日本小4课文:拒载山猫【久我Masahi的日语课堂】#50

山猫、お断り(拒载山猫)
作者:あまん きみこ
注:本课与第44课是系列文,没有看过的可以先看这一课。

秋になりました。(秋天到了。)
あんなに青々としていた並木の葉も、いつの間にか、黄色に色付いています。(那绿油油的行道树叶也不知何时染上了黄色。)
「ここの並木は、銀杏(いちょう)だったのだな。」(“这里的行道树是银杏啊。”)
ちらっと、ガラス越しに見上げた松井さんの制服も、一昨日から、紺色に変わっています。(松井隔着玻璃瞥了一眼上方,他的制服也从前天换为了藏青色。)
並木の終わった竜胆橋の上で、若い男の人が手を挙げているのを見つけて、松井さんは車を止めました。(在行道树尽头的龙胆桥上,松井只见一个年轻男子举起了手,便停下了车。)
「どちらまで。」(“请问你要到哪里?”)
「言う通りに行ってください。」(“请按我说的开。”)
メーターをカチッと立てて、空色の車は走り出しました。(松井咔擦一声打开了计价器,然后驾着天蓝色的车前行。)
まっすぐに、ぐんぐん走ります。(笔直地快速行驶。)
「そこのポストを、左に曲がって。」(“在那个邮筒边左转。”)
松井さんは、ハンドルを回しました。(松井转动了方向盘。)
「次に、右。」(“接着右转。”)
「また、右。」(“还是右转。”)
「そのタバコ屋を、左。」(“在那个烟草店左转。”)
「次、左。」(“然后左转。”)
「向こうの花屋を、右。」(“在对面的花店右转。”)
お客の言う通り、ハンドルを右に回したり左に回したりしているうち、松井さんはどこを走っているのか、さっぱり分からなくなってきました。(松井按照乘客所言,一会右转一会左转,渐渐地完全没了方向。)
見慣れない通りばかりです。(到处都是陌生的路。)
すれ違ったり、追い抜いたりしていた車も、人も、自転車も少なくなって、やがて、すっかりなくなってしまいました。(交会的车、赶超的车、行人和自行车也渐渐少了,最终,完全没有了。)
細い一本道に出ました。(车来到了一条狭窄的道路上。)
両側には、見渡す限り、金色の稲の穂が、波のように揺れています。(道路两旁一望无际的金色稻穗如同波浪一般摇晃。)
木の葉が、赤や、黄色や朱色に染まった虹のような林に入りました。葉の間から差してきた光が線になって揺れ、空色の車も、斑(ぶち)に染まって走っていきます。(车驶入了彩虹般的树林,树叶染上了红色、黄色和朱红色等色彩。从树叶间照射进来的光线摇动、行驶中的天蓝色的车也染上了光斑。)
「来たことのない所だな—。」松井さんは、妙に口の中が粘っこいような気持になってきました。「ここは、奥楓谷辺りですか。」と、思わず訊ねました。(“从未来过这地方啊。”松井莫名有种好似口中黏糊的心境。不禁询问道:“这一带是奥枫谷吗?”)
するとお客は、喉の奥でごろごろするような、低い柔らかい笑い声を立てました。(于是乘客的喉咙深处传出了咕噜咕噜的低柔的笑声。)
嫌な笑い方だな、とバックミラーを見た松井さんは、「あっ。」と声を出しそうになりました。(真是讨厌的笑法啊,松井如此想着,看向后视镜,差点“啊。”地一声叫出来。)
車が、がくっ、と揺れました。(车“咯噔”晃了一下。)
バックミラーの中の男の顔に、焦げ茶の縞の毛が生えていました。(后视镜中的男人的脸上长着深棕色条纹的毛。)
金色の目、湿った黒い鼻、針金のように、ぴんと横に張った髭—。(金色的眼睛、湿漉漉的黑色鼻子、如同铁丝一般横长的胡须。)
なんと、お客はネクタイを締めた山猫でした。(乘客竟然是系着领带的山猫。)
松井さんは、力いっぱいブレーキを踏みました。もうもうと土埃を上げて、車が止まりました。(松井用力踩住刹车。尘埃扬起,车停下了。)
「降りてくださいよ。」松井さんは振り向かないで言いました。声まで震えそうなのを、やっと堪えていたのです。(“请下车。”松井头也不回地说道。好不容易忍住了几乎要发颤的声音。)
「こんな所で、降りなくちゃいけないのでしょうか。」(“不得不在这种地方下车吗?”)
こう言いながら、お客が松井さんの方に顔を寄せたのか—、生臭い匂いがぷんとしてきました。(乘客大概一边说着,一边脸朝松井凑近吧,一股腥味扑鼻而来。)
「だって、あんたは、山猫でしょう。」(“因为你是山猫吧?”)
「でも、この車のどこにも『山猫、お断り』とは書いてなかったですよ。」(“但是,这辆车哪里都没有写‘拒载山猫’啊。”)
それは、まあ、そうだ、と松井さんは思いました。(松井想道是没写。)
「料金を払えば、誰であろうと、同じじゃありませんか。」(“只要付车费的话,不管是谁都一样吧?”)
それもまあ、そうだ、と松井さんはまた、思いました。(松井又想道是这样没错。)
「お願いしますよ。何しろ、急いでいるんです。母が病気になったと、電報が来たのですよ。私は、医者なのです。と言っても、まだ、医者になったばかりなのですがね。」(“拜托了。因为我很急。电报通知我母亲生病了。我是医生。虽说是医生,也才刚当上医生不久。”)
送ってやろうかな、いや、送るべきだ、と松井さんは思いました。そして、ぱちぱち瞬きをして、自分の頭を、三度叩いてみました。それでも決心が変わらなかったので、はっきり頷きました。「いいです。送りしましょう。」(松井想道要不要送他呢?不,应该送他。于是,松井眨了眨眼,又敲了三下自己的脑袋。决心没有改变,所以干脆地点头道:“没问题。我送你去。”)
虹の林を過ぎると、白い舗装道路に変わりました。(穿过了彩虹林,来到了白色的柏油路。)
両側に、赤い屋根の家が十軒ほど並んでいます。その一番奥の家の前に、青いスカートを穿いた小さな山猫が、額に手を翳して、こちらを見ています。(路两侧排列着十家左右的红色屋顶房。在最里面的房屋前,一个穿着蓝色裙子的小山猫正将手放在额头遮着光看向这里。)
空色の車が止まると、飛ぶように車のそばに走ってきて、可愛い声で言いました。「お兄ちゃん、早く。早くってば。」(天蓝色的车停下后,她飞奔到车旁,用可爱的声音说道:“哥哥,快点。快点啊。”)
山猫先生は、よしよし、と頷きながら降りましたが、ドアを閉める前に松井さんに言いました。「運転手さん。また病院に帰ります。暫く待ってください。」(山猫医生一边颔首一边下了车,然而,在关上车门前,他对松井说道:“司机。我还要回医院。请稍微等我一会儿。”)
「待たせてすみませんでした。おかげで、早く治りそうです。なあに、私に会いたいので、少し大袈裟に言っているらしいんですよ。」車に乗り込んだ山猫先生は、笑いながら言いました。さっきの青いスカートの女の子が出てきて、茶色の小さな手を一生懸命振っています。(山猫医生乘上车后笑道:“不好意思让你久等了。托你所赐,母亲很快就能痊愈。没什么,她似乎因为想见我,所以稍微说得严重了一点。”刚才穿着蓝色裙子的女孩出来了,奋力地挥着茶色的小手。)
「一番下の妹です。早く立派な医者になって、ここに帰って来なければ、と思いますよ。」山猫先生も、女の子に手を振りながら、松井さんにこんなことを言ったりしました。(山猫医生也一边朝女孩挥手,一边对松井说道:“那是我最小的妹妹。我必须早日成为优秀的医生,然后回到这里。”)
林を過ぎ、金色の稲の間の道を走り、町に入った時、松井さんは、わざわざ振り向いてみました。(车驶过林子,驶过金色稻穗间的道路,驶入城镇的时候,松井特意回头看了一下。)
後ろのシートにいるのは当たり前の若い男の人。そのお客は片目を瞑って、にやっと笑いながら言いました。「ほら、そのタバコ屋を右ですよ。」(坐在后座的理所当然的是一个年轻男子。该乘客闭着一只眼,微微一笑道:“喂,在那个烟草店右转。”)
「それから、左。」(“然后左转。”)
「そのポストを、右。」こう何回も言われるうちに、ちゃんと、また、竜胆橋に出てきました。(“在那个邮筒右转。”如此说了很多遍之后,确实又来到了龙胆桥。)
「その先の大学病院です。」(“这前面是大学医院。”)
やがて空色の車は、堀端の大きな病院の前に、ぴたっと止まりました。(最终天蓝色的车一下子停在了水渠边的大医院前。)
メーターは、いつの間にか、三千八百五十円に上がっています。お金と一緒に、松井さんの手のひらには、葉書を半分にしたぐらいの紙が乗せられました。(计价器不知何时升到了三千八百五十日元。与钱一起递到松井手心的是大概半张明信片大小的纸。)
「これには、人には読めませんが、こう書いてあります。『山猫、お断り』—これを、ドアに貼ってください。もう大丈夫ですよ。」(“虽然人类看不懂,这上面写道‘拒载山猫’,请把这个贴在车门上。已经没事了。”)
先生は、広い階段を、すたすたと駆け上がっていきます。その背中を、ぽかんと見ていた松井さんは、急に窓を開けました。(医生急冲冲地走上宽敞的楼梯。呆呆注视着其背影的松井突然打开了车窗。)
顔を突き出して、呼び止めました。「や、や、山。いや、ちょっと—。」(松井探出脸,叫住了对方道:“山、山、山。不对,请留步。”)
「は。」と、振り返った山猫先生に、松井さんは、その小さな紙を、パリパリッと破ってみせました。(“啊?”山猫医生回过头后,松井在他面前将那枚小纸哧啦哧啦地撕碎了。)
そして、大声で言いました。「また、いつでも、どうぞ。」(然后,大声道:“无论何时,都可以再来乘我的车。”)
今度は、松井さんが片目を瞑って、にやっと笑いました。アクセルを踏むと、車は、滑るように走り出しました。(这次是松井闭着一只眼,微微笑道。松井踩了一脚油门,车滑行似地驶动出去。)

词汇
紺色(こんいろ):绀色、藏青色、带紫色的深蓝色
すれ違う(すれちがう):会车、交错、在几乎相互擦着的近处相向通过;错过;不一致、有分歧
粘っこい(ねばっこい):粘粘糊糊、有粘性的;纠缠、无休止
針金(はりがね):铁丝、铜丝、钢丝等细线状金属
堪える(こらえる):忍受、忍耐、憋住
生臭い(なまぐさい):腥气、血腥味;出家人怀有名利之心,不守清规
ぷん:表示气味扑鼻或弥漫;怒气冲冲、气呼呼地
舗装道路(ほそうどうろ):柏油路
翳す(かざす):蒙上、罩上;放在头(眼)上遮光
大袈裟(おおげさ):夸大、夸张、过分
瞑る(つぶる):闭眼、合眼
葉書(はがき):明信片
すたすた:三步并作两步、急冲冲地、一个劲地往前走

作业
1.读课文
2.看图写话:
