【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 160 [千五百七十七年 四月下旬]
书名 战国小町苦劳谭
-------------------------------------------------------------------
作者: 夹竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
-------------------------------------------------------------------
千五百七十七年 四月下旬(*原文网页序列号 - 184)
「奴(やっこ)さんども、己の勝利を微塵(みじん)も疑ってませんってツラしてやがるぜ」
“那些奴才们一脸不相信自己会失败的样子,真让人气愤!”
慶次は静子から借り受けている遠眼鏡で敵陣を眺めながら呟いた。遮るものの少ない広々とした平野部に於いて、上杉景虎(かげとら)の軍勢と、慶次の属する長尾景勝の軍勢が向かい合っている。
庆次借来的遠眼鏡,他一边观察着敌军阵地,一边喃喃自语。在广阔开阔的平原上,上杉景虎的军队和庆次所属的长尾景胜的军队正面对峙。
突如として景虎が景勝に対して挑戦状を叩きつけたが為、尾張でも越後でもない越中での決戦が実現する運びとなったのだ。尾張からの付き従っている人質組のほかに、越後から駆けつけてきた手勢が合流することにより、兵数に於いては景虎が六に対して景勝は四程度の比率となっている。
因为突然出现的挑战书,景虎向景胜发起挑战。这使得在越中地区举行决斗成为可能,这里既不属于尾張也不属于越后。除了来自尾張的人质团队之外,来自越后的部队也加入了这场战斗,使得景虎与景胜在兵力上的优势比率为六对四。
「もっと捨て鉢になっているかと思ったのですが、流石は将器と言うところでしょうか。兵に動揺が見られませんね」
“虽然我本以为你会更加放荡不羁,但果然还是名副其实的将才呢。你的士兵毫不动摇,实在了不起。”
慶次から遠眼鏡を受け取り、同じように敵陣を見渡しながら四六が応えた。慶次と四六が詰めている場所は、景勝軍本陣であり大将の景勝をはじめ、直臣の兼続などの人質組が揃っている。
慶次接过望远镜后,与四六一起俯瞰敌军阵地。慶次和四六所在的位置是景胜军的总部,景胜将军和亲信的兼续等人质都聚集在这里。
しかし、謙信及び彼の家臣の姿はない。彼らは中立の立場を貫かねばならぬため、上杉家の中でも特殊な立ち位置となっている。それ以外の諸将は派閥によって二分され、親北条派は景虎へ、親織田派は景勝を支援すべくそれぞれの陣へと参じている状況だ。
然而,謙信和他的家臣的身影并不存在。由于他们必须坚持中立的立场,他们在上杉家中处于特殊的位置。除此之外,其他的将领则被派系分为两派,亲北条派支持景虎,而亲織田派则支持景勝并分别前往各自的营地。
それでも人質として数年ものあいだ尾張で過ごしていた景勝の派閥は切り崩され、有力な将兵の多くは景虎側に付き従ってしまっている。
然而,作为人质在尾张度过了数年的景胜的派系已经瓦解,许多有影响力的将士也已经附属于景虎的一方了。
そんな状況下でも景勝側に付いた者たちは、主流派となった親北条派に冷遇された傍流であったり、筋金入りの譜代の臣ゆえ景勝の復権を信じていたものだったりと実に様々だ。
即使面临着这样的情况,支持景胜一方的人们(包括一些次要家族以及深信景胜复兴的世袭臣子)也各有各的不同遭遇,有的被当作不重要的旁系,得不到亲北条派的待遇,有的则成为主流的亲北条派,难以实现景胜的复兴。
「彼我(ひが)の勢力差は明らかだな」
“我们之间的力量差距是明显的。”
ただでさえ兵数で劣る景勝側には、更に不安要素が存在した。それは寄せ集めの軍隊ゆえの連携不能である。
景胜方本来就兵力不足,更加存在不安因素。由于军队是杂凑而成,缺乏协作能力。
個では無く群として戦ういくさに於いて、幾度となく訓練を繰り返すことによって足並みを揃えることが可能となる。ここまでの行軍でも露呈した事実だが、景勝軍は進軍速度ですら上手く揃えることができなかった。
在以群体为单位作战的战争中,通过多次训练可以实现步伐一致。就算已经经历了长途跋涉,但景胜军仍然无法做到步伐统一。
しかし、これは元より致命的な問題とはなり得ない。そもそも近代戦闘のように小部隊同士が連携し合って有機的に作戦を遂行するなどというのは絵空事に過ぎず、大抵は陣太鼓などの合図で大まかに前進と後退を指示し、後は現場の判断に任せるしかないのだ。
然而,这并不是致命的问题。从一开始就不存在像现代战斗中小部队之间有机协作执行任务等的想法,通常只有通过类似“鼓声”的信号来粗略指示前进和后退,其余则要靠现场判断来处理。
「ふうむ、北条からの支援が望めぬことは伏せられておるのやも知れぬな。いくら何でも沈みゆく船に取り残されたにしては、兵の表情が楽観的に過ぎる」
“或许隐藏了不能期望由北条提供援助的事实。即使被留在沉没的船上,士兵的表情也过于乐观了。”
一見優勢に見える景虎軍だが、その実は薄氷を踏む思いで持ちこたえているに過ぎなかった。本来であれば謙信不在の隙をついて上杉家を乗っ取り、武田家・北条家と共に残党を挟撃する手筈であったのだ。
乍一看景虎军占据优势,但实际上只是勉力维持薄冰上的局面。原本计划趁着謙信不在之机,夺取上杉家,与武田家、北条家一同夹击残党。
ところが蓋を開けてみれば積雪を理由に謙信は出兵せずに越後に留まり続け、北条家と同盟を結んでいる武田家は織田家によって滅ぼされてしまった。
然而,一打开盖子,就发现信玄并没有因为积雪出兵,而是继续留在越后,并与北条家结盟。但不幸的是,武田家与織田家结盟被摧毁了。
武田家が滅んだ時点で謙信の許へと北条攻めへの参陣要請が届いており、景虎ら親北条派の立場は刻一刻と悪化する中、更に悪条件が重なった。
当武田家灭亡时,北条氏政向謙信派遣了联合攻击的请求,而景虎等北条家的支持者的处境也越来越恶劣,同时又面临着更为不利的条件。
このままでは上杉家は織田家と共に北条攻めに加わることになり、板挟みとなる親北条派などは真っ先に最前線で使い潰されることが目に見えている。
如果继续这样,上杉家就会与织田家一起参加攻击北条家,并且支持北条家的人将会处于两难境地,他们将很可能被派往前线并被抛弃。
そこで景虎は親元でもある北条へと密書を送り、上杉家転覆に対する援軍を送ってくれるよう要請した。
于是景虎将密函寄给北条,请求其派兵协助推翻上杉家。
しかし、ついぞ北条から色よい返答が戻ってくることは無かった。要するに北条家は自分たちのことで手一杯であり、自分の尻は自分で拭けという事である。
然而,北条家从未给出令人满意的回答。总的来说,北条家自行解决了他们的问题,认为每个人都必须自行承担责任。
窮地に追い込まれた景虎は乾坤(けんこん)一擲(いってき)の策として、これまで頑なに避けてきた真正面からの後継者争いを突きつけた。
陷入困境的景虎采取了乾坤一掷的计策,将一直回避的正面继承人争夺推到了台前。
日毎に悪くなっていく状況に焦って打ち出した窮余の策であったが、これが予想以上の効果を生み出した。
日复一日恶化的状况让人焦虑不安,但打出的那个亡羊补牢的策略却产生了出乎意料的效果。
この状況下で尚、堂々と宣戦布告を行うということは北条からの協力を取り付けられたのだと諸将が判断したことだ。
在这种情况下,诸将判断宣布正式战争是因为他们已经获得了北条的支持。
更に言えば寡兵ながら精鋭を揃えての奇襲作戦を試みていた景勝の出鼻を挫くことにも成功している。仮定の話は無意味だが、仮に景勝たちの越後入りを許していれば、そもそも武装蜂起すら叶わず討ち取られていた可能性が高い。
而且,成功地挫败了景胜试图策划以精锐寡兵进行的奇袭行动。虽然这只是一种假设,但是,如果允许景胜等人进入越后,那么他们可能会被消灭,无法发动武装起义。
「兵数で劣り、しかも練度も相手が上と来ている。はてさて如何に戦ったものやら」
「兵力不足,而且对手的训练水平也比我们更高。要如何打才行呢?」
急造の軍隊で複雑な作戦など実行しようがない。しかし、真正面から力押しをしては兵数及び練度で劣る自軍の敗北は自明であった。
在急造的军队中,无法执行复杂的作战计划。然而,正面强行进攻将导致自己军队的失败,因为自己的兵力和训练都不如敌方。
そこで景勝は己を囮(おとり)とした短期決戦を前提の作戦を立案する。急ごしらえの軍でも遂行でき、尚且つ上手くハマればその場で決着が付く必殺の策であった。
因此,景胜制定了以自己为诱饵的短期决战为前提的计划。这是一项在紧急情况下可以执行并且如果实施得当就能立即解决问题的绝杀之策。
それ故に景勝が負うリスクは極大となる。一歩間違えば大将首を取られ、その時点で敗北が決定するのだが、景勝はそれでも良いと考えた。
因此,景胜承担的风险非常大。一旦出现失误,就会丧失胜利的机会,但景胜仍然认为这是可以接受的。
いずれにせよ景勝が勝たねば上杉家の明日は無くなるのだ。負けた時のことなど考えるだけ無駄というものだろう。
不管怎样,景胜必须获胜,否则上杉家就没有未来。考虑输掉的事情只会浪费时间。
「さて、それじゃあ俺も(・)前線に陣取らせて貰うとするかな。勝負を決する要でもあり、決着を見届ける特等席にもなりそうだ」
"那好吧,那我也来占领前线吧。既是决定胜负的关键,又能成为见证决定的特等座位。"
慶次はそう言うと右手の拳を伸ばした左手の掌に打ち付ける、中国武術で良く見られる抱拳礼のような仕草で気合を入れた。
庆次这样说着,伸出右手拳头敲打在左手手掌上,像中国武术中常见的抱拳礼一样振奋士气。
景勝の作戦はそれほど難しいものではない。自軍を大きく三つの部隊に分け、左右両翼と中央の部隊に再編成する。
景胜的战略并不是特别困难。他将自己的军队分为三个部队,重新编组成左右两翼和中央部队。
左右両翼の部隊については、特に練度に劣る者たちを中心に構成され、通常の物よりも長い槍を持たせた兵と、体を丸ごと覆って余りあるほどの大盾を持った兵を並べて防御に専念させる。
左右翼部队特别由技能较劣的士兵组成,配备比普通兵器更长的矛和拥有足够大的全身盾以进行防御。
最前列は盾兵のみで構成され、その隙間から後方の槍兵が攻撃するという仕組みである。全力で敵をその場に釘付けにすることだけに専念するのだ。
最前列由盾兵组成,后方的矛兵通过缝隙发动攻击。他们尽力让敌人无法移动,专注于这一点。
後列からは比較的経験豊富なものが支援し、戦列が崩壊するのを防ぐという相手の攻撃を受け止め、じわじわと出血を強いることになる。
从后排中相对经验丰富的人员提供支援,以防止战线崩溃,并抵御敌方攻击,使其逐渐失血。
一方中央の部隊はと言えば、全軍の中でも選り抜きの精鋭が集められ、人質組及び上杉家譜代の臣とその兵士たちで固められている。
一方中央的部队则是全军中精锐的精英被选集结而成,包括人质组及上杉家的忠臣和他们的士兵。
極めて練度が高い将兵が揃っているというのに、武装は長槍と大盾という両翼の部隊と代り映えのしないものとなっていた。
尽管有高度训练的将士,但武装却变成了长枪和大盾作为两翼部队的代替,没有独特之处。
それでも静子謹製の鎧一式はひどく人目を惹いた。極彩色の陣羽織や目にも鮮やかな朱色の大鎧、兜の前立てもメッキが施されており、陽光を反射してまぶしく輝いている。
但是静子精心制作的一整套铠甲非常引人注目。彩虹色的战袍和鲜艳的红色大盔甲,头盔的护额也镀有镍,反射阳光,闪闪发光。
更には旗指物も大量に集められ、馬鹿でもここに大将が居ますよと一目で判る危険極まりない傾(かぶ)きっぷりを見せていた。
此外,还收集了大量的旗帜和指物,即使是傻瓜也能一眼看出这里有一位将领,显示出极其危险的倾斜状态。
この異様な陣立ては、景虎側にも即座に伝わったようで、本格的に刃を交える前の詞戦(ことばだたかい)に於いても、挑発的と受け取られたようで散々に詰(なじ)られた。
这种异常的阵容似乎也立即传到景虎那里,在真正交刃之前的词战中,也被视为挑衅,遭到了严厉的指责。
対する景勝側は卑怯者の貴様らにも、大将がここにいると示してやっているのだ、臆(おく)せずして掛かってこいと更なる挑発を重ねさえした。
对于景胜一方来说,他们向你们这些卑鄙小人展示了大将的存在,甚至重复挑衅让你们不要胆怯,来挑战他们。
ここまでされては景虎としても捨て置くことなど出来ようはずもなく、敵も主力を中央に集めて一点突破を図る魚鱗の陣形を敷いた。
既然已经到了这个地步,景虎即使想放弃也不可能。他的敌人也集中兵力形成了鱼鳞阵型,试图在中央进行突破。
「さて、互いに言葉は尽きた。これより我らは修羅となる。前田殿、お主とはいくさの後も盃を交わしたいものだ、ゆめゆめ死んでくれるなよ」
"现在我们已经说尽了话,接下来我们将成为修罗。前田大人,即使在战争结束后,我也想与您一起喝酒,绝不希望您死去。"
「そいつは無理な相談だ。生きるか死ぬかは天のさじ加減一つよ。なあにいずれ皆泉下に向かうんだ、先に逝った方はのんびり待てば良かろう」
“那是个无法解决的问题。生死由天决定,我们终将归于尘土。去世的人可以安心等待着其他人的到来。”
「至言よな。それでは前田殿の墓標には『天下無双の傾奇者、酒瓶片手に泉下で待つ』と刻ませて貰おう」
"这是至言。那么让我们刻上'天下无双的风流人物,手持酒瓶在泉下等候'在前田殿的墓碑上吧。"
「縁起でもない。生死は兵家の常なれど、生きて朝日を共に拝もうぞ」
“这不是个好兆头。生死是士兵家常事,但我们要共同朝拜旭日。”
兼続と慶次はそう互いに軽口をたたき合うと、掲げた拳を打ち合わせて分かれていった。
兼续和庆次相互打趣,握紧拳头相撞后分开。
因みに四六は本陣の最後尾、輜重(しちょう)隊(兵站を担う輸送部隊)の付近にとどめ置かれている。如何に武芸の腕を示そうとも、初陣で最前線に出すような真似は出来ない。
顺便说一下,四六是酒店的最后一名,被放置在后勤队(负责运输的运输部队)附近。无论展示武艺的熟练程度如何,都不能模仿初战时被派往最前线的行为。
いくさ場に立って、生き死にの場の空気を体験できれば良いと言う慶次の考えに拠るものだった。そして己が実際に人を殺したことがなく、いくさ場に於いて役に立てると思っていない四六はこれを快く受け入れた。
站在战场上,可以体验到生死场所的氛围,这是基于景次的想法。四六从没杀过人,也不认为自己在战场上有作用,但他接受了这个想法。
そして景虎軍及び景勝軍の双方がにらみ合い、張り詰めた緊張が頂点に達した頃、どちらからともなく法螺貝が吹き鳴らされ陣太鼓の音と共に景虎軍が動き出した。
然后景虎军和景胜军相互对视,紧张气氛到达了顶点。就在此时,从其中一方吹响了法螺,景虎军随着阵地鼓声开始行动。
横一直線に広がった景勝側の陣形に対し、一点突破を図ってか景虎率いる本隊を含む一団が中央突破を試みた。
在广阔的风景面前,对峙的队形一直保持水平直线。而景虎率领的队伍试图突破中央阵势。
景虎軍の騎馬を先頭に据えた突破力重視の突撃は、しかし景勝軍後方に陣取った鉄砲隊が互いに斜め前方を射撃した結果生まれた十字砲火ゾーンに呑まれた。
以景虎军的骑马部队为先导的重视突破力的冲锋被十字火力区域所吞噬,该区域是由驻扎在景胜军后方的铁炮队相互斜对角地进行射击造成的。
それでも十分な鉄砲を用意できなかったが為にいくらかの突破を許し、これが景勝軍の前線部隊へと襲い掛かった。
然而由于无法准备足够的火枪,导致允许了一些突破,这些突破攻击了景胜军的前线部队。
しかし、これに対する景勝軍の対処は狂気じみたものであった。時速数十キロで突進してくる人馬含めて三百キロを超える重量を地面に打ち立てた大盾と、長槍で迎え撃ったのだ。
然而,景胜军的应对方法是疯狂的。他们用长矛迎击,并用重达300公斤的大盾在时速数十公里的冲击中将人马击倒。
何人かの兵士はあえなく踏みつぶされ、無残な屍を野に晒すことになった。しかし、恐ろしいことにその大多数をその場に縫い留めたり、もしくは弾き逸らして勢いを削った。
一些士兵不幸被踩死,惨无人道地暴露在野外。但令人害怕的是,大多数人成功地留在原地或者躲开了攻击,削弱了敌人的力量。
この成果の裏には鋼鉄で補強された大盾と長槍にこらされた工夫があった。大盾には引き出し型の支持架が存在し、これを地面に突き刺して斜めに支持することで堅牢かつ強固な壁とすることが出来た。
这个成果的背后有用钢铁加强的大盾和长枪,有巧妙的设计。大盾上有可拉伸的支撑架,可以将其插入地面并倾斜支撑,从而形成坚固和稳固的墙壁。
更には長槍も西洋のパイクに学び、石突を地面に突き立てた上に兵士が上から踏んで固定し、人力の逆茂木(さかもぎ)とすることで馬を貫いたり、馬上の将を落馬させたりしたのだ。
而长枪也从西方的长矛中学来,它们能够插在地上并由士兵踩住以固定,形成一种人力反摩擦装置,用以穿透马匹或使骑马的将领摔下马来。
それでも大質量の打撃を受けたためか、左右両翼に対して中央が内側に凹んだ形となり、勢いに乗った景虎軍は一気呵成(かせい)に攻め寄せた。
但由于受到了巨大的冲击,导致左右两翼的中央向内凹陷,景虎军乘势发起了进攻。
混戦に持ち込まれてしまえば両翼からの火力支援も叶わず、兵数の多寡もあってか次第に奥へ奥へと中央部のみが押し込まれていく。
一旦陷入混战,就无法得到来自两侧的火力支援,加上兵力的优劣,逐渐被逼向内部。
中央部隊の前線を支える将兵は決死の奮闘で善戦するものの、じりじりと押し込まれてしまっていた。否、景勝軍の兵たちは互いに連携しながら巧みに後退を続けていたのだ。
支撑中央部队前线的将士们虽然奋勇抵抗,但他们逐渐被逼退。然而,景胜军士兵们却巧妙地互相协作,继续后撤。
しかし、目前に景勝の馬印を晒されては、自軍は前方に押し込んではいるものの、敵兵自体それほど損耗していないことについぞ気づくことが出来なかった。
然而,尽管自军一直向前推进,但却没有意识到敌军并没有遭受多大损失,此时景胜的马印已经到了眼前。
「よし! 良いぞ、この調子じゃ。大将首は目の前ぞ、首級を上げた者には望みの褒美を取らす!」
"好!干得不错。大将就在眼前,谁取得首级就有所期望的奖励!"
景虎も大声を張って兵を励まし、その勢いに乗って兵士たちも盛んに敵を攻め立てた。
景虎也高声鼓舞士兵,士气大振,士兵们也乘势奋勇攻击敌人。
そして絶望の檻は完成した。いつの間にか景虎軍は蛸壷(たこつぼ)のように入り口を狭めた包囲網の中に閉じ込められていた。
随后,绝望的牢笼便完成了。不知不觉中,景虎军被像章鱼缸一样缩小入口的包围网所困住了。
更に景勝軍両翼最後尾に伏せられていた工兵達の手によって、唯一の活路である壷の口は閉じられた。
而且,经过工兵们的努力,藏身于景胜军两侧最后方的他们顺手关闭了唯一的生路 —— 壶口。
尾張が誇る製鉄技術の粋で作られた画期的な新装備、木の杭に巻き付けられた有刺鉄線が張り渡され、援軍が駆けつけることも景虎たちが死地から逃れることも出来ない蓋となって立ち塞がる。
以尾张骄傲的钢铁制造技术创造的画期性新装备,有刺铁丝被张拉在木桩上,成为覆盖物,使援军无法赶到,景虎等人不能从死亡之地逃脱。
史実では第一次世界大戦に於いて塹壕戦で大々的に使用され、その有効性を証明した有刺鉄線はこの時代の人間の手には余るものであった。
历史上,在第一次世界大战的战壕战中,有刺铁丝网被大规模使用,并证明了其有效性,但对于当时的人来说,有刺铁丝网是一种过剩的东西。
細いが強靭かつしなやかな鋼線は、刀で斬ろうが槍で突こうが大きく破損させることが出来ない。手で隙間を広げようにも棘が刺さるし、そんな無防備な姿を敵が見逃してくれるはずもない。
细而坚韧又柔韧的钢丝,无论是用刀砍还是用枪刺,都无法造成大损坏。就算用手扩开缝隙,也会被刺扎,这种毫无防备的姿态敌人不可能会放过。
そして景勝軍両翼が左右から圧を掛け、今まで防御に徹してじりじりと撤退していた景勝軍本隊が反撃に転じたことによって形勢は完全に覆った。
场面完全被扭转,美景军两翼同时施压,从前一直保持防御、缓慢撤退的美景军主力队伍开始转为进攻。
「な、なんの音だ!?」
“什么声音?”
景虎は後方から聞こえる木製の杭を大槌で地面に打ち込むようなガンガンという音に気が付いた。
景虎听到了从后方传来的类似用大锤将木桩敲打入地面的轰隆声。
しかし、気が付いたところで既に手遅れであり、今更どうすることも出来ない状況に追い込まれた事が周囲から聞こえる悲鳴によって嫌でも知れた。
然而,当意识到时已经为时已晚,而且现在没法做任何事情的情况下,被周围的惨叫声所迫使不得不知道。
「ぎ、ぎゃー!! 押すな棘が刺さる!!」
"啊,啊呀!!不要推,会刺到荆棘!!"
「わしも後ろから押されておるのじゃ、下がれ下がれー!!」
「我也被后面推着呢,赶紧退后退后!!」
反転して攻めてくる景勝軍と、左右両翼の部隊に押しつぶされ、縦に伸びた景虎軍の本隊は逃げる兵士が、鉄条網にほかの兵士を押し付けるという地獄絵図のごとき様相を呈していた。
反转攻击的景胜军,以及左右两翼的部队向下压,导致纵队的景虎军逃兵把其他士兵推到铁丝网上,形势宛如地狱画面。
気が付けば優位な状況から一気に死地に囚われていた。景虎からすれば悪夢そのものの状況だが、その悪夢は刻一刻と凄惨さを増していく。
转眼间,我们从占据优势的局面一下子陷入了死地。对景虎来说,这种情况就像是恶梦成真,而这个恶梦却越来越残酷。
それでも残された手勢を纏めて部隊を立て直し、敵の薄い個所を目指して一点突破を図ろうとしていた景虎の横顔に血飛沫が掛かった。
尽管如此,血花飞溅在景虎的侧脸上,他仍然组织残余手下重新建立部队,试图突破敌人薄弱的地方。
見れば虎柄の陣羽織を血に染めた武者が、見たことも無い巨大な刃を持つ長柄の武器を振り回し、兵士の首を刎ね飛ばしたところであった。
看到一名穿着虎纹阵羽織、染满鲜血的武士,手持一把从未见过的巨大长柄武器,挥舞着斩断士兵脑袋的那一幕。
それは長巻きと呼ぶには分厚く無骨な大鉈じみた刃を先端に具(そな)えた武器を振るう慶次の姿であった。
那是景次挥舞着一种配有厚重和不精致的大斧头一样的刃的武器的模样,这种武器不合适称为长卷。
「おっと、大将首を見つけたぜ。敵将景虎ここにありだ。お前ら踏ん張れ!」
“哦,将军,我发现敌将景虎的头了。他就在这里。大家挺住!”
そう叫ぶと慶次は得物を大きく薙ぎ払った。旋風の如き斬撃が走ると、刃の進路上にいた兵士が巻き込まれてボウリングのピンのように飛ばされる。
这时,景次大喊一声,挥舞着武器,大力地扫过去。犹如旋风一般的斩击扫荡而过,站在武器路径上的士兵像保龄球瓶一样被击飞。
慶次の切り開いた空間へとすかさず走り込んだ景勝軍の兵士が、景虎へと通じる道を塞ごうと押し寄せる景虎軍を押しとどめた。
庆次创造的空间被景胜军的士兵迅速冲入,阻拦通往景虎的道路的景虎军迎面而来,但被景胜军抵挡住了。
そうするうちにも左右から掛けられる圧力は増し、景虎を守る手勢は次々と討ち取られていく。
在这样的情况下,从左右两侧施加在景虎身上的压力越来越大,保护景虎的手下接连被击倒。
そして遂に景勝軍の兵士が景虎へと迫ると槍を突きつけた。景虎を押さえられた景虎軍の兵士も投降し、景虎の馬印が下され景勝のものが掲げられる。
最终,景胜军士兵持枪逼近景虎,将枪指向他。被抓住的景虎军士也投降了,景虎的马旗下降,景胜的旗帜升起。
こうして勝敗が決し、本陣が落とされたことを知ったほかの部隊も次々と武器を捨てて投降していった。
这样一来,当胜负已经决定并且主营被攻破时,其他部队也纷纷扔下武器投降了。
武装を解除され腰縄を打たれた状態で座らされていた景虎の許へ、兼続を伴った景勝が現れた。
在武装解除并被绑起的状态下被安置在景虎面前,景胜带着兼続露面了。
「勝敗は決した。沙汰は追って御実城(おみじょう)様が下されよう。今しばしおとなしくしておれ」
胜负已定,将有望明宫官(おみじょう)裁决。请暂时保持安静。
「ふっ……戯言(ざれごと)を。国盗りを夢に見、それが破れたならば沙汰を待つまでもない!」
「呵……只是无稽之谈而已。梦想着夺取国家,若是破灭了也不必等待裁决!」
越後を簒奪(さんだつ)せんと蜂起した景虎の夢は破れた。我が身惜しさに沙汰を待つような生き恥を晒すことは景虎の矜持が許さなかった。
越后为篡夺而发动起义的景虎的梦想破灭了。景虎不允许自己遭受像等待处决一样的耻辱,这违背了他的骄傲。
「ならば腹を切れい! 介錯はわしが務めてやろう」
"那就剖腹吧!我会替你执行介错的任务。"
「忝(かたじけな)い」
"忝(かたじけな)い" in Simplified Chinese is "惭愧不安".
景虎はそれだけ口にすると鎧を外し、上衣をはだけると景勝から投げ渡された刃を腹に突き立てた。
景虎说了这些话后,他脱下了盔甲,解开了上衣,并将景胜传递给他的刀扔到了地上,然后将刀刺入了自己的肚子中。
漏れそうになる苦鳴を押し殺し、口の端から血を零しながらも真一文字に腹を掻っ捌いて見せる。
压抑住即将喊出来的惊叫,嘴角溢出鲜血,却依旧毫不畏惧地直起身体,将肚子狠狠地抓挠了一番。
「お見事。後のことは任されよ」
"干得好。接下来的事情交给你了"
それだけを告げると、景勝は景虎の首めがけて刀を振り下ろした。景勝は配下に命じて景虎の首を清めさせ、丁寧に風呂敷で包むと用意してあった木箱に収めた。
只说了这句话,景胜便朝着景虎的脖子挥下了刀。景胜让手下清洗了景虎的头颅,然后把其仔细地用手绢包好,放入了预先准备好的木盒中。
こうして越後の龍こと上杉謙信の後継者を決めるいくさは景勝の勝利で幕を閉じた。
如此一來,決定越後龍即上杉謙信的繼承人之戰以景勝的勝利作為結束。
東国の情勢は目まぐるしく変化していた。戦国最強と謳われた武田家はわずか一月で滅び、上杉家にて勃発したお家騒動もたちどころに鎮火させられてしまった。
东国的情势正在迅速变化。被誉为战国最强的武田家族在短短一个月内灭亡,而在上杉家族爆发的家族争端也很快就被平息了。
これらに対して運命共同体であるはずの北条は沈黙を保っていた。正確には手を打とうとしていたのだが、方針を決めあぐねている間に決着がついてしまったのだ。
与这些人命运共同体的北条保持沉默。准确来说,他本来想采取行动的,但在决定方针的过程中犹豫不决,结果错过了时机。
内情を知らないものからすれば、次に織田家が目指すのは北条であるのは明白であり、何ら動きを見せない北条に対する不信感を募らせている。
对于不知道内情的人来说,明确的是織田家接下来的目标是北条,而北条没有任何动静却引起了对他们的不信感。
中でも蘆名(あしな)、伊達(だて)、最上(もがみ)の三家は焦っていた。北条家が音頭を取り、反織田として協力していたため、今のままでは遠からず織田の手が己に及ぶやも知れぬと恐怖した。
其中特别焦急的是芦名家、伊达家、最上家三家。由于北条家带头,与織田家对抗并合作,他们感到恐惧- 如继续这样下去,織田家的手很快可能会伸向他们。
それでも三家は明確に織田家に対して反旗を翻したわけではない。単に勝ち馬となりそうな北条に味方していただけであり、北条に勝ちの目が無いのであれば次なる勝ち馬に乗らなければならない。
然而,三家并没有明确地对织田家掀起叛乱。他们只是支持似乎是胜利者的北条,如果北条没有获胜的机会,他们就必须转向下一个可能胜利的人。
それは即ち、織田家への寝返りだ。しかし三家とも信長の苛烈な性格は把握しており、なんの手土産もなしに寝返りを打診したとて到底受け入れては貰えまい。
这意味着,他们要叛变给織田家。但是,三家都知道信长残忍的性格,并且即使没有任何好处提出叛变,也绝不会被接受。
各々が自分の血を残すため、生き残る術を模索していた。
每个人都在探索生存之道,为了留下自己的血脉。
「思った通り同盟が崩壊したね」
“想象中的同盟瓦解了呢”
静子は真田昌幸の齎した北条に関する調査報告書に目を通しながら呟いた。東北の三家に限らず里見や佐竹も動揺しているようだ。無論、こちらからも外交を通じて揺さぶりをかけているが、それにしても結びつきが脆すぎた。
静子看着由真田昌幸送来的北条调查报告书,喃喃自语。不仅是东北的三个家族,里见和佐竹也似乎感到不安。当然,虽然我们也通过外交施加了压力,但它们之间的联系还是太脆弱了。
反織田同盟の要である武田、北条の片翼が失われた途端、利害のみによって成り立っていた同盟はたちどころに崩壊した。
反织田同盟的要角武田和北条的一方在失去后,仅基于利益的同盟立刻瓦解了。
同盟を脱した面々はそれぞれが保身に走っており、この分では柴田が率いる小田原攻めでは北条だけを相手取れば良いことになりそうだと静子はほくそ笑む。
退出同盟的人都在为自己的保全而奔波,从这个角度来看,静子想在柴田率领的攻打小田原的时候,只需对付北条一方,似乎非常容易实现。
「俺たちが攻め込む前に勝手に滅ばれては困るぞ」
"我们攻进去之前你们自己灭掉就不好了。"
湯呑から茶を啜りながら信忠が呟く。気楽に構えている信忠を見て静子は頭が痛くなった。
当信忠啜茶时低声喃喃自语,看到信忠轻松的姿态,静子感到头痛。
静子は信長と信忠の親子喧嘩に関しては不干渉を貫き距離を置いていたのだが、渦中の人物である信忠が松姫を伴って静子邸へと押しかけてきたため、否応なしに巻き込まれてしまった。
静子本来不想干涉信长和信忠的亲子争吵,保持距离。但由于身处其中的信忠带着松姬闯进静子的家,不得不被卷入其中。
蟄居中であるとは言え、信忠に尾張まで押しかけられては岐阜に帰れとは言えないため、閉門していた門を開いて彼らを招き入れることになる。
即使处在隐居中,但也不能对信忠说“你已经来到尾张,回到岐阜吧”,因此不得不打开关闭的门,邀请他们进入。
これに対して意外にも信長は何を言うでもなく静観を保ち、静子からの問い合わせに対し「馬鹿息子の頭を冷やしてくれ」とだけ返していた。
然而,令人意外的是,信长并没有做出任何评论,保持了沉默,对静子的询问只回复了“让那个愚蠢的儿子冷静下来”。
明確な指示を得られなかった静子は、とりあえず二人を客間に通して客人として遇することにする。
静子没有得到明确的指示,所以她决定先将这两个人当作客人,并把他们带到客厅。
そうして信忠は尾張から政務をこなしつつ、時ならぬ休日を満喫していた。今も松姫に膝枕をして貰いながら、静子が読み終えた報告書に目を通している。
这样,信忠在处理政务的同时,也在享受不合时宜的休息日。他现在正躺在松姬的膝头,看着静子读完的报告书。
「意地を張ってないで上様に謝ったら? それが出来ないうちは、北条攻めに君の居場所はないよ」
"不要固执,向上大人道歉,否则你就没有在北条攻打中的立足之地了。"
「おいおい、それはないだろう。俺は東国征伐の総大将だぞ? 北条攻めの指揮は柴田がとるにせよ、俺が参戦しないことはあり得ないはずだ」
“喂喂,那是不可能的吧。我是东国征伐的总大将啊?虽然北条攻略的指挥由柴田负责,但我不参战是不可能的。”
「不満があるなら上様に言ってね。朱印状で届けられた正式な命令だから。織田家の屋台骨を揺るがす騒動を起こしたままの君には、総大将を任せておけないと思われたのかもね」
如果有不满的话,请向上様诉说。这是一份由朱印状正式下达的命令。持续制造让織田家大乱的骚动,可能会让人觉得你不能担任总指挥。
「なんてこった……」
“该死……”
信忠は悄然と項垂れる。彼の目論見では北条攻めでも出色の手柄を立て、信長の後継者に相応しい人物であると内外に知らしめるつもりであった。
信忠默默低下头。他的目标是在北条攻击中展现出色的成绩,展示他是适合继承信长的人选,并在内外广为人知。
しかし、その機会は他ならぬ信長の手によって奪われてしまった。この状況から信忠が北条攻めに参戦するには、織田家の継承問題を揺るがしたことに対して決着をつけねばならない。
然而,这个机会却被信长夺取了。为了参加对北条的进攻,信忠必须解决織田家的继承问题,这是由于他动摇了稳定性。
「ねえ、どうして正室に拘ったの? ここ数日様子を見ていたけれど、松姫が自分から正室の立場を欲したようには思えないんだけど」
“嘿,你为什么要钦定正室呢?我观察了这几天,感觉松姬并不是自己想要成为正室,你怎么看?”
「他言するなよ? 俺は静子だから信じて話すのだ。俺の配下にいる諸将から松を側室ですらない妾(めかけ)にするよう具申されたんだ……」
"你别说了吧?我是静子,你可以相信我说的话。我的部下们向我建议把松做为做不成嫔妃的女孩子……"
さすがの静子も思わず息を飲んだ。亡国の姫とは言え、今後も統治を行う旧武田領の民にとっては大恩ある信玄の忘れ形見である。
顿时连静子也不禁倒吸了一口凉气。虽说已成为亡国的公主,但对于今后仍将统治在旧武田领地上的人们来说,信玄留下的遗产可是无比重要的恩惠。
彼女を側室として遇することで民たちの心証はぐっと良くなり統治もしやすくなるだろう。それを押してまで松姫を貶める必要があるのだろうか?
以她为侧室对民心的影响将会得到显著提升,治理也将更加得心应手。那么,是否有必要牺牲松姬的名誉来实现这一点呢?
長年宿敵としていがみ合ったがゆえに、命のやり取りが生じた結果、身内を殺された等の軋轢はあるだろう。
长年以来作为宿敌互相仇恨,造成了生命危险并导致了亲属被杀害等矛盾。
しかし、いくさをする以上は生き死には当然のことであり、こちら側も相当数の敵方を殺傷している。その程度はいくさの不文律として受け入れているはずである。
然而,如果要打仗,生死就是必然的,我们这边也已经杀死了相当数量的敌人。这种程度应该是作为战争的默契被接受的。
「いってえ!」
"不好!"
静子が考え込んでしまったため、手持無沙汰になった信忠は静子がまだ目を通していない書類を抜き取ろうとした。
由于静子陷入沉思,使信忠无事可做,于是他试图拿出静子还没有阅读的文件。
しかし、信忠の手が書類を掴む前に静子がいつの間にか取り出した扇子で信忠の手の甲を叩いて暴挙を阻止した。
然而,静子在信忠抓住文件之前,用她悄悄取出的扇子敲打信忠的手背,阻止了他的暴行。
「勝手に触らない!」
“别乱碰!”
「考え込んでるようだったから、少しでも仕事を進めてやろうと思ってだな……」
「看起来在想些什么,所以我想着就算让工作稍微进展一点也好……」
「思ってもないことを言わない。興味があるのはわかるけど、私が見る前に覗くのは越権行為だからね。私が良いと判断したものだけになさい」
“不要说没想过的话。我知道你有兴趣,但在我看之前偷看是越权的行为。请只挑我认为好的东西。”
そう言うと静子は報告書の入った文箱を片づけ、背後に控えていた小姓に預けて隣室へと下がらせた。
这时静子收拾好装有报告书的文件箱,交给站在身后的侍从,让他放到隔壁房间。
「それで松姫を妾にするよう進言された君はどうしたの?」
"那么,当你被建议成为松姬的妾时,你做了什么?"
「それが思ったよりも大勢いてな、このまま放置しては松の身が危ういと思い、逆に正室にすると表明することで父上の耳にも入るようにしたのだ」
“比我想象的人数要多,我担心这样放任不管,就会危及到我家的地位,所以决定公开让父亲知道,反而让她当上正室。”
「なるほどね。問題を大きくすることで逆に暗躍できないようにしたんだ。でも、それならそうと先に根回しをしておかないと……」
“原来如此。通过扩大问题反而无法秘密行动。但是,这样的话需要提前进行内部协调才行……”
「差し迫った脅威があったんだ。俺が松の傍を離れることすら躊躇われるほどにな」
「有迫在眉睫的威胁。我变得犹豫不决,甚至不敢离开松树旁边。」
「そうだったんだ。それじゃあ、私から上様に口利きをしてあげるから、素直に皆の前で謝罪なさいな」
“原来如此。那么,我会替您向上様说好话,你就诚实地在大家面前道歉吧。”
「他言するなと言ったはずだ!」
“我应该说过了不要说闲话!”(Simplified Chinese)
「そんなことを言っていられる状況じゃないの。このままだと上様としても君を廃嫡しなくちゃいけない処まで追い込まれているんだよ?」
“现在说这种话的情况不行啊。如果继续这样下去,即使是上位者也不得不抛弃你,让你被废除继承权。”
「そうは言うがな、男が一度口にしたことを曲げるなど……」
“虽然你这么说,但男人一旦说出口的话就不会轻易改变......”
「黙らっしゃい! 頭を下げたところで君の値打ちが下がるわけじゃなし、意地を張って死ぬことに何の意味があるの? 松姫も道連れになるんだよ?」
“闭嘴!低头并不会降低你的价值,倔强地去死有何意义?松姬也会随你而去!”
そう言われては信忠としても返す言葉がなく、口惜し気に押し黙った。それに気を良くした静子が、己の胸を軽く叩いて請け負う。
被这样说,即使是作为信忠的我也无话可说,只能失落地保持沉默。静子因此而感到高兴,轻拍了一下自己的胸口表示愿意承担。
「ここはこの静子お姉さんに任せておきなさい」
“这里就交给这位静子姐姐了。”