【睡前故事】星の王子さま-僕-64

星の王子さま-僕-64
夜明けを迎えて,砂は蜂蜜色に染まった。/迎来了拂晓,沙漠被晨曦染成了蜂蜜色。
その色も僕を満ち足りた気分にしてくれた。/那色泽给我一种心满意足的感受。
それなのに、なぜ僕は悲しかったのだろう。/然而,为什么,我会觉得悲伤呢。
「約束は守ってね。」/“要遵守约定哦。”
「何の約束?」/“什么约定?”
「ほら、羊の口輪だよ。僕はあの花に責任があるんだから。」/“喂,羊的辔啊。因为我对那朵花负有责任啊。”
僕はポケットから,いろいろな絵の下書きを引っ張り出した。/我从口袋里,扯出各式各样画的草稿。
王子さまは覗き込んで、笑いながら言った。/小王子凑近了仔细看着边笑道。
「君の書いたバオバブ,ちょっとキャベツみたいだね。/“你画的猴面包树,有些像卷心菜呢。
それに、その狐は耳がなんだか角みたいだ。長すぎるよ。」/而且那只狐狸耳朵总觉得像角一样,太长啦。”
「酷いな。僕はボアの外側と内側しか書けないんだから。」/“真过分啊!因为我只会画开着肚皮和闭着肚皮的蟒蛇啊。”
「それでいいんだよ。子供には分かるから。」/“那样也挺好,小孩子也明白的。”
そこで僕は口輪を鉛筆で書いてあげた。/于是我用铅笔给他画了个辔。
それを手渡す時,胸がぎゅっと締め付けられる思いがした。/交到小王子手中时,我有种胸口被用力地勒紧的感觉。
「君は、これから何かしようとしているね。僕が知らないことを。」/“你是要打算做些什么吧,而我什么都不知道…… ”
「一年前、僕は地球に落ちてきた。明日がその記念日なんだ。」/“一年前,我落到地球,明天就是那一天的记念曰哦。”
しばらく黙ってから、王子さまは続けた。/短暂的沉默后,小王子继续说道。
「落ちてきた場所はね、ここのすぐ近くなの。」/“落下来的地点,离这里很近。”
そう言って、顔を赤らめた。/他这么说着涨红了脸。
その時また,理由も分からないまま,奇妙な悲しみに襲われた。/那一刻,没缘由地,一种奇怪的悲伤袭上我的心头。
「偶然じゃなかったんだね。八日前の朝、君に出会ったのは。/“那时不是偶然呢,八天前的早晨,我和你的相遇。
人が住む場所から千マイルも離れた所を,たった一人で歩いていたのは,落ちてきた場所に戻るところだったんだね。」/离人居住的场所有上千英里的地方,你独自一人走着,是因为正在返回坠落的地点啊。”
王子さまはまた顔を赤らめた。/小王子又涨红了脸。
躊躇いながら、僕は付け加えた。/我一边犹豫,一边补充。
「それはもしかして、記念日だからかい?」/“该不会,这就是纪念日吧?”
王子さまは更に顔を赤らめた。/小王子的脸涨得更红了。
質問には答えなかったが,顔を赤らめるのは,/虽然并没有回答我的疑问,可是涨红了脸,
そうだと言っているのと,同じことではないだろうか。/不就是和说“是的”,是一样的嘛。
僕は王子さまに言った。/我对小王子说道。
「ああ、なんだか心配だよ。」/“啊,总觉得很担心。”
「君には 今,やらなきゃいけない仕事があるでしょう。機械の所に戻らなきゃ。/“你现在,有必须得做的事不是吗。必须回到机体的地方去。
僕はここで待っているよ。明日の夜、戻ってきてね。」/我在这里等你啊。明天夜里,要回来哦。”
しかし、僕の不安は消えなかった。/可是,我的不安没能消除。
狐のことを思い出した。/我想起了狐狸的事情。
飼い慣らされたら,泣きたくなることもある。/如果被人驯服了,就可能会要落泪的。