新海诚:秒速5厘米【宇航员】日语台词


Episode Two
コスモナウト
花江 放課後も行くの
うん お姉ちゃんは平気
いいよ でも勉強もちゃんとやんなさいよ
はい
よし
おはよう
おはよう 遠野君
けさも早いよね
趣味だもん
海へ行ってきたんだろ
うん
頑張るんだね
そんないいでも
またね 遠野君
あ
いいか そろそろ決める時期だぞ
月曜までに提出たからな
ご家族とよく相談して書いてくるよね
佐々木さん 東京の大学へ行くみたいよ
さすが
わたしは熊本の短大かな
花江は
就職だっけ
あんた本当何も考えてないよね
遠野君のことだけね
あいつ絶対東京に彼女いるよ
そんな
まだうまくいかない
どうしちゃったのかな
あんまり悩まないほうがいいよ
そのうちまた乗れるわよ
お姉ちゃんはきれいこといいわよ
なに焦ってんのよ
このままじゃ 卒業まで言えないじゃない
ありがと お姉ちゃん
送っていくわよ
うんん カブでかえる
澄田 いま帰り
うん 遠野君も
あ~ 一緒に帰らない
もし私に犬みたいなしっぽがあったら
きっと嬉しさをかくきれずに
ぶんぶんと振ってしまったと思う
あ わたしは犬じゃなくてよかったなぁなんで
ほっとしながら思って
そういうことに我ながらバカだなぁっとあきれて
それでも
遠野君との帰り道は幸せだった
最初から 遠野君はほかの男の子たちとは
どこが少し違っていた
遠野貴樹です
親の仕事で転校には慣れていますが
この島にはまだ慣れていません
よろしくお願いします
中二のその日のうちに好きになって
彼と同じ高校に行きたくて
ものすごく勉強を頑張って
なんとか合格して
それでもまだ
遠野君の姿を見るたびに
もっと好きになっていてしまって
それが怖くて
毎日が苦しくて
でも会えるたびに幸せて
自分でもどうしようもなかった
遠野君まだ同じの
これうまいんだよ
澄田は なんかいつも真剣だよね
ものすごく
うん
先いってるよ
これください
九十円ね
はい
いつもありがとうね
おかえり
何買ったの
遠野君は 時々誰かにメールを打っていて
そのたびに私は
それが私宛てのメールだったらいいのにって
どうしても
いつも 思ってしまう
カブ ただいま
カブ カブ 帰ってきたよ
町役場からのお知らせします
次回の当番スタンドは坂井の農協給油所
三年一組の澄田花江さん
指導先生がお呼びです
生徒指導室まできてくさい
遠野の彼女じゃ
彼女とかじゃない
学年で出してないのは澄田だけだぞ
すみません
あのな
こう言っちゃなんだか
そんなに悩むようなことじゃないんだよ
澄田先生はなんで言ってるんだ
いいえ
どうしても決められないなら
県内の短大とかはどうなんだ
でも
お姉ちゃんは関係ないのに
だって
お姉ちゃんに願って始めたサーフィンも
一番大切だと思うあの人のことも
わたしはまだ
ぜんぜん
いつもありがとうね
いえ それじゃあ また
遠野君がいる場所に来ると
むねの奥が 少し苦しくなる
遠野君
澄田 どうしたの
よくわがったね
遠野君の単車があったから
きちゃった いい
うん そっか うれしいよ
きょうは単車置き場で会えなかったさ
わたしも
彼はやさしい
ときどき 泣いてしまいそうになる
ねぇ 遠野君は受験
うん 東京の大学受け
東京 そっか
そうだと思ったんだ
どうして
遠くに来たそうだもん
なんとなく
澄田は
わたし 明日のこともよくわからないのよね
たぶん だれだってそうだよ
ウソ 遠野君も
もちろん
ぜんぜん迷いなんでないみたいに見える
まさか
迷ってばかりなんだ
俺 できることを何とかやってるだけ
余裕ないんだ
そっか そうなんだ
飛行機
うん
すごい
時速五キロなんだって
南種の打ち上げ場まで
うん
今年は久しぶりに打ち上げるんだよね
あ~ 太陽系のずっと奥までいくんだって
何年もかけて
あんた 花江の進路ちゃんと相談に乗ってやんなさいよ
ぼんやりした子なんだから
大丈夫よ あの子ももう子供じゃないんだし
わたしも昔はあーだったなぁ
ねえ カブ
遠野君わからないんだって
一緒なんだ
遠野君も
それは本当に想像を絶するくらい孤独な旅であるはずだ
本当の暗闇の中をただひたむきに
一つの水素原子にさえ
めったに出会うことなく
ただただ 深淵にあるはずと信じる
世界の秘密に近づきたい一心で
僕たちはそうやって
どこまでいくのだろう
どこまでいけるのだろう
だすあてのないメールを打つくせがついたのは
いつからだろう
花江 あんた進路決めたの
うんん やっぱりまだわかんないけど
でもいいの 決めたもん
ひとつづつできることからやるの
いってくる
あの日から いくつかの台風がとおりすぎ
そのたびに島は少しづつ涼しくなっていた
サトウキビを揺らす風がかすかに冷気を孕み
空がほんの少し高くなり
雲の輪郭がやさしくなって
カブに乗る同級生たちが
薄いジャンパーを羽織ようになった
わたしが半年ぶりに波の上に立てだのは
まだ夏がかろうじて残る
そんな中月の半ばだった
本日 夕方からの天候は晴れ
最大風速は八メートルの予報となっています
佐々木さん山名から告白されたらしいよ
さすがだな
あれ 花江なんか今日うれしそうね
遠野君となんかあったの
ウソ
大事なのはこの公式
わたしだって
きょうこそ 遠野君に告白するんだ
波に乗れたきょういわなければ
この先も きっと
ずっと言えない
澄田
と 遠野君
いま帰り
うん
そっか じゃあ一緒に帰ろうよ
あれ 澄田 きょうはもう決まり
うん
どうしたの
しないて
えっ
うんん ごめん なんでもないの
調子悪い
うん 変だな
ダメ
うん プラグの寿命なんじゃないのかな
これおさがり
うん お姉ちゃんの
家族で息継ぎしてなかった
してたかも
きょうはここに置かせてもらって
後で家の人に取りに来てもらいなよ
今日は歩こう
えっ 私一人であるくよ
遠野君は先帰って
ここまでくれば近いから
それに ちょっと
歩きたいんだ
遠野君 お願い
えっ どうしたの
ごめん 何でもないの
ごめんね
澄田
おねがいだから
もう わたしに
やさしくしないて
必死に ただ闇雲に空に手を伸ばして
あんなに大きな塊を打ち上げて
気の遠くなるくらいむこうにある何かを見つめて
遠野君はほかのひとと違って見える理由が
少しだけわかった気がした
そして同時に
遠野君は私を見てなんでいないんだっていうことに
わたしははっきりと気付いた
だからその日 わたしは遠野君に何も言えなかった
遠野君はやさしいけれど
とても優しいけれど
でも 遠野君はいつも わたしのずっとむこう
もっとずっと遠くの何かを見ている
わたしが遠野君に望むことは
きっとかなわない
それでも
それでも私は
遠野君のことをきっと明日も明後日もその先も
やっぱりどうしようもなく好きなんだと思う
遠野君のことだけを思いながら
泣きながら わたしは眠った
Episode Three
いま 振り返れば
きっとあの人も振り返ると強く感じだ
お正月までいればいいのに
うん でもいろいろ準備もあるから
そうだな
かれにもうまいものつくってやれよ
うん
何があったら電話するのよ 明里
大丈夫よ
来月には式で会うんだから
そんなに心配しないて
寒いから もう戻りなよ
ゆうべ 昔の夢をみた
わたしも 彼もまだ子供だった
きっと 昨日見つけた手紙のせいだ
澄田さん
はい
ミーティングいいかな
はい
ただ生活をしているだけて
悲しみはそこここに積もる
日に干したシーツにも
洗面所の歯ブラシにも
携帯電話の 履歴にも
あなたのことは今でも好きです
三年間付き合った女性は そうメールに書いていた
でも わたしたちはきっと千回もメールをやり取りして
たぶん 心は一センチくらいしか近づけませんでした
っと
この数年間 とにかく前に進みたくて
届かないものに手を触れなくて
それが具体てきに何を指すのか
ほとんどきょうわく的ともいえるようなその思いが
どこから湧いてくるのかもわからずに
僕はただ働き続け
気づけば
日々だんりょくを失っていく心が ひたすらつらかった
そしてある朝
かつてあれほどまでに真剣で切実だった思いが
きれいに失われていることに僕は気付き
もう限界だと知ったとき
会社を辞めた
昨日夢を見た
ずっと昔の夢
その夢のなかでは 僕たちはまだ十三歳で
そこは一面の雪に覆われた広い庭園で
人家の明かりはずっと遠くにまばらに見えるだけで
降り積もる新雪には私たちの歩いてきた足跡しかなかった
そうやって
いつかまだ一緒に桜を見ることができると
わたしも 彼も
何の迷いもなく
そう思っていた
