【日本小3道德】15#萤火虫搬家
蛍の引っ越し(萤火虫搬家)
作者:後藤 楢根(ごとう ならね)
田舎の静かな夜です。小さな川の岸を蛍が飛んできました。
(乡下寂静的夜晚。萤火虫从小河岸飞过来了。)
ほ ほ ほたる 来い。あっちの水は辛いぞ。
(萤 萤 萤火虫 来吧。那边的水很辣。)
こっちの水は甘いぞ。ほ ほ ほたる 来い。
(这边的水很甜。萤 萤 萤火虫 来吧。)
どこからか、子供の歌が聞こえていましたが、やがてその歌も聞こえなくなりました。
(不知从何处传来了孩子的歌声,这歌声也渐渐听不到了。)
川岸のネコヤナギの枝に、蛍が一匹留まっていました。すると、そのすぐ下の川の中から、「こんばんは。」と、亀が顔を出しました。
(一只萤火虫停落在河岸边的细柱柳枝上。于是,就在柳枝下方的河中,乌龟探出脑袋道:“晚上好。”)
「はい、こんばんは。」
(“晚上好。”)
蛍は、亀の方を明るくしました。
(萤火虫照亮了乌龟的所在之处。)
「やれやれ、息が苦しくなっちゃった。」
(“哎呀,呼吸困难。”)
「おや、どうしてなの。」
(“诶,为什么啊?”)
「何だか、嫌なにおいの水が流れてきて、息が詰まりそうになったんだよ。」
(“总觉得有难闻的水飘过来了,快喘不上气了。”)
亀がそう言って、パクンと息をした時、「ああ、髭が痛い。」と言いながら、ぴゅるぴゅると、ドジョウも浮いてきました。
(乌龟如此说着,大口呼吸之时,泥鳅也一边说着“啊,胡须好痛。”一边嗖嗖地浮上来了。)
一体、どうしたというのでしょう。
(到底是怎么回事呢?)
この小さな川の水は、元は、大変綺麗でした。だから、亀や魚たちは楽しく暮らしていました。ところが、四、五年前から、時々この川に悪い水が流れてくるようになりました。泡をぷくぷく浮かべた、洗濯のかすの白い水やら、田んぼの虫を殺すための薬などが、流れ込むようになったのです。
(这条小河的水原本非常干净。乌龟和鱼们曾快乐地生活着。然而,从四、五年前起,有污水时常流到这条河中。有冒着泡的洗涤后的白色脏水,有杀灭田中虫子的药水等流进来了。)
魚たちは困りました。だから、段々どこかへ引っ越すようになりました。亀が言いました。
「蛍さんも、毎年段々と少なくなってきたけど、これは、きっと、あの悪い水のせいだよ。蛍さんの子供が、育ち難くなったんだね、きっと。」
(鱼们很困扰。因此渐渐搬到了其它地方。乌龟说道:“萤火虫也一年比一年少了,这一定是那个污水导致的。萤火虫的孩子一定是变得很难养育。”)
「あら、それじゃ困るわ。私は、これから、川岸の草に卵を産まなくちゃならないのに。」
(“哎呀,这可头大了。我接下来不得不在河岸边的草中产卵。”)
すると、ドジョウが、髭をぴんと張って、「引っ越しだ。もう、我慢が出来ない。」と、怒って言いました。
(于是,泥鳅一下子伸直胡须,怒道:“搬家吧。已经忍无可忍了。”)
「ね、ね、ちょっと、いいこと聞いたのよ。」タナゴが元気を出して、言いました。「昨日ね、川上の方から遊びに来た、ハヤさんが言っていたわ。川上の方は、まだ、とっても水が綺麗だって。」
(鲢鱼打起了精神说道:“喂,喂,我听到了一个好消息。昨天从上游方向来玩的桃花鱼说上游的水还非常干净。”)
「そうかい。それじゃ、わしも、引っ越すかな。」亀も首を振って言いました。
(“是吗?那么我也搬家吧。”乌龟也摇着脑袋说道。)
「私達も、皆で引っ越すわ。」と、蛍は、言いました。
(“我们也一起搬家吧。”萤火虫说道。)
次の夜のことです。蛍が沢山集まって、川上の方へ、ふわりふわりと飛んで行きました。川の中では、その蛍の光を追って、タナゴやドジョウたちも、川上へ、川上へと、のぼって行きました。亀も、浮いたり沈んだりして、川上へ、のぼって行きました。
(翌日夜里。很多萤火虫聚集起来朝上游的方向轻飘飘地飞去。鲢鱼和泥鳅他们也在河中追随着萤光,朝上游游去。乌龟也浮浮沉沉地往上游游去。)
村の子供達は、これまで見たこともないほど、沢山の蛍が、空一面に群れて、川上の方へ飛んでいくのを見て、
ほ ほ ほたる 来い。あっちの水は辛いぞ。
こっちの水は甘いぞ。ほ ほ ほたる 来い。
と歌いました。でも、蛍達は、「あっちの水が、甘いよ。」と言いながら、甘い水の流れている川上の方へ、皆、飛んで行きました。
(村子里的孩子们看到了迄今为此几乎没有见过的,数量多到聚满了一整片天空的萤火虫朝上游的方向飞去,便唱道:萤 萤 萤火虫 来吧。那边的水很辣。这边的水很甜。萤 萤 萤火虫 来吧。但是,萤火虫们说着“那边的水很甜。”大家一起往流淌着甘甜河水的上游飞去。)

