夏凯俳句
蘆焼くや千本の蛇の舌揚がる
芦烧呀,千条蛇的舌头扬起。
大朝寝釈迦牟尼涅槃図寺壁
大朝寝,释迦摩尼涅槃图,寺壁。
雨月夜の三十六峰が濡れ色
雨月夜,三十六峰湿润的颜色。
大海に墨汁一滴や飯蛸
大海中墨汁一滴呀,饭蛸。
原爆忌人間地獄図展開
原爆忌,人间地狱图展开。
花瓶に一輪草は曲線美
花瓶中,一轮草是曲线美。
軒下の乞食の声や雨水の夜
檐下乞食之声呀,雨水夜。
清朝の橋の欄干に残雪
清朝桥栏上,覆残雪。
独活の根と立体家系図地下にあり
独活之根,地下的立体家系图。
夕焼け海薬師如来の焔の網
夕烧海,药师如来之焰网。
梅一枝昼夜兼行洛陽へ
梅一枝,昼夜兼程赴洛阳。
煙雨中四百八十寺法師
烟雨中,四百八十寺,法师。
遅桜万朶山中大歩く
迟樱万朵,山中大步。
朧月日本海上船迅し
胧月,日本海上船迅。
雁帰る伊豆の山山青し波
雁归,伊豆群山,青波起伏。
哀愁の岸に一人は搗布かな
哀愁之岸上,一人捣布哉!
夜の故人を訪ねて八重の雪国
夜访故人,八重之雪国。
一筋の秒针の音や行く春
一根秒针的声音呀,春天在流逝。
金色の肉髻湧く菊の芽
金色的肉髻涌出,菊芽。
涼風や北窓開く松の月
凉风呀,打开北窗,松之月。
旧正や万家の門の春聯
春节呀,万家门上的春联。
観音は朧の千手月化身
观音哟,朦胧中的千只手,月化身。
紅梅や口紅一つ唇に
红梅呀,一支口红,唇上。
残花残照山河幾度干戈かな
残花残照,山河几度干戈哉!
美しき江南四月草青し
美呀,江南四月草青青。
春暁や千紫万紅猶夢中
春晓呀,万紫千红犹梦中。
秋山や放物線を描いている
秋山呀,描着抛物线。
百花深処一僧帰や春の風
百花深处一僧归呀,春风。
天の風飄々として春服や
天风飘飘,春服啊!
春愁や五臓六腑の乱に及ぶ
春愁呀,五脏六腑之乱及。
花吹雪舟の旅人は窓開く
舟上旅人推窗看,花吹雪。
春耕の田は方眼紙の如し
春耕之田宛如方格纸。
一節を軽く敲いて竹の秋
一节轻敲竹之秋。
万丈の糸を握つて凧揚げる
万丈之丝握手中,风筝高扬在天际。
吾四周言論自由田螺鳴く
我四周言论自由,田螺鸣。
春遅や自転車をこぐ輪の光
春迟呀,踏着自行车,轮之光。
扁舟や銀を満載して茅花
扁舟呀,满载白银,芦花。
燕尾や鋏の如き雨断つ
燕尾呀,恰似剪刀将雨断。
空襲忌全身血管破裂する
空袭忌,全身血管破裂。
羽毛状雲白一色鳥の恋
羽毛状云,白一色,鸟之恋。
中庭に一樹の玉や梨の花
中庭一树玉呀,梨花。
万輪の白の泡沫雪崩かな
万朵白泡沫,雪崩吗?
夏近し風に暦が翻る
夏近,风中日历翻。
夕焼けて連鎖反応蜷の道
夕烧,连锁反应,蜷之道。
複眼の中の浮世や蠅生る
复眼中的浮世呀,蝇生。
暁や白き波透く霧の舟
晓呀,白波透,雾之舟。
初富士や縹渺たる小舟横に
初富士呀,缥缈小舟横。
蘆芽や千代野の十の指の先
芦芽呀,千代野的十指尖。
初午や一帆を消して水波紋
初午呀,一帆消失,水波纹。
網膜に地球一つの春浅し
视网膜上地球一个,春浅。
この時の四方八方の春闌く
这时,四面八方,春阑。
漂白が効果的です秋の山
漂白的效果,秋山。
白紙に「白」の一字の雲白し
白纸上,白之一字,云白。
美しい玉月照る春田かな
美玉,月照春田哉!
透明な静脈潤む春愉し
透明的筋脉湿润了,春愉。
一筋の玉帯残る春の川
残留一条玉带,春川。
春満月徒溢清輝窮相思
春满月,徒溢清辉穷相思。
春怒濤金剛力を出す獅子吼
春怒涛,金刚力出,狮子吼。
天近く春星摘む玉の峰
天近,摘春星,玉峰。
清涼の一瀑掛けて春の闇
清凉一瀑挂,春暗。
春雪の纷纷として国境
春雪纷纷,国境。
春の夢生死愛欲解脱也
春梦,生死爱欲解脱也。
水面に月光薄似て春蟬翅
水面上,月光薄似春蝉翅。
晩春や小波散って翅の掠る
晚春呀,涟漪散,翅之掠。
眼愁ひ朝に夕には彼岸桜
愁眼,朝朝暮暮,彼岸樱。
白雲の纷纷として羊の毛
白云纷纷,羊毛。
朦朧と髪一筋や月の藤
朦胧之辫一条呀,月之藤。
古草の青青として膝掩う
古草青青欲掩膝。
月遍路一塊の一塊の舗石
月遍路,一块一块的铺石。
白皿に臥して無夢は干鰈
白碟上卧,干鲽无梦。
一心に心経を読む息白し
一心读心经,息白。
砕玉の如き小川が流氷来
宛若碎玉,小川流冰来。
風恨む李賀の詩嚢へ柳絮飛ぶ
恨风呐,柳絮飞向李贺的诗囊。
人間や引力による花吹雪
人间呀,万有引力,花吹雪。
全身の毛孔を開く春風に
全身毛孔开,春风里。