第24话 对功劳者予以感谢
第24話 功労者に『ありがとう』を
第24话 对功劳者予以感谢
随着太阳西沉的黄昏时刻的来临、那样嘈杂的文化节也引来了终结
但是、某种意义上作为学生们正戏的『后半祭』也迎来了开始。
「好了、虽然伴随着各种各样的麻烦……但是我们班级在全部班级的饮食店中取得了第一名! 销售额也是盆满钵满!」
『哦哦哦哦哦哦哦哦!!』
场所是教室
随着登上讲台的文化祭执行委员——风间原在那里宣告着获得的荣誉、在现场聚集的同班同学们发出了欢呼声。
「芜湖~! 这是真的吗!」
「做到了! 我们班还挺厉害的嘛!」
「虽然不知道具体的情况但是好像营业额很高啊!」
「努力得到了回报呐! 怎么说就是非常开心!」
无论是谁都在尽情狂欢着。流露出非常喜悦的样子。
「就是这样、我飞速把营业额拿去买了点心和果汁来! 接下来的后夜祭请大家尽情享受吧! 真的是辛苦大家了……!」
不知道风见原是不是也沉浸在了祭典后的氛围中飘然了起来、一直以来我行我素的气场也潜藏了起来、声音听起来充满了兴奋。
(虽然是在对话中明白的……那家伙是真的很在意因为自己的拙劣手段而使班级的展出物濒临危机。所以对能像这样成功谢幕而感到非常喜悦)
「呐、呐……新浜君。没事吧……?」
「那个……不去医务室的话没问题吗? 总感觉好像变瘦了很多……」
「哈哈……虽然我想说没事但是还是有点艰辛啊这个情况……」
短发少女笔桥哦啊和黑长直紫条院同学带着担心的神情望着我的脸庞
2个容貌美丽的少女的脸庞贴近过来的话通常都是让人心动不已的场面但是现在的我却没有这样的精力了。
在后夜祭开始、同班同学们单手拿着果汁啊点心啊喧嚣地把气氛炒得火热的时候、我一屁股躺在地板上并依靠着墙壁、像一只无力的水母。
那个原因当然是因为残酷地使用肉体和大脑以接近通常3倍的速度来持续制作章鱼烧。体力完全归零、手腕啊腰啊全身都在咯咯吱吱的痛。
「嘛、就是这样啊……总感觉在这种像暴走的割草机一样的行动下还以为快要在空中分解了」
「呜……」
实际上因为确实自己身上发生过工作过度在空中分解(突然死)的经历、所以这话听起来有点刺耳。
「嘛、但是确实有努力的价值」
那个超级修罗场的章鱼烧地狱尤其没有发生让客人不满的地方、直到最后以食材用完的状态将商品销售一空。
途中如果遇到了空闲回到教室的学生的话就不容分说让他来帮忙——虽然有这样的打算、但是遗憾的是最后并没有变成那样直到最后都是维持4个人的样子。
由于八嘎男子赤崎主张『食材就在预算允许范围内尽可能买多点如果有剩的话就大家一起吃了吧!』并且大家也都同意了、所以食材的数量异常地多、但是浴衣美少女的效果却超过了那个把客人招揽了过来。
「让大家配合参与到我决定的方针里来。不好意思」
「――你在说什么耍帅的话啊新浜君」
对我的声音做出回应的是不知道什么时候来到我的身边的眼镜少女风见原。
「赞同不去向任何人发出求助呼唤而是4个人来干的是我们自己的意识。当然、因此会背负上仿佛快要让头脑爆发般的劳动这点我们也是理解的。我们可不是小孩子哟?」
「对对! 我也不喜欢把享受文化祭的同班同学们叫唤过来呐! 结果而言就是以美好的心情终结了文化祭!」
「我也和二位完全一样! 在决定了4个人来做到自己能做的极限后、4个人费劲艰辛取得了最好的结果! 虽然可能是结果论、但是因为有了我们的选择所以没有使任何人陷入不幸而结束了一切!」
在我带有些自责的样子说道后、三名少女立刻给予了否定。
而且那点、完全是正确的。
「是嘛……是这样啊……」
并不是我决定的而是4个人决定这样做的
我差点就要擅自这样误解了
「啊、话说回来这个庆功宴的点心和果汁是吃半熟的章鱼烧吃坏肚子的三人买来的吗?」
「嗯、虽然本来是应该作为执行委员的我去买的。但是被拜托请务必交给我们所以就这样做了」
在那之后――在卖光了全部章鱼烧的我们处于疲劳困惫的状态瘫坐在地后、从厕所解放的排班三人组搂着肚子回来了。
当然、从处于精疲力竭极点的我们口中出来的是牢骚。
「哎呀哎呀……厕所王国的住民回来了呀……」
「你们啊……这群白痴……っ!」
「肚子没事了吗……? 再也不能吃半熟的章鱼烧之类的了哟……」
「虽然不会责备你们但是还是让我说一句话~! 真的非常不容易啊!」
于是知道了我们4人勉强来完成工作的事情后三人都脸色苍白地一个劲地以「真的对不起……!」来赔礼道歉。
因为做为店员进行过练习、所以他们似乎知道3人的缺失到底是多么严峻。
「作为补偿如果之后能做到帮忙收拾一下、采购一下点心之类的话我也不想在继续责备下去了呐」
「就是这样呐。那个……お虽然那个弄坏肚子的原因我也认为有点『那个……』但是并没有恶意」
「因为真的非常艰难所以确实会发下牢骚。托您的福新浜君也处于宛如偏流到海滨的鱼的尸体一样的状态……真的太艰难了」
嗯、真的是回想起社畜时代、太勉强了。
这次的那个虽然充其量也只是稍微有1个小时、而回想起在社畜时代则是12年间仿佛每天都是从早上干到深夜之类的就愈发对自己的愚蠢感到战栗。
那样的话内脏自然会破烂不堪然后也会迈向死亡。
「我还想着是有什么秘策吗没想到居然是全凭气劲。凭借新浜君像傻瓜般的行动把人员缺失的部分援护了回来这样的实在太过于毅力论了吧。嘛、不过……」
风见原在这时微然一笑推了推眼镜
「还挺帅气的哟。直到文化祭之前我还觉得是那种腼腆的性格、但是现在却变得非常可靠像是全身充满能量结晶的人一样」
「嗯嗯! 虽然行为上光是看着感觉就会人感到担忧不安但是却很帅气哟! 能够一起共事真是太棒了!」
「哦、哦~、虽然感觉被这样说会感到害羞……但还是谢谢」
能从前世完全没有接点的风见原和笔桥嘴里说出这样的话是我没有想象过的、我的脸上不由地泛起了红晕回以了一个带有点欣喜色彩的回答。
「那么就先这样吧、我接下来还有点事所以就稍后见啦。接下来就拜托紫条院同学了」
「嗯、我也要去和别人谈谈话啦! 再见啦二位~!」
留下了这样的话语后、通过这次文化祭而使得关系近亲度变化最大的二人就这样离开了。
那个现场只留下了我和紫条院同学。
「那、那个!」
「诶?」
「我也觉得很帅气! 我也觉得哦!」
「啊、啊……? 嗯、谢谢……」
不知道是不是因为两个人都夸奖了我所以认为自己如果不这样做的话就不太好的缘故、紫条院同学带着些许慌张的样子这样宣告着。明明不用勉强自己也是可以啊……。
「嘿~咻……」
「啊……站起来没事吗? 你的身体真的在摇摇晃晃的……」
「啊、因为多少有点恢复了所以没事的哟」
对着紫条院同学回以微笑、我把背部托付给了墙壁。
虽然明天的肌肉疼痛已经是既定事实了、但是现在的话身体多少还能行动。
「真的是太勉强自己了呢……」
「啊、但是……很快乐。劳动之中也蕴含着快乐之类的啊」
对我而言劳动全部曾是痛苦的。
因为那是为像对待破烂抹布一样把我当作用完就扔的一次性品的垃圾公司而付出的劳动。
但是今天是为了紫条院同学和风见原、笔桥……甚至是为了班上的全体、为了我重新取回的青春而燃烧自己。
那个时候的我的胸口里、潜藏着仿佛在体育比赛中感受到的那种超过了疲劳的高扬感。
「话虽如此、如果被问要不要再来一次的话还是有点吃力的……」
「嗯、虽然我也对大家能和我想象中描绘的一样一起完全燃烧自己来完成展出感到非常快乐……嘿嘿っ、但我觉得那是因为拥有气焰干劲才做得到的」
在班上同学看上去都在快乐吵闹发出的喧嚣声的背景下、我们都怀着『是这样没错啊
』的想法相对而笑。
「总感觉……很不可思议啊」
「诶?」
「老实说的话……那时候我并不是在想着班级的事情。也没有去思考为了这个班级我到底该做些什么呢……」
即使是在今世我在学校的世界也只是有紫条院同学还有就是银次这种程度了。
「但是现在啊……像这样看着享受着后夜祭的大家、我也觉得挺好的」
「新浜君……」
对着轻声低语的我、不知为何紫条院同学看上去笑得很开心。
在我对着那即使是不小心对上眼就能融化男生内心的可爱脸庞入迷恍惚的时候――注意到了周围聚集起了人群的状况。
「诶……? 怎、怎么了大家?」
男生也好女生也罢、除了班上的一部分人基本上都不知在什么时候聚集到了我和紫条院同学的周围、而且这个家伙也好那个家伙也罢一个个都不知道为何脸上浮现着一副恶作剧孩童的笑颜。
怎、怎么了? 什么情况?
「好了新浜君。由于接下来大家有想对你说的话所以请好好听着」
站在集团先头的风见原浅笑着推了推眼镜。
「啊哈哈っ、要好好听着哟新浜君!」
站在风见原身旁的笔桥浮现着无忧无虑的笑颜
「哈……? 诶……? 听? 听什么……」
不顾困惑的我、大家『嘶』的地大大地吸了口气——
『新浜(君)!! 谢谢你!!』
大家唱和回响着这样的话语。
「…………诶?」
谢……谢?
「改变了什么都决定不下来只有时间在流逝着的会议走向、真的帮了大忙!」
「谢谢你明明非常忙却细致地倾听我的排班意愿呐!」
「谢谢你愿意同意我们料理班的菜单开发请求っ!」
「让我制作看板感谢啦っ! 不、应该说你是个有趣的家伙才对!」
「谢谢你在准备的时候像教室的装饰之类的无论问你什么都能麻利地教给我! 话说回来为什么能那样子对什么都详细知晓呢?」
「能够穿着浴衣很开心! 真的非常感谢你为我们准备了快乐的展出!」
「好像今天最后的排班遇到了麻烦明明缺损了人员却1个人来完成3个人的工作是真的吗! 能为我们做到这个份上谢谢呐!」
「没有人能想到班级的展出物能变得像这样快乐! 不、真的是thank you啦新浜! 我想说的话就到此为止了!」
对着没有预想到的情况、我的思考陷入了停滞。
谢谢。
那是常见的表达感谢的话语。
并没有什么稀奇的。
即使是在前世也被其他公司的人以像打招呼般这样说过、即使是在邮件的末尾也会频繁登场。
但是、这次不一样
并不是那般社会上共识的客套话般的外交辞令。
带有人情味的温暖的『谢谢』——
如同雨霰般向我倾注而下。
(注:霰在日语里是指夹像雪一般的雨急速凝结成小颗粒状的冰从天上下下来,所以叫中文翻译是软雹或者米雪。雨霰是汉字但一般写成雨あられ,然后雨あられ也是一个画师的ID)
「除了极少部分的人、想享受仅此一次的高中生活中贵重的文化祭才是大家内心的真实想法」
对着丧失话语的我、风见原说道。
「所以、对于全力思考着班级的展出物、将大家聚集起来的同时为其赋予现实的外形、让大家迈向这样至高氛围的功劳者、大家似乎想说些简短的谢语」
「啊哈哈っ、无论是谁无论怎么看新浜君都是最卖力的那个呐!」
伴随着笔桥的微笑、周围的家伙们也都浮现出柔和的笑颜。
不、这样的……
说到底我觉得班级的事情感觉怎么样都无所谓……只是因为紫条院同学说了很期待文化祭所以才开始企划的而已……。
「当然、我也很感谢」
不经意间发现了紫条院同学就在我身边极近的距离微笑着。
「谢谢你、新浜君。从最初的开始到最后的结尾、包括了形形色色的麻烦和困扰在内这是个非常棒的文化祭。」
嘴唇无法顺畅地动作。
我的大脑被全然没有经历过的『谢谢』填充满了。
「大家都在看着新浜君。所以――请收下感谢的话语。因为新浜君努力到了让大家想这样说的程度」
被说道这个份上了我终于在正确的意义上理解了大家是从心底感谢我。大家是真正的——在注视着我。
(哈哈っ……这样说起来在前世无论我多么死命干活也不会被任何人感谢。但是如今却……居然从这样多的人那里收获到了名为『感谢』的话语……)
「啊~……那个、大家……」
以因为超出预想而宕机的大脑、语无伦次地驱动着我的嘴唇
不行啊。完全说不出漂亮的话。
「那个、我也……谢谢你们……」
好不容易说出来的却是这样没有技巧没有任何东西的鹦鹉学舌。
但是也有……就以这样结束吧的感觉
「啊哈哈っ! 新浜君的脸红透了~っ!」
「快看! 看上去非常害羞的样子!」
「新浜君、很有少女感哦!」
「嘛不过感谢是认真的哦!」
「谢谢你为我们这样不辞辛劳っ!」
对我的话语大家都做出了反应、无论是谁都在肆意的笑着。
但是、那份情感确实真实的。
同班的家伙们脸上毋庸置疑地流率出确凿的笑容、坦然地表达信赖、述说着感谢的话语。认同着我对我述说着谢谢的话语。
前世的我一次都没有见过的光景――就在那里。

这应该是目前我翻过字最多的一章了,感觉后面每章的字数都普遍变多了。再加上上周末有ti决赛要看就拖到今天了~,下一章的标题是噩梦和膝枕。看标题就能懂讲什么了,挺甜的。
下面扔一点找到的小说插画吧





就这么多了其他的找不到了,或者只能等我买的小说版的书到

以下为原文
第24話 功労者に『ありがとう』を
日が傾き夕刻の時間を迎え、あれだけ騒がしかった文化祭も終わりを迎える。
だが、ある意味生徒達の本番とは『祭りの後』にある。
「さて、色々とトラブルもありましたが……私たちのクラスが全クラスの飲食店の中でナンバーワンになりました! 売り上げもがっぽりです!」
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!』
場所は教室。
壇上に上がった文化祭実行委員の風見原がその栄誉を告げると、その場に集っていたクラスメイトたちは大歓声を上げた。
「うっひょー! マジか!」
「いやったぁ! やるじゃんウチら!」
「なんか知らんけどメチャクチャ売れてたもんな!」
「頑張った甲斐があったね! なんかすっごい嬉しい!」
誰も彼もが大はしゃぎだ。めっちゃ浮かれている。
「というわけで、早速売り上げを使ってお菓子やジュースを買ってきました! これからの後夜祭をガッツリ楽しんでください! 本当にお疲れ様でした……!」
風見原も祭りの後の空気に浮かれているのか、いつものマイペースな雰囲気はなりを潜め、声が上ずっているように聞こえる。
(話していく内にわかったけど……あいつは自分の不手際でクラスの出し物がダメになりかけたことを本気で気にしていたからな。こうして大成功で幕を引けたことが嬉しいんだな)
「ね、ねえ……新浜君。大丈夫……?」
「その……保健室に行かなくて大丈夫ですか? なんだかげっそりと痩せたような……」
「はは……大丈夫って言いたいけどちょっと辛いなこれ……」
ショートカット少女の筆橋と、黒髪ロングの紫条院さんが俺の顔を心配気に覗き込む。
二人の見目麗しい少女の顔が近づいて通常ならドキリとする場面だが、今の俺にそんな気力はない。
後夜祭が始まり、クラスメイトたちがジュースやお菓子片手にワイワイと盛り上がっている中、俺は床に座り込んで壁にもたれかかり、クラゲのように脱力していた。
その原因は当然、肉体と脳を酷使して通常の3倍近い速度でタコ焼きを作り続けたからだ。体力は完全にゼロで、腕やら腰やら全身がギッシギシに痛い。
「まあ、そうだよね……なんだかもう暴走した芝刈り機みたいな働きっぷりで空中分解するかと思ったもん」
「う……」
実際に働きすぎて空中分解(突然死)したことがある身としては耳が痛い。
「まあ、でも頑張った甲斐はあったよ」
あのド修羅場なタコ焼き地獄は、お客から特に不満が出ることもなく、最後まで材料を使い切って完売した。
途中でヒマした生徒が教室に戻ってきたら有無を言わさず手伝ってもらうつもりだったが――残念ながらそうはならず最後まで4人のままだった。
バカ男子の赤崎が『材料は予算の許す限り多めに買っておいて余ったらみんなで食おうぜ!』と主張して皆もそれを承諾していたため材料はやたらと大量にあったのだが、浴衣美少女効果はそれを上回るお客を呼び寄せたのだ。
「俺の決めた方針にみんなを付き合わせてしまったよな。悪かった」
「――何を格好つけたことを言っているんですか新浜君」
俺の声に応えたのは、いつの間にそばまで来ていたメガネ少女の風見原だった。
「誰にもヘルプの呼び出しをかけないで4人でやることに賛同したのは私たちの意思です。当然、それによって頭が爆発しそうなくらいの労働を負うのも理解してのことです。私たちは子どもじゃないんですよ?」
「そうそう! 私も文化祭を楽しんでるクラスメイトを呼び出すのはやだなあって思ったしね! 結果として気持ちよく文化祭を終われたよ!」
「私もお二人と完全に同じですっ! 4人でやれるところまでやろうと決めて、4人でとっても苦労して一番良い結果を勝ち取りました! 結果論かもしれませんけど、私たちの選択があったから誰も不幸にならずにすんだんです!」
俺が自分の責任めいたことを言うと、三人の少女は即座に否定してきた。
そしてそれは、まったくもってそのとおりだ。
「そっか……そうだな……」
俺が決めたんじゃなくて4人でそうすると決めたんだもんな。
自分勝手なはき違えをするところだった。
「ああ、ところでこの打ち上げのお菓子やらジュースって生焼けタコ焼き食って腹壊した三人が買ってきたのか?」
「ええ、本来は実行委員である私が行く予定でしたけど。是非任せて欲しいというのでそうしました」
あの後――全てのタコ焼きを売り尽くした俺たちが疲労困憊でへたり込んでいると、トイレから解放されたシフトメンバーの男子三人が腹をさすりながら戻ってきた。
当然、クタクタの極地である俺たちの口からは文句が出た。
「おやおや……トイレ王国の住民が帰ってきましたよ……」
「お前らぁぁぁぁ……このアホどもぉぉぉ……っ!」
「お腹は大丈夫ですか……? もう生焼けのタコ焼きなんて食べたら駄目ですよ……」
「責めはしないけど一言は言わせてよー! すっごい大変だったんだからー!」
そして俺たちが4人で無茶やって仕事を回していたと知るや三人は青ざめて「マジすまんかった……!」と平謝りしてきた。
店員としての練習をしていたため、3人の欠員がどれだけキツいかを理解していたのだろう。
「埋め合わせとして後片付けをやってくれたし、お菓子とかの買い出しまでやってくれたんなら俺はもうあれ以上責める気はないけどな」
「そうですね。その……お腹を壊した原因は私も『えぇ……』と思いますけど悪意があったわけじゃないですし」
「本当に大変だったから流石に文句は言ったけどねー。おかげで新浜君は浜辺に流れ着いた魚の死体みたいになってるし……無茶しすぎだよ」
うん、本当に社畜時代を思い出して無茶しすぎた。
今回のアレは精々1時間ちょいのことだけど、社畜時代には12年間毎日のように朝から深夜までやっていたとか今考えると自分の愚かさに戦慄する。
そりゃ内臓もボロボロになるし死にもするわ。
「何か秘策があるかと思ったらまさかの力押しでしたもんね。新浜君がアホほど働いて欠員分をカバーするとか根性論すぎでしょう。まあ、でも……」
風見原はそこでふっと笑いメガネを押し上げた。
「中々カッコ良くはありましたよ。文化祭前までは内気な性格だと思っていましたけどすごく頼りになってエネルギーの塊みたいな人だったんですね」
「うんうん! なんかもう見てて不安になるくらいの働きっぷりだったけどカッコ良かったよ! 一緒に仕事できて良かった!」
「お、おお、なんかそう言われたら照れるけど……ありがとう」
前世では全く接点がなかった風見原と筆橋からそう言われるとは想像しておらず、俺は思わず顔を赤らめて上ずり気味の返事を返した。
「それじゃあ、私はやることがあるのでまたあとで。後は紫条院さんに任せます」
「うん、私もちょっと別の子と話をしてくるね! 二人ともまたねー!」
そう言い残して、今回の文化祭で最も仲良くなれたクラスメイト二人は去って行った。
その場には俺と紫条院さんだけが残る。
「あ、あの!」
「え?」
「私もカッコ良いって思いましたから! 思ってましたからっ!」
「あ、ああ……? うん、ありがとう……」
二人が俺を褒めて自分がそうしなかったら気まずいと思ったのか、紫条院さんはやや慌てた様子でそう告げてきた。無理しなくていいのに……。
「よっと……」
「あ……立ち上がって大丈夫なんですか? 本当にフラフラでしたけど……」
「ああ、多少は回復してきたから大丈夫だよ」
紫条院さんに笑いかけ、俺は壁に背を預ける。
明日の筋肉痛は確定だが、今はなんとか身体が動く。
「本当に無理をしてくれたんですね……」
「ああ、でも……楽しかった。働いていて楽しいなんてこともあるんだな」
俺にとって労働とはすべて苦役だった。
それは俺をボロ雑巾のように使い捨てるゴミ会社のための労働だったからだ。
けれど今日は、紫条院さんや風見原、筆橋……ひいてはクラス全体のため、俺の取り戻せた青春のために自分を燃焼させたのだ。
あの時の俺の胸には、スポーツの試合で感じるような疲れを超えた高揚感があった。
「とはいえ、もう一度やれるかと言われたらキツいけどな……」
「ええ、私も理想で描いたような皆で完全燃焼できる出し物をやれてすごく楽しかったですけど……ふふっ、あれは勢いがあったから出来たと思います」
クラスメイトたちが楽しそうにワイワイやっている喧噪をバックに、違いないな、と俺たちは笑い合う。
「なんだか……不思議だな」
「え?」
「正直に言えば……俺はクラスのことを想っていたわけじゃない。このクラスのために何かしようとかも考えていなかったけど……」
今世においても学校における俺の世界は、紫条院さんとあとは銀次くらいだった。
「けれど今は……こうやって後夜祭で楽しんでるみんなを見て、良かったと思えている」
「新浜君……」
呟く俺を、何故か紫条院さんは嬉しそうに笑った。
いつ見ても男心を溶かすその可愛い顔に見とれていると――周囲に人が集まっていることに気付いた。
「え……? ど、どうしたんだお前ら?」
男子も女子も、クラスの一部を除いたほとんどがいつの間にか俺と紫条院さんの周りに集まっており、何故かどいつもこいつもいたずらっ子みたいな笑顔を浮かべている。
な、何だ? なんなんだ?
「さて新浜君。今からみんなで言いたいことがあるので良く聞くように」
集団の先頭に立っている風見原が、薄く笑ってメガネをクイっと上げる。
「あははっ、ちゃんと聞いてね新浜君!」
風見原の隣に立つ筆橋が屈託のない笑顔を浮かべる。
「は……? え……? 聞く? 聞くって何を……」
困惑する俺をよそに、みんなは息をすぅと大きく吸い込んで――
『新浜(君)っ!! ありがとうっ!!』
そんな言葉を、唱和させた。
「…………え?」
あり……がとう?
「何にも決まらなくて時間だけが過ぎる会議の流れを変えてくれて、本当に助かりました!」
「めっちゃ忙しかったのに俺のシフト希望を細かく聞いてくれてありがとな!」
「調理班のメニュー開発を許してくれてありがとうっ!」
「俺に看板作らせてくれてありがとうなっ! いや、お前面白い奴だわ!」
「準備の時教室の装飾とか何を聞いてもテキパキ教えてくれてありがとう! というかなんであんなに何でも詳しいの?」
「浴衣着れて嬉しかった! 本当に楽しい出し物にしてくれてありがとう!」
「何か今日の最後のシフトでもトラブルで人減ったのに1人で3人分働いたってマジかよ! そこまでしてくれるなんてありがとな!」
「ここまでクラスの出し物が楽しくなるとは誰も思わなかったって! いやマジサンキューな新浜! 言うことなしだった!」
予想もしなかった状況に、思考が停滞する。
ありがとう。
それはありふれた感謝の言葉だ。
珍しくもない。
前世でも他社の人間から挨拶のようにそう言われていたし、メールの文末にも頻繁に登場していた。
けれど、これは違う。
そんな社会通念上のおざなりな定型文じゃない。
血の通った暖かい『ありがとう』が――
雨あられのように俺へ降り注いでいた。
「ごく一部は除きますけど、みんな一度っきりの高校生活の貴重な文化祭を楽しみたいのが正直な気持ちです」
言葉を失っている俺に、風見原が語る。
「だから、クラスの出し物をこれ以上なく考えて、みんなをまとめながら形にしていって、こうして最高の気分までたどり着かせてくれた功労者に、みんな一言お礼を言いたかったらしいです」
「あははっ、誰がどう見ても新浜君が一番働いていたしね!」
筆橋が笑い、周囲の奴らも柔らかい笑顔を浮かべている。
いや、そんな……。
そもそも俺はクラスのことなんかどうでも良くて……ただ紫条院さんが楽しみにしているって言ったから企画しただけで……。
「もちろん、私も感謝してます」
ふと見れば、俺のすぐ隣で紫条院さんが微笑んでいた。
「ありがとう、新浜君。最初から最後まで、色んなトラブルや困ったことも含めてとても素敵な文化祭でした」
上手く口が動かせない。
まったく経験したことがない『ありがとう』で俺の頭がいっぱいになる。
「みんな新浜君を見ていました。だから――感謝の言葉を受け取ってください。みんながそう言いたくなるほどに、新浜君は頑張ったんですから」
そこまで言われてやっと、俺はみんなが心から俺に感謝してくれているのだと本当の意味で理解した。みんなが本当に――俺を見てくれていたのだと。
(ははっ……そう言えば前世で俺がどれだけ馬車馬のように働いても誰にも感謝されなかったな。なのに今は……こんなに大勢から『ありがとう』て言ってもらえるなんて……)
「あー……その、みんな……」
予想外すぎて働かない頭で、しどろもどろに口を動かす。
ダメだ。上手い言葉がまるで出てこない。
「その、俺からも……ありがとう……」
ようやく出てきたのは、そんな芸も何もないオウム返しだった。
けれど何かもう……これに尽きる気がした。
「あはははっ! 新浜君顔真っ赤ーっ!」
「ほれ見ろ! めっちゃ照れてるぞっ!」
「新浜君、乙女っぽーい!」
「まあでも感謝はマジでしてるから!」
「めっちゃ骨折ってくれてありがとうなっ!」
俺の言葉に反応して、誰しも好き勝手に笑う。
けれど、その気持ちは本当だった。
クラスメイトの奴らは紛うことなき笑顔を浮かべ、信頼を露わにして、感謝の言葉を口にする。俺を認めて、俺にありがとうと言ってくれている。
前世の俺が一度も見たことのない光景が――そこにあった。