日本小4课文:初雪之日【久我Masahi的日语课堂】#56

初雪の降る日(初雪之日)
作者:安房 直子(あわ なおこ)
秋の終わりの寒い日でした。(时值秋日终了的寒冷的一天。)
村の一本道に、小さな女の子が蹲んでいました。女の子は、俯いて地面を眺めていました。それから、首を傾げて、ほうっと大きな息を付くと、「誰が、石蹴りしたんだろう。」と呟きました。その道には、蝋石で描かれた石蹴りの輪が、どこまでも続いていたのです。どこまでも、どこまでも、橋を渡って、山の方まで。女の子は立ち上がって、目を真ん丸にして、「なあんて長い石蹴り。」と叫びました。それから、蝋石の輪の中に、ぴょんと飛び込んでみました。すると、女の子の体は軽くなって、ゴム毬(まり)みたいに弾んできたのです。(一个小女孩蹲在村子里的一条道路上。女孩俯首眺望着地面。然后,歪着脖子,长叹了口气,嘟哝道:“是谁在玩跳房子。”用滑石所画的跳房子的圈在这条路上一直延续着。延续着,延续着,渡过桥,朝山的方向。女孩站起来,瞪圆了眼睛,叫道:“好长的跳房子啊。”随后,女孩一下子跳进了滑石圈内。于是,女孩的身体变轻,如同橡胶球一样弹了起来。)
片足、片足、両足、片足—。(单脚,单脚,双脚,单脚。)
両手をポケットに入れて、女の子は進んでゆきました。石蹴りをしながら、女の子は橋を渡りました。キャベツ畑の細い道を通りました。村でたった一軒の、煙草屋の前を通りました。(女孩将双手插进口袋,渐渐前进。女孩一边跳着房子,一边渡过了桥。通过了卷心菜田的小道。经过了村子里仅有的一家烟草店。)
「おや、元気がいいねえ。」と、店番のお婆さんが言いました。女の子は、荒い息をしながら、得意そうに笑いました。お菓子屋の前では、大きな犬が歯を剥き出して吠えました。それでも、女の子は進んでゆきました。石蹴りの輪は、まだまだ続いていたのです。(“哎呀,真是精神啊。”看店的老奶奶说道。女孩喘着粗气,得意洋洋地笑了。来到点心店前面的时候,大狗露出獠牙吠叫着。即便如此,女孩继续前进。跳房子的圈仍持续着。)
「こんなに長い石蹴り、誰が描いたんだろう。」跳びながら、女の子は、そればかり考えていました。(“这么长的跳房子,是谁画的啊?”女孩一边跳着,一边总是考虑着这个问题。)
バスの停留所の辺りまで来た時、ほろほろと雪が降り始めました。乾いた粉雪でした。それでも、石蹴りの輪は終わりません。女の子は、顔を真っ赤にして、汗をびっしょり掻いて、跳んでゆくのです。(来到公交车站的时候,干燥的细雪开始纷纷扬扬下了起来。即便如此,跳房子的圈没有结束。女孩的脸颊通红,汗流浃背地继续跳着前进。)
片足、片足、両足、片足—。(单脚,单脚,双脚,单脚。)
空はどんよりと暗くなり、風も冷たくなりました。雪は、段々激しく降り始め、女の子の赤いセーターの上に、ほっほっほと、白い模様を付けました。(天空变得阴暗,风也变冷。雪势渐渐猛烈,女孩的红色毛衣上一点一点落上了白色的花纹。)
「吹雪になるわ。」と、女の子は思いました。「もう帰ろうかな。」そう呟いた時です。後ろで、こんな声がしました。「片足、両足、とんとんとん。」(“要下暴风雪了。”女孩想道,“该回去了吧。”如此嘟哝的时候,从身后传来了这样的声音:“单脚,双脚,咚咚咚。”)
びっくりして、跳びながら振り向くと、真っ白い兎が、石蹴りをしながら女の子の後を追いかけてくるじゃありませんか。(女孩吓了一跳,边跳边回头望去,只见雪白的兔子一边跳房子,一边在后面追赶而来。)
「片足、両足、とんとんとん—。」(“单脚,双脚,咚咚咚。”)
よくよく見ると、その後ろにも白兎、そのまた後ろにも白兎—。(仔细一看,兔子后面也有白兔,白兔后面还有白兔。)
降り頻る雪の中を、もう後ろから後ろから、白い兎が続いてくるのでした。女の子はびっくりして、目をぱちぱちさせました。すると、今度は前で声がしました。(在下个不停的雪中,后面不断排着白兔。女孩目瞪口呆。于是,这次是前面响起了声音。)
「後ろから来るのは白兎、前をゆくのも白兎、片足、両足、とんとんとん。」(“从后面来的是白兔,到前方去的也是白兔,单脚,双脚,咚咚咚。”)
慌てて前を見ると、女の子の前を、やっぱり沢山の兎が、一列になって跳んでゆくのでした。(女孩急忙看了一眼前面,只见果然有众多的兔子排成一列往前跳去。)
「うわあ、ちっとも知らなかった。」(“哇啊,一点也不知道。”)
女の子は、夢を見ているような気がしました。(女孩觉得自己似乎在做梦。)
「ねえ、何処へ行くの。この石蹴りの輪、何処まで続いているの。」(“喂,要去哪里?这跳房子的圈要持续到哪里?”)
すると、前の兎が跳びながら答えました。「どこまでも、どこまでも、世界の果てまで。私達皆、雪を降らせる雪兎ですからね。」(于是,前面的兔子边跳边回答道:“持续到任何地方,直到世界的尽头。我们都是让雪飘落的雪兔。”)
「ええっ。」(“诶。”)
この時、女の子はどきっとしました。いつか、お婆さんから聞いた話を思い出したからです。(此刻,女孩大吃一惊。因为她想起了曾经何时从奶奶那里听来的话。)
初雪の降る日には、北の方から、白い兎が、どっとやって来るのだと、お婆さんは言いました。兎の群れは、一列になって、山から山へ、村から村へと雪を降らせてゆくのだと。その速いことと言ったら、もう目が回るくらいで、人の目には、一本の白いすじにしか見えないのだと。(据奶奶所说,初雪之日,白兔从北方蜂拥而来。兔群排成一列,从这座山到那座山,从这个村子到那个村子,让雪飘落。它们的速度快到几乎令人头晕目眩,人类的眼睛只能看到一根白线。)
「だから、気を付けなけりゃいけないよ。もしも、その兎の群れに巻き込まれたりしたら、もう帰ってこられなくなるからね。兎と一緒に、世界の果てまで跳んでいって、最後には、小さい雪の塊になってしまうんだから。」(“所以,必须要注意。因为假如被卷入兔群中的话,就回不来了。和兔子一起跳到世界的尽头,最后化为小小的雪块。”)
あの時、女の子は目を大きく見開いて、なんと恐ろしい話だろうかと思ったのでした。が、たった今、自分は、その兎に攫われてゆくところなのでした。(那时,女孩目瞪口呆,想道好恐怖啊。然而,目前自己也正要被那兔子拐走。)
「大変だ。」女の子は止まろとしました。次の輪の中に、足を入れるのをやめようとしました。けれどもこの時、後ろの兎がこう言いました。「止まっちゃいけない。後ろがつかえる。片足、両足、とんとんとん。」(“糟了。”女孩想要停下,不跳进下一个圈中。然而,这时后面的兔子如此说道:“不可以停下。后面会堵塞。单脚,双脚,咚咚咚。”)
それだけで、女の子の体は、また、ゴム毬みたいに弾み出し、蝋石の輪の通りに跳んでゆくのでした。(于是女孩的身体又像橡胶球一样弹起,踩着滑石圈跳去。)
跳びながら、女の子は、一生懸命お婆さんの話を思い出しました。あの時、お婆さんは針仕事の手をちょっと休めて、こんなことを言いましたっけ。(女孩边跳,边拼命回忆着奶奶的话。那时,奶奶在做针线活的时候稍微停了停手,说过这样的话吧。)
「それでも、昔、たった一人だけ、白兎に攫われて、生きて帰れた子供がいたっけねえ。その子は、一生懸命お呪いを唱えたのさ。蓬、蓬、春の蓬って。蓬は、魔除けの草だからね。」(“不过,曾经只有一个孩子被白兔拐走后,还活着回来的。那个孩子拼命地念着咒语‘蓬,蓬,春天的蓬。’因为蓬是除魔草。”)
それなら、私もやってみようと、女の子は思いました。女の子は、跳びながら、春の蓬の野原を思い浮かべました。暖かいお日様と、蒲公英の花と、蜜蜂と、蝶々のことを考えました。それから、大きく息を付いて、「蓬、蓬—。」と言いかけた時、もう兎達は、声を揃えて自分達の歌を歌い出したのです。(既然如此,我也试试吧,女孩如此想道。女孩边跳,边浮想着春天开满蓬的原野。想到了温暖的太阳、蒲公英、蜜蜂、蝴蝶等。随后,深吸一口气,准备说‘蓬,蓬’的时候,兔子们异口同声地唱起了自己的歌。)
僕達皆雪兎(我们都是雪兔)
雪を降らせる雪兎(让雪飘落的雪兔)
兎の白は、雪の白(兔子的白色是雪的白色)
片足、両足、とんとんとん(单脚,双脚,咚咚咚)
女の子は、急いで耳を塞ぎました。が、兎の歌声はどんどん大きくなり、塞いだ指の隙間から旋風(つむじかぜ)のように入り込んできて、女の子は、どうしても、蓬のお呪いを唱えることが出来ないのでした。(女孩赶紧捂住耳朵。然而,兔子的歌声越来越响,如同旋风般穿过捂住耳朵的指缝钻进耳内,女孩怎么也念不了蓬的咒语。)
こうして、白兎の群れと女の子は、モミの森を拔け、凍った湖を渡り、これまで一度も来たことのない、遠い所までやって来ました。小さな草屋根がひっそりと並んだ、谷間の村もありました。山茶花(さざんか)の咲いた、小さな町もありました。工場の沢山ある、大きな町もありました。けれども、人々は誰も、兎の群れと女の子に気付きません。(就这样,白兔群和女孩穿过杉树森林,渡过冰冻着的湖,来到了从未来过的遥远的地方。有小草屋顶静静排列着的山谷村庄。还有盛开着山茶花的小小的城镇。也有有着很多工厂的大城镇。然而,谁都没有注意到兔群和女孩。)
「ああ、初雪だ。」と呟いて、小走りに通り過ぎてゆくだけでした。(人们只是嘟哝着“啊,是初雪。”便快步走过了。)
女の子は、跳びながら、一生懸命お呪いを唱えようとするのですが、その声は、どうしても、兎の歌に釣り込まれてしまうのでした。(女孩边跳,边拼命地想念咒语,然而她总是被兔子的歌声所吸引。)
兎の白は、雪の白(兔子的白色是雪的白色)
片足、両足、とんとんとん(单脚,双脚,咚咚咚)
女の子の手足は悴んで、もう氷のようになりました。頬は青ざめ、唇は震えていました。(女孩的手脚冻得跟冰块似的。脸颊苍白,唇瓣发颤。)
「婆ちゃん、助けて—。」女の子は、心の中で叫びました。(女孩在心中叫道:“奶奶,救救我。”)
この時です。たった今片足を入れた輪の中に、女の子は、一枚の葉を見つけたのです。思わず拾い上げると、それは、蓬の葉でした。鮮やかな緑の、そして、裏側には白い毛のふっくりと付いた、優しい蓬の葉でした。(这时。在女孩正单脚踏入的圈中,发现了一枚叶子。不禁拾起来,发现这是蓬叶。优美的蓬叶鲜绿,且背面沾着软乎乎的白毛。)
「うわあ、誰が。誰が、落としてくれたの。」女の子は、蓬の葉を、そっと胸に当ててみました。(“哇啊,是谁。是谁给我扔下的?”女孩将蓬叶轻轻抵在胸前。)
すると、女の子は、誰かに励まされているような気がしてきました。沢山の小さな者達が、声を揃えて、頑張れ頑張れと言っているように思えてきました。(于是,女孩似乎听到被谁鼓舞了。感觉就好像许多小小的人们异口同声说着加油加油。)
そうです。それは、雪の下にいる、沢山の草の種の声でした。今、土の中でじっと寒さに耐えている草の種の息吹が、一枚の葉を通して、女の子の胸に伝わってきたのでした。(没错。是在雪之下的众多的草籽的声音。现在,在土中静静忍耐着寒冷的草籽的气息,通过一枚叶子,传递到了女孩的心中。)
「頑張れ、頑張れ。」(“加油,加油。”)
この時、女の子の頭に、ふっと素敵な謎々が浮かびました。女の子は目を瞑って、大きく息を付くと、「蓬の葉っぱの裏側は、どうしてこんなに白いのかしら。」と叫びました。(这时,女孩的脑海里一下子浮现出了一个很棒的谜题。女孩闭着眼,深吸一口气,然后叫道:“蓬叶的背面为什么是如此之白?”)
これを聞いて、前の兎の足取りが乱れました。前の兎は、歌うのをやめて振り向きました。(闻言,前面的兔子步伐乱了。它停下了歌唱,回过头来。)
「蓬の葉っぱの裏側だって。」(“你说蓬叶的背面。”)
すると、今度は後ろの兎が、ちょっとよろけて、「どうしてだろうなあ。」と言いました。兎達の歌声は途切れて、足取りも遅くなりました。そこで、女の子は、一息に言いました。「そんなことは簡単よ。あれは、皆、兎の毛。野原で兎が転がって、蓬の葉っぱの裏側に、白い毛がどっさり落ちたのよ。」(于是,这次是后面的兔子稍微打了个踉跄,道:“为什么呢?”兔子们的歌声中断了,步伐也慢了下来。于是,女孩一口气说道:“很简单啊。那都是兔子的毛。兔子在原野打滚,在蓬叶的背面掉落了很多白毛。”)
これを聞いて、兎達はすっかり喜んで、「そうだ、そうだ、それに違いない。」と言いました。そして、こんな歌を歌い始めたのです。(闻言,兔子们都很高兴道:“没错,没错,肯定是这样。”于是,开始唱起了这样的歌。)
兎の白は、春の色(兔子的白色是春天的颜色)
蓬の葉っぱの裏の色(是蓬叶背面的颜色)
片足、両足、とんとんとん(单脚,双脚,咚咚咚)
すると、どうでしょう。この歌に合わせて跳びながら、女の子は、花の匂いを嗅いだような気がしました。小鳥の声を聞いたような気がしました。暖かい春の日をいっぱいに浴びて、蓬の野原で石蹴りをしているような気持ちになりました。女の子の体は、段々温かくなり、頬は、ほんのり薔薇色になりました。女の子は、目を瞑って大きく息を吸うと、夢中で叫びました。「蓬、蓬、春の蓬。」と。(于是,怎么样了?女孩随着歌跳着,好似嗅到了花的气味,好似听到了小鸟的鸣叫。有种充分沐浴着春日暖阳,在蓬的原野上跳房子的感觉。女孩的身体渐渐暖和起来,脸颊也微微染上了蔷薇色。女孩闭着眼,深深吸气,然后忘我地叫道:“蓬,蓬,春天的蓬。”)
気が付いた時、女の子は、たった一人で、知らない町の知らない道を跳んでいました。前にも後ろにも、兎なんか一匹もいません。ほろほろと雪の舞う一本道に、もう石蹴りの輪はなく、そして、女の子の手の中の蓬の葉も、消えていました。(回过神来时,只有女孩一人,在不认识的城镇的不认识的街道上跳着。身前身后一只兔子也没有。雪花飞扬的一条道上,已经没有跳房子的圈了,并且女孩手中的蓬叶也消失了。)
「ああ、助かった。」と、女の子は思いました。けれどもこの時、女の子の足はもう棒のようで、動きませんでした。(“啊,得救了。”女孩想道。然而这时女孩的脚已经累得走不动了。)
どこからかやって来た見知らぬ女の子を、町の人々が取り囲みました。そして、名前や住所を訊ねました。女の子が自分の村の名前を言うと、人々は顔を見合わせて、口々に、とても信じられないと言いました。いくつも山を越えたそんな遠い所から、子供が歩いてこられるわけがなかったのです。(镇上的人们围绕着这个不知从哪来的素未谋面的女孩。然后向她询问了名字和住所。女孩说出自己的村名后,人们面面相觑,异口同声地说难以置信。因为孩子不可能是从如此遥远的地方翻越很多山走来的。)
この時、一人の年寄りが言いました。「この子は、きっと、白兎に攫われそうになったのだ。」と。(这时,一个老人说道:“这孩子,一定是差点被白兔拐走了。”)
女の子は、町の食堂で温かいものを食べさせてもらい、日の暮れないうちに、バスで送り返してもらうことになりました。(女孩在城镇的食堂吃了暖和的食物,然后在天黑之前,被公交送回家。)

词汇
傾げる(かしげる):歪、倾斜
ほろほろ:花瓣、泪珠等轻轻落下的样子;笛声;山鸠等鸣叫声
粉雪(こなゆき):细雪、小雪
降り頻る(ふりしきる):(雨、雪)不停地下
攫う(さらう):夺取、拐走、抢走、攫取;赢得
つかえる:(空间)堵塞;(说话)结结巴巴;闷气、郁闷、不舒畅
小走り(こばしり):小步疾行、碎步急行
釣り込む(つりこむ):引诱、吸引
青ざめる(あおざめる):发青、(脸色)苍白
ふっくり:软和、暄腾;丰满
励ます(はげます):激励、鼓励、鼓舞、提高(嗓音)

作业
1.读课文
2.思考课文相关问题:

3.阅读诗歌:
