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二月の桜

2021-04-16 07:49 作者:ki9503  | 我要投稿

むかしむかし、桜谷というところに、おじいさんが孫の若者と一緒に住んでいました。

 この桜谷には、むかしから大きな桜の木があります。

 おじいさんは子どもの頃から桜の木と友だちで、春が来て満開の花を咲かせると、おじいさんは畑仕事もしないで桜をうっとりとながめていました。

 そして花びらが散ると、おじいさんはその花びらを一枚一枚集めて木の下に埋めました。

「桜や。今年も楽しませてくれて、ありがとうよ」


 さて、そのおじいさんもやがて年を取り、とうとう動けなくなりました。

 二月のある寒い日、おじいさんは北風の音を聞きながら、ぽつんと若者に言いました。

「わしは今まで生きてきて、本当に幸せじゃった。だが、死ぬ前にもう一度、あの桜の花を見たいものじゃ」

「そんな事を言ったって、今は二月だ。いくら何でも・・・」

 若者はそう言いかけて、口をつぐみました。

 おじいさんが目をつむり、涙をこぼしているのです。

 きっと、桜の花の姿を思い浮かべているのでしょう。

「おじいさん、待っていろよ」

 若者はじっとしていられずに、外へ飛び出しました。

 そして冷い北風の中を走って、桜の木の下に行きました。

 今日は特別に寒い日で、桜の木も凍える様に細い枝先を震わせています。

 若者は桜に手を合わせると、頼みました。

「桜の木よ。どうか、お願いです。花を咲かせて下さい。おじいさんが死にそうなんです。おじいさんが生きている間に、もう一度花を見せてやりたいんです」

 若者は何度も何度も祈り続けて、夜が来ても木の下を動こうとはしませんでした。


 やがて夜が明けて、朝が来ました。

 桜の木の下で祈り続けていた若者は、あまりの寒さで気を失っていましたが、急に暖かさを感じて目を覚ましました。

「どうして、こんなに暖かいんだ? それに、甘い花の香りがするぞ」

 若者はゆっくりと顔をあげて、桜の木を見あげました。

「あっ!」

 何と不思議な事に、桜の木には枝いっぱいに花が咲いていたのです。

 二月のこんなに寒い日に、しかもたった一晩で咲いたのです。

「ありがとうございます!」

 若者は桜の木に礼を言うと、おじいさんの待つ家へ走って帰りました。


「おじいさん! おじいさん! 私がおんぶするから、一緒に来て下さい」

「何じゃ? どうしたんじゃ?」

「いいから、出かけますよ」

 若者はおじいさんを背負うと、桜谷へと向かいました。

 やがて、桜の木がだんだん近づいて来ると、

「おおっ・・・」

 おじいさんは驚いて言葉も出せずに、ただ涙をぽろぽろとこぼしました。

「よかったですね。おじいさん」

 桜の花は朝日を浴びて、キラキラと光り輝いています。

「これほど見事な桜の花を、わしは今まで見た事がない。わしは、本当に幸せ者じゃ」

 そうつぶやくおじいさんに、若者も涙をこぼしながら頷きました。


 それから間もなく、おじいさんは亡くなりましたが、それからも桜谷のこの桜の木は、毎年二月十六日になると見事な花を咲かせたそうです。


おしまい


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