Vol.1 侦探与犯人
探偵と犯人
侦探与犯人
推理小説家のヴァン・ダインが同業者に向けて書いた創作の心得がある。「探偵小説作法二十則」という小文で、たとえば「心霊術、水晶占いの類いで真実に到達するのはタブー」だという。理詰めで犯人を突き止める探偵が不要になるからだ。
推理小说作家范·达因曾专门撰文向同行分享自己的创作心得,在这篇名为《侦探小说二十条准则》中列出了众多写作的要点,比如“读心术、看水晶球那类巫术,乃是侦探小说之禁忌”。因为一旦用到那些歪门邪术就会显得运用推理找出犯人的侦探是多余的。
「探偵自身が犯人であってはならない」というのも至極当然だ。誰が犯人でもいいが、この人だけはだめというルールはある。ではもしも大統領がスパイまがいのことをしていたら。
自然,“犯罪的人不应该是侦探本人”。任何人都可以是犯人,但唯独侦探这个角色不行。那么要是总统做出近似间谍的行为又当如何呢?
スパイ防止法違反などの疑いで、米連邦捜査局(FBI)がトランプ前大統領の自宅を捜索した。ホワイトハウスから持ち帰ったとみられる機密文書が押収され、「トップシークレット」扱いのものも含まれていたと発表された。
因涉嫌违反间谍法,美国联邦调查局(FBI)搜查了前总统特朗普的住宅。搜查人员没收了特朗普从白宫带回家的机密文件,并声称其中还包括“最高机密”的文件。
トランプ氏には何があっても驚かなくなった気がしていたが、まだこんな話が出てくるとは。米紙ワシントン・ポストは、捜索の狙いには核兵器に関する機密文書もあったと報じている。外部の目にさらされるのを防ぐため捜査に踏み切ったか。
我本以为对特朗普做出的任何行为都不会感到惊讶了,没想到居然曝出了这样的事件。美国报纸《华盛顿邮报》报道称,搜查目标中还包含与核武器相关的机密文件。或许这次搜查的立足之处便是防止这些文件外泄。
トランプ氏側は「誰だって仕事を家に持ち帰る。大統領も同じだ」と主張する。「魔女狩りだ」とも訴えており、支持者の結束がかえって固まるかもしれない。司直の横暴だと言いつのれば共感される世界が、今の米国にはある。
特朗普则表示,任何人都会把工作带回家,总统也不例外。他还声称这是一场“猎巫行动”,反而会促进支持者的团结。毕竟如今的美国,只要有人宣扬司法当局蛮横就会得到他人的共鸣。
冒頭の心得に戻れば、作者には謎解きのための手がかりを分かりやすく示す義務があるという。米国の司法当局も今、捜査情報をなるだけ国民に示さねばと感じているか。捜査の正当性を揺らがせないために。
回到开头所讲的心得,范·达因认为作者应该把所有线索交代得一清二楚。如今,为了确立搜查的合法性,美国司法当局是否会考虑向国民公开搜查信息呢?