与新生代劳模声优小波すず的访谈【BugBug声優STATION第一期】

──本日は取材にご対応くださいまして、ありがとうございます。それでは録音していきます。
小波:いやー!! ダメダメダメっ!!
──お仕事で録音は慣れているのでは?
小波:お芝居は平気なんですけど、普通にしゃべるのを録音されるのは怖いですっ(笑)。
──12月に発売された『ガールズフランティッククラン』ではフリートークムービーが公開されていましたけど、あれは?
小波:あれもめちゃくちゃ苦手でした(笑)。
──苦手なところ申し訳ありませんが、お話を伺っていきたいと思います。今回はBugBug不定期連載「BugBug声優STATION」の第1回ということなんですが……。
小波:1回目なんですか!? ……怖い。
──怖くはないです(笑)。小波すずさんといえば、ここ数年で一気にメインヒロインとしての出演を増やしている印象があるのですが実感はありますか?
小波:去年の12月は忙しかったかなあ。一昨年くらいに、急に忙しくなり始めたんですよ。『放課後シンデレラ』と『BETA-SIXDOUZE』の収録タイミングが重なって、てんやわんやだったんです。この冬は、その時と同じ感じでした。
──慣れたりはしないものですか?
小波:一昨年の夏はまだ右も左もわからない頃だったので、とにかくしゃかりきにがむしゃらに頑張ったら乗り切れた感じだったんですよ。でもこの冬は二度目、三度目というメーカーさんもあって、「リピーターだ」って思ったらすごい重圧を感じちゃったんですよね。「前作の信頼感で指名してもらった」と思ったら、それに応えなきゃって気持ちが大きくなっちゃって、それがプレッシャーになったり。でも、本当にありがたいと思っています。目をかけていただいている皆様のおかげです。
──そんな小波すずさんですが、そもそも声優を目指されたきっかけってなんだったんですか?
小波:私、幼い頃ってものすごく声が高かったんですよ。今も低くはないですが、大人になって意識的に抑えたり、耳障りがきつくないようにって意識するようになったんですけどね。その声がアニメっぽいとはよく言われていたんです。それと授業中に教科書を朗読するのが好きだったんです。そういうことがあって、将来は声を使える仕事がしたいなあとは早くから思っていました。
──なるほど。
小波:アニメやゲームも好きだったし、お芝居の経験はまったくなかったんですが、挑戦してみよう!!ってそんな感じでした。
──結構早くに声優というお仕事を知っていたんですか?
小波:小学生くらいには。ほら、クラスにおませな女の子っているじゃないですか。その子から「声優という仕事があるよ」って教えてもらったんです。
──それにしても教科書の朗読を褒められたのがきっかけの一つという方は多いですよね。
小波:私の場合、褒められてはいないんですよ。好きだっただけ(笑)。
──あ、なるほど(笑)。

2015年に『PRIMAL×HEARTS2』で美少女ゲーム声優デビュー!!
──話を戻しましょう。割と早くから声優という仕事に興味を持って……。
小波:そこから「お芝居をする」ということに興味が向かっていって、今に至るわけです。そうだ、「お芝居」で思い出したんですが、私って最初の頃は、フラストレーションを燃料にお芝居をするタイプだったんですよ。日常的に「んん〜〜」って溜め込んだストレスを燃料にして。的な。お仕事をするようになってからはそういうことも少なくなってきたんですけど、『冥契のルペルカリア』の収録をさせていただいた時に、そんなことを思い出したりしました。
──それは作品的に?
小波:はい、収録しながら「私も最初の頃はこんなふうに感じながらお芝居していたなあ」って。
──それからは声優になるために、どのようなことをされたのですか?
小波:それが全くしていないんです。「養成所に入ればいいのかな?」とは思っていたんですが、実は石橋を叩いて渡るタイプなんですよ。なのでなかなか踏み出せなかったんですよね。弱腰だったと言うか。石橋を叩きつつ考えに考え抜いた結果「今だ!」と思ったときに、本格的に声優の勉強をし始めました。
──その後、『PRIMAL×HEARTS2』で美少女ゲーム声優デビュー。これが2015年ですね。
小波:『PRIMAL×HEARTS2』はモブ役でしたけど、けっこう早くお仕事をいただけました。ただ、そこからが長かったんですよ。最初のメインヒロインまで、さらに2年かかりました。
──その間は勉強の期間だったんですか?
小波:そうですね。と言っても、エッチシーン関連の声や音の出し方なんて分からないですから、とにかくひたすら聞いて、インプットしていました。
──それはゲームやアニメなどをチェックして?
小波:そうなんですけど、その頃は本当にお金がなかったんですよ。お金がなかったので、大きな声で言えないんですけど、体験版をプレイしたり、友達からゲームを借りたり……(笑)。決して安くはないじゃないですか。だからユーザーさんには本当に感謝しているんです。限られたお小遣いの中で出演作を買っていただいていると思うと、感謝しかないです。
──それはそうですね。
小波:それとメーカーさんは、出演したゲームを送ってくれてありがとうございますって本当に思います。自分のやった仕事を再確認できるし、他の出演者さんのお芝居も勉強できるし。鈴谷まやさんは最高だし、小倉結衣さんは心もってかれるし、秋野花さんはホント好きっ!!って感じで聞かせていただいています(笑)。
──勉強しているのか、ただのファンなのかわからなくなってますけど、そういう方のお芝居に触れられるのも、お仕事あってこそなんですね。
小波:そうなんですけど、ちょっと違うゲーム体験をしていた頃にもいろいろ調べていて、御苑生メイさんと一色ヒカルさんはずっと好きです。こないだご挨拶をさせていただいて、思わずキュンとなりました(笑)。
──単なるオタクトークになってしまいそうなので、話を戻しますね(笑)。
2018年発売の2タイトルがキャリアの転機に
──さて、2017年以降はサブキャラが多いとはいえ、出演作品も増えていきます。そんな小波さんのキャリアの中で、転機になった美少女ゲームを教えていただけますか?
小波:同時期にオーディションに受かった作品が2本あって、『Erewhon』と『ラズベリーキューブ』なんですけど、『Erewhon』が決まった連絡を頂いたあと『ラズベリーキューブ』のオーディション合格の連絡が来たんです。ご存じの方も多いと思いますが、この2作品は作品の方向性も、私が担当したキャラも正反対と言ってもいいゲームで、だからこそ自分が送ったオーディション音源が評価されたんだなって思えました。
──『Erewhon』が2018年7月、『ラズベリーキューブ』は9月の発売でしたね。確かにこれ以降一気にメインヒロインの作品が増えている印象があります。
小波:この頃は、自分が声優を辞めても残る仕事を一つでも多くやりたいって頑張っていたこともあったので、この2本に出演できて、いろんな方に「小波すず」を認識していただけたのは、本当に嬉しかったです。
──小波さんにとって、ポジティブになれる出来事だったんですね。
小波:そうですね。たぶん成功体験なんだと思います。今でも周りから「小波は自己評価が低い」と言われるんですけど、この時期はもっと低かったんです。だからこの2本以降、いろんな作品に出演されてもらったことの一つ一つが成功体験の積み重ねになっているんだと思います。積み重ねって、やっぱり大切なんですよ。特にCLOCKUPさんもまどそふとさんもこの作品が初めてのオーディション参加だったので、そこで選んでもらえたというのは自分の背中を押してくれましたね。
──これ以降、お仕事が続いていく中で、先ほど言われた緊張やテンパり具合というのは、多少落ち着いたのですか?
小波:全然(笑)。でも、緊張を抑えたりする方法を身につけたりしています。ブース内にお部屋を作ったり……。
──お部屋?
小波:お部屋というか、毎回同じものをブース内に持ち込んで、自分から見て同じ位置に置くようにしています。
──なるほど、それで「お部屋」ですか。いつも持ち込むものって何があるんですか?
小波:ぬいぐるみです。収録中って、録音した音声をエンジニアさんやディレクターさんがチェックする時間があるんですよ。その時はブースの中でじっと黙っているんですけど、「大丈夫かな、大丈夫かな」って不安になってしまうんです。チェック時間が長くなると「私の芝居がおかしいからチェックに時間がかかっているのかな」とか。そうなると、どんどん落ち込んで、どんどん緊張しちゃう。そんな時、整体の先生に「過緊張だから、そういう時は何か柔らかいものを触っているといいよ」と教えてもらって、それ以来柔らかいぬいぐるみをブースに持ち込むようになりました。
──なるほど、さっき言われた緊張を抑える方法ですね。
小波:長い時は20分くらい音声チェックが続くんです。だから最初の頃は本当に怖かったですね。今はもう気にしないようにしようと思って、台本の余白に落書きしたりもしています。もう、ブースの外で何をしゃべっているか気にしないように(笑)。気にすると今でも怖くなっちゃう。

絵とセリフの息遣いからキャラ作りは念入りに!!
──これは当たり前のことなのかもしれませんが、美少女ゲームのエッチシーンは、ゲームのジャンルやヒロインの性格によって、同じシチュエーションでもいろいろ違いがありますよね。
小波:そうですね。なので、そういった部分も考えて収録に臨みますよ。例えば3月にHOOKSOFTさんから発売される『恋にはあまえが必要です』で獅子喰桜雅ちゃんを演じさせていただいているんですが、桜雅ちゃんはちょっと男の子っぽい性格なんです。でも恋をすることで女の子らしくなっていく部分もあって、そういう可愛さがにじみ出るようにしたかったんです。なのでにゃんにゃんするシーンは、ちょっと声を抑えました。「なんていじらしいんだ!!」っていうのを出したくて。
──最近の作品を見ても『ガールズフランティッククラン』では王道の妹ヒロインでしたが、『FLIP*FLOP ~RAMBLING OVERRUN~』では人間関係に関心の薄い科学者少女を演じられています。演じられる幅が広がっていると思いますが、そういった際のキャラ作りも、いろいろと考えられているのですか?
小波:うーん……考えるっていうのがどこまでなのかわからないんですけど、キャラの声はイラストに寄せます。そして台本を読んでキャラの芯の部分を掴んだ後に、セリフやセリフの間などから声やしゃべり方を調整していく感じですね。わかりやすいのが『Erewhon』の永見稀世良ちゃんです。稀世良ちゃんは体が小さいので肺も小さいだろうな。だったら長いセリフをしゃべるときには息継ぎが増えるだろうな、とか。逆に『FLIP*FLOP ~RAMBLING OVERRUN~』の蘭ちゃんみたいな起伏のあまりないしゃべり方をするキャラは、息継ぎを減らしています。息継ぎをすると、そこに感情が出てしまうんですよね。だから逆に息継ぎを入れるのならば、ニュアンスや感情をはっきりさせる。蘭ちゃんの場合は恋を知ってかわいらしさが一気に花開くわけで、そこははっきり出さなければいけないわけです。
──なるほど、いろいろあるんですね。そんな風に事前にキャラを想定していったのがハマった作品と言うのはありますか?
小波:ハマったかどうかは私が判断するところじゃないかもしれないんですが、事前にかなり作りこんでいったのは『アンレス・テルミナリア』のルチアちゃんです。声もしゃべり方も演技も、ゴリゴリに作りこんでいきました。実は収録の時に一度止められたんです。ルチアちゃんがお父さんと会った時に私は泣く芝居をしたんですけど、「ここ、泣いちゃうんですかね?」と言われて。私としては、主人公の前であんなに泣いていた女の子が、会いたいと思い続けてきたお父さんと再会して泣かない理由がないです!!って言って。こんな風にスタッフさんに言ったのは初めてだったんですが、OKをいただけました。
──逆に想定していたのと違ったというケースもあるんですか?
小波:うーん、どうでしょう。まどそふとさんには『ハミダシクリエイティブ』の時に「広夢、そういう風に持っていくんだ」って言われました。『ラズベリーキューブ』の瑠莉は、オーディションの時より声が低くなったんじゃなかったかな。スタジオで他のキャラとのバランスを調整したりして。でも、恋愛が進んでいく中で、声が高く、甘くなっていくんでですよね。ゲームを持っている方はぜひ聞いてほしいところです。
──じゃあ、あまり「その声じゃなく」みたいなことはなかったですか?
小波:あ、でも、『ウチはもう、延期できない。』の愛さんかな。私、お姉さんキャラをやるときに身構えてしまうんですよね。年齢高めで、この外見で……って考えて、『ネコと女子寮せよ!』の美月さんみたいな声を持って行ったんですよ。そしたら「ちょっと違うかなあ」「もうちょっと」みたいな感じで、あの声になりました(笑)。
──小波さんでお姉さん系ヒロインはあまりイメージがないだけに、姉妹ブランドで2作品続けてお姉さん系というのは興味深いですね。
小波:びっくりしました(笑)。お姉さん系と言えば『ボクと彼女(女医)の診察日誌』の涼先生は、お姉さんだし女医さんだしで、当時はまったく経験がなかったので大変でした。現場では噛み倒しました、申し訳ありません!!
──ゲームを持っている読者には、ぜひ確認してもらいたいですね(笑)。

エッチシーンは収録が終わると満身創痍で体中がバキバキに!?
──ちなみにエッチシーンの収録などで気をつけている部分などはあるのですか?
小波:特にエッチシーンだからっていうのはないのですが、キャラが体に力を入れているなっている時は、自分も力を入れて演じていますね。一番力が入るのが、太ももを掴むことなんですよ。ぎゅっと掴むので、収録が続いた時なんかは、太ももに爪痕が結構残っていて驚くことがあります(笑)。
──それは大変だ……(笑)。でも、確かに力の入ることが多いシーンでもありますよね。
小波:それこそお仕事を始めたばかりの頃なんかは、エッチシーンの声をどう出していいか全くわかっていなかったんですよ。教えてくれる人もいなければ、見学する機会もない。それこそゲームで勉強するしかないわけで、その頃は全身に力が入ってしまって、1本終わると満身創痍みたいな感じでした。体中がバキバキで、収録が終わると整体に言ってました(笑)。
──教わる機会がないっていうのは大変ですね。
小波:大きな事務所に所属していれば先輩に教えてもらったり、事務所でそういうレッスンをしてもらったりもあるのかもしれませんけど、私はそうではないので。OVAの収録で見ることはできたんですが、横から見ただけじゃやっぱりわからないんですよ。しかもコロナ禍で今はOVAも集まって収録しませんし。
──ああ、確かにそうですね。じゃあ、ホントに自己流なんですね。
小波:スタジオの自分の演技をモニターで聞かせてもらうんですが、自分ではそれで正解かわからないんですよ。だからOKいただいて、「これでよかったんだ」って。
──OKテイクの時のやり方を続ければいいのではないですか?
小波:でもやっているときは必死なので、どうやったか覚えていないんですよ(笑)。なのでゲームをプレイした人は、私の感想をSNSで書いてくれると嬉しいです。できればメーカーさんや作品のタグをつけてもらえるとメーカーさんも読んでくれるので、もっと嬉しいです!!(笑)
──「今回の詫び寂び音、よかったです」とか。
小波:そう!! 「よかったです」だけだと、どこがよかったかわからないので、できるだけ詳しくお願いします。まだメインを担当させてもらえるようになって5年の新人声優なので(笑)。
