【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 163 [千五百七十七年 六月上旬]
书名 战国小町苦劳谭
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作者: 夹竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
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千五百七十七年 六月上旬(*原文网页序列号 - 187)
帝は激怒していた。原因は言うまでもなく本願寺教如による石山本願寺占拠であった。此度(こたび)の織田家と本願寺との和睦に於いては、朝廷が仲介を執り行っている。
皇帝怒火中烧。原因无需赘言,当然是由于本愿寺教如占领了石山本愿寺。在织田家和本愿寺的和睦中,朝廷担任了调解人的角色。
互いに深い確執を抱え、長きに亘って争った二大勢力のいくさに終止符を打つ。それは調停を担う朝廷の権威が揺ぎ無きものであると、日ノ本中の有力者たちへ示せる絶好の機会でもあったのだ。
彼此抱持深深的对立情绪,长期以来两大势力争斗不息,结束了这场战争。这是一个机会,可以向日本各地的有权势者证明朝廷仲裁的权威是无可动摇的。
ゆえに、事がここに至って教如がしでかした事件は、これまでのお膳立てをすべて無に帰す赦しがたい暴挙となる。
因此,教如所犯下的事件已经达到了这个地步,成为了抵消所有准备工作的不可饶恕的暴举。
教如としては本願寺を掌握している下間(しもつま)頼廉(らいれん)に対する意趣返しのつもりだろうが、信長に対して真正面から喧嘩を売り、あまつさえ和睦を取り持った朝廷に対しても唾を吐く行為になるのだ。
作为教主,这样做可能是想对掌握本愿寺的下间依赖的意图,但这会直接挑战信长,甚至会对促成和平的朝廷出言不逊。
今上(きんじょう)帝である正親町(おおぎまち)天皇は本願寺に対して門跡(もんぜき)(位階の高い寺格のこと)を与えており、その教如が朝廷に弓を引くことは飼い犬に手を噛まれるが如き屈辱であった。
今上天皇赐予本愿寺门首位阶之高的门类,但教如向朝廷拉弓就像被家犬咬似的受到了羞辱。
それゆえ帝は激情の余り顔色が赤を通り越して青く見えるほどに憤怒を高ぶらせていた。
因此天皇情绪激动,愤怒到脸色不仅变成红色,甚至超过了变成蓝色。
「もはや看過ならぬ。余自らが軍を率いて大逆人を討ち取ってくれよう!」
「无法再容忍了。我自己率领军队,一定要剿灭这些大逆不道之人!」
帝が直接軍を率いるとなれば御親征(しんせい)であり、万に一つでも負けが許されない壮絶ないくさとなる。帝が率いるべき官軍にはそこまでの戦力が期待できない。
如果皇帝直接领导军队,那将是他的亲笔征战,一旦失败将不可容忍,将是一场惨烈的战争。皇帝领导的官军无法期待如此强大的战力。
そういった懐事情を把握している御台所(みだいどころ)や公家衆は必死になって天皇を諫めていた。
了解这些财务状况的宫廷女官和官员们拼命规劝天皇。
「斯様(かよう)に帝は大層ご立腹であり、近衛様のご尽力を賜りとう存じます」
“像这样,皇帝非常愤怒,非常感谢近卫大人的努力。”
帝の状態については、前久(さきひさ)も当然把握していた。公卿(くぎょう)(朝廷の最高幹部)らは、そんな帝の様子に戦々恐々としており、藪をつついて蛇を出すことを恐れるあまり日和見が続いているのだ。
关于天皇的状况,前久也当然了解。朝廷的最高干部公卿们对于这种情况感到惶恐不安,他们害怕去扰乱蛇窝,因此一直在表现出犹豫不决的态度。
いざ御親征となれば莫大な戦費が発生する。日々の生活に窮するような公家は少なくなったとは言え、行事や政を滞りなく運営するので精一杯という状況だ。
一旦进行亲自征战,就会产生巨额的战争费用。虽然像日常生活收入不足的官僚已经减少了,但是他们仍然在尽力顺利进行各项活动和政策。
そんな折に絶対に敗北が許されず、また勝利したところで別段利益が発生するわけでもない戦費など捻出できるはずがない。
在这种情况下,绝对不允许失败,即使赢了,也不会有任何利益产生,无法筹集这样的战争费用。
故に公卿たちは織田家を動かせないものかと思案し、今日も今日とて前久に縋(すが)るのだった。
因此公卿们思考着是否能够使织田家动摇,今天也像往常一样仍依赖着前久。
ただでさえ五摂家筆頭の家柄であり、経済力に於いては並ぶものなし、更には権力でも関白という公家の最高位に任じられている前久の発言力がいや増すのを面白くないと思う者もいるのだが、さりとて無い袖は振れないという葛藤がある。
只是五摄家的领袖家族,经济实力无人能比,此外,前久作为公家的最高阶层被任命为权威,他的发言力更是强大,有些人认为这不好玩,但是也有人面临着左右为难的困境。
「帝のご心中は察するに余りあるが、官軍の結集など我らには荷が勝ちすぎるというもの」
“皇帝的心情我们可以理解,但官军的集结对我们来说是负担过重的。”
「此度の件は織田殿にとっても許し難き行いでありましょう? ゆえに近衛様のお口添えをいただき、織田殿に御出陣頂くわけには参りませぬか?」
“这件事对于織田大人来说也是难以原谅的行为吧?因此,是否可以得到近衛大人的支持,不需要織田大人出征呢?”
「織田殿とて怒り心頭でおられるでしょうが、朝廷の面子を慮(おもんぱか)って動かれぬのです。それを押して御出陣願うとなれば、やはり朝廷にはかつての威光などないとの誹(そし)りを受けることでしょう」
「織田大人心情十分激动,但是出于顾及朝廷的颜面而无法行动。如果我们要求他出战的话,这将导致朝廷失去早期的威望,被人诋毁。」
「それでも御親征を断念して頂けるのならば……」
"如果您能放弃进行访问的话……" (Simplified Chinese)
「それにこれは私の義娘(むすめ)から齎された情報なのですが、どうにも此度の件には痴(し)れ者の暗躍があるようです」
“而且这是我义女提供的信息,看起来在这件事情中,痴迷者正在暗中活动。”
「なんと! 織田殿の懐刀と名高いご息女よりの報であれば、確かなのでしょうな」
“什么!如果是以織田大人知名的得力助手为消息来源,那肯定是可靠的。”
事件発生当初は信長も前久も教如の暴挙に激昂した。しかし、頭が冷えてくるに従って教如の行動に違和感を抱く。教如にとって己の所在を掴まれていないという優位性を捨てた末に手に入るのが、防衛設備をいくつも解体された石山本願寺では割に合わないこと甚だしい。
事件发生当初,信长和前久也都对教如的暴行感到愤怒。然而,随着头脑冷静下来,他们对教如的行为感到不安。教如为了得到不再被别人抓住自己所在位置的优势,最终放弃了该优势,而在解体了许多防御设施的石山本愿寺,他们得到的却与之不成比例。
更に今回の和睦については朝廷主導で行われているため、仮に織田家から石山本願寺を取り返したところで、朝廷より門跡寺院の取り消しや、延(ひ)いては朝敵として日ノ本全土から攻められる未来が待っている。
此次的和解是由朝廷主导进行的,即使织田家夺回了石山本愿寺,也会面临来自朝廷的取缔门户寺院的风险,进而成为日本全国的敌人。
どう転んでも未来が無いにもかかわらず、それでも朝廷の代官を幽閉した上に本願寺奪還を強行した。教如にどんな大義があったとしても、彼の行動を正当化するには至らないだろうと考えた前久は首を傾げることになる。
即使未来无望,前久仍然在关押朝廷代官和强行夺回本愿寺。无论教如有何大义,前久认为无法正当化他的行为。
「織田殿は朝廷主導にて和睦を取り持つようになって以来、本願寺を包囲していた兵を引いておられました。つまり、教如側としてはもっと早い段階で占拠することも可能だったはず。何故引き渡し直前の今になって蜂起したのかが気にかかります」
“自从织田殿开始以朝廷主导的方式斡旋和睦以来,他已经撤回了包围本愿寺的士兵。也就是说,教如一方本来也可能在更早的阶段占领。为什么会在交接前的现在起义仍然让人感到困惑。”
「確かに、近衛様のご指摘にあるように教如めの狙いが判りませぬな」
“确实,我不明白教如惠的目的,正如近卫大人所指出的那样。”
朝廷が和睦に介入したのと時を同じくして、信長は本願寺を包囲していた佐久間達に兵を下げるように命じた。
朝廷介入和谈的同时,信长命令围攻本愿寺的佐久间一众投降。
これは本願寺側の要望に対して、有利な側である信長が率先して譲歩を見せることにより朝廷の顔を立てるためである。
这是为了使朝廷有面子,对本愿寺方面的要求,信长作为优势方主动让步。
如何に常備軍を配備している織田軍とはいえ、全ての兵員が常備軍かと言えば勿論そうではない。志願兵や数合わせの徴募兵、陣借り者等実に様々な人々が混在している。
尽管織田军有一支常备军,但并非所有士兵都是常备军。志愿兵、征募兵和借阵者等各种人员混杂其中。
これらの人々は、ただそこに存在するだけで兵糧を消費し続ける。陣借り者については、戦力の押し売りであるため面倒を見てやる必要等無いのだが、佐久間達は規律を維持するため彼らにも食料を配給していた。
这些人只是存在于那里就会持续消耗兵粮。对于露营者来说,由于他们只是强行提供战斗力,因此并不需要给予特别照顾,但是佐久间等人为了维持纪律,也会向他们分配食物。
包囲を解いて兵を下げるとなれば、多くの人員を解散させることが出来るため、軍隊の維持費を大きく節約することができるのだ。
若要解围并撤军,就能够解散大量人员,从而大大节省军队的维护费用。
つまり信長の命とは、自分たちの消耗を避けつつも、朝廷に恩を売るという成果を得られる一石二鳥の方針だった。
也就是说,信长的命令是采取一石二鸟的策略,既避免自己的消耗,又给朝廷带来好处。
こうした動きを皮切りに、織田軍側と本願寺側が朝廷を介して互いに和睦へと歩み寄っていた。その最終局面に於いて、突然教如による本願寺乗っ取りが発生したというのが現状であった。
这些动作引领着织田军方和本愿寺一方相互走向和解,透过朝廷介入这一过程。在这最终阶段,突然发生了教如对本愿寺的夺权事件,这就是目前的现状。
「いずれにせよ、朝廷から派遣されている代官殿の御様子を知るのと、教如がどのような要求を突きつけてくるか次第で対応が変わるでしょうな」
"不管怎样,根据朝廷派遣的代官大人的情况,还有教如提出的要求,我们的应对会随着情况的变化而改变。"
「承知いたしました。何かしら動きがあるまで様子を見ると言うことを皆に伝えるとしましょう」
“我知道了。我们告诉大家在有任何进展之前先观察一下情况。”
「帝については私の方から慰撫させて頂こう。ご使者殿はその旨を皆に伝えられよ」
「我会主动安抚天皇陛下,使之宽心。请您传达这个意思给大家。」
前久の派閥に属する公家が遣わせた使者は安堵の表情を見せる。その立ち去り際の一瞬の表情を前久は見逃さなかった。
前久派系的官家派遣的使者露出了安心的表情。前久注意到了他在离开时的瞬间表情。
信長のお陰で京の治安が安定しているとはいえ、公家たちの生活は優雅から程遠いのが現状だ。特に公家の大多数を占める下級貴族たちの生活は、ともすれば豪農にすら劣ることがある。
尽管得益于信长的功劳,京都的治安得以稳定,但官僚们的生活却远不如想象中那么优美。尤其是占据大多数的下级贵族们的生活,有时甚至不如富裕的农民。
それでも貴族には貴族の面子と義務があり、官軍が編成されるとなれば厳しい懐事情を更に逼迫(ひっぱく)させることは言うまでもない。つまり帝の行動は、彼らにとって災難でしかないのだ。
然而,贵族仍然有贵族的面子和义务,如果组织了官军,那么困难的财政状况就不言自明了。换句话说,对他们来说,皇帝的行动只会是灾难。
(少なくとも我らの派閥からは、裏切り者を出さずに済みそうだ)
(至少从我们的派系来看,似乎不必出卖叛徒)
前久は今回の騒動が、織田家に拠る日ノ本統一を良しとしない者たちによって画策されていることは、早い段階から掴んでいた。
之前我已经掌握了这次事件是由反对以織田家为基础的日本统一的人策划的。
事前に情報を得ていた前久だが、彼はそれを掣肘(せいちゅう)するような行動を取らなかった。
事先得到了信息的前久,但他没有采取阻碍的行动。
なぜなら計画自体が荒唐(こうとう)無稽(むけい)であり、およそ実現する可能性が低かったからだ。万が一成功したとしても、織田家の天下を覆すには至らない上に、露見すれば一族郎党が破滅するというリスクに対してメリットが釣り合わないものだった。
因为计划本身就很离谱,实现的可能性非常低。即使最终成功了,也无法撼动织田家的天下,而且一旦被发现,家族里的人也会因此遭殃。这样的风险和回报并不成比例。
ゆえに前久は、この計画自体が漏洩することを前提とした自分に対する罠だと判断していた。しかし、実際に計画は実行された。
因此前久判断这个计划本身就是他设定的陷阱,假定会泄露出去。但是,实际上计划被执行了。
(博打(ばくち)にしても分が悪い。黒幕はこの一件の落としどころをどう考えているのだろうか)
赌博即使赢也没什么好处。黑幕在想这件事的结局吗?
前久は使者の立ち去った室内にて、しばし思索に耽(ふけ)っていた。
前久在使者离开的房间里沉思了一会儿。
最悪の状況を想定し、自分の派閥が既に切り崩されているか確かめてみたが、彼らの手はそこまで長くないようだと言うことが判った。
考虑到最糟糕的情况,我检查了我的派系是否已经分崩离析,但发现他们的影响力并不那么强。
ならば遠慮など要るまいと判断した前久は、我欲の為に面倒ごとを引き起こした愚か者に鉄槌を下す方策を練り始めた。
那么,把前久认为不需要顾虑的人,开始设计对付那些因为私欲而引起麻烦的愚蠢之举。
教如の暴挙に狼狽していたのは朝廷だけであり、信長は然(さ)して気にしていなかった。そもそも教如のことなど眼中に無いというのが本音だろう。
慌乱不安的只有朝廷对于教如的暴行,而信长却并不在意。从本质上讲,教如并不在他的考虑范围之内。
「帝より宣旨(せんじ)(天皇の命令書)があれば考えんでもないが、要請も無いのに出向く必要はあるまい。朝廷も介入したからには始末をつけねば立場がないだろうしな」
如果没有来自天皇的勅令,我不会考虑前往,也不必要求出发。朝廷一旦介入,就必须解决这个问题,否则就没有立场了。
配下の諸将より教如への対処を問われた信長は、面倒そうにそう答えた。彼にとって本願寺の件は既に終わったことであり、今更教如が何をしようと本願寺再興など夢物語でしかない。
被其手下的众将询问如何处理教如的事情时,信长面露烦恼地回答道。对他来说,本愿寺的事情已经结束了,现在教如想做什么并不重要,本愿寺的重建只是个空想罢了。
信長との抗争の結果、今や本願寺門徒にかつての結束力は無い。それどころか顕如や頼廉に従う穏健派と、教如の唱える徹底抗戦に同調する強硬派とに分かれて互いに牽制し合うようになったからだ。
由于与信长的对抗,现在本愿寺门徒的团结力量已经不再存在。实际上,现在分成了顺从顕如和依赖的温和派和支持教如的坚决抗战派,相互之间制约对方。
これは本願寺との和睦が俎上(そじょう)に上がった時から、信長の手によって密かに行われてきた離間工作の集大成であった。即ち穏健派に属する門徒には食料をはじめとする物資や資金援助を行い、強硬派に属する門徒たちが相対的に困窮するよう仕向けていたのだ。
这是自与本愿寺和解之际起,由信长秘密进行的离间工作的集大成。即对属于温和派门徒进行援助,包括食品和货币援助,同时刻意让强硬派门徒相对贫困。
これらの工作によって一致団結するはずの本願寺門徒間に経済的格差が生まれ、生活に余裕の生まれた穏健派は争いを疎(うと)む厭戦(えんせん)気運に満ち、一方生活苦に喘ぎ困窮する強硬派はより思想を先鋭化し、より過激な行動を取るようになっていった。
这些活动导致了本愿寺门徒之间的经济差距,在生活更加宽裕的温和派中兴起了厌战情绪,而在困境中挣扎的强硬派则更加激进化并采取了更极端的行动。
極端な言動や過激な行動が目立つようになった強硬派は排斥され、今や教如が信長討つべしと唱えたところで呼応するのは現状に不平不満を抱いている強硬派のみだろう。
极端言行和激进行动越来越引人注目的强硬派被排斥了,现在,即使教如高喊必须讨伐信长,响应他的也只有那些对当前状况不满的强硬派了。
朝廷が事態を収拾すべく奔走する中、静子は謹慎中の四六を呼び出していた。
在朝廷奔走以收拾局势的时候,静子召集了謹慎中的四六。
「そろそろ朝廷が行動を起こす頃でしょう。四六は私の出した課題に対する答えを出せましたか?」
「现在朝廷应该会开始行动了吧。四六,你已经回答我提出的问题了吗?」
静子の言う課題とは、四六が上杉家のお家騒動に許可なくついていったことに対する罰として日々課されるものであった。そして直近では、教如が和睦を反故にして立て籠った件を、どのように決着させるのかについて四六なりの答えを出すという課題が出されていた。
静子所说的任务是每天都要惩罚四六因未经许可而参与上杉家的家庭纷争。最近的任务是出现了教如违背和睦协议而守护在屋内不肯出来的问题,四六需要找出解决方法。
少々難しい課題であり、答えが出せずとも方向性さえ見いだせていれば上々と考えていた静子の思惑に反し、四六は堂々たる態度で首肯してみせた。
尽管这是一个有些困难的任务,即使找不到答案,只要找到方向,静子已经认为这是很好的结果了。然而,与静子的期望不同的是,四六以一种自信的态度表示同意。
「此度の件の結末として、教如の死は避けられないと考えます。とはいえ率先して本願寺を攻撃するのは下策と存じます。かつての勢いを失ったとは言え、それでも本願寺門徒は十万を数えます。そして本願寺内には和睦に肯定的であった穏健派が主流となっており、一部の過激派が蜂起したからと言って一律に虐殺すれば批判は免れませぬ」
"就这起事件的结局而言,我认为无法避免教如的死亡。但我认为率先攻击本愿寺是下策。尽管他们曾经失去了他们的曾经的动力,但本愿寺的门徒仍有10万人。本愿寺内的温和派成为主导,他们肯定了和解,如果仅仅因为极端分子的暴动就普遍屠杀他们,那么我们将不能逃避批评。"
「ふむふむ、まずは良く現状を把握できていますね。しかし、上様は本願寺に対して積極的に関与する様子を見せておられませんよ? 一律に虐殺が起こると判断した根拠はあるのですか?」
"嗯嗯,您首先能很好地了解现状。但是,上様似乎没有积极参与本愿寺的情况?您是否有判断普遍屠杀发生的依据?"
「今の朝廷に本願寺を叩く力は無いと考えます。そして力が無いならば、有るところから借りるのが道理でしょう。即ち上様に朝敵となった本願寺を討つよう、宣旨が下されると思料しました」
“我认为现在的朝廷没有打败本愿寺的力量。如果没有力量,那么从有力量的地方借力是理所当然的。也就是说,我认为会下旨命让上方去讨伐变成敌对势力的本愿寺。”
「なるほど、目の付け所は良いですね。しかし、少し論理の飛躍があるようです。恐らくですが、上様に対して宣旨が下されることはないでしょう」
“说得好,您的洞察力很不错。但是,似乎存在一些逻辑上的跳跃。可能不会向上尊颁布敕令。”
「対立の当事者たる上様を差し置いて官軍が組織されるのでしょうか?」
“不顾事态当事人之上的阁下,官军将组织起来吗?”
「今の問いは減点です。私の意見を受けて、それに対する自分なりの考えを導く前に問いを発していますね? これは意識して習慣付けないと中々身につかないので、常に心掛けるようになさい。折角ですから一緒に少し考えてみましょう、今回の件は朝廷主導による和睦です。これをご破算にされた上に、それに対する始末を付けられず、上様に頼った場合を想定します。この状況で一番面目を潰しているのは誰でしょう?」
“现在的问题是扣分。在提出自己的想法之前,请先考虑我的意见并提出问题。这需要意识到并养成习惯,所以请时刻牢记。为了让你更好地理解,我们可以一起考虑一下。这件事是政府主导下的和平解决。假设这被破坏了,并且无法解决,而只能求助于上级。在这种情况下,谁受到了最大的挫败?”
静子に指摘され、四六は思考を放棄して静子が持っているであろう解答に飛びつこうとしたことに気が付いた。己の浅慮を自戒しながらも、静子が手ほどきをしてくれる機会を逃すまいと必死に思考を巡らせた。
被静子指出后,四六意识到自己放弃了思考,试图匆匆跳到静子可能拥有的答案。虽然警觉到自己的浅薄,但四六还是拼命地思考,不想错过静子提供帮助的机会。
「その場合、朝廷が立場を失います。双方から和睦を付託され間を取り持ったにもかかわらず、そのお膳立てをひっくり返した者を罰することが出来ないのであれば、もはや朝廷には和睦を仲介する資格なしと断じられるでしょう」
“如果这样的话,朝廷将失去立场。即使被委托协调双方和解,但如果无法惩罚颠覆这一安排的人,那么朝廷就不再有资格介入和解了。”
「良くできました。上様は当事者であり、朝廷からすれば迷惑をかけた相手になります。朝廷としては上様に後始末を願うということだけは避けたいはずです」
「做得很好。上大人是当事人,对朝廷来说会成为一位造成麻烦的对手。作为朝廷,希望避免要求上大人做收尾工作这样的事情。」
「しかし、実際に朝廷が持つ武力では本願寺に攻め入ることすら難しいでしょう。精々が門跡を取り消して、朝敵に認定するのが限度では?」
"然而,实际上朝廷所拥有的武力甚至难以攻入本愿寺。最多也只能废除门主身份并将其认定为朝敌吧?"
「良く分析できていますね。しかし、それでは結局朝敵を討つという外部の力を頼ることになり、朝廷の面子が回復されません」
“分析得很透彻。然而,仅依靠外部力量去打败敌人最终并不能恢复朝廷的面子。”
またしても静子の持つ解答に飛びつきそうになった四六だが、すんでのところで言葉を飲み込み思考を巡らせる。彼は頭の中で何か見落としが無いか、一度状況の整理を試みた。
四六本来又想马上追随静子的答案,但最终他咽下了话语,反而打算好好思考一下。他在脑海中审视自己是否有所疏忽,试着整理了一下状况。
今回の織田家と本願寺との和睦は対等な状況での和睦ではない。織田軍と本願寺とのいくさは既に消化試合の様相を呈しており、大勢は決してしまっている。
这次織田家与本願寺的和睦并不是在对等的情况下进行的。織田军和本願寺的战斗已经呈现出消耗战的局面,大局已经决定了。
そこで本願寺を掌握している頼廉が、直接織田家との和睦交渉を避け、少しでも有利な和睦条件を結ぶべく朝廷に和睦の仲介を依頼したという経緯だ。
因此,掌握着本愿寺的依赖廉直接避免与织田家进行和解谈判,并寻求了朝廷的调解,以达成更有利的和解条件。
間に第三者を介することで実質的な無条件降伏から、条件付きの敗北へと軟着陸を試みた結果、織田家としても朝廷の顔を潰すわけにはいかず譲歩をすることになった。
通过第三方介入来试图软着陆从实质上的无条件投降到有条件的失败,结果織田家不得不进行让步,以避免损害朝廷的形象。
最初に織田家の譲歩を引き出したことにより、次は本願寺側に譲歩を迫り、朝廷は見事に少しずつ和睦の条件をまとめつつあった。
最初争取到織田家的让步后,接下来便向本愿寺方面施压以获取让步,朝廷成功地逐渐整合了和平的条件。
本願寺の武装解除も済み、本願寺の首脳である顕如と頼廉の身柄を織田家に引き渡すことと引き換えに本願寺の包囲も解除された。残すは本願寺からの退去のみという段になって行方を眩(くら)ませていた教如が現れた。
本愿寺的武装解除已完成,作为与織田家交换条件,本愿寺的领导者顕如和頼廉已被引渡。随之本愿寺的包围也得以解除。现在只剩下教如还未离开本愿寺,不过他最终出现了。
本願寺の引き渡しに立ち会うべく本願寺内の退去確認をしていた朝廷の代官を拘束し、何処(いずこ)からか持ち込んだ武具や軍事物資と数多(あまた)の僧兵を盾に本願寺を乗っ取ったという状況だ。
据称,他们拘留了朝廷的代官,以见证移交本愿寺的过程,并在确认本愿寺内的撤离后,使用带来的武器和军需品以及众多僧兵的支持,控制了本愿寺。
朝廷から派遣された代官は解放されず、彼の安否は不明のままだ。静子は代官こそが教如を手引きした共犯者であろうと指摘しており、四六も同意見であった。
派遣来的代官仍未获释,他的安危未知。静子指出代官才是教如被引诱的同谋,并得到四六的认同。
(いくら何でも都合が良すぎる。顕如と頼廉の身柄を引き渡す際に、本願寺門徒の退去も始まっていた。それに合わせて上様は佐久間様に本願寺の包囲を解かせている。本願寺からの退去が滞りなく進んでいることを確認するため代官が本願寺内に入った途端に武装蜂起。大量の武具や物資及び多くの僧兵は何処からやってきたのか? 朝廷の代官一行に紛れて入り込んだと見るのが自然だろう)
(无论如何都太方便了。在引渡顕如和頼廉的同时,本愿寺门徒的离开也已经开始了。与此同时,上方解散了佐久间方本愿寺的包围。为了确认本愿寺的离开顺利进行,刚进入本愿寺的代官就遭遇了武装起义。大量的武器、物资和僧兵是从哪里来的?自然会认为它们混入了朝廷代官一行中。)
本願寺に対する武装解除は早い段階になされており、内部には武器らしい武器は置いていない状況だった。頼廉は渋る門徒を説得して回り、本願寺の防衛設備を解体して退去の準備を進めていったのだ。
本愿寺的武装解除在早期就已经完成,内部情况并没有放置类似武器这样的武器。依赖源劝说门徒周围的人并拆除了本愿寺的防御设施,为撤离做好准备。
籠城するのであれば堀や櫓といった防衛施設が残っている方が有利だと言うのに、それらが完了してからの武装蜂起というのだから理屈に合わない。
如果困守城池的话,拥有保留下来的壕沟和瞭望塔等防御设施会更有优势,但等到这些设施建成之后才进行武装起义,这说不过去。
(朝廷としては己が信任して派遣した代官が反乱を手引きしたなどという事実は認められない。何としてでも自分たちの手による解決を図らねばならないのだが、無い袖は振れない。母上の言から読み解けば、朝廷内の戦力を用いることになるが……)
(身为朝廷,不能承认派往各地的代官指引叛乱的事实。无论如何,必须尽力解决问题。但现在我们手头无力。如果从母亲的话中推测,就必须动用朝廷内的武力……)
いくら考えても四六には見当がつかなかった。朝廷にも警備を担う兵力は存在するが、それら全てを派兵しては京の警備がままならない。更に、そもそもが防衛の為の兵力であり、外部へ侵攻するための訓練など積んでいないのだ。
再怎么想都无法预测出局势。朝廷也有负责警卫的兵力,但若派遣所有部队,京都的警卫就可能无法维持。此外,这些部队本来就是为了防御而存在,没有接受进攻训练的。
加えて朝廷の懐具合は極めて厳しい。主要な収入源であった荘園はかつての一割にも満たず、いくさは疎(おろ)か生活を維持するので精一杯と聞いている。
此外,朝廷的财政情况非常严峻。曾经是主要收入来源的庄园,现在不到十分之一,听说战争已经让生活艰难,勉强维持生计已经是精尽人亡了。
「判りませぬ。私なりに考えてみましたが、朝廷の持つ兵力は大名に遠く及びませぬ。そんな彼らが用いる事の出来る戦力などあるのでしょうか?」
“不清楚。我自己思考了一下,但是朝廷掌握的军力无法与大名相比。他们有什么可以使用的战斗力吗?”
「灯台下暗し、ですね。あまりにも近すぎて見落としていますよ? 公家の中にも織田家の重鎮に匹敵する軍事力を擁する人物が居られませんか?」
“灯台下暗,您也看不清太近的东西了吗?难道在宫廷里面没有像織田家的重臣一样拥有强大军事力量的人吗?”
「ま……まさか!?」
"这...这不可能!?"
ここまで言われて四六は思い至った。巨万の富を持ち、織田軍有数の精兵を抱え、絶大な政治的影響力を持つ公家の人間(・・・・・)が確かに一人いる。
听到这里,四六想到了一个人。他拥有巨额财富,拥有织田军中最精锐的兵力,还拥有巨大的政治影响力,他是一位公家人。
「も、もしや母上ですか? 確かに母上は摂関家である近衛家の人間ですが……」
"难不成是母亲大人吗?确实母亲大人是摄关家的近卫家的人……"
「ご名答!」
"好回答!" (Hǎo huídá!)
静子はポンと手を打って花がほころぶように微笑んで見せた。
静子轻轻拍了一下手,像鲜花绽放一样微笑着。
「上様に仕えている身ですから、厳密に言えば公家とは言えません。それでも朝廷から見れば、官位も役職も与えた公家の一員であると言えるでしょう。ゆえに彼らが取るべき手段はただ一つ、どうにかして私を公家側に巻き込むことですね」
“由于我是为上様服务的人,严格说来并不能算作公家。但是,从朝廷的角度来看,我可以被视为受到官位和职位授予的公家之一。因此,他们应该采取的方法只有一个,那就是想方设法将我卷入公家一方。”
「流石に無理筋というものでは無いでしょうか? 母上は現在、上様の手がける各方面軍を後方から支援する兵站の統括者です。その母上を駆り出すという事が何を意味するか判らぬ朝廷ではないでしょう」
「这不是非常勉强的吗?母亲现在是负责从后方支援上大人管辖的各个方面军队的后勤总管。让她出征,朝廷不应该不明白这意味着什么吧。」
静子は現在、信長が手掛ける東西の征伐作戦に関する後方支援を一手に担っている。直接的な戦闘には関与していないとは言え、作戦や計画を立案するなど軍師的な役割をも担っていた。
静子目前负责信长所领导的东西方征讨行动的后勤支持,虽然并未直接参与战斗,但担任着谋略家的角色,制定作战和计划等。
表向きには信長がすべて差配しているように見せているが、実際には静子が信長の名代として各方面に調整を図っている場面が多い。電信が実用化されて以来、この流れは加速している。
表面上看起来信长在处理所有事宜,但事实上静子作为信长的代理人正在多个方面进行协调。自从电报实用化以来,这种趋势变得更加明显。
早馬などの従来の手段も間者対策のため併用しているが、実際には電信を介して信長と静子は常に意見を交わしながら兵站を運用しているのだ。
早马等传统手段也被同时使用来对付间谍,但事实上,信长和静子总是通过电报交换意见并运用后勤。
今まで織田領内を行き来していた早馬が突如として姿を消せば、それに取って変わる何らかがあると喧伝しているに等しい。こうして無駄とは知りつつも、従来の通信手段を維持していることで敵陣営の諜報をかく乱することに成功している。
如果一直来往于織田领内的早马突然消失了,那么传言就会称有什么东西会代替它。因此,尽管知道这是徒劳的,但保持传统的通信手段成功地干扰了敌方的间谍活动。
「西方の戦況は落ち着いていますし、東方征伐に関しては当分動きがないでしょう。しっかりと準備をすれば、一週間程度の時間は捻出できるかな?」
“西方的战况已经平静下来了,关于东方征伐,暂时不会有动作。如果做好充分的准备,一周左右的时间应该可以腾出来吧?”
「母上は一週間で難攻不落と名高い本願寺を落とせるのですか?」
"您的母亲能在一周内攻下名为难攻不落的本愿寺吗?"
「はてさて、勝負は水ものですからね。いずれにせよ朝廷から私に対して接触があるでしょう。義父上としても朝廷からの正式な依頼であれば、私との橋渡しを拒絶することは難しいでしょうから」
“说到底,胜负取决于水的元素。 无论如何,朝廷很快就会与我接触。 如果这是来自皇室的正式请求,作为我的岳父,拒绝与我沟通将是困难的。”
静子の言葉を聞いた四六は悟った。静子は一週間で教如の問題を解決できる算段が既についているのだと。よしんば決着が付かずとも、決着に至る道筋は確実に通せる見通しが立っているのだろう。
静子的话让四六恍然大悟,静子已经想好了在一周内解决教如的问题。即使不能达成最终的解决,也已经有了确实可行的解决方案。
彼女が常々口にしている「いくさは始まる前に決着をつけておかなければならない」と言う言葉の意味を四六は噛みしめた。
她不停地说着,“战争必须在开始前就做出决定。”四六仔细考虑了这句话的意思。
そうした準備に裏打ちされた静子の余裕ある態度が、配下の者にとっていくさを目前に控えているというのに焦燥に駆られることなく、穏やかな湖面の如く安定した日々を支えているということに思い至った。
思考到这点,表现出得到了充分准备的静子从容的态度,即使她的手下面临着即将到来的战斗,也能安稳地支撑着像平静的湖面上一样稳定的生活方式。
(自分は未だ母上の足元にも至っていない。己の一生を賭したとして、その背に追いつけるかすら判らない。しかし、それでも偉大なる母の背を追わずにはいられない)
(我仍未站在母亲的脚下。即使我把一生都拿去赌,也不知道自己是否能追上她的背影。但是,我无法不追寻伟大母亲的足迹。)
「となれば、上様としては面白くないでしょうね」
“如果那样的话,作为上位者一定觉得不够有趣吧。”
「そうですね。自分で言うのも何ですが、私は織田家の中枢に近い位置にいます。一時とは言え、その力を貸すのですから上様には何らかの利が齎されねばなりません。恐らくは朝廷と何らかの取引をすることになるでしょうし、そうなれば義父上も矢面に立たざるを得ないでしょう」
“是的。虽然自己说这话有些自夸,但我在织田家的中枢位置非常接近。虽然只是一段时间,但既然借出了我的力量,上方必须带来一些好处。很可能会跟朝廷进行某种交易,这样的话,我的岳父也无法逃避责任。”
「実際に労を取る母上に何ら利が無いように思えますが……」
“实际上,似乎没有任何好处让辛苦工作的母亲得到什么……”
思わず口をついてしまった四六の言葉に、静子は苦笑を返す。
在四六的话中不经意地说出口后,静子苦笑着回应。
「確かに一連の騒動に関して骨を折っても私には利がありません。しかし、騒動が片付いた後はどうでしょう?」
"毫无疑问,我在一连串的事件中苦心经营,但我从中得不到任何好处。但是,问题解决后,会是怎样的情况呢?"
「なるほど! 本願寺を解散させた後、大坂(現在の大阪)の地を再興させるには母上のお力が必要となります。配下の労に報いねば、今後朝廷に力を貸そうと言う者は現れなくなりまする。しかし、朝廷としては母上に支払うべき対価が無い。となれば和睦を取り持ったことに対する報酬より払うほかなく、つまりは大坂開発の各種利権を与えられるといったところでしょうか?」
“原来如此!解散本愿寺之后,要重新建立在大阪(现在的大阪)的地区,需要母亲的力量。如果不能回报下属的劳动,今后就不会有人愿意向朝廷提供援助。然而,作为朝廷却没有应该支付给母亲的价值。那就只能从和睦所赋予的报酬中支付了,也就是说,只能将大阪开发的各种利益授予她了吧?”
「恐らく大坂の地は、天領(天皇の直轄地)になるでしょうね」
「恐怕大阪地区将成为天皇的直辖地。」
「天領としたのち、実際の管理は近衛様に委託されるのでしょう。しかし、近衛家は母上以外の軍を持たないゆえ、織田家に軍の駐留を依頼する。朝廷や近衛様は大坂の地より上がる税を得られ、本願寺門徒は武力を持たないことを条件に信仰と居住を許される。上様は軍を駐留させることで実質的に大坂を支配下に置き、各種開発の利権に伴う収益が母上を経由して入ってくる」
“在接收天命后,实际的管理工作将被委托给近卫家。但由于近卫家除了母亲以外并没有拥有自己的军队,所以他们请求织田家派遣军队驻扎。朝廷和近卫家从大阪地区获得税收,而本愿寺门徒则获准信仰和居住,前提条件是他们不能持有武力。通过驻扎军队,上级实际控制了大阪,并通过母亲获得了各种开发利润的收入。”
「その辺りが落としどころでしょうね。その上で将来に向けていくつか布石を打ちましょう。あの一帯に再び城砦を造られては面倒なので、それらを許さぬように大規模な土木工事を行います。そしてその土木工事の人夫として本願寺の門徒を雇いましょう」
“这里可能是个好的下手点。在此基础上,让我们为未来做一些铺垫吧。不想让那片区域再次建造城堡,因此我们将进行大规模土木工程来阻止它们。同时,我们将雇用本愿寺门徒作为土木工程的工人。”
「着の身着のまま放り出された門徒であっても、日銭を得ることができ生活基盤を整えることができますね。さすれば織田家に対する不満もいくらか和らぐでしょう」
即使是被抛弃的门徒,只要能赚到钱,就能够建立起生活基础。这样一来,对于织田家的不满也会减少一些。
「教如の武装蜂起のせいで、彼らは住む場所を追われ、持ち出せない家財を失うことになるのですからね。しかし、堀はともかく上物を解体するのも一手間ですね。それに物が残っていれば未練が湧くのも人の常。いっそのこと、教如のせいにして焼失させてしまえば禍根が生じないかな?」
"由于教如的武装起义,他们将被迫离开居住的地方,并失去无法搬运的家具。然而,拆除建筑也需要一些操作。如果有残留物,人们也会有所留恋。不如归咎于教如,然后将其烧毁,这样就不会留下后患了吧?"
四六は突如として空恐ろしいことを口にし始めた静子に恐怖を感じた。己の財産を奪われたとなれば恨みも残るが、全てが焼失してしまっては諦める他ない。
四六突然开始说起了可怕的话语,静子感到非常害怕。如果自己的财产被夺走了,自己会留下怨恨;但如果一切都被烧毁了,那就只能放弃了。
罪をなすりつけられる教如を除外すれば八方丸く収まる妙案と言えるだろう。
如果排除掉被指控罪名的教如,这可以称为一个八方都适用的妙计。
いたずらを思いついた子供のように目を輝かせる静子の様子に、四六は偉大なる母の意外な一面を見ることになる。
四六看到静子眼中闪耀着淘气孩子一样的光芒,意识到她伟大的母亲有着意想不到的一面。
「天然あすふぁると、ですか?」
"是天然的明日花吗?"
「そうそう。外洋へ繰り出す際に必要となる技術の副産物としても得られるんだけれど、色々と便利に使えそうだから伝手を使って取り寄せたんだ。余らせておくのも勿体ないし、物資運搬用の線路を敷設するには量が足りないから処分に困ってたんだよね。これが渡りに船って奴かな?」
“对了对了。在外洋出航时必要的技术副产品,因为看起来很有用,所以我使用关系寻求了它,并将它运来了。因为剩下的也很浪费,而且数量不足以铺设物资运输线路,所以我一直为处理它而烦恼。 这真是只有到了最后关头才有的机缘呢。”
急に早口になった静子がまくしたてる単語の多くを四六は理解することができなかったが、静子の楽しげな様子を邪魔するまいとメモを取りつつ相槌を打つのであった。
忽然讲话变得很快的静子说了很多我听不懂的话,但是为了不打扰静子开心的样子,我边记笔记边点头。
静子から言い渡された慶次の断酒期間である半月が過ぎた頃、時を同じくして四六の罰も解除され、二人は以前と変わらぬ日常へと戻っていた。
在静子命令慶次戒酒的半个月期限结束时,同时四六的惩罚也解除了,两人回到了以前一样的日常生活。
五月が終わり、六月の上旬。当事者である静子の知らない密室にて、朝廷と前久、信長の三者に拠る約定が交わされる。それは静子が四六とともに予想していた通りのものであった。
五月结束,六月初。在静子不知情的密室里,朝廷、前久和信长三方达成了协议。正如静子和四六所预测的那样。
朝廷は関白である前久を官軍の総大将とし、近衛家の息女である静子の軍を主として官軍を編成した。朝廷は表立って信長に協力を要請しなかったが、実質的に信長の軍を借り受けることとなるため、信長に対して迷惑料と称する恩賞を約束した。
朝廷以前久为关白,任命他为官军总大将,以近卫家的女儿静子的军队为主编组了官军。朝廷没有公开要求信长的帮助,但实际上他们需要借用信长的军队,因此承诺给信长称为迷惑费的奖励。
また静子が信長の各方面軍を支える兵站の総括者であるため、彼女と彼女の軍を借り受ける期間は一週間を限度とすることを正式に書面を交わしている。
同时,静子也是信长各方面军的后勤总负责人,因此我们已正式签署文件,规定借用她和她的军队的时间限制为一周。
いくさに関しては素人である朝廷は、一週間では心許ないと延長を申し入れたが、信長に「静子直属の軍を動員して一週間も掛かるようなら、そもそも本願寺は落ちぬ」と返されたため引き下がった。
朝廷在战争方面是外行,他们请求延长一周,但信长回答说:“如果静子直辖的军队需要一周时间才能行动,那本願寺本来就不会落。”于是朝廷放弃了要求。
「ようやく方針が決まりましたか。そろそろ私に声がかかるでしょうし、今のうちに伊達(だて)家の方を片付けておきますか」
“终于确定了方针吗?大概很快就会找到我,现在先把伊达家的事情处理掉吧。”
信長から臨時の電信があり、今後の予定を知った静子は保留となっていた伊達家の使者と面会することにした。
信长发来了一封临时电报,静子得知了未定的约会伊达家使节的计划。
伊達家よりの使者は随分前に尾張へと到着していたのだが、本願寺の件が緊急であったため逗留を促し、面会を先延ばしにしていた。なお最上(もがみ)家の使者は夜を徹して先を急いだがため、甲斐にある森家の領地内で街道から逸れた山道で迷っているところを保護された。
伊达家派来的使者早就到达尾张了,但由于本愿寺的事情紧急,所以被迫逗留,会面被推迟了。另外,最上家的使者在赶路时连夜赶路,结果在甲斐的森家领地内偏离了街道而迷路,但得到了保护。
甲斐は未だ混乱期にあり、街道を逸れて山道を隠れ進む者は間者の可能性を捨てきれない。ゆえに密書を携えた使者であろうとも拘束され、その身元を国許に照会できるまで留め置かれることになっている。
甲斐仍处于混乱期,那些走山路而不走公路而且隐藏自己的人不可能排除他们是间谍的可能性。因此,即使是携带密信的信使也会被扣留,并且要一直被拘留,直到可以向国家查询其身份。
蘆名(あしな)家の使者は北条家の間者によって捕らえられ、密書の存在が明るみとなった。現時点では表立った動きは見られないものの、北条が蘆名に対して疑惑を持ったのは確実だろう。
莲名家的使者被北条家的间谍所捕获,密信的存在也被揭露。虽然目前还没有明显的动作,但北条对莲名家持有怀疑是确定的。
(北条の間者に情報を流したのは真田さんだろうから、ここまでは予定調和かな)
(因为是真田流传了情报给北条的间谍,所以到这里都是按照预定计划进行的吧)
定時連絡を利用する真田昌幸と、随時に電信を利用できる信長との情報伝達に時差が出た形だが、自分の推測は当たっているだろうと静子は考えていた。
真田昌幸使用定时联系,而信长可以随时利用电报进行信息传递,导致信息传递存在时差。不过静子认为自己的推测是正确的。
密書を託された使者であれば、相当に用心して移動しているため、そう簡単に捕まるようなへまは犯さない。
如果是负责接收密信的使者,他会非常小心地移动,不会轻易犯下被抓住的错误。
それにも拘わらず間者に捕縛され、またその情報を信長が知っているという状況は、静子の予想以外では考えにくい。
然而,被间谍抓获,并且信长知道这个情报的情况,除了静子的预期之外,很难想象其他情况。
(流石は真田さん、狸の面目躍如といったところかしら。蘆名を捨て石にして、同盟に不和を生み出した手腕は流石なんだけれど、表立って褒められないから、後でこっそり褒美を渡すとしましょうか)
真田先生果然厉害,真是狸的尊严得到了彰显。虽然利用蘆名让同盟产生了矛盾,但这种手腕真的很厉害。虽然不敢公开表扬,但之后可能会暗中给予奖励。
あれこれと考えを巡らせていると、あっという間に伊達家の使者との面会時間となった。果たして静子の前に現れた伊達家の使者は、予想通り遠藤(えんどう)基信(もとのぶ)その人であった。
经过思考,转眼间就到了与伊达家使者会面的时间。果然出现在静子面前的是如预期的伊达家使者,竟然是遠藤基信本人。
「この度は尾張三位(さんみ)様(静子のこと)にお目通りが叶い、心よりお礼申し上げまする」
"此次得以见到尾张三位大人(静子),在此表示真心的感谢。"
基信は静子を前にて深々と頭を下げ、恭しい態度で拝謁の礼を述べた。尾張三位とは静子が朝廷より賜った官位を基にした敬称である。
基信向静子深深地鞠了一躬,以恭敬的态度表示敬礼。“尾张三位”是基于静子从朝廷获得的官阶而来的敬称。
他には役職である尾張納言(なごん)という呼び名もあり、広く一般に知られている静子という呼び名は、仮名(けみょう)と思われていた。
他还担任过尾张纳言这一职位,而被广泛知晓的静子这一称呼则被认为是假名。
「堅苦しい挨拶は抜きにしましょう。遠藤殿がここ尾張に参られたということは、伊達家は北条の同盟を脱し、織田家に与(くみ)すると考えてよろしいですね?」
"让我们不要在这里进行繁琐的问候了。因为遠藤殿来到尾张,所以我们可以考虑伊达家已经脱离北条的同盟,而加入了织田家。"
「はっ! 我が殿より親書をお預かりしておりますれば、どうかお検め頂きたい」
“啊!若是您接到了我领主的亲笔信件,请务必查看一下。”
静子は遠藤が小姓を通じて渡してきた親書を検め、内容に目を通していった。挨拶や前置きを抜きにすれば、伊達家の置かれている状況と、伊達家は織田家に臣従する旨が書かれていた。
静子查看了遠藤透過小姓交遞的家信,細讀了其中內容。除去問候和前言,信中提及了伊達家所處的狀況,以及伊達家已經向織田家臣從的事實。
「判りました。伊達様のご意向は私より上様にお伝えいたします。取り急ぎ佐久間様を援軍として派遣する許しを得ておりますので、段取りをつけます」
“我明白了。关于伊达大人的意愿,我会向上级传达。目前已经得到了允许,派遣佐久间大人为援军,我会安排好。”
静子の言葉に基信の表情が硬直する。しかし、すぐに表情を読まれないよう平伏すると礼を述べた。
静子的话让基信的表情变得僵硬。但是,他很快就放松下来,避免被人注意到,然后向静子鞠躬道谢。
現在伊達家が置かれている状況は中々に難しく、最盛期である伊達稙宗(たねむね)が治めていた11の郡を支配下に置けていない。今は相馬(そうま)家当主である相馬盛胤(もりたね)とその息子義胤(よしたね)を相手取り、一進一退の攻防を繰り広げている。
现在伊达家所处的情况相当困难,其最盛期由伊达稙宗统治的11个郡尚未全部掌控。现时他们正在与相馬家家主相馬盛胤及其儿子義胤展开攻防战。
北条の同盟に加入したのも、これらを一時停戦に持ち込む為であった。勢いに乗っている相馬家といえども、関東の覇者である北条と縁を結んだ伊達家に噛みつけるほど向こう見ずではなく、さりとて野心を諦めることもできず拮抗状態となっている。
加入北条同盟的目的是为了将这些问题带入暂时停火。虽然相马家势头强劲,但也不会如此轻率地挑战与关东霸主北条结盟的伊达家。两者已陷入僵局,不愿意放弃野心。
しかし戦国最強と謳われた武田家が僅か一か月で攻め滅ぼされ、それに対して同盟たる北条が手を拱(こまね)いていたため、東北の情勢は再びきな臭くなった。
然而,被誉为战国最强大家族的武田家在短短一个月的时间内被攻灭,而北条作为同盟方却无动于衷,导致东北地区的局势再次恶化。
伊達家としては相馬親子がいつ停戦を破棄して攻め込んでくるか、気が気ではない状況に陥っている。
作为伊达家族,他们现在处于一种极不安的状态,因为不知道相马父子们会在何时停止停战并挑起攻击。
ゆえにこそ何としても織田家からの援軍が必要であった。伊達家の背後には織田家がついたと周囲に知らしめる必要があるのだ。虎の威を借りる狐と言われようとも、弱者が弱肉強食の乱世を生き抜くためには仕方ない。
因此从织田家需要必要的援军。必须让周围知道織田家在伊达家背后支持他们。即使被称为借虎的威势的狐狸,但为了让弱者在这个弱肉强食的世界中生存,这是无可奈何的。
「最上家は再び伊達家の家臣として併呑し、蘆名家については如何様にでもお好きになされれば良いと上様は仰せです」
“最上家将再次并入伊达家的家臣,并且针对蒲生家,您可以随意根据您的喜好行事,这是上阁下的话。”
「そ、そこまでお許し頂けるのですか!?」
"你,你能允许到那种程度吗?!"
「構いません。私は上様の名代として話しております。私の言葉は上様のお言葉、ご心配とあらば上様より約定書を賜る手筈となっております」
“不介意。我代表上方讲话。如果您担心的话,我的话语是上方的话语,如果有必要,我将从上方那里获得一份协议书。”
「不躾(ぶしつけ)とは存じますが、織田様よりの約定書を賜りたくお願い申し上げまする」
“虽然我知道这样做很无礼,但还是恳请您接受織田先生给我们的协议书。”
必要かと問われれば、勿論書面があれば形として残る為確実である。しかし基信としては書面よりも、静子がどの程度信長に影響力を持っているかを知りたかった。
如果被问到是否必要,当然有书面记录更为确实,因为可以作为形式留存。但作为基本信念,比起书面记录,我更想知道静子对信长有多大的影响力。
信長と面会したくば、静子を通して願うのが一番早いと言わしめるほどに信任が厚いと言うのが静子の評判である。それが本当かどうかを推し量る試金石となると基信は考えた。
如果想见信长的话,靠通过静子请求会是最快捷的途径,因为静子的信任度非常高。基信认为这是衡量其可信度的试金石。
「遠藤殿はこう仰っておいでですよ、上様?」
"遠藤先生这样说过吗,上大人?"
静子の言葉と同時、襖が勢いよく開けられた。唐突な快音にビクリとした基信だが、襖を開けた人物が誰かを理解して彼の思考は漂白された。
在静子说话的同时,障子被猛地推开。基信被突如其来的声音吓了一跳,但开门的人是谁,一下子明白了过来,他的思维变得空白了。
「書面が必要というより、貴様の力がどれ程のものかを試されておるのよ」
“不是需要书面文件,而是要测试你的实力如何。”
襖の向こうには、悪戯が成功したことでご満悦の信長がいた。
在门后面,满心得意自以为成功捉弄了别人的信长。