正宗日本语:世界遺産——三清山

奇岩と奇松がおりなす水墨画の世界・絶景の大画廊を行く
奇岩、奇松に石柱の大画廊・世界自然遺産三清山
”仙人が住む”という伝説を持つ山、奇岩と奇松の大画廊「三清山」の北麓にあるホテルで4日目の朝を迎えた。
時刻は5時である。きょうは今回の旅で「黄山」と共に最も楽しみにしていた別称「小黄山」とも呼ばれる「三清山」を終日トレッキングする日だ。
天候が気になってしょうがない!起床と同時に窓のカーテンを開けると何と!不安が適中した!またしても雨が降っているではないか。!これで中国入りして4日連続の雨である。足腰が動くうちに、もう一度、「掛け軸に描かれた水墨画の世界」を堪能したいとの思いにかられ、これが最後の中国の旅にするとの悲壮な決意で来たのに!何ということだ!まだ雨季でもないのに4日連続の雨とはどういうことなのだ!いくら私が雨男でもこれはひどすぎる。愕然とした重い気持ちでシャワーを浴びると、リュックにミネラルウォーター・携帯食・雨合羽・着替えなどを詰め込むと出発準備を整えた。
「三清山」についての概略
絶壁に張り巡らされた桟道の回廊と石段を進む
中国東部の江西省にある、花崗岩でできた巨大な岩山で、数億年にわたる風化現象と、植物の根の浸食などにより、岩が様々な形に削り取られ、奇岩怪石の絶景を形作っている標高1820mほどの山。
絶壁に張り巡らされた回廊(桟道)から眺めると、雲海に松と岩の大画廊が連らなり、世にも奇妙な岩や石柱が目に飛び込んでくる。
神が意図的に作ったとも思えるような造形美と雄大な山の姿が評価され2008年に世界遺産に登録された。
6000段の石段を登ったり下ったり
このときユネスコの世界遺産委会は「小さな区域に花崗岩の石柱や山峰が集中し、様々な形状の花崗岩、多種多様な植生、遠近の変化に富む景観、心揺さぶる奇観が結びついて、幻想的な美的効果を生み出し、人々を魅了する自然美を呈している。」と賛辞を贈ったという。
「三清山」名前の由来は中国独自の宗教で人間が不老不死の仙人になることをめざす「道教」からきており、三つの峰が高く険しく三清が頂上に座っているように見えることに由来していると云う。
ロープウェイで山上へ
出発時刻の午前8時、そのうち雨も晴れるかもしれぬと淡い期待を持ちつつバスに乗り込むと、あっという間(5分ほど)に 三清山北麓側の金沙ロープウェイ乗り場に着いた。
金沙ロープウェイ乗り場・4日連続の雨
きょうのコースはこの北側ロープウェイで山頂近くまで登り、山中をぐるり回り込むように造られた石段と桟橋の回廊を歩き、南麓に出て南山ロープウェイから下山することになっている。
所要時間約5時間ほどで約6000段もの石段を登ったり下ったりしながらのトレッキングだ。昼食は山中の食堂でとることになっている。
相変わらず雨がそぼ降っているなか雨合羽を着て札幌から持参した収縮自在タイプのステッキを持つとバスを降りた。真新しいロープウェイ乗り場の建物の向こうに三清山が霧に霞んでいる。
ロープウェイで霧で霞む三清山に途中まで登る
今日は平日の雨降りで、しかもまだ8時を過ぎたばかりなのに、すでに大勢の中国人観光客が合羽や傘をさして広場にたむろしている。中国も着実に豊かになっているのだ。
いま中国はかって日本の高度経済成長期と同様な旅行ブームが起き、国内・海外を問わずに主要観光地はどこも中国人観光客で溢れかえっている。ゴンドラに乗り込むべく長い列に並んだ。乗り場から山上駅までロープウェイの距離は2500mあまりで所要時間約15分ほどだという。ゴンドラに乗り込み上に登るにつれ、あたり一面は真白になり何も見えなくなった。
別称「小黄山」と呼ばれる三清山
6000段の石段と絶壁に張り付いた桟道の回廊を進む
雨の中、このような回廊を進む・時おり霧が晴れる
雨と霧でほとんど視界がきかぬ中、別称「小黄山」と呼ばれ奇岩と奇松の大画廊「三清山」に足を踏み入れた。
行く手には立ち塞がるような急な石段と桟道の回廊が伸びている。絶景ポイントで足を止めガイドの説明を聞くのだが、白くボンヤリしているだけで何も見えぬ。
それにしても、私たちの前後にいる中国人団体のうるさいこと半端でない。同行ガイドが説明用の拡声器を持っておりその音量がもの凄いのだ。首からマイクをぶら下げ、腰にスピーカーを2個も着けた悪質な奴までいる。絶景ポイントに来ると、何組もいる中国人団体のガイド同士が、自分の団体客に説明を聞かそうと対抗心むき出しで、これでもかとばかりにスピーカー音量を最大限に上げてるのだ。こいつら馬鹿だ!携帯拡声器といえどもハイテクの性能抜群ですごい音量が出るのである。
絶壁に張り巡らされた桟道をひたすら進む
騒音をまき散らすとんでもない奴らに前後を挟まれて進むことになってしまった。さらに最悪なのは説明が終わると次のビューポイントまで拡声器で音楽を鳴らしながら進むのである。訳のわからない大音量の音楽が山にこだましてそのうるさいこと。そのうち大合唱で歌いだすグループまでいる始末で傍若無人も甚だしい。
もとへ、私たちは一向に降りやまぬ雨と真っ白な霧の中、この迷惑な連中に前後を挟まれ黙々と階段を登ったり下ったりを繰り返しながら歩む。1時間もすると汗が吹き出してきた。
白い合羽姿が女房、私を置いてどんどん先へ行ってしまった
まずいことに私は膝が痛み出し、下りの石段で足を踏み出すたびに右膝がズキンと痛むようになった。自然と足が重くなり仲間の最後尾をかなり離れて進むようになってしまった。やがてかなり前方を行く家内の背中がとうとう見えなくなった。愕然とした!家内はこんな私を気遣うこともなくどんどん先に進んで行くのである!どういうことだ!家内の意外な一面をみて焦った。きっと日頃の亭主関白を恨んでいるのだ。旅を終え帰宅したら亭主関白はやめて女房孝行せねばならぬと焦ったが、もう遅いかも・・・
まさに水墨画世界が出現
時おり霧が晴れると水墨画の世界が出現する
それでも時おり雨が止み霧が薄れ、奇岩や石柱に薄く霧がかかり幻想的な景観が出現する。これこそまさに墨絵・水墨画のような幽玄静寂の世界だ。
旅仲間から「むしろ霧に煙る景色のほうが水墨画の世界らしい!」「雨と霧のあいにくの天候だけど、このような景観を見ると許せる!」などと声が上がる。
峡谷に架かる吊り橋を恐るおそる渡ったりしながら進んでいく。幻想的な景観に疲れて重い足が少しは軽くなるような気がする。
蛇が天に昇るような景観の奇岩「巨蛇出山」
行く手には三清山を代表する景観が次々と出現する。長髪の少女の顔のような「司春女神 」・大蛇が空へ飛ぶような「巨蛇出山」などの奇岩だ。
この大画廊を巡る回廊は幾つかの風景区で構成されている。私たちは南清園景区、陽光海岸景区、西海岸景区へと歩みを進めながら、3時間半ほど歩くと山中の山小屋のようなところで昼食タイムとなった。
雨合羽を脱ぎ、しばし田舎料理を食べながら休息すると、最後のコースとなる西海岸景区の桟道に歩みを進めた。峡谷に雲海が広がり霧が立ち上り、奇峰が林立し、石柱・怪石が突き出す絶景が目に入る。歩いても歩いても奇観が後を絶たない回廊を進み、終点の万寿園景区にある終点の南山ロープウェイ乗り場までやってきた。
北麓から登り、ぐるり大画廊を回って南麓に下る5時間ほどの三清山トレッキングが終わった!
想像以上の石段にメチャ疲れた。
奇岩と奇松の大画廊・水墨画のような絶景
最後まで雨と霧の中での不満が残るトレッキングだったが、時おり霧が晴れ水墨画の世界を堪能できた。バスで再び出発点の北麓にあるホテルに戻ったが、まだ15時前である。
家内が夕食まで時間があるので土産物あさりをしたいと言い出した!「8人の友人にどうしても土産を買って帰る必要がある!」というのだ。旅の最終日でいいではないかと、ウンザリしたが、このあと登る「黄山」でまた置いてきぼりをされぬよう、ここはご機嫌取りに付き合うことにした。一生懸命、中国語で値切り交渉して女房に感謝させるのだ。重い足を引きづりつつ、雨が降るなかホテル前の商店街に繰り出した。
世界遺産・三清山スライド画像
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張り巡らされた桟道
絶壁の桟道を進む
奇岩と奇松の大画廊
霧が薄れると水墨画
シンボルの東方女神
松と石柱が美しい
まさに水墨画の世界
奇岩・怪石の絶景
http://www16.plala.or.jp/yasu310/sirukrodo-mokuji/sirukrodo-mukuji.html