【边狱公司】异想体故事 日文 第四章
H-01-11-11 真鍮の雄牛 - 涙を流す
- 青みがかった錆と、熱されたような加熱模様が確認できる鉄板で構成されている。
- いわゆる牡牛と呼称される動物を模したものと見られる。
- 正確な測定結果ではないが物性から見て、銅と亜鉛が混合された物質と見られる。
- それは単なる鉄板だけで構成されているわけではない。内部には人間と推定される姿をした何かが共にあるものと観測される。
- その周辺にはK社のドローンが飛行している。それは随時囚人を撮影しているようだ。
- 理由や原理を把握するのは難しいが、撮影が行われるたびにそれが興奮する。持続するほど戦闘を遂行するには不利であり、事前にドローンの撃破を管理人様に要請した。
- 内部にいるものは、一般的に苦痛を感じる時の表情を保っていた。
- 熱気に苦しんでいるようで、動きが周期的ではなく突発的な場合が多い。
- 本体自体が強い熱気を持っていると判断される。囚人がそれに襲われるたび、灼熱痛と火傷を負うのを観察した。
- 息や水蒸気等と推測される気体の一部を頭部付近で観測した。
- 身体を起こして囚人を襲ったり、頭の方に入っている…人と推定されるものが飛び出して攻撃したりする現象を確認した。目眩のする泣き声が記憶に残る。
- 囚人が人間と推定されるものに襲われたとき、深い憂鬱感を示唆することもあった。精神的な打撃が激しいのか、しばらく動けなかったり、戦闘に消極的になったりもした。該当現象は一時的なものと推測される。
- 囚人が戦闘から除外されることを憂慮し、管理人様は頭部の優先排除を命じられた。効果的な方法と判断される。以後、人と推定されるものは戦闘でもはや観測できなくなった。
- これ以上把握できる事実はないようなので、観察日誌はこれにて終了する。
→ あぁ…それは本当に長い間痛がっていました…灼けつくような渇きも癒やせず、果てしなく肉が焼け、捻れていく…。
→ ねぇ、おちびちゃんがまだ正気に戻れてないけど。
→ ファウストが処理いたします。
T-02-11-04 衝擊ムカデ
観察レベル Ⅰ
あぁ…あのムカデみたいなやつのことだよな?
ムカデって言ってるけど、あんな鋼鉄の鎧みたいなものをしっかりまといこんでるのをムカデって言えるかは微妙だな。
あぁ、まあ…だから幻想体なんだろうな。
そうだな…見た目から説明するなら、とりあえず青い鉄板を繋げて、どでかく作ったみたいな形をしているな。ロボットみたいだっていうか。
目は真っ赤で…たまにチカチカしながら輝いているような気もするよ。
たまに…いや、よくかな?身体の近くで電流が流れてるみたいにバチバチしているのが見えた。目に見えるってことは結構高圧だと思うんだけど…触っちゃったら痛いって言葉じゃ済まないだろうな。
→ ムカデか…私的にはむしろヘビみたいに見えたけど?とぐろ巻いて睨み付けてばかりいたし。
→ それはそうだけど…君が住んでいた町の蛇には足が付いてるのか?あれは流石に蛇って呼べないだろ。
→ あったけど?
→ ありますけど。
→ あぁ、オレも見たよ。
→ …俺だけ田舎もんってわけか?
→ 面白いね~あ・な・た。"
観察レベル Ⅱ
はぁ…感電なんて心配するんじゃなかったよ。
俺が鋼の鎧のようなみたいなのをまとってるって書いたっけ?訂正しないと。あれは鎧っていうより…全ての断面が鋭く研がれた全身刃みたいなもんだった。
そんな身体で突き刺して、押し付けて…しかも、巻き付いてくることもあるから、囚人が傷付くしかなかったんだよな。
みんな血をダラダラ流してたし、戦うのに苦労したよ…。
だからって感電しなかったかって言われると、そうでもない。ただ、その類いの攻撃をするためにはしばらく行動を止めて、またとぐろを巻かなきゃならないみたいだな。
なんか最初からそんな感じだったな思ってたけど…。
まあでも、弱点は確実に分かったかな。
頭を割っておくととぐろが巻けなかった…それなら当然、感電することもないだろうな?
→ あのですね、グレゴールさん。あなたの言うことを信じて前へ出たら電気グリルになったんですけど、どう思いますか?
→ 確かに。髪の毛が傷んだブロッコリーのように変わってたな。オレンジ色のブロッコリーだなんて、戦場でもそんなものは食べなかった。
→ …私の髪に不満があるなら、直接面と向かって話してくれませんか。
→ い、いや…。なんで二人とも喧嘩するんだ。俺が悪かったよ…まさか頭が割れたら全身に電気が流れるなんて思わなかったんだって。"
観察レベル Ⅲ
知ってるか…?ムカデってヤツは、心臓が止まっても神経が死なないせいでしばらくの間暴れるんだよな。
こいつも同じだ。
最後の足掻きのつもりか…緊張を解いた金持ちの坊ちゃんが死んじまった。
ファウストさんが言っってたな、「神経は電気刺激によって動くものですから、電気系統の問題ではないでしょうか」って。
まあ…おまけに「幻想体にこんな論理的な話が通通用するかは分かりませんが。」とは言ったが、俺は違うと思う。
この前、頭が割れた時に気づいた…少なくともこいつは、納得のいく法則を通じて動くんだろう。ショートとか、通電とかいう論理が通じるだろ?
それなら…こいつが充電しておいた電力が全部切れるまで耐えれば…勝手に終わるだろう。
俺の言う通りだろ?
T-02-11-03 さすらいの狐
観察レベル Ⅰ
うーん…これをなんて言えばいいんでしょうか…。
初めて見たときに感じたのは、哀れだ…そして可哀想だなって気持ちでした。
それは本当に大きなオオカミ…いいえ、キツネみたいに見えました。僕たちを見つめながら低く唸っていました。
身体には…古い傘が刺さっていました。一つだけじゃなくて、結構沢山。
誰かに攻撃されて身体に刺さったわけじゃないみたいです…それなら、きっと鋭い方で身体に刺さっているはずですから。
傘の取っ手側が突き刺さっているべき理由があったのでしょうか。
それは僕たちをひどく警戒しているようでした。幻想体が警戒をしてこなかったことがそんな沢山あったわけじゃないですけど…こんな風に「警戒」だけをする場合は珍しいと思います。
…うーん、とりあえずここまでにしておきます。
観察レベル Ⅱ
開いてる傘が多ければ多いほど、そのキツネはもっと激しく攻撃するみたいです。
特に…何もせずに耐えているときがあるんですけど、その後襲ってくるときの攻撃がかなり強かった気がします。
…あ。
キツネは…たまに鳴きます。
空を眺めながら長く…何だか悲しい心を空に解き放っているように見えます。
キツネと話をしてみたわけでも、過去を知っているわけでもないですけど…その音を聞くたびに胸がとても痛くなります。
特に…戦いながら身体に刺さっている傘を折っちゃうと、僕も心が折れてしまいそうな…。
気がします。
→ シンクレア、戦闘中に精神力が減少するだけです。幻想体に感化されてはいけません。
→ でも…キツネは単に僕たちが戦ってきた幻想体とは違う気がします…。本来好戦的なものじゃないはずなのに…。
→ それをキツネや犬などと指称しないでください。それは単なる幻想体です。都市の動物だと勘違いしてはなりません。
→ おい、さっきのゼリーみてぇなバッタモンの妖精は戦うべきだったってことか?オレたちゃ戦えって言われりゃ戦って、寝ろって言われりゃ寝るんだ。そんな馬鹿みてぇに気ぃ使ってたら、あっという間にポックリ逝くぞ。
観察レベル Ⅲ
あ…僕、やっと分かりました。
キツネは自分に無意味な関心だけを投げかけることに対して怒ってたんです。
雨の降る日、路地に捨てられた自分を見て、傘だけを広げて置いて去る…。
たったその程度の関心のみを与えて、自分は思いやり深い人だと感情的虚栄を満たしていく者たちに対して…。
悲しんで、怒っているんです。
僕も、僕も理解できます…。
その子の破れた傘を片付けてあげて、抱かなきゃ駄目なんです。僕たちが―
→ 今回はどうしようもなかったって。一回死んで目を覚まさないと正気に戻りそうになかったし。(紙に血が流れた跡がある。)
→ 多少やり方は過激ですけど…短時間で精神力を回復できるという希望はなかったようですね。
T-04-11-20 誰も泣かぬように
観察レベル Ⅰ
まぁ…うす汚ぇ木片だな。
血もべっとり付いてて…お守りもベタベタ付いてて。
そんなにはねぇけど、裏路地でもこんなのたまに見たな。なんつったっけ、呪い…?そんなもんを本気で信じてやるヤツがいるってことがもっと面白かったけどな。
…はぁ、あんなもんを目の前で見てると、単にデタラメが出回ってたってわけじゃねぇみたいだな。
動くんだよ、あの木片。
確か、鏡ダンジョンだかなんかだと、ホラー映画の小道具のみてぇにびくともしなかったのによ。
大したことねぇ攻撃だけど、ぎっしり詰まった木片…そんなのがあんな速度で飛んできちゃぁ、どうしてもビビるっちゃぁビビっちまうな。
一発殴られただけでも骨にひびが入りそうだ。
…まぁ、だからってオレが黙ってぶたれてやるヤツじゃねぇけどよ。"
観察レベル Ⅱ
チクショウ、なんでこんな取れねぇんだよ…(近くに黄色い粘着剤のようなものが付いている。)
このヤロウ、多分人間だったら裏路地でチラシなんか貼っ付けて回ってただろうな…それも何年もそんなことばっかやってたに違いねぇ。
気ぃ付いたら、お守りが何枚もオレの身体に貼っ付いてたんだよな?クソッ…。
この気持ちわりぃもんのせいで腹立ってるからかもしんねぇけど…妙にバットで殴んのがよく効いてる気がすんだよな。悪い感触じゃなかったぜ。
あ、そいえばあいつの身体に付いてるお守りがバットに引っ付いてくる気がすんだよな。どういう仕組みか分かんねぇけど…巻き付いてくるっつーか。
とにかく、ブン殴るたびにムカついてくる野郎なんだよな。叩けば解消されるストレスってもんがあるはずだってのに。
→ 本当にヤクザみたいな発言ですね。お里が知れますよ。
→ …お?あいつ、何でこれに怒らないんだ?
→ ファウストがわざとこちらを見られなくしました。無駄な情報でここの紙面を無駄にしたくはなかったのです。
→ やっぱ賢いねぇ。
→ ところで…僕もお守りがくっつくたびに、なんだか力が湧いてくるような感じがしました。イライラするだとか、感情の動揺は特になかったんですけどね。
→ じゃあ…お守り自体に何か効果がありそうな気もしますね。次の戦闘では、わざと沢山付けてみたらどうですか?"
観察レベル Ⅲ
チクショウ、なんでこれを別で書いて出せってんだ?
フツーに書いてたとこに続ければいいんじゃねぇのか…何で俺だけ特別扱いすんだよ?腹立つな。
まあいい。今回あの木片を薪の山にできて痛快だったし、見逃してやるとするか。
あいつの言う通り、お守りを沢山付けて戦ってみたけど…お守りが多いと逆効果になるんだよな。変に力が抜けるっつってたけど。
代わりに…その木片が攻撃をせずにガードするときがあったよな…?
ちょうどそのときチビがハルバードをブン回したら、ハルバードに引っ付いてたお守りが木片に引っ張られたっけ。
紫色に変わっちまったけど…。
へっ、これだって思ったよ。それをずっと木片に貼っ付けてたら、うんともすんともできねぇまま、ただの薪の山になっちまったんだ。
→ 訂正します。幻想体は卵へ戻りました。実際に薪の山になったり、それに火をつけるなどの実験行為は発生しておりません。
F-01-11-12 紳士妖精
観察レベル Ⅰ
この前から…恐ろしいものばかり私にやらせてる気はするけど、違うって信じてるからね…?
はぁ、とにかく…あの腐った緑茶ゼリーのみたいなものについて整理してみるね。
描写がなんでそんなに詳しいかっていうとね~。
…私がその気色悪い口に入って出てきたから。
いや、出くわしたらすぐぶ~んって飛んで、あのお腹の方にある口で私をぐちゅ!って潰したんだよ?
酷い臭いだった…うぅ、もうヤダ。
あぁ…でも思い返してみると、根本的に変な匂いじゃなかったな。
酷すぎるくらいに…甘いっていうべきかな?鼻が曲がりそうだったの。
とにかく、ほんっと変な気分だった。
→ うーん…そんなに酷かったんですか?僕はなんというか…攻撃するたびに飛び出るゼリーのかけらのようなものが噴き出す香りが、かなり良いように感じました。
→ 興奮したよ。(煙草の灰が染みついている。)
→ 力が増し、全般的に高揚感を感じた。"
観察レベル Ⅱ
うへぇ…こいつ、ちょっとムカつくことがあってね。
からだがたぷたぷゆれてるからかな、どうさの一つ一つがムカつく!とくに、私のこうげきをよけるときが一番ムカつく。
幼いころ、ろじでケンカを吹っかけてきたやつらと同じだ。よけるたびに「はは、そんなのも当てられないのかな?」みたいなカンジでバカにしてくるやつ。ちょうどあのときにそっくり…。
うぅ…なんだかアタマのてっぺんから足の先までいかりでいっぱいになったみたい。何だかちょっとくらくらするし…。
ここまでにしとくね。ごめんね、ダンテ~。
→ こいつ酔ってねぇか?
→ そんなはずはない。アルコールが吸引されるような状況はなかった。
→ …あ!あ、さっき幻想体と戦うとき、なんか大きな杯とか壊しませんでしたっけ?そのときからこうなってた気がしますけど…。
→ あぁ。あの野郎が避けて、斧が杯みてぇなもんをぶっ壊してたような気はするな。"
観察レベル Ⅲ
ごめんね~この前の記録中々ひどいね。
ファウにこれちょっと消してまた書かせてくれって頼んだんだけど、絶対ダメって言われたんだよね。酷くない?
とにかく…おかげさまで分かったこともあるから、これで大目に見てくれるといいな。
はっきり言えるのは、戦いながら飛んでくるあのゼリーの破片によって、人々の熱意が上昇するって点。
そして、その熱意は戦闘が長引くほど大きくなるってこと。
そして熱意がもっと大きくなった…まさに高揚感MAX!!…みたいな人が杯を割っちゃうと~。
ビンゴ!その人はそのままベロンベロンに酔っ払っちゃうんだよね!
酔っちゃうから攻撃も全部当たらないし、力も入らなかったんだ。
ところでね~あのゼリーみたいなやつに酔った子が食べられちゃったこともあったんだよね?そしたら、あいつが急に調子がおかしくなってベロンベロンになったの!
そのチャンスに乗じて私たちがポカポカ!片付けちゃった~。
ど~だ、マジで役に立ったよね!
→ 把握が少し疾くば、マジでさりけん。
→ こういうときはただそうだ、って言ってあげましょうよ…。
??-??-??-?? ロボトミーE.G.O::狐雨 - ドンベク
観察レベル Ⅰ
[K社に位置していた旧L社支部内に放置されていた書類から発見したものの内、「詳細説明」を下記に添付します。]
…いつか雨よけに使われたはずの傘。今は破れ古びてその役割をまともに果たせないようだ。
この傘は捨てられた誰かに向けた温情だったのだろう。しかし誰かにとっては、虚しいだけの温情に感じられたのかもしれない。
偽善、虚栄、無責任。いつの間にか傘はそんな感情を宿したものになってしまった。
技術解放連合…彼らは皆がそれぞれ異なる所属より、一つずつ抜けいだして集まりし研究人どもの集団ななり。
我らと対面したらぬ者どもも、都市のいづこにて位置せるべし。
ドンベクは彼らの一部を率いきめり。
自ずから世界を捨てし者どもなりければ…世界もまた彼らを捨ておきけん。
昔より同じ志の人々集め心盛り上ぐるに長けたりし人なれば、捨てられし者どもは易く拾われけむ。
彼らはドンベクをいかが受け入れけんや、私はその答えの分かる気す。
身の置けぬ土砂降りの下に、暖かき温情のごとく差しいだされし傘のごとかりけん。
己を穏しく、暖かくすべく。
…されど、その傘はさだめて穴の空きしものならむ。今、我らが目途せる通り。
ドンベクは傘を差せど…その傘は己の利益を満たすための偽善に過ぎざりき。
彼の者自身もそれよく知れり。
あわれ、降る雨に為ん方無く、身打たればかりあるさまを。既に彼の者は、己さえこの雨を避くつもりはあらざらむ。
彼女はただ、共にこの雨に降られて…。
錆びし傘のごとく、みなもろともに錆びゆくことを選びきめり。
??-??-??-?? ドンベクE.G.O::壇香梅
観察レベル Ⅰ
ドンベクは花火大会というものをいと好みけり。
空に火薬を放ちて爆ぜさする、その遊びのことなり。
我らの誰かは、それを過激なる嗜みとからかいもしき。
あるいは将来の郎術会にて爆弾をば発表せぬや、と冗言うこともあれり。
もとより、誰の悪意もなき悪戯に過ぎざりき。
されど…ドンベク。その者の見んとせしは、いま少し遠きところの何かなりけん。
我ら皆がさであるように、
空には星が川作り、地には花咲き乱るるが見たがれり。
ただ、さほどなりき。
今や、ありし九人会は粉々に砕けき。
私が覗きし彼女の足跡にも、技術をもちて世が粉々に崩るる悲劇ありき。
憤怒しけん。
恋しくも痛く、わびしくも絶望的なりきべし。
私がさりけるように。
ドンベクのすべての感情は遂に生皮突き抜け、かの花びらのごとく咲き乱るるかな。
あな、ようやく止まるや?ドンベク。
いかなる技術も残りたらぬ、理想的な廃墟を作りてこそ…。
華やかなりし我が故郷の風景を己の身体に咲かするなど。
さりけり、さりき。
そなたが懐かしき花の種を蒔きて開花せるは、私たちの新しき門出を念願したければなり。
ドンベク…君の恋しかりし花火大会が、いよいよ地上に蕾を満開にすることに、また行われたり。
…げに、いと喜ぶべしかし。