【睡前故事】星の王子さま-花-22

星の王子さま-花-22
夜になっていた。/夜幕已经降临,
僕は工具を投げ捨てた。/我丢掉工具。
金槌も、ボルトも、喉の渇きも、迫り来る死も、もはやどうでもよかった。/铁锤也好,螺丝也好,口渴也好,紧逼而来的死亡也好,事到如今都无所谓了。
僕の星、この地球に,慰めを求めている小さな王子さまがいたのだ。/在我的星球,这颗地球上,有一个寻找安慰的小王子。
僕は、王子さまを両腕で抱き締め,小さな体を静かに揺(ゆ)すってあげた。/我用双手抱紧小王子,静静地摇晃着他小小的身躯,
「君が愛する花は,危ない目になんか遭わないよ。/「你爱的花,不会遇到危险的啊,
僕が羊の口に嵌める口輪(くちわ)を書いてあげる。/我给你画戴在羊嘴上的辔,
花の周りには囲いを書いてあげるよ。僕は…」/在花的周围给你画上围栏...」
その先は、何を言えばいいのか,分からなかった。/我不知道,在这之后还能说些什么,
なんて不器用なんだろう。どうすれば王子さまの心に届くのか,/我真是笨拙,要怎么做才能传达到小王子的心里呢,
どうすれば再び一つになれるのか,僕には分からなかった。/我和他要怎样才能再一次心灵相通呢,我不知道,
本当に謎めいている、涙の国という所は。/泪水的国度,还真是像谜一样的地方啊。
すぐに僕は,王子さまの花のことをもっとよく知るようになった。/不久,我又进一步了解了小王子的花。
王子さまの星には,もともと花びらが一重(ひとえ)の素朴な花が,場所も取らず,邪魔にもならずに咲いていた。/在小王子的星球上,本来有着简单的单层花瓣的花,它不选择场所,不受阻碍地盛开。
ところがある日,どこからともなく運ばれてきた種が芽を出した。/刚好有一天,不知从哪里来的种子冒出了芽。
王子さまは他の物とは似ても似つかないその芽を見つけて,注意深く観察していた。/小王子发现了那棵和其它的长得既相似又不相似的芽,密切地观察着它。
新種のバオバブかもしれないからだ。/因为这也许是新品种的猴面包树。
しかしそれはすぐに伸びるのを止め,花を咲かせる準備を始めた。/可是它立刻就停止了生长,开始准备开花了,
ふっくらと大きく,艶やかに蕾が育っていくのを見て,/看着它孕育着柔软丰满,大而光润的花蕾
王子さまは,奇跡のような物が現れてくるのを感じていた。/小王子觉得,从这个花苞中一定会出现一个奇迹。
しかし花は,緑の部屋に隠れたまま,美しい装いに掛かりきりだった。/可是花呢,就这样躲藏在绿色的屋子里,只顾着作美丽的打扮。
慎重に色を選び,ゆっくり衣裳を纏い,花びらを一枚ずつ整える。/慎重地选择颜色,慢吞吞地穿着衣裳,将花瓣一片片地排列整齐。
雛罌粟(ひなげし)のように,皺(しわ)くちゃな姿は見せたくなかった。/它不愿让人看见它像虞美人那样,皱巴巴的样子。
これ以上はない輝きを放つ美しい姿で,華麗に登場したかった。/它想以光彩夺目的美丽姿态,华丽地登场。
そう、花はとてもお洒落だった。/是的,花非常地爱打扮。
謎めいた準備は何日も続いた。/谜样般地准备了好几天。