《涼宮ハルヒ——その全て。》 ——「賀東招二x谷川流」対談(日语原文先行版)
写在开始,本篇对谈与《Someday in the Rain》剧本一样,刊载于《ザ・スニーカー2006年8月号》,严格来说是连着的,翻过剧本就是对谈,另外这就是与杂志平行发售的《凉宫春日の公式》(2006年08月25日初版发售)上那篇对谈“完全版”的删减版(低情商),或者说先行版(高情商),看过那个的就不用看了。这里只是为了记录一下版本,让人明白完全版完全在哪里。说起来,这样的话标题是不是该改成《涼宮ハルヒ——その半分以下》(笑)

涼宮ハルヒ——その全て。

「サムデイ イン ザ レイン」、そして「射手座の日」。
各話で、それぞれ違った面を見せてくれるアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の中でも、この二つには共通項ある。それは、原作者である『谷川流』、そして「フルメタル・パニック!」でお馴染みの『賀東招二』という『作家』が脚本を担当したということ。『作家』でありながら『アニメの脚本』という似て非なるものを体験した、ライトノベルの二大巨頭が贈る「涼宮ハルヒの憂鬱」とは——。
朝比奈みくるの誘惑

賀東 まず最初に、なぜ私がこの場にいるのかということを(読者に向けて)お話ししますと、京都アニメーションさんの絡みでハルヒの脚本をやってみないかというお誘いを頂きまして。二つ返事で引き受けて、『射手座の日』というエピソードを、僕の脚本と京アニのスッタフ武本さんのコンテでやったんですね。同し京アニのアニメ『フルメタ』のコンビでやってみようという、サプライズ企画だったんですが。
谷川 いっそ『フルメタ』を1話やれなばいいじゃないかって、僕は言ってたんです(笑)。ハルヒと思って観てたら一話まるまる『フルメタ』だったみたいな。
賀東 ボン太くんは出したかったなって気はしますけどね(笑) それで、なぜ「射手座の日」を僕がやったのかというと、単純に戦闘の描写があったからではないかと(笑)
谷川 構成会議で「脚本は誰に頼みます?」という話になったときに、賀東さん書いてくれないかなという話をしまして、じゃあ賀東さんでみたいな。
賀東 やっぱり簡単に決まったんじゃないですか(笑)
——構成会議の場で、脚本に作家の名前が挙がるのは、わりと珍しいんじゃないでしょうか?
賀東 単純に京アニの人たちと、普通に仲いいだけなんで(笑)
谷川 (『ハルヒ」と『フルメタ』で)スタッフも大いにかぶってますし。
賀東 あと、同世代で話もよく合うし、結構気楽にひょいっと決まった感じが。まぁ、富士見の編集さんは、渋い顔でしたけど(笑)
谷川 その際は、お手数をかけまして。
賀東 ほんとはもっとやりたかったんですけどね(笑) それで、まず一番に聞きたいのは、『ハルヒ』のアニメシリーズの不思議な構成についてなんですけど、どんないきさつで?
谷川 『憂鬱』のラストを最終話にするということが決まったんですけど、じゃあ間のエピソードはどうするんだと。短編エピソードを挿入するしかないんだけど、時系列がゴチャゴチャになりますよね。それをどう解消しようかというときに、もうそのまま、あえて説明せずに時間を飛ばすということで。
賀東 思い切ったことをしたなと誰もが感じたと思いますが、不安はありませんでした?
谷川 そりゃさすがに多少は。「やっちゃった!」という感じで(笑) でも、「朝比奈ミクルの冒険』を第1話にする誘惑からは、逃れ得なかったですね。
計算の上に築かれたメチャクチャさ加減

賀東 その第1話なんですが、最初に(こうしようと)言い出したのは誰なんですか?
谷川 たぶん、何割かは僕なんです。
賀東 (笑) じゃあ、みんなで共犯なんですね、あれは。
谷川 第1話の選択肢として、普通に『憂鬱』の冒頭からってのもあったと思うんですけど、これから時系列がゴチャゴチャになるのに第1話をマトモにしても、これはかえって不親切だろうと。最初から〝メチャクチャになる〟ということを明示しておいた方がいいなと、少なくとも僕は考えました。
賀東 確かにメチャクチャですもんね、最初から。
谷川 一応、計算されているというエクスキューズはあるんですけど。
賀東 計算されたメチャクチャだと(笑)
谷川 決してサイコロ振って決めたわけでなく。
賀東 僕はどういうことやるのか、あらかじめ聞いはいてたんですけど、本放送のときにテレビ見て「やりやがった!」と思いましたよ(笑)
谷川 まぁ「みんみんミラクル」(※1)には確かに。
賀東 あの歌が、また強烈なんですよね。頭から離れないんですよ。
谷川 (歌を)全部覚えてしまいましたよ。
賀東 「おしゃまなキューティー」とか「カモン、レツツ・ダンス」とか、ダサダサなフレーズをちゃんと狙って持ってこれるところがまた。作詞が総合演出の山本さんなんですけどね(笑) どうですか聴いてみて?
谷川 素晴らしい電波ソングです。一回聴いたら忘れない。あれは歌っている声優の後藤さんも素晴らしいですね。
賀東 ああいう(第1話で描かれている)自主制作映画とかを、昔作ったりはしたんですか?
谷川 高校時代に1本くらい、文化祭で作ったのがあって。
賀東 やっぱり経験あるんだ。山本さんも大学時代に、結構その筋で有名な自主制作映画をやってた方でして。僕は「バタン、プー」(※2)が、かなりツボだったんですけどね(笑)
谷川 あのへんもまぁ、自主制作映画ならこれくらいあるだろうって。古泉がレフ持ってるのが映っちゃったりとか。
賀東 ほんと手間暇かけて、音とかも凄かったですよね。
谷川 そうですね。微妙に入ってなかったり、つながってなかったり。
賀東 ミクルビームのときに、ちゃんと音がブツ切れになるところとか、まためんどくさいことをと(笑) あと、同じテーマソングを何度も使っちゃうところとか。
谷川 なにもそこまでチープにしなくてもいいだろうってくらい、チープですよね。
『ハルヒ』の中には偉大な作品の血が?

賀東 監督の石原さんからは「こうやりたい」みたいのはなにかありましたか?
谷川 石原さんがおっしゃってたのは、たとえばキャラがデフォルメされないとか、わかりやすい漫符(※3)が出ないとか。そういうところにもこだわってらっしゃいました。
賀東 第1話で、ああやってチープさ加減をさんざん見せたあとに、いきなりエンディングでうねうね動くダンスを見せられて、それでみんなやられちゃったのかなって感じなんですけど。
谷川 やられちゃったんですかね?構成について言えば、本来ならば、最初から(時系列順に)順繰りにやればいいんんですけども、『憂鬱』のラストを最終話に持って来るという前提条件があったから。まさか、『憂鬱』の話を十数話も続けられないので、そういうところから派生したわけですね。最初に先行するエピソードをやって、回想で『憂鬱』の話をするというアイヂアもあったと思うんですけど、それよりは入れ子方式でやってしまおうではないかということで、何度か会議している間に決まったという感じですね。
賀東 原作のプロットそのものを改変しちゃうような案は出たんですか?例えば、基本は『憂鬱』の流れなんだけど、SOS団が揃うまで早めにやっちゃって、その後に普通の短編エピソードを入れ込んでみたいな。
谷川 それは、僕がちょっと嫌だった。やっぱり、後のエピソードというのは、『憂鬱』が終わってから発生しているので、キャラクターの心情とかが変わっちゃう。『憂鬱』を踏まえてということだから、時間軸上で短編を先に持ってくると、おかしいことになっちゃうんですよね
賀東 そこは難しいですね。そうするとやっぱり、いまのような形にならざるを得ないと。
谷川 結果的になったって訳ですね。最初からこの形を目指していた訳ではないかな。僕は『Vガンダム』(※4)の第1話とか大好きだし、面白いんじゃないかとか思いまして(笑)
賀東 僕も『ダグラム』(※5)の第1話好きですから(笑) いまの若い人にはわかんないかなぁ?でも『ダグラム』、『Vガンダム』を継ぐ血統なんですよハルヒは(笑)
谷川 そこまで無茶なことはやってませんよ(笑)
小説と脚本のし違い

賀東 谷川さんも脚本を担当されましたが、やってみていかがでしたでしょっか?
谷川 正直、見よう見まねでやったので、いいのかどうなのかわからないところが、いまだにありますね。それに、僕のはオリジナルエビソードなので、元からあった話を脚本化するという訳ではないので、そのへんの苦労も僕はしていないように思います。どの脚本も、縮めたり削ったりちょっと増やしたりしないといけないとかあるんですけど、僕の場合は最初から最後まですーっと書いちゃいましたから。
賀東 そうなんですよね。確かに原作をいじると、削ったり組み替えたりとかが、とても多くなるじゃないですか。加えて、ちょっとアニメ映えするところをボリューム増やしたりとか。
谷川 そうですね。
賀東 自分がやった脚本の話ですと、人様の作品の脚本というのは初めてだったので、なかなか楽しかったですね。そういう立場でやってみると、原作をどの程度活かすかとか、このへんは変えちゃうとか削るかとか迷いまして。自分の作品の脚本やるときは、削る場所なんて「俺が削るんだからどこでもいいだろう」ってくらいのものなんですけど、やっぱり人様の作品ですから、そのへん気を使って悩んだりはしましたね。まぁ面白かったですけども。
書いていくと、だんだんキャラクターがかわいくなってきますしね。僕はキョンが大好きでしてね。
谷川 それはありがたいことです。
賀東 キョンがもっと目立ちまくる話とか、自分でやってみたいですね。キョンと古泉だけ出てくるロードムービーっぽい話とか、なんか面白そう。
谷川 プロット下さいよ(笑)
——小説を書くときとアニメの脚本で、発想が変わったりとかはありますか?
賀東 とりあえず、入浴シーンとか長くしようとか(笑)小説でお色気描写って、書いてる本人もたいして楽しくないじゃないですか。
谷川 まあ、実際に見られるわけじゃないし(笑) 小説にない要素といえば、カメラワークとかですよね。このキャラの角度で向こうの方は見えないとか、そういうのって小説では意味ないですよね。そのへん、違いがあるといえるんじゃないでしようか。
賀東 あとは、シーンの切り替え方とかですね。『射手座の日』の冒頭シーンでハルヒが自分の艦内でコンピ研なんかどうのこうのと言って、そこでキョン側の艦の発令所が映って、スクリーンの中のハルヒが「ギッタギタにやっちゃいなさい」って言う。アニメだと普通にある切り替え方なんですけど、あれは小説ではまずやらないじゃないですか。そういう違いは自覚的にやらないと、つまんないものになっちゃうかもしれません。
谷川 小説のままでは、脚本にはなりませんよね。でも今回は、いったん小説にしてから脚本にした方が楽だったかなぁって、いまは思ってます。2度手間みたいな感じですけど。
キョンの本名があきらかに!?

賀東 キョンの本名が本当はあるという話をうかがったんですが。
谷川 どれにしようかなって考えてる状況で。
賀東 そこは謎めいた声で「本当はあるんですよ」って言うところじゃないですか!(笑)
谷川 出すか出さないかも込みで、いろいろ考えている最中なんです。無意味に出してもしようがないなと思うんですよね。
賀東 最終回の一番最後に出すとか。
谷川 僕の想定している最終回では、そういうシーンはないので。
賀東 でもやっぱり、最後はあたためてらっしゃるわけですね。
谷川 それがないとつらいですよね。書いてても、終わりが見えないと。
賀東 それはあります。自分も一応決めてはいるんですけども、いつになったら行けるやらって感じですけどね。
谷川 そのあたりは、物語的な要請があるじゃないですか。このエピソードやっとかないと、物語を終わりにできないってのがあるから。
賀東 唐突にラストシーンを出す訳には、いかないですからね。
谷川 その前に、やることはやっておかないと。
賀東 で、最後はどうなるんですか?ここだけの話。
谷川 いや、。僕も賀東さんに聞きたいですよ。フルメタはどうなるんですか?
賀東 いや、これはスニーカーの企画ですから、僕の話はいいですよ(笑)
谷川 いや、ここ(対談の行われた場所)富士見だし(笑) でもまぁ、オチがどうなるかなんて聞きたくないでしよ?僕も言いたくないですし。
賀東 言うと一気に、書く気がなくなりそうな気がしますよ。
谷川 言ったはいいけど、そんなオチにならなかったりするかもしれないし。
賀東 それも往々にしてありますからね。書いてるうちに気が変わったりしますから。
実現なるか?夢のコラボ企画

賀東 そのうち合同企画で『フルメタVSハルヒ』というのは(笑)
谷川 実は、ハルヒが陣代高校に突然通ってもいいんじゃないのと(会議の席で)言ってたんですよ。「あ、間違えた!」と言って帰る、ただそれだけのために(笑)
賀東 逆に、宗介が北高に転校してきたりね。ちょっとだけ人って去っていくとかね。
谷川 あるいは、『フルメタ』の1っのエピソードを、『ハルヒ』のキャラがまるまるやるとか。
賀東 それは凄いな。『フルメタ』のOVAがこんど出るんですけども、その中に出てくるクルーゾーってキャラクターが、実はアニオタなんですよね。夢中になってるアニメを『ハルヒ』にすりゃよかった(笑)
五月某日 富士見書房ビルにて

賀東招二(下图左)
ゲーム企画・ライター業などを経験し作家デビ ュー。代表作の「フルメタル・パニック!(富士見ファンタジア文庫)」は、アニメやコミックなど幅広いメディア展開を見せライトノベル界に新風を巻き起こしている。
谷川流(下图右)
2003年、第8回スニーカー大賞〈大賞〉を『涼宮ハルヒの憂鬱』で受賞し、デビューを果たす。同作はシリーズ化し現在8巻まで刊行されている。


※1 『ハルヒ』第1話で上映(?)された「朝比奈ミクルの冒険Episode00』において、主演の朝比奈みくるが歌っていたテーマソングの歌い出し。かなりの電波強度なので要注意。

※2 『朝比奈ミクルの冒険EpisodeOO』内において、「余計なもの」が映ってしまった様を現している。まぁ、自主制作映画にはありがちなことといえる。

※3 マンカでキャラクターの心理状態を表す際に使われる表現記号。もちろんコミック「涼宮ハルヒの憂鬱」でももちろん使われている。アニメにおいても「吹き出しにでつかい汗」などといった形で使われている。

Kadokawa Comics A
「涼宮ハルヒの憂鬱②」より
漫画:ツガノガク 原作:谷川流
※4 '93年に放送された『機動戦士機動戦士Vガンダム』は、第1話でいきなり主人公のウッソがガンダムを操縦して戦闘を繰り広げ、第2話以降の回想でそこに至るまでを描くという手法がとられた。小説版が角川書店スニーカー文庫より発売中。

角川スニーカー文庫
機動戦士Vガンダム(全5卷)
著:富野由悠季 イラスト:美树本晴彦
*5 '81年に放送された『太陽の牙ダグラム』は、なんと第1話が番外編扱いのエピソードとなっている。ある意味、時代を四半世紀ほと先取りした作品。