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【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 140 [千五百七十六年 三月下旬]

2023-05-13 23:44 作者:爱吃果冻的沙耶  | 我要投稿

书名 战国小町苦劳谭

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作者: 夹竹桃

原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/

翻译工具:ChatGPT

*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*

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千五百七十六年 三月下旬(*原文网页序列号 - 157)

ヴィットマンの容体は、異常の早期発見とその対処が早かったこともあり、小康状態を取り戻した。


维特曼的状况已经恢复平稳,这得益于异常早期的发现和及时的处理。


静子はその間ずっと付き添い、献身的に看護を手伝っていた。


静子一直陪伴在旁,献身地帮助护理工作。


医師及び家畜の専門家たるみつおの見立てによれば、ヴィットマンの嘔吐及び吐血は恐らく肺炎であろうと言うこと、対処としては水分と栄養を取らせ安静にさせるほかないという事だった。


据医生和家畜专家密津认为,维特曼的呕吐和嘔血可能是肺炎,处理方法只能是让其静养并保证充足水分和营养。


静子の懸命な看護の甲斐もあってか、ほどなくヴィットマンは意識を取り戻したが、用意された餌や水に殆ど口をつけることなく、明(あか)り取(と)りの格子から見える山の遠景を眺めているようだった。


在静子的悉心护理下,不久后维特曼恢复了意识,但他几乎没有碰到准备好的食物和水,似乎只是凝视着从明亮的窗格中可以看到的远山景色。


ヴィットマンの行動が意味するところを教えてくれたのは、みつおであった。


维特曼的行为意味着什么,是由Mitsuo告诉我的。


現代に於いて畜産業に携わる者として、家畜やペットの生き死にの現場にはこの場に居る誰よりも多く立ち会ってきただけに、死期を悟った飼い犬の行動を知悉(ちしつ)していた。


作为从事畜牧业的人员,在现代,我曾经比任何人都更多地目睹了家畜和宠物的生死现场,因此,我熟知一只即将死去的饲养犬的行为。


恐らくヴィットマンは己の命が潰えようとしていることを悟り、死出の準備を始めたのだろうと言うことだった。


大概维特曼已经意识到自己的生命正在走向终结,开始做死前的准备。


今のヴィットマンの体力では、既に食物を消化することも、水を摂取することも難しい。


以当前维特曼的体力状态,消化食物和摄取水分都已变得十分困难。


厳しい野生環境を生き抜くオオカミの習性として、群れの一員としての役割を果たすことができない程に衰えた個体は、自ら群れを去って姿を消す事を選ぶ。


作为能够在恶劣的野生环境中生存下来的狼的习性,个体身体的衰弱可能会导致无法在群体中发挥作用,因此会选择自行离开群体并消失。


飼い主として、いや家族としてその最期までを看取りたいと望む気持ちは理解できるが、それは人間のエゴであり、徒(いたずら)に彼らを苦しめることになると淡々と静子に言って聞かせた。


作为饲养者或是家人,想要看着宠物度过它们最后的日子是可以理解的,但这种想法其实是出于人类的自私,这样做只会给它们带来痛苦。静子淡淡地说道。


咄嗟に感情が爆発し、反射的に口を開こうとした静子だが、その口から声が発されることは無かった。


顿时,静子情感爆发,下意识张口却没有发出声音。


静子にヴィットマンの行く末を語って聞かせるみつおの表情は、いつもの朗らかな笑みとはかけ離れた泣き笑いのような慙愧(ざんき)を噛みしめるものだったからだ。


告诉静子维特曼的未来的光臣的表情与平常的开朗笑容大相径庭,更像是一种尴尬的咬牙切齿的咆哮。


静子はみつおも無念でならないのだと悟り、言葉を飲み込んだ。


静子意识到三男也感到无比的悲痛,于是她咽下了想要说出口的话。


その姿を見たみつおは、自分の子供にも等しい年頃の女性が、過酷な環境に懸命に立ち向かっている処に、尚も苦難を押し付けんとする天を呪った。


看到这个身影,小光感到自己像看到了自己的孩子一般。这个年轻女子勇敢地在严酷的环境中奋斗,但天命却依旧不放过她。


(本当は判っていたんだ。以前から老化の兆候はあったのに認められなかった。ずっと見ないふりをしてたんだ……ごめんね、ヴィットマン)


“(其实我早已经明白了。以前就有老化的征兆,但却没有被承认。一直装作没看见……对不起,维特曼)”


みつおの言に拠れば、ここからヴィットマンが回復することは年齢的にも難しいため、早晩姿を消すだろうということ。


根据光男的话,由于年龄的因素,维特曼从这里恢复变得困难,所以他早晚会消失。


それは今夜かも知れないし、明日かもしれない。しかし、彼が自力で歩ける時間はもう殆ど残されていないことを考えると、行かせてやるのが望ましいだろうとも。


那可能是今晚,也可能是明天。但考虑到他几乎没有时间自己走路了,让他去可能是更好的选择。


静子は傍にうずくまっているヴィットマンに触れた。ヴィットマンの体は驚くほどに冷えていた。恐らく既に体温を維持することも難しくなっているのだろう。


静子触碰了蜷缩在她身旁的维特曼。维特曼的身体异常冰冷,可能已经难以维持体温了。


せめてもと湯たんぽを用意させると、彼の首やわきの下、太ももの内側などの太い血管が集中している部位に置いて温めることにした。


我们至少准备了一个温水袋,并将其放置在他的颈部、腋下和大腿内侧等血管较密集的部位,让他感到温暖舒适。


「判っちゃうんだ。この時代に来てから、現代では考えられない程の生と死を見てきたから。命の火が消えようとしていることが、なんとなく判ってしまうんだ」


“我会明白的。自从来到这个时代以来,我已经见证了现代社会无法想象的生死之间的痛苦。因此,我总能感觉到生命的火正在逐渐熄灭。”


自分が彼にしてあげられることは多くない事を悟ると、静子は最後に一度ヴィットマンをぎゅっと壊れ物に触るかのように大事に抱きしめた。


当静子意识到自己能够为他做的并不是很多时,她最后一次紧紧地抱住维特曼,就像触摸易碎品一样珍惜。


あれほど逞(たくま)しく頼もしかった体は痩(や)せ衰え、かつてのような生命力に満ちた弾力を返してこないが、確かにまだ生きているという温もりがあった。


那个曾经坚强可靠的身体现在已经变得瘦弱,并没有恢复之前充满生命力和弹性的状态,但是可以感受到确确实实它还活着的温暖。


ヴィットマンはされるがままになっていたが、苦労して頭を起こすと体に抱き着いている静子の頬を舐め、一声鳴いた。


维特曼一直被动地任人摆布,但当他费力抬起头时,舔了一下贴在他身上的静子的脸颊,发出了一声咆哮。


彼の既に良く見えていないであろう目は、それでも静子を真っすぐに見据え、鼻面で静子を押して立ち去るように促した。


他那双早已不再清晰的眼睛却依然直视着静子,用鼻子示意她离开。


「そうだね。私がこんな調子じゃ、お前も心配で旅立てないよね……」


“是的。我这样的情况,你也不会放心地出发吧……”


静子は袖口で乱暴に顔を拭うと、周囲の家人に命じた。


静子粗暴地用袖子擦拭了脸,然后命令周围的家人。


「これ以降、この部屋への立ち入りの一切を禁じます。閂(かんぬき)を下さず木戸は開けたままにするように。また夜間に狼の姿を見かけても、一切の接触を禁じます。これは領内全ての村に触れを出して!」


“从现在开始,禁止进入这个房间。请保持门闩低落,门是开着的。同时,即使在夜间看到狼的身影,也禁止所有人接触。这对于所有村庄来说都是必要的。”


主君の意を受けた従者たちが即座に動き出し、静子邸からほど近い山までの道筋については夜間の外出禁止が言い渡された。


履行主人的指示,随从们立即开始行动。对于通往静子宅附近山区的路线,禁止夜间外出。


その後も静子は一日一回ヴィットマンの処を訪れ、余り手を付けられていない食事と水を交換し、温くなった湯たんぽの中身を捨て、温かいお湯に入れ替える事を日課に加えた。


此后,静子每天一次拜访维特曼,更换未吃完的食物和水,倒掉变凉的暖水袋里的水,加入温水,并将此作为日常任务。


ヴィットマンの最期は近い。せめて彼が一生を仕えたことを誇れる主でいようと、静子は決意を新たにする。


维特曼的最后时刻已经临近。静子下定决心,要做一个可以自豪地侍奉他一生的主人。


「まずは迷惑をかけた皆に謝って、滞っていた仕事をキッチリ片付けないとね」


首先向给大家带来麻烦的人道歉,然后认真清理积压的工作。


そう意気込む静子の許へ、騒々しい足音と共に生命力の塊のような人物が訪れた。


在兴致勃勃的静子那里,随着嘈杂的脚步声,一位像生命力的块状物一样的人物出现了。


「お久しゅうございます、静子様!」


"久违了,静子女士!"


それは日本人には珍しい程の隆々たる体格を誇る人物であった。頭に頭巾(ときん)と呼ばれる六角形の帽子をいただき、はち切れんばかりの肉体を墨染の山伏装束に包んでいる。


他是一个身材雄壮到连日本人也觉得非常罕见的人。他戴着一顶六边形帽子,被称为"头巾",身穿着墨染山伏服,肌肉贲张。


謁見の間において、かなりの距離を挟んで向かい合っているというのに、密着しているかのような錯覚に静子は陥っていた。


在谒见的房间里,纵使彼此隔着相当的距离对视着,静子仍感到仿佛相互贴得很近似的错觉。


「お変わりは……無さそうですね。華嶺(かれい)行者(ぎょうじゃ)」


「没有什么变化呢,华岭行者。」


静子は彼の発する熱にあてられたかのように表情を引きつらせながらも声を掛ける。


静子的表情随着他散发的热而痉挛,但仍然呼叫着。


静子邸に僧侶が訪れること自体はそれほど珍しい事ではないが、彼はそれらとは一線を画した存在であった。


静子府中来访僧侣并不少见,但他却是与众不同的存在。


出会いの発端は、信孝(のぶたか)から相談を受けたことにあった。


相遇的起点是收到信孝的咨询。


曰く、「伊勢詣での道中の山野に天狗が現れる」と言うもので、参詣客達が襲われることこそ無いものの、荷物を木陰に置いて水を飲みに行ったら荷物を盗まれただの、野犬に襲われそうになったところを助けられ、代金として味噌と塩を要求されただのという噂だ。


据说“在去伊势参拜的路上,山野里会出现天狗”,虽然朝圣客们并不会被袭击,但有传言称如果将行李放在树荫下去喝水,行李就会被偷走,如果遇到野狗袭击,则会受到帮助,但要求味噌和盐作为报酬。


深刻な被害が出ている訳ではないが、さりとて放置していては領主としての沽券(こけん)にかかわる。


尽管没有造成严重的损害,但若不加以处理将损害领主的名誉。


そう考えた信孝は何度も兵を派遣するのだが、その全てが空振りに終わった。


这样想着的信孝派遣了许多次兵力,但所有的努力都以失败告终。


大人数で準備万端に待ち構えていれば姿を見せず、人数を分散して広く配置すればその圧倒的な身のこなしで翻弄されて歯が立たない。


如果大量人数已经准备就绪,静静等待但却没有出现,而将人员分散并广泛部署,则会因其令人难以应对的灵活性而无法对其施为。


ほとほと困り果てた信孝は、恥を忍んで静子に頭を下げて腕の立つ武芸者を借りることにした。即ち、静子の側近たる慶次、才蔵、長可の三人が天狗退治に駆り出された。


信孝非常困惑,最终他忍受着羞耻,向静子低头请求借用技术高超的武术家。因此,静子的随从——慶次、才蔵、长可三人被派去驱赶天狗。


そもそもいつ何処に出るともわからぬ天狗退治にそれほど乗り気ではなかった三人だが、日が暮れて野営をしようと準備をしていたところに天狗は不意に現れた。


三个人本不是很热衷于对付不知道何时何地会出现的天狗,但当天傍晚扎营准备时,天狗突然出现了。


噂に違わぬ異形と見上げる程の体躯(たいく)に比して、驚くほど音を立てずに現れた割にその足取りはフラフラとしており酔っぱらったようにも見えた。


与传闻中的异形相同的体躯相比,它出奇地静默地出现了,尽管如此,它的步伐却摇晃不定,看起来像是喝醉酒了一样。


その様子を見て取った長可は、誰何(すいか)することもなく直ったばかりのバルディッシュで斬りかかった。


看到这种情况,长可拿起刚刚治愈的巴尔迪什,毫不犹豫地出击了。


それに対する天狗の反応は電撃的であった。夢見心地から覚めたのか、手にした金剛杖で巧みにバルディッシュの刃の内側を叩いて弾き、巨体を軽々と宙に翻してトンボをきった。


天狗对此的反应是震惊的。他从美梦中惊醒,迅速地用手中的金刚杖巧妙地敲打巴尔迪希的刀刃内侧,将巨体轻松地翻转在空中,迅速逃跑。


着地の隙を見透かして放たれた才蔵の神速の突きは、刃先を天狗の一本下駄に踏みしめられて地に潜った。


看破了着地的间隙,才藏释放出神速的一击,刃尖被天狗的木屐踩在了脚下,直接刺入地下。


正に猿(ましら)の如き身のこなしと、熟達の武人に匹敵する動体視力を持つ化け物だった。


正如猴子般敏捷的身手,拥有与熟练武者相匹敌的动态视力,这是一个妖物。


長可と才蔵が戦慄する中、どっかりと胡坐(あぐら)をかいたままの慶次は鍋を掻き回し、中身を椀によそうと天狗に向かって突き付けた。


当长可和才藏发抖之时,慶次一边搅拌着锅里的东西,一边盘腿坐着,将其中的内容盛在碗里,然后向天狗伸出了锅。


「匂いに誘われたんだろ? お前さんも食うかい?」


「被味道所吸引了吧?你也要吃吗?」


果たして天狗の応えは雷鳴もかくやという腹の虫であった。毒気を抜かれた長可と才蔵も得物を置き、天狗も面を外すとどっかと座り輪に加わった。


果然天狗的回答是雷鸣的恶意,长可和才藏被解除了毒气,放下了武器,天狗也脱下了面具,加入了轮子边静坐。


そうなってしまえば同じく腕に覚えのある武芸者同士が意気投合するのにそれほど時間はかからなかった。


那样一来,有经验的武术家之间很快就会意气相投。


天狗は世を捨てて修験者となった行者であり、余りにも山暮らしが長引いた結果、自分の名前すら忘れたという。


天狗是抛弃世俗成为修行者的行者,由于过于长期的山居生活,结果连自己的名字都忘记了。


そんな彼を惑わせたのは静子謹製のカレー粉がふんだんに用いられたカレー鍋であった。


让他迷失方向的是静子亲手制作的咖喱粉丰富使用的咖喱锅。


その味と香りに天啓を見た天狗は己を華嶺と名乗ることとし、彼の心を惹き付けてやまないカレー粉を製造した静子を主君と頂くことになったのだ。


看到那个味道和香气的天狗得到启示,决定自称花岭,并将制造出令他心心念念的咖喱粉的静子任命为他的主君。


そうした経緯もあり、雇われてからまだ日が浅いが、その身体能力及び隠形(おんぎょう)能力は熟達の忍どころか、野生動物をも凌(しの)ぐ域に達しており、外交僧としての任を担うことになった。


由于那样的经历,虽然被雇佣的时间还不长,但他的身体能力和隐藏能力达到了不仅是熟练的忍者,甚至还超过了野生动物,因此他担任起了外交僧的职责。


天狗の面を外していても日に焼けた赤ら顔は天狗じみており、身の丈も六尺(約180センチ)を軽く超えているというのに、雑踏に紛れれば即座に姿を見失ってしまう。


即使没有戴着天狗面具,他晒得红扑扑的脸也透露出天狗般的气质。他的身高超过了六尺(约1.8米),但在人群中却很容易就被掩盖了,立刻看不见了。


また筋骨隆々な見た目とは裏腹に学識にも明るく、若い頃に明へと渡り治水と土木技術を学んだ学僧でもあった。


尽管外表强壮健硕,但他也是一位博学多才的学僧,年轻时曾到明朝修学治水和土木技术。


「静子様、不躾で済みませぬが先に例の粉(ブツ)を頂けまいか? 報告は既に事務方に渡しておりますゆえ」


"静子小姐,非常抱歉我的无礼,能先让我尝试一下那个粉末吗?我已经向办公室递交了报告。"


「え? ああ! すぐに準備させます」


"哎?啊!我马上准备好。"


「忝(かたじけな)い。残りが心もとなく、量を減らしてだましだまし過ごしておりましたゆえ、ほれ! ご覧のように手に震えが……」


"惭愧。由于剩下的东西心有不安,不得不混混噩噩地减少食量度日。看吧!手都在颤抖……"


「ちょっと! 人聞きの悪い事を言わないで下さい。変なクスリみたいに聞こえるじゃないですか! アレは単なる混合調味料ですからね?」


"等一下!请不要说听起来很糟糕的话。那听起来像怪药一样!那只是一种简单的混合调味料而已。"


道なき山野を苦も無く踏破し、街道など必要とせずに直線距離で移動できる彼は、情報を伝達する伝令として得難い資質を持っていた。


穿过无路可寻的山野,毫无困难,不需要走大路,直接以直线距离移动的他拥有作为信息传递信使的难得天赋。


しかし、静子以外の誰もが彼を用いようとしない理由は、その風貌と性格に能力を上回る難があるためだ。


然而,除了静子之外,没有人试图使用他的原因是,他的外貌和性格面临着超出能力的困难。


「嗚呼! まこと天竺の香り。一嗅ぎするごとに悟りに近づく気すらする。再び仏道に帰依するべきか……悩ましい」


"啊!这是真正的天竺香味。一嗅之间似乎就能接近悟道。是否应该重新回归佛道呢……真是令人困扰。"


「かなりの量を渡してあったと思うのですが、何に使ったんですか?」


"我认为我已经给了相当数量的东西,但您用它做什么了?" -> "我觉得我已经给了相当数量的东西,但是您用它做什么了?"


「冬眠明けの熊に出くわしましてな。向こうも空腹で気が立っておったのでしょう、襲われたゆえ仕方なく殺(あや)め申した。山の掟に従えば、殺めたからには食わねばなりませぬ。しかし、唐突に襲われたが故に縊(くび)り殺してしまい、全身の肉に血が回りこれが食えたものではない。そこで静子様より頂戴した、例の粉を使って鍋に仕立てて供養致しました」


“遇见了刚冬眠醒来的熊。它们也饿得发疯,想攻击我。无奈只好自卫,杀了它们。按照山间规矩,既然杀了就必须吃掉。但是,突然袭击导致它们被勒死,全身的肉上都有着血迹,无法食用。因此,我使用了静子提供的特制粉末,烹制成了一锅供奉。”


「熊を素手で絞め殺したって聞こえたのですが……まあ、それは良いとして美味しかったのですか?」


“听说你用手掐死了一只熊……嗯,先别管那个,那只熊好吃吗?”


「血生臭くて食えぬと思われた肉も、例の粉に掛かれば野趣(やしゅ)あふれる風味と化し、拙僧の血肉となりもうした。毛皮や肝も有難く頂戴し、路銀にさせて頂きもうした。自然とは実に懐が深い!」


“被认为因血腥味而无法食用的肉,一旦撒上那种粉末,就变成了充满田野气息的美味。皮毛、肝脏也很感激地被收下,转化为我自己的血肉。大自然真是慷慨啊!”


「僧籍に戻れば、肉食は出来なくなるんですけどね……」


"如果回到僧籍,就无法吃肉了……"


仏道から山岳信仰や仏教、密教などが習合した修験道へ身を移した彼は、進んで殺生をすることはしないが、生臭(なまぐさ)を断つという考えは持っていなかった。


从佛教到山岳信仰、佛教和密教融合而成的修験道,他转而追随了这条路。尽管他不会主动杀生,但他并没有弃绝戒律中"不杀生"的观念。


「精進潔斎(しょうじんけっさい)はなるほど尊き教えですが、山を前にしては肉も野菜も何ら変わりありませぬ。どちらもその命を奪った以上は、美味しく頂くのが拙僧なりの供養の流儀。拙僧は己を生かして下さる全てに感謝を捧げ、その糧(かて)をいただくのみ」


「精进洁斋虽然是非常崇高的教义,但是在面对山的时候,无论是肉还是蔬菜都没有任何变化。既然它们都失去了生命,那么吃得美味是我作为僧侣供奉的一种做法。我将感激赐予我生命的一切,并享用这份养分。」


「そろそろ昼餉の時間だけれど、ご一緒されますか? 猪肉の陶板焼きなんですけど……」


「现在该是午餐时间了,一起吃吗?是猪肉烧瓷板……」


「ふむ、この香りは味噌の焦げる匂い。既に奪った命は戻りませぬゆえ、ありがたく頂戴いたしましょう! 猪も拙僧の血肉となり、山へと帰れることを喜びましょうぞ」


“嗯,这是味噌烤焦的气味。因为已经夺去了生命,所以让我们感激地领受吧!野猪也将成为我的血肉,欣喜地回归山林。”


「……なんだか詭弁(きべん)に聞こえるけど、じゃあ用意させるよ」


“虽然听起来有点狡辩,但我会为你准备好。”


「山よ神仏よ、そして静子様! 今日も皆様のお陰で飯が美味い!」


「山神与佛祖,以及静子大人!因为今天大家的支持,饭菜格外美味!」


天狗というより破戒僧なのでは? と思わないでもない静子だが、戒律を屁とも思っていない相手にそれを言っても詮無きことと苦笑する。


静子认为他更像一个犯戒的僧人,而不是天狗,但她苦笑地意识到对于根本不把戒律当回事的人来说,这么说也是没有任何意义的。


「時に静子様、何やらお悩みのご様子」


"有时候静子女士似乎有些烦恼。"


「……そんなに判りやすいですか?」


“这么容易理解吗?”


「少し目端の利く者ならば気付きましょう。それほどに御身(おんみ)は慕われておいでなのです。無論、拙僧もその一人を自負して居り申す」


「稍有眼力的人都能察觉到,您是备受爱戴的人。我自然也自认为是其中的一员。」


「ありがとう。でも、これは自分で片付けないといけないから」


“谢谢。但这个我得自己收拾。”


「静子様、御仏の教えに縋(すが)りたくば拙僧が手ほどき致しましょう。しかし、仏の言葉は聞くだけでは意味がござらぬ。教えを聞いた上で『考えて対峙(たいじ)する』ことが肝要」


「静子阁下,如果你想依附佛陀的教诲,懒僧可以为你解说。但是,止听佛言并不足以理解其意义。重要的是,在听取教诲后“思考并面对”它。」


「……そうだね」


"……是啊"


「仏陀の教えにこうあります。己を変えられるのは己のみ、自らが変わろうと一歩を踏み出すのが大事だと。静子様をお助けしようと考える者は多くおります。しかし、貴女自身がその手を取らぬ限り、彼らは貴女を大切に思うが故に踏み込んでこないでしょう」


“佛陀的教誨說:只有自己能夠改變自己,重要的是自己能踏出邁向改變的第一步。許多人都想要幫助靜子,但如果你不先伸出援手,他們也不會主動踏進來,因為他們珍視你。”


「そうだね。こうしている間にも、ずっと皆に助けて貰っているんだものね。彼らの手を取って、恩に報いなければ申し訳ない」


“是啊。就算在这里做着事,一直都在得到大家的帮助呢。如果不握住他们的手,回报他们的恩情就太不好意思了。”


「考え、悩んで出した答えこそが貴女自身の礎(いしづえ)になりましょう。先にも申しましたが、報告は事務方に預けておりますので、説教じみた差し出口はここまでといたします」


“深思熟虑后得出的答案才是您自身基石的建立。如我之前所述,汇报已经交由行政部门处理,因此在这里就不再做训诫式的结论。”


割と良い事を口にしていた華嶺行者だが、牛の鳴き声のような腹の虫が全てを台無しにした。


割不错的话总是挂在嘴边的华岭行者,但是像牛叫一样的肚子声搅乱了一切。


「ふふっ。お腹は正直ですよね。いくらか気分が軽くなりました。先に昼餉を取っていて下さい」


“嘿嘿。肚子总是很诚实的。我感觉好些了。请先吃午饭吧。”


「誠にお恥ずかしながら、拙僧が悟りの境地に至るのはまだ遠いようです」


「实在抱歉,恕我未能达到觉悟的境地。」


一度体を折るようにして深々と頭を下げると、彼はその巨体に見合わぬ身のこなしで音もなく部屋から立ち去った。


一度像折断身体一样深深地低下头,他用不相称于他的身体的灵活动作,毫无声响地离开了房间。


満面の笑みを浮かべて厨(くりや)へと向かう様は、むしろ清々しくさえあり小さな笑みを浮かべていた静子だが、小姓が持ってきた報告書を読み進むにつれて表情が引き締まった。


满面笑容地走向厨房的景象看上去非常令人清爽,静子也露出了微笑。但是,随着跟进报告书的阅读,她的表情变得严肃了。


「遂に終わる時が来たのね」


"终于到了结束的时候了"


本願寺を掌握した頼廉が、遂に織田家との和睦の為に動き出した。華嶺行者の持ち込んだ報告書には、そう書かれていた。


依赖本愿寺的頼廉终于开始了与织田家和睦的行动。华岭行者带来的报告书上写着这样的话。


本願寺が織田家に対して和睦を申し入れる。これが意味することは唯一つ。戦国時代の一大勢力であった本願寺が信長に膝を屈すると言う事だ。


本愿寺向织田家提出和睦请求。这意味着唯一的一件事情。曾是战国时代的重要势力的本愿寺向信长屈膝。


今までのような互いの態勢を整えるための一時的な和睦ではなく、自主独立を捨てて完全に織田家の庇護下に入る事を約束する和睦であった。


这不是为了调整双方姿态的暂时和谈,而是一项承诺完全放弃自治独立,进入织田家庇护下的和谈。


クーデター勃発から数ヶ月を経て、頼廉は年寄衆などの本願寺首脳部を掌握し、朝廷に対して織田家との仲立ちを依頼した。


几个月后政变爆发,廉向年寄们以及其他本願寺高层掌握了权力,并要求朝廷介入与织田家的交涉。


これに対して朝廷は勅使を遣わせ、数度のやり取りを経て、この度朝廷が正式に和睦を取り持つことが決まった。


对此,朝廷派遣了使臣,进行了数次交涉,最终决定正式调解。


しかし、和睦が成立することイコール石山本願寺からの本願寺勢の退去とはならない。


然而,和睦达成并不意味着石山本愿寺的人员必须撤退。


本願寺側が申し入れた以上、信長が掲げている石山本願寺の明け渡しは確実に実行されなくてはならない。


既然本愿寺方提出了申请,那么必须确保实行石山本愿寺的交还,这是信长所提出的条件。


細々とした条件については和議の場で話し合われるが、主題となるのは教主であった顕如と、彼の子息である教如の去就についてであろう。


细节条件将在和议场上讨论,但主要话题将涉及教主顕如和他的儿子教如的去留。


「此度の和議には朝廷側として義父上(ちちうえ)(近衛(このえ)前久(さきひさ)のこと)が立たれます。私も関係者として声が掛かっているので、当分は本願寺和睦の件について掛かり切りになります。長くても一月は掛からないと思っていますが。その間、才蔵さんは私と一緒に行動して貰います。他は第二次東国征伐の準備をしておいてね」


“在此次的和议中,朝廷方会有义父上(指近卫前久)作为代表出席。我也作为相关人士被要求参与,因此将会全身心地投入到宗愿寺的和睦问题中。我认为这将不会花费太长时间,最多也不会超过一个月时间。在此期间,才藏先生将和我一起活动。其他人则需准备第二次东国征讨的事宜。”


本願寺との和睦が公になると、静子は側近たちを招集した。いつもは安土に詰めている高虎も、この時ばかりは帰参していた。


当本愿寺与其和解公开化时, 静子召集了她的亲近人。通常被派驻在安土的高虎也在此时回归。


間もなく安土城が落成し、近くお役御免となる可能性が高い。土木建築や築城に於いて一目置かれるようになってはいるが、武士としては戦で功を立てたいという心理があった。


不久之后,安土城将会完工,可能很快就要解散。虽然在土木建筑和城堡建设方面备受尊敬,但作为武士,也有想在战场上立功的心理。


静子が手柄を立てる機会を与えられるよう配慮すると約束してくれてはいても、口を開けて餌が落ちてくるのを待っているだけで済ませられるような性分でもない。


即使静子承诺会考虑给予她成就的机会,但她并不是那种只等待食物掉下来的性格。


「使わないで済めば良いんだけど、一応足満おじさんは砲の準備もしておいて」


如果可以不使用就最好不用,但足満大叔还是要准备好炮。


「教如か」


"教如か" translated to Simplified Chinese is "教如何".


足満の言葉に静子は頷いた。これまで強硬に織田への抗戦を主張していた教如が、今回の和睦をすんなり受け入れるとは考え難い。


足满的话让静子点头。以前强烈主张对抗织田的教如,很难想象会毫无阻力地接受这次和睦。


彼の一派には淡路や雑賀衆など、本願寺と織田家が対立しているからこそ生活が成り立っている者もいる。


他的一派中,有许多人靠着淡路和杂贺众等势力的支持才得以维持生计,因为他们与本愿寺和织田家有对立关系。


本願寺が和睦などしようものなら、己の食い扶持が無くなってしまうため、何としてでも和睦を妨げようとする可能性が高い。


如果本愿寺要进行和解等行动的话,可能会因为失去自己的谋生手段而会极力阻碍和解。


そうした状況で旗頭となるのは、強硬派の首魁(しゅかい)でもある教如だろう。


在这种情况下成为旗头的将会是强硬派的首领教如。


事実、史実に於いても顕如が石山本願寺を放棄した際、彼は顕如の退去命令を無視して本願寺を占拠した。


事实上,历史上石山本愿寺被放弃时,当顕如下退令时他无视了,并占领了本愿寺。


その後、本願寺は時の為政者である秀吉や家康に利用され続け、最終的に家康が東西本願寺体制を確立させるまで動乱の時を過ごす。


此后,本愿寺一直被当时的治理者秀吉和家康利用,并在动荡的时期中度过,最终直到家康建立了东西本愿寺体制。


(東西本願寺体制が出来上がる際に、彼らが自分の正当性を喧伝するために色々と話を盛った結果、まるで上様が悪行を為したように広めてそれが定着したんだよね。これだけは避けないといけないから、顕如の後継者はこちらで指定しないと……)


(当时在东西本愿寺建立体制时,为了宣传他们自己的合法性而夸大其辞,结果传播开来就像上様行恶一样并定型了。这是必须避免的,所以顕如的继承人必须由我们来指定……)


武装勢力としての本願寺が潰えるのであれば、信長も静子もそれほど介入する気が無かった。


如果以武装力量身份的本愿寺要灭亡,信长和静子也没有太多介入的意思。


現時点ですら何かと悪評が絶えない信長に、やってもない悪行を押し付けられては堪らない。


眼下连信长都不断受到各种恶评,却被迫背负着根本没有做过的罪名,真是难以忍受。


「教如から見れば、主権を簒奪した頼廉の言葉なんかには従わないでしょうね。実の父である顕如の言葉にすら従わなかったんだから。何とかして実権を握り返し、本願寺に籠城しての徹底抗戦を唱えるでしょう。最早動かせる兵も、彼らを食わせる銭も米も無いのに……」


“从教如的角度看,是不会听从夺取主权的依赖廉的话的。他甚至不听从自己亲生父亲顕如的话。他们会设法夺回实权,在本愿寺进行彻底抗战。他们没有可动用的兵力、没有足够的金钱和粮食来养活他们……"


「抵抗するならば、本願寺と運命を共にさせれば良い。しないのならば放置で良かろう。正直、最早本願寺に抵抗するような余力はないだろう」


如果你要对抗,那么就让本愿寺与命运共同;如果不那么就放任吧。说实话,现在已经没有力量和本愿寺抗衡了。


長可の言うことにも一理ある。近頃の信長はいくさを仕掛けていないように見えるが、実際はそうではない。


长可的话有一定道理。近来的信长看上去并没有发起战争,但实际情况并非如此。


武力衝突という判り易いいくさをしていないだけであり、本願寺に対して経済戦争と言う名のいくさをずっと仕掛け続けていたのだ。


只是没有进行直观的武力冲突,而一直对本愿寺发动名为经济战争的斗争。


武力衝突を待たずして、経済的に抑え込まれて民に充分飯を食わせられなくなった本願寺に勝ち目は無かった。


本愿寺未等到武力冲突,就被经济上压制而无法让民众充分吃饱饭,因此没有胜利的希望。


頼廉はその現実を理解したからこそ、まだ恰好が付く間に和睦という形で降伏することを信長に申し出た。


赖廉明白这个现实,因此在还能掌控情况的时候向信长提出了以和睦的形式投降。


「余力がある無いは別にして、今の教如は破れかぶれになっている。こういう手合いは一番厄介だよ。高すぎる自尊心を捨てられないがために、現状を正常に認識できず、絶対に勝てない相手にも噛みつく可能性がある。『窮鼠(きゅうそ)猫を噛む』の言葉があるように、小物は追い詰めすぎると危ないよ」


“不论有余力还是没有,现在的教如都已经变得盲目冲动。这种人是最棘手的。他们由于太过高傲自大,无法正常认知现状,即使面对绝对不可能胜出的对手也会挑起争端。正如有一句话叫做‘穷鼠啃猫’,这样的小人物被逼到绝境时是非常危险的。”


「誰を噛むつもりか知らないが、こっちに向かってくるなら叩き潰すだけさ」


“不知道你要咬谁,但如果你朝这边走来,我会将你打败。”


「……まあ、それしかないかな。誰彼構わず噛みつく危険分子なんて、誰にとっても不利益しか生まないからね。でも、頼廉としては嫡子である教如を生かしたいだろうね。これは落としどころが難しいかもしれない」


"……嗯,那好像只有这个办法了。随便咬人的危险份子,对任何人来说都没有好处。但是,作为信赖你的人,你肯定希望把自己的儿子教如保住吧。这确实是一个难以处理的问题。"


「まあ、その辺りは織田の殿様が決める事だ。ここで静っちが悩んだところでしょうがない」


“这个事情就由织田大人来决定吧,在这里静止也没什么用处。”


考えを巡らせているところへ慶次が横から口を挟んできた。


当我在思考时,景次从旁边插嘴了。


実際のところ、彼の言うように講和条件などの一切合切について決定権を持っているのは信長である。静子が進言しても、信長が否と言えばお終いだ。


实际上,决定和平条件等一切的权力都掌握在信长手中,即使静子提出建议,如果信长反对,那么就无法实现。


「……そうだね。これ以上は私が気を揉んでも仕方ない。他に話がないなら、これで軍議を解散します」


“……是的。我再怎么担心也没用。如果没有其他话题的话,那就宣布军事会议结束吧。”


参加者全員を見やりながら静子が声をかけた。それに対して誰もが沈黙を以て応えたため、軍議はそれで終わりとなった。


静子一边关注着所有参与者,一边开口说话。由于每个人都沉默不语,会议也就以此结束了。


それぞれに部隊を抱える慶次や長可は部屋を後にしたが、静子の護衛である才蔵だけは付き従っている。


每个人都率领一个部队的景次和长可离开了房间,但是才藏作为静子的护卫跟随其身。


(頼廉と上様が裏で繋がっているとすると、上様以外で本願寺に働きかけている勢力が見えてくる。今は確たる証拠もないけれど、十中八九武田や北条の背後に彼がいる。やっぱり史実通り、大人しくするつもりはないようだね)


(如果认为藤吉郎和上様在背后合作的话,除了上様以外,本愿寺正在施加影响的力量也会浮出水面。虽然目前没有确凿的证据,但十之八九他在武田或北条的背后。看来他并没有像历史上那样安分守己。)


武田が北条と同盟を組むのは、今の東国状況を考えれば当然の選択肢である。一方の北条は、落ち目であり弱っている武田と同盟を結ぶ意味合いが薄い。


武田和北条结盟是当然的选择,考虑到当前的东国局势。而北条一方面已经落寞,和弱势的武田结盟意义不大。


しかし、現実には北条と武田は手を結び、織田家の東国征伐に対して牙を剥いた。不可解なのは北条だけではない。


但实际上,北条和武田联手,对抗织田家的东国征伐。不仅北条令人费解,其他也是如此。


越後の上杉家に巣食う親北条派が、織田家の東国征伐に合わせて動く素振りを見せた。


越后上杉家附庸的亲北条派,在織田家东国征伐的配合下展现出行动的迹象。


今まではそれぞれが勝手に動いていたのに、明らかに誰かが旗を振って歩調を合わせている様子が窺える。


现在可以看出明显有人挥舞着旗帜来协调步伐,而之前每个人都是自己行动的。


ここまで見えれば話は早い。


如果能看到这里,话就很明朗了。


上杉に織田との同盟を破棄させるよう画策し、敗走した武田と利害が衝突する北条とを同盟で結び、渋る毛利を本願寺の援助に駆り出した。


策划让上杉放弃与織田的联盟,结盟败逃的武田与利益冲突的北条,并利用同盟迫使犹豫不决的毛利寻求本愿寺的援助。


第三次織田包囲網を作り上げようと血道を上げる人物。


热衷于打造第三次織田围攻网的人。


(足利義昭、まだ将軍の座を諦めきれないのか)


(足利义昭,还不能放弃将军的位置吗)


ことがここに至っても己が野心を諦めきれず、残された政治力を駆使して信長に牙を立てんとする人物の名を、静子は心の中で呟いていた。


即使到了现在这个地步,这个人仍然无法放弃自己的野心,她在心中喃喃自语着,准备利用剩余的政治力量来反抗信长。


軍議が大した進展もなく終わった後、足満は静子邸の中庭にある四阿(あずまや)に立ち、春の訪れを予感させる池周辺を眺めていた。


军议结束后没有什么进展,足满站在静子宅邸的庭院里的凉亭上,眺望着预示着春天来临的池塘。


さも風景を楽しんでいるように装っているが、彼の内心は怒りで煮えたぎっていた。


他假装在欣赏风景,但他内心却充满了愤怒。


(八つ裂きにしたとて、まだ足らぬわ!)


(即使撕成八瓣也不够!)


無意識に指先が白くなる程に握りしめていた拳を開き、足満は静かに呼気を吐き出した。


无意识中打开握着的拳头,指尖已经因过于用力而变白,足满静静地呼出一口气。


彼がここまで怒りをあらわにする原因は言うまでもない。何者かが静子を害そうとしたという情報を掴んだからだ。


他表现出如此愤怒的原因不言自明。他知道有人试图伤害静子。


ことは昨年にまで遡る。ある日、京にほど近い場所に店を構える旅籠(はたご)の主人から足満の許へと一報が齎された。


这件事可以追溯到去年。有一天,离京城不远的旅馆老板向足满传递了消息。


主人の旅籠はそれなりの宿泊料を取っているにも関わらず、連泊を申し込んできた宿泊客の身なりや人相が悪く、それとなく様子を窺うように店の者に指示していた。


尽管主人的旅舍收取相当高的住宿费,但连续入住的客人身着不好且外表不佳,主人暗中指示店员留意他们的情况。


料理を運んでいた下女が、廊下で『静子』という名を男達が何度となく口にする様子を聞きつけ、主人に報告したという経緯だ。


传说一个正在传递餐点的女仆听到男人们在走廊上反复提到一个名字叫“静子”,于是向她的主人报告了这件事。


主要な街道筋で宿を営む経営者には、全て足満が鼻薬を嗅がせているため、その情報は程なく足満の許へと届けられることになった。


在主要的街道上开旅店的业主,因受到足满的贿赂,所有信息都很快被送到足满那里。


疑わしいというだけで足満には十分であり、即座に手下を動員して問題の宿泊客の全員を攫(さら)った。


仅凭怀疑足以让足満动用手下并绑架所有有问题的旅客。


足満は一切の躊躇(ちゅうちょ)なく拷問を行い、首謀者に洗いざらいを話させた。


足满毫不犹豫地实施了拷问并让首领洗净了罪行。


彼らの口から飛び出してきたのは、あろうことか静子の暗殺計画であり、他にもならず者同士で連絡を取り合い同時多発的に仕掛ける計画だった。


他们口中说出来的,竟然是静子的暗杀计划,而且还是一群罪犯密谋协作的同步发动的计划。


我が身可愛さにここまで語った首謀者が、その後どういう運命を辿ったかは敢えて語るまい。


我不想谈论那个如此描述自己可爱之人的主谋后来经历了什么命运。


計画を知った足満は、烈火の如き勢いで企てに加担した連中を抹殺していった。同時にならず者共に情報や金を提供し、静子の暗殺を試みた黒幕を調べ上げた。


在得知计划后,足满以烈火般的力量消灭了参与策划的人们。同时,还向不良分子提供了情报和金钱,并查明了试图暗杀静子的幕后黑手。


何人もの人を経由させ、真の黒幕が誰なのか掴ませないようにしていた様子だが、足満はその全てを芋づる式に締め上げて黒幕に辿り着いた。


似乎让许多人经过,不让他们抓住真正的幕后黑手,但足满通过一切,最终找到了黑幕。


(義昭め! 織田に敵意を持ち織田包囲網を作らんとするのは構わぬ。しかし静子を直接狙うとなれば話は別だ。その身を八つ裂きにして、鴉(からす)に食わせても尚飽き足らぬ)


(义昭!虽然你有意向織田家敌对,策划包围織田家也无妨。但如果直接针对静子的话,那就不同了。就算将她的身体撕成八块后喂乌鸦,也远远不够。)


義昭からすれば、己が最も頼みとしていた武田信玄の西上作戦を阻み、苦労して包囲網を作り上げて織田を締め付けても、織田家はやせ細るどころか小動(こゆるぎ)もしない体制を作り上げた静子の存在は、邪魔どころか怨敵と呼ぶに相応しい。


在义昭看来,静子的存在阻止了他最为依赖的武田信玄进行向西进攻的作战,而即使他费尽心思筑起包围圈把織田家死死压制,織田家却稳如泰山,静子的存在不但没有起到任何帮助反而成了敌人。


義昭自身が毛利家の預かりとなって以降も、事あるごとに織田の勢いを挫(くじ)く策を練っては実行していた。


自从义昭成为毛利家的代理以来,他总是设法制止织田家的势头并加以实施。


しかし、そのどれもが不発もしくは、仕掛けたのだが何ら痛痒(つうよう)を与える事が出来ないでいた。


然而,所有这些尝试都未能实现或者虽然实施了但并未造成任何影响。


義昭からすれば『将を射んとする者はまず馬を射よ』の馬が静子であった。


义昭认为,“欲射将,先射马”,而静子就是这匹马。


しかし、信長自身が静子の重要性を知悉しているだけに彼女の守りは堅固であった。


然而,正因为信长自身深刻认识到静子的重要性,所以她的保护也非常牢固。


まず彼女の領地自体が、何重にも周囲を守られた織田勢力の中心部に位置しており、外部の勢力がおいそれと近づくことすら難しい。


首先,她的领地本身位于多层周围被织田势力保护的中心地带,外部势力很难靠近。


更に静子本人が『君子危うきに近寄らず』を徹底しており、余程の事が無い限りは守りの内側から出てこない。


此外,静子本人坚持遵循“君子远离危险”的原则,除非绝对必要,否则不轻易外出保护区。


そんな中で、唯一静子の警備が薄くなるチャンスが訪れる。正月の挨拶回りで、遅れて安土へ移動するとの情報を掴んだのだ。


在那样的情况下,静子的保安遇到了难得的机会。他们得到了关于她正月拜访之行的推迟并前往安土的信息。


義昭からすれば千載一遇のチャンスであった。


义昭来说,这是千载一时的机会。


しかし問題が持ち上がる。静子襲撃の実行犯の選定が上手くいかなかった。


但问题出现了。静子袭击的实行犯选择并不顺利。


義昭としては静子を襲撃するのは、彼女の統治に不満を持つ静子領内の破落戸(ごろつき)などが望ましい。


义昭认为攻击静子的最好方式是由对她的治理不满的静子领内的无赖等人进行。


だが静子の統治下にある民は、静子に対して不満を抱いておらず、また不満や要望を上申するための経路が整備されていた。


但是,在静子的治下,人民并没有对静子心存不满,而且已经建立了渠道来提出不满和要求。


従って静子領内では、所謂『ならず者』が殆ど存在しない。


因此,在静子地区几乎不存在所谓的“流氓”。


全員が不満を持たない統治などはあり得ないし、静子に反骨心を抱く者は当然発生するのだが、それぞれを受け入れる枠組みが用意されていた。


没有任何一种统治方式能够让所有人都不感到不满,自然会出现一些抱怨反叛的人,但是已经为接受这些人准备好了框架。


乱暴者や素行の悪い者は、兵隊の適性有りと言う事で予備役兵に組み込まれ、彼らにとって判り易い力の理(ことわり)が支配する軍隊という秩序に組み込まれる。


粗暴和品行不良者被认为是有适应军队能力的人,被编入预备役部队,他们被纳入一个以力量为主导的军队秩序,这对他们来说是易于理解的。


そもそも人間というものは衣食住が満たされ、毎日やることがあり、それに向かって努力して報われていれば案外悪さ等しないものである。


一个人如果有足够的食物、住所和衣物,并且每天都有事情做,为之努力并获得回报,那么他们通常不会做出任何坏事。


勿論、中には札付きの悪や、どうしようもない程の屑という者も存在する。それらはどうなるのか? 共同体から排除される。


当然,里面也存在着名声不好或者是无法救赎的渣滓之徒。那些人会发生什么?他们将被社群排除。


排除された彼らがどうなったのかを知るものは、汚れ仕事を担う者しか知らない。


只有负责肮脏工作的人才知道那些被排除的人去了哪里。


義昭が考えた静子暗殺計画は良く練られてはいたが、詰めが甘かったため潰された。


义昭所策划的静子暗杀计划虽然设计得很巧妙,但由于漏洞百出而失败了。


それを知った義昭は怒り心頭になり、周囲に当たり散らしていたのだが、彼は虎の尾を踏んだことに気付いていなかった。


得知此事后,义昭十分生气,在周围胡乱发泄怒气,但他并没有意识到自己踏到了老虎尾巴上。


「軽い意趣返しをしてやったが、一向に腹の虫が治まらぬ」


“我开了个小玩笑,但是怒火并没有平息。” translated to Simplified Chinese is: “我开了个小玩笑,但怒火并没有平息。”


足満は義昭に対して挨拶代わりの贈り物をしていた。それは彼の朝餉に静子襲撃計画に加担した者の体の一部を供することであった。


足满曾经向义昭送上礼物,这作为一种问候的代替品。这个礼物是供奉参与静子袭击计划的人身体的其中一部分,作为他的早餐。


更には彼の枕元に、暗殺計画を企てたことを把握しており、必ずや自分の行いを後悔させてやるという熱意溢れる文が届いていた。


此外,还收到了一封充满激情的信,其中提到已经了解到他策划了暗杀计划,并且一定会让他后悔自己的行为,信件摆放在他的枕边。


毛利側も義昭が害されては外聞が悪いため警護を厳重にするのだが、それを嘲笑うかのように連日義昭への熱烈な贈り物が途絶えることはなかった。


毛利这一方也为了避免義昭受到伤害而进行了严格的保护,但是贺礼连续不断地送到義昭那里,好像在嘲笑一样,丝毫没有停止的迹象。


「自分が何をしでかしたか理解せぬまま殺しては意味がない。自分がしでかした事の重さを理解するまで突き付け、殺してくれと哀願するまで追い詰めねばな」


“在不理解自己做了什么的情况下将其杀死是没有意义的。必须对其实施追击,直到他意识到自己的行为造成的后果,央求被杀,才能逼他认错。”


元より兄弟であるという身内意識は希薄だったが、静子に害を為そうとした時点でどんな手を使ってでも葬るべき敵となった。


从一开始,兄弟之间的亲属意识就很薄弱,但当静子想要对他造成伤害的时候,他就成为了一个必须被击败的敌人,不管采取什么手段。


一度スイッチが入ってしまえば静子以外に彼を止められる人物はいない。たとえ信長が掣肘(せいちゅう)しようとしたとて己の命を懸けて押し通す。それが足満という男であった。


一旦开关打开后,除了静子,没有人能阻止他。 即使信长试图制约他,他也会冒着生命危险坚持自己的想法。那个男人叫做阿满。


「ふっ、奴の事はひとまず後だ。今は静子の命を果たさねばならん」


“呼,那个家伙暂且放在后面,现在必须完成静子的任务。”


砲の準備には時間がかかる。一発の砲弾を発射するのに要する火薬の量だけを見ても、新式銃などとは比べ物にならない。


炮的准备需要时间。仅从发射一发炮弹所需火药的数量来看,与新式枪支等相比毫不相提。


しかし、それほどの資源を費やしてでも砲を使用する理由があった。それは判り易い力の象徴だからだ。


然而,即使要花费如此巨大的资源来使用火炮,也是有理由的。这是因为它象征着一种明显的力量。


敵単体を攻撃するだけの銃と異なり、曲射弾道で撃ち込まれ周囲一帯を無差別に攻撃する砲では被害の出かたに雲泥の差がある。


与仅攻击单个敌人的枪不同,使用曲射弹道攻击并无差别地攻击周围所有区域的炮弹所造成的伤害有天壤之别。


どれ程堅牢な城壁に守られた要塞に籠もろうとも、天より落ちてくる破壊の雨には対抗する術すらないという事実は、確実に敵の心を挫くだろう。


无论龙堡被多么坚固的城墙所保护,面对从天而降的毁灭性雨水,无法有任何抵抗的办法,这个事实必将确信地打击敌人的士气。


降伏して生を拾うか、無意味に牙を剥いた挙句に死体すら残らぬ殺戮を受けるかと聞かれて、後者を選択する狂人はそうはいない。


被问及是要屈服并保留生命,还是要无意义地露出牙齿最后在屠杀中连尸体都不剩下,没有人会选择后者。


「恐らく次の東国征伐では静子に『余裕を見せつけろ』と織田が命じるだろう」


“很可能在下次东国征讨中,织田会命令静子展现出‘余裕’。”


信玄との三方ヶ原の戦いでは、自軍の総力を挙げて防衛戦(・・・)に勝利した。


在信玄和三方原的战斗中,我们集中了全部的力量,成功地防守并赢得了胜利。


世間では違った評価が為されているようだが、静子の中では相手を自分のホームグランドに誘い込み、事前に調査した地の利を生かした防衛を成功させたと理解している。


看起来在社会上有不同的评价,但静子认为她成功地把对手引到自己的领域,并利用事先调查的地理优势进行了成功的防守。


しかし、今回はその逆となりこちらが攻め手となるのだ。戦場は選べずとも、攻め時も攻め方も自分達が思うようにできるというのは大きい。


然而,这一次情况将反转,我们将成为攻方。尽管无法选择战场,但能够按照自己的想法选择进攻时间和方式是非常重要的。


更に以前と比較しても、長足の工業化を成し遂げており、軍備の増強は計り知れない。


此外,与更早时相比,已经实现了大步向工业化的进展,武备增强不可估量。


直近のいくさで敗北を喫しているだけに、次回の征伐では圧倒的な戦果を世に見せつける必要があった。


由于在最近的战斗中遭受了失败,因此在下一次征战中,需要展示压倒性的战果。


静子が何を成し遂げるか、今から楽しみだと足満は思った。


静子做出了什么成就,现在阿满很期待。


【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 140 [千五百七十六年 三月下旬]的评论 (共 条)

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