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日本小6课文:海之生命【久我Masahi的日语课堂】#91

2021-02-18 16:58 作者:久我まさひ  | 我要投稿

海の命(海之生命)

作者:立松 和平(たてまつ わへい)

父もその父も、その先ずっと顔も知らない父親達が住んでいた海に、太一(たいち)もまた住んでいた。季節や時間の流れとともに変わる海のどんな表情でも、太一は好きだった。(在父亲和祖父,以及这之前不认识的父亲们所居住的这片大海,太一也住在这里。太一喜欢随着季节与时间流逝变化的大海的任何表情。)

「僕は漁師になる。おとうと一緒に海に出るんだ。」子供の頃から、太一はこう言って憚らなかった。(“我要成为渔民。和老爸一起出海。”太一从孩提时代起,就毫无顾忌地如此说道。)

父は潜り漁師だった。潮の流れが速くて、誰にも潜れない瀬(せ)に、たった一人で潜っては、岩かげに潜むクエをついてきた。二メートルもある大物を仕留めても、父は自慢することもなく言うのだった。「海の恵みだからなあ。」(父亲是潜海渔民。潮水流动快速,父亲只身一人潜入谁都无法潜海的急流中,然后刺回潜在岩后的褐石斑鱼。就算逮住了长达两米的大鱼,父亲也不会骄傲道:“这是大海的恩惠。”)

不漁の日が十日間続いても、父は少しも変わらなかった。(就算持续十日抓不到鱼,父亲也毫无变化。)

ある日、父は、夕方になっても帰らなかった。空っぽの父の船が瀬で見つかり、仲間の漁師が引き潮を待って潜ってみると、父はロープを体に巻いたまま、水中で事切れていた。ロープのもう一方の先には、光る緑色の目をしたクエがいたという。(某日,父亲到了傍晚也没有回来。父亲空空如也的船被发现于急流处,渔民同伴等待退潮后潜下去一看,发现父亲的身体被绳索卷着,死在了水中。绳索的另一方,有一条眼睛闪着绿光的褐石斑鱼。)

父の銛(もり)を体に突き刺した瀬の主は、何人がかりで引こうと全く動かない。まるで岩のような魚だ。結局ロープを切るしか方法はなかったのだった。(几个人拉也完全拉不动这条父亲的鱼叉插着的急流之主。就仿佛是岩石般的鱼。结果只能切断绳索。)


中学校を卒業する年の夏、太一は与吉(よきち)じいさに弟子にしてくれるよう頼みに行った。与吉じいさは、太一の父が死んだ瀬に、毎日一本釣りに行っている漁師だった。(中学毕业这年的夏天,太一前去拜托与吉爷爷收自己为弟子。与吉爷爷是每天去太一的父亲死去的那条急流钓鱼的渔民。)

「わしも年じゃ。随分魚をとってきたが、もう魚を海に自然に遊ばせてやりたくなっとる。」(“我也老了。迄今为止钓了不少鱼了,已经想让鱼在海中自然地玩耍了。”)

「年を取ったのなら、僕を杖の代わりに使ってくれ。」(“上了年纪的话,就将我当成拐杖吧。”)

こうして太一は、無理矢理与吉じいさの弟子になったのだ。(就这样,太一强行成为了与吉爷爷的弟子。)

与吉じいさは瀬に着くや、小イワシを釣り針にかけて水に投げる。それから、ゆっくりと糸をたぐっていくと、濡れた金色の光を跳ね返して、五十センチもある鯛が上がってきた。バタバタ、バタバタと、鯛が暴れて尾で甲板(かんぱん)を打つ音が、船全体を共鳴させている。(与吉爷爷一到急流,就将小沙丁鱼挂在鱼钩上扔进水中。然后,缓缓地拉线,湿润的金光跳起,长达五十厘米的鲷鱼上钩了。乱闹的鲷鱼用鱼尾啪嗒啪嗒,啪嗒啪嗒地拍打着甲板的声音震动了整条船。)

太一は、なかなか釣り糸を握らせてもらえなかった。釣り針に餌を付け、上がってきた魚から釣り針を外す仕事ばかりだ。釣りをしながら、与吉じいさは独り言のように語ってくれた。(与吉爷爷怎么也不让太一握钓鱼线。净是是些往鱼钩上装饵,从钓到的鱼身上取下鱼钩的工作。与吉爷爷边钓鱼,边仿佛是自言自语般地说道。)

「千匹に一匹でいいんだ。千匹いるうち一匹を釣れば、ずっとこの海で生きていけるよ。」(“一千条鱼里一条就够了。在一千条鱼里钓一条的话,就能一直在这片大海生存下去。”)

与吉じいさは、毎日鯛を二十匹とると、もう道具を片付けた。(与吉爷爷每天钓了二十条鲷鱼后,就开始收拾道具。)

季節によって、鯛がイサキになったりブリになったりした。(随着季节的变化,从鲷鱼变为了钓石鲈和鰤鱼。)


弟子になって何年も経ったある朝、いつものように同じ瀬に漁に出た太一に向かって、与吉じいさはふっと声を漏らした。その頃には、与吉じいさは船に乗ってこそきたが、作業は殆ど太一がやるようになっていた。(太一成为弟子后经过了多年的时候,与吉爷爷虽然乘上船,但作业基本上是太一在做。某个早上,与吉爷爷突然对和往常一样去同一条急流钓鱼的太一出声道。)

「自分では気付かないだろうが、お前は村一番の漁師だよ。太一、ここはお前の海だ。」(“虽然你自己没有注意到,但你已经是村里第一的渔民了。太一,这里是你的大海。”)

船に乗らなくなった与吉じいさの家に、太一は漁から帰ると、毎日魚を届けに行った。真夏のある日、与吉じいさは暑いのに、毛布を喉までかけて眠っていた。太一は全てを悟った。(太一每天钓鱼回来后,去不再乘船的与吉爷爷家里送鱼。盛夏的某日,明明很热,与吉爷爷却将毛毯盖到喉咙处睡着。太一全都明白了。)

「海に帰りましたか。与吉じいさ、心から感謝しております。お陰様で僕も海で生きられます。」(“回到海里去了吗?与吉爷爷,我衷心感谢你。多亏了你,我也能在这片海生存。”)

悲しみが吹き上がってきたが、今の太一は自然な気持ちで、顔の前に両手を合わせることが出来た。父がそうであったように、与吉じいさも海に帰っていったのだ。(虽然悲伤涌上心头,但是现在的太一用自然的心情,双手在脸前合掌。就像父亲那样,与吉爷爷也回到了海里。)


ある日、母はこんなふうに言うのだった。(某日,母亲如此说道。)

「お前が、おとうの死んだ瀬に潜ると、いつ言い出すかと思うと、私は恐ろしくて夜も眠れないよ。お前の心の中が見えるようで。」(“一想到你何时会说出要到你爸去世的急流潜水,我就害怕地晚上睡不着。就好像能看到你的内心。”)

太一は、嵐さえも跳ね返す屈強な若者になっていたのだ。太一は、そのたくましい背中に、母の悲しみさえも背負おうとしていたのである。(太一成为了连暴风雨也能克服的强壮的年轻人。他那坚强的脊梁还背负着母亲的悲伤。)

母が毎日見ている海は、いつしか太一にとっては自由な世界になっていた。(母亲每日看着的海,对太一来说迟早会成为自由的世界。)

いつもの一本づりで二十匹のイサキを早々ととった太一は、父が死んだ辺りの瀬に船を進めた。(每次总是早早钓完二十条石鲈的太一,向着父亲死去的急流边驾船前进。)

怒りを下ろし、海に飛び込んだ。肌に水の感触が心地よい。海中に棒になって差し込んだ光が、波の動きにつれ、輝きながら交差する。耳には何も聞こえなかったが、太一は壮大な音楽を聞いているような気分になった。とうとう、父の海にやって来たのだ。(太一抛下愤怒,跳入海中。接触肌肤的水令人惬意。照射进海中的光柱随着波动,闪耀交错。耳畔虽然什么都听不到,太一却有种仿佛在听气势磅礴的音乐的感觉。终于来到了父亲的海。)

太一が瀬に潜り続けて、ほぼ一年が過ぎた。父を最後に潜り漁師がいなくなったので、アワビもサザエもウニも沢山いた。激しい潮の流れに守られるようにして生きている、二十キロぐらいのクエも見かけた。だが、太一は興味をもてなかった。(太一持续潜进急流,几乎过了一年。由于父亲是最后的潜海渔民,因此有很多没被打捞的鲍鱼、海螺、海胆。它们就像被湍流的潮水保护着生存。还发现了二十公斤左右的褐石斑鱼。然而,太一对此没有兴趣。)


追い求めているうちに、不意に夢は実現するものだ。(追寻着的时候,梦想意外地实现了。)

太一は海草の揺れる穴の奥に、青い宝石の目を見た。(太一在海草摇曳的洞穴深处,看到了绿宝石般的眼睛。)

海底の砂に銛を刺して場所を見失わないようにしてから、太一は銀色に揺れる水面に浮かんでいった。息を吸って戻ると、同じ所に同じ青い目がある。瞳は黒い真珠のようだった。刃物のような歯が並んだ灰色の唇は、膨らんでいて大きい。魚が鰓(えら)を動かすたび、水が動くのが分かった。岩そのものが魚のようだった。全体は見えないのだが、百五十キロはゆうに超えているだろう。(为了不迷失方向,太一将鱼叉刺进了海底的砂中,然后浮到了摇曳的银色水面。吸气后回到了同一个地方,同一双绿眼睛还在。瞳孔像黑珍珠一样。排列着像刀剑般的牙齿的灰色嘴唇鼓而大。鱼鳃一动,水也随之一动。岩石像鱼一般。虽然看不到鱼的全身,但估计它超过了一百五十公斤吧。)

興奮していながら、太一は冷静だった。これが自分の追い求めてきた幻の魚、村一番の潜り漁師だった父を破った瀬の主なのかもしれない。太一は鼻面に向かって銛を突き出すのだが、クエは動こうとはしない。そうしたままで時間が過ぎた。太一は永遠にここにいられるような気さえした。しかし、息が苦しくなって、また浮かんでいく。(太一既兴奋又冷静。这就是自己所追求的梦幻之鱼,它也许是打败了身为村里第一潜海渔民的父亲的急流之主。太一朝着褐石斑鱼的鼻尖刺出鱼叉,然而它却纹丝不动。时间就这样流逝着。太一甚至感觉自己能永远待在这里。然而,呼吸困难,他再次浮向水面。)

もう一度戻ってきても、瀬の主は全く動こうとはせずに太一を見ていた。穏やかな目だった。この大魚(たいぎょ)は自分に殺されたがっているのだと、太一は思ったほどだった。これまで数限りなく魚を殺してきたのだが、こんな感情になったのは初めてだ。この魚をとらなければ、本当の一人前の漁師にはなれないのだと、太一は泣きそうになりながら思う。(太一再次回到海底,急流之主还是纹丝不动地看着他。眼神平静。太一觉得这条大鱼是想死于自己之手。迄今为止捕杀了不知道多少条鱼了,然而还是第一次产生这种感情。不捕捉这条鱼的话,无法真正地成为独当一面的渔民。太一欲哭无泪地如此想道。)

水の中で太一はふっと微笑み、口から銀のあぶくを出した。銛の刃先を足の方にどけ、クエに向かってもう一度笑顔を作った。(太一在水中莞尔一笑,口中冒出了银色气泡。他将鱼叉的刀尖挪向脚边,然后又对着褐石斑鱼露出了笑脸。)

「おとう、ここに折られたのですか。また会いに来ますから。」こう思うことによって、太一は瀬の主を殺さないで済んだのだ。大魚はこの海の命だと思えた。(“老爸是在这里让步的吗?我还会来见你的。”太一如此想道,于是没有杀了急流之主。他认为大鱼是这片海的生命。)


やがて、太一は村の娘と結婚し、子供を四人育てた。男と女と二人ずつで、皆元気で優しい子供達だった。母は、穏やかで満ち足りた、美しいお婆さんになった。(最后,太一和村里的女孩结了婚,并养育了四个孩子。男孩女孩各两人,孩子们都很健康温柔。母亲成为了温和,并对一切都很满足的美丽的老太太。)

太一は村一番の漁師であり続けた。千匹に一匹しかとらないのだから、海の命は全く変わらない。巨大なクエを岩の穴で見かけたのに銛を打たなかったことは、もちろん太一は生涯誰にも話さなかった。(太一仍旧是村里第一的渔民。因为一千条鱼里只抓一条,所以海里的生命完全没有变化。当然,太一一生都没有告诉任何人,自己在岩石穴里发现了巨大的褐石斑鱼,却没有用鱼叉插它的事。)

词汇

憚る(はばかる):忌惮、顾忌、怕;有势力、当权

事切れる(こときれる):咽气、死亡;事情完结、了结

跳ね返す(はねかえす):使(水、泥等)飞溅、溅起;推翻、翻转;反击;克服;拒绝

作业

1.读课文

2.思考课文相关问题:


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