【日本小5道德】17#“折纸大使”~加瀬三郎
「折り紙大使」~加瀬三郎(“折纸大使”~加瀬三郎)
作者:田島 栄次(たじま えいじ)
折り紙は、日本で生まれた紙の芸術です。
(折纸是在日本诞生的纸艺术。)
加瀬三郎さんは、世界中の子供達の笑顔を願いながら、折り紙の楽しさを伝える旅を続けてきた折り紙名人です。
(加濑三郎是折纸名人,他祈祷着全世界孩子们的笑脸,并不断旅行传递折纸的乐趣。)
「えっ!目が不自由なのに、どうして紙が折れるの?」
(“诶!他明明看不见,为什么能折纸?”)
加瀬さんの目のことを知ると、最初は誰もが驚きます。そして、一体どんな人なんだろうと興味を持ち、加瀬さんから折り紙を習ってみたいと思うようになるのです。
(得知加濑的眼睛的事的话,最初任谁都会惊讶。并且,会对他产生兴趣,想知道他究竟是怎样的人,想试着从他那里学习折纸。)
折り紙は、日本ばかりではなく、アメリカやヨーロッパ、中南米の国々でも人気があり、日本語の「折り紙」がそのまま外国にも通用する言葉となり、「ORIGAMI」として広まっているくらいです。
(不只是在日本,折纸在欧美、中南美各国都很有人气,日语中的“折纸”直接成为了外国也通用的词汇,甚至以“ORIGAMI”一词传播开了。)
しかし、まだ折り紙を知らない国も沢山あって、加瀬さんはそんな国へ行って教えることを、自分の役目の一つとして考えていました。
(然而,也有很多国家还不知道折纸,加濑认为去那些国家,告诉他们折纸也是自己的职责之一。)
訪問した国は、四十九か国。それぞれの国で出会った子供達は、およそ五万人にもなります。その中には、幸せに暮らす子供もいます。しかし、事故や病気、自然災害で傷ついたり、家庭が貧しくて保護されたりした子供達も沢山いました。戦争が起きていて、危険な国もありました。加瀬さんは、「現地で待っている子供が一人でもいれば、行かないわけにはいかない。」と言う思いで、各国を訪問してきました。
(他访问了49个国家。在各国邂逅的孩子们约5万人。其中,也有幸福生活的孩子。然而,也有很多孩子因事故和生病、自然灾害而受伤,或是家庭贫寒被保护。也有战争中的危险国家。加濑因“当地只要有一个孩子等我,我就不得不去。”的想法,访问了各国。)
加瀬さんの教える折り紙の中で一番人気の作品は、なんといっても「ハローフォックス」です。僅か六回折るだけで、可愛らしく座る狐が完成します。これまで、世界中の子供達を夢中にさせてきた、魔法のような折り紙作品なのです。
(在加濑教的折纸中,最有人气的作品是“你好狐狸”。仅需折六下,就能折出可爱的坐着的狐狸。这是让全世界的孩子们沉迷其中的魔法般的折纸作品。)
二〇〇三年(平成十五年)、加瀬さんは、中東のイスラエルへ向かいました。
(2003年(平成15年),加濑前往了中东的以色列。)
イスラエルでは、ユダヤ人とパレスチナ人、二つの民族が、ずっと領土問題などの争いをしていて、いつ戦争が広がってもおかしくない状態が続いていました。
(以色列的犹太人和巴勒斯坦人,这两个民族一直因为领土问题等起纷争,持续着战争何时扩大都不奇怪的状态。)
海に面した子供博物館の地下室には、ユダヤ人とパレスチナ人の子供達と親達が集まっていました。しかし、これから一緒に折り紙をするというのに、会場は、緊張した空気に包まれています。お互いを敵と考える二つの民族の子供達が、一緒に何かをする何て、考えられないことだったからです。
(犹太人和巴勒斯坦人的孩子们及其父母聚集在临海的儿童博物馆的地下室中。然而,明明接下来要一起折纸了,会场却被紧张的气氛所包围着。因为他们无法想象互相敌视的两个民族的孩子们一起做什么。)
加瀬さんは、早速子供達と折り紙を作り始めました。ハローフォックスから、ペンギン、クジャクと続けて折っていくと、「ほら見て!上手く出来たでしょう。隣の子が手伝ってくれたんだ!」
(加濑马上和孩子们一起开始折纸了。从你好狐狸,到企鹅、孔雀等不停地折下去的时候,“看!折得不错吧。旁边的孩子帮我了!”)
「私のも見て!知らない子が直してくれたのよ!」
(“也看看我的!不认识的孩子帮我重折了!”)
「なあんだ、皆いい子達なんだ!」
(“什么啊,原来大家都是好孩子啊!”)
それまで口を利くことのなかった、ユダヤ人とパレスチナ人の子供達が、一人でも折り方が分からなくなると、皆で助け合うようになっていました。そして、緊張感に包まれていた会場の雰囲気はいつの間にか明るくなり、気が付くと、子供達ばかりでなく、見守っていた親達までもが、一緒になって折り始めていたのです。
(直到现在都不说话的犹太人和巴勒斯坦人的孩子们,只要有一人不知道折法,大家都会互相帮助。并且,被紧张感包围的会场的氛围不知从何时起变得明快起来,等察觉到的时候,不只是孩子们,就连守护着他们的家长们也开始一起折纸了。)
「折り紙をやってきて、本当に良かったなあ。」
(“来折纸真的是太好了。”)
加瀬さんは、折り紙の持つ可能性をしみじみと実感しました。そして、世界の子供達が、折り紙を通じて、もっと仲良くなってくれることを、願わずにはいられませんでした。
(加濑深切感受到了折纸所带来的可能性。并且,不禁祈祷全世界的孩子们通过折纸,变得更要好。)
加瀬さんは、毎年のように世界のあちこちへと出かけて行きました。二万枚を超える大量の折り紙と衣類、合わせて毎回三十キログラムにもなるリュックを背負った長く厳しい旅です。時には、疲れと、あまりのリュックの重さでひっくり返ったり、路上で動けなくなったりすることもありました。それでも歯を食いしばって、前へ前へと進もうとする加瀬さんは、心配する皆にいつもこう言うのでした。
(加濑几乎每年都要出发去世界各地。他背着超过两万张的大量的折纸和衣物,背包每次都重达三十公斤,旅途漫长而又艰辛。有时,他因为疲惫和过重的背包而摔倒,或是在路上无法动弹。即便如此,他也咬紧牙关,不断往前进,这样的他总是对关心自己的大家如此说道。)
「なあに、少し休めば大丈夫。命ある限り、折り紙の旅を続けていきたいんですよ。」
(“没事,稍微休息一下就没问题。只要我还活着,就想要继续折纸之旅。”)
加瀬さんの折り紙は、国境や民族、宗教、言葉の違いという壁を超え、皆に歓迎されました。いつの間にか加瀬さんは、世界中の人々から「折り紙大使」と呼ばれるようにさえなっていたのです。
(加濑的折纸跨越了国界、民族、宗教以及语言不同之墙,广受大家欢迎。不知从何时起,加濑甚至被全世界的人们称呼为“折纸大使”。)
そんなある日、加瀬さんは目の不自由な人のための会議に出席しようと出かけたビルの階段で転倒し、大怪我をしてしまいます。入院が長引き、気力も体力も落ち込んでしまった加瀬さんのもとには、世界中の子供や大人から、山のような心温まるメッセージが続々届きました。皆加瀬さんのことが大好きでたまらなかったのです。
(某日,加濑为出席盲人的会议,在大楼的楼梯上跌倒,受了重伤。入院时间延长,加濑的精神与体力都陷入了低迷状态,全世界的孩子和大人不断给他传递来了暖心的信息。大家都非常喜欢加濑。)
「加瀬さんの魔法のような折り紙は、世界の様々な問題を抱える子供達を救ってくれる芸術でした。早く元気になってください。」
(“加濑如同魔法般的折纸是拯救了世界上抱有各种问题的孩子们的艺术。请尽快恢复健康。”)
イランの児童館からのメッセージを読むと、加瀬さんは涙をこらえながら、「また、皆に会いたいですねえ……。」とだけ言って、布団をぎゅっと握り締め、病室の窓の方に顔を向けたのでした。
(加濑读着来自伊朗儿童馆的信息,忍耐着泪水,只是说道:“还想再见见大家……”然后他紧紧握住被子,看向了病房的窗户。)
それから数週間後、加瀬さんは、八十一年の生涯を静かに閉じました。
(数周后,加濑静静地结束了他81年的生涯。)
加瀬さんが出会った子供の中には、今では学校の先生や福祉施設の職員となって、折り紙を教えている人がいます。そして、世界のあちこちで活躍しています。折り紙を通じて生まれた友情の蕾が、それぞれの国ですくすくと育ち、素敵な花を咲かせているのです。
(在加濑邂逅的孩子中,如今有人成为了学校的老师,有人成为了福祉设施的职员,他们教人折纸。并且在世界各地活跃着。通过折纸所萌发的友情的花蕾,在各国茁壮成长,开出了美丽的花。)


