卑怯の僕の物語 [9]
[9]
誰か、あなたの涙を受け入れてくれる人はいますか?
針が落ちれば音も聞こえる孤独と違って、
要りもしない愛を声高くに叫んだ人につけられた傷はなんでこんなにもイタイのでしょうか
涙する日々の中、じわりとした痛みで狂い出しそうです
誰もが、否定したのです
誰一人も、頷いてくれません
最後には孤独ですら、奪おうとしたのです
終わりのない黒ずんだ思考は今ではイタミから逃してくれる救いにもなれます
でも、やはりイタイです
いつもよりずっとイタイです
胴体だけじゃない何処かがとてもイタイです
…おかしいなぁ、何処がイタイと言うのでしょうか
「泣きたいなら、泣いてもいいぞ」
混沌とした意識に、そんな声が届いた
私は変わり者
人間もどきにすぎない、
生きることに堪えがたくて機械に、
憧れに焦がれ人になりたい塔上のバケモノ
だからきっと、あなたが頷いてくれる日は、私には見えないのでしょう
でももし、あなたがこんな私を受け入れてくれたらーー
嘲笑うことも、さげすむこともなく、無様な私の泣き顔をまっすぐにその目に映し、おさまるまで側にいてくれますよね
ーー絵空事だと、わかっています
でも、なんて不思議なことでしょう、何かが泪と共に体から離れた気がします
そんな、叶えることもない「もしも」に心を奪われた私は、ちょろすぎたのでしょうか
でも、これでよかったのです
大好きの一言も言えない私には、これぐらいの距離でよかったかもしれません
大切なのは、あなたが私を救ってくれた真実
そして、なりたいものになれないままでもいいと、私がたどり着いた夢
叶えるなら、あなたの幸福に私は力になりたいんです
…こんな願いで満足するはずがないのですが、やはりあなたの願いを叶えたいので
ーー私が心からつられて泣いて笑えたのは、あなたにしかできなかったことだから