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日本小6课文:前往森林【久我Masahi的日语课堂】#80

2021-01-01 22:22 作者:久我まさひ  | 我要投稿

森へ(前往森林)

作者:星野 道夫(ほしの みちお)

朝の海は、深い霧に包まれ、静まり返っていました。聞こえるのは、カヤックのオールが水を切る音だけです。少し、風が出てきました。白い太陽が、ぼうっと現れては、消えてゆきます。ゆっくりと、霧が動いているのです。オールを止めると、カヤックは、鏡のような水面を暫く滑り、ミルク色の世界の中で、やがて動かなくなりました。霧の切れ間から、辺りを取り巻く山や森が、ぼんやり見えています。沢山の島々の間を通り、いつの間にか深い入り江の奥まで来ていたのです。ここは、南アラスカからカナダにかけて広がる、原生林の世界です。(清晨的海被浓雾包围,万籁俱寂。能听到的只有皮艇划桨的水声。风微微刮起。白色的太阳忽地出现后又消失了。雾缓缓地动着。停下划桨后,皮艇在镜面般的水上滑行了片刻,最终在乳白色的世界中停了下来。从雾的缝隙中隐约可见周围被山和森林所围绕。穿过了众多的岛,不知何时来到了海湾深处。这里是从南阿拉斯加扩展到加拿大的原始森林的世界。)

じっとしていると、カヤックを漕いでいる時気付かなかった音が、少しずつ聞こえてきました。ピロロロロ—。白頭鷲(ハクトウワシ)の、小鳥のようなさえずりです。が、辺りの森を見渡しても、姿が見えません。ポチャン—と、一匹の鮭が、海面から三十センチ程飛び上がりました。谷間から、川の音か滝の音か、微かな水の音がわたってきます。霧は、絶えず形を変えながら、森の木々の間を、生き物のように伝っています。水面を流れる霧は、僕の顔や体を、しっとりと濡らしました。その時です、不思議な声が霧の中から聞こえてきたのは。シューッ、シューッ、シューッ—。僕は体を固くして、段々近付いてくるその音を待ちました。突然、霧の中からすうっと巨大な黒い影が現れ、目の前を潮を吹きながら通り過ぎていったのです。ザトウクジラ—。広い海原(うなばら)にいるはずの鯨が、どうしてこんな所にいるのだろう。やがて、鯨は尾びれを高く上げ、ゆっくりと霧の中に消えてゆきました。(静止不动时,稍微听到了一点划桨时没有注意到的声音。啾啾啾啾。这是白头鹰如同小鸟般的鸣叫声。不过,环视了一下周围的森林,没有看到它的身影。啪嚓,一条鲑鱼跳出海面约三十厘米。从山谷处传来了河还是瀑布的细微水声。雾不断地变化着样子,仿若生物一般在森林的树木之间缓缓移动。在水面上飘动的雾,微微沾湿了我的脸和身体。这时,一个不可思议的声音从雾中传来。嘶嘶嘶。我紧张地等待着渐渐逼近的声音。突然,一个巨大的黑影一下子出现在了雾中,然后在我眼前喷着水经过了。是座头鲸。本应该在辽阔海洋中的鲸鱼为什么会在这种地方呢?最终,鲸鱼高高扬起尾鳍,慢慢消失在了雾中。)

再びカヤックを漕ぎ始めました。深い森の木々が押し寄せる浜辺が、次第に近付いてきました。(我再次划起了皮艇。渐渐接近满是森林树木的海滨。)

バサッ、バサッ—。不意に、白頭鷲が森の中から舞い上がり、頭上を飛び去ってゆきました。僕がこの森に近付いてくるのを、白頭鷲はじっと見ていたのです。(啪嗒啪嗒。忽然,白头鹰从森林中飞起,从我头上掠过。它方才直勾勾地盯着我渐渐接近这片森林。)

やがて、カヤックが砂浜に乗り上げると、森は、覆い被さるように迫っていました。見上げるような巨木や、その間にびっしりと生い茂る樹林が、僕がこの森に入ることを拒んでいるようでした。(最终,皮艇搁浅在沙滩上,森林仿佛要覆盖而来一般迫近。大到要仰望的巨树,以及在其之间繁茂生长的树林,似乎在阻止我进入这片森林。)

浜辺に沿って暫く歩くと、誰かが通ったように草の茂みが割れ、そのまま森の中へ続いているのに気が付きました。一体誰が来たのだろう。ここは、人の住む場所とは遠く離れた世界です。(我沿着海滨步行了片刻后,注意到了繁茂的草木丛分开,就这样一直延续到森林之中,似乎有谁经过。到底是谁来过了呢?这里是远离人们住所的世界。)

巨木の間を抜け、森に足を踏み入れると、辺りは、夕暮れのように暗くなりました。目が慣れてくると、森の姿が見え始めました。見渡す限りの木々が、いや、地面も岩も倒木も、びっしりと緑の苔に覆われているのです。様々な地衣類が、枝から着物のように垂れ下がった木々は、そのまま歩き出しそうな気配でした。(穿过巨树后,我踏入了森林,周边如同黄昏一般昏暗。眼睛渐渐适应之后,我看见了森林的样子。一望无际的树木,不,还有地面、岩石以及倒树都被绿苔所覆盖。各种各样的地衣类像和服一样垂在树枝上的树木,有种要走起来的感觉。)

僕が立っている地面は、微かな道になり、森の奥へと続いていました。土の上に残された大きな足跡を見た時、急に胸がどきどきしてきました。そう、熊の道だったのです。森の中から、今にも熊がやって来そうな気がしました。(我所站着的地面,微微形成了一条小道,一直延伸到森林深处。当我看到土上残留着的巨大的脚印的时候,突然心跳不已。没错,这条道路是熊走出来的。有种熊马上就要从森林中走来的感觉。)

周りを見回しながら、暫く考えました。気持ちが落ち着くと、少し勇気が出てきました。僕は熊の道を辿り、森に入ってゆくことに決めました。(我一边环视着周围,一边考虑了片刻。冷静下来后,我有了些许勇气。我决定顺着熊的道路慢慢进入森林。)

この森は、遥かな北に広がる氷河まで続いています。ずっと昔、ここは、厚い氷に覆われていました。最後の氷河期が終わり、地表が現れ、気の遠くなるような時間をかけて、森が出来上がったのです。木々や苔、そして岩や倒木までが、互いに絡みながら助け合い、森全体が、一つの生き物のように呼吸しているようでした。(这片森林一直蔓延到朝遥远的北面扩大的冰河。很久以前,这里被厚厚的冰所覆盖着。最后的冰河期结束后,地表露出,经过了惊人的漫长岁月,这里变成了森林。树木、苔藓,甚至是岩石和倒树互相缠绕互帮互助,整个森林就如同一个生物一样呼吸着。)

森の木々が、じっと僕を見詰めているような気がしました。時々、気味の悪い大木を見かけました。まるで、足で立っているように根が生え、その間に大きな穴が空いているのです。あれは、一体なんなのだろう。(森林的树木好似一直在注视着我。有时,我看到了可怕的大树。树根的中间空出了一个大洞,就仿佛用脚站着一样。)

辺りをゆっくりと見渡し、小さな音にも耳をそばだてて歩いていると、段々不思議な気持ちになってきました。いつの間にか、まるで、自分が熊の目になって、この森を眺めているみたいなのです。心が静まるにつれ、森は、少しずつ僕に優しくなってくるようでした。(我缓缓环视着周边,侧耳倾听着细小的声音,就这样走了一会,渐渐产生了一种不可思议的感觉。不知何时,我自己好像在用熊的视线眺望这片森林。随着心情平静,森林好像对我渐渐温柔了起来。)

「もし熊が反対からやって来たら、そっと道を譲ってやればいいのだ。」そんなことも考え始めていました。(“如果熊从对面走来,我轻轻地让路就好了。”我甚至还开始考虑起这种事来。)

ふと気が付くと、道の真ん中に、大きな黒い塊が落ちていました。なんだろうと思って近付くと、それは、熊の古い糞でした。(我突然注意到路当中掉落了一大块黑色的东西。想着是什么呢,接近后发现那是熊很久以前的粪便。)

驚いたことに、その糞の中から、白いキノコが沢山伸びています。あんまり綺麗なので、僕は地面に体を伏せ、熊の糞にぐっと顔を近づけてみました。いつか北極圏のツンドラで見た、古い動物の骨の周りに咲く花々を思い出しました。厳しい自然では、僅かな栄養分も無駄にはならないのです。(令人惊讶的是粪便当中生长着许多白色的蘑菇。由于太过美丽了,我趴在地面上,一下子将脸凑近熊的粪便。我想起了曾几何时,在北极圈冻土带看到的动物很久以前的骨头周围绽放着的花。严峻的自然中,一点点营养也不会浪费。)

熊の道は、次第に分かれ道が多くなり、いつの間にか、森の中に消えてゆくようでした。時々は、高い藪を掻き分けて進まなくてはなりません。そんな時、倒木は、森に架かる橋のように歩き易い道となりました。倒木の道には、所々に、アカリスがトウヒの実を食べたからが積まれています。動物達も、この自然の道を利用しているのです。今度は、森のリスになったような気分で、倒木の上を歩きました。(熊的道路的岔道逐渐变多,不知何时,道路好像快消失在森林中了。有时,我不得不拨开高高的草丛前进。这时,倒树就好像架在森林中的桥一样,变成了一条容易行走的道路。倒树的道路上各处都堆积着红松鼠吃剩的圆柏果壳。动物们也利用这自然的道路。这次走在倒树上,我有种化身为了森林松鼠的感觉。)

水の音が聞こえてきました。暫くすると、視界が開け、森の中を流れる川に出ました。岸に立つと、水の流れは、川底の岩の色なのか、黒く沈んで見えました。(我听到了水声。片刻之后,视野开阔,我来到了在森林中流淌着的河边。我站在岸边,看到了水流沉黑,不知是不是河底岩石的颜色。)

水を飲もうと水面に顔を近づけ、びっくりしてしまいました。川底の色だと思ったのは、産卵のために川を上る鮭の大群だったのです。僕は、裸足になって川に入りました。静かに手を水の中に入れ、やっと一匹の鮭を掴むと、ああ、なんと強い力を持っているのでしょう。ばねのように身を大きく曲げながら、弾けるように、僕の手から飛び抜けてゆくのです。もう面白くてたまりません。僕は、ずぶ濡れになりながら、何度も同じことを繰り返しました。(我准备喝水,凑近水面的时候,吓了一跳。我还以为黑色是河底的颜色,其实是一大群为了产卵来到河上的鲑鱼。我赤脚进入了河里。静静地将手伸入水中,终于抓到一条鲑鱼时,啊,它力气好大啊。它像弹簧一样大曲度地弯着身体,从我手中弹跳出去。简直有趣得不得了。我全身湿透,重复了数次同样的事。)

ふっと前を見ると、対岸の岩の上から、黒熊の親子が、じっと僕を見ているではないですか。僕は、慌てて岸を駆け上がりました。すると、なんてことでしょう。川の上流にも下流にも、いつの間にか、熊があちこちにいるのです。今、この森の川は、鮭を食べに来る熊の世界でした。見上げれば、子熊が木の上で寝ています。どうして今まで気が付かなかったのだろう。(我忽地往前看去,发现对岸岩石上的黑熊母子好像在盯着我。我慌忙跑上岸。于是,发生什么了?不知从何时起,河的上下游到处都有熊。现在,这片森林的河是前来吃鲑鱼的熊的世界。往上看去,小熊在树上睡觉。为什么我到现在才注意到呢?)

既に一生を終えた鮭が、沢山流れてきています。(河中流来了很多已经结束了一生的鲑鱼。)

「鮭が森を作る。」アラスカの森に生きる人達の古い諺です。産卵を終えて死んだ無数の鮭が、上流から下流へと流されながら、森の自然に栄養を与えてゆくからなのです。(“鲑鱼造就森林。”这是在阿拉斯加森林生活着的人们的古老的谚语。产卵结束后迎来死亡的无数的鲑鱼,从上游流到下游,给森林的自然带来营养。)

僕は、川をそっと離れ、再び森の中に入ってゆきました。(我悄悄离开河,再度进入到森林之中。)

不思議な光景に出会いました。地面に横たわる古い倒木の上から、巨木が一列に並んで伸びているのです。それは、きっとこんな物語があったのでしょう。(我遇到了不可思议的景象。横倒在地面上的古老的倒树上,排列着一排的巨树。这一定是有着这样的故事吧?)

昔、一本のトウヒの木が年老いて倒れました。その木は死んでしまいましたが、まだ、沢山の栄養を持っていました。長い年月の間に、その幹の上に落ちた幸運なトウヒの種子たちがいました。そこに根を下ろした種子たちは、倒木の栄養をもらいながら、さらに気の遠くなるような時間の中で、ゆっくりと大木に成長していったのです。つまり、年老いて死んでしまった倒木が、新しい木々を育てたのです。(从前,一棵圆柏树年老后倒了下来。这棵树虽然死了,然而还有着非常多的营养。在漫长的岁月中,幸运的圆柏种子们掉在了这棵树的树干上。在上面扎根的种子们吸收着倒树的营养,在更加漫长的岁月中,渐渐长成了大树。也就是说,年老死去的倒树养育了很多新的树。)

それでやっと分かりました。森の中で時々見かけた、根が足のように生えた不思議な姿の木のことです。その根の間に空いていた穴、それは、栄養を与え尽くして消えた倒木の跡だったのです。(我这下终于明白了。在森林中偶尔看到的树根像脚一样长得不可思议的树,这些树根之间空出的洞,是营养被吸收完后消失的倒树的遗迹。)

目の前の倒木は、沢山の大木の根に絡まれ、今尚栄養を与え続けているようです。が、いつかはすっかり消えてゆくのです。僕は苔むした倒木に座り、そっと幹を撫でてみました。(眼前的倒树被众多大树的树根缠绕,目前还在持续提供营养。然而,以后的某个时候会完全消失。我坐在长苔的倒树上,轻轻抚摸着树干。)

森の怖さは、すっかり消えていました。じっと見詰め、耳を澄ませば、森は様々な物語を聞かせてくれるようでした。僕の目には見えないけれど、森はゆっくりと動いているのでした。(对森林的恐惧已经完全消失了。只要注视着,倾听着,森林就会给我讲述各种各样的故事。我虽然用肉眼看不到,但是森林在缓缓动着。)

词汇

切れ間(きれま):间断、缝隙

押し寄せる(おしよせる):涌过来、蜂拥而至;推到一旁

乗り上げる(のりあげる):驶上、搁浅

覆い被さる(おおいかぶさる):覆盖在……上;(责任)落到身上

苔むす(こけむす):生苔、长苔;变陈旧

作业

1.读课文

2.看图写话:

3.朗读诗歌:


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