結核について

柄谷行人の本「日本近代文学の起源（きげん）」によれば、文学的な結核が実際の結核と大きく異なり、「この社会と人間から切り離され、逆にされて『意味』を持つ」ことさえあるのだという。 結核について、しばしば若い少年少女が、ほほを紅潮させ、はだを青白くし、息を切らし、づいじゃくし、ときどき喀血することがあるが、これが結核の犠牲者です。 そういう結核患者の人物描写は、無限などうじょうを抱かせる一方、その運命的な人物描写に張力を与えています。 「不如帰（ふじょき）」の出版して以来、結核が社会に蔓延する ひげき的な 現実に反して、この文学的な結核のイメージが日本文学で流行しました。 もちろん、このひゆが日本文学の創案ではなく、柄谷が次にように書いています。 この浪人のイメージは、典型的なロマン派のことである。 結核とロマン派の結び付きを指摘する人は多いが、ソンタグの著書「隠喩としての病」によれば、18世紀なかばのヨーロッパでは すでにロマン派のれんそうをかんきする性格を持っていました。 バイロンは「肺結核で死ねばよかったのに」と言いが、デュマぺールが肺結核を わずらってみました。