【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 156 [千五百七十七年 四月上旬]
书名 战国小町苦劳谭
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作者: 夹竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
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千五百七十七年 四月上旬(*原文网页序列号 - 180)
秀吉が抱える問題とは『静子に頼りすぎた』という点に集約される。静子は織田家相談役に就任して以降、様々な立場の人々から相談を受けていたのだが、その中でも秀吉からの問合せが突出して多かった。
秀吉所面临的问题集中在“过于依赖静子”的问题上。自担任織田家顾问以来,静子接受了来自各种立场的人的咨询,但秀吉的咨询量却超过了其他人。
自身の領地である今浜(現在の長浜)の運営に躓(つまず)いた際に安易に頼ってしまったのが発端なのだが、劇的な効果を齎(もたら)すカンフル剤にも等しい静子の経済対策は自分の打ち出す施策との差異を浮彫にしてしまう。
静子的经济对策就像一种治疗感冒的灵丹妙药,具有戏剧性的效果,但这源于当初在自己的领地今滨(现在的长滩)遇到困难时过于轻易地依赖她,因此与自己提出的措施存在差异。
これがため自分の施策に自信が持てず、大きな決断を迫られるたびに静子に意見を求めるようになり、その姿勢を見た織田家家中の口さがない者たちは秀吉のことを静子の操り人形だと揶揄(やゆ)した。
因为这个原因,他对自己的施政缺乏信心,每当面临重大决策时,都会向静子征求意见,这种态度让織田家中的一些人嘲笑秀吉成为静子的傀儡。
そうした中、ようやく播磨平定に於いて際立った成果を上げたことで秀吉が見直されつつあった。乱世に於いてはいくさ上手であるという事が非常に大きな意味を持つためだ。
在这种环境下,丰臣秀吉因在平定播磨方面取得突出成效而开始受到重视。在动乱时期,擅长战争的能力具有非常重要的意义。
こうした経緯を踏まえたうえで、有馬温泉開発に再び静子の助力を求めることは秀吉の評価を下げることになるのではないかと静子は危惧していた。
基于这样的经过,静子担心再次寻求她的帮助来发展有马温泉会降低丰臣秀吉的评价。
「神戸港の開発に関しては、私の発案であるため各方面に根回しをしております。しかし、当然ながらそこに有馬温泉開発は含まれておりません。突如として降ってわいた案件に私が絡むと、羽柴様の面子を潰すことになりませんか?」
“关于神户港的开发,由于是我的发案,我已在各个方面进行了协商。但显然,阿尔马温泉的开发不包括在其中。如果我突然参与这个案件,不会破坏羽柴先生的形象吗?”
神戸港は静子の肝煎(きもい)り案件であり、朝廷方面に関しては近衛家の、武家社会に関しては信長のコネを存分に用いて根回しを行った。それ故に神戸港開発に対して表立って文句を言えなかった者たちが、ここぞとばかりに声を上げる可能性があった。
神户港是静子的主导项目,关于朝廷方面,他们通过近卫家,关于武家社会,他们充分利用了信长的联系进行了相应的准备工作。因此,有些人可能在神户港的开发方面无法公开地提出异议,但现在,他们有可能大声疾呼。
腹芸に長(た)けた秀長は、静子が言うまでもなくこうした状況を理解していた。しかし、有馬温泉開発という巨大プロジェクトを円滑に推進できるのであれば、名を捨ててでも実(じつ)を取る必要がある。
对于腹语,秀长非常擅长,他自然明白静子所说的情况。但是,如果可以顺利推进巨大的有马温泉开发项目,那么就必须不惜一切代价去实现它,即使需要放弃名声也要如此。
「確かにようやく見直されつつある兄の評価は、再び地を這うことになるやもしれませぬ……とは言え背に腹は代えられぬのです」
“虽然我的兄弟最终获得了重新评价,但也许他将再次遭受挫败……尽管如此,我们不能背信弃义。”
有馬温泉開発の結果として生み出されるであろう富は、こうした不都合を呑んでも余りある利を秀吉に齎すと秀長は判断していた。彼らは知り得ないことだが、この苦渋の決断に対して追い風となる動きもある。
有马温泉开发所创造出的财富,即使承担这些不利因素,秀长认为也会带给秀吉足够的利益。尽管他们不知道,但对于这个艰难的决定,也存在着支持的力量。
「これはまだ開示されていない話になりますが、実は長宗我部(ちょうそかべ)殿の領土に港湾都市を設ける計画がございます。更には商(あきな)いに立ち戻った雑賀衆(さいかしゅう)と連携し、内陸から河川を通じて堺を経由し神戸とを結ぶ一大商圏を構築する構想になっています」
“这是还未公开的消息,实际上有在长宗我部领地内设立港口城市的计划。还计划与重返商业的雑贺众合作,经由内陆水道通过堺市连接神户市,建立一个巨大的商业区。”
「そこまで大きな話が伏せられているのは何故でしょう?」
这么大的事情为什么会被隐藏起来呢?
黒田官兵衛が当然の疑問を口にした。その問いに対して静子はどう説明したものかを考えあぐね、『百聞は一見に如かず』だと判断して小姓に地図を持ってくるように命じる。少し間を置いて、この時代では異例の精度を誇る畿内から中国地方、四国を経由して九州までを描いた地図が届けられた。
黑田官兵衛提出了合理的疑問。静子考虑如何解答这个问题,命令侍从拿来地图。拿到地图后,她展示了一张准确率在当时非常罕见的地图,覆盖了从近畿地方到中国地区、四国再到九州。
静子はこれも小姓に用意させた長机一杯に地図を広げると、秀長たちにこれを見せるべく手招きした。当時の価値観に於ける地図と言えば秘中の秘であるため、官兵衛は尻込みしてしまったのだが秀長や半兵衛が応じたのを見て彼らに倣(なら)う。
静子让仆人准备了一张长桌,并在桌面上展开地图,示意秀长们前来观看。由于当时的价值观念认为地图是绝密的,所以官兵卫有些顾虑,但看到秀长和半兵卫赞同,他们便跟着看了过去。
「地図を見て頂ければわかると思いますが、内陸と堺とを結ぶ動線を塞いでいる栓が本願寺です。彼らが退去すれば北陸から今浜、琵琶湖を経由して宇治川、淀川を通じて内海へと出られるのです」
「看地图就可以知道,阻塞内陆和堺之间交通线的是本愿寺。如果他们离开,就能从北陆经过今浜、琵琶湖,通过宇治川、淀川流入内海了。」
静子は北陸に位置する越後へと指を置き、越中と能登の間を抜け、加賀、越前を経て琵琶湖のある近江へと指を滑らせる。そのまま琵琶湖の南端から河川を辿って、途中巨椋池(おぐらいけ)を経由し大阪湾へと抜けた。
静子把手指放在位于北陆的越后,穿过越中和能登之间,经过加贺和越前一直滑向琵琶湖边的近江。然后沿着河流从琵琶湖南端开始,途中经过巨椋池,最终抵达大阪湾。
静子がなぞった経路は日本海側と太平洋側を結ぶ、巨大な流通経路として浮かび上がる。従来はすべてを陸路で賄うか、北回りであれば津軽海峡を抜けて大きく迂回する、もしくは南回りで関門海峡を抜けて回り込み瀬戸内海を経由する必要があった。
静子描绘的路径浮现为连接日本海和太平洋的巨大通道。以前需要通过陆路或大幅绕行,如北回り需要穿越津轻海峡,南回り需要穿越关门海峡绕过瀬戸内海。
北陸地方こそ陸路ではあるものの、残りを水運で一直線に結ぶ新流通路は凄まじい時間の短縮を実現する。時間が短縮されればそれだけ費用を抑えることが出来、この流通路が生み出す権益は莫大なものとなることは想像に難(かた)くない。
虽然北陆地区是陆路,但新的水运路线将其余部分连接成一条直线,实现了惊人的时间缩短。如果缩短时间,就可以节省成本,这种运输路线产生的利益是巨大的,这一点不难想象。
「長宗我部殿が治める土佐に港湾を整備する理由は明確です。織田の支配圏を結ぶ流通路を面従腹背の姿勢を貫く堺に握らせる訳にはいかない。少なくとも堺を排除しても成り立つ航路を成立させるべく、尾張から紀伊を経由して土佐を結び、そこから更に遠方の明(みん)(現在の中国)や南蛮との交易を実現します。ひとまず筑前までを結ぶだけでも西国の流通を支配できるでしょう」
“长宗我部殿治理土佐并整备港口的原因是明确的。不能让堺保持面从腹背的态度掌握连接織田支配区域的通路。为了建立航线,至少要将尾張与紀伊经过土佐相连,并实现与更远的明(现代中国)和南蛮的贸易。即使仅仅将筑前与之相连也足以控制西国的流通。”
本州と四国を結ぶ瀬戸大橋や明石海峡大橋、瀬戸内しまなみ海道の本州四国連絡橋は当然この時代には存在しない。大量の陸上物流を実現する鉄道は視野に入りつつあるが、海が隔てる地域を結ぶには海運に頼るしかない。
连接本州和四国的瀬戸大桥、明石海峡大桥和瀬戸内岛之间的本州四国联系桥当然不存在于这个时代。虽然铁路物流已经进入视野,但连接分隔海洋地区仍然只能依靠海运。
とはいえ一人勝ちしすぎると疎まれるのは世の常であるため堺を商圏に組み込んでいるが、急所を握ったと思いあがらせないためにも他の経路を同時に開発する必要があった。
然而,一个人赢得太多会引起不满是正常的事情,因此我们将堺区域作为商业领域的一部分,但为了避免过于自以为是并掌握主要优势,我们需要同时开发其他途径。
「……なるほど。既に毛利との戦役後(・・・)を見ておられるのですね」
“原来如此。您已经目睹了与毛利的战争后(……)的景象。”
静子の語る言葉から官兵衛は、毛利の滅亡を確定事項としていることに気が付いた。彼女は毛利の敗北を疑っていない。多少は苦戦を強いられるかもしれないが、負けることなどあり得ないと確信している。
从静子所说的话中,官兵衛注意到毛利的灭亡已经成为了确定性的事实。她从未怀疑过毛利的失败。她相信自己不可能失败,尽管可能会面临一些困难。
彼女の自信はどこから来るのかと疑問を抱いた官兵衛だが、彼女の経歴を振り返れば見当がついた。静子の上げた最大の武功と言えば武田信玄との決戦になるが、それ以外ではそもそもいくさ自体をしていない事が分かる。
官兵衛起了疑心:“她的自信从哪里来呢?”然而,回想起她的经历,他找到了答案。可以说,静子最大的功绩就是与武田信玄的决战,但是除此之外,我们可以看出她根本没有参与别的战斗。
更に言うならば初期の戦歴を見れば負けいくさの方が多い。それでも彼女が着実に勢力を拡大してきたことを考えれば、驚愕すべき事実が浮かび上がった。即ち『戦わずして勝つ』を体現しているのだ。
进一步说,如果看一下她早期的战绩,败仗比胜利更多。但考虑到她已经稳步扩大势力,一个惊人的事实浮现出来。那就是她体现了“不战而胜”的原则。
いくさに発展して切り結ぶまでもなく、それ以前の段階で決着をつけてしまい、敵対勢力の全てを併呑しているという事実に官兵衛は戦慄を覚えた。
官兵衛感到战栗,因为敌对势力被吞并的事实已经解决了冲突,无需进一步发展和战斗。
「ええ、勿論です。皆さんは負けるつもりで戦っておられるのですか?」
“是的,当然了。大家是打算输的吗?”
「無論勝ちまする!」
“无论赢了!”
秀長が少し食い気味に言葉を被せる。
秀长有点贪吃地说话。
「皆様が着実に勝利を積み重ねていただければ、毛利討伐はなったも同然。後はそれが早いか遅いかだけの問題にすぎません」
「只要大家能够稳步取得胜利,毛利的讨伐便是板上钉钉的事情了。接下来只是时间问题,快慢之别而已。」
静子の言葉を耳にした官兵衛は、思わず竹中半兵衛へと視線を向けた。彼も彼女の真意に気付いたようで、二人はしばしの間見つめ合う。静子が語った一大流通路は単に経済圏の確立にとどまらない。
听到静子的话,官兵卫不自觉地看向竹中半兵卫。他似乎也意识到了她的真正意图,两人对视了一会儿。静子所说的大型流通路不仅仅是为了建立经济圈。
(毛利包囲網……)
(毛利包围网……)-(毛利包围网……)- Mouri围攻网……
この巨大商圏が成立してしまえば、毛利は四肢をもがれることになる。如何に毛利といえども、周囲を敵に囲まれた上で経済からも締め出されれば抗うことなど出来ようはずがない。
如果这个巨大的商业区形成了,毛利将会四肢残疾。即使是毛利也无法在被敌人包围的情况下被经济排斥后反抗。
唯一織田家の支配が及ばない日本海側に出るには険しい山脈を越えねばならず、とても商売として成立しえない。この状況下に追い込まれた段階で、毛利は既に詰んでいるのだ。
惟有逾越陡峭的山脉才能到达日本海岸无法被织田家控制之地,商业活动在此条件下无法为继,毛利陷入了困境。
「さて、本題の有馬開発についてですが、手がないわけでもありません」
“现在言归正传,关于有马开发的问题,我们并没有手足无措。”
「それは一体?」
那是什么东西?
「南蛮には『木を隠すなら森の中』という格言がございます。つまりはもっと大きな計画の一部に組み込んでしまえば良いのです。それを上様直々に宣言して貰えれば、私が援助する大義名分となりましょう。とはいえ溜め込んでいた金子をかなり吐き出したため、すぐにご用意できるのは一万貫(がん)(現在の貨幣価値にして約10億円)程になります」
“在南蛮有句格言叫做‘如果想藏树,就躲在森林中’。也就是说,只要把它作为更大计划的一部分,那就不错。如果您能亲身向上大人宣布这件事,那么这就是我的大义名分,我会提供援助。虽然我已经花了相当一部分存货,但我现在只能准备大约1万贯的资金(按现在的货币价值约为10亿日元)”
「一万!!」
"一万!!" in Simplified Chinese is "万!!"
思わず声を発してしまった官兵衛だが、続く言葉が漏れるのを無理やり抑え込んだ。彼は静子が中長期的に出資してくれるようになれば御の字だと考えていた。しかし、静子は即金で一万貫もの大金を用意すると言う。
官兵卫不由自主地发出了声音,但强忍住接下来的话。他认为如果静子能够长期投资,那就再好不过了。然而静子却说她可以准备一万贯的大笔现金。
如何に織田家の重鎮とは言え、一個人が独断で動かせる金額の範疇を超えていた。唐突に官兵衛は理解する。静子とは激流を抑え込む巨大な堰(せき)なのだと。彼女が一度動き出せば、途方もない規模の人・物・金が動くのだ。利に聡い商人たちが見逃さないはずだと舌を巻いた。
即使是织田家的重要人物,官兵卫也超越了一个人可以单独操纵的金额范围。突然,他理解了静子的重要性,她就像一个可以控制急流的巨大堤坝。一旦她开始行动,就会动摇巨大的人、物和金钱。智商高超的商人绝不会放过这样的机会。
「確かに上様からお墨付きを頂ければ、否と言えるものはおりますまい」
"如果能从上方得到认可,那么肯定没有什么可以反对的了。"
静子の協力を取り付けられそうだと判断した半兵衛はそっと胸をなでおろしていた。悪く言えば巨大商圏構築のおこぼれに与(あずか)る形となるが、繁栄を享受できるのであれば何ら問題はない。
判断静子可以提供帮助,半兵卫轻轻地松了口气。虽然可以说是享受到建立庞大商圈的残羹剩饭,但只要可以获得繁荣,那也没问题。
「しかし、上様へとお話を持っていくとなれば、かなりの日数を要するのでは?」
“但是,如果要把消息带给上位者,需要相当长的时间吗?”
「ああ、お伝えしていませんでしたね。御心配には及びません、折よく上様がこちらにご滞在中です」
"啊,我还没告诉你。不用担心,上阁下正好在这里逗留。"
信長に会うための段取りを模索し始めた矢先に、静子が爆弾発言を放り込んできた。まさかのニアミスに静子以外の面々が顔色を悪くしたのは言うまでもない。
开始寻找与信长会面的安排时,静子却突然说了一句爆炸性言论。静子以外的大家脸色难看,这可是一次惊险的非常接近的事件。
信長が静子邸に逗留している理由は幾つかあるのだが、そのうちの一つに新たに用意させた通信機の試験運用をすることが含まれる。静子に無理を言って役目を終えて解体を待つばかりであった検証用の通信機を使えるようにさせた。
信长在静子邸逗留的原因有几个,其中之一包括进行新准备的通信机试验运行。他 persuades 静子使用检验用通信机,以便完成任务并等待待拆除。
これを安土城へと輸送させた上で尾張と安土を通信で結び、どの程度の状況把握と指示を出すことが可能となるのかを確かめているのだ。
将其运送到安土城,并通过通信将尾张和安土连接起来,以确认可实现多大程度的情况了解和指示。
結果は上々であり、信長は尾張の静子邸で寛ぎながらにして安土で差配しているのと大差ない状況を生み出した。この革命的な通信手段は軍事だけにとどまらず、政治や経済といった生活に直結した分野すらも一変させ得ると確信する。
结果非常好,信长在尾張的静子邸里轻松自在地掌握了安土城内的军事情况,创造了与安土城内差不多的局面。这种革命性的通讯手段不仅仅在军事领域,还可以改变与政治和经济等生活直接相关的领域。我坚信这一点。
とは言え問題がないわけではない。未だに片手で数えられるほどしか配備できないことからも分かるように、機材がそもそも高価であること。また通信を制御する技術者や、限られた時間でより多くの情報を正確に伝達する手順に習熟した通信手が少ないことにあった。
然而问题并不完全不存在。从只能进行有限部署的事实中可以看出,设备本身就很昂贵。此外,控制通信的技术人员和熟练掌握在有限时间内传递更多准确信息的通信手也很少。
しかし、信長はこれら諸問題を楽観視している。日ノ本に鉄砲が伝来して以来、瞬く間に全国へと広まったように、これほどの利便性を齎す技術が支持されないわけがない。
然而,信长对这些问题持乐观态度。自火枪传入日本以来,它在短暂的时间内迅速传播到全国,如此实用的技术怎么可能不得到支持呢?
電信は無限の可能性を秘めており、技術を独占しているがために時間を要することになるが、いずれは日ノ本各地を通信で結んだ情報網が出来上がるだろう。それには莫大な費用が必要となるが、信長にはそれらを補って余りある利益を生み出せる自信があった。
电信具有无限的可能性,因其垄断技术而需要时间来发展,但迟早将建立连接日本各地的通信网络。虽然需要巨额资金,但信长有信心能够创造出超过成本的利润。
「ふむ、これで良かろう。状況が変わり次第連絡するよう伝えよ」
“嗯,这样就可以了。情况一旦改变就通知我。”
「ははっ!」
“哈哈!”
そう言うと信長は控えていた小姓に自ら認(したた)めた書類を託す。小姓はこの書類を事務方に預け通信様式に沿って清書をして貰い、電信室へと運び込まれたそれは電波に乗って安土へと届くことになる。
那么信长交给一名侍从他自己确认过的文件。这名侍从将文件交给事务方管理,并按照通信格式进行整理,最后将其运到电报室,通过无线电波发送到安土城。
今頃遠く離れた安土では、堀が信長からの命令を目にしていることだろう。電信技術は未だ黎明期にあるため、通信品質が悪く男性の低い声では聞き取りづらい。そのため通信手はもっぱら女性が起用され、電信室は女性の職場となっていた。
此刻在遥远的安土,堀也许正在看到信长的命令。由于电信技术还处于黎明期,通信质量很差,男性的低音很难听清。因此,通信员主要由女性担任,电信室成为了女性的工作场所。
通常であれば成立しえない状況なのだが、幸いにして尾張ならば高度な教育を受けた女性が数多く存在する。女性に学問は必要ないとされる世の中に於いて、尾張だけは特異点が如く女性の活躍し得る状況にあった。
虽然在通常情况下是不可能成立的状况,但幸运的是,尾张地区有很多受过高度教育的女性。在一个认为女性不需要学问的社会里,尾张地区是一个女性能够活跃的特殊点。
信長はすっかり電信の世界に魅せられ、その利便性に耽溺(たんでき)していた。流石に重要人物との面会ともなれば、数日かけて安土へと戻る必要が出てくるが、それ以外であれば尾張に居ながらにして政務をこなすことが出来る。
信长被电信世界完全迷住了,陶醉于它的方便性中。虽然与重要人物进行会面需要花费数天时间返回安土,但除此以外,即使在尾张也能够处理政务。
『一所懸命』という言葉があるように、土地に執着して命を懸ける武士にあるまじきことながら、信長は土地に対する執着を失いつつあった。
就像有着“拼尽全力”的说法一样,像武士一样为土地而投入生命的信念已经不适合信长这样已失去对土地执念的人了。
(静子が電信を秘する理由が良く判ったわ。これは恐ろしい『力』ぞ。場所と時間を超越するなぞ、神仏にしかなし得なかった空想の世界が、我が物になるのだ)
(我清楚了靜子隱藏電報的原因。這是一種可怕的“力量”。它能夠突破時間和空間的限制,創造出只有神佛才可能擁有的虛幻世界)
信長は一人ほくそえんでいた。彼の頭の中では通信を利用した新たな戦略が形になりつつあった。そんな折に、猛獣の唸りにも似た音が信長の腹から響く。
信长一个人暗自得意。在他的脑海中,正在形成利用通讯实现新战略的想法。就在这时,听起来像凶猛野兽嗥叫的声音从他的肚子里传来。
信長は電信に夢中になるあまり、食事をとることも忘れて没頭していた。頭は興奮で冴えわたっていたが、ろくに燃料を補給されない体が先に悲鳴を上げたのだ。何が面白かったのか、信長はくくっと笑うと小姓に命じる。
信长对电报着迷,甚至忘记了用餐。尽管他的头脑兴奋,但他的身体因没有得到适当的营养而先前呼吁。信长笑着对随从下令,不知道自己到底发现了什么有趣的事情。
「急ぎ食事の支度を整えるよう、静子に伝えよ」
"告诉静子赶快准备好吃饭的东西。"
「は、ははっ!」
"哈、哈哈!"
小姓は信長の言葉を受けるや否や、文字通りすっ飛んで行った。
小姓听到信长的话立刻飞快地前往了。
「こんな中途半端な時間に……」
这样一半推出来的时间……
信長の所望を伝えられた静子は思わず頭を抱えていた。主君である信長をもてなすに当たって、当然ながら昼餐(さん)は準備されていた。しかし、それを信長は「要らぬ!」と一言で切って捨て、電信に夢中になっていた。
传达了信长的意愿后,静子不禁捧着头。为了招待主君信长,当然已经准备好了午餐。然而,信长仅一句“不需要!”就将其削减并烧掉,全神贯注于电报上。
時が経ち冷えてしまった料理を出すわけにもいかず、それらは既に臣下の腹に収まってしまっている。更に今は昼餐と晩餐の合間という実に中途半端な時間であり、料理人たちも賄いを食べ終わり寛いでいたところであった。
时间已经过去,不能再拿出凉掉的菜品了,而那些菜早已被臣下们消化了。此外,现在是午餐和晚餐之间的一个非常尴尬的时间,厨师们也已经吃完了晚餐,正在休息。
そんな折に急いで飯の支度をせよと言うのだから堪らない。通常であれば晩餐まで待つ信長が、何を思ったのか間食ではなく食事をご所望なのだ。静子は亭主としてこれに応えないわけにはいかない。
这时突然让我立刻准备晚饭,实在令人难以忍受。織田信长通常会等到晚餐时才进食,但现在却不知道在想些什么,要求吃晚饭而不是吃点心。作为丈夫的静子不能不答应这个要求。
近頃とみに食への拘りを強めている信長の食事は難しい。思考が鈍るからと酒を好まない代わりに茶を求め、様々な食材に対して独自の拘りを発揮する。
最近信长对食物的追求变得更加严格,他的饮食变得更加困难。他不喜欢喝酒,因为这会让他的思考变得迟钝,取而代之的是喜欢茶。对于各种食材,他都有自己独特的偏执。
基本的に濃い味を好むが、野菜類に関しては煮物・炊きものよりも蒸し料理を好んだり、かと思えば肉料理を出す際には野菜にも強い味付けを要求したりもする。食事など腹に溜まれば何でも良いと言っていたころが懐かしい。
基本上喜欢浓重的味道,但在蔬菜方面更喜欢蒸菜而不是炖菜或煮菜;但是在做肉菜时,也会对蔬菜进行强烈的调味要求。过去总是说只要填饱肚子就好了,现在想来还是挺怀念那时候的。
「仕方ないか、休憩中のところ申し訳ないけれど、料理人たちに支度するよう声をかけて頂戴」
"没办法,虽然在休息时间打扰了,但请向厨师们喊一声准备吧。"
「承知しました」
"我知道了"
腹の虫が鳴くほどに空腹だった信長は、いつになく旺盛な食欲を発揮し、出される料理を片端から平らげた。更には信長の命により定刻通り催された晩餐にも顔を出し、常と変わらぬ食事をとった。
肚子饿得咕咕叫的信长表现出异乎寻常的旺盛食欲,把摆在他面前的菜肴一个接一个地消灭。接着,他还出席了按照规定时间举行的晚宴,在如常的饮食中度过了这顿晚餐。
如何に健啖家(けんたんか)であろうとも流石に食べ過ぎであり、中年の域に達している信長は腹を痛めて寝込む羽目となる。
即使是一个吃得很健康的人,如果吃得太多,像信长这样已经到了中年的人也会感到胃痛,甚至需要卧床休息。
「……私は晩餐の時刻を遅らせるか、中止すべきだと言いましたよね?」
“……我说过应该推迟或取消晚餐时间,对吧?”
腹痛で寝込んでいる信長に対して静子は苦言を呈する。ばつの悪い信長はそっぽを向いて布団に包(くる)まると、静子の言葉を右から左へと聞き流す。
当信长因腹痛躺在床上时,静子对他提出了谴责。信长感到不舒服,然后偏过头朝另一边躺下,听着静子的话,却没有在意。
流石に信長が食べ過ぎで寝込んでいるとは言えないため、静子と内密の会談を行っていることにして人払いをした奥の間に引き籠っている。
由于不能说信长吃得太多而病倒了,所以他躲在里间和静子秘密会晤,让贴身侍从给人挡着,他现在独自一人躲在里间。
「別に腹など痛めておらぬ。貴様が心配性なだけだ」
"并没有什么腹部不适,只是你太过于担心"
「はいはい。判りましたから、これを飲んで下さい」
「好的,我知道了,请喝这个。」
あくまでも己の非を認めようとしない信長に対し、静子は抗弁を聞き流しながら湯呑を差し出した。即効性のある胃腸薬など存在しないため、静子が差し出した湯呑の中身は大根をすりおろしたものを布で漉(こ)し、少量の蜂蜜を加えて飲みやすくしたものであった。
对于不愿意承认自己错误的信长,静子一边听着他的抗辩,一边递给他一只茶碗。由于没有能够立即生效的胃肠药物,静子递过来的茶碗里装的是将萝卜磨成泥并用布过滤后加入少量蜂蜜的易于饮用的东西。
さしもの信長も膨満感から来る吐き気には辟易していたのか、素直にこの簡易胃薬を飲み干すと再び静子に背を向けながら声をかける。
信长也疲于应对膨胀感引起的恶心,于是喝下了简易胃药,然后再一次背对着静子,喊道。
「ハゲネズミの手下が来ているそうだな」
“好像秃鼠的手下来了” - Simplified Chinese
信長の言うハゲネズミとは秀吉のことを指し、手下とは言うまでもなく秀長及び半兵衛と官兵衛を示している。猿に似ていることで有名な秀吉だが、信長は彼の貧相な顔立ちを指してハゲネズミと呼ぶこともあった。
信长所说的秃鼠是指丰臣秀吉,而手下则毋庸置疑地指向秀长、半兵卫和官兵卫。虽然因长得像猴子而广为人知,但信长有时还会以秃鼠来称呼他那贫瘠的脸庞。
肝心の秀長らは静子との会談の後、準備不足のまま信長に会うことを良しとせず、静子邸の一室を借りると頭を突き合わせて何事か相談を始めていた。
关键人物秀长与静子会面后,认为准备不足不能会见信长,决定借用静子的一个房间开始商讨。
「今頃、上様にお話しできるよう準備をなさっているのでしょう。もう暫くはかかりそうです」
「现在,我们正在准备与上様交谈。估计还需要一段时间。」
「ふん、ようやく上向いてきた流れを余程断ち切りたくないと見える。ハゲネズミはこのところ鳴かず飛ばずであったからな」
“嗯,看来你很想保持这个好势头。因为这只秃鼠最近一直低声下气,没有任何动静。”
信長の言葉通り、秀吉の懐事情は芳しくない。とはいえ、これは秀吉に限った話ではなく、いくさをすればするほどに銭を失うのは世の定めであった。
信长的话成为事实,秀吉的经济情况并不乐观。但这并不仅局限于秀吉,战争之中只要打得越多就会越没钱,这是世道规律。
いくさは軍を維持するだけで金が飛ぶように減ってゆき、たとえ領地を切り取ったとしてもそこから収益が上がるのは先の話になってしまう。辛うじて赤字を出していない光秀は稀有な手腕を持っているとさえ言えた。
战争仅仅是维持军队而金钱却不断减少,即使抢占领地也要等很长时间才能获得收益。光秀勉强没有亏本,也可以说他有稀有的才能。
「このところ安易に余剰資金を還流したため、己の統治が成功した要因だと思い込む方が増えておりまして……」
"最近因为轻易地回流多余资金,导致认为自己统治成功的因素增加了……"
静子は東国征伐の準備をする傍ら、手元にだぶついていた余剰資金を織田領の各地でばら撒いた。
静子在准备东国征伐的同时也在織田领内各地分发手头多余的资金。
まさに外的要因によって降ってわいた好景気に気を良くした領主は、それを己の手腕によるものだと慢心する風潮が見られるようになった。
正是受外部因素影响带来的好景气,使得领主们沾沾自喜地以为这是他们的能力所致。
「捨て置け。その程度で勘違いする奴らは、己が痛い目を見ねば理解せぬ」
“扔掉吧。那些以为自己清楚却误解了的人,只有在受到惩罚后才能理解。”
静子は己の至らなさを悔いていたが、信長は梃子(てこ)入れの存在すら察知できない者の資質を疑っていた。
静子悔恨自己的不足,但信长怀疑那些连杠杆都无法察觉的人是否具备能力。
「……良し。いずれにせよ、堺が過剰に富むのをけん制する意味でも有馬開発には意味があろう。あ奴らに金を出してやれ」
"不错。无论如何,防止堺过度富裕对有马开发来说也是有意义的。给那些家伙一些钱。"
「承知しました」
"我知道了"
「理由を問わぬのか?」
“不问理由吗?”
「私も上様と同様の結論を持っております。それに金を出す以上は、丸投げには致しません。是が非でも成功して頂き、そのためには口も手も出しますゆえ」
“我也持有与上様相同的结论。既然需要出钱,我不会将一切交给别人。无论如何,我都会尽力让其成功,因此不惜口舌和行动。”
静子の言葉を聞いた信長はにやりと笑みを浮かべた。静子としても信長からの命であれば否やは無い。更に直接口にはしないものの、凡(おおよ)そ考えていることは同じだと理解できていた。
听到静子的话,信长露出了得意的微笑。对于静子,只要是信长的命令就没有什么反对的余地。虽然没有直接说出来,但可以理解他们的想法大致相同。
静子が融資をするとなれば、窓口となる御用商である『田上屋』が店を出すことになる。既に全国規模の田上屋が現代で言う銀行業を担うのだ、有馬温泉の利権は既に静子が牛耳っているに等しい状態となるだろう。
如果静子提供资金支持,那么作为窗口的田上屋将会出现。田上屋已经承担了全国性的银行业务,而在现代,对有马温泉的经营权牵头的几乎就是静子。
「貴様のやりたいようにやってみせよ」
"你想怎么做就怎么做吧"
「お任せください」
"请放心交给我"
信長の信任を受けた静子は、目線を合わせようとしない信長に深々と頭を下げて見せた。
得到信长的信任,静子深深地低下了头,尽管信长没有看着她。
翌日になり、秀長は静子から信長の許可を取り付けた旨を伝えられる。自分たちの頭越しに事態が進んだため秀長としては面白くないが、処世術に長けた彼はそれでも表面上を取り繕って見せた。
第二天,秀长得知静子已经拿到了信长的许可。尽管事态已经超出了他们的控制,秀长并不乐意,但他作为一个善于处理人际关系的人,还是表面上装作一切正常。
不満をおくびにも出さず静子に丁重な礼を告げて秀長ら一行は尾張を後にする。彼らは尾張港へと到着すると、折よく出航間近であった神戸へ向かう船に乗り込み、船上の人となった。
一行人向静子恭敬致意,不发一丝不满后,离开了尾张。他们到达尾张港后,恰好赶上前往神户的船即将离港,于是乘船成为了船上的人员。
「我らの杜撰(ずさん)な計画など不要だと言われたようで面白くはないが、我らが役目を果たせたことには代わりない。それも法外なまでの好待遇の融資を取り付けられたおまけつきだ」
据说我们的草率计划并不必要,这并不好笑,但我们能够履行我们的职责,这是无可替代的。我们还获得了法外优厚的贷款待遇,这也是额外的奖励。
秀長は甲板に出て海面を眺めながら、隣でずっと渋面を浮かべている官兵衛に話しかける。船が湾内を出て安定航行に入った処で、秀長が暇を持て余していた官兵衛を甲板に誘ったのだ。
秀长站在甲板上眺望海面,向一直板着脸的管兵卫搭话。当船离开湾区开始行稳致远后,秀长邀请闲来无事的管兵卫来到甲板。
一人残された半兵衛は船酔いしない体質を良いことに、尾張で仕入れた書物を読み込むことに決め込んだようで、秀長の誘いをやんわりと断っている。
独自一人留下的半兵卫利用不易晕船的身体条件,决定全神贯注地阅读他在尾张买回来的书籍,因此委婉地拒绝了秀长的邀请。
「初期費用として一万貫。更に事業計画を策定して提出するのと併せて、半年に一度静子殿の指定する会計報告とやらを出せば、更に追加で二万貫をご融資頂ける、か」
「作为初始费用1万贯。此外,如果同时制定并提交经营计划,并每半年提交由静子指定的会计报告等,则可以再获得2万贯的额外贷款。」
「話が旨すぎますな。これに裏がないはずがありませぬ。それにかの会計監査というのが曲者です。我らの懐事情が筒抜けではありませぬか!」
"这谈话太过美味了。一定有内幕。而且,财务审计可是个难缠的家伙。我们的财务状况会暴露无遗!"
「しかし、それを呑まねば有馬開発自体が『絵に描いた餅』となろう」
"但是,如果不采取行动,有马开发本身将变成一种幻想"。
官兵衛は会計報告の見本として渡された冊子と、複式簿記の基本が記された書籍を前に絶望的な表情を浮かべる。実務に携わるつもりが無いためか、秀長は会計報告を圧倒的に甘く見ていた。
官兵卫拿着作为会计报告样本的小册子,以及写有复式簿记基础的书籍前,脸上浮现出绝望的表情。或许是因为没有参与实务,秀长对会计报告的认识非常模糊。
簿記を少しでも学んだ方ならお分かりになるだろうが、日本語と四則演算ができれば簿記の3級程度なら高校生レベルの学力で十分取得が可能である。しかし、戦国時代に於いては高校生程度の学力というハードルが既に相当に高いのだ。
即使稍微了解会计的人都知道,如果能够使用日语和四则运算,就可以在类似高中水平的学力下轻松获得簿记的3级资格证书。但是,在战国时代,高中生水平的学习要求已经相当高了。
なんだかんだと無理難題を押し付けて融資を断るつもりかと思えば、不安があるのであれば会計に明るい人員を派遣・教育まで面倒をみてくれると言う。官兵衛には静子の狙いが何処にあるのか皆目見当がつかなかった。
总觉得你会把压力性的难题推给对方,最终拒绝提供资金,但是如果你有不安的话,我们可以派遣对会计专业有认识的人员并提供培训。大家都无法知道静子追求官兵卫的目的。
(読めぬ……これをすることに何の利があるというのだ?)
(看不懂……这样做有什么好处呢?)
官兵衛が理解できないのは仕方ない面もある。会計報告というのは企業のとある基準日時点で見た際の業績評価であり、語弊を恐れずに言うならば通信簿に近い。
官兵卫理解不了也是情有可原的。会计报告指的是企业在某个规定日期的业绩评估,可以说像是成绩单一样。
MG研修の薫陶(くんとう)を受けている静子からすれば、過去の成績にとどまらず未来を語れる経営者となって欲しいという思惑があるが、何事も一足飛びに実現することは難しい。
对于接受了MG研修启发的静子来说,她希望那些不仅关注过去成绩而且能说未来的管理者。但是,任何事情都不可能一蹴而就。
このため、統一された評価基準で事業運営を評価できる会計制度の導入を要求したのだ。これは出資者である静子のためだけでなく、経営者となる秀吉にも利のあることなのだが、商家ならぬ官兵衛にそこを理解しろというのは酷であろう。
因此,要求引入能够在统一的评估标准下评估业务运营的会计制度。这不仅是为了出资者靜子,也对经营者秀吉有利。但是要求官兵衛这样的商人理解这一点是残酷的。
「何はともあれ、良い刺激になったでしょう。して、静子殿をどう見ました?」
“无论如何,这应该是一个不错的刺激。顺便问一下,你觉得如何评价静子小姐呢?”
まるで官兵衛の心中が見えているかのようなタイミングで秀長が問いかけた。秀長が他者の心の機微を察する力に秀でていると知ってはいても、毎度驚かされてしまう。
就在官兵卫的内心深处似乎被展现出来的时候,秀长向他发问了。虽然知道秀长具备察觉他人心绪微妙之处的能力,但每次还是会惊讶。
「なんとも掴みどころの無い御仁ですな。人の上に立つものとしての覇気などは微塵も窺えぬというのに、遥か遠くを見据えているような物言いをなさる。正直底が見えませぬ」
这个人真是让人无从把握啊。虽然是作为领导者的人,却完全看不到一丝掌控局面的气势,却说出了如同凝视着遥远未来的话语。说实话,完全看不出他的底细。
「ふふふ。初顔合わせで見抜けるほど浅い御仁ではありませんよ。なあに、これから嫌でも長い付き合いになります。じっくりとその目で見定められるが良いでしょう」
“呵呵呵。你并不是那么浅薄的人,在第一次见面就能看透我。别担心,我们今后的交往会很长。你可以好好地用自己的眼睛来仔细观察我。”
「それにしても、海の物とも山の物ともつかぬ事業にポンと一万貫を出すなど正気の沙汰とは思えませぬ。さしもの静子殿にしても一万貫は大金でありましょう? 銭を失うことを恐れておられぬのでしょうか?」
“即便如此,随便就投入一万贯于企业既非海产品也非山产品,实在不可思议。即使是静子殿也认为一万贯是一大笔钱吧?难道您不担心会失去钱吗?”
「はした金とは申しませんが、彼女からすれば全てを失ったところでそれほど痛くないのでしょう。静子殿の本質はどこまで行っても百姓なのです。不毛の大地に挑んで種を蒔(ま)き、大きく実った処を収穫するため、投資をすることを躊躇(ためら)われませぬ」
“虽然不是赌上全部家当,但对她来说失去一切也不至于如此痛苦。静子殿的本质无论到哪里都是农夫。为了在贫瘠的土地上播种,在收获前进行投资并不会犹豫。”
「種を蒔き、水をやった上で手を掛けてやらねば実りを得られぬと?」
"如果你不播种,不浇水,就不能得到收成吗?"
「神戸港の事業をご覧なさい。あれこそがまさに彼女のなさりようの最たるものでしょう。種を蒔かないことには芽が出ぬのです。そうであれば種を蒔き、手を掛けてやることこそが最短だとご存じなのですよ」
“请看看神户港的业务。那正是她最杰出的成就。没有种子就不会有芽。所以如果你知道,播种并亲手耕耘是最快的方法。”
まるで見透かしたように笑いながら秀長が言う。港湾を作るというのは一大事業であり、秀吉にしても豪商や有力者から資金を募っている。ところが静子はそれを単独で賄い得るのだと言うのだ。
仿佛洞察一般,秀长笑着说道。建造港口是一项大事业,甚至秀吉也在征求富商和权贵的资金。但静子却说她能独自资助这个项目。
それほどの資金力を持っているというのに、静子邸の佇まいは慎ましく、本人にも華美なところがまるでない。まるで我欲を臭わせない静子の人となりに触れて、官兵衛はそんな人間がいるものかと実に胡散臭く感じていた。
即使拥有如此强大的财力,静子的住所却十分朴素,她本人也没有任何奢华的表现。接触到这样一个不显露私欲的静子,官兵卫感到非常可疑。
「それほどまでに資金力があるのなら、有馬の事業を乗っ取られてしまうのではありませぬか?」
“如果有这么强大的资金实力,会不会接管有马公司的业务?”
「静子殿にその気があればいつでも出来るでしょうね。それゆえにこそ、決して無体な真似はなさいませんよ」
「如果静子殿有意愿的话,随时可以做到。正因为如此,请务必不要做出不得体的行为。」
出来るからこそしないという、秀長の言い分が官兵衛にはまるで理解できなかった。秀長がすっかり静子に取り込まれてしまっているように見えた官兵衛は、己だけでも騙されまいと眉に唾する心積もりであった。
“因为能够做到才不去做”,秀长的说法官兵却完全无法理解。官兵衛感觉秀长已经完全被静子迷住了,于是他决定不能被骗,心里做好了防备。
「警戒するなとは言いませんが、頭から疑ってかかると本質を見落としますよ?」
“我并不是说不要警惕,但如果你怀疑一切,可能会忽略了事物的本质。”
「ご忠告痛み入ります」
"多谢你的忠告,我会铭记在心"
そう返事をした官兵衛は秀長に背を向けると船室へと戻っていった。言葉とは裏腹に態度を硬化させた官兵衛を見て、秀長は一人ほくそえんでいた。
这时,回答完的官兵卫背对着秀长,返回了船舱。看到与他的话相反的态度变得更加强硬的官兵卫,秀长独自暗自窃喜。
「これは面白くなりそうですね」
“这看起来会很有趣。”
秀長の呟きは船上を吹き抜ける風に乗り、誰の耳にも届くことなく消えていった。
秀长的低语随着船上的风飘散而逝,却没有到达任何一个人的耳中。