日本小4课文:一朵花【久我Masahi的日语课堂】#47

一つの花(一朵花)
作者:今西 祐行(いまにし すけゆき)
「一つだけ頂戴。」これが、ゆみ子のはっきり覚えた最初の言葉でした。(“就给我一个。”这是由美子第一句清楚记住的话语。)
まだ戦争の激しかった頃のことです。(这还是战争激烈之时的事。)
その頃は、お饅頭だの、キャラメルだの、チョコレートだの、そんな物はどこへ行ってもありませんでした。おやつどころではありませんでした。食べる物と言えば、お米の代わりに配給される、お芋や豆やかぼちゃしかありませんでした。(那时,哪里都没有馒头啊,奶糖啊,巧克力啊这些东西。不只是点心。说到食物,只有定量供应的白薯、豆子和南瓜来代替米饭。)
毎日、敵の飛行機が飛んできて、爆弾を落としていきました。(敌机每天都飞来扔下炸弹。)
町は、次々に焼かれて、灰になっていきました。(城镇不断被烧毁,化为了灰烬。)
ゆみ子は、いつもお腹を空かしていたのでしょうか。ご飯の時でも、おやつの時でも、もっともっとと言って、いくらでも欲しがるのでした。(由美子大概总是肚子饿吧。所以吃饭的时候,吃点心的时候,说着再来点再来点,还想要很多。)
すると、ゆみ子のお母さんは、「じゃあね、一つだけよ。」と言って、自分の分から一つ、ゆみ子に分けてくれるのでした。(于是,由美子的母亲说着“那么,就一个哦。”然后从自己的一份当中,取出一个分给由美子。)
「一つだけ—。一つだけ—。」と、これが、お母さんの口癖になってしまいました。ゆみ子は、知らず知らずのうちに、お母さんのこの口癖を覚えてしまったのです。(“就一个。就一个。”渐渐成为了母亲的口头禅。由美子在不知不觉间,记住了母亲的这句口头禅。)
「なんて可哀想な子でしょうね。一つだけ頂戴と言えば、何でも貰えると思ってるのね。」ある時、お母さんが言いました。(某时,母亲说道:“多么可怜的孩子啊。以为说就一个,可以得到任何东西。”)
すると、お父さんが、深い溜息をついて言いました。「この子は、一生、みんな頂戴、山ほど頂戴と言って、両手を出すことを知らずに過ごすかもしれないね。一つだけの芋、一つだけの握り飯、一つだけのかぼちゃの煮付け—。みんな一つだけ。一つだけの喜びさ。いや、喜びなんて、一つだって貰えないかもしれないんだね。一体、大きくなって、どんな子に育つだろう。」(于是,父亲深深叹息道:“这孩子,说不定这一辈子都不知道伸出双手说全都给我,给我像山一样多。就一个白薯,就一个饭团,就一个炖南瓜。全部都是就一个。只有一个的快乐。不,快乐什么的,说不定一个都得不到。长大后,到底会成长成怎样的孩子啊。”)
そんな時、お父さんは、決まってゆみ子をめちゃくちゃに高い高いするのでした。(这时,父亲都会拼命地把由美子举高高。)
それから間も無く、あまり丈夫でないゆみ子のお父さんも、戦争に行かなければならない日がやって来ました。(那之后不久,身体不怎么结实的由美子的父亲,也迎来了不得不上战场的日子。)
お父さんが戦争に行く日、ゆみ子は、お母さんに負ぶわれて、遠い汽車の駅まで送っていきました。頭には、お母さんの作ってくれた、綿入れの防空頭巾を被って行きました。(父亲出征的日子,母亲背着由美子,到很远的汽车站给父亲送行。由美子头上戴着母亲做的棉防空头巾。)
お母さんの肩に掛かっている鞄には、包帯、お薬、配給の切符、そして、大事なお米で作ったお握りが入っていました。(母亲背在肩上的包里放着绷带、药、配给票,以及用宝贵的大米做的饭团。)
ゆみ子は、お握りが入っているのをちゃあんと知っていましたので、「一つだけ頂戴、おじぎり(注:这里的おにぎり没有打错,被说成了おじぎり)、一つだけ頂戴。」と言って、駅に着くまでにみんな食べてしまいました。お母さんは、戦争に行くお父さんに、ゆみ子の泣き顔を見せたくなかったのでしょうか。(由美子知道包里放着饭团,所以,说着“就给我一个,就给我一个饭团。”到达车站的时候,全都吃完了。是因为母亲不想让出征的孩子他爸看到由美子哭泣吧。)
駅には、他にも戦争に行く人があって、人混みの中から、時々万歳の声が起こりました。また、別の方からは、絶えず勇ましい軍歌が聞こえてきました。(车站还有其他要出征的人,在人群中,时不时响起了万岁的声音。以及,从别处,传来了不间断的雄壮的军歌。)
ゆみ子とお母さんの他に見送りのないお父さんは、プラットホームの端の方で、ゆみ子を抱いて、そんな万歳や軍歌の声に合わせて、小さく万歳をしていたり、歌を歌っていたりしていました。まるで、戦争になんか行く人ではないかのように。(父亲除了由美子和孩子他妈,没有其他来送行的人了,父亲在站台边抱起由美子,伴随着万岁和军歌声,也做着小小的万岁,唱着歌什么的。就好像并不是要上战场的人。)
ところが、いよいよ汽車が入ってくるという時になって、またゆみ子の「一つだけ頂戴。」が始まったのです。(然而,到了汽车终于进站之时,由美子又开始了:“就给我一个。”)
「みんなお遣りよ、お母さん。お握りを—。」お父さんが言いました。(父亲说道:“孩子他妈,把饭团全都给她吧。”)
「ええ、もう食べちゃったんですの—。ゆみちゃん、いいわねえ。お父ちゃん、兵隊ちゃんになるんだって。ばんざあいって—。」お母さんは、そう言ってゆみ子をあやしましたが、ゆみ子は、とうとう泣き出してしまいました。(“哎,已经都被她吃光了。由美子,听好了。爸爸要当军人了。来万岁~”母亲这么哄着由美子,然而由美子终究哭了起来。)
「一つだけ。一つだけ。」と言って。(说着“就一个。就一个。”)
お母さんが、ゆみ子を一生懸命あやしているうちに、お父さんが、ぷいといなくなってしまいました。(母亲在拼命哄着由美子的时候,父亲一下子不见了。)
お父さんは、プラットホームの端っぽの、ゴミ捨て場のような所に、忘れられたように咲いていたコスモスの花を見つけたのです。慌てて帰ってきたお父さんの手には、一輪のコスモスの花がありました。(父亲在站台的一端,像是垃圾场一样的地方,发现了似乎被遗忘的盛开着的大波斯菊。急急忙忙回来的父亲的手中拿着一朵波斯菊。)
「ゆみ。さあ、一つだけあげよう。一つだけのお花、大事にするんだよう—。」(“由美。好了,我就给你一个。就一朵花,要好好珍惜啊。”)
ゆみ子は、お父さんに花を貰うと、キャッキャッと足をばたつかせて喜びました。(由美子从父亲那里得到花后,高兴地哇哇叫着,双脚乱动。)
お父さんは、それを見てにっこり笑うと、何も言わずに、汽車に乗って行ってしまいました。ゆみ子の握っている、一つだけの花を見つめながら—。(父亲目睹这一幕后笑了一下,然后无言地乘上汽车离开了。一边注视着由美子握着的仅有的一朵花。)
それから、十年の年月が過ぎました。(那之后,十年岁月过去了。)
ゆみ子は、お父さんの顔を覚えていません。自分にお父さんがあったことも、或いは知らないのかもしれません。(由美子不记得父亲的脸。又或许不知道自己有过父亲。)
でも、今、ゆみ子のとんとんぶきの小さな家は、コスモスの花でいっぱいに包まれています。(但是,如今,由美子的木板屋顶的小屋被很多波斯菊包围着。)
そこから、ミシンの音が、絶えず速くなったり遅くなったり、まるで、何かお話をしているかのように、聞こえてきます。それは、あのお母さんでしょうか。(然后,缝纫机的声音不间断地时快时慢地响着,听起来就好像在说着什么话一样。这是那位母亲吧。)
「母さん、お肉とお魚とどっちがいいの。」と、ゆみ子の高い声が、コスモスの中から聞こえてきました。(“妈妈,肉和鱼,要哪个?”由美子的高声从波斯菊的花田中传来了。)
すると、ミシンの音が暫く止みました。(于是,缝纫机的声音暂时停下了。)
やがて、ミシンの音がまた忙しく始まった時、買い物かごを下げたゆみ子が、スキップをしながら、コスモスのトンネルを潜って出てきました。そして、町の方へ行きました。(过了片刻,缝纫机的声音又开始忙起来的时候,由美子提着购物篮,连蹦带跳地穿过波斯菊隧道,然后朝着镇上走去。)
今日は日曜日、ゆみ子が小さなお母さんになって、お昼を作る日です。(今天是星期日,是由美子化身为小小的母亲,做午饭的日子。)

词汇
負ぶう(おぶう):背
綿入れ(わたいれ):棉袄、棉衣
頭巾(ずきん):兜帽、头巾
人混み(ひとごみ):人群、人多拥挤的地方
絶えず(たえず):无休止、连续
あやす:哄、逗
ぷい:表示行为、动作很突然的样子;(由于不高兴突然)扭过脸去、扭过身去、态度冷漠
ばたつく:拍打声;(忙得)手忙脚乱;手脚乱动
とんとんぶき:用很薄的木板搭建的简陋屋顶

作业
1.读课文
2.思考课文相关问题:

3.阅读诗歌:
