【重音テト】#A7CAE8【夜風見】

#A7CAE8
BY:夜風見
「
貴方は、天使でした。
青の血を纏って、小さく震えて。
ぼくは、貴方が福音だと信じて疑えなかった。
だから、どうか、導いてください。
」
「
你曾是,天使。
身绕蓝色的血,轻微地颤抖着。
我,深信你是福音而从无怀疑。
所以,还请,指引我吧。
」
「明日、死のう。」
そう、淀みなく口にした貴方は、
とても穏やかてした。
水底の形も、波間の色も、
貴方の行く末なのでしょう。
「明天,赴死吧。」
是的,毫不犹豫地说出口的你,
多么平静。
水底之形,波间之色,
都是你将要前往的终末吧。
靴を脱ぎ捨てて、幼かったあの頃へ。
生体のない私を連れて。
終わる命なら、惜しげもなく使いましょう。
悔いもないと嘘をついてまで。
把鞋脱下丢掉,回到年幼那时。
带上没有实体的我。
若是将要结束的生命,就不加吝惜地使用吧。
直到谎称绝无后悔的地步。
駆る風を纏ったら刹那に芽吹く春
声だけの私すら貴方が浚う
风疾驰掠过便刹那间发芽的春
就连只有声音的我也因你疏浚
「
街の中を歩いた。
誰も居ないからと、形無い貴方の手を盗って。
感情のない貴方は、ずっと微笑んでくれる。
それだけが、
ぼくの選択を肯定してくれました。
」
「
在街上散步。
没有任何人在,所以偷走了你那无形的手。
不具有感情的你,始终微笑着。
仅此而已,
肯定了我的选择。
」
揺れ爆ぜて、眩んだ。
ただ倒錯の夢に微睡むまま、
ひしゃげている翼で残酷な程、
藻掻きましょう。
碧褪めた世界で息をする度、
感情が磨り減るでしょう。
嗚呼、まるで泡のように酷く些末な命を、
今、報いましょう。きっと、ここは天国よ。
摇晃爆炸,令人目眩。
只是在错乱的梦中继续浅眠,
用挤压变形的羽翼以残酷的程度,
开始痛苦挣扎吧。
在碧色褪去的世界中呼吸的每次,
都会磨损感情吧。
啊啊,宛若泡沫一般凄惨无用的生命,
现在,得到回报吧。这里,一定就是天堂。
「
灰の積もった海辺を歩いた。
ここには多くの亡骸が流れ着いていて、
ああ、貴方と共にこの一部になると思うと、
ぼくのこころは無性に弾んで
幸福の中を浮いた。
貴方が、心を解さなくてよかった。
」
「
走在灰烬堆积的海边。
这里有许多漂流抵达的亡骸,
啊啊,想到能与你一同成为其中的一部分,
我的心便无比雀跃地
飘浮于幸福。
你,不解人心真是太好了。
」
夜風を見るように、捉えどころもなく、
どこまで往くのでしょう。
滅びだした星で、誰より軽やかに、
辷るように舞う。
正如注视夜风那般,无法捉捕,
将要去往何处。
在开始毁灭的星球上,比谁都更轻快地,
滑落似的起舞。
息を止めるように口をそっと塞ぎましょう。
退廃めいて堕ちていくように。
酷く満たされた心地のまま凭れましょう。
青く凪いで最期が迫る。
像阻断呼吸那样轻轻捂住嘴吧。
像衰退而堕落一般。
就任由那得以过度满足的心境去依靠吧。
青色的风平浪静迫近终结。
「
貴方はまるで綿毛のように自由で、美しくて。
この手の中で
潰れてしまいそうにか弱く思えて。
それが堪らなく、ぼくを誘いました。
初めから狂っていたのは、
ぼくだけなのかも知れません。
」
「
你简直像绒毛一样自由、美丽。
令人以为柔弱到几乎要
在这双手中被压垮。
这无法忍受,而邀请了我。
说不定从最开始,
就只有我一人是疯狂的。
」
常春の街、紛い物の理想、
暖かく煌めく、眩さが痛い。
東雲が来る、波間が囁く、
水底の暗さに貴方は向かう。
永恒春日的街道,仿造品的理想,
温暖地闪烁,耀眼而疼痛。
拂晓到来,波间窃语,
你向着水底的黑暗走去。
「
貴方は、天使でした。
眠る前に、
本当みたいな貴方を強く抱きしめた。
ただ、冷たくて、貴方は架空そのもので。
それでも、救いには違いなかった。
」
「
你曾是,天使。
入眠之前,
紧紧抱住了宛若真实的你。
然而,冰冷的,你本身正是虚构。
即便如此,也无疑是救赎。
」
手が触れた幻、
まだ体温の通わない自動人形。
今逝くね、すぐまた
生まれ変わりのその先で。
手触碰到的幻影,
体温尚未通达的自动人偶。
现在就逝去,马上再会。
在那转世重生的前方。
歪めて。焼き付けて。愛して。愛されて。
この物語は、これでお終いにしましょう。
歪曲。烧焦。爱着。被爱。
这个故事,到此为止吧。
「
心を解さないはずの貴方が、泣いていました。
ただそれだけで、悟ったのです。
それはもう、今更な話でした。
貴方を愛しています。常軌を逸してまで。
その代わり、貴方はぼくを愛してくれました。
生まれ変わって、次の命が在るのなら、
狂ったまま生まれて、また貴方に逢いたい。
」
「
本该不理解人的心灵的你却哭泣了。
仅仅因此,醒悟过来。
那已经是,事已至此之事。
我爱着你。到脱离常规的地步。
作为回应,你也爱着我。
转世重生,如果拥有下一份生命的话,
依旧疯狂而降生于世,想要与你重逢。
」
ひた濡れたこの手で
その脈拍を、すぐ奪うから。
嗚呼、次の命で逢いましょう。
それまで、ここが地獄でも。
いいよ、もう。
彻底打湿的这双手
会将那脉搏,马上剥夺。
啊啊,以下次的生命相见吧。
在那之前,哪怕此处是地狱也。
无妨,已经。
東雲が来る、波間が囁く、
水底の暗さに貴方は向かう。
拂晓到来,波间窃语,
你向着水底的黑暗走去。
「
貴方の声は、もう、
聞こえなくなっていました。
結局ぼくはひとりでした。でも、大丈夫。
ここに勝る天国も、ここを超える地獄も、
何処にだって在りはしないからです。
」
「
你的声音,已经,
听不到了。
结果我还是孤身一人。但是,没关系。
因为胜过此处的天国,超越这里的地狱,
无论哪里都不可能存在。
」
じゃあ、またね。
那么,再见。