【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 93 [千五百七十二年 九月下旬]
书名 战国小町苦劳谭
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作者: 夹竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
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千五百七十二年 九月下旬(*原文网页序列号 - 102)
織田家と交わした約定もあって、鶴姫は赤子の首がすわる四か月目頃まで入院生活を余儀なくされていた。
由于与织田家达成协议,鹤姬不得不住院直到孩子满月四个月左右。
みつおも偶には一人の生活も気楽で良いと考えたのだが、すぐに思い違いを悟ることになった。
Mitsuo曾经认为,偶尔一个人的生活也很轻松自在,但很快他就意识到了想法的错误。
自分は今までどうやって一人で暮らしていたのだろう、と。家族を得て一緒に生活するのが当たり前になり、かつての孤独な暮らしを全く思い出すことが出来なかった。
自己在过去是如何独自生活的呢?有了家人一起生活已经成为了习以为常的事情,而曾经孤独的生活已经完全无法回忆起来了。
「貴様、独身ひとりみに対する嫌みか」
"你这个家伙,是针对单身独自一人的恶意吗?"
「おっさん、惚気なら織田の殿様相手にしてくれ」
"老头子,你要吹捧的话去找織田大人吧"
「たじん鍋とは器の形もさることながら、水も加えぬ面妖な料理と思いましたが、実に美味いです。野菜がこれほど甘くなろうとは」
“不仅器皿的形状独特,连加了水也无法表现的,我一度认为是很神秘的料理,但实际上非常美味。蔬菜也可以变得如此甜美。”
足満、五郎、そして最近知り合った四郎に相談した。しかし、三人からの返答はみつおが満足するものでは到底なかった。
足满、五郎和他最近认识的四郎都被咨询了。但是,这三个人给出的答案都无法满足 Mitsuo 的要求。
「ひどい言われようです。四郎さんに至っては話すら聞いていないじゃないですか」
“被说得很糟糕啊。四郎先生甚至还没听取对方的话呢。”
「話は聞いておりましたが、某から差し上げられる助言はござらん」
"我已经听取了讲话,但是无法提供来自某处的建议"。
「そうだな。というかおっさんは惚気るのが趣味なのか。聞いているこっちが恥ずかしいわ」
"这样啊。或者说,大叔的爱好是把自己捧上天吗。听起来都觉得害羞了。"
「自覚症状がないからな。こちとら女っ気など無い生活だと言うのに、容赦なく惚気てくる」
“因为没有自觉症状。虽然我们说过我们没有女人缘,但它毫不留情地无休止地爱慕着。”
けんもほろろである。それでいてみつおが用意した鍋は遠慮なく食べていく三人だった。
剑也喝得酩酊大醉。不过,三个人毫不客气地享用了光夫准备的锅。
「しかし、皆さん意外と仲良くなりましたね」
“不过,大家意外地变得相处得很好。”
「貴様が友誼を結んだのだ。悪い人間ではなかろう。まぁ最初の五郎ほど阿呆な事はしておらんかったがな」
「你与他结交了。他应该不是坏人。虽然起初可能不如五郎那么愚蠢。」
「ちょっと待って足満さん。俺の事、最初どう思っていたの?」
“等一下,脚满先生。你一开始是怎么看待我的?”
「そのままでも食える食材を、食えるか食えぬかギリギリの存在に変える似非えせ料理人」
“把本来就可以食用的食材变成勉强能不能吃的存在的伪装厨师。”
「酷い! 料理に失敗はつきものだよ!」
"太糟糕了!烹饪失败是常有的事情!"
「やかましい。酢煮魚を教えた時、ちょっとで良いといったのに、酢だけで煮たのは許さん」
“吵闹。教醋煮鱼时,我说只需要一点点,可你却只用醋煮,这不能容忍。”
「うっ、それは……その」
「呃,那是......那个」
「まーそれは私たちの教え方も悪かったので、はい」
"那是因为我们的教学方法不太好,是的"
出汁に対して酢を小さじ1〜2杯程度を加えて魚を煮るとぐっと風味がよくなる。
在烹制鱼时,向高汤中加入1-2茶匙醋,可使鱼的口感更佳。
酢締めの魚と同様に、生臭さは薄れ、タンパク質の凝固作用もあって煮崩れを防いでくれる一石二鳥の調理法だ。
像醋泡鱼一样,这种烹饪方法能够减缓生鱼腥味,并通过蛋白质的凝固作用防止煮烂,一举两得。
しかし五郎は料理名しか覚えておらず、冷えた酢に魚をぶち込んで煮るという暴挙に出た。
但是五郎只记得料理名,于是采取了把鱼扔进凉醋中煮的暴举。
生臭さい上に咽むせるほどに酸味も強く、口に運んでも飲み込むことは至難という劇物が出来上がった。嫌がる五郎に無理やり食わせたのだが。
制造出的东西堪称毒物,其臭味浓烈且酸味十足,喉咙都被呛到了,口中也难以咽下。强行让五郎吃了一口,他非常抗拒。
「ええい、酒だ! 酒を持ってこーい! 飲んでないとやっておれん」
"喔,酒!拿酒来!不喝酒就做不了事"
「ええぇっ……まぁ良いですけど」
"嗯......那好吧"
足満の投げやりな言葉に、みつおは困惑の表情を浮かべる。
足满的扔话让光男露出困惑的表情。
「お、おっさん。何か作るから、厨くりやを借りるぜ」
"嗨,大叔。我要做点什么,要借你的厨房用一下。"
ため息を吐きつつみつおが立ち上がると、五郎が酒のツマミでも思いついたのか、厨房を貸してほしいと頼む。断る理由がないみつおはにこやかな笑みを浮かべて頷く。
当发出叹息的同时,光夫站起身来时,五郎想到了喝酒的小吃,请求使用厨房。三津尾没有拒绝的理由,微笑着点了点头。
二人が出て行くと、足満と四郎だけとなった。付き合いが短い四郎は話のネタを考えあぐね、足満はそこまでお喋りではないので、場を静寂が支配する。
当两人走出去时,只剩下足满和四郎在场。相处时间不长的四郎很难想出话题,而足满不是一个爱说话的人,因此场面非常安静。
「……足満殿は変わっておられますね」
"……足满殿变了呢"
沈黙を破ったのは四郎だった。彼は黙々と食事をする足満に対し、疑問に思っていた事を口にする。
打破沉默的是四郎。他对一边默默吃饭的足满说出了他心中的疑惑。
「そう見えるか」
"你觉得是这样吗?"
「食事時ですら、貴方は篭手を外されませぬ」
就算在用餐的时候,你也不放下你的防备。
「流石は乱波らっぱといった所か。普通なら気付かない所に気付く」
「确实是乱波喇叭之类的地方。能够注意到通常察觉不到的事情。」
瞬間、四郎の表情が固まる。だが足満はさして気にせず、食事をしつつ言葉を続ける。
转眼间,四郎的表情变得僵硬。但足满并没有在意,继续边吃饭边说话。
「不思議ではなかろう。武田から逃げてきた乱波の話は、わしの耳に届いておる。なぜ逃げたかは知らぬが、興味も無い」
“这并不奇怪。我听说了来自逃离武田的乱波的故事。我不知道他们为什么逃跑,我也不感兴趣。”
「そう、ですか。最初から正体をご存知だったのですね。しかし、なぜ貴方は私を見逃されるのですか」
“这样啊。你一开始就知道我的身份了啊。但是,你为什么放过了我呢?”
「わしには斬る理由がない。貴様が織田を調べていようが、わしには関係ない。武田の許が嫌で逃げたとしてもな。わしに斬られたくば友に手を出すが良い。素振りを見せた瞬間にはそっ首を刎ねてくれよう」
「我没有杀你的理由。无论你调查织田与否,这与我无关。即使你逃脱到武田那边,也没关系。如果你想被我杀掉,可以去招惹我的朋友。在我看到他们的动作的瞬间,我会将你的脑袋斩下。」
「それは出来かねる話ですね。みつお殿には良くして頂いております。恩を仇で返すような恥知らずになるつもりはござらん」
“这是做不到的事情。我们受到了光夫殿下的照顾,不会恩将仇报,成为毫无廉耻的人。”
「やはり、甲斐では税が重いのか」
果然,甲斐的税收很重吗?
足満は甲斐について、現代で得た情報がある。隆盛を誇る強国として名を馳せた甲斐も、毎年のようにいくさをした関係で、戦費を賄うために重い税が課せられていたのだ。
关于甲斐地区,足满了解到了一些现代获得的信息。甲斐曾是一个庞大的强国,因为经常战争,为了支付战争费用,征收了沉重的税收。
特に有名なのが信玄の父である信虎と信玄の庶子である勝頼だ。信虎の浪費はともかく、勝頼は金山が枯渇したため、税を他に振り分けるしかなく、結果的に重税となった訳だが。
特别是信玄的父亲信虎和信玄的私生子胜须尤其出名。尽管信虎挥霍无度,但由于胜须所在的金山枯竭,只能将税收重新分配到其他地方,结果成为了沉重的税收负担。
また武田家では税の徴収を家臣が行い、家臣にはその裁量が与えられていたため信玄であろうとも口を出せない状態だった。
在武田家庭中,家臣负责征收税款,由于家臣被赋予相应的裁量权,甚至信玄也无法插嘴。
そのため領地ごとに税はまちまちであり、場所によっては困窮する程の重税となっていた。
因此,每个领地的税收都不同,有些地方所征税收甚至达到了困扰人民的程度。
四郎がかつてどこにいたか興味を持たない足満だが、出奔する程の様子から近年武田に支配された土地に住んでいたのだろうと当たりをつけていた。
足满虽然不感兴趣四郎曾经在哪里,但从他出奔的情况看,可以猜测他住在近年被武田统治的土地上。
これは武田だけに限った話ではなく、家康や信長も行っている。得てして国主のお膝元では検地も甘く、税率も低く抑えられていた。
这不仅限于武田一家,家康和信长也这样做。通常在领地的核心地带,土地调查也不严格,税率也被压得很低。
しかし新しく支配した土地には厳しい検地が行われ、費やした戦費を補てんするべく重い税が課せられるのが世の常であった。
然而,在新征服的土地上进行了严格的土地测量,并且征收了沉重的税收,以弥补用于战争的开支。这是常态。
支配体制を刷新する以上コストもかかるため、仕方のない面もあるのだが新参者には得てして重税が課せられ、労役や兵役などのその他の奉仕まで求められる過酷な徴税ちょうぜいを受けることが多い。
刷新支配体制需要花费成本,因此有时候新来者不得不承担重税、劳役、兵役等严苛的征税负担。
徳川から武田へと寝返ろうとした家臣の領地では、税が今以上に重くなることを理解した領民が反対したという話もある。
有一些故事说,在从德川转向武田的家臣的领地上,领民们理解到税收会比现在更重,于是反对了这个想法。
「税を差し出せば飢えて死ぬしかなく、ならばいっそ一縷の望みに賭けてと言えばお分かりいただけましょうか?」
如果只有交税的话,那就只能饿死,所以为了抱有一线希望,愿意冒险一试,你能理解吗?
「どの世界でも新参者は厳しい扱いを受ける。が、それを差し引いても税が重すぎる、やはり金の生産量が落ちているからか」
“在任何世界里,新来者都会受到严厉的对待。但是,即使考虑到这一点,税收太重了,可能是金的生产量下降所致。”
信玄といえば金山開発が有名だが、晩年には産出する金が枯渇したと言われている。
信玄因开发金山而闻名,但晚年据说开采的金矿耗竭了。
しかし、これは正確ではない。信玄の金山である黒川金山や湯之奥金山は、江戸時代に入っても金を産出し続けている。
然而,这并不是准确的。信玄的金山,如黑川金山和湯之奥金山,在进入江户时代后仍然继续产出金子。
それゆえ金山から金が枯渇した訳ではなく、実際は武田家の財政難や技術的な問題によって採掘がとん挫したのだ。
因此,金山并非因金子枯竭而无法採集,实际上是由于武田家的财政困难和技术问题导致採矿工作停滞不前。
金山で金を掘るには非常に人件費がかかる。そして金山から掘った金鉱石はそのままでは価値が無い。精錬し、金としての形を整える必要がある。これでようやく金として使えるのだ。
在金山挖金需要非常昂贵的人力成本。然后从金山挖出来的金矿石是没有任何价值的。需要进行精炼和加工,将其转化为实用的金。只有这样,金才能作为货币使用。
甲斐の金山は鉱脈が露頭ろとうしている事が多かったため、地表を掘り返すだけで金の産出が出来た。
甲斐的金山因矿脉常露头,只需挖掘地表即可出产金子。
しかし地中深く掘り進めると都合が変わってくる。鉱山には落盤・崩落・陥没が付き物である。このため坑道を補強しながら掘り進める必要がでてきた。
然而,当深入地下挖掘时,情况就会发生变化。矿山经常出现坍塌、崩落和塌陷等事故。因此,需要在挖掘过程中加强井道的支撑和加固。
坑道が伸びる程に採算は悪化し、更に武田家は採掘する以上のペースで金を必要としたため、徐々に金堀衆へ払う賃金が不足した。
随着坑道的延伸,金矿的盈利逐渐减少,加上武田家需要更多的金来维持经费,导致向金堀工人支付的工资逐渐不足。
それに伴い金堀衆が命令に従わなくなり、金の産出が落ちる悪循環へと陥っていた。つまり金山が枯渇したのではなく、財政難と技術不足が金枯渇の原因だ。
随之而来, 金堀衆不再遵循命令,黄金产量降低,形成了恶性循环。也就是说,黄金矿山不是枯竭了,而是财政困难和技术不足导致黄金枯竭的原因。
江戸時代になって甲斐の金山が復活したのは、坑道の掘り方や金銀吹替えなど、鉱山における採鉱と精錬の技術が飛躍的に進歩したためだ。
江户时代甲斐金山复兴是因为采矿和冶炼技术飞跃进步,如开采方式和金银吹换技术。
もっとも進歩したものは「水平坑道(横相よこあいとも呼ぶ)」と言う手法だ。
最先进的技术是称为“水平坑道(也称为横向开采)”。
従来の採掘法は斜め下に向かって掘り進む。このため地下水が湧きだすと排水できずに、優良鉱脈であろうと諦めざるを得なかった。
传统的采矿方法是朝向斜下方挖掘。因此,当地下水涌出时无法排水,不得不放弃可能是高品质矿脉的地方。
しかし水平坑道は事前に試掘して、鉱脈のある部分を探って水平に掘り進める。これにより、坑道を掘削した際に地下水が出ても排水が容易となった。
然而,水平隧道会事先进行试掘,以水平方式挖掘矿脉区域。这样一来,在挖掘隧道时,即使地下水涌出,也容易排水。
反面鉱脈の走っている方向を試掘で調査出来なければこの採掘法は取りえない。高度な測量技術があっての採掘法だと言える。
如果无法通过勘探确定逆向矿脉的走向,那么这种采矿方法就行不通。只有先进的测量技术才能支撑这种采矿方法。
「みな、税を払えず次々と餓死していきました。ここに至ってはやむなし、と某は母と妻子を連れて逃げました。織田領へ逃げたのも、飛ぶ鳥落とす勢いのここならば、そう簡単に事を構えないと思ったからです」
大家都无法支付税款,接连不断地饿死。在这种情况下,某人带着母亲和妻儿逃离了。之所以逃到織田领地,是因为他们认为在这里风声鹤唳,事情不会那么容易被发现。
「少し甘かったな。連中、織田領でも遠慮などなかったぞ。おかげで実験体が増えたから、結果的に貴様達乱波の行動はわしの利となった」
"有点太天真了。那些人在织田领也毫不犹豫地行动。多亏了他们,实验体增加了,结果是你乱波们的行动成了我的利益。"
実験体、という言葉に四郎は言いしれぬ恐れを抱く。その事を見抜いた足満だが、彼は小さく笑みを浮かべるだけで、それ以上は何も語らなかった。
四郎听到实验体这个词时感到无法释怀的恐惧。足满看出了这一点,只是微笑了一下,没有再多说什么。
「お待たせしました。って何ですか、この微妙な空気。足満さん、また何か怖いことを言って脅かしたんじゃないでしょうね」
“让你久等了。什么啊,这种微妙的气氛。足满先生,你又说了什么吓人的话吧?”
少し緊張を孕んだ沈黙が落ちていたが、悪意のないみつおの言葉で一気に霧散した。四郎はホッと胸をなで下ろし、足満は先ほどの笑みを引っ込めた。
有点紧张的沉默已经退去,但是三津尾无恶意的话语让气氛立刻消散。四郎松了一口气,而足满则收敛了先前的笑容。
「失礼な奴だな。わしも場をわきまえるという事ぐらいは心得ておる」
“真是失礼的家伙。我懂得尊重场合。”
「そうそう。見舞いに付き添った俺たちをほったらかして、妻と二人だけの世界を作るおっさんじゃないんだしさ」
“对啊。你可不是那种会丢下陪同探望的我们,自己跟妻子享受二人世界的大叔啊。”
みつおに続いて五郎も戻ってくる。五郎は大皿にいくつかのツマミを乗せていた。大皿をテーブルの中心に置くと、彼は腰を下ろす。
五郎跟在三夫之后也回来了。五郎在大盘子里放了一些小吃。他把大盘子放在桌子中央,然后坐下来。
「それはすみません、と謝ったじゃないですか」
“那道歉了吧,不是吗?”
「一度目ゆえ許したが、二度目はない。貴様の見舞いには金輪際付き合わぬ」
“因为第一次原谅你,但第二次不会。我绝不会与你共度寒暑。”
「ほぅ……みつお殿はそれほど愛妻家なのでしょうか」
“哦……御庭目殿爱妻子到这种程度吗。”
テーブルの脇に置かれた酒を盃に注ぎつつ、四郎は疑問を口にする。
四郎一边将桌子旁边的酒倒入杯中,一边提出了疑问。
「よくぞ聞いてくれた四郎さん。おっさんはな、付き添った俺らを放置して奥さんを抱擁するわ、愛を語り合うわ、しまいには俺たちの存在を忘れるわ、散々なんだぞ。しかも誘ったのはおっさんだ」
"谢谢你听我说话,四郎先生。那个男人把我们一直陪着他却不管不顾,去拥抱他的妻子、说情话、最后甚至忽略了我们的存在,真是气得我们要命。更何况邀请我们一起来的是他本人。"
「だって夫婦仲を長く保つ秘訣は、円滑な通じ合いと肌の触れあいですから。いくつになっても肌の触れ合いは、気持ちを落ち着ける効果があるのです」
“因为保持夫妻关系长久的秘诀是顺畅的沟通和肌肤的接触。无论年龄多大,皮肤的接触都有镇静情绪的效果。”
「これだからな。わしは二度目から付き合わなくなった。五郎は付き合ったらしいが、結果はわしの予想通りだった」
“这就是为什么我不会再陪他们了。五郎好像和他们有交往,但结果和我预料的一样。”
「おっさんを後ろから蹴り飛ばしたくなったけど、奥さんの目が怖かったんで、そそくさと退散した」
"我想从后面踢那个中年男人一脚,但是因为怕被他的妻子看到,所以匆忙逃离了。"
「何を言いますか。鶴姫さんはそんな怖い人ではありませんよ」
“你在说什么啊。鹤姬小姐并不是那样可怕的人。”
(駄目だこいつ)
(这个家伙不行)
三人そろってため息を吐く。四郎は鶴姫と会った事はないが、みつおの態度から鶴姫がみつおに相当惚れ込んでいる事が窺える。
三个人一起叹了口气。虽然四郎没有遇见过鹤姬,但从光男的态度可以看出,鹤姬非常爱慕他。
呆れてものも言えぬと言わんばかりに、各自盃に酒を注いで五郎特製のツマミをつまんでいた。
每个人都不禁呆住,不敢出声,只是注满酒,吃五郎特制的小吃。
「そもそも妻帯者なら四郎さんもではありませんか」
「如果是已婚者,四郎先生也是吗?」(Simplified Chinese)
「某、みつお殿のように赤裸々な事情は晒しましぇぬ」
“我不会像某位三男殿那样披露私人事务。” in Simplified Chinese.
「四郎さん、呂律が回っていないぞ」
“四郎先生,你正在说些无意义的话。”
五郎が指摘すると四郎は左右に体を揺らしたと思ったら、いきなり机に突っ伏した。痛そうな音がしたが四郎が痛みを訴える事はない。代わりに小気味よい寝息が聞こえてきた。
五郎指出后,四郎左右晃动了一下身体,接着突然俯伏在桌子上。有一声痛苦的声音,但四郎并没有抱怨疼痛。相反,可以听到他令人愉悦的轻微呼吸声。
「四郎さん下戸かよ! おっさん、四郎さんを横にするぞ」
"四郎不喝酒啊!老兄,让四郎侧着身子吧。"
「お酒には強いと思ったのですがね。ひとまず吐いても大丈夫なように、横向きに寝かせましょう……あ、これアルコール度が高い酒でした! 急性アルコール中毒かもしれません! 手当しなければ!」
“我本以为我很能喝,但是呢。总之,先让他侧躺着以防万一会呕吐......啊,这是高度酒精饮料!他可能已经急性酒精中毒了!得立即处理!”
「やれやれ、騒がしいな」
"哎呀哎呀,好吵啊"
慌てて四郎に駆け寄る五郎とみつおを眺めながら足満は盃を傾けた。
足满一边看着赶来找四郎的五郎和三藏,一边斟满了酒杯。
九月下旬、既に武田軍はいくさの準備を終えていた。そんな中、僅かな配下を連れて家康の居城・浜松城へ向かう一行がいた。
九月下旬,武田军已经做好了战斗准备。与此同时,有一行人带着少数的随从前往家康的居城——浜松城。
武田四天王の一人、馬場ばば 信春のぶはるだ。後の世において「智勇常に諸将に冠たり」と評され、国人になれる器量を持つと言われた人物だ。
武田四天王之一,马场婆信春。后世评价他为“智勇常冠诸将”,被认为有成为国人的才干。
最期についても、信長公記に比類なき働きをした武将と記されてもいる。これは三好氏本家最期の当主・三好みよし 義継よしつぐの最期と同じ評価である。
关于最后时刻,信长公记中也记载了他是一个无比杰出的武将。这与三好家族的继承人三好义继的评价是相同的。
七十回以上、いくさに出ながら最期の長篠の戦いまで、一度もかすり傷すら負わなかった事から、現代では「不死身の鬼美濃」と評されている。
因为在参加七十多次战争中,一直到最后的长篠之战都没有受过一点伤,因此被称为“不死身的鬼美浓”。
他の武田家四天王より出世は遅かったものの、後世において高い評価を得ている武将だ。
虽然比起其他武田家四天王晋升较晚,但他作为武将在后世得到了高度评价。
そんな彼は武田家へ反骨心を募らせている浜松城へ到着する。信玄は報を聞いたとき「流石は馬場美濃守」と零しただけだった。
这样的他抵达了浜松城,怀着反叛之心对武田家产生了排斥。听到报告时,信玄只是嘴里说了句“不愧是马场美浓守”。
一方、家康は馬場の訪問に動転し、おどおどしていた。
一方,家康因为馬場的访问而感到惊慌失措,显得很紧张。
信長からの指示もあり、すぐに応対出来ぬと言うと、馬場は三方原台地の北端の根洗松ねあらいまつにいると言い残して去って行った。
有了信长的指示,当听到无法立即应对时,马场留下了他在三方原台地北端的根洗松旁,并离开了。
三方ヶ原の戦いにおいて、武田軍が徳川軍を待ち構えていたと伝わる場所が根洗松と言われているが、そこを馬場が指定したのは歴史の皮肉と言えよう。
在三方原之战中,传说武田军在等待德川军的地方被称为根洗松,而马场选择了这个地方,可以说是历史的讽刺。
「殿、会う必要はございませぬ。既に武田といくさをして数年、今さら話し合う事などございませぬ」
“大人,无需见面。我们已经和武田交战了数年,现在不必再谈什么。”
家臣の一人が進言したが、家康は腹の中で唸っていた。家臣の言うとおり、武田と今さら話し合う内容はない。同盟破棄も武田が一方的にしたものだ。
其中一名家臣建议了,但家康却在心中咕哝不已。正如家臣所说,与武田进行谈判已经晚了,而且没有任何谈判的内容。同盟的破裂也是武田单方面做出的决定。
同盟破棄から小競り合いを続けて数年経つ。戦況は一進一退の状態で、武田が再び同盟を結ぶとはとうてい思えなかった。
同盟破弃后数年间一直持续着小规模的冲突。战局处于胶着状态,武田再度建立同盟看起来几乎不可能。
「いや、会おう。ここで逃げては笑いものとなる。臆病者と罵られるなど我慢出来ぬ」
“不要,我们见面吧。在这里逃跑只会成为笑柄。我不能忍受被当作懦夫而受到指责”
「殿……はっ!」
"殿……是的!"
考えた末、家康は馬場と会う事にした。ここで会談の申し出から逃げれば、三河は臆病者の集まりと武田が吹聴するのは目に見えていた。
经过考虑,家康决定与马场会面。如果在这里逃避会谈的请求,三河地区将成为胆小鬼的聚集地,并且武田会将其宣扬开来,这一点可以看得出来。
これらの嘲りは長く続く。今まで味方している地方の有力者が、武田に寝返る可能性もある。
这些嘲笑会持续很久。目前支持当地有势力者的人可能会倒向武田。
不気味で恐ろしい会談になるが、家康は断った後に齎されるデメリットが大きすぎると判断した。
这次会谈很不寻常和可怕,但家康认为在拒绝之后可能带来的不利影响太大了。
家康は酒井忠次を城に残し、万が一のことがあれば武田家は暗殺を謀るような臆病者、という喧伝けんでんを行えと指示した。
家康留下酒井忠次守城,同时指示传播武田家是臆病者,如果万一发生意外,武田家会策划暗杀的谣言。
死ぬ気は毛頭ないが、その後に三河が不当な扱いを受ける事だけは断じて認めない、家康の意思だった。
绝不会放弃,但是他坚决不允许三河受到不公正的对待,这是家康的意愿。
忠勝や康政、半蔵など側近を引き連れ、家康は根洗松に到着する。そこで一行は驚くべき光景を目にする。
忠胜、康政、半藏等亲信跟随着家康,抵达了根洗松。一行人在那里看到了惊人的景象。
馬場は確かにいた。しかし、兵は後方に下げ、自身は上半身裸、刀も離れたところに無造作に置かれていた。
马场确实在那里,但是士兵们已经撤回到后方,他自己则光着上身,刀也随意地扔在了一旁。
後方にいる兵も、最前列は武器を地面に置いていた。
后方的士兵们也将武器放置在地面上,位于最前方的士兵们也是如此。
誰が見ても丸腰であり、護衛のものすらおらず、兵も万が一の時に駆け付けられぬ距離にいた。それがより一層、馬場の不気味さを強くしていた。
谁都看得出他光着手,甚至没有护卫,士兵也在万一发生事故时无法到达的距离之外。这使得场馆的诡异感更加强烈。
武田に対する憎悪があると知っていながら、丸腰の状態で会談に挑むのだから。
知道對武田有憎恨之情,卻還是赤手空拳地挑戰會談。
「おや、存外腰が軽いではないか。もう幾ばくか、刻が必要と踏んでおったが。おお寒い、流石に老骨に裸はこたえるわ」
"哦,你的腰似乎比我想象中要虚弱。我原本认为你需要更长时间,但是看来你现在已经可以行动了。哦,天气真冷啊,我的老骨头已经感觉不太舒服了。"
家康の到着に気付いた馬場が、飄々とした態度で語る。彼は寒さに体を震わせると、脱いでいた上着を着る。
察觉到家康的到来后,马场带着轻松的态度说道。他因寒冷而颤抖着身体,穿上了之前脱下的外套。
「殿、奴は丸腰です」
"大人,我身上没有武器。"
半蔵が家康に耳打ちする。半蔵に言われなくとも、家康には分かっていた。これほどの胆力と余裕がどこにあるのか、家康には全く分からなかった。
半藏对家康说悄悄话。即使没有半藏的提示,家康也明白。家康完全无法理解这种勇气和从容淡定从何处来。
一つ分かった事は、馬場の余裕は家康を侮っての行動ではない、という点だ。
一个理解的事情是,场上的从容不是对家康行动的轻视,这一点是可以肯定的。
「最初に断っておこう。会談と申したが、実はもう一人、この場に呼んでおる。その人物が到着するまで、しばし待たれよ」
“先声明一下,虽说是说谈话,但实际上还请再等一位人士到场。”
馬場はそう言うと、背にしていた木にもたれかかる。丁寧な口調も逆に馬場の不気味さに拍車をかけていた。
马场这样说着,靠在他背后的树上。他的礼貌口吻反而加剧了马场的可怕气息。
少し迷った家康だが、腰に下げていた刀を放り投げると、馬場と同じく木を背にする形で座った。家臣たちは慌てたが、家康の表情を見た瞬間、彼の覚悟を理解したため押し黙った。
小混乱的家康放下腰间的刀并向后扔,跟场上的马场一样靠着树坐了下来。家臣们开始惊慌,但下一刻当他们看到家康的表情时,立刻明白他的决意,于是静默了下来。
「ほっほっほっ、いざとなれば肝がすわる。まっことお屋形様の人物眼は恐ろしいものがある」
"嘿嘿嘿,关键时刻胆子能够壮大。确实大人物的洞察力十分可怕啊。"
「何?」
"什么?"
「慌てるでない。間もなく待ち人も着こう」
"Don't panic. The person you are waiting for will arrive soon." translates to 现在不要慌张,等待的人马上就要到了.
馬場の言葉通り、馬の足音が家康の耳に届く。しかし、聞こえてくるのは馬の足音一つだけだ。それ以外の音が聞こえず、彼は最初、早馬でも来たのかと考えた。
马场的话说得没错,马蹄声传到了家康的耳中。但是听到的只是一声马蹄声。除此之外,他听不到别的声音,最开始他还以为是快马来了。
やがて足音の主が視界に入ると、家康は己の考えが間違っていたことに気づいた。
不久之后,当脚步声的主人进入视线时,家康意识到他的想法是错误的。
「あ、貴様は!」
"啊,你是!"
最初に反応したのは家康ではなく忠勝だった。何しろ馬に乗って現れたのは足満だからだ。他の人物は足満、正確には足満が乗っている馬に驚く。
最初反应的并不是家康,而是忠胜。因为毕竟骑着马出现的是足满。其他人都惊讶于足满,确切地说是骑在足满身上的马。
現代では絶えたと言われているデストリアは、大きな体格と重武装に耐える名馬として名高い。しかしそれは純血種が失われただけであり、中世や近世においては交雑も進んでいる。
现代被认为已经绝迹的迪斯特里亚,以其巨大的体格和重装备而闻名于世,是一匹耐力极强的名马。然而,这只是因为纯种已经失去,而在中世纪和近代时期还曾有过杂交。
馬種の扱いについても現代のようなDNAで決定するのではなく、用途によって大まかに馬種を定めていた。そのため全く異なる複数の種を一つの馬種として扱っていたこともあった。
不像现代使用DNA来决定马的品种一样,马的使用目的通常用来粗略地确定马的品种。因此,有时会将完全不同的多种品种视为一种马品种来处理。
つまり今日まで引き継がれた馬種にもデストリアの血統が残っている可能性は高い。
换言之,直到今天,可能有很高的机会在传承下来的马匹中仍然存在着Destria的血缘。
しかし当時ですら戦事いくさごと以外には適さない馬という評であり、馬が戦の花形でなくなった現代に残っていたとしても微妙なところではある。
然而,即使在那个时代,它也被评为只适合用于战争的马,而且在马不再成为战争的象征的现代,即使它仍然存在,也有微妙的地方。
「散々断られていましたが、ようやくお話を聞いていただけるようですね、足満殿。いえ……公方様」
“之前被拒绝了很多次,但现在似乎您愿意听我说话了,足满大人。不,是公方大人。”
公方、という単語に家康たちの顔が硬直する。だが足満は周囲の視線など全く意に介さず、馬を下りて適当な所に腰を下ろす。
"公方"这个词让家康等人面露僵硬。但是足满毫不在乎周围的视线,下了马到一个合适的地方坐下来。
「話は聞いてやる」
"我听你说" (wǒ tīng nǐ shuō)
それだけ言うと足満は黙った。尊大な態度だったが、馬場は気にせず苦笑するだけだった。
只是这样说,阿满便沉默了。那是一种傲慢的态度,但是马场并不介意,只是苦笑了一下。
未だ状況が飲みこめない家康だが質問して返答があるとは思えず、馬場の出方を窺うことにした。
家康还无法理解整个情况,但他认为即便问了问题也不太可能得到答案,于是决定观望马场的动向。
「三河といくさを始めて数年、武田と徳川の間では怨嗟が渦巻いておろう。だが、わしはそれを知ってなお、ある提案をする」
「开始三河战争数年,武田和德川之间充满了仇恨。然而,即使知道这一点,我也有一个提议。」
「提案だと……?」
"「这是个提案吗……?」" translates to "这是提议吗……?" in Simplified Chinese.
「我らを相手にして、ここまで長く戦えている貴殿を、お屋形様もわしらも高く評価しておる。それゆえ貴殿をいくさで死なせるのは惜しい」
“我们都高度评价能够和我们相抗衡这么长时间的你。因此,让你在战斗中死去是非常可惜的。”
「ここに来て我らを調略だと?」
“你现在来这里是想挑战我们吗?”
「その通り。わしは徳川殿を武田家に与くみするよう誘いに参った」
“没错。我是前来邀请德川殿加入武田家的人。”
「そのような提案、受け入れられるはずがなかろう!!」
“这样的提议不可能被接受!!”
怒声を上げて家康は馬場の提案を拒絶する。だが馬場は家康の怒りを見ても態度を変えなかった。
怒声中,家康拒绝了馬場的提案。然而,馬場并没有因为家康的怒火而改变态度。
「分かっておる。もし徳川殿が武田家に与すれば、織田家が黙ってはいまい。それを貴殿は恐れているのであろう? だが、その織田家が存在しなくなれば、問題はなくなるであろう?」
“我理解了。如果德川殿加入武田家,织田家是不会安静的。您害怕这一点吗?但是,如果织田家不存在了,问题就解决了?”
その台詞で家康は気付く。武田の目的は徳川領ではなく織田領にある事を。そしてその言葉の意味する事を。
那句话让家康意识到,武田的目的不在于德川领地,而是在于织田领地。并且理解了那句话的含义。
理解した家康は驚愕の表情を浮かべる。対して馬場は楽しげな笑みを浮かべる。
理解了的家康露出惊愕的表情。而马场则露出愉悦的微笑。
ただ足満だけは表情が一つも変わる事はなかった。
只不过脸上的表情始终未曾改变。
「まさかっ!」
"不会吧!"
「その通り。こたび我らはいくさをする。だが我らの目的は徳川殿、そなたの首にあらず。織田家……織田弾正忠だんじょうのちゅうを討ち取る事なり」
"正是如此。我们现在要去打仗。但我们的目的不是德川阁下,也不是你的首级。我们的目标是夺取織田家……夺取織田弾正忠的脑袋。"
信長を討ち取る。それが誇張でも何でもなく、可能だと思わせるだけの力が武田家にはあった。
信长被击败,这不是夸张,武田家族有足够的力量来实现这一点。
それゆえ、本当に討ち取るのか、という考えが家康の脳裏に浮かぶ。だがすぐに頭から追い出し、家康は馬場を睨む。
因此,"真的可以杀了他们吗?"这个想法浮现在家康的脑海中。但他迅速清除了这个念头,盯着马场。
「我らが織田を討つには、まず背後に位置する徳川殿をどうにかする必要がある。しかし、貴殿をいくさで死なせたくないのがお屋形様のお考えよ」
"为了击败我们的織田,首先需要解决背后的德川殿。但是,殿下不希望让您在战斗中丧生。"
とらえ方を変えれば、武田家において徳川家は相手にならない、とも聞こえる。仮にいくさとなっても、何時でも家康を討てる自信があるからこそ、出てくる言葉だ。
如果换个角度来看,听起来德川家在武田家中不是对手。即使是战争,也因有可以随时攻击家康的信心而说出这话。
だが家康は馬場の言葉を否定出来なかった。今まで小競り合いを続けてきたいくさだが、勝利といえるものは数少ない。
但家康无法否定马场的话。虽然一直在小规模战斗中继续战斗,但胜利可谓凤毛麟角。
そして織田を討つのなら、武田家は総力戦を仕掛ける可能性が高い。今までのように、武田家が目的を果たしたから、で兵を引く可能性は限りなく低い。
如果要攻打織田家,武田家很可能会发起总力战。武田家不太可能像以前一样达到目的就退兵。
その状態で武田家に勝てる自信は、家康の中にはなかった。
在这种情况下,家康没有击败武田家的自信。
「公方様もいくさで殺せば、我らは逆賊の誹りを受ける。それゆえ、武田家へお誘いに参った」
“如果我们杀了公方先生,我们会被称为叛徒。所以,我们来邀请武田家的支持。”
「……」
「……」 -> "……"
「そして我らは比叡山を擁している。我らの大義は不動のものなり」
“我们拥有比叡山。我们的大义是坚定不移的。”
馬場の言葉を纏めると、武田家が織田家を討つには、まず織田領の背後に位置する徳川領の対処をしなければならない。
马场的话可以总结为,要打败織田家,武田家首先必须解决位于織田家领地背后的德川家。
しかし、武田家は家康を高く評価しているため、いくさで討ち取るのは惜しいと考えた。
然而,武田家高度评价家康,认为在战斗中杀死他是不值得的。
ならば家康を味方に引き入れる。憂いとなる織田家も、武田家が討ち取ると確約すれば、武田家の縁者になる迷いはなくなる。
如果能将家康拉拢为盟友,那么即使織田家感到担忧,但如果武田家能够保证击败他们,那么他们就不会再犹豫成为武田家的亲戚。
足満も同じだ。万が一、公方を殺せば理由問わず、武田家の名誉、そして信玄の覇道に傷がつく。それゆえ縁者になるか、それともいくさの間、どこかに身を隠してほしいとの事だ。
同样的,足满也一样。万一杀了公方,不论理由如何,都会损害武田家的荣誉和信玄的霸道地位。因此,他们建议成为亲戚或在战争期间躲藏到某个地方。
「わしの言わんとするところを汲んで頂けようか。このまま織田家に与すれば、天下の悪逆人に味方した国人という誹りを、末代まで受け続ける事になるぞ」
"能否理解我所要表达的意思呢?如果继续支持织田家,就将被视为与天下的恶人站在一起的国人,这个污名会传给子孙后代。"
「貴様ッ!」
“贵悼!”
「怒りは目を曇らせる。今一度、冷静に考えるが良い。織田家は今まで、貴殿に何かしてくれたかね。織田家は貴殿ら三河にとって、今後を任せるに足る相手かね」
“愤怒会蒙蔽双眼。现在应该冷静思考。織田家是否为你做过什么呢?織田家是否是三河地区能信赖的合适伙伴?”
焦りと怒りの表情の家康、それに対して冷静に諭すような馬場、この場において足満は空気のように存在感がなかった。否、単純に空気のように存在感を出さなかったとも言える。
在这个场合下,足满就像空气一样毫无存在感。家康表现出焦虑和愤怒的表情,而马场则冷静地对他进行劝告。
「話は終わったようだな」
"话似乎已经结束了"
それだけ語ると、足満は静かに立ち上がる。体についたホコリを払うと馬に跨がる。
只说了这些,足满静静地站起来。他赶走身上的灰尘,骑上了马。
「何処へ行くおつもりです?」
"您打算去哪里?"
「わしは最初に言った。話は聞いてやる・・・・・・・と。話が終わった以上、わしがここにいる理由はない」
“我最开始就说了。我会听你说……既然谈话结束了,我在这里的理由就不存在了。”
手綱を握ると、足満は小さく息を吐く。
握住缰绳,足满轻轻地呼出了一口气。
「一応、先ほどの返答だけはしてやる。貴様の言う公方は死んだ。搾り滓はまだ現世うつしよにとどまっているがな。だが些細な事だ。それから、わしは織田を信用してはおらぬ」
“总之,我先前已经回答了。你所说的官方已经死了。残余的只是废物,还留存在这个世上。但这只是小事一桩。此外,我不信任织田。”
馬場は足満を見返す。そこでようやくある事に気付く。足満の目は氷のように冷たく、そして狂気の色を孕んでいた。およそ人がする目ではない。化け物がする目だと馬場は瞬間的に思った。
马场回头看着足满。这时,他终于注意到了一件事。足满的眼神像冰一样冷酷,带着疯狂的颜色。这绝不是正常人的眼神,马场瞬间就认定这是妖怪的眼神。
「わしが現世で信を置く相手はただ一人。わしはその者が望めば万の敵であろうと戦い、死ねというならばその場で首を斬る。その者のために生き、その者のために死ぬ。そして、その者以外は全て利用価値があるか、ないか、それだけだ」
「我在现世中唯一相信的人只有一位。如果那个人愿意,无论面对多少敌人我都会战斗到底;如果那个人要求我死亡,我也会毫不犹豫地为他斩首。我为了那个人而活,也为了那个人而死。而除了那个人以外,其他人都只是有用或无用的东西,仅此而已。」
手綱から手を離すと足満は馬場を指さす。
松开缰绳,足满指向马场。
「そして貴様らに利用価値はない。利用価値が生まれる可能性もない。せいぜい大言壮語を吹聴して滑稽さゆえに笑えるのが関の山よ」
"你们没有任何利用价值。也没有可能产生利用价值。最多就是夸夸其谈,让人因其可笑而发笑而已。"
「何ですと」
"何ですと" in Simplified Chinese is "什么?"
今度は馬場の表情が変わる。馬場だけではない、馬場の背後にいる兵たちの顔色も変わる。足満の言葉は挑発、侮辱ととれるのだ。だが、射貫く視線を受けても足満の表情は変わらない。
这次马场的表情改变了。不仅是马场,马场背后的士兵的脸色也改变了。足满的话可以被视为挑衅和侮辱。但即使受到刺穿的目光,足満的表情也没有改变。
「ふん、世界を知らぬ愚か者が。後の世に恥を残したくなくば、国許に帰って震えておれ」
"Hmph, ignorant fools who don't know the world. If you don't want to bring shame to yourself in the future, go back to your country and tremble." translates to "哼,不懂世界的愚蠢者。如果你不想在未来给自己带来耻辱,就回到自己的国家颤抖吧。"
再度手綱を握ると、足満は馬の向きを変える。馬場や家康に背を向けた所で、彼は一言呟いた。
当再次握紧缰绳时,足满改变了马的方向。当他背对着马场和家康时,他轻声说了一句话。
「このいくさ、勝った・・・のは我らだ」
“这场战斗,胜利者是我们。”
足満は馬場の返答を聞かず、馬を走らせて去った。残ったのは矜持を酷く傷つけられた馬場たち武田家と、最後まで事情が理解出来なかった家康たち徳川家だ。
足满没有等待马场的回答,让马飞跑离开了。留下的是受到极大伤害的马场武田家族的自尊心和始终无法理解情况的家康德川家族。
微妙な空気が流れる中、家康も馬場の申し出を断る。馬場は特に気にした様子もなく、家康の返答を聞くとあっさり立ち去った。
在微妙的氛围中,家康拒绝了马场的提议。马场显得毫不在意,听到家康的回答后就毫不犹豫地离去了。
馬場がいなくなった以上、家康も根洗松にいる必要はなく、家臣を連れて居城へ戻る。
既然马场已经没有了,家康也不需要留在根洗松了,他带着家臣回到了自己的城堡。
家康が馬場の申し出を断ったのは、信長を信用した訳ではない。意地と誇りはあったが、何よりも足満が不気味だったのが大きい。
家康拒绝了马场的请求,并不是因为他相信信长。他有自己的固执和自豪,但最重要的是他觉得足满很可怕。
最後に足満が呟いた言葉を、家康は思い出す。『勝つ』ではなく『勝った』と彼は言った。どこに武田家に『勝った』という要素があるのか、それが家康には気がかりだった。
最后足满低声说出的话让家康想起了他:“不是‘获胜’,而是‘赢了’。”对于武田家被击败的原因,在哪里“赢了”的要素,这对家康来说是个疑问。
はったりの可能性は考えられた。しかし、足満の態度からはったりとはとうてい思えなかった。
考虑到足满的态度,不太可能是诈骗。
「半蔵、公方……いや、足満殿があそこまで断言出来た理由、調べてくれ」
“半藏,公方...不,跑足满殿能做出这样的断言,调查一下原因。”
「はっ!」
“是!”
命を受けた半蔵だが、容易でない事を感じる。だが三河の命運を決める大事な仕事であり、弱気になるわけにはいかない、と自分に活を入れた。
接受了命运的半藏,感到这并不容易。但这是决定三河命运的重要工作,不能失去勇气,因此他振奋了自己的精神。
一方足満は、己の役目を果たしたため、毎日趣味に没頭していた。静子に報告を済ませ、クスリの効果も上々のデータがとれた。武田を含む全員の行動が、目論み通り進んでいた。
一方足满,因完成了自己的任务,每天都沉浸在自己的兴趣爱好中。经与静子报告后,取得了药物效果很好的数据。包括武田在内的所有人的行动都按预定计划进行。
ここからの将棋は静子の手番やくめで、今後の自分の役割は間者の視線を集める事だから、遊んでいても問題なかった。
从这里开始的将棋是静子的手番,而我今后的角色就是吸引间谍的注意力,所以即使玩耍也没有问题。
収穫時期も相まって、色々な食材をみつおの家に持ち込んでは宴会をしていた。それぞれ仕事があるものの、否、仕事で普段会えないからこそ、宴会を良く開くようになった。
收获季节的时候,大家都会带着各种食材来到光的家里开宴会。虽然每个人都有自己的工作,但正因为平时无法相见,所以才会经常举办宴会。
「さけっがたりぬぞ、さけっがたりぬぞ」
"故事总归有趣味,故事总归有趣味" (Gùshì zǒngguī yǒu qùwèi, gùshì zǒngguī yǒu qùwèi)
「今宵は飲んで騒いで、踊って歌うぞー」
「今晚我们喝酒狂欢,跳舞唱歌吧!」
奇妙な歌を歌いながら、足満は五郎と肩を組んで謎のダンスを披露する。それを四郎とみつおが音頭をとってはやし立てる。全員、見事に酔っ払っていた。
在唱着奇妙的歌曲时,足满和五郎肩并肩地表演着神秘的舞蹈。四郎和光男站在一旁拍手呐喊。全部人都喝醉了。
もう少しでみつおの娘は首がすわるため、それに伴い鶴姫も家へ戻ってくる。それゆえ、今しか馬鹿騒ぎが出来ない事もあって、四人のどんちゃん騒ぎは賑やかなものだった。
再过一段时间,三藏的女儿就能够抬起头来了,与此同时,鹤姬也将回到家。因此,现在才有可能狂欢,四个人的喧闹非常有趣。
牧場がある関係で、隣人が四人の騒がしさに苦言を呈する事もない。
由于有农场,邻居也不会对四个人的喧闹发表不满的言论。
「えっほら、えっほら、どんどんどん。ざっくざく、宝が出るぞ。えっほら、えっほら、どんどんどん」
「嘿哟,嘿哟,咚咚咚。咔嚓咔嚓,宝藏出来了。嘿哟,嘿哟,咚咚咚。」
今度はみつおと四郎がざるを両手で持ち、地面を掘る動作をしつつ踊る。
这次是Mitsuo和Shiro手持筐篮,在挖掘地面时跳舞。
「良いぞ、おっさんー!」
"很好,老兄!"
なんともシュールな光景だが、酔っ払っている人間には関係ない。面白ければ他は全て無視される。
这是多么荒诞的景象,但对于喝醉了的人来说没有关系。如果很有趣,就会忽略其他一切。
その後もものまねをしたり、みつおが惚気だして三人がブーイングをしたり、奇妙なマイム・マイムもどきを踊って全員が嘔吐したりと、色々とカオスな宴会となった。
随后,大家开展了一系列混乱的宴会活动,有人模仿、有人吹捧自己、三个人发出不满的嘘声、还有人跳了一些奇怪的口型舞蹈,结果全场人都感到恶心。
「さて、そろそろ日も暮れる。みつおを病院に送り届けるか」
"那么,天气也渐渐暗了下来。是不是该把Mitsuo送到医院呢?"
外を見れば一刻もすれば日が沈む。宴会と言っても現代とは違い、昼間から行われるので、日が沈めば宴会は終了だ。
看着外面,再过一刻钟太阳就会下山。虽然称之为宴会,但与现代不同的是,它是在白天举行的,因此太阳一落下,宴会就结束了。
ここの所、みつおは家ではなく、入院している鶴姫の所で夜を過ごしている。早朝には家に戻って仕事をこなし、また夜になると鶴姫の許へ向かう。
最近,光男没有待在家里,而是在住院的鹤姬那里过夜。清晨他会回家工作,晚上再去鹤姬那里。
愛妻家ぶりに静子も苦笑いしたほどだが、止める理由はないのでみつお用のベッドを用意した。今のところ、使われている様子はないが。
静子也苦笑不止,因为他像个好丈夫一样,但没有理由去阻止,于是准备好了一张给Mitsuo用的床。目前看起来还没有被使用过。
「片付け終わったぞ。では行くか。わしと五郎はその後、地獄通りを冷やかしにいくが、四郎殿はどうするかね」
"整理好了。那我们走吧。我和五郎会去冷嘲热讽地瞧一瞧地狱通,然后四郎大人你呢?"
地獄通りとは、いわゆる遊郭が集まった通りを指す。遊郭通りには身の丈に合った店を選ばなかったために支払いがとんでもない事になり、全財産を持って行かれた話がいくつもある。
地狱通指的是集中了所谓的游廓的街道。因为在游廓街上没有选择适合自己身高体重的店铺,结果支付的代价变得异常昂贵,有许多人因此失去了所有的财产。
その辺りの噂に尾ひれがつき、いつしか遊郭通りは失敗すると地獄に叩き落とされる事から、戒めの意味も込めて地獄通りと呼ばれるようになった。
那些谣言越传越离谱,渐渐地,游廓那条街被视为失败的代名词,仿佛会把人们拖进地狱,为了警示作用,人们开始称之为“地狱街”。
「せっかくのお誘いですが、妻子ある身、地獄通りはご遠慮いたす」
"虽然很感谢您的邀请,但身为有妻儿之人,我必须谢绝去地狱通的邀请。"
「ま、そうだな。俺と足満さんで冷やかしてくるよ」
“嗯,没错。我和足满先生会去冷嘲热讽一下。”
そんな会話をしつつ、外出の準備を終えた四人はそれぞれの目的地を目指す。途中まで一緒だったが、街に入った所でみつおと四郎、足満と五郎の二組に分かれた。
这四个人一边聊天,一边做好外出准备,然后各自朝着目的地出发了。一开始他们一起走,但在进入市区后,他们分成了两组。一组是三宅和张山,另一组是王五和李四。
足満と五郎は二人と別れた後、そのまま地獄通りを冷やかしに行く。色々と声をかけられるが、二人はそのまま聞き流して歩く。
足满和五郎分别后,直接去冷静地审视地狱大街。虽然被不同的人呼喊,两人只是忽略声音继续走着。
十分冷やかした所で地獄通りを抜け、飲食店が並ぶ通りへ移動する。一杯ひっかけてから帰る腹づもりだ。
走过十分冷漠的地狱通,来到了一条有很多饮食店的街道。打算先喝上一杯再回去。
「それじゃ、またなー」
"那么,再见了"
「うむ、気をつけて帰れよ」
“嗯,注意安全回家。”
適当な屋台で一杯の酒と軽くつまんだ後、足満は五郎と別れた。千鳥足な五郎の背中を見送った後、足満は酒を飲んでいたとは思えない足取りで帰宅の途についた。
在一个适当的小摊上喝了一杯酒并吃了一点点,足满和五郎分别了。看着步履蹒跚的五郎背影消失后,足满的脚步并没有因饮酒而受到影响,他开始踏上回家的路。
足満から報告を受けた静子は、より一層信玄が策にはまっている事を確信した。信玄が織田領に間者を放って調べている事は静子も知っていた。
受到足满的报告后,静子更加坚信信玄已经中计。静子也知道信玄曾派间谍前往織田领调查。
織田領の情報を元に、信玄が上洛する時期を変更する可能性があった。だが足満の報告によって、時期が変更される可能性は消えた。
根据织田领的信息,有可能会改变信玄上洛的时间。但是根据足满的报告,改变时间的可能性消失了。
信玄は家臣の意見を一致させる事に苦心している。足満があれほど挑発して、攻める時期を変えると言えば、家臣たちが反発する可能性は高い。
信玄在努力协调家臣们的意见。如果足满如此挑衅并改变攻击时机,家臣们反弹的可能性很高。
(ここからこう引いて……大体こうなるから……やっぱり根洗松辺りが布陣地かな)
(从这里这样拉......大体上会变成这样......果然根洗松附近是阵地吗)
地形調査データから作り上げた地図を見て、静子は武田軍が布陣する場所を根洗松と考えた。
看着从地形调查数据制作而成的地图,静子认为武田军的布阵地点是根洗松。
現代の根洗松は当時の面影を一つも残していない。しかし、その先にある祝田ほうだの坂(現代では祝田の旧坂と呼ばれている)は、当時の面影を残している。
现代的根洗松没有保留当时的任何面貌。然而,在那之前的祝田坡(现在被称为祝田旧坡)仍然保留着当时的面貌。
通説では家康が籠城する浜松城を無視し、武田軍は三方ヶ原方面へ進路を変更した。移動先に祝田の坂がある事を知った徳川軍は籠城から武田へ打って出るよう策を変更する。
据通论,家康无视了他所驻守的浜松城,而武田军改变了前进路线,朝着三方原前进。当德川军知晓祝田坂是武田军的行军路线后,改变了他们的策略,从浜松城中出发攻击武田军。
しかし祝田の坂を移動中の武田軍は、徳川軍が背後を襲撃しようとした途端、突如として反転して正面衝突したと言われている。
然而据说在移动通过祝田坡道的武田军队,在德川军队试图袭击他们背后时,突然掉头正面冲突了。
この通説には不思議な点がいくつもある。まず、今も当時の名残を残す祝田の坂は薄暗く、出口に近づくほど狭くなる。
这个传说有很多奇怪的地方。首先,现在仍保留着当时的痕迹的祝田坂很暗,接近出口的地方变得越来越窄。
このような場所で一斉反転し、さらに三万もの軍勢が一糸乱れず魚鱗の陣を敷くのは、当時の軍事情を考慮すれば不可能な話だ。
在那样的地方进行整体反转,而且有三万军队整齐地布置成鱼鳞形阵,考虑到当时的军事形势,这是不可能的事情。
もし信玄が一斉反転を可能とさせたとしても、孫子に記載されている避けるべき地形に近い祝田の坂を戦場に選ぶのは理に叶わない。
即使信玄能够实现一齐反转,但选择类似于孙子所述需要避免的地形——祝田坂作为战场,是不合理的。
また、籠城から攻撃に策を突如変更した時、後詰めの役割を担っている佐久間たちが一緒について行っている事も不可解だ。
另外,当从筑城转而采取进攻时,担任后援角色的佐久间等人跟着一起行动也很不可思议。
後詰めとはいえ、織田軍にとって家康が武田軍を積極的に攻める事に利がない限り、反対する。だが佐久間たちが武田軍の背後を叩く事に反対したという資料はない。
然而,即使是负责后勤,对于织田军而言,如果家康积极进攻武田军对其没有好处,他们将反对。但并没有资料表明佐久间一派反对攻击武田军后方。
援軍が三千という点も不可解だ。援軍の将である佐久間、平手、水野はそれぞれ有力な武将たちだ。
援军数量为三千也很难理解。援军统帅佐久间、平手、水野都是有实力的武将。
特に佐久間は光秀と秀吉が台頭するまで、織田軍において最有力武将の地位にいる。
特别是直到光秀和秀吉崭露头角之前,佐久间一直处于织田军中最有力的武将地位。
それだけの面子を派遣しながら、合計の兵力が僅か三千では籠城を前提としても心許ない。そもそも信長公記に兵数の記載がなく、他の資料は兵数が一致していない。
同时派遣了那么多的人员,但总兵力仅有三千,即使以守城为前提也不太可信。此外,在《信长公记》中没有关于兵力数量的记录,其他资料的兵力数量也不一致。
それらを考慮した結果、静子はある一つの結論に達した。
考虑到这些因素,静子得出了一个结论。
(元々万単位で派遣していたけど、武田が落とした城に籠城をしても、城攻めすらせず素通りしても問題ないように、二重の策を敷いていたんじゃないかな)
(本来是以万人为单位派遣的,但是因为在武田攻陷的城中坚守,甚至不进行攻城而直接绕路而行也不成问题,所以可能是采用了双重策略吧。)
それは織田の後詰めは複数あった、という事だ。織田軍の後詰めは二万近く派遣された。しかし、それは浜松城一つではなく、浜松城を含む幾つかの城に分けられたと考えられる。
那意味着織田军有多个后援。織田军的援军将近2万人派往了浜松城地区。但预计他们被分成了包括浜松城在内的几个城市。
武田軍は浜松城を落とさなければ、尾張・美濃に攻め込んでも常に背後の徳川軍を気にする必要がある。
如果武田军不能夺取浜松城,即使进攻尾张和美濃也必须时刻担心背后的德川军。
ゆえに武田軍としては家康が簡単に軍事行動を起こせない程度には叩いておく必要があった。だが浜松城は堅牢ゆえ、籠城されれば簡単に落とす事は出来ない。
因此,武田军需要打击家康,以防止他轻易地采取军事行动。但是浜松城坚固,如果守城,就不容易攻陷。
城が攻められれば、他の城にいる織田軍が救援に駆けつけるよう、後詰めを分散配置した。
如果城池受到攻击,为了让位于其他城池的织田军前来援助,他们将分散配置后援部队。
そして状況を理解した武田軍が行動をとれず、釘付け状態にして時間を稼ぐのが信長の作戦だったと考えられる。
因此,据认为武田军了解了情况后未能采取行动,陷入了僵局,这就是信长的战略,以此来争取时间。
いかに冬越えの装備があろうとも、延々と戦い続ける体力は武田軍にはない。軍備が枯渇すれば帰還する以外に選択肢がない。
即使有过冬的装备,武田军也没有持续战斗的体力。如果军备匮乏,除了回家之外别无选择。
これならば万単位で後詰めが派遣された、と記載されている甲陽軍鑑や徳川家家臣の資料と辻褄があい、僅か三千で武将たちが浜松城にいた事も一定の説明がつく。
这样就可以解释为什么《甲阳军鉴》和德川家家臣的资料中记载大量援军后来抵达,而仅有三千将士在浜松城中的事情。
祝田の坂にいる武田軍を、背後から急襲する作戦を家康が言い出しても、佐久間たちが反対する理由はない。
即使家康提出从祝田坂后方对武田军进行突袭的作战计划,佐久间一行人也没有反对的理由。
兵が減れば、それだけ岐阜にいる信長の負担が減るし、武田も動きにくくなる。
如果兵力减少,那么信长在岐阜的负担就会减轻,武田也变得更难行动。
ひたすら耐えに耐えて、武田が時間切れになるのを待つ、と聞けば情けなく聞こえる。
一心忍耐,等待武田时间用尽,听起来很令人难堪。
だが四方八方を敵に囲まれている信長にとっては、この作戦が一番安全なのだ。情けない状態の方が、下手に武田の矜持を傷つけ、再び余勢を駆って攻めてくるような事態にならない。
然而,对于被敌人包围的信长来说,这项策略是最安全的。这种情况虽然卑微,但会避免伤害武田的尊严,进而再次被攻击。
へりくだって相手が強いと持ち上げてふんぞり返らせている方が、信長にとっては安全だ。
谦虚地承认对方强大并让其高兴,对信长来说是安全的。
(んー、流石に難しいな)
(嗯,确实很难。)
考えながら静子は駒を動かす。武田軍が魚鱗の陣を敷く可能性は高い。背後を叩けると思った相手が驚いている間に、一気に潰してしまう作戦だと静子は考えた。
一边思考,静子一边移动着棋子。武田军队很有可能会采用鱼鳞阵。静子考虑着采取一种战术,当对手因为想要攻击背后的时候惊讶时,她会迅速地将他们消灭。
これに対して家康が鶴翼の陣を敷いた事は、良く間違いだと言われている。だが静子は必ずしも間違いだとは思っていなかった。
据说家康布置鹤翼阵对此是一个错误,但静子并不认为这是错误的。
鶴翼の陣は正面で敵の攻撃を受け止め切れる限り、攻防ともに優れた陣だからだ。無論通常は劣勢な側が鶴翼の陣を取るのは愚策でしかない。
“鹤翼阵是一种在正面可以抵御敌人攻击的进攻和防守都非常优秀的阵法。当然,通常情况下,处于劣势的一方选择鹤翼阵只会是一个愚蠢的决定。”
敵の動きを制限できる隘路であり、三方ヶ原の戦いの後、浜松城で籠城戦をする事を考えれば、損耗を少なくできるベストとは言えないがベターと言える選択だ。
可以限制敌人行动的狭路,在三方原之战后,在浜松城进行守城战虽然不能说是最佳选择,因为不能最小化损耗,但可以说是更好的选择。
(こちらはこういう作戦で……こういう通りに……よし、これで完成ね)
(我们将使用这种策略……按照这个步骤……好的,完成了)
全ての棋譜を書き終えた後、静子はそれらを纏めて竹中半兵衛に送る。少しすると竹中半兵衛なりの指摘が入ったものが返ってくる。
所有棋谱写完后,静子整理好并发送给竹中半兵卫。过了一会儿,竹中半兵卫会带着他的指点将它们送回来。
これを何度も繰り返して、三方ヶ原の戦いで勝利を収める可能性を高めている。何回繰り返したか静子も覚えていない。
这样反复训练,提高了在三方原战斗中获胜的可能性。静子不记得重复了多少次。
「あ〜〜、疲れた。もう二度とやらないぞ。こういう事は」
「啊~~,累死了。再也不干这事了。这样的事情。」
肉体的な疲労もそうだが、人がたくさん死ぬ作戦を考えるのは精神的に疲れる静子だった。だが三方ヶ原の戦いでいかなる結果を出すか、それで織田軍の今後が決まる。
肉体的疲劳虽然存在,但考虑到会有很多人死亡的战术使静子在精神上感到疲惫。但无论在三方原之战中取得何种结果,它都将决定织田军的未来。
信長のためにも、そして自分のためにも、どうしても三方ヶ原の戦いは避けられない。静子は頬杖をつくと、盛大にため息を吐く。
为了信长,也为了自己,无论如何都不能避免三方原之战。静子撑着脸颊,大声叹息。
(作戦通りにいったら、状況は一変する。外だけじゃない。織田家の中も色々と変わる。はぁ〜〜、もし今の状態で現代に戻っても、危ない人コースじゃないかな)
如果按照计划进行,情况将会发生翻天覆地的变化。不仅是外部情况,織田家内部也会有各种变化。唉,即使现在回到现代,可能也会是危险人物的类别吧。
既に現代に戻る事を静子は諦めていた。とはいえ、突然現代に引き戻される可能性はゼロではないとも考えていた。だが、既に尾張に来て七年もの月日が経っている。
静子早已经放弃了返回现代的想法。不过她也认为,突然被带回现代的可能性并非完全为零。但是,她已经在尾张生活了七年。
洋服など今さら着ようとも思わないし、着物でなければしっくりこない。そして懐刀と腰に刀を下げていないと、どこへ行くにも落ち着かなくなってしまった。
衣服之类现在也不想穿,没有和和美美的感觉。不带配带保护刀的话,去哪里都不能平静。
戦国時代なら問題ないが、現代で着物に刀を下げていたら間違いなく警察のご厄介になる。下手をしたら頭の病気を疑われて入院措置だ。
如果身处战国时代,穿着和服佩剑并不会有问题,但如果在现代穿着和服配剑,无疑会招来警察的麻烦。最糟糕的情况下,甚至可能因为头脑有问题而被怀疑并被安置在医院。
「(がむしゃらに働いていたから考えなかったけど、みんなどうしているのかなぁ)母さん、心配しているかな」
「因为一直拼命工作所以没有想过,大家现在过得怎么样了呢,妈妈会不会很担心呢」。
「母がどうかしたのかえ?」
「你妈妈出什么事了?」(Simplified Chinese)
「うえっ!」
"「うえっ!」" translated to Simplified Chinese is "「咦!」".
突然、耳元で声がした事に驚いた静子は素っ頓狂な声を上げる。慌てて声がした方を向くと、イタズラが成功して楽しげな濃姫がいた。
突然,静子听到耳边有声音,惊讶得尖叫了一声。她急忙转过头去,发现淘气的濃姬已经成功捉弄她,看起来很高兴。
「上の空だったが、何か考え事かえ」
"一脑子空空的,在想些什么呢"
「人の部屋に無断で入らないで下さい」
“请勿未经允许擅自进入他人房间”
「何度も呼びかけたが、返事が一向にのうての。部屋で倒れているのではと危ぶんだのじゃ。入ってみればなにやら呟いておるので、耳を傾けていただけじゃ」
“何度呼喊却始终未能得到回应。我开始担心他是否在房间里倒下了。当我走进去时,他正在喃喃自语,我只是倾听了他的声音。”
「はぁ、もう良いです。悩むのが馬鹿らしくなりました」
“好的,我已经不想再纠结了。为这种事情烦恼真是太傻了。”
濃姫を見ていると、自分の悩みが些細な事に思えてきた静子だった。頭を軽く振って雑念を追い出すと、改めて濃姫に向き直る。
看着浓姬,静子感到自己的烦恼变得微不足道。她轻轻摇了摇头赶走杂念,重新转向浓姬。
「それで、何のご用ですか? また、何か食べにいらしたのですか?」
"那么,您有什么事吗?还是来吃东西的吗?"
「飯を食べに来たわけではないのじゃが。何、まつたちと茶を飲むゆえ、静子もどうじゃと誘いに来たのじゃ」
“我不是来吃饭的。我是来喝茶和松田聊天的,静子你也一起来吧。”
「それって断れるのですか?」
“那个可以拒绝吗?”
「断っても良いぞ。その場合、引きずって行くだけじゃからの」
「可以拒绝。但是那样的话,我会把你拖走的。」
それは実質、断れないと同じではないか、と静子は心の中で突っ込んだ。いっそのこと、子どものように駄々をこねて見ようかと思ったが、変な運び方されても困るので思いとどまった。
静子心中独自思索:“实际上,这不等于无法拒绝吗?”她想要像孩子一样闹脾气,但又想到如果被奇怪的方式传达出去会很困扰,于是打消了这个念头。
「分かりました、付き合います。だからひっつかないで下さい」
"明白了,我们交往吧。所以请不要缠着我。"
「静子の言うすきんしっぷ、という奴じゃ」
「静子的所谓情感依赖,不过是那么一回事儿」
いつの間にか静子の後ろに回った濃姫が、静子を優しく抱きしめる。濃姫は静子の肩にあごを乗せると、ネコのように頬をすりすりしていた。
不知何时,浓姬已经站到静子身后,轻轻地抱住了她。浓姬把下巴放在静子的肩上,像一只猫一样蹭着她的脸颊。
「最初は何を馬鹿な、と思うたが、これが割と良い。殿は恥ずかしいのか、二度とさせてもらえなかったがの」
“一开始我以为这很愚蠢,但事实证明还不错。虽然我的主人感到有些害羞,再也没有让我重复过了。”
「まぁ直接的な愛情表現ですからね。私も割と恥ずかしいですよ」
“嗯,这是一种比较直接的表达爱情的方式,我也感到有些害羞。”
「何も恥ずかしがる事はない。妾は静子を好いておるぞ。そうじゃ、先ほどはなにやら母を思うておったが、寂しいのなら妾を母と思うと良いぞ」
“没有什么好害羞的。我喜欢静子。刚才虽然在想母亲,但如果孤独的话,就可以把我当做母亲来想。”
「……かないませんね、濃姫様には。ですが、私の母は濃姫様と似ても似つかないので、それは無理な相談ですね」
"......对于浓姬,我不能给出任何建议。但是,因为我的母亲跟浓姬完全不一样,所以这个请求是无法实现的。"
「静子も言うようになったの。さて、では向かうか」
“静子也开始这么说了。好的,那我们出发吧。”
背中から離れると、濃姫は立ち上がって茶の間へと向かった。あまりにも早い動きに、静子は一瞬呆然としたが、すぐに理解が追いつくと立ち上がって濃姫の後を追った。
背后离开后,浓姬站起身来走向茶室。静子被这个动作吓了一下,但很快就明白了过来,站起身来跟上了浓姬的步伐。
「今日の茶菓子は何かの」
"今天的茶点是什么?"
後ろから追いかけてくる静子の足音を聞きながら、濃姫はそんな事を呟いた。
听着静子从后面追来的脚步声,濃姬喃喃自语。