【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 108 [千五百七十三年 八月中旬]
书名 战国小町苦劳谭
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作者: 夹竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
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千五百七十三年 八月中旬(*原文网页序列号 - 125)
八月十一日。秀吉から調略を受けていた焼尾砦を守る浅見対馬守が折れ、織田側へと寝返った。
八月十一日。受到秀吉调虎离山策略的浅见对马守守卫的焼尾砦屈服,投降到织田一方。
その一報は即座に信長へと届けられ、山本山城に続く調略の成功に、静子を除いた織田家の主だった家臣間に動揺が広がった。
那个消息立即传到信长那里,除了静子之外,織田家的主要家臣们因为调略成功的山本山城而感到不安。
焼尾砦が落ちた以上、残すは大嶽城のみとなった。大嶽城すらも秀吉が落とした場合、今回の浅井・朝倉討伐における第一功は秀吉のものとなる。
一旦烧尾城失守,现在唯有大岳城尚存。即使大岳城也被秀吉攻陷,今次浅井·朝倉讨伐中的第一功也将归于秀吉。
そうなれば織田家内での秀吉の発言力は更に強くなり、それを面白く思わない人間は多かった。
如果那样的话,織田家内部的秀吉发言的影响力将变得更加强大,因此有很多人对此感到不满。
一方、権力争いに興味がない静子には動揺もなく、淡々と柴田勝家や前田利家の陣へと物資搬入及び鉄砲衆の配置をこなしていた。
然而,对于不感兴趣于权力斗争的静子来说,并没有动摇,仍然淡定地完成了向柴田胜家和前田利家的军营运送物资以及安排枪兵的任务。
焼尾砦の報を受けた柴田勝家や前田利家にあれこれと話をきかされ、必要以上に足止めを食ったが概ね予定通りに仕事を終えていた。
在接到焼尾砦的消息后,柴田胜家和前田利家被询问了许多事情,因此受到了不必要的拖延,但总体上按计划完成了工作。
翌十二日、史実では夜間に雷雨を伴う大雨が降ったとされるが、静子は昼間の雲の動きなどから、天気が崩れるのは翌日にずれ込むと予想した。
次日十二日,根据历史记录,据称夜间伴有雷雨的暴雨降落了。但是,静子根据白天的云动向等推测,预计天气会晚到一天崩溃。
そして静子の読み通り、十二日の夜は風こそ強いものの、小雨すら降らずに過ぎていった。
而且如静子所预料的那样,12号晚上虽然风很强,但连小雨都没有下过。
「天気が崩れるのをただ待つ、ってのも割と暇を持て余すな」
"只是等待天气改变,也是相当无聊的事情" - Simplified Chinese translation
慶次が夜空を見上げつつ呟く。
庆次仰望夜空,并喃喃自语。
「ごめんね、こんな天気任せの作戦で」
"对不起,只能靠这样的天气来实施计划了。"
「構わないさ。ようは天が俺たちに味方するか、それとも敵側につくか、そういう天命を占うのも乙なものさ。しかし、本当にやるのかい? 俺は一向に構わないが、失敗すれば如何に静っちと言えども大目玉じゃ済まないぜ?」
“无所谓了。关键是天命会站在我们这边,还是站在敌人那边。虽然占卜出天命也很有趣。但你真的要做吗?我不在乎,但是如果失败了,即使你尽力也可能会受到严厉的惩罚。”
「だからこそ面白い、と思わない?」
“所以才有趣,你不觉得吗?”
静子の返しに意表を突かれ一瞬呆けた慶次だが、破顔すると腹を抱えて笑い出した。含むところの一切ない、愉快でたまらないと言う笑いだった。
静子的回答出乎意料,让景次瞬间愣住了,但随后他哈哈大笑,抱着肚子笑个不停。这是一种快乐无比的笑声,没有掩饰,让人非常愉悦。
「静っちもなかなかどうして傾奇者だな。確かに普通はやらないだろう。だからこそ面白い。俺の兵たちはやる気だぜ。こんな面白い話、乗らない手はないってな」
"静也是个不简单的人物啊。一般人肯定不会去做的事情,他却做到了。正因为如此才更有趣。我的兵士们也很有斗志。这么有趣的故事怎么能不跟着来呢。”
「下手をすれば寒さで死ぬかも知れないのに、そんなに乗り気な言葉が出るのは驚きだね」
「要是不小心处理不好,可能会因为寒冷而死去,但你还是那么乐观,真是令人惊讶呢。」
「そうかもな。だが、策がぴったりと嵌った時の連中の顔は、さぞかし見ものだろうな」
也许是这样。但当计划完美地契合时,那些人的表情肯定非常值得一看。
そんな話をしていると、慶次隊の中でも猛者と呼ばれる連中がやってくる。
当我们谈论这个时,就有被称为慶次队中的猛者的人们到来了。
隊長の慶次に倣ってか、みなそれぞれに傾(かぶ)いていた。中には余程の武功を立てなければ持てない朱槍をあえて携えている者すら居た。
仿效队长的慶次,大家各自倾斜着。甚至有人故意携带朱色长枪,除非立功才能拥有。
「さて、先に慶次さんへ話をしていたけれど、今回の策が承認されました。策の中身については、以前伝えた内容から変更はありません。ここ一番の傾きどころです、己の生き様を敵に見せつけてやりなさい」
"好了,先前我已经跟庆次先生谈过了,这个计划已经得到批准了。计划的内容没有变化,跟之前说的一样。这是最关键的时刻,让你的敌人看看你的生命意志吧。"
静子の言葉に集まった傾奇者たちは太い笑みを浮かべた。意気込みは十分、後は時が来るのを待つだけだと静子は思った。
聚集在静子身边的浪荡子们露出满脸的笑容。他们兴致勃勃,只等待时机的到来。静子认为他们已经准备充分,只需等待时机的降临。
来たる十三日。朝から天は曇り、雨の気配が濃厚に漂っていた。早朝、静子は自陣にて雇い入れた中間(ちゅうげん)たちの名簿を眺めていた。
十三日到了。一大早,天空阴沉,雨的气息密集地弥漫着。静子在自己的营地里看着雇佣中间人的名单。
「ここと……ここの集団、結構長い期間雇っていると思うの。そろそろ慣れから意識が緩みそうだから、仕事ぶりが良ければ報酬に色を付けてあげなさい。熟練者なら、報酬が多くても問題ないでしょう」
“这里……这个团体,我觉得已经被雇佣了相当长时间了。因为他们也许逐渐厌倦了工作,所以如果他们表现良好,就给予一些额外报酬。对于那些有经验的人来说,即使报酬高一些也不是问题。”
「それでは、他の者と差がついてしまいますが……」
"那么,这样就会落后于其他人……"
「己の命を賭け皿に載せている彼らに精神論や根性論は響きません。働きに応じた適切な評価と報酬を与えることで、彼らは十全に力を発揮します。激戦続きの我が軍で繰り返し雇っているのなら、歴戦の兵として扱うべきです。働きに応じた報酬を与えることで、他の者も触発されて奮起します。それに不貞腐れて働かないような輩は、何かにつけ理由を付けて働かなくなります。そういう者達は次回から雇わなくて結構です」
对于把自己的生命放在敌人弹道下的人,精神和毅力的鼓舞都不起作用。只有给予相当的工作评价和奖金,他们才能充分发挥自己的能力。如果在不断激烈的战斗中重复聘用他们,就应该视他们为经验丰富的老兵。通过给予相应的奖励来促使其他人振作起来。那些总是找借口不工作的人将不再被雇用。
中間を雇っていれば、いつも同じ面子で参じる人間が出てくる。中間として十把一絡げに扱うのではなく、働きに応じて差を付けるべきだと静子は語った。
如果雇用中间人,那么总会有相同的人出现。静子认为不应该把所有中间人都当做同等处理,而应该根据工作表现给予差别待遇。
「はっ! 承知いたしました」
"好!我明白了。"
「道具類の整備は万全かな? 道具の良し悪しで効率が変わるからね」
"道具类的整备充分吗?因为工具的好坏会影响效率呢。"
「はい、問題ありません。職人たちが全量検査をして万全だと太鼓判を押しております」
“是的,没有问题。工匠们进行了全量检查,保证一切完好无损。”
「宜しい。労働の合間には休息を取らせているね? どんな人間でも、長時間働けば疲労がたまる。疲労が溜まれば判断を誤ったり、思わぬ失態を演じたりするからね」
“好的。劳动之间需要给予休息时间吧?无论是何种人,长时间工作会导致疲劳。疲劳积累会导致错误判断和突如其来的失误。”
「過不足なく休憩時間を設けております。お陰ですこぶる元気な中間が揃っております」
我们为大家设置了充足的休息时间,因此中期考试的状态都十分出色。
「ならば良し。君たちも適宜休憩を取るように。働けば疲れる。それは肉体労働だろうと頭脳労働だろうと変わらない。誰かが咎めるようなら私に報せなさい。臣下の保障をする(・・・・・・・・)のは私の役目ですから」
「既然如此好。你们也应适当休息。工作会让人疲倦。不管是体力劳动还是脑力劳动都一样。如果有人责备你们,请告诉我。保障臣民(....)是我的责任。」
「はっ! 静子様のお心遣い、痛み入ります」
“哈!静子大人的关爱,我感到非常不好意思。”
配下の言葉に静子は満足げに頷くと、書類を置いて立ち上がる。
听到手下的话,静子满意地点头,然后放下文件站了起来。
「常々言っていることですが、我々は織田軍における縁の下の力持ちです。決して華々しい活躍をすることはありません。しかし、織田軍が快進撃を続けていられるのは、我らの影働きがあってこそ。これを誇りとし、鉄の結束を以て揺るがぬ実績を積み上げ、これからも織田軍の兵站を担い続けていきます」
“我们常说,我们是织田军队中的默默无闻者。我们从来没有获得过辉煌的成就。但是,织田军队之所以能够继续奋斗,是因为我们的支持。我们自豪地团结在一起,累积了无可动摇的成果。我们将继续承担着织田军队的后勤支持。”
「ははっ!!」
"哈哈!"
後方支援部隊の隊長たちは静子に深々と頭を下げたあと本陣を去り、入れ替わるように慶次や才蔵達が静子の居る本陣へと戻ってきた。
后方支援部队的队长们向静子深深鞠躬后离开了大本营,随后换班的慶次和才蔵等人回到了静子所在的大本营。
「この空模様と雨の匂い……もう間もなく天気が崩れるでしょう。それが開始の合図……慶次さんと勝蔵君、よろしくお願いします」
"这种天空和雨的气息......很快天气就会变坏。这是开始的信号......请恭二先生和胜藏先生多多关照。"
「任せておけ、おもしろい結果を持って帰ってきてやる」
“交给我吧,我会带着有趣的结果回来的。”
長可が力拳を作って気合をアピールするも、慶次は呆れ顔になっていた。仮に長可が暴走しても、慶次が一緒なら何とかしてくれるかな、と静子は考える。
长可制作力拳,并且展现出饱满的气势,然而景次却面露惊愕之色。静子想:“万一长可失控了,如果有景次在旁边应该能帮忙解决吧。”
静子は今回の作戦に一つ懸念を抱いていた。それは長可が暴走してしまうという可能性。
静子对这次任务有一个担忧,那就是长可有可能失去控制。
近頃、長可は信長の命令を受け、畿内各地の騒動鎮圧の任に就いた。しかし長可が着任すると同時に、ピタリと騒動が発生しなくなった。
最近,长可接到信长的命令,负责平息畿内各地的骚动。然而,一到任就发现骚动神奇地停止了。
長可の悪名は畿内にも届いており、武田の赤備えすら倒す悪逆非道の無頼漢だと思われていた。
“长可的恶名传遍了畿内,他被视为一个残忍无道的痞子,甚至连武田家的赤备也被他打败了。”
それゆえ小さな騒動が発生しても、長可が駆けつける頃には解決しており、彼の不完全燃焼による欲求不満は溜まる一方であった。
因此,即使发生小骚动,当长可赶到时已经解决,而他因不完全燃烧而导致的不满越来越多。
ここに来て存分に敵と戦える機会に巡り合い、血気に逸(はや)る長可が暴走するのではと危惧していた。
到这里,遇到了与敌人尽情战斗的机会,我担心长可会因为兴奋而失去控制。
「才蔵さんと与吉(高虎)君には本陣の守りをお願いします。鉄砲衆の大半を各地に派遣したから、本陣には僅かな鉄砲衆と竜騎兵しか残っていません。油断しないよう頼みます」
“请让才藏先生和与吉(高虎)先生负责守卫营地。由于大部分铁炮手已被派往各地,所以本营只剩下了少量的铁炮手和龙骑兵。请务必小心谨慎。”
「ははっ!」
"哈哈!"
鉄砲衆は玄朗が大隊長を務め、その下に200名ほどを一部隊として率いる隊長が数名存在する。その隊長の中の一人が、浅井長政であった。
铁炮众由玄朗担任大队长,其下有数名率领约200名士兵的队长。其中一位队长是浅井长政。
彼の出自から言えば、そのような地位に甘んじるものではないが、彼はただの一兵卒として再出発し、早くものし上がってきていた。
从他的出身来看,他并不是那种甘于处于这种地位的人,但他作为一名普通士兵重新出发,很快就取得了成功。
遠藤や三田村も今ではすっかり熟練の鉄砲衆になっていた。
遠藤和三田村现在已经成为了经验丰富的枪手。
その長政が率いる隊を、静子は知らずの内に秀吉のところへと配置したのは歴史の皮肉だったのかも知れない。
那个由长政率领的队伍被静子不知情地编排到秀吉那里,可能是历史的讽刺。
「そういえば、明智殿が竜騎兵50を使って朝倉の陣を揺さぶっていたな。あれは上様が挑発しろって命じたのかな?」
“顺便提一下,明智殿曾动用50名龙骑兵来震撼朝仓的阵营。这是上级命令挑衅的结果吗?”
「多分そうでしょう。敵の消耗を狙っておられるからね。竜騎兵の機動力なら一当てして、即座に撤収する一撃離脱戦法が使えるから、うってつけなんでしょう」
“很可能是这样。因为他们瞄准了敌人的消耗。龙骑兵的机动力使得他们可以使用一击离脱战法,立即撤退,所以非常适合。”
竜騎兵は新式銃を装備した騎兵隊であり、騎乗したままの長距離狙撃を可能とする兵種だ。
龙骑兵是一种配备新式枪支的骑兵队,可以在骑乘状态下实现远距离狙击的兵种。
精密射撃が求められる場合は下馬するが、それ以外では機動力を生かして接敵し、敵の射程外から一方的に射撃を繰り返したり、敵を引き込みつつ射撃を続けたりという従来には無かった攻撃が可能となる。
需要精密射击时下马,但在其他情况下,可以利用机动力进行接触战,从敌人的射程范围之外反复射击,或者在吸引敌人的同时继续射击,从而实现以前无法想象的攻击。
馬による機動力と新式銃の圧倒的性能によって、僅か50ばかりの竜騎兵でも10倍の敵を攪乱することが可能となる。
凭借马匹的机动力和新式枪械的强大性能,即使只有50名龙骑兵也能够扰乱10倍于敌军的力量。
ただし騎兵である以上、視界が良好かつ足元が確かであるという制限は免れ得ない。
然而作为骑兵,无法避免地受到视野清晰和脚下稳固的限制。
「遠巻きに眺めていたが、朝倉軍からすれば鬱陶しくて堪らんだろう。あれだけ一方的にやられても、義景が動こうとしないのも問題だ。今頃朝倉の家臣たちは義景に詰め寄っているだろう。今回ばかりは義景の考えが正しいのだがな」
“远远地观望着,但对于朝倉军来说,肯定很不爽。虽然一直只是被朝倉军一方面的攻击,但義景也不动手的问题也很大。现在,朝倉家臣们可能正在追问義景。虽然这次義景的想法是正确的,但情况有些复杂。”
足満が笑いながら静子の言葉を補足する。
足满一边笑一边为静子的话澄清。
現時点ではどこの陣へと攻撃しても、新式銃で武装した鉄砲衆が100名以上いる。白兵戦の距離まで近寄る頃には多くの将兵が命を落とすのは目に見えていた。
目前无论攻击哪个阵地,都会遭遇100名以上配备新式枪械的枪手。如果靠近白兵战距离,许多将士将不可避免地牺牲。
それを考えれば挑発に応じず守勢を貫く義景の戦法が理にかなっている。ただし、奇襲を受けて銃弾に晒されている側からすれば、長くは耐えられない。
如果考虑到这一点,坚持采取守势并不屈服于挑衅的义景的战术是有道理的。然而,从受到突袭并暴露在枪弹下的一方来看,这种战术不可能长期持续下去。
「仕方ないよ。銃撃されても耐え続けろ、と言われても状況が好転する兆しがないんじゃ耐えられない。とはいえ、そろそろその苦行も終わるだろうね。例の人(・・・)が羽柴様と接触したようだし……数日の内には決着がつくんじゃないかな」
“没办法。就算被枪击也要坚持下去,但如果情况没有好转的迹象,也无法忍受。不过,那种苦痛也差不多该结束了吧。听说那个人与羽柴大人已经接触了……也许几天内就会有结果。”
「栄枯盛衰は世の定め。名家の美名に胡坐をかき、精進を忘れた者に未来は訪れぬ」
"荣枯盛衰乃世间定数。假于名门之美名而懈怠怠惰,未来定不会降临于他。"
「ま、未練が残らないようすっぱり介錯してやるのが武士の情け、ってな。任せておけ、俺が一刀両断してやるよ」
“为了不留下牵挂,彻底了结,这是武士雪中送炭的情义。放心吧,我会一刀两断。”
「こらこら勝蔵君、一刀両断したら駄目。今回の作戦は義景が肝なのよ」
"勝藏,不能一刀两断。这次的作战关键是义景。"
「安心しな、静っち。勝蔵が馬鹿をやりそうになったら、ぶん殴ってでも止めるからさ」
“别担心,静。如果胜藏开始做傻事,我会打他一拳来阻止的。”
慶次が殴って止めたら、その場で大乱闘が始まらないか不安になった静子だが、その場に静子は居合わせられないから信じる他なかった。
庆次揍停后,静子担心是否会在现场爆发大乱斗,但她无法在那里,只能相信别人了。
「勘弁してよ。敵の前で味方同士が争うなんて」
"别闹了。在敌人面前互相争斗的行为很愚蠢"
「失礼だな。俺にだって状況を弁える分別はある……はず?」
“失礼了。我也应该有足够分辨情况的能力……应该吧?”
「なんで自分で言って自分で疑問に思うの。余計不安になるよ。まあ言っても始まらないか。しかし、今回は慶次さんと勝蔵君しか活躍の場がないから、他の二人は不満があったりする?」
“为什么要自己说出来还自己产生疑问。这样会让人感到更加不安。好了,说了也没有用。但是,这次只有景次先生和胜藏君有发挥的机会,其他两个人会有不满吗?”
才蔵と高虎は本陣の守り。慶次達が暴れている頃でも、静子の護衛という重大だが地味な仕事を担う。足満に至っては本陣を出る事すら許されない。
才藏和高虎是本阵的守卫。即使景次等人在暴动,他们也负责担任静子的警卫,这是一项重要但不起眼的工作。至于足满,则甚至不允许离开本阵。
華々しいいくさ働きが期待できないから、不満はないかと静子は訊ねてみた。
静子问道:“您不觉得无法期待华丽表现工作而不满吗?”
「某は久々に馬廻衆らしい仕事が出来て満足しております」
「我很满意能够久违地做些像马廻衆一样的工作。」
「勿論、いくさ場での武功を立てたい思いもありますが、此度は大人しくしているのが吉と勘が囁くので、不満もありません」
当然,我也有想要在战场上立功的愿望,但这次内心告诉我最好保持安静,因此我没有任何不满意。
「そう、良かった。希望があれば言ってね。できうる限りの事はするから」
"嗯,好的。如果有希望的话告诉我。我会尽力做到最好的。"
「静子様のお心遣いに感謝致します」
感谢静子姐姐的关心。
静子の言葉に才蔵と高虎が深々と頭を下げる。
静子的话让才藏和高虎深深地鞠躬。
「迷うな。静子はただ命じれば良いのだ。わしはそれに応えるのみ」
“不要迷惑。只需静子发命令即可,我只需回应。”
足満はそれが至極当然と言わんばかりに淀みなく言い切る。彼らしい、と静子は苦笑した。
足满毫不犹豫地说出来,仿佛这是理所当然的。静子苦笑着说:“这就是他的风格。”
「よし、それじゃあ話は終わりね。さて、私はこれから奇妙様のご機嫌を取ってくる。近くにいるのに二日も放置とは何事だ、とおかんむりらしいからね」
“好的,那就结束谈话吧。现在我要去取悦奇妙大人了。离她近在咫尺,却被放置了两天,她一定很生气。”
「それは大役だな。頑張れ、静っち」
“那是一项重大任务。加油,静悄悄。”
重いため息を吐く静子に、慶次が欠片も思っていない言葉を吐いて彼女を見送った。
慶次看着静子沉重地叹息,说了一些完全没有考虑到她的话,然后向她告别。
信忠の陣は不穏な空気に包まれていた。不機嫌さを隠そうともしない信忠に当てられ、陣中が陰鬱な空気を発しているようだった。
信忠的营地被一种不安的气氛所笼罩。由于信忠完全没有掩饰他的不高兴,整个营地弥漫着一种沉闷的气氛。
信忠は既に信長の後継者として内外に知られ、いずれ天下人を継ぐことが決まっている。それを考えれば、家臣たちは信忠の機嫌を損ねるような言動を恐れるようになる。
信忠已经被内外广泛认知为信长的继承人,早已决定了继承天下人的位置。考虑到这一点,家臣们开始害怕惹恼信忠。
「いい加減、ふくれっ面を引っ込めて欲しいな」
"你能收起你的气呼呼的脸吗?" (Note: This translation may differ depending on the context and tone of the original text)
ただし静子から見れば茶丸(奇妙丸)時代の印象が強く、いつまで経とうと手の掛かる弟のように思えた。
然而,从静子的角度来看,她弟弟茶丸(奇妙丸)的影响仍然很强,她始终认为他像一个需要不断呵护的弟弟。
元服して以来、信忠は信長の命により、各地で戦ってはいるが一度として静子と戦場を共にすることは無かった。
自从元服以来,信忠奉信长之命在各地征战,但从未有机会与静子一同上战场。
何しろ静子が戦ってきた戦場は、いつ誰が死んでもおかしくない危険極まりない場所ばかりだったからだ。豪胆で知られる信長も、流石に嫡男をそのような場所にはおいておけない。
说起来静子所战斗的地方,是那种任何人都可能丧命的极其危险的场所。连以豪胆著称的信长也不敢把自己的嫡子留在那样的地方。
しかし、此度の浅井・朝倉討伐ならば肩を並べて戦える。そう信忠は期待に胸を膨らませていたのだった。
然而,如果是对浅井与朝倉的讨伐,就可以肩并肩地战斗。信忠内心充满了期望。
しかし、蓋を開けてみれば静子は戦線から遥か離れた後方に留まっており、各陣営の支援や調整に徹している。あちこち動き回って忙しそうにしているが、前線に出る気配はない。
然而,当实际情况浮出水面时,静子已经远离战线,留在了各个阵营的支持和协调工作中。她忙碌地行动着,但并没有前往前线的迹象。
そんな信忠の不機嫌さは家臣を萎縮させ、結果的に彼の本陣は機能不全に陥っていた。
这种信忠的不悦使家臣退缩,最终导致他的营地陷入了功能障碍。
「静子が父上の命で動いているのは理解している。だが、つまらぬものはつまらぬ」
「静子根据她父亲的命令行动,这我理解。但是,无聊的事情就是无聊的。」
「そうは言ってもね、代わりの利かないお仕事だし、仕方ないじゃない。今回のいくさ如何で、浅井・朝倉の両方を滅ぼせるかもしれないからね」
“虽然这么说,这份工作是替代不了的,没办法呀。这次战争里,或许可以消灭浅井和朝倉两个势力呢。”
「浅井は羽柴辺りが討ち取るだろう。こっちの出る幕はない。朝倉は父上が直々に策を練っておられる。万が一にも我らの出る場面はあるまい。このいくさならば静子との共闘が出来ると楽しみにしていたのだがな」
"浅井将被羽柴附近所淘汰。我们没有出现的机会。早上,朝仓父亲亲自制定了计划。万一我们出现的场合也是不可能的。我本来很期待在这场战斗中能和静子一起战斗呢。"
「我が儘を言われてもねえ……」
"即使被要求做我自己想做的事情......"
「判っている、判っているさ。これが俺の我が儘だということも、不用意に己の心情を晒すなということも、耳にタコができる程に聞かされた」
“我懂,我懂。我耳朵都听烂了,知道这就是我的任性,知道不能轻易地暴露自己的心情。”
口では理解しているようだが、到底納得しているようには見えない信忠の態度に、静子は頭をかきつつも彼のご機嫌を取りにかかる。
静子看到信忠口头上似乎理解了,但是并没有看起来真正认同的态度,于是她一边摆弄着自己的头发,一边开始取悦他。
ひとまず信忠の家臣を下がらせる。彼らが居ても状況は好転しないし、緊張を強いられた彼らにこそ休息は必要となる。
暂时让信忠的家臣下台。即使他们在那里,情况也不会好转,他们被迫紧张,他们才需要休息。
家臣を引き離したことで秘密の作戦っぽく演出できるし、信忠の本音も引き出しやすくなるという一石二鳥の策だった。
这是一招两策:通过分开家臣,可以制造秘密行动的氛围,同时还可以更容易地引出信忠的真实想法。
「それで、不機嫌なのは羽柴様と明智様の双方が関係しているのかな?」
"那么,不高兴的原因与羽柴大人和明智大人两方有关吗?"
本心を見抜かれ驚愕の表情を浮かべつつ、信忠は静子を見つめる。
本心被看穿,信忠露出惊讶的表情,注视着静子。
「そんなに難しい推理じゃないよ。嫡男だけれど目立った武功がない君と、上様に従って各地で数々の武功を立てた重臣。どうしても比べてしまって焦るのは仕方ないよね」
"并不是太难的推理。嫡男虽然资历浅,但没有出色的武功。而重臣却跟随上様在各地建立了许多武功。焦虑不可避免地就会比较起来吧。"
「相変わらず鋭いのか、抜けているのか判断に苦しむな。そうだ、俺は焦っている。そもそも歳からして違うのだから比べても仕方ないのは判っている。しかし、俺が武功を立てられる戦場はこの先、存在しないかも知れぬのだ」
“无论是敏锐还是疏忽,我都无法判断。是啊,我很着急。毕竟,我已经理解到我不应该拿岁数去比较,因为它不同了。但是,我可能再也找不到一个可以获得功勋的战场了。”
信忠も静子相手に強がる必要がないためか心情を素直に吐露する。
信忠对静子不必强势,因此可以坦率地表达自己的心情。
静子の予想は正しかった。信忠の武功と言えば長島一向宗討伐であるが、あれは十分にお膳立てされた状況に乗っかっただけであり、素直に誇ることが出来ない。
静子的预想是正确的。说信忠的武功,可归功于长岛一向宗讨伐,但那只是充分准备好的情况下顺势而为,并不能真正引以为豪。
いくさ働き自体が数年程度なのだから、生涯の半分以上を戦い続けている秀吉や光秀と自分を比べることが烏滸(おこ)がましい。
参战本身只有数年时间,因此与织田信长和豐臣秀吉等一生中超过半数的时间都在战斗中的人比较是不恰当的。
そう信忠自身も理解してはいるのだが、気ばかりが急いてしまう。
虽然蒼信忠自己也理解这一点,但他总是急躁抓狂。
このまま大した武功もなく、信長の後釜に収まったとして、果たして部下たちは自分に従ってくれるのだろうかと。
如果我仅凭现在这点功绩就成为信长的接班人,部下们是否真的会听从我的指挥呢?
せめて天下人の椅子に相応しい、武功を自らの手で勝ち取りたいと信忠は思っていた。
信忠想要赢得与天下人之位相符的武功,他希望亲手取得它。
「これは持論なんだけどね、人生は登山に喩えられると私は思うの。山の高さは判らない、けれど誰しも頂上を目指して一歩ずつ進んでいく。その道は不如意で試練に満ちている。先行きの見えない道行に迷ってしまうかもしれない。だけど迷った理由を『他人のせい』にしたら、二度と歩き出せなくなると思う」
“这是我的观点,我认为人生可以用登山来比喻。山的高度是不知道的,但每个人都朝着顶峰迈出一步。这条路充满困难和挑战。有可能迷失在未来看不清的路上。但是如果把迷失的原因归咎于‘他人的过错’,我认为就再也无法前进了。”
「……」
「……」can be translated to Simplified Chinese as「……」(ellipsis marks are also used in Chinese writing).
「茶丸君、君は焦っている。羽柴様、明智様、そして誰よりも上様の歩んでこられた山の高さと、その歩調を間近で見ていたからね。だけどね、目指す頂(いただき)も、山頂へ至る道も、歩み続ける歩調だって人それぞれだよ。他人の歩調を見て焦り、自分の歩調を狂わされて挫折する必要はないんじゃないかな? 君が今歩ける歩調で、一歩一歩進んでいく方が、立ち止まって焦っているよりも前に進めるよ」
"茶丸君,你很着急。因为你亲眼见证了羽柴大人、明智大人和比任何人都高明的人走过的山的高度和步伐。但是,你知道吗?我们每个人的目标顶峰、通往山顶的路线、行进步调都不尽相同。我们不必看着别人的步调而慌乱,也不必让自己的步调紊乱以致于挫败。以你现在能够行走的步调,一步一步地前进,比停顿着着急的你更有进展。"
静子の話を聞き終えた信忠は頬を掻いた。
听完静子的话后,信忠挠了挠脸颊。
静子がなにを言わんとしているのか、それは他人に嫉妬している暇があるのなら、己を高めるためにも今は我武者羅(がむしゃら)に前に進め、である。
如果静子有时间嫉妒别人,不如现在毫不犹豫地向前迈进,提高自己。
静子らしい回りくどくも思いやりに満ちた言葉に、信忠は強張っていた力が弛(ゆる)むのを感じた。
信忠感受到静子充满思想和关怀的话语中所固有的绕圈子的风格渐渐消失了。
「あーもう良い! 静子と話していると、己の小ささが嫌になる」
“啊,算了吧!和静子说话时,会觉得自己很渺小。”
顔に手を当てて信忠は空を見る。
面向天空,信忠把手放在脸上。
(これではいつまで経っても子ども扱いだ)
(这样下去永远都会被当成小孩子对待)
元服を迎え、社会的には大人になった。しかしそれは外側だけで、中身は依然として子供のままだと信忠は思い知らされた。
元服之后,社交上算得上已经成年。但是信忠意识到,虽然外表已经成熟,内心依然像个孩子。
他人の武功に焦り、周囲に八つ当たりをするような者に人は付いてこない。
别人有所成就就心急,对周围的人发脾气的人是不会被人们追随的。
苦境にある時ほどふてぶてしく笑え、かつて静子が言っていた言葉を信忠は思い出した。
在苦境中时,越要傲慢地笑着,信忠想起静子曾经说过的话。
「それで、機嫌は直ったかな?」
“那么,心情恢复了吗?”
「直った直った。で、だ。何か良い策はないか?」
「好了好了,那么呢,有没有什么好的办法呢?」
切り替えが早いのは美点だな、と内心思いつつ静子は顎に手を当てて考える。少しして良い案が思いついた。
转换速度快是一个优点,想着这个,静子把手放在下巴上思考了一下。不久后,她想出了一个好主意。
「耳を貸して。実はねーー」
“借我耳朵听听。其实呢……”
八月十三日の夜、強風と雷雨を伴う激しい雨模様となった。後の世でも「この日の夜は暴風雨であった」と信長公記や朝倉家の記録に残されている。
八月十三日晚上,伴随着强风和雷雨的暴雨袭来。后世《信长公记》和朝仓家的记载中都留下了“这个夜晚有暴风雨”的记录。
屋外に居ようものなら一分と経たずに濡れ鼠となり、轟く雷と打ち付ける雨音で周囲の音もろくに聞こえない状態であった。
如果在室外逗留一会儿,不到一分钟就会成为湿透的老鼠,在轰鸣的雷声和猛烈的雨声中,周围的声音也听不清楚。
大嶽(おおずく)城を守る者たちは皆引き篭もり、僅かな物見だけが闇に目を凝らしていた。
守卫大嶽城的人们都躲在里面,只有少数人在黑暗中提高警觉。
「いざ、出陣!!」
"出征了!"
鼻をつままれても判らない程の闇の中、信長は馬廻衆のみを率いて大嶽城へと出陣した。手前の焼尾砦は既に落ちているため、彼らは無傷で大嶽城へと迫る。
在黑暗中,甚至当他的鼻子被捏住时,信长率领着骑马的侍从前往大嶽城。由于前方的焼尾砦已经被攻破,他们没有遭受任何伤害就接近了大嶽城。
目指す大嶽城の明かりが見えようかと言うところで、信長は異変に気が付いた。敵側が夜襲に気付いて応戦してきたのかとも考えたが、すぐに思い違いと悟る。
当目尸大岳城的光明似乎可以看到的时候,信长感到了不对劲。虽然考虑到敌方可能会在夜间袭击并进行反击,但很快意识到自己的误解。
「かかれぇ!! かかれぇ!!」
"快跑!快跑!"
信忠が既に大嶽城を攻めていた。流石の信長にも予想外の事態だったが、こんな策を思いつきそうな人物に思い当たり笑みを浮かべる。
信忠已经攻击了大岳城,这使得即便是信长也感到出乎意料。他想到了可能会有这样策略头脑的人,微笑着想到这点。
大声を上げている信忠の近くまで馬を寄せると、雷雨に負けない大声で呼びかけた。
当他接近正在高声喊叫的Shinada Nobutada时,他将马靠近,以不输给雷雨的声音高声呼喊。
「奇妙!! わしに断りなく攻め込むとはな!!」
"奇妙!!你不经过我的允许就攻击我吗!!"
信長の声に気付いた信忠が振り返る。彼は信長を見返してニヤリと笑った。
信忠听到信长的声音,转过头来看着他,并露出了得意的笑容。
「何を仰います、父上!! 雷雨は織田家においては吉兆!! この機会を逃す手はありますまい!!」
“父上,您要我怎么做!! 在織田家,雷雨是吉兆! 我们不能错过这个机会!”
「いっぱしの口を叩きおる!! 皆の者!! 奇妙に負けるでないぞ!! かかれぇ!!!」
用力敲打嘴巴!!大家!!不要奇怪地输了!!加油!!!
信忠の馬廻衆に加え、信長の手勢も城攻めに加勢した。
除了信忠的马扈之外,信长的手下也加入了攻城的助力。
この事態に対し、大嶽城の守備を任された斉藤刑部少輔(さいとうぎょうぶしょうゆう)や配下の兵は、終始後手に回ることを強いられた。
在这种情况下,被委托保卫大岳城的斋藤刑部少佐和他的手下士兵不得不一直处于被动状态。
信忠の軍勢の接近に気付いた時には、既に城門に取りつかれ、刃を喉元に突き付けられた状態となっていた。
当注意到信忠的军队已经接近,他们已经被攀上城门,刃已经逼近他们的喉咙。
この雷雨では友軍が気付いて駆けつけてくれる可能性は低く、援軍を呼ぼうにも織田軍の包囲を抜けてどちらに走れば良いのかすら判らない。
在这场雷雨中,盟军可能不会注意到并赶来支援,即使想要呼唤援军,也不知道该跑向哪个方向才能突破织田军的包围。
血気盛んな織田軍を相手に、僅か数百名の疲れ切った兵のみで守り抜かねばならない。
必须用仅有的数百名疲惫不堪的士兵坚守下来,应对血气方刚的织田军。
暴風雨を受けつつも逸(はや)る織田軍とは対照的に、目前まで攻め込まれた朝倉兵の士気は下がり続けた。
面对暴风雨的袭击,織田军虽然快速前进,但与之形成鲜明对比的是,朝倉军士气在遭受攻击后持续下降。
「父上の手勢に負けるな、かかれぇ!!」
「别输给父亲的手下,拼了!!」
こうして、信長と信忠の電撃作戦により、大嶽城は僅か数時間で陥落した。大嶽城の落城は、雨の上がった翌日早朝まで誰にも気づかれることが無かった。
就这样,通过信长和信忠的突袭战术,大岳城在短短几个小时内被攻陷了。大岳城的沦陷直到雨停的第二天清晨才被人们发现。
「もう大嶽城を落とされたと言うのか!」
“你说大嶽城已经被攻陷了!” (Simplified Chinese)
大嶽城陥落の報に浅井・朝倉は恐慌状態に陥ったが、織田軍も少なからず動揺していた。何しろ焼尾砦を調略して僅か二日、これで浅井・朝倉は詰みの局面を迎える。
大岳城陷落的消息让浅井和朝倉陷入恐慌状态,而織田军队也有些动摇。毕竟,他们只通过策略攻下了焼尾砦,仅仅两天时间,就让浅井和朝倉处于绝境。
信長の電撃的な行動に、家臣たちとて状況把握が必要な状態だった。秀吉は秀長や竹中半兵衛、その他主だった家臣たちを集めて軍議を開く。
在信长电击般的行动下,家臣们必须意识到局势的紧要性。秀吉召集了秀长、竹中半兵卫和其他关键家臣,组织了一次军事会议。
「まさか上様自ら攻め落とされるとは……奇妙様が先に攻め込まれたとある、我らは後れを取ってしもうた」
“没想到上大人竟然被攻陷了……奇妙先生被攻击了,我们只好被迫落后了。”
秀吉は嘆きつつも興奮冷めやらぬ様子で話す。地図を広げると、浅井と朝倉が完全に分断された状態を筆で書き加える。
秀吉一边叹息,一边兴奋地谈论。他展开地图,在上面用笔勾画出了浅井家和朝倉家被完全分割的状态。
伝令の齎した文には、信長はそのまま丁野城を攻めに向かい、信忠は大嶽城の守備を任された。
传令所带来的文书中,信长直接前往丁野城攻打,信忠则被委任守备大岳城。
この時、通常であれば根切りにされる将兵を、何故か信長は朝倉本陣へと追いやったとあった。
这时候,据说信长将士兵赶到朝仓营地,而不是像通常一样将他们切除根源。
信長の狙いが何処にあるのか、秀吉ではいくら考えても何も思い浮かばなかった。
信长的目的在哪里,秀吉无论怎么想都没有想到。
秀吉だけが混乱している訳ではなかった。程度の差はあれど、他の武将たちも同様に信長の行動を理解できずにいた。
不仅仅是秀吉感到困惑。其他武将虽然程度不同,但同样无法理解信长的行动。
やがて信長は丁野城を調略によって取り込み、守りの敵兵を追い出した後、丁野城に油を撒いて火を放った。
不久之后,信长通过诡计占领了镇守丁野城的敌方军队,将敌方军队驱逐出城后,在丁野城中撒上油并纵火烧毁了它。
それらを終えると、信長は丁野城付近で武将たちを招集した。
完成这些事情后,信长在丁野城附近召集了武将们。
「今宵朝倉は必ずや撤退する。良いか、この機を逃すでないぞ! 必ず朝倉は撤退する。奴らの背後を突き、朝倉を殲滅するのじゃ」
“今晚必定朝倉会撤退。听好了,不要错过这个时机!朝倉肯定会撤退。我们要突袭他们的后方,消灭朝倉。”
再三にわたって信長は武将たちに言い聞かせた。彼の言葉には一切の迷いがなく、彼が今夜の朝倉撤退を確信している事を告げていた。
信长一再告诫武将们。他的话语毫无疑虑,表明他十分确信朝倉集团今晚已经撤退。
しかし、信長の予言とも言うべき発言を受けた武将たちは、根拠が示されない発言に戸惑っていた。
然而,接受信长所谓的预言的武将们对于没有被证明的言论感到困惑。
既に浅井・朝倉共に死に体であり、それを僅か数日で成し遂げた信長の手腕は見事と言う他なかった。
已经是浅井和朝倉都快要死了,而信长仅用了几天时间就完成了这件事,他的手腕实在是太出色了。
しかし、如何な信長とて神ならぬ人の身。敵が撤退する日取りすら言い当てられるものなのかと、俄かには信じられないでいた。
然而,无论信长如何,他也是人而非神。我突然间无法相信他能预测甚至敌人的撤退日期。
この時、信長の勘気に触れようとも朝倉撤退の根拠を聞き出せていれば、彼らの手痛い失敗は未然に防げたであろう。
如果那时候你试图得到朝仓撤退的根据,即使触怒了信长,也可以预防他们的惨败。
「やっぱり、どの武将も動く気配がないね」
“果然,没有哪个武将有动的迹象。”
日が暮れてもいくさ支度が為されないことに、静子は嘆息する。
即使天黑了,静子也对准备战斗的缺乏感到叹息。
信長が繰り返し朝倉軍の撤収を予告したのだが、柴田や佐久間たち武将の陣は静まり返っていた。
信长多次预告朝仓军将撤退,但柴田和佐久间等武将的营地却一片安静。
地図と戦況を見れば一目瞭然なのだが、信長が説明しなかったのかなと彼女は考えていた。
看地图和战况就一目了然了,但是她在想,难道信长没有解释吗。
朝倉本陣は田上山にある。本陣から大嶽城と丁野城が見える方角から煙が立ち上がれば、彼らが如何なる心境に陥るのか。
朝仓本阵位于田上山。如果从本阵向大岳城和丁野城所在的方向看到冒烟,他们会处于什么心境?
このいくさの勝敗は決し、浅井家は信長に滅ぼされるしかない。
这场战争的胜负已经决定了,浅井家只有被信长消灭的命运。
今までに数々の失態を演じ、家臣たちの信頼を失いつつある状態にもかかわらず、義景は無理を押して出兵している。
尽管已经经历了许多不幸的失败并且正在失去家臣的信任,义景还是强行出兵了。
朝倉家主力の重臣が出陣を拒否し、将兵の士気が低い状態での出陣だった。
朝仓家的主力重臣拒绝出征,导致士兵士气低落。
そこに来て、大嶽城と丁野城の陥落である。もはや義景に将兵たちを留め置ける力は無かった。ここで徹底抗戦を叫んでも、誰一人付いては来ないだろう。
在那里,大岳城和丁野城已经被攻陷了。义景已经没有能力留住将士们了。在这里呼吁彻底的抗战也没有人会跟随。
退路を断って無理やり戦う状況へと追い込んでも、将兵たちの心は撤退に傾いている。戦えばまず勝てず、ここで負ければ朝倉家は崩壊する。
即使断绝了退路,迫使将士们陷入不得不强行战斗的局面,他们的心还是倾向于撤退。在这场战斗中,输的可能性更大,而如果输了,朝倉家就要崩溃了。
戦いにならずとも、率先して織田家に内通する者が出るやもしれない。
不一定会有战争,但可能会有人自愿泄漏给织田家的情报。
「奇妙様は大嶽城から動けないから良いとして……そろそろ明智様ぐらいは、何か行動を起こしそうではあるかなー」
“既然奇妙大人无法离开岛城,那就没关系了……但想必明智大人也该行动了吧。”
朝倉夜襲に関して静子は呼ばれておらず、浅井の抑え役として才蔵、高虎と共に本陣で待機していた。
关于朝仓夜袭,静子并未被召唤,她与才藏、高虎一起待命在本阵营中,担任浅井的控制者。
静子は気楽な様子で夜空を眺め、星座と星の運行について思い出しつつ暇をつぶしていた。そののんびりした時間は、小姓が急ぎ足で近づいてくる音で終わりを告げる。
静子看着夜空,脸上带着轻松自在的表情,一边回忆星座与星星的运行,一边打发时间。可是,她平静的时光被仆人急促脚步声打破了。
「静子様、明智様が我が陣へお越しになりました」
"静子女士,明智先生已经来到我们的营地了"。
「急ぎ、こちらへご案内して。おそらく時間的猶予はありませんから」
请急忙跟我来。可能时间很紧,不能拖延。
「は? ははっ」
"啥?哈哈"
まるで光秀の用件を知っているかのような静子の言に呆気にとられた小姓だが、すぐに踵を返し光秀と三名の家臣を伴って戻ってきた。
小侍从被静子仿佛知道了光秀的事情的话吓呆了,但马上转身与光秀和三名随从一起回来。
「不躾ながら時間がないゆえ、腹の探り合いはご容赦願いたい」
「不太规矩,时间紧迫,希望谅解不深入探讨。」
「ご用件は朝倉軍への夜襲についてですよね。上様が再三仰ったように、まず間違いなく今宵朝倉軍は撤退するでしょう」
"你的事情是关于对早乙女军队的夜袭吧?正如上方已经多次说过的那样,今晚朝倉军队肯定会撤退。"
「力不足が悔やまれるが、今一番上様のお心を理解しておられるのは静子殿だ。何故、そうお考えになるのかご教示願えまいか」
“虽然力不足令人遗憾,但现在最能理解上様的心意的是静子殿。请问为何会这样想?”
「私の考えも混じっていますが、それでも宜しければ」
"虽然也掺杂着我的想法,但如果您愿意的话"
静子の前置きに、光秀は頭を下げる。相手が誰であれ、教えを乞うのであれば首(こうべ)を垂れる。他の者には出来ない芸当であった。
在静子的介绍下,光秀低头致意。无论对方是谁,如果要请教,就会低下头来。这是其他人无法做到的本事。
だからこそ、僅かな期間で織田家家中の筆頭にまで上り詰められたのであろう。
因此,他可能在短时间内成为织田家家中的首领。
「各陣営の布陣状況についてはご承知だと思いますので省略します。まず、朝倉軍の視点でお考え下さい」
“我认为您已经了解了各方的部署情况,所以我将省略它们。首先,请从朝倉军的角度考虑。”
小さい机を挟んで光秀と静子が向かい合う。机の上には現状を示した地図が置かれていた。静子はその地図に筆で小さな線と矢印を書き加える。
两人隔着小桌子对坐,桌上放着标明目前情况的地图。静子用笔在地图上画上小线和箭头。
「朝倉軍の将兵たちは、大嶽城と丁野城の方角から煙が上がるのを見たでしょう。二つの城が落とされた今、朝倉軍は小谷城近辺の守りを失った状態です。防衛施設も無い本陣で、徹底抗戦しようと考える人はいないでしょう」
「早上冈军的将士们应该看到了从大岳城和丁野城的方向上升起的烟雾。现在两座城池已经失陷,早上冈军失去了保护小谷城周边的能力。在没有任何防御设施的本阵地,没有人会考虑进行全力抗战。」
「ふむ」
"ふむ" translates to "嗯" in Simplified Chinese.
「次に朝倉家当主義景です。彼は過去の失態とこの戦況によって求心力を失っています。そもそも、このいくさにしても『体調が悪いから』と出陣を拒んだ家臣が居るほどです。浅井の命運が尽きたことが誰の目にも明らかな今、一乗谷で防衛する方が理に適っていますからね。そして撤退するなら早ければ早い程良い。時間が経つほどに、我々へ寝返る武将が出ますから」
“接下来是朝仓家家主景虑。由于过去的失误以及当前的战斗情况,他失去了凝聚力。事实上,即使在这场战斗中,有臣子因为“身体不适”而拒绝出战。在浅井命运已经尽去的情况下,最理性的选择是在一乘谷进行防御。而如果要撤退,越早越好。随着时间的推移,将有越来越多的武将投降我们。”
「なるほど。そこまで読めれば朝倉軍が今宵撤退すると、上様が予告されるのも当然か」
“原来如此。如果您能读到这个程度,那么作为呈报,朝仓军今晚撤退的通告也是必然的。”
義景に残された時間は少ない。今までのように優柔不断で機を逸すれば、今度こそ家臣たちに見限られ、首を手土産に織田家に寝返る者が出る可能性すらある。
义景留给他的时间不多了。如果像以前一样优柔寡断、错失机会,这次可能会失去家臣们的信任,甚至可能会有人转投织田家,把他留在手上作为礼物。
今までと違うところを見せるためにも、義景は即座に決断した。無論、一乗谷へと撤退する決断を。
为了展现出不同以往的一面,义景迅速做出了决定,当然,这个决定是撤退到一乘谷。
義景からすれば初めての英断。しかし信長は義景がそう決断することまで織り込み済みで動いていた。故にこそ信長は、今宵朝倉軍は撤退すると予告したのだ。
从义景的角度来看,这是他第一次做出如此英明的决断。但信长早已预料到义景的决定并在其中运作。这也正是为什么信长宣布今晚朝倉军队将撤退的原因。
「そうです。そろそろ朝倉軍の撤退が始まる頃ではないかと」
“是的。现在大概该轮到朝仓军开始撤退了吧。”
2万もの軍を引き連れて撤退するには迅速な行動が求められる。しかし、朝倉軍は今まで迅速な行軍をした経験がない。更に先日の豪雨により、地面は泥濘化している状態である。
撤退时带着两万军队需要迅速行动,但是早倉军没有快速行军的经验。而且最近的暴雨导致地面变得泥泞。
いつも以上に時間がかかるのは目に見えていた。
经常需要更多时间,这是显而易见的。
「明智様にこれをお渡しします」
「我会把这个交给明智大人。」
静子は光秀に文を差し出す。光秀は首を傾げながらも、差し出された文を受け取る。
静子递给光秀一封信。光秀虽然点了点头,却接过了这封信。
「これは何でしょうか?」
"这是什么?"
「我が陣に残っている鉄砲衆への命令書です。端的に言いますと『この文を持っている人の指示に従ってね』です」
「这是针对留在我的军队中的火枪手们的命令书。简单明了地说,就是『按照持有这封信的人的指示行事』」。
「宜しいのでしょうか」
"是否可以这样做呢?"
「我が身は後ろの二人に預けています。それに、朝倉軍を殲滅する事が上様の目的です。誰が武功を上げた、という事に拘って叩ける機会を逃せば、後世で笑われるのは上様ですからね」
"我已将自己交托给后面的两人。此外,消灭朝仓军是主上的目的。如果错失打出战功的机会,到后世被嘲笑的就是主上。"
「ならば、有り難く頂戴致します。この御恩はいずれお返しいたしましょう。この場はこれにて失礼仕る」
"那么,我会谨慎地接受您的好意。我会给您报答这份恩情。在此我先告辞了。"
再度、光秀が深く頭を下げる。今度は後ろにいる家臣も続いた。静子も続く形で光秀に頭を下げる。
再次,光秀深深地鞠躬。这次,身后的家臣也跟着鞠躬。静子也跟着鞠躬,表达对光秀的敬意。
頭を上げると、光秀はすぐさま居住まいを正し、文を懐にしまうと素早く出て行った。彼らの足音が聞こえなくなった頃、静子は息を吐く。
抬起头来,光秀立即整理了住处,将信函收入怀中,然后迅速离开了。等听不到他们的脚步声时,静子松了一口气。
「静子様、明智様に肩入れしすぎではないでしょうか」
“静子小姐,您是否太过支持明智先生了?”
話が終わるまで黙っていた高虎だが、光秀が立ち去ると疑問を口にした。
话说完了之后一直保持沉默的高虎,在光秀离开后提出了疑问。
苦言と言うより、今まで満遍なく支援していた静子が、光秀のみに目に見える支援をしたのが彼には疑問だった。
不是苦言,而是他对静子以前广泛支持所有人,但现在只对光秀提供有形支持的做法感到疑问。
「別に明智様でなくとも、最初に訪ねてきた人なら誰でも良かったんだよ。誰も来なければ、鉄砲衆を貸す事もなかった。今回の上様の発言を、家臣の中で一番信じようとしていたのが明智様だったってだけ」
“不一定非得是明智大人,只要最先前来的人就行了。如果没有人来,也就不需要借出火枪兵了。明智大人只是因为在家臣中最信任上様的发言。”
「しかし、何も鉄砲衆を全て貸すほどではないかと」
“但是,我觉得把所有火枪手都借出去可能有些不太合适。”
「ちゃんと理由はあるよ。考えの糸口を示そうか、鉄砲は撃てば大きな音を立てる。これで答えが分かるよ」
“有充分的理由。需要我指引你思考的线索吗?开枪会发出巨响,这样你就可以得出答案了。”
「…………あっ!」
"…………啊!"
ヒントを与えられた高虎は困惑したが、やがてある答えに辿り着く。理解に至った高虎に静子は満足げに頷く。
给出提示后,高虎感到困惑,但很快找到了答案。静子对理解的高虎满意地点了点头。
「そう、夜襲の開始を告げる嚆矢(こうし)となる。私の支援は、一番槍と他の武将へ合図を送る権利を得たに過ぎない。もっとも、戦闘が始まったことに気付いても動かない人が出そうではあるけどね」
“是的,它是宣告夜袭开始的开端。我的支援仅仅获得了向第一支枪和其他武将发送信号的权利。虽然,可能会有人即使察觉到战斗已开始也不会动。”
新式銃であれ、火縄銃であれ、火薬が爆発する以上は大きな音が周囲に鳴り響く。音が聞こえれば察しの良いものは気付くだろう。朝倉軍は撤退し、それを織田軍が追撃していると言うことに。
无论是新式枪、匹夫枪还是火药,只要爆炸就会在周围发出巨大的声音。只要听到声音,敏锐的人都能意识到。据说朝仓军已经撤退,織田军正在追击。
静子は肩の力を抜くと、その辺りに寝転がる。
静子松了肩膀,躺在旁边。
「ま、明日には結果が出るよ」
“嗯,明天就会有结果了。”
朝倉義景は夜闇に乗じて撤退することを決めた。彼は僅かな兵を残し、声を上げるよう命じた。
朝仓义景决定借着夜色撤退。他只留下少量兵力,并命令他们高声呼喊。
士気を高める鬨(とき)を上げれば、撤退しようとしているなどと織田軍は思わないと考えたからだ。
如果振奋士气吶喊一声,織田军认为我们撤退了,这就是我们的想法。
少数の兵ならば逃げるのもたやすい。夜が明ければ撤退に勘づかれるため、残す兵は周辺の地理に詳しい者を選んだ。
少数的士兵逃跑也很容易。等到天亮撤退就会被发现,因此留下的士兵选择了熟悉周边地理情况的人。
しかし、そのような小細工は確信を得ている信長には何の効果も及ぼさなかった。鬨の報告を聞いた織田家家臣は朝倉が撤退しないと思ったが、信長と光秀は撤退が始まったと確信した。
然而,对于有信念的信长来说,这种小伎俩没有任何效果。听到喧哗的报告,织田家臣认为朝仓不会撤退,但信长和光秀确认撤退已经开始。
撤退する朝倉軍に、最初に襲いかかったのは光秀だった。彼と信長は他の武将たちの到着を待たなかった。味方がいない事は、光秀にとって非常に有利に働いた。
向正在撤退的朝仓军发起攻击的第一人是光秀。他和信长没有等待其他武将的到来。没有盟友对光秀来说非常有利。
「撃てぇ!!」
"打他!"
朝倉軍の殿(しんがり)に追いつくやいなや、光秀はまず鉄砲衆で先制した。暗闇の向こうから轟音とともに弾が飛来する。さぞかし朝倉軍は魂消たであろう。
一追上了朝仓军的先锋队,光秀首先用枪兵进行了先发制人。子弹随着雷鸣般的声音从暗处飞来。可以想象,朝仓军一定很害怕。
案の定、朝倉軍はパニックに陥った。次々と兵が倒れていく惨状に、誰もが我先に逃げようと考えた。
情况如预料的那样,早倉军陷入了恐慌。在士兵们一个接一个地倒下的惨景前,每个人都想着先逃跑。
従者は主人を、主人は従者を押しのけて逃げようとする阿鼻叫喚の地獄絵図が、至る所で繰り広げられた。
随从们和主人们相互挤开试图逃跑的惨叫地狱场景在各处上演。
他の武将たちが参戦していれば、こうも無遠慮に銃弾の雨を降らす事は出来なかったであろう。
如果有其他武将参战,我就不能如此毫不顾忌地倾泻子弹雨了。
鉄砲衆で存分に朝倉軍の恐怖を駆り立ててから、満を持して明智軍の主力が朝倉軍に襲いかかった。もはや戦う意思すらない朝倉兵たちだが、明智軍は容赦なく斬り捨てていく。
在火枪手的帮助下,使得朝倉军恐惧万分。接着,明智军主力趁机发动攻击。虽然朝倉军士兵已经失去斗志,但明智军没有丝毫怜悯,继续砍杀敌人。
明智軍が進むたびに、泥まみれの朝倉兵の死体が転がり、屍山血河もかくやという光景が現れた。
明智军不断前进,沾满泥土的朝倉兵士的尸体和堆积如山的血流成河的景象显现出来。
辺りには血と臓物が立てる鉄と錆の匂いが充満し、あちらこちらに乗り捨てられた馬や、武具、軍旗などが転がっていた。
周围充斥着血液和器官的金属和生锈的气味,到处都是遗弃的马匹、武器、军旗等。
朝倉軍がどれほどに混乱しているかが容易に窺い知れる証拠であった。
“这是能轻易看出朝仓军有多么混乱的证据。”
明智軍は朝倉軍の背後を急襲した。突如として銃撃に晒された朝倉兵は、敵の規模も何処から攻撃されたのかも分からず、とにかく前へと逃げようとした。
明智军突袭了朝倉军的后方。突然遭受枪击的朝倉士兵不仅不知道敌人的规模,也不知道攻击来自何方,他们只想尽可能地一路逃向前方。
しかし、道は前日の豪雨によりぬかるみ、思うようには進めない。やがて死は背後から迫っている事に気付いた兵が死に物狂いとなって逃げ始め、混乱に拍車が掛かった。
然而,由于前一天的暴雨,道路泥泞不堪,无法顺利前进。不久之后,一些士兵意识到死亡已经从他们背后逼近,开始疯狂逃跑,加剧了混乱。
前を行く兵を踏みつけてでも、自分だけは助かりたいと遮二無二なった結果、味方を踏み潰してでも逃げようとする狂乱の渦へと飲み込まれた。
在阻止前方士兵前进之时为了只顾自己的救援而变得不顾一切,结果被卷入疯狂逃亡的漩涡中,即使需要践踏自己的同伴也在所不惜。
「なにぃ!! 上様と明智殿が朝倉軍へ夜討ちをかけただと!!」
"什么!上大人和明智殿夜袭了朝倉军!"
明朝、朝倉軍への追撃を自身が命じた者たちの到着を待たず、信長が掃討戦を仕掛けた事に、織田家家中たちはようやく気付いた。
織田家的成员们终于意识到,信长在等不及自己下令追击明朝、朝倉军的人的到来,而发起了扫荡行动。
準備をしていながら鬨の声ですっかり油断してしまった彼らは、大慌てて信長を追いかける。彼らが信長に追いついたのは刀根坂(とねざか)手前だった。
尽管做好了准备,但他们被欢呼声所吸引而完全放松了警惕,于是匆忙追赶信长。他们在到达刀根坂之前追上了信长。
道中の死体や武具の転がり具合から、激しい掃討戦が行われた事は明らかであり、織田家家臣たちは己の失態を理解した。
从道路上尸体和武装的散落情况来看,显然进行了激烈的清扫战,织田家家臣们也意识到了自己的失误。
「許しがたき失態」
"无法原谅的失态"
家臣たちにとっては朝倉兵の惨状より、信長の静かな怒りの方が恐ろしかった。信長が怒るのも当然だ。突然命じた訳ではなく、事前に先鋒武将まで決めていた状態での怠慢だ。
对于家臣们来说,比起早上的朝仓军的惨况,信长的沉默的愤怒更加可怕。信长生气也是应该的。他们的疏忽不是突然命令,而是在提前确定先锋武将的情况下。
結果的に武功は光秀の独り占めとなったが、それに対する不満を顔にすら出せるはずもなく、失態を演じた武将たちは俯いて黙るしかなかった。
结果武功归于光秀独占,但那些表现不佳的武将们只能低头不语,无法面露不满。
「先鋒を任された者、前に出よ」
"担任先锋的人,请向前走"
信長に言われた通り、柴田や秀吉が前に出る。信長は全員に一発ずつ拳を振り下ろした。犯した失態に対して緩すぎる罰だった。本来なら打ち首を言い渡されても不思議ではない。
按照信长的指示,柴田和秀吉前出。信长给每个人都重重地敲打了一拳。这对于所犯的过失来说,惩罚太轻了。如果按照本来的处理方式,要求斩首也不足为奇。
「二度は言わぬ。これを機に朝倉を殲滅する」
"不再说第二次了。这是消灭早倉的机会。"
「ははっ!」
"哈哈!"
「光秀(キンカン)! 貴様はこやつらを率い、朝倉を追撃せよ」
"光秀!你率领他们,追击朝倉。"
その瞬間、朝倉討伐の最大武功者は光秀に決定した。朝倉家を滅ぼした武功は光秀が得る事になる。他の者は何をしても朝倉家を滅亡させる助力をした、という立場に過ぎない。
那一瞬间,朝仓讨伐的最大功臣被决定为光秀。灭亡朝仓家的功劳将流传于光秀。其他人无论做什么,只能算是协助灭亡朝仓家的立场。
「恐れながら上様、彼らは急ぎこの場に参じた様子。兵も疲労がたまっている状態ゆえ、いたずらに兵を消耗する可能性が高く存じます。ここは一番疲労がない静子殿の軍をお借りしとうございます」
“恐怕主上,他们似乎匆忙赶到了这里。由于士兵们也已经处于疲劳的状态,因此很可能浪费士兵的力量。我们应该借用静子女士的军队,因为他们是最没有疲劳的。”
「奴は小谷城で待機しておる。今から呼び寄せるには刻が必要ぞ」
“我正在小谷城等待。现在召唤我需要一点时间。”
光秀の言葉に信長は睨みながら疑問を口にする。冷え冷えとした眼光を前に、光秀はいつもの表情を崩さなかった。
光秀的话让信长疑惑地发问,遭到他冷冷的目光注视。面对这冰冷的目光,光秀仍然毫不动摇。
「既にお呼びしております。もう間もなく、こちらへ参られます」
“我们已经邀请了他/她。他/她将会很快到这里来。”
光秀の言葉が正しい事を証明するが如く、信長は少し遠くから馬群が迫る音が聞こえることに気付いた。あれだけ重なった蹄の音を立てる程に練度が高い軍は一つしかない。
就像证明了光秀的话是正确的一样,信长注意到了从远处听到的马群逼近的声音。只有那种能发出那么密集的蹄声的高训练水平军队是唯一的。
「はっ! 手の早い奴じゃ! 良かろう。前(さき)の武功に免じて、勝手に静子を呼び寄せた事は不問とする」
「啊! 好快的手段啊!好吧,由于之前的功绩,我决定不追究你私自召唤静子的事情。」
「寛大な処置、有り難く思います」
“非常感激您的大量處理”,翻譯成簡體中文。
「ではここにいる者は、兵を休ませた後、小谷城へ戻れ! 手早く準備せよ!」
"在军队休息后,留在这里的人回小谷城!快点准备!"
他の武将たちはやられた、と歯ぎしりした。挽回するには静子軍の鉄砲衆が必要になる。なくても良いと言えば良いが、自軍が被る損害が桁違いだ。
其他武将们咬着牙说:“我们被打败了。为了挽回局势,我们需要静子军的火枪手。即使没有,也可以说没有问题,但我们的军队遭受的损失将是惊人的。”
静子本人が来たという以上、鉄砲衆も率いてきているのは確実だと武将たちは考えた。光秀の狡猾さと計算高さに、武将たちは今さらながら怒りを覚えた。
既然静子本人已经到了,武将们认为铁炮手们也一定跟着来了。面对光秀的狡猾与算计,武将们感到愤怒。
「お待たせ致しました、上様」
“不好意思让您久等了,上级大人。”
四半刻後、静子が信長のいる陣に到着する。信長は静子を一瞥した後、光秀の方へ顔を向ける。
四个刻度后,静子到达了信长的阵营。信长瞥了一眼静子,然后转向了光秀。
「キンカン、鉄砲衆は幾人連れて行く」
“你要带多少个金橘和火枪手?”(Note: This is the translation of the given sentence to Traditional Chinese. For Simplified Chinese, it would be: "金橘,带几个火枪手去?")
「出来れば突破力が欲しいですが、300もいれば問題ないと思います」
如果能有突破力就最好不过了,但是我认为有300就没有问题了。
「静子、鉄砲衆は何人連れてきた」
"静子,铁炮手们带来了多少人" in Simplified Chinese.
「小谷城前の陣には玄朗を筆頭に予備兵含めて700。こちらには600連れてきております」
「在小谷城前的阵营有700名预备兵,以玄朗为首。我们这边带了600人来。」
瞬間、武将たちがざわつく。静子の鉄砲衆は1000名という大部隊だ。だが先ほど彼女の言を信じれば、少しだが鉄砲衆の総数が増えている事になる。
瞬间,武将们开始骚动。静子的铁炮手是一支拥有1000名士兵的大队。但是如果相信她之前所说,那么铁炮手的总人数虽然只略有增加,但总体数量却不少。
だが同時に鉄砲衆がいるという事は、挽回する機会が多く得られるということでもある。各自、様々な思惑を腹に秘めながら、次に取る行動を考える。
但同时,有火枪手存在也意味着有很多挽回的机会。每个人都在胸中怀着各种不同的想法,考虑下一步该采取什么行动。
「600か……400にし、残り200は小谷城への配置とする。貴様は400の鉄砲衆を率いて、キンカンとともに朝倉家を滅ぼせ」
"600......make it 400, and place the remaining 200 in the Koyajo Castle. You will lead 400 riflemen and destroy the Asakura family with Kinkan." "600......减为400,把剩下的200放在小谷城里。你将率领400名步兵和金坎一起消灭朝倉家。"
「はっ!」
"「はっ!」" in Simplified Chinese can be translated as "「哈!」".
信長に礼をすると静子はすぐさま準備に取りかかる。今までは幾分ゆっくりした行軍をしていたが、これからは逃げる敵を追いかける速度が必要となる。
向信长致谢后,静子立刻开始准备。以前他们行军速度比较缓慢,但现在需要追赶逃敌,速度就非常重要了。
光秀がどういう配置をするかは不明だが、鉄砲衆と護衛役の兵が最前列、その後ろに光秀の主力部隊、後方に静子の軍という配置だろうと当たりをつけた。
光秀的部署还不确定,但可以猜测枪手和护卫军会排在最前线,接下来是光秀的主力部队,最后是静子的军队。
「羽柴様、今、お時間は宜しいでしょうか?」
「羽柴大人,现在时间方便吗?」
「あん? なんじゃ、静子」
"啊?什么事,静子?"
織田家家臣たちがいくさ支度を行っている合間を縫って、静子は秀吉に近づく。一挙一動が他の武将から見られていると理解している静子は、にこやかな表情を崩さず封書を差し出した。
在织田家的家臣们进行战争准备的空隙中,静子接近了秀吉。静子知道其他武将正在观察着她的每一个举动,她微笑着递上了一封信。
「ねね様から文を預かっております。内容は恥ずかしいから陣で読んで(・・・・・)欲しいと仰せでした」
“我代表姐姐收到了一封信。因为内容很羞耻,所以她希望你在阵中阅读。”
「は? え……ああ、すまぬな。全くねねの奴」
"啥?哎......啊,对不起啊,真是个傻瓜。"
一瞬呆けた顔をした秀吉だが、すぐにだらしない表情を浮かべる。遠巻きに見ていた武将は気付かなかったが、秀吉の目は笑っていなかった。端的に言えば作り笑いである。
秀吉瞬间露出茫然的表情,但很快又露出不端正的表情。旁观的武将没有察觉到,但秀吉的眼中并没有笑意,简单地说,这是假笑。
秀吉は、静子が何か他人には知られたくないものを渡してきたと瞬時に察した。
秀吉立即意识到,静子交给他一些其他人不想让人知道的东西。
「羽柴小一郎様に渡そうとしましたが、そのような文は兄上に直接渡して下さい、と言われました」
“我试图把这封信交给羽柴小一郎先生,但是我的兄长告诉我应该直接把这样的信交给他。”
「仕方ない奴じゃのぅ。ありがとう、静子。後で読む」
那家伙就是这样。谢谢你,静子。之后再读。
そこで聞き耳を立てていた武将たちも、静子たちから意識を外した。問題ないが、油断はしないようにと静子は気を引き締めた。
正在听得津津有味的武将们也被静子和她的同伴打断了思路。尽管目前还没有什么问题,但静子还是提醒自己不能掉以轻心。
秀吉に渡したものが何か、他の面子が知れば確実に争奪戦になる。それを避けるためにも、中身は興味をひかれないものに偽る必要があった。
交给秀吉的东西,如果其他人知道后肯定会引起争夺战。为了避免这种情况,需要将内容伪装成不引起兴趣的东西。
(別に秀吉と手を組む気はないけど、夜叉(浅井長政)さんがどうしても小谷城攻めに参加したいと必死だから)
(虽然我没有和秀吉合作的意愿,但夜叉(浅井长政)先生非常渴望参与攻打小谷城,所以我必须支持他)
身内か知り合いでもいるのかな、と静子は呑気に考えていた。実際は元小谷城の城主で、浅井家の当主である長政が、今一度父と話をする機会を得たいが為であるが。
静子想着“不知道身边是否有认识的人”,事实上长政是曾经的小谷城城主,也是浅井家的家主,他是想再次与自己的父亲谈话的机会。
静子の思惑と長政の思惑、そして秀吉の思惑は別々の方向を向いているが、小谷城という点では一致していた。それが後に秀吉の大躍進に繋がる武功の元となる。
静子的想法,长政的想法和秀吉的想法虽然各自不同,但在小谷城上却达成了一致。这成为了后来秀吉伟大成功的关键。
「それでは失礼します」
"那么我告辞了"
「おう、またな」
"哦,再见了"
軽い挨拶で二人は別れた。
轻松地打了个招呼后,两人分开了。
自陣が近くなると秀吉は全力疾走に近い早さで竹中半兵衛の許へ駆け寄る。余りの剣幕に竹中半兵衛は目を回す。しかし、肩で息をする秀吉は笑みを浮かべつつ言った。
当自己的队伍接近时,秀吉以接近全速奔跑的速度冲向竹中半兵卫。半兵卫被他过于鲜明的剑术吓得眼晕。但是,秀吉边用肩膀喘气,边露出笑容说道。
「急いで戻るぞ。小谷城を落とすのはわしじゃ」
"快点回来。攻下小谷城的是我。"