徒然草 第115段 宿河原といふ所にて、ぼろぼろ多く集まりて、 ・吉田兼好 日文

宿河原といふ所にて:<しゅくがわら>と読む。神奈川県川崎市高津区のJR東日本南武線宿河原駅付近。兼好が鎌倉に来たときにでも採集した話か?
ぼろぼろ多く集まりて:ぼろぼろは、この時代のホームレス。集団でたむろした乞食集団と言われている。
九品の念仏を申しけるに:「九品の念仏」は、意味不明。九品とは、浄土教で、極楽往生の際の九つの階位。上中下の三品<さんぼん>を、さらにそれぞれ上中下に分けたもの。上品上生<じようぼんじようしよう>・上品中生・上品下生<げしよう>・中品上生・中品中生・中品下生・下品<げぼん>上生・下品中生・下品下生の九つ(『大字林』)、なので、これにかかる何かなのか?
外より入り来たるぼろぼろの:余所者のぼろがやって来て、。
恨み申さばやと思ひて:復讐しようと思ってやってきたのだ。
ゆゝしくも尋ねおはしたり:あっぱれ、よくお尋ねなされた。
あなかしこ、わきざしたち、いづ方をもみつぎ給ふな:ゆめゆめ、皆さんよ、どちらにも加勢してはならぬぞよ。あなかしこ参照。
心行くばかりに貫き合ひて、共に死ににけり:一心不乱に戦って、互いに刺し違えて共に死んでしまった。
少しもなづまざるかたのいさぎよく覚えて:少しも生に執着しないいさぎよさが面白く思えたので。