天声人语Vol.8 推荐偷偷读书
コッソリよみのすすめ
推荐偷偷读书
書店のレジで、カバーをかけますか、と尋ねられる。はいと答える。自分が選んだ本の表紙が覆われて、題名が見えなくなる。その瞬間が私は好きだ。ちょっとした秘め事ができたような不思議な気分になる。
在书店收银台结账时,收银员问我要不要包上书皮,我会回答好的。自己选的书盖上封皮后,就看不到书名了。这个瞬间让我着迷。那感觉很不可思议,就像是有了一个小秘密一般。
かつて社会学者の清水幾太郎が、電車のなかで他の人が持つ本の題名が目に入ると「見てはならぬものを見た」ようで恥ずかしくなると書いていた(『日本語の技術』)。反対に、自分の本を他者に知られるのは「心の内側を覗かれたような」気持ちだとも。
社会学专家清水几太郎曾因为在电车中看到他人手中书本的书名而感到羞耻,他在《日语的技术》中写道,好像看到了不该看的东西,很不好意思。与此相对,他也表示假如自己的书被他人知道,就会感觉仿佛被人窥探了自己的内心深处。
本の著者と自分の心が「本当に噛み合う」ということは「秘密の事柄のような気がする」。それは「コッソリとやる」のが当然ではないか、と清水は記した。読書とは、時空を超え、他者と離れ、自分だけのひそかな通信を著者と交わす行為なのだろう。
清水写道,书的作者与自己的内心“完全吻合”感觉像是件秘密的事儿,于是自然要偷偷看书。所谓读书,便是一个超越时空,远离他人,只有自己一人秘密与作者相联系的行为。
今年も読書週間が始まった。毎年の学校読書調査によると、小中学生の読む本の数は30年前に比べ倍増の勢いという。活字離れが言われるなか、少し意外だったが、朝読書の時間を設ける学校が出ているのが影響しているらしい。
今年又迎来了一年一度的读书周。根据每年的学校读书调查显示,中小学生阅读书籍的数量与30年前相比增加了一倍。人们常说孩子们看书少了,但这结果着实令我意外。不过,这个数据背后似乎也与越来越多的学校安排了晨读时间有关。
教室で、みんなで一緒に本を読むのは楽しいだろう。でも、コッソリ読みもおすすめしたい。紙の本でも電子書籍でも。電車でも学校でも。清水が感じた恥ずかしさは、世代を超えて共感できるものと思うから。
大家在教室内一同看书乐趣无穷。然而,我还是推荐大家偷偷看书。不管是纸质书还是电子书,不管是在电车还是在学校。因为我觉得,清水体会到的那种羞耻完全可以跨越世代引起共吗。
読み終わった本はカバーをはずし、自宅の本棚にならべる。自分はあとどれだけの本に出会えるのか。「秘密の事柄」をいくつ重ねられるのか。秋晴れの広がる週末に一人思う。
看完的书拆下书皮,摆入自家的书柜中。今后,自己将会遇见多少书呢?还会碰见多少“秘密的事儿”呢?在这个睛朗的秋日周末里,我如是想到。