僕の変身（我的变身）

僕は、跳び箱も野球も鉄棒も、みんな苦手で嫌いだった。

（跳箱、棒球、单杠我都不擅长且很讨厌。）

先生の合図で跳び箱を跳ぶ時、友達は弾けるように跳ぶのに、僕の番になると、踏み切り台のところで、体が硬く縮まってしまうのだ。

（随着老师的信号跳跳箱的时候，明明朋友能弹起来似的跳过去，而轮到我时，我在起跳板的地方，就害怕得身体僵硬。）

だから、体育のある日は憂鬱で、雨降りだと嬉しくなってしまう。校庭での体育がなくて、教室で体育の勉強をするからだ。学校では川上さん達が、「ちぇっ。体育があるのに雨降りじゃ、嫌になってしまう。」と言う。僕も皆に合わせて、一応残念そうな顔をする。

（因此，有体育课的日子我很郁闷，下雨的话很高兴。因为下雨天没有操场上的体育课，在教室学习体育。在学校，川上他们说道：“切。明明有体育课，但下雨的话真讨厌。”我也和大家一起，姑且露出遗憾的表情。）

体育のあったある日、家に帰ると、いつものように憂鬱な気持ちで、「この世の中に体育がなければいいのになあ。」と言いながら、おやつを食べ始めた。すると、お母さんが真剣な顔で、「雄志、あなたは体育が苦手なのに得意なふりをしたり、出来ないことをごまかそうとしたりするでしょう。それじゃ、いつまで経っても今のままよ。」と言った。僕は、はっとした。

（有体育课的某天，我回到家后，和平常一样很郁闷地说着：“这世上没有体育就好了。”并开始吃点心。于是，母亲表情严肃道：“雄志，你明明不擅长体育却装成很擅长的样子，将做不到的事糊弄过去吧？这样的话，你一直都是现在这样。”我怔住了。）

僕は、家の人と相談して、テレビ体操をやることにした。初めは、前曲げと後ろ反りだ。お父さん達は、楽に曲げたり反らしたり出来る。僕はどうしても出来ない。

（我和家人商量后，决定开始做电视体操。最初是前屈和后弯。爸爸他们能很轻松地前屈后弯。我却怎么都做不到。）

「ほら、安心して曲げられるだけ曲げてみろ。」と、お父さんに言われて、抑えてもらってやった。それでも出来ない。どうして僕だけだめなんだろうと、悲しくなった。少しふくれて休んでいたら、「そんなことで拗ねることないでしょう。何でも練習よ。他の人が出来るのだから、雄志にだって出来るわよ。」と、お母さんが励ましてくれた。僕は、「わかっているよ。」というような顔をした。そして、今に見ていろと心の中できっぱり言った。

（“你放心地试试能弯多少就弯多少。”父亲说着，帮我按着。即便如此，我还是做不到。为什么只有我不行呢，我很难过。我稍微噘着嘴休息时，母亲鼓励我道：“不用为这种事闹别扭。什么都要练习。其他人能做到，你也能做到。”我露出了“我知道。”的表情。然后，在心中断然道看着吧。）

テレビ体操を始めて二十一日目に、前曲げの時、僕の手が床についた。後ろ反りをしたら、ちらっと青空が見えた。今度は腰の痛いのを我慢して、思いきって後ろに反らせた。

（开始电视体操后的第21日，我在前屈的时候，我的手触到了地板。后弯的时候，能瞥到一眼蓝天。这次我忍耐着腰痛，尽力往后弯。）

「お母さん、空が見えたよ。逆さまの空が見えたよ。」と、僕は大きな声で言った。

（我大声道：“妈妈，我能看到天空了。能看到倒过来的天空了。”）

前曲げや後ろ反りが出来るようになって、何日か経った。今度は鉄棒だ。

（能做到前屈和后弯之后过了几天。这次是单杠。）

学校で、毎日足掛け後転の練習をした。「肩の力を抜いて。」「体を楽にして。」と皆が教えてくれたことを思い出して、強く握っていた鉄棒を軽く掴み直した。次が勝負だ。

（我在学校每天练习单杠挂膝后翻。我想起大家告诉我“肩膀放松。”“身体放松。”然后我重新轻轻握住了原本紧握着的单杠。接下来就要一决胜负了。）

「えい、えい、えい。」と、何遍も、足を勢いよく振って後ろに回った。空がぐるんと回った。体が逆さ吊りになった。どこかで皆が、「びくびくするんじゃないよ。」と言っているような気がしてきた。そしたら段々元気が沸いてきた。

（“诶，诶，诶。”我无数遍猛地甩腿向后转。天空一下子旋转了。我的身体倒挂着。我似乎感觉到大家在某处说道：“别害怕。”于是我渐渐涌起了精力。）

僕は、何遍も何遍も大きく足振りをして練習した。鉄棒にかけた右足を少しずらしてみた。僕の体は大きくぐるんと回転した。

（我无数次地练习了大幅度甩腿。我试着稍微挪动了一下挂在单杠上的右腿。我的身体一下子大幅度旋转了。）

（回った。成功。足掛け後転成功。）と、僕は心で叫んだ。とても自信がついたような気がした。

（旋转了。成功。挂膝后翻成功，我在心中如此喊道。我感到充满了自信。）

休み時間、先生が、「雄志さんが足掛け後転をするよ。皆が審査員。」と言った。皆が、「頑張れ。」と応援してくれた。僕は、思い切り弾みをつけて回った。

（休息时，老师说道：“雄志要做挂膝后翻。大家是评审。”大家都声援道：“加油啊。”我尽力地旋转了。）

「出来た。」と、皆が叫んだ。誰かが、「雄志さんは、変身したのでえす。」と言った。僕は、顔が真っ赤になった。

（“做到了。”大家喊道。不知是谁说道：“雄志变身了。”我满脸通红。）