日本小4课文:白色的帽子【久我Masahi的日语课堂】#44

白い帽子(白色的帽子)
作者:あまん きみこ
「これは、レモンの匂いですか。」堀端(ほりばた)で乗せたお客の紳士が、話し掛けました。(“这是柠檬的气味吗?”在水渠旁上车的绅士搭话道。)
「いいえ、夏蜜柑ですよ。」信号が赤なので、ブレーキをかけてから、運転手の松井さんは、にこにこして答えました。(“不,这是夏橘。”因为是红灯,司机松井刹住车后笑嘻嘻地回答道。)
今日は、六月の初め。(今日是六月初。)
夏がいきなり始まったような暑い日です。松井さんもお客も、白いワイシャツの袖を、腕までたくし上げていました。(这天天热得仿佛夏天一下子到来了。松井和乘客都把白衬衫的袖子卷到了手腕处。)
「ほう、夏蜜柑てのは、こんなに匂うものですか。」(“嚯,夏橘是这么香气扑鼻的吗?”)
「もぎたてなのです。昨日、田舎のお袋が、速達で送ってくれました。匂いまで私に届けたかったのでしょう。」(“因为这是刚摘下的。昨天我妈从乡下给我寄快递寄来的。是想把气味也寄给我吧。”)
「ほう、ほう。」(“是吗,是吗。”)
「あまり嬉しかったので、一番大きいのを、この車に載せてきたのですよ。」(“因为我太高兴了,所以把最大的夏橘载到了车上。”)
信号が青に変わると、沢山の車が一斉に走り出しました。その大通りを曲がって、細い裏通りに入った所で、紳士は下りていきました。(信号灯一变绿,众多的车一起开动。在大马路拐弯后,在进入狭窄的小巷的地方,绅士下了车。)
アクセルを踏もうとした時、松井さんは、はっとしました。「おや、車道のあんなすぐ傍に、小さな帽子が落ちているぞ。風がもう一吹きすれば、車が轢いてしまうわい。」(松井刚想踩油门的时候,惊讶道:“哎呀,在距离车道旁那么近的地方掉落了一顶小帽子。风再吹一下的话,就要被车碾到了。”)
緑が揺れている柳の下に、可愛い白い帽子が、ちょこんと置いてあります。松井さんは車から出ました。(一顶可爱的白色帽子被孤零零地放在绿柳飘扬的树下。松井下了车。)
そして、帽子を摘まみ上げた途端、ふわっと何かが飛び出しました。(然后,松井把帽子捏起的瞬间,有什么东西飘出来了。)
「あれっ。」(“哎呀。”)
紋白蝶(もんしろちょう)です。慌てて帽子を振り回しました。そんな松井さんの目の前を、蝶はひらひら高く舞い上がると、並木の緑の向こうに見えなくなってしまいました。(是纹白蝶。松井急忙挥舞帽子。在松井的眼前,蝴蝶翩翩高舞,飞到绿色行道树的对面,渐渐看不到了。)
「ははあ、わざわざここに置いたんだな。」帽子の裏に、赤い刺繍糸で、小さく縫い取りがしてあります。(“啊,是故意放在这里的啊。”帽子的里侧,用红色的刺绣线绣着小小的字。)
「たけやまようちえん たけの たけお」(“Takeyama幼儿园 Takeno Takeo。”这里的名字就不翻译成汉字的形式了。)
小さな帽子を掴んで、ため息をついている松井さんの横を、太ったお巡りさんが、じろじろ見ながら通り過ぎました。(松井抓着小小的帽子叹气,发福的巡警从他旁边走过时目不转睛地看着他。)
「折角の獲物がいなくなっていたら、この子は、どんなにがっかりするだろう。」(“好不容易抓到的蝴蝶不见的话,这孩子该有多么失望啊。”)
ちょっとの間、肩をすぼめて突っ立っていた松井さんは、何を思いついたのか、急いで車に戻りました。(缩着肩在原地呆立了一会儿的松井想到了什么,赶紧回到车上。)
運転席から取り出したのは、あの夏蜜柑です。まるで、暖かい日の光をそのまま染め付けたような、見事な色でした。酸っぱい、いい匂いが、風で辺りに広がりました。(松井从驾驶座取出的是那个夏橘。夏橘就仿佛直接染上了温暖的阳光般色彩漂亮。酸酸的香味被风刮散到周围。)
松井さんは、その夏蜜柑に白い帽子を被せると、飛ばないように、石で鍔(つば)を押えました。(松井把白色帽子盖在了夏橘上,为了防止帽子被吹跑,用石头压住了帽檐。)
車に戻ると、おかっぱの可愛い女の子が、ちょこんと後ろのシートに座っています。(松井回到车上时,一个短发的可爱女孩,轻轻坐到了后座上。)
「道に迷ったの。行っても行っても、四角い建物ばかりだもん。」疲れたような声でした。(“我迷路了。无论怎么走,到处都只有四方形的建筑。”听上去,似乎是很疲惫的声音。)
「ええと、どちらまで。」(“那个,你要到哪里?”)
「え。—ええ、あの、あのね、菜の花横町ってあるかしら。」(“诶,哎,那个,那个呢,在油菜花的小巷那里吧。”)
「菜の花橋のことですね。」(“是油菜花桥吧?”)
エンジンをかけた時、遠くから、元気そうな男の子の声が近付いてきました。(松井发动引擎的时候,从远处渐渐传来了精力充沛的男孩的声音。)
「あの帽子の下さあ。お母ちゃん、本当だよ。本当の蝶々が、いたんだもん。」(“就在那个帽子的下面。妈妈,是真的。真的蝴蝶在里面。”)
水色の新しい虫取り網を抱えた男の子が、エプロンを着けたままのお母さんの手を、ぐいぐい引っ張ってきます。(抱着新的天蓝色捕虫网的男孩用力拉着仍旧穿着围裙的母亲的手。)
「僕が、あの帽子を開けるよ。だから、お母ちゃんは、この網で押えてね。あれっ、石が乗せてあらあ。」(“我要把帽子打开了哦。所以,妈妈,按住这个网。诶,石头在帽子上。”)
客席の女の子が、後ろから乗り出して、せかせかと言いました。「早く、おじちゃん。早く行ってちょうだい。」(坐在客席上的女孩从后面探出身体,急急忙忙催促道:“快一点,叔叔。快点出发。”)
松井さんは、慌ててアクセルを踏みました。柳の並木が、見る見る後ろに流れていきます。(松井急忙踩起了油门。眼看着街道边的柳树渐渐朝后移去。)
「お母さんが、虫取り網を構えて、あの子が帽子をそうっと開けた時—。」と、ハンドルを回しながら、松井さんは思います。「あの子は、どんなに目を丸くしただろう。」(“妈妈拿着捕虫网,那个孩子把帽子轻轻打开的时候……”松井一边转动着方向盘,一边想道,“那孩子会怎样目瞪口呆呢?”)
すると、ぼかっと口をOの字に開けている男の子の顔が、見えてきます。「驚いただろうな。魔法の蜜柑と思うかな。何しろ、蝶が化けたんだから—。」(于是,松井似乎看到了男孩把嘴张大成O字形的表情。“一定很惊讶吧。会觉得那是有魔法的橘子吗?毕竟蝴蝶变成了橘子。”)
「ふふふっ。」独りでに笑いが込み上げてきました。でも、次に、「おや。」(“哈哈哈。”松井自然而然地笑了起来。然而,紧接道,“哎呀。”)
松井さんは慌てました。バックミラーには、誰も映っていません。振り返っても、誰もいません。(松井慌张了。后视镜里没有照出任何人。回头看去,也一个人都没有。)
「おかしいな。」松井さんは車を止めて、考え考え、窓の外を見ました。(“好奇怪啊。”松井把车停下,想着想着,看向了窗外。)
そこは、小さな団地の前の小さな野原でした。(那里是小住宅区前面的一小片野地。)
白い蝶が、二十も三十も、いえ、もっと沢山飛んでいました。クローバーが青々と広がり、綿毛と黄色の花の交ざった蒲公英が、点々の模様になって咲いています。その上を、踊るように飛んでいる蝶をぼんやり見ているうち、松井さんには、こんな声が聞こえてきました。(有甚至二十、三十只的白蝴蝶,不,有更多的蝴蝶在飞舞。绿色的三叶草遍地开去,混杂着冠毛和黄色花朵的蒲公英一点点地点缀着绿地。松井心不在焉地看着在绿地上空飞舞的蝴蝶时,听到了这样的声音。)
「よかったね。」(“太好了。”)
「よかったね。」(“太好了。”)
「よかったね。」(“太好了。”)
「よかったね。」(“太好了。”)
それは、シャボン玉の弾けるような、小さな小さな声でした。(这是如同肥皂泡破开一般的细小的声音。)
車の中には、まだ微かに、夏蜜柑の匂いが残っています。(车中还微微残留着夏橘的气味。)

词汇
たくし上げる:挽起、卷起
匂う:有香味、发香;颜色鲜艳漂亮
もぎたて:刚摘下
ちょこん:比喻独自一个显得拘谨、孤单;轻轻地、稍稍、很快地
ひらひら:(轻薄柔和的物品随风)飘舞、飘扬、翩翩飞舞;指花边类的轻飘物
縫い取り:刺绣、刺绣的花样
すぼめる:收缩、折拢
込み上げる:往上涌、涌出;作呕;(胸腹部)突然剧痛
弾ける:裂开、绽开;成熟后绷开

作业
1.读课文
2.思考课文相关问题:

3.阅读诗歌:
