ドント・ムーブ 〜動いたら即やり直し MRI編〜 【前十字靭帯損傷体験記#7】
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更衣室で荷物をロッカーに入れている時に壁に貼っている張り紙が目に入った
「金属類、持ち込み厳禁」
そこで私はふとある事故を思い出した。
それは
MRI中に磁力によって引き寄せられた酸素ボンベに挟まれて起きた死亡事故
である。
私の心のドキドキは一瞬で違う意味のドキドキに変わった。
ヘアピンはつけて、、?
ない!
イヤリングはつけて、、?
ない!
腕時計もつけて、、?
ない!
入念に確認したのち、
歯の矯正のプラスチックのリテーナーも大丈夫なのかまで検査のお兄さんに確認した
一応、ね、!!
無事、矯正のリテーナーも大丈夫とのことで私は堂々とMRI室に入室した。
MRI室に入るとテレビで観たことがある大きな機会が部屋の真ん中にどでん!!とあった。
寝返りしたら有無を言わさず落ちちゃうくらいの少し細くて硬いベット?の上に寝そべる。
その後、マジックテープで手や脚とかを固定される。
怪我をした左脚のみ台のようなものに乗せて入念に固定された。
「動かないでくださいね!何かあったらこのスイッチを押してください!」
そう言い残して、お兄さんは私に防音用のどてかいヘッドフォンを装着したのち、部屋を出て行った。
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昔から私は動かないでと言われたら動きなってしまう性である。
そうです。
ここから私の「クワイエット・プレイス」ならぬ
「ドント・ムーブ
〜動いたら即やり直し MRI編〜」
が開幕したのだ。
※実際は動いたら即やり直しというわけではないと思われます。詳しい方いましたら教えてください。
私は脚と腕に全神経を集中させて固定した。
しばらくすると機械が動き出した。
「ウィーン!!ぴー!!!ピー!!!Pー!!!」
想像以上に大きな音がヘッドフォン越しに聞こえてくる
そして機械が足の方を動いているのが見える。
そこで気がついた。
私は小さい頃、医療ドラマでMRI?のような機械を使っているのをみて
これ私もやりたい!宇宙空間みたい!頭の上ウィーンって通ってスキャンしてほしい!
っと思っていた。(健康1番ですが、
だからなんとなく今日というこの日に、小さい頃の小さな夢が叶うと思っていた。
だが、私は大事な事を忘れていた。
そうだった、私は左膝を怪我していたのだ。
わざわざ頭までスキャンする必要は無かったのだ。
ちょっと、残念な気持ちになりながら私の足のあたりを機械がうろちょろしている。
不意に
「動かないでくださいね!」
さっきのお兄さんの言葉が頭をよぎる
私の手に力が入る。
※今ブログ書きながら気がついたけど撮ってるの脚だから手が少し動いても大丈夫なんじゃないだろうか。この時の私はそんなことに気がついていないので頑張って両腕と両脚固定してました。
そうだった、私は
「ドント・ムーブ
〜動いたら即やり直し MRI編〜」
だった。
唾を飲み込みながらひたすら耐える。
それにしても長い。
検査が長いのだ。
流石にこの状況に慣れてきた私はいろんなことを考え始めた。
「暇だなぁ。」
「機械がぴーころいってるなぁ」
「こんなに暇ならこのどでかいヘッドフォンで音楽流してくれないかなぁ」
「あ、音楽流したら体がリズムに乗って動いちゃうから、あかんなぁ。」
「そういえば稽古不安だなぁ。」
「眠いなぁ。」
「...。」
いつのまにか半分寝ていた私は扉が開く音で目が覚めた。
「はい!終わりです〜。」
あれよあれよとヘッドフォンやマジックテープが外れて
「着替えて外でお待ちください〜」
私はMRI室をあとにした。
体感1時間。おそらく実際も1時間。
「ドント・ムーブ
〜動いたら即やり直し MRI編〜」
歌田初夏は完全勝利でMRI室を後にした。
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