欢迎光临散文网 会员登陆 & 注册

日本小5课文:高筒草鞋里的神【久我Masahi的日语课堂】#68

2020-10-16 15:17 作者:久我まさひ  | 我要投稿

藁沓の中の神様(高筒草鞋里的神)

作者:杉 みき子(すぎ みきこ)

雪がしんしんと降っています。(雪静静地下着。)

マサエは、お婆ちゃんと一緒に炬燵(こたつ)に当たりながら、本を読んでいました。(雅恵和奶奶一起坐在被炉里读着书。)

今夜は、お父さんは泊り番で帰ってきません。お風呂好きのお爺ちゃんは、「この寒いのに。—」と、皆に笑われながら、さっきお風呂屋さんへ出掛けて行きました。あとは、お母さんが台所で夕ご飯の後片付けをしている音が聞こえるだけで、辺りはとても静かです。(今晚,爸爸值夜班不回来。喜欢泡澡的爷爷刚才说道“那么冷的天。”一边被大家笑着,出门去了澡堂。接下来,只听到晚饭后,妈妈在厨房收拾的声音,周围非常安静。)

風が出てきたらしく、窓の障子がカタカタと鳴りました。雪がサラサラと雨戸に当たっては落ちていきます。(风似乎刮起来了,纸拉窗嘎达嘎达地响着。雪沙沙地打落在护窗板上。)

マサエは、ふと思い出して、台所のお母さんを呼びました。「お母さん、私のスキー靴、乾いてる。明日、学校でスキーの日だよ。」(雅恵一下子想了起来,对厨房内的母亲喊道:“妈妈,我的滑雪靴干了吗?明天要在学校滑雪。”)

お母さんが、水音を立てながら答えました。「おや、明日だったの。それじゃ、もう一度見てごらん。さっき、新聞紙を丸めて入れといたから、あらかた乾いたと思うけど。」(母亲一边弄出水声,一边回答道:“哎呀,是明天吗?那么,你再去看看吧。我刚才把报纸揉成团塞在里面了,大致干了吧。”)

マサエは夕方まで、友達と近くの丘でスキーをしていました。今日は一度しか転ばなかったので、スキー靴もズボンも、そんなに濡れないつもりでしたが、帰ってきてみたら、やっぱりいつものようにぐっしょりになっていたのです。(雅恵和朋友在附近的山岗上滑雪滑到傍晚。今天只摔了一次,所以她认为滑雪靴和裤子应该没那么湿,然而回家一看,果然和平常一样湿透了。)

「乾いてるといいけどな。あんなに遅くまで、滑ってなきゃよかった。」マサエは、独りでそんなことを言いながら台所へかけていって、敷居(しきい)に立てかけてあるスキー靴から、湿っぽい新聞紙の玉を五つ六つ取り出して、手を突っ込んでみました。靴の中はじわりと冷たくて、背中までぶるっとなりそうです。「うへえ、冷たあい。お母さん、どうするう。」(“如果干了就好了。早知道就不滑到那么晚了。”雅恵自言自语地冲到厨房,从竖在门槛上的滑雪靴中取出了五六个潮湿的报纸团,然后把手伸进了靴中,感到了靴中的寒意扩散,冷到背后都要一颤,“哇,好冷。妈妈,怎么办啊?”)

「新しい新聞紙と変えてご覧。紐の所も、しっかりくるむようにしてね。明日までには、何とか乾くだろ。」(“换一下新的报纸。鞋带部分也裹一下。到明天好歹也干了吧。”)

「乾くかなあ。何だか、まだびしょびしょみたいだよ。」(“会干吗?怎么感觉还是湿漉漉的。”)

すると、茶の間の炬燵から、お婆ちゃんが口を出しました。「乾かんかったら、藁沓履いていきない。藁沓はいいど、あったかくて。」(于是,坐在起居室被炉里的奶奶开口道:“不干的话,穿高筒草鞋吧。高筒草鞋可好了,又暖和。”)

「やだあ、藁沓なんて、みったぐない。誰も履いてる人ないよ。第一、大きすぎて、金具にはまらんわ。」マサエは、大きな声で言いながら、箪笥のそばに重ねてある新聞紙を取ってきて、くるくる丸めては、せっせとスキー靴の中に詰め込みました。ぎゅうぎゅう力を入れて押し込むと、濡れたビニル皮がぽっこりと膨らんで、まだいくらでも入りそうです。(“才不要,高筒草鞋什么的真难看。没人穿的。首先,太大了,金具套不上。”雅恵一边大声道,一边取出了衣柜旁边叠着的报纸,揉成团后,一个劲地塞进滑雪靴中。用力塞进去后,湿掉的乙烯皮鼓了起来,好像还能塞不少的样子。)

お婆ちゃんが、また言いました。「そういったもんでもないさ。藁沓はいいもんだ。あったかいし、軽いし、滑らんし。そうそう、それに、藁沓の中には神様がいなさるでね。」(奶奶又说道:“也不是你说的那样。高筒草鞋很好用。又暖和,又轻,又防滑。对了对了,高筒草鞋里还有神明呢。”)

「藁沓の中に、神様だって。」マサエは、新聞紙の玉をすっかり詰め込んでしまって、炬燵へ戻ってきました。濡れた物をいじった手が、つうんと凍りそうです。「そんなの迷信でしょ、お婆ちゃん。」(“高筒草鞋里有神。”雅恵把报纸团都塞进了靴子后回到了被炉里。触碰了湿物的手快冻住了,“那只是迷信吧,奶奶。”)

「おやおや、何が迷信なもんかね。正真正銘、本当の話だよ。」お婆ちゃんは、真面目な顔になって、眼鏡を外しました。「それじゃあ、一つ、藁沓の話をしてやるかね。藁沓の中に神様のいなった話をね。」(“哎呀哎呀,什么迷信啊。是真事。”奶奶一脸严肃地摘下了眼镜道,“那么,我给你说一个高筒草鞋的事吧。高筒草鞋里有神明的故事。”)

そこへ、お母さんも台所を済ませて、赤くなった手をふきふき、炬燵へ入ってきました。(这时,母亲整理完厨房,擦着通红的手,坐进了被炉。)

「どれどれ、私も聞かせてもらいましょうかね。—そう言えば、お爺ちゃんは、お風呂遅いわね。混んでるのかしら。」(“哎,让我也听听吧。说起来,爷爷洗澡好慢啊。是太拥挤了吗?”)

「なあに、お爺ちゃんは昔から長湯が好きでね。混もうと混むまいと、ゆっくり楽しんでなるのさ。じゃあ、話そうかね。」お婆ちゃんはそう言って、雪の音にちょっと耳を澄ましてから、こんな話を始めました。(“没什么,爷爷从以前开始就喜欢长时间洗澡。不管挤不挤,他都喜欢慢慢享受。那么,我来讲故事吧。”奶奶如此说道,先稍微侧耳倾听了一下雪声,然后开始讲述起这样的故事。)

—昔、この近くの村に、おみつさんと言う娘が住んでいました。おみつさんは、特別美しい娘というわけでもありませんでしたが、体が丈夫で、気立てが優しくて、いつも朗らかにくるくると働いていたので、村中の人達から好かれていました。(从前,在这附近的村子里,住着一个叫作阿蜜的姑娘。阿蜜虽不是特别漂亮的姑娘,但是身体结实,性格温柔,一直很开朗地勤快工作,所以受到了村民们的喜爱。)

さて、このおみつさんが、ある秋の朝、町の朝市へ、野菜を売りに出掛けました。もう冬が近いので、すれ違う人達も、何だか気忙しそうに前屈みになって歩いていきます。おみつさんの足も、それに釣られたように自然と速くなりました。(且说这个阿蜜,在某个秋日的早晨前往镇上的早市去卖蔬菜。由于临近冬天,擦肩而过的人们似乎也很慌忙地哈腰前行。阿蜜随着人流,自然地加快了步伐。)

町へ入るとすぐの四つ角に、下駄屋さんがあって、大きな下駄の形をした、煤けた看板が出ています。その前を通る時、おみつさんはふと足を止めました。入り口近くの台の上に、可愛らしい雪下駄が一足飾ってあるのが目に付いたのです。(在进入镇子后很近的一个十字路口,有一家木屐店,挂着大木屐形状的熏黑的看板。经过店门前的时候,阿蜜驻足了。装饰在入口附近台上的一双可爱的雪木屐映入了眼帘。)

白い、軽そうな台に、ぱっと明るいオレンジ色の鼻緒。上品な、くすんだ赤い色のつま皮は、黒いふっさりとした毛皮の縁取りで飾られています。見ただけで、若い娘さんの、華やかな冬の装いが、目の前に浮かんでくるようです。(看起来很轻的白色木屐底,配上很明亮的橙色木屐带。高雅暗红色的木屐罩,装饰着厚密的黑色毛皮镶边。仅仅是看着,年轻姑娘的华丽冬装似乎浮现于眼前。)

おみつさんは、その雪下駄が欲しくてたまらなくなりました。「でも、きっと高いんだろうな。」(阿蜜非常想要那双雪木屐。“但是,一定很贵吧。”)

裏返しになっている値段の札を、皹の指でそっとめくってみると、思った通り、とてもとても、おみつさんの小遣いで買える値段ではありません。「負けてくれと言ったって、とてもだめだろうしねえ—。」(阿蜜用冻裂的手指轻轻翻了一下反过来的价格牌,果然不出所料,是用自己的零花钱买不起的非常贵的价格。“就算让他降价,也实在买不起啊。”)

おみつさんは、暫くそこに立って、吸い付けられたようにその雪下駄を眺めていました。(阿蜜在那里站了片刻,仿佛被吸住一般,眺望着那双雪木屐。)

「いらっしゃい。何をあげますかいね。」(“欢迎光临。您需要什么?”)

おみつさんがあんまり長いこと立っていたので、店の奥から女将さんが出てきて声をかけました。おみつさんは、真っ赤になって、口の中で何かもごもご言いながら、逃げるように店の前を離れました。(由于阿蜜站了太长时间,老板娘从店内出来问道。阿蜜满脸通红,嘴里含糊不清地说着什么,逃也似地离开了店门前。)

けれども、市で野菜を売っている間も、あの雪下駄のことが、おみつさんの頭を離れません。いつもは、余計な物など、欲しいと思ったことのないおみつさんなのに、どうしたことか、この雪下駄ばかりは、なんとしても諦められないのです。(然而,阿蜜在市场上卖蔬菜的时候,那双雪木屐也在她的脑海内挥之不去。总是不需要多余东西的阿蜜,却不知为何,只有那双雪木屐无论如何都无法放弃。)

市の帰りに、おみつさんは、またあの店の前を通りました。他のお客に紛れて、ちらりと目をやると、赤いつま皮の雪下駄は、朝と同じ所に、ちゃんと行儀よく並んでいます。(从市场回来的阿蜜又经过了那家店前。和其他顾客混在一起,瞥了一眼那双红色木屐罩的雪木屐,只见其规规矩矩地排放在和早上一样的位置。)

「ねえ、私を買ってください。あんたが買ってくれたら、嬉しいな。」おみつさんには、雪下駄がそう呼びかけているように思われました。(“喂,请把我买下。如果你能买下我,我会很高兴。”阿蜜仿佛听到雪木屐在如此呼唤道。)

家に帰ったおみつさんは、思い切って、お父さんとお母さんに、雪下駄のことを頼んでみました。(回到家的阿蜜下定决心,向父母恳求买雪木屐。)

「なんだ、雪下駄なんて。そんな贅沢なもん、わざわざ買うことはねえだろう。」お父さんは、そう言って、相手にしてくれません。(“什么啊,雪木屐啊。没必要特地买那么奢侈的东西吧。”父亲说道,并不理会阿蜜。)

「物強請りをしたことのないおみつのことだから、買ってやりたいのは山々だけどね。—まあ、お前が町へ嫁に行くようなことにでもなったらね—。」お母さんは、言葉を濁しています。(“正因为是从未死乞白赖地恳求过东西的阿蜜,特别想给你买。不过,如果你要嫁去镇上什么的话……”母亲含糊其辞道。)

「お姉ちゃんが買うんなら、おらにも買って。」(“姐姐要买的话,也给我买。”)

「綺麗な雪下駄、あたいも履いてみたいな。」小さい弟と妹がわいわい言い出したので、おみつさんも、もう自分の強請りごとどころではなく、一生懸命、子供達の宥め役に回らなくてはなりませんでした。(“我也想穿穿看漂亮的雪木屐。”年幼的弟弟妹妹吵嚷起来,阿蜜已经顾不上纠缠父母买想要的雪木屐了,她不得不拼命哄孩子们。)

その夜、おみつさんは考えました。「うちの暮らしだって、大変なんだもの。買ってもらえないのも無理はない。そうだ、自分で働いて、お金を作ろう。そして、あの雪下駄を買おう。」(是夜,阿蜜考虑道:“我们家的生活也很困难。不给我买也是没办法。对了,自己劳动赚钱。然后买那双雪木屐。”)

おみつさんのお父さんは、藁沓を作るのが上手でした。おみつさんも、いつもそれを見ているので、作り方くらいは分かります。おみつさんは、早速、毎晩家の仕事を済ませてから、藁沓作りを始めました。(阿蜜的父亲很擅长做高筒草鞋。阿蜜也经常看着父亲做草鞋,做法还是知道的。阿蜜立马完成每晚家里的工作后,开始做起了高筒草鞋。)

お父さんの作るのを見ていると、容易く出来るようですが、自分でやってみると、なかなか思うようにはいきません。でも、おみつさんは、少しくらい格好が悪くても、履く人が履きやすいように、暖かいように、少しでも長持ちするようにと、心を込めて、しっかりしっかり、藁を編んでいきました。(看着父亲做草鞋的时候,看上去很容易,实际自己做了之后,发现很困难。不过,阿蜜认为就算样子稍微难看一点,也要让穿的人容易穿,暖和,尽可能耐用,诚心诚意地编织着稻草。)

さて、やっと一足作り上げてみると、我ながら、いかにも変な格好です。右と左と、大きさも違うし、何だか首をかしげたみたいに、足首の上の所が曲がっています。底も凸凹していて、ちゃんと置いてもふらふらするようです。その代わり、上から爪先まで、隙間なく、きっちりと編みこまれていて、丈夫なことは、このうえなしです。(那么,终于做完了一双,连自己都觉得样子奇怪。左右脚的大小也不一样,感觉像歪着头一样,脚踝上面的地方弯曲着。底部也凹凸不平,好好放着似乎也会摇摇晃晃。不过,从上面到脚尖,毫无缝隙,紧密地编织着,无比结实。)

「そんなおかしな藁沓が、売れるかいなあ。」うちの人達はそう言って、笑ったり心配したりしましたが、それでもおみつさんは、朝市の立つ日になると、野菜を入れた大籠にその藁沓を結び付けて、元気よく町へ出ていきました。(“这么奇怪的高筒草鞋,卖得掉吗?”家人们又笑又担心,尽管如此,阿蜜在开早市的那天,在装入蔬菜的大筐上系上了那双高筒草鞋,精神饱满地前往了镇子。)

下駄屋さんの前を通る時、横目で見ると、あの雪下駄は、まだちゃんとそこにありました。おみつさんは、その雪下駄が、ほんのちょっぴり自分の手の届く所へ出てきたような気がして、楽しくなりました。(经过木屐店的时候,侧目一望,只见那双雪木屐还好好地摆在那里。阿蜜觉得那双雪木屐稍微到了一点自己能触及到的地方,便感到很愉快。)

それから、まっすぐに朝市へ出てきたおみつさんは、いつもの雁木の下に、むしろを広げて野菜を並べ、その端っこに藁沓を置きました。そして、野菜を買ってくれる人があると、「藁沓はどうですね。」と勧めてみるのですが、こちらはなかなか売れません。くすくす笑ったり、呆れた顔をしたりして、「いいや、よかったでね。」と断るのはまだいい方で、中には、「へええ、それ、藁沓かね。おらまた、藁饅頭かと思った。」などと、明け透けなことを言う、口の悪い人もいます。「やっぱり、私が作ったんじゃ、だめなのかなあ。」おみつさんはがっかりして、不細工な藁沓を見つめました。(之后,径直前往早市的阿蜜在一如既往的梯磴下铺开了席子,排放蔬菜,在边缘放了高筒草鞋。然后,只要有来买蔬菜的人,就推荐道:“需要高筒草鞋吗?”然而,完全卖不出去。哧哧笑的人,愣住的人,拒绝道“不用了。”的人还算好的,其中还有“诶,那是高筒草鞋啊。我还以为是稻草馒头呢。”之类的说话不客气的人。“果然我做的不行吗?”阿蜜失落地注视着难看的高筒草鞋。)

やがて、お昼近くなって、野菜は殆ど売れてしまったし、諦めてもう帰ろうかと思っていると、おみつさんのむしろの前に、若い男の人が立ちました。どうやら大工さんらしく、威勢のいい捩り鉢巻きに、大きな道具箱を担いでいます。(不久,临近午时,蔬菜基本上卖完了,准备放弃回去的阿蜜的席子前面,站着一个年轻的男人。看起来似乎是木匠,扎着很有气势的头巾,背着很大的工具箱。)

「あねちゃ、その藁沓、見せてくんない。」そう声をかけられると、おみつさんは、やはり決まりが悪くなって、「あんまり、みっともよくねえ藁沓で—。」と、赤くなりながら、おずおずと藁沓を差し出しました。(“阿姐,给我看一下那双高筒草鞋。”闻言,阿蜜果然感到不好意思道:“这双高筒草鞋非常难看。”一边红着脸,一边怯生生地将草鞋递了出去。)

若い大工さんは、道具箱をむしろの上に置いて、その藁沓を手に取ると、縦にしたり横にしたりして、暫く眺めてから、今度はおみつさんの顔をまじまじと見つめました。「この藁沓、おまんが作んなったのかね。」(年轻的木匠将工具箱放在了席子上,然后把草鞋拿到手上一会纵看一会横看,看了片刻后,又注视着阿蜜的脸道:“这双高筒草鞋是你做的吗?”)

「はあ、おらが作ったんです。初めて作ったもんで、上手くできねかったけど—。」(“是我做的。因为是第一次做,做得不好。”)

「ふうん。よし、もらっとこう。いくらだね。」(“是吗?好,我要了。多少钱?”)

大工さんはお金を払って、藁沓の紐を慣れた手付きで結び合わせ、道具箱と一緒にひょいと担ぐと、さっさと行ってしまいました。(木匠付了钱后,用熟练的手法把高筒草鞋的鞋带绑起来,和工具箱一起一下子背起后,迅速离开了。)

おみつさんは、初めて藁沓が売れたので、嬉しくて嬉しくて、若い大工さんを拝みたいような気がしました。(阿蜜因为第一次卖了高筒草鞋,非常高兴,有种似乎想要叩拜年轻木匠的感觉。)

その次の市の日までに、おみつさんは、また一つ、藁沓を編み上げました。前のよりは、いくらか形よく出来ました。「今度も上手く売れるといいけど—。」(阿蜜在下一个集市的日子之前,又编好了一双高筒草鞋。比之前那双的样子更好看。“这次也能顺利卖出去就好了。”)

おみつさんが、藁沓を持って市に出て、この前のように野菜と一緒に並べておくと、今度はあまり待たないうちに声をかけられました。「その藁沓、くんない。」(阿蜜带着高筒草鞋来到集市,和之前一样,把草鞋和蔬菜排放在一起,这次没有等多久就被一个声音问道:“请给我那双高筒草鞋。”)

ひょいと顔を上げてみると、まあ、どうでしょう。それは、この間も藁沓を買ってくれた、あの若い大工さんなのです。おみつさんは驚きましたが、言われるままに、また藁沓を売って、お金を受け取りました。(阿蜜一下子抬起了头,哎呀,如何?是之前也买下高筒草鞋的那位年轻的木匠。阿蜜虽然很惊讶,但还是按他所说,又卖了草鞋,收下了钱。)

その次の市の日にも、またあの大工さんが来て、藁沓を買ってくれました。その次も、またその次も、おみつさんが市へ出るたびに、あの大工さんが必ずやって来て、不格好な藁沓を買ってくれるのです。おみつさんは、いつの間にか、その大工さんの顔を見るのが楽しみになっていましたが、こんなに続けて買ってくれるのが不思議でもあるので、とうとうある日、思い切って訊ねてみました。「あのう、いつも買ってもらって、本当に有難いんだけど、あの、おらの作った藁沓、もしかしたら、すぐ傷んだりして、それで、しょっちゅう買ってくんなるんじゃないんですか。もし、そんなんだったら、おら、申し訳なくて—。」(下一个集市的日子,那个木匠又来买下了高筒草鞋。下一次,再下一次,阿蜜每次去集市的时候,那个木匠肯定会来买下难看的高筒草鞋。阿蜜在不知不觉间,看到那个木匠的脸时感到非常愉快,但也感到这样持续买草鞋很不可思议,于是终于有一天,阿蜜斩钉截铁地问道:“那个,真的非常感谢你一直买草鞋,但是那个,莫非我做的高筒草鞋很快就坏了什么的,所以需要经常买吗?如果是这样的话,非常抱歉。”)

すると、大工さんは、にっこりして答えました。「いやあ、とんでもねえ。おまんの藁沓は、とても丈夫だよ。」(于是,木匠笑道:“不是,哪里的话。你的高筒草鞋非常结实。”)

「そうですかあ。良かった。でも、そんなら、どうしてあんなに沢山—。」(“是吗?太好了。但是,既然如此,为什么要买那么多?”)

すると、大工さんはちょっと赤くなりました。「ああ、そりゃ、丈夫でいい藁沓だから、仕事場の仲間や、近所の人達の分も買ってやったんだよ。」(于是木匠的脸微微泛红道:“啊,那是因为高筒草鞋非常结实,所以我给工作地方的同伴和附近的邻居们也买了。”)

「まあ、そりゃどうも—。だけど、あんな不格好な藁沓で—。」おみつさんが恐縮すると、大工さんは、急に真面目な顔になって言いました。(“哎呀,非常感谢。但是,那么难看的高筒草鞋。”阿蜜羞愧道,于是木匠突然一脸严肃道。)

「俺は、藁沓をこさえたことはないけども、俺だって職人だから、仕事の善し悪しは分かるつもりだ。いい仕事ってのは、見かけで決まるもんじゃない。使う人の身になって、使いやすく、丈夫で長持ちするように作るのが、本当のいい仕事ってもんだ。俺なんか、まだ若造だけど、今にきっと、そんな仕事の出来る、いい大工になりたいと思ってるんだ。」(“我啊,虽然没做过高筒草鞋,但我好歹也是职人,懂得工作的好坏。好的工作不是由外表决定的。是要站在使用者的立场上,制作使用方便、结实、耐用的才是真正的好工作。像我目前还是年轻人,但总有一天,一定要成为那样做好工作的好木匠。”)

おみつさんは、こっくりこっくり頷きながら聞いていました。自分といくらも年の違わないこの大工さんが、何だかとても頼もしくて、偉い人のような気がしてきたのです。(阿蜜不断颔首听着。总感觉这个和自己年龄相仿的木匠非常可靠,像伟人一样。)

それから、大工さんは、いきなりしゃがみこんで、おみつさんの顔を見つめながら言いました。「なあ、俺のうちへ来てくんないか。そして、いつまでもうちにいて、俺に藁沓を作ってくんないかな。」(然后,木匠突然蹲下,注视着阿蜜的脸道:“喂,能来我家吗?然后,可以一直待在我家,给我做高筒草鞋吗?”)

おみつさんは、ぽかんとして、大工さんの顔を見ました。そして、暫くして、それが、おみつさんにお嫁に来てくれと言うことなんだと気が付くと、白い頬が夕焼けのように赤くなりました。(阿蜜怔地看着木匠的脸。然后,过了片刻,阿蜜意识到木匠是想让自己嫁给对方的时候,雪白的脸颊染上了晚霞般的红色。)

「—それから、若い大工さんは言ったのさ。使う人の身になって、心を込めて作ったものには、神様が入っているのと同じこんだ。それを作った人も、神様とおんなじだ。おまんが来てくれたら、神様みたいに大事にするつもりだよ、ってね。どうだい、いい話だろ。」お婆ちゃんは、そう言ってお茶を飲みました。(“那之后,年轻的木匠说了:‘站在使用者的立场上,用心制造的东西和有神明一样。制作那样东西的人也和神明一样。你能嫁过来的话,我会像对待神明一样,珍重地对待你。’怎么样,是个好故事吧?”奶奶说着喝了茶。)

「ふうん、そいで、おみつさん、その大工さんの所へお嫁に行ったの。」マサエが、目をくりくりさせて聞きました。(“是吗,然后,阿蜜嫁给那个木匠了吗?”雅恵滴溜溜地转着眼睛问道。)

「ああ、行ったともさ。」(“是啊,当然嫁过去了。”)

「そいで、大工さん、おみつさんのことを、神様みたいに大事にした。」(“然后,木匠把阿蜜当作神一样重要对待了吗?”)

「そうだねえ、神様とまではいかないようだったけど、でも、とても優しくしてくれたよ。」(“没错,虽说不上像对待神那样,但是非常温柔地对待了阿蜜。”)

「ふうん。じゃあ、おみつさん、幸せに暮らしたんだね。」(“是吗。那么,阿蜜生活地很幸福吧?”)

「ああ、とっても幸せに暮らしてるよ。」(“是啊,现在非常幸福地生活着。”)

「暮らしてる。じゃ、おみつさんて、まだ生きてるの。」(“现在生活着。那么,阿蜜还活着吗?”)

「生きてるともね。」(“当然还活着。”)

「へえ。どこに。」(“嘿诶。在哪里?”)

お婆ちゃんは、にこにこ笑っています。マサエは、お母さんの顔を見ました。お母さんも、にこにこ笑っています。(奶奶微微笑着。雅恵看向了母亲。只见母亲也微微笑着。)

「変なの、教えてくれたっていいでしょ。」(“你们好奇怪啊,告诉我也没什么吧。”)

そこで、お母さんが言いました。「マサエ、お婆ちゃんの名前、知ってるでしょ。」(这时,母亲说道:“雅恵,你知道奶奶的名字吧。”)

「うん。お婆ちゃんの名前は、山田ミツ。—あっ。」マサエは、パチンと手を叩いて、目を輝かせました。「おみつさんて、それじゃ、お婆ちゃんのことだったの。あら、じゃあ、その大工さんて、お爺ちゃん。」(“嗯。奶奶的名字是山田蜜。啊。”雅恵拍了一下手,目光熠熠生辉,“阿蜜,也就是奶奶啊。哎呀,那么,那个木匠是爷爷。”)

お婆ちゃんは頷いて、押入れの棚の上を指さしました。「あの箱を持ってきてごらん。」(奶奶颔首,指了指壁橱上方道:“把那个箱子拿过来。”)

マサエは、すぐ踏み台を持ってきて、棚の上から、埃だらけのボール箱を下ろしてきました。開けてみると、つうんと黴臭い匂いがして、赤いつま皮のかかった綺麗な雪下駄が、きちんと並んでいました。「あら、綺麗だ。可愛いね。」(雅恵马上拿来脚凳,然后从壁橱上拿下了满是灰的厚纸板盒。一打开,一股霉味便扑鼻而来,只见有着红色木屐罩的漂亮的雪木屐整齐地摆放着。“哎呀,好漂亮。好可爱。”)

「このうちへお嫁に来るとすぐ、お爺ちゃんが買ってくれたんだよ。だけど、あんまり嬉しくて、もったいなくてね。なかなか履く気になれなかった。飾り物じゃないんだぞって、お爺ちゃんに笑われたけど、そのうちにそのうちにと思っているうちに、年を取ってしまってね。とうとうそれっきり履かずじまいさ。」(“嫁过来后不久,爷爷给我买的。不过,实在是太高兴了,觉得穿的话太浪费。一直没有穿。‘这可不是装饰物’,被爷爷笑着这么说了,想着不久后穿,想着想着结果上了年纪。最终没穿过。”)

「ふうん。だけど、お爺ちゃんがお婆ちゃんの為に、せっせと働いて買ってくれたんだから、この雪下駄の中にも、神様が居るかも知れないね。」(“是吗。不过爷爷为了奶奶拼命工作买下的雪木屐当中也许也有神明。”)

「ああ、きっといなるだろうね。だから、履けなくなっても、こうして大事にしまっとくんだよ。」(“是啊,一定有神明。所以,就算不穿,也要像这样慎重地收起来。”)

その時、玄関の叩きで、カッカッと雪下駄の雪を払う音がしました。(这时,玄关的泥地处传来了雪木屐咔咔的掸雪声。)

「おや、お爺ちゃんのお帰りだよ。」(“哎呀,是爷爷回来了。”)

マサエは、赤いつま皮の雪下駄を抱えたまま、「おかえんなさあい。」と叫んで、玄関へ飛び出していきました。(雅恵抱着红色木屐罩的雪木屐,叫着“欢迎回来”,并冲向了玄关。)

词汇

藁沓(わらぐつ):(雪地用)高筒(半高筒)草鞋

くるむ:包、裹、卷

朗らか(ほがらか):性格开朗、爽快;心情愉快、舒畅;天空晴朗

煤ける(すすける):熏黑、旧得变成煤烟色

縁取り(ふちどり):边饰、镶边

強請り(ねだり):死乞白赖地请求

山々(やまやま):非常渴望(实际办不到);群山;很多

宥める(なだめる):劝解、劝慰、哄

皹(あかぎれ):由于天气寒冷而导致皮肤干燥、开裂等现象

編み込む(あみこむ):织入

雁木(がんぎ):(栈桥的)梯磴;桥上的横木条;(在多雪的地方)深房檐下面的通道

明け透け(あけすけ):露骨;不客气

捩り鉢巻き(ねじりはちまき):拧起来扎在头上的布手巾;拼命的样子

決まりが悪い(きまりがわるい):不好意思

拝む(おがむ):叩拜、合掌行礼;恳求、拜托;(谦让语)看

黴臭い(かびくさい):霉味;(想法等)陈腐、陈旧

语法

“とうとうそれっきり履かずじまいさ”

动词未然形+ずじまい

する变为せずじまい

表示原本想做的事因某种原因没有做成。说话人的后悔、遗憾、自责等语气较强。“结果未能……”

作业

1.读课文

2.思考课文相关内容:

3.阅读方言和共通语的内容:

4.阅读同音字相关内容并完成练习:

5.阅读文章结构并完成练习:


日本小5课文:高筒草鞋里的神【久我Masahi的日语课堂】#68的评论 (共 条)

分享到微博请遵守国家法律