【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 119 [千五百七十四年 九月上旬]
书名 战国小町苦劳谭
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作者: 夹竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
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千五百七十四年 九月上旬(*原文网页序列号 - 136)
加賀一向宗への対応が動き出し、いくさの気配が強まっているが、肝心の信長は変わらず内政に注力していた。
加贺一向宗的对应开始行动,战争的气息变得更加浓厚,但关键的信长仍然专注于内政。
勿論、まったく無関心でなどいるはずもなく、目立たないよう着々と布石を打っていた。
当然,并不存在完全无所谓的态度,他们默默地打下基础,期待能够悄无声息地行动。
時を同じくして静子は、秀吉領である長浜方面の開発に一区切りをつけ、予(かね)てより要請のあった大津方面の開発へと着手していた。
与此同时,静子结束了对秀吉领长滨一带的开发,并开始着手开发大津一带,此前已被提出要求。
ここで静子が手掛けているのは、田上山の開発。
在这里,静子正在开发田上山。
鉱物資源の採掘と、それに伴う道路整備が主な事業となる。田上山は滋賀県でも南西部に位置する大津の更に南側に位置する山々の総称だ。
矿物资源的采掘和相关的道路建设是主要业务。田上山是滋贺县更南部的大津市更南部山区的总称。
これらの山々は花崗岩を主体としており、ほぼ全域に亘って花崗岩鉱物が産出した。
这些山主要由花岗岩组成,几乎整个地区都产出了花岗岩矿物。
代表的なものとして、建材として重宝される御影石や、現代では宝石やパワーストーンなどと言われる水晶や黄玉石(トパーズ)が得られる。
作为代表性的事物,可以提到身为建材备受青睐的御影石,以及现今被称为宝石和能量石的水晶、黄玉石(托帕石)等石材。
現代では装飾品や宝石として価値がある水晶や黄玉石だが、当時はどちらも鉄より硬いため加工ができず、長年無価値な存在として放置され続けてきた。
现代水晶和黄玉石早已被当作装饰品和宝石,并被赋予了很高的价值。但在古代,由于它们的硬度比铁还要高,因此无法进行加工,因而长期被视为无价值的存在。
比較的大きく成長しやすい水晶などは、時にご神体として祀られることもあったが、小ぶりな黄玉石は明治期に外国人宝石商がその価値を見出すまで、路傍の石と変わらぬ扱いを受けていた。
相对较容易成长的水晶等大型石头,有时会成为神灵崇拜的对象;而小巧的黄玉石直到明治时期,外国宝石商们才发现它的价值,之前则被视为无关紧要的路边石头。
無価値と断ぜられた黄玉石だが、静子からしてみれば宝の山だった。水晶は鉄よりも硬く、黄玉石に至っては、水晶よりも更に硬い。
被断言没有价值的黄玉石,在静子看来却是宝藏。水晶比铁更硬,而黄玉石甚至比水晶更硬。
衝撃に対する特異な割れ方を示す『劈開(へきかい)性』を持っているため、取り扱いは難しいが、硬いというだけでも価値があった。
因为拥有对冲击具有特异的劈裂性,因此处理起来很困难,但仅仅是硬度足够也具有一定的价值。
粒径の小さい物であっても研磨剤として利用できるため、静子は現地民を雇って大々的に収集させていた。
由于即使是小颗粒大小的物品也可以用作研磨剂,静子雇用当地居民广泛收集。
特に雨が降った翌日が好機であり、その日は危険手当として二割増しの日銭を払ってまで動員していた。
特别是下雨之后的第二天是一个好机会,那一天为了动员人员,即使支付额外20%的危险津贴,我们也要付出。
そうしてまで人を集める理由は、黄玉石の比重にあった。黄玉石の比重は大きく、少々の雨では流されない。雨で表土が流され、比重の大きい黄玉石が露出するのを期待しての事だった。
如此大费周折地聚集人群的理由在于黄玉石的比重。黄玉石的比重较大,即使下一点雨也不会被冲走。期待着雨水冲刷表层土壤,让较重的黄玉石露出来。
しかし、表土が流されるということは、地面が泥濘(でいねい)化するということである。田上山は急勾配の斜面が多く、足元が悪い中では移動するだけでも危険が伴う。
然而,表层土被冲走意味着地面会变成泥泞。田上山地区有许多陡峭的斜坡,移动时脚下很容易走得不稳,存在风险。
危険で汚く、きつい仕事。所謂(いわゆる)3K労働であるため、やりたがる人間は少ない。それゆえに危険手当を上乗せし、待遇を篤くして人員を確保していた。
危险且脏乱并且工作非常辛苦。所谓的“3K劳动”,因此愿意做这种工作的人很少。因此,公司额外支付危险津贴,提高待遇以确保人员稳定。
余談だが黄玉石には二種類があり、屈折率が高く、長時間光に晒しても退色しないものを『OHタイプ』、それ以外を『Fタイプ』と呼ぶ。
余话,黄玉石有两种类型,高折射率,长时间曝光也不会褪色的被称为“OH型”,其他则称为“F型”。
日本で産出するものは基本的に『Fタイプ』であり、殆どが無色透明の原石だ。
在日本产出的大多数物品基本上都是“F型”,而且几乎都是无色透明的原石。
現代では、これらに加熱や放射線を照射することで人工的に色を付けたものが流通していることも多い。
现代很多人工食品会通过加热或照射放射线的方式来人造染色。
無色透明のトパーズと、水晶とを目視だけで見分けるのは困難だが、特性を踏まえれば簡単に判別出来る。
无色透明的托帕石和水晶在肉眼观察下很难区分,但是根据它们的特性可以轻易地分辨出来。
水晶と擦り合わせて、水晶に傷がつけばトパーズであり、付かなければ水晶だ。
用水晶与磨擦,如果水晶有划痕则是托帕石,没有则仍是水晶。
鉱石の採掘と並行して、静子は田上山で横行していた乱伐を禁じた。檜材の一大産地として名を馳せていた田上山は、当時から事あるごとに乱伐されていた。
在开采矿石的同时,静子禁止了在田上山猖獗的乱伐行为。作为檜木的主要产地之一,田上山自古以来就一直受到乱伐的困扰。
史実では乱伐の結果、はげ山となり、流出した表土が河川へと流入し、洪水の原因となった経緯がある。
在历史上,乱伐导致了山体荒漠化,表层土壤流失到河流中,成为洪水的原因。
これを未然に防止するため、めったに振るわれない静子の強権で以て、一帯の材木を輪番制で供給する計画性林業へと変更した。
为了预防这种情况发生,静子通过其极少行使的权力,将该地区的木材供应转变为轮班制计划性林业。
これは実際に石見銀山などでも採用されたシステムであり、銀山周辺を三十二か所に区画整理し、順番に伐採を行うというものだ。
这是实际上在石见银山等地采用的系统,将银山周围划分为32个区域,按顺序进行伐木。
伐採を行った区画は、次回の伐採に備えて植林を行い、長期的に材木を供給し続けるという形態をとる。
砍伐的区域将进行重新植林,以备下一次砍伐,并长期持续供应木材。
以前にも触れたが、大津方面の河川に土砂が流入し、流量が制限されてしまえば琵琶湖が氾濫し、近江一帯が洪水に見舞われる。
之前已经提到过,如果大津一带的河流淤积土石,水流量被限制,那么琵琶湖将会泛滥,并且近江地区将会遭受洪水灾害。
ひとたび洪水が発生すれば、井戸水などが汚染されたり、蚊などが大量発生したりと負の連鎖が始まる。為政者としては決して見過ごすことはできない問題であった。
一旦发生洪水,井水等会被污染,蚊虫大量繁殖等负面连锁效应就会开始。作为执政者,这是一个不能被忽视的问题。
「近江の治水には注意を払わないと、広大な範囲に被害が及ぶからね。まあ、羽柴様の領分だから、私があまり口を挟むのも憚(はばか)られるし、それとなく情報を流してもらって、あとはお任せしよう。それより写真の開発を進めないと!」
「如果不注意近江的治水,灾害会波及到广大的范围。嘛,毕竟是羽柴大人的领地,我也不好多嘴,只能间接地传递情报,剩下的就交给你了。比起那个,要先推进照片的开发啊!」
写真とは言っても、現代人が思い描くようなロールフィルムを使用したものではない。
即使说到照片,它也不是使用现代人所想象的胶卷。
ガラス板に乳剤(感光材料が含まれるゼラチン)を塗布した『ガラス乾板式フィルム』を用いる方式である。
采用涂布在玻璃板上的含有感光材料明胶的"玻璃干板式胶片"方式。
当然のように白黒写真であり、カラー写真など望むべくもない。
当然是黑白照片,根本没有希望拍成彩色照片之类的。
銀塩写真の感光原理や、現像に至る理論などの理解をすっ飛ばし、そういうものだとして無理やり研究開発を推進しているからか、実用化に難航している。
因为跳过了对银盐照片感光原理、显影等理论的理解,强行推进研究和开发,所以才导致实现实用化困难重重。
歴史的経緯を考えれば、隔絶した技術レベルであるため、わずか数年で実用化しようなどというのは虫の良い話であった。
考虑到历史背景,要想在相对落后的技术水平上仅仅数年内实现实用化,这只是徒劳无功的抱怨。
そうまでして静子が写真に拘る理由とは、偏(ひとえ)に「情報の保全に適している」からであった。写真は現実をありのままに切り取り保存することができる。
静子如此固执地照相的原因,主要是因为照片非常适合保留信息。照片可以真实地捕捉并保存现实。
文化財の保護者に任じられた静子は、当時の様々な文化を可能な限り後世に伝えようと考えた。
被指定为文化财物的保护者的静子决定尽可能地将当时的各种文化遗产传承给后代。
文字や図式という記号に落とし込まれた文書は、写本をすれば複製できるが、絵画や立体、建築や庭園などは残しようがない。
文字与图式作为符号所体现的文献,可以通过抄写复制。但绘画、立体、建筑、庭園等却无法保留下来。
しかし、写真であれば現物そのものは無理でも、その時その場所に存在した一瞬をありのままに保存できる。
然而,虽然无法保存实物本身,但照片可以保存当时当地存在的瞬间。
その時代の人々の暮らしぶりなどといった形のないものすら、風景として切り取ることができるのだ。
那个时代人们的生活方式等无形的东西甚至可以被剪裁成景象。
とはいえ写真の原理は徹頭徹尾、化学反応の上に成り立っている。持ち運びが可能で、長期間の保存に耐える写真の開発には、まだまだ研究期間が必要だった。
然而,照片的原理始终建立在化学反应之上。能够携带并经受长时间保存的照片的开发还需要更长时间的研究。
「花火はまあ……命知らずで腕の立つ職人がいるから、思いのほか研究が進んでいるけれども」
“烟花嘛……因为有勇敢而技艺高超的工匠,所以研究进展得比预想的快。”
現代人にとって夏の風物詩となっている花火だが。その正体は火薬と金属粉末を利用した炎色反応が齎す、刹那の芸術である。
现代人眼中,夏日的烟火成了风景之一,然而其实质是利用火药和金属粉末进行的炎色反应所带来的短暂艺术。
いつ頃日本に花火が定着したかは定かではないが、戦国時代には伝来していたであろう記録が見受けられる。
虽然不确定日本何时确立了烟火的传统,但可以看到在战国时代已经有了记录。
当時に伝来していた花火は、打ち上げ式花火ではなく、固定式の筒から色のついた火花が飛び散るものだ。
当时传承下来的烟火并非升空式的烟火,而是从固定的筒中飞溅出带色火花的烟火。
一方、静子が語っている花火とは打ち上げ花火である。当初は銃弾の開発に際して、火薬や弾頭の研究の折に、弾頭を銅で覆う方式を提案した際の余談であった。
一方,静子所说的花火是指打上天空的烟火。最初,这只是一则在研发子弹时,讨论火药和弹头结构时提出的有趣话题,建议使用铜覆盖弹头的方式。
炎色反応の原理を開陳し、実際に細く引き伸ばした銅線を炉へ差し入れ、青緑色の炎が上がるのを職人たちに見せ、これを利用した花火というものが存在すると漏らしてしまった。
展开炎色反应的原理,并将拉伸的铜线放入炉中,向工匠展示燃起青绿色火焰的过程,透露利用此过程的烟花存在。
多くの職人は感心しただけだったが、砲弾開発の中心的な職人が興味を示した。静子ではなく、足満主導で行われていた大砲の開発に応用できるとして、研究を願い出た。
许多工匠只是感到惊奇,但是负责砲弹开发的中心工匠表现出了兴趣。他请求进行研究,认为可以将其应用于大炮开发中,而不是静子牵头进行的。
当初は火薬が軍需品であり、貴重である上に、扱いが難しいことから静子は難色を示していた。
最初,火药是军需品,非常珍贵,而且由于处理难度大,静子表现出了犹豫。
しかし、それほど火薬を使用しない線香花火の存在を思い出し、それを最初の研究課題とすることを条件に許可を出した。
然而,想起了没有使用太多火药的香花火的存在,并在以其为第一个研究课题的条件下批准了该研究。
鉄粉を膠で練って、薄く棒に火薬と共に塗り付けるだけの線香花火だが、粉末の大きさや、塗り付ける量など工夫すべき点は数多く存在した。
将铁粉和胶混合后,涂抹在细棒上并与火药一起制成线香花火。但粉末的大小和涂抹的量等需要注意的地方很多。
「まさか、打ち上げ花火にまで漕ぎ着けるとは……」
"竟然连烟火都划到了海岸边……"
線香花火を皮切りに、手持ち花火を開発し、次に火薬の燃焼を推力とするネズミ花火が生まれ、コマ花火などを経て、遂には星と呼ばれる火薬の塊を打ち出すという、大砲に通じる原始的な打ち上げ花火にまで達した。
从香烟火开始,发展出手持烟火,接着诞生了以火药燃烧推动的老鼠烟花,通过陀螺烟花等等,最终达到了能够发射火药块并被称为星星的类似大炮的原始烟花。
とはいえ、戦国時代のこと、彩色光剤として利用できるのは銅や錫、鉛に燐などであり、色彩は青色寄りとなる。
然而,在战国时代可用作着色剂的是铜、锡、铅和磷等物质,颜色偏蓝。
しかし、火といえば赤いものという固定観念のある人々にとって、この花火は画期的であった。
然而,对于那些认为火应该是红色的固定观念的人来说,这种烟火是具有里程碑意义的。
「段々と使用する火薬量が増えたから、爆発事故なんかもあったけど、遂に夜空に線を描くところまで来たんだよね。そういえば上様が、夏祭りに帝のご臨席を賜るとか言っていたけど……花火を見せるんだろうなあ」
「由于使用的火药量逐渐增加,曾经发生过爆炸事故,但终于到了能在夜空中画出线条的地步了。顺便提一下,据说上大人说夏祭中将有皇帝的到来……大概是要献上花火吧。」
「静子様」
静子様 -> 静子氏
帝を担ぎ出す以上、些細な失敗すら許されない。入念に事前準備をし、万が一にも延焼などが起こらないよう、徹底して火除地を確保する必要がある。
如果抬起皇帝,就连微小的失败都是不允许的。需要进行充分的事先准备,必须彻底确保火源不发生延焼等,以便保证火源地的安全。
色々と悩ましいことが増えるなと、静子はげんなりと項垂(うなだ)れていた。そこへ室外から静子を呼ぶ声が届く。
听到越来越多令人困扰的事情,静子不禁低下了头。这时,从室外传来了一个呼唤静子的声音。
「静子様、加賀一向宗の件についてご報告します。度重なる挑発により緊張感が高まり、いよいよ末端を抑えきれなくなっているようです」
「静子女士,关于加贺一向宗的事情,我来向您报告。由于不断的挑衅,紧张感不断升高,似乎已经到了控制不了末端的地步。」
「……ご苦労様。引き続き監視をお願いします」
"谢谢你的辛勤工作。请继续监视。"
「はっ」
「はっ」 translated to Simplified Chinese is "嗯".
声の主は真田家が管理する間者であった。間者らしい要点のみを簡潔にまとめた定期報告を受け、静子が労うと、声の主は音もなく立ち去った。
声音的主人是由真田家管理的间谍。在接收到简明扼要的间谍报告后,静子向其表示感激,声音的主人无声无息地离去了。
加賀一向宗に対しては柴田勝家を総大将とした軍勢が、越後へと送る職人の護衛と称して向かっていた。その道中で、あれやこれやと手を講じては、一向宗への挑発を繰り返していた。
加贺一向宗的对手派遣了以柴田胜家为总大将的军队作为护送越后的工匠,一路上他们不断挑衅一向宗,进行各种挑衅行为。
無論、一向宗の総本山たる本願寺側も、この露骨な挑発が企図するところを正確に理解していた。それゆえ加賀一向宗に対して、挑発に応じることを禁ずる通達を出していた。
无论如何,本愿寺作为宗教总部,准确理解了这种明目张胆的挑衅的意图。因此,他们发布了一项通知,禁止加贺一向宗回应挑战。
しかし、本願寺の対応をあざ笑うかのように、織田軍は更なる挑発を繰り返した。
然而,织田军队继续挑衅,仿佛在嘲笑本愿寺的反应。
ゆく先々で「本願寺は我が身可愛さに、加賀一向宗を見捨てた」などと触れて回り、沈黙を保つ加賀一向宗を「強いものには噛みつけぬ臆病者の集まり」と吹聴した。
在前往的各处,他提到了“本愿寺因为喜欢我而离弃了加贺一向宗”,并散布着加贺一向宗沉默的言论,“只有懦弱之辈才不敢反抗强者”等等。
織田家と本願寺は和睦を結んだが、それはか細い糸で結ばれた仮初(かりそめ)の平和にすぎない。蟻の一穴からでも容易に崩壊し、再び敵対関係へと戻る、危ういものであった。
織田家和本愿寺达成和解,但这只是一条脆弱的、暂时的和平纽带。即使从一只蚂蚁的洞穴中,都很容易崩溃并再次进入敌对状态,是一种危险的状态。
そんな相手の領内で、事実とは言え悪評を流すというのは、人伝(ひとづて)でしか情報が広がらない戦国時代に於いては、非常に有効な一手となった。
在那种只能通过人传来扩散信息的战国时代,在对方势力范围内散布事实上属于恶意的谣言,成为了非常有效的一招。
それがどんな集団であれ、武力を売り物にしている以上、舐められて黙っていては面子が保てない。
无论是什么集团,如果他们以武力为卖点,被人看轻且保持沉默只会让自己失面子。
少なからず名を馳せて、自尊心が肥大したところにこの扱いとなれば、末端が暴走するのも時間の問題であった。
少说也是名气大的人,自尊心本就很高,受到这样的待遇,末端失控也只是时间问题。
「相手が戦端を開いたという事実さえあれば、あとはどうとでも言い分が立つ。万が一、本願寺が加賀一向宗を切り捨てようとも、その責を本願寺に求めることは可能だしね」
"只要对方开了战端,接下来就可以有各种说辞。即使本愿寺不得不抛弃加贺一向宗,也可以要求本愿寺承担责任。"
狙い通り加賀一向宗が織田家に噛み付き、本願寺が同調して和睦を破棄すれば、信長はむしろ喜ぶだろうことは容易に想像できた。
按照计划,加贺一向宗攻击织田家,本愿寺同意破坏和平协议,信长反而会感到高兴,这是可以想象的。
(我慢比べも、そろそろ終わりかな)
(我们的耐心比赛,现在应该快结束了)
静子はほっと息を吐いた。石山本願寺が再びいくさを始める、決戦の時は着々と近づいていた。
静子松了口气。石山本愿寺重新开始战斗,决战的时刻正不断临近。
本願寺では、信長が岐阜に留まり続けているため油断が生まれていた。
本愿寺因信长一直留在岐阜,人们产生了松懈心态。
配下の将兵は加賀一向宗に向けて挑発を繰り返しているが、信長自身はその動きを疎ましく思っているようにすら見えた。
手下的将士们一再地向加贺一向宗挑衅,但信长本人似乎甚至觉得这种举动非常不舒服。
日和見を決め込む首脳陣に於いて、下間(しもつま)頼廉(らいれん)のみが危機感を抱いていた。彼は地道な調査の結果、静子の動向はおろか、信長の行動傾向をも分析していた。
在决定观望的领导层中,仅下间依廉感到危机感。他通过地道的调查结果,不仅分析了静子的动向,还分析了信长的行动倾向。
今までの傾向から見ると、信長が静観を決め込むときは、得てして雌伏しつつ力を蓄えていることが多い。
从以往的趋势来看,信长决定静观时往往潜伏并积蓄力量。
今回の和睦から続く一連の平和も、次なるいくさに向けて、軍備を整えているに過ぎないと推察できた。
从这次和睦开始延续的一系列和平,只不过是为了备战下一场战争而做的军备整备罢了。
元より本願寺側とて、宿敵信長相手に恒久的な和平が成るなどとは思っていない。いずれ雌雄を決するときが来ると理解し、来るいくさに備える必要があると考えていた。
从一开始,本愿寺方面也不认为能与宿敌信长达成永久和平。他们理解到,迟早会有一场决定胜负的战争到来,需要为此做好准备。
しかし、休戦中も継続して軍備を増強し続けている信長に対して、本願寺側は「今しばらくは、いくさを起こさない」と判断して、時間を浪費してしまっていた。
然而,本愿寺方面判断,织田信长在停战期间继续增强军备,因此“现在暂时不会发动战争”,浪费了时间。
(皆を阿蒙(あもう)(進歩のない者を指す言葉)と笑うことはできぬ。少なからぬ富が本願寺にも流入しているのだ、当分いくさはあるまいと思うのも無理はない)
无法笑看阿蒙(指没有进步的人)。相当可观的财富流向了本愿寺,也难怪会觉得暂时不必再发动战争了。
信長は敵対勢力だからと言って、本願寺を意図的に排除するような経済政策を採(と)っていない。信長が定めた商取引に関する約束事を守るのであれば、その門戸は万人に開かれている。
信长没有采取有意排除本愿寺的经济政策,尽管本愿寺是他的敌对势力。只要遵守信长制定的商业交易承诺,他的门户便向所有人敞开。
いくさには物資の大量消費と、人口調整という側面があるため、いくさが終結した後は得てして経済が活発になる。
由于战争需要大量消耗资源和控制人口,因此战争结束后通常经济会变得更加活跃。
所謂戦争特需に沸いた市場は、流通経路上に位置するだけでも多くの富を齎してくれる。
所谓战争需求旺盛的市场,即使仅仅是位于流通渠道中,也能带来丰厚的财富。
この好景気は、織田包囲網を維持するために、多くの富を放出した本願寺の懐を潤した。建前として、次なるいくさに向けての蓄財と称しているが、少しでも現状を維持したいと願うのが人情というものだ。
这个好景气让本愿寺放出了大量财富,以维持对織田包围网的支持。虽然表面上是为了储备下一场战役的财富,但实际上是希望尽可能地维持现状,这是出于人情所在。
しかし、頼廉が危惧するように休戦期間が長引くのは危険であった。
然而,正如莱廉所担心的那样,停战期过长是危险的。
今や『尾張様式』と呼ばれる程になった、尾張でしか生産できない物を次々と発信する信長と、流通の余禄に与(あずか)っているに過ぎない本願寺とでは、文字通り収益の桁が違う。
信长不断发推行名为“尾张样式”的以尾张专属制造为特点的物品,如今收益数字的巨大差距便显然,与之相对的是只有依赖于旺盛的流通收益的本愿寺。
更に信長は、得られた利益を再投資し、経済を活発化させることで、より効率的に富を生み出す好循環を作り出していた。
此外,信长通过将获得的利润再投资并促进经济活动来创造良性循环,更有效地创造财富。
こうなれば、時間が経つほどに織田家と本願寺との差は開いていってしまう。
这样一来,随着时间的流逝,織田家与本愿寺之间的差距会越来越大。
(取れる道は二つ。和睦を今すぐ破棄して織田領へ攻め込む、もしくは……いや、どちらも現実的ではない)
(有两条可行的道路。一是立刻废除和睦条约并进攻织田领,但这种做法不现实;另一种则……不,两种都不是现实可行的。)
現時点で和睦を破棄して、織田家を攻めるに足る大義名分がない。本願寺だけならば信仰心を煽ることで士気を維持できるが、本願寺に呼応する各勢力はそうはいかない。
目前,没有足够的正当理由来打破和睦,攻击织田家。仅仅依靠煽动信仰之心,本愿寺可以维持士气,但是其他势力不会这样做。
万民に対して信長討つべしという大義を示さねば、同盟国とて兵を出しにくい。一方、信長としては時間が経つほどに優位になるため、機が熟すのを待つだけで良い。
若不能向全民展示讨伐信长的伟大义,同盟国难以参与战争。而信长则只需等待时机成熟,优势会随着时间的推移而增加。
「織田がこうまで盤石なのは……やはり静子に依るところが大きいのか」
「織田之所以如此稳固......确实很大程度上归功于静子」
頼廉は、静子こそが織田家隆盛の原動力と考え、執拗に静子の情報を探し求めた。しかし、情報を集めれば集める程に、静子の狙いが見えなくなっていった。
藉着收集越来越多的情报,却越来越看不清静子的意图,頼廉认为静子是織田家隆盛的原动力,因此不断地寻找着有关她的信息。
静子の事業は余りにも多岐に亘り過ぎていた。複雑に絡み合った多角経営であるため、一つ二つの産業を潰したところでどうにもならない。
静子的事业范围过于广泛。由于涉及复杂的多元经营,关闭一两项产业也无法解决问题。
更にそれぞれの分野で、静子が興した事業を引き継ぐ人材が育ってしまっていた。織田家の屋台骨を傾かせるには、織田領の大半を焦土と化すような戦果が必要だ。
此外,在各个领域中,已经培养出了接替静子开办企业的人才。要破坏织田家的根基,需要取得能够把织田领土大部分化为焦土的战果。
頼廉は神話に出てくる『八岐大蛇(やまたのおろち)』を相手にしているような絶望感を覚えていた。
依靠廉感到了一种绝望感,就像是面对出现在神话中的“八岐大蛇”的感觉一样。
「加賀もいつまで保(も)つものか……」
“加贺能够持续多久呢……”
執拗に続く加賀一向宗への挑発は、末端の僧兵たちの激発を招いていた。
对加贺一向宗持续的挑衅变得更加固执,这导致了基层僧兵的激昂。
本願寺としても一度は信長に抗議をしたが、「人の口に戸は立てられぬもの。武力行使をしているのならいざ知らず、末端の兵に至るまで、悉(ことごと)く口を噤(つぐ)ませろと申されるのか?」との返答があった。
本愿寺曾经向信长提出抗议,但答复是:“不能管住所有人的嘴巴。如果使用武力,那是另外一回事。但你们要管好所有士兵的言行吗?”
信長は暗に「末端の兵の発言にまで文句を言うなら、こちらも同様の対処を求めるぞ」と言っているのだ。
信长曾含蓄地表示:“如果连普通士兵的发言都要挑毛病,那我们也将采取同样的对策。”
信長を仏敵と見做す信者は多く、彼らは信長を悪鬼羅刹(らせつ)の如く罵るのが常であった。
许多信徒认为信长是佛敌,并经常像咒骂恶鬼一样诅咒他。
こうして本願寺は自縄自縛(じじょうじばく)で動けなくなり、頼廉は臍(ほぞ)を噛む思いで信者たちの忍耐を願う他なかった。
这样一来,本愿寺因自己的行为而束手无策,而依廉则只能托庇信众的忍耐,心怀焦虑地咬紧牙关。
(信長を田舎の土豪と侮ってはならぬ。奴は己の面子に拘泥しない。利があると踏めば、宿敵である本願寺とすら和睦して見せる度量がある)
不要轻视信长作为一个乡村豪富。他并不拘泥于自己的面子。只要有利可图,他甚至会与他的宿敌本願寺和睦相处。
そして頼廉の思考は最初に立ち返る。このまま手を拱(こまね)いておれば、敗北は必定。然るに、織田家の勢力を削ろうにも、少々のことでは痛手にすらならない。
然后,Yadoran的思考回到了最开始。如果继续袖手旁观,失败是必然的。但是,即使削弱Oda家族的力量,稍微的事情也无法造成重创。
熟慮の結果、頼廉は大きな博打を打つことにした。この博打は非常に危険であり、策が成らねば自身の破滅にも繋がる。しかし、最早己の身を惜しめる時期は過ぎていた。
经过深思熟虑,頼廉决定打一张大赌博。这张赌博非常危险,如果没有妥善的策略,可能会导致他自己的毁灭。但是,他已经错过了保护自己的时机。
「(……致し方ない)誰か」
「(……没办法)某人」
覚悟を決めると、頼廉は人を呼び、とある文を指定の場所まで届けるように命じた。
当准备好后,Tadanori呼叫了人,并命令他将一份特定的文件送到指定的地点。
時は巡り八月となった。帝のご臨席を賜り催される予定であった花火大会だが、例年にない真夏日が続いているため九月に延期されることとなった。
时光匆匆,转眼到了八月。原本预定了皇帝亲临的花火大会,但由于异常的炎热天气持续,不得已推迟到九月举行。
盆地である京は、深刻な暑さに見舞われ、人々は涼を求めて日陰に逃げ込んでいた。気温もさることながら、湿度も高いため不快指数はうなぎのぼりであった。
京都是一片盆地,酷热的天气笼罩着这座城市,人们纷纷躲在阴凉处寻求凉爽。除了高温外,湿度也很高,使得不适指数不断攀升。
五摂家が一翼、近衛家の猶子(ゆうし)たる静子も、必要に駆られて京屋敷を与えられていた。
五家之一的摄家,同为近卫家的养子的静子,也因需要而被赐予了京都的住所。
とは言え御所に出仕する必要のない静子邸は、主(あるじ)不在のまま夏仕様へと模様替えを行っていた。
然而虽说静子邸并没有必要出仕于皇室,但在主人不在的情况下,他们还是进行了夏季改造。
戸板を取り外し、風通しの良い簾戸(すど)に交換したり、軒に簾(すだれ)を吊って日差しを遮ったりと工夫されている。
拆除原有的木板,改为通风良好的竹帘或萝卜帘;在屋檐上挂上遮阳帘以挡住阳光等措施。
他にも風鈴を吊るしたり、籐で編んだ敷物である『籐あじろ』を敷いたりと随所に配慮が為されていた。
他还在各处细心地安置了风铃,铺设了用藤条编织的藤垫。
「今年の夏は暑くて敵わぬ……」
"今年夏天太热了难以抵抗……"
問題があるとすれば、本来の主人ではなく、避暑目当てで前久(さきひさ)が入り浸っているという事だった。
如果有问题的话,那就是实际上不是原来的主人,而是前久深入其中寻求避暑所。
家人に用意させた冷たい茶で、喉を潤しながら前久が漏らす。涼を求めるだけならば、邸内に池を持つ前久邸で事足りる。
家人准备的冰茶让前久一边解渴一边说道:“如果只是为了寻求凉爽,前久家内的池塘已经足够了。”
態々遠出してまで静子邸に入り浸る理由は、京で唯一製氷機が設置されていることにあった。冷却材として硝安を使用しているため、軍需物資である硝酸を消費する。
特意远赴静子府邸的原因在于,这是京都唯一设有制冰机的地方。因使用硝安作为冷却剂,需要消耗军需物资硝酸。
流石の前久も製氷機だけは設置が許されず、こうして静子邸に通い詰めているのだった。
前久虽然身为名家,但仅有制冰机一项被允许安装,因此他一直光顾静子的别墅。
熱された体に、冷たい水分を取り込むのは好ましくない。急激に胃腸が冷やされれば、出血することもあると静子から釘を刺されていた。
暖身的身体不宜摄取冰冷的水分。静子曾警告说,若胃肠受急剧冷却,会导致出血。
それでもジメジメとした暑さに倦(う)んでいた前久は、素知らぬ振りでコップを呷る。他人の目があれば、前久も自重したのだろうが、身内しかいないとあれば多少気が弛むのも仕方ない。
然而,被潮湿闷热的天气折磨着的前久装作若无其事地喝了口杯中的液体。如果有其他人在场,前久可能会克制自己,但由于只有家人在场,稍微松懈一下也是无可厚非的。
「製氷機は耐用試験も兼ねているから構わないけど、避暑地代わりにしないで欲しいな」
“虽然制冰机也算是耐用试验,但请不要把它当成避暑场所。”
尾張に届けられた報告を受け、静子は何とも言えない微妙な気分になった。
听到关于在尾张地区的报告后,静子感到一种说不出的微妙情绪。
報告書からは、貴人であり、静子の父でもある前久を粗略に扱うわけにもいかず、家人たちが苦労している様子が窺えた。
从报告书中可以看出,由于前久既是贵人,又是静子的父亲,因此家人们不可能粗鲁对待他,他们的困难情况也从中透露出来。
天候ばかりはどうしようもないため、暑さの盛りを過ぎるのを待って貰う他なかった。
天气无法控制,只能等待炎热过去。
「それはさておき、遂に暴発したね、加賀一向宗」
"顺便说一句,加贺一向宗终于爆发了"
「長く続いた暑さも相俟(あいま)って、忍耐の限界を超えたのでしょう」
「长时间持续的炎热加上耐力的极限,恐怕已经超越了。」
静子は前久の報告書を脇に退けると、間者から最新の状況を聞いていた。
静子把前久的报告书放在一旁,听取了间谍报来的最新情况。
度重なる挑発に耐えかねた加賀一向宗の一団が、職人たちを護衛する織田家の手勢に襲い掛かった。襲撃に備えていた兵士たちは、これを返り討ちにすると同時に、一部をわざと逃がした。
忍受不了频繁的挑衅,加贺一向宗团队袭击了保护工匠的织田家手下。预先准备好的士兵不仅将其击败,还有意放走了一部分敌人。
逃げた一向宗を追いかけた織田軍は、彼らの逃げ込んだ寺『尾山御坊(おやまごぼう)』を包囲し、一向宗の襲撃により死人が出たと騒ぎ立てた。
追击逃跑的一向宗的织田军围攻了他们逃进的尾山御坊寺,声称在一向宗的袭击下有人死亡。
尾山御坊は寺とは言うものの、石垣を廻らした城に等しい要塞であった。籠城の構えを見せる一向宗に、総大将の柴田が最後通牒を突き付けた。
尾山御坊虽然被称为寺庙,但实际上更像是被石墙包围的城堡。在一向宗展示抵抗的姿态下,总指挥柴田发出了最后通牒。
『卑劣にも非武装の職人に襲い掛かり、その命を奪ったとなれば容赦できぬ。襲撃に加わったもの並びに、これを指揮した僧侶の引き渡しを求める』
“如果卑劣地袭击了无武装的工匠并夺取了他们的生命,我们将不会宽恕。 我们要求交出参与袭击和指挥袭击的人,包括僧侣。”
実際には職人たちに死傷者は出ていない。しかし、死人に口なしが乱世の習い。衆目の前で襲撃をし、更には敗走した一向宗には如何なる言い訳も許されなかった。
实际上,工匠们没有死伤者。但是在乱世中,死人没有话说是一种习惯。在众人面前袭击,更何况已经溃败的一向宗,任何借口都不允许。
柴田を筆頭とする織田軍は、加賀一向宗の拠点であった鳥越(とりごえ)城と、二曲(ふとげ)城をも包囲し、相互の連携を出来なくしてしまった。
柴田领导的織田军围攻了加贺一向宗的据点鸟越城和二曲城,使它们无法互相联络。
日を追うごとに厚くなる包囲と、補給を断たれ、情報すら入ってこない状況に恐慌を来たしたのか、尾山御坊の僧兵たちは信者を率いて打って出た。
随着时间的推移,尾山御坊的僧兵因被厚厚的包围所困,断粮、失去情报而感到恐慌。于是他们带领信徒冲出重围。
これを待ち構えていた柴田が返り討ちにし、更に先制攻撃を受けたとして、他の拠点へも圧力を掛ける。
柴田已准备好等待这一机会,将其反击,并施加压力于其他基地,以防更多的先发制人攻击。
捨て鉢になっていた一向宗と、入念に準備を整えていた柴田軍では勝負にならず、打って出た一向宗の殆どが命を落とした。
抛弃自保的一向宗和认真准备的柴田军之间的战斗并没有打成,大多数出战的一向宗士兵都丧生了。
敗北必至の開戦に慌てふためいた石山本願寺は、加賀一向宗の尾山御坊退去と引き換えに、軍を退くよう申し入れた。しかし、信長はこれを拒絶する。
石山本愿寺惊慌失措地面对不可避免的战败局面,提出退军请求,以和加贺一向宗的尾山御坊撤离为条件。但是,信长拒绝了这个请求。
時を同じくして織田軍に呼応するように、越後の上杉謙信が加賀へ向けて進軍を開始した。
随着时间的推移,为了响应織田军的行动,上杉謙信出兵前往加贺。
勿論、事前に申し合わせてあった軍事行動だが、信長は対外的に無関係を装い、国境へと兵を派遣すらした。
当然,这是事先协商的军事行动,但信长对外装作与此无关,并甚至派遣了军队到边境。
信長は上杉に対して、足満を使者として遣わし、その真意を問い合わせるよう命じた。加えて、長可を柴田の許へと送り出し、状況を確認して報告する役目を与えた。
信长派遣足满作为使者,向上杉询问他的真实意图。此外,他还派遣长可前往柴田的领土并确认情况,并报告给他。
「勝蔵(かつぞう)君から見て、やり過ぎだと思ったら止めてこいって話らしいけど……明らかに人選ミスだよね。物足りないって言って、督戦(とくせん)する姿が見えるようだよ」
“从胜藏君的角度来看,听说他说要停止过度,但显然是人选失误。他似乎在督促并展现出他的不满。”
「督戦どころか、先陣を切って城攻めに参加する可能性すらある」
“不仅会督战,甚至有可能率先参加城攻。”
盃を片手に、慶次が笑いながら答えた。長可の鼻先に餌をぶら下げておきながら、参戦せずに情報を持ち帰れなど、無理難題だと彼は思っていた。
一边端着杯子,景次一边笑着回答。他认为,让他来到这里,挂着诱饵不参战却要带回情报,这简直是无理取闹。
小競り合いでも始まれば、バルディッシュ片手に飛び込んでいく姿が、容易に想像できる。
即使是小规模的冲突,可以轻易地想象到他手持战斧,勇往直前的场面。
「明智様が動いていない……となると、また陰口を叩かれそうだね」
「如果明智先生没有行动……那么我们可能又会被人背后议论了呢。」
「国境の抑えがお役目ゆえ、城攻めに加わられるとは思えませぬが……」
「您作为守卫边境的责任重大,我认为不会参加攻城战……」(将原文翻译成简体中文后返回,请勿包含原文)
「いや、自領の越前を固めるだけなら余裕がある。多分だけれど、加賀一向宗の注意が柴田様へ向いている間に、遊撃部隊を背後へ回り込ませ、機を見て急襲するんじゃないかな?」
“不,如果只是巩固自己的越前领土,我们还有余力。也许当加贺一向宗关注柴田家时,我们可以将游击部队绕到敌人背后,并在机会出现时发动突袭吧?”
「なるほど……労せず戦果を攫いますか、確かに陰口の一つも叩かれましょう」
“原来如此……得到战果却不费力,确实会有人背后议论”
静子の言葉を受けて才蔵は得心がいった。光秀の役目は加賀一向宗の越前逃亡を許さぬこと。それさえ堅持していれば、余勢を駆って攻め込もうとも問題は無い。
听了静子的话,才藏心中有了明悟。光秀的任务就是要防止加贺一向宗的越前逃亡。只要坚守此项任务,即使敌人借势攻击,也不会有任何问题。
しかし、矢面に立って注意を引き付け、囮にされた側は心中穏やかではいられない。
然而,身为替罪羊的人必须吸引注意力,他们内心无法平静。
「ふーむ、加賀一向宗が攻めるとすると……やはり羽柴軍のところかな? 軍の再編が終わってないから、他と比べて明らかに圧力が弱いもんね」
"嗯,如果加贺一向宗要进攻的话......还是羽柴军那边比较可能吧?因为他们的重新编组还没有完成,与其他军队相比显然压力较弱。"
成り上がり者である秀吉は、譜代の臣と比べると家臣団が弱い。常備軍など持ちようがなく、多くが半農半兵の足軽や雑兵で構成される。
升官发财的秀吉与世袭的臣相比,家臣团体较弱。没有常备军队等,主要由半农半兵的足轻和杂兵组成。
武家の一門を纏める柴田軍と比べると、どうしても練度の面で見劣りしてしまう。反面、上昇志向が強く、泥臭いいくさでこそ真価を発揮するという強みがある。
与集结武士家族的柴田军相比,他们在训练水平方面显然不如对方。但是,他们有着强烈的上升动力和在艰苦环境下表现出真正实力的优点。
また、近江の将兵を自軍に取り込んだことにより、指揮系統の再編が済んでおらず、軍としての纏まりに欠いているという弱点を抱えていた。
另外,由于将近江的将兵并入自军,指挥系统的重新组建尚未完成,军队缺乏整合的弱点。
「如何に『人たらし』の羽柴様とて、近江の将兵を取り込むには時間が必要でしょう。今回は裏方に徹されるのではないでしょうか?」
“即使是善于交际的羽柴大人,也需要时间才能亲近近江的士兵。这一次,他可能只是扮演着幕后的角色吧?”
「羽柴様はともかく、柴田様のところは戦意が高いだろうね。勝蔵君、ちゃんとお役目を果たしてくれると良いけど……武功云々よりも、暴れる場が欲しそうに見えたから……心配だな」
「无论如何,丰臣殿下也许不太在意,但柴田殿下那里的战意肯定很高吧。胜藏君,希望你能好好履行职责......不过我有些担心,他似乎更想要发泄情绪,而不是追求武功。」
「前回の朝倉攻めでは、主力とすれ違って待ち惚け。それ以降は活躍の場が無いからな、活力の有り余っている勝蔵が張り切るのも無理はない」
“上次的早上攻击中,他错过了主力部队并等待不决。此后,他就失去了活跃的机会,因此拥有充沛的活力的胜藏充满干劲也无可厚非。”
そんな軽口を叩き合う三人だったが、静子の心配事が的中したことを、後に知ることになる。
但三个人都在打趣,却后来发现静子的担忧是正确的。
暦は9月に入り、朝な夕なに肌寒さを感じるようになった。猛威を振るった暑さは鳴りを潜め、日中は涼しく過ごし易い日々が続いていた。
日历已经进入了九月,早晚感觉有点寒冷。炎热的天气已经逐渐减弱,白天凉爽舒适的日子接连不断。
暑さを苦手として夏バテしていた動物たちも、活発に活動を始める季節。
对于不擅长炎热天气的动物来说,夏季休养生息,而现在是它们开始积极活动的季节。
しかし、同月に予定されていた花火大会は中止となった。主賓である帝の体調が思わしくなく、第一回大会にどうしても帝の臨席を賜りたかった信長が、中止を決断した。
然而,原定于该月份的烟火大会因帝的健康状况不佳而被取消了。信长因想要在第一届大会上一定要邀请帝的到来而决定了取消。
信長は口惜しそうであったが、花火職人たちは1年間の研鑽期間が生まれたことに喜んでいた。信長は催事の中止と、帝の回復を祈る文を認(したた)め、見舞い品と合わせて送っている。
信长虽然感到遗憾,但烟火工匠们因为有了一年的研习时间而感到高兴。信长取消了催事,并批准了为帝王祈福的文字,还与慰问品一起送去了。
「孔雀の飾り羽って、こんなに高く売れるんだね……」
“孔雀的装饰羽毛卖得这么贵啊……”
繁殖期の雄孔雀を象徴する飾り羽(上尾筒(じょうびとう))は、その美しさから珍重されていた。
繁殖期的雄孔雀象征装饰羽毛(上尾筒)因其美丽而备受珍惜。
この飾り羽は毎年生え変わり、繁殖期である初夏を過ぎると抜け始め、秋を迎えるころには全て抜け落ちる。
这些饰羽每年都会脱落新长出来,在繁殖季节初夏过后开始掉落,到秋天时全部脱落。
そしてまた晩秋頃から新しい羽根が生え始め、冬の盛りには生え揃うという。
然后,从晚秋开始,新的羽毛开始生长,在冬季达到完全生长。
最初は二組の番(つが)いで始まった、真孔雀の繁殖だったが、その後も継続して輸入をしたり、孵化に成功したりと数が増え、今では十五組の番いが生活している。
最初是从两对孔雀的繁殖开始的,但之后不断进行进口和成功孵化,数量也增加了,现在生活着十五对孔雀。
真孔雀の飾り羽は宝石に喩えられる程に美しく、インド孔雀のそれよりも価値が高いとされる。
真孔雀的装饰羽毛被喻为宝石般美丽,被认为比印度孔雀的价格更高。
その商品価値は日本国内よりも海外、特にヨーロッパ各国で高くなり、日本国内には殆ど流通しない。
该商品的价值在海外,特别是在欧洲国家比在日本国内要高,并且在日本国内几乎没有流通。
抜け落ちた飾り羽は、一本一本丁寧に洗浄され、個別に梱包されて海を渡ることになる。
掉落的装饰羽毛将一个个被认真清洗并单独包装后跨海运输。
孔雀には遠く及ばないものの、ダチョウの羽根も有力な商品となった。主にヨーロッパの貴族社会に於いて、ダチョウの羽根は装飾品として愛されていた。
尽管不及孔雀般璀璨夺目,但鸵鸟羽毛也成为具有影响力的商品。主要流行于欧洲贵族社会,鸵鸟羽毛作为装饰品备受宠爱。
大航海時代後期の十七世紀にアフリカで入植者達による商業飼育が始まり、世界各地で飼育が始まる二十一世紀までの期間、ダチョウの羽根は金やダイヤモンドと並ぶアフリカの特産品であった。
在17世纪大航海时代后期,非洲开始进行由移民进行的养殖业,直到21世纪世界范围内的养殖业开始,鸵鸟羽毛一直是非洲的特产,可与黄金和钻石并列。
永らく南アフリカの独占的畜産業として貿易を支えたダチョウの存在は、信長をして魅力的な産業だと言わしめた。
长期以来,鸵鸟作为南非独占的畜牧业一直支撑着贸易,这使信长觉得它是一项有魅力的产业。
安定した需要が見込めるダチョウだけに、静子はその繁殖に注力した。
鸵鸟因为有稳定的需求,静子专注于鸵鸟的繁殖。
その巨体からは想像できない程に人懐こいダチョウは、環境の変化に強く、成長も早いため優秀な家禽となる。
那些巨大的鸵鸟非常友善,令人难以想象。它们对环境的适应能力很强,成长速度也很快,因此是优秀的家禽。
ただし、繁殖期に入ると気性が荒くなるため、取扱いには注意が必要となる。
然而,由于处于繁殖期时它们的性情会变得粗暴,因此需要注意处理。
真孔雀と比べると飼育の容易なダチョウは、専用の牧場にて伸び伸びと育てられていた。個体数が一定値に達すると、古い世代から屠殺(とさつ)して加工される。
与真孔雀相比,饲养容易的鸵鸟在专用牧场里得以自由生长。当个体数量达到一定值时,就会宰杀和加工老一代的鸵鸟。
因みに海外へ輸出されるのはダチョウの羽根と皮だけであり、その肉には商品価値が認められていない。通常の方法で屠殺されたダチョウの肉は、非常に血なまぐさく、食用に適さない。
顺便说一下,出口到海外的只有鸵鸟的羽毛和皮,其肉并未被认为有商品价值。以常规方式屠宰的鸵鸟肉非常血腥,不适合食用。
それというのも、ダチョウは時速80キロにも達する程の速力を支える強靭な心肺を持っており、屠殺という命の危機に直面すると、その優れた循環器が全力で全身に血液を送り出す。
而且,驼鸟拥有强壮的心肺系统,可以支持时速80公里的速度,并且面对生命危险的屠宰过程中,它的优秀循环器官会全力将血液输送到全身。
その結果、全身の毛細血管が破裂し、筋肉の隅々にまで血液が潜り込み、犬も食わないと言われた肉となり果ててしまうのだ。しかし、現代ではダチョウ肉も立派な商品として流通している。
结果,全身的毛细血管破裂,血液渗进肌肉的每一个角落,使其成为狗都不吃的肉。而现代,鸵鸟肉已成为一种优质商品在流通。
その絡繰りは屠殺方法にあった。屠殺するダチョウを一室に移動させ、高濃度の炭酸ガスで昏倒させる。失神した状態で屠殺することにより、食用に適した肉へと加工することが出来た。
这种方法涉及到屠宰方式。把鸵鸟移动到一间房间,用高浓度的二氧化碳让它们昏倒。在昏迷状态下进行屠宰,以便把它们加工成适合食用的肉。
定期的に手に入るとは言え、商業として流通させるだけの量は確保できない。このためダチョウ肉は、静子と彼女の関係者が消費するにとどまっていた。
虽然经常能够获得到鸵鸟肉,但作为商业商品流通的数量却无法保证。因此,鸵鸟肉只是静子和她的相关人员消费的食品。
現時点で尾張から南蛮へと運ばれる主要な輸出品は、絹や木綿などの繊維の他、陶磁器や真珠、真孔雀、ダチョウなどの羽根など宝飾品類、醤油や味噌などの保存食が好まれた。
目前从尾张出口到南蛮的主要产品包括丝绸、棉织品等纤维制品,以及陶瓷、珍珠、孔雀、鸵鸟等羽毛饰品、酱油、味噌等保鲜食品。
また隣国である明へは漆器や扇などの加工品の他、椎茸やナマコにアワビ、牡蠣の干物と天草(てんぐさ)などの海藻類が多かった。次点として武具や衣類、生活用品などが取引されている。
此外,向邻国明朝的贸易品除了漆器和扇子等加工品之外,还包括了许多海产品,如香菇、海参、鲍鱼、干贝以及天草等海藻类。次要的贸易品则包括了武器防具、服装和日常用品。
これらの輸出品目には一つの共通点が存在する。いずれも静子が手掛けた産業による商品なのだ。
这些出口商品有一个共同点,那就是它们都是由静子经营的产业生产的商品。
「結構な量を供給し続けているけど、意外に需要が減らないね」
“我们一直提供相当数量的产品,但出乎意料的是需求并没有减少。”
消耗品とは異なり、宝飾品類は供給が安定すれば値下がりすると、静子は考えていた。しかし、予想に反して価格の変動が見られなかった。
与消耗品不同,静子认为珠宝类产品如果供应稳定,价格会下降。然而,出乎意料的是价格没有出现波动。
その理由の一端に、流通を担う商船の高い損耗率があった。
其中一个原因是负责流通的商船损耗率很高。
この時代の海運事情では、日本を発って無事に西洋諸国まで辿り着ける商船は少なく、半数程度の船舶が沈没したり、難破の憂き目を見たりしていた。
在那个时代的海运环境下,从日本启航到西方国家的商船能够平安到达的并不多,大约一半左右的船只都因为沉没或触礁而遭遇了不幸。
海難事故が稀な時代の価値観ゆえの盲点であった。
海难事故是因为罕见时代的价值观盲点。
「お、これは東山御物(ひがしやまごもつ)の報告書か。何々……順調に蒐集が進んでいると。まあ、細かいところは足満おじさんにお任せしよう」
哦,这是东山御物的报告书。嗯……收集工作顺利进行着。好吧,具体细节就交给足满叔叔吧。
東山御物とは室町幕府八代将軍の足利義政が蒐集した絵画や茶器、文具などの総称だ。その中には足利将軍家が代々蒐集した品が、相当数含まれている。
东山御物是室町幕府八代将军足利义政收藏的绘画、茶具、文具等的总称。其中包括足利将军家世代收藏的物品,相当数量被包含在其中。
なお東山御物は明治以降に定着した呼称であり、それまでは東山殿御物や東山殿之御物などと呼ばれていた。
而东山御物是自明治以来确立的称呼,此前被称为东山殿御物或东山殿之御物等。
義政の祖父である三代目将軍足利義満や、父である義教など、歴代将軍や足利将軍家は唐物を尊ぶ指向が強く、貿易により多くの芸術品を蒐集していた。
义政的祖父三代将军足利义满和父亲义教等足利将军家历代将军都非常推崇唐代物品,并通过贸易收集了大量的艺术品。
しかし、応仁の乱を機に散逸したり、また幕府の財政難から売却されたりしてしまった。そのまま所有者不明、所在不明になったものも少なくない。
然而,由于応仁之乱的爆发,许多文物失散了,另外一些因为幕府的财政拮据而被迫出售。也有不少文物因此成为了“无名之物”,失去了所有者和所在地。
しかし静子が朝廷より芸術品の保護を任じられた事で状況は一変する。
然而,静子被皇室任命保护艺术品后,局势发生了翻天覆地的变化。
能阿弥(のうあみ)が残したとされる、東山御物について編纂された『御物御画目録』や、同様の資料『君台観左右帳記』などを頼りに、散逸した東山御物の所在を把握しようとした。
借助据称由能阿弥所留下的东山御物编纂的《御物御画目录》和类似的资料《君台观左右帐记》,试图掌握散逸的东山御物的所在。
所在が確定した時点で、所有者に返還の要請が出される。何しろ足利将軍家の至宝に関する所有権は、現在織田家が引き継いでいる。
一旦确定位置,即向所有者提出归还请求。毕竟,关于足利将军家的至宝所有权,现在已由织田家接管。
たとえ正式に下賜されたものであっても考慮されない。売却に応じるか、自ら進んで返還するか、然もなくば武力を以て奪われることとなる。
即使是正式下赐的物品也不会被考虑。要么出售,要么自愿归还,否则将被武力夺取。
「静子様、上様がお見えになりました」
「静子女士,上先生已经到了。」
「わかりました」
"知道了"
報告書を読んでいると、小姓が信長の来訪を伝えてきた。信長が尾張にまできた理由を静子は察してため息を吐く。
读报告书时,小姓传达了信长的到访。静子察觉到信长到达尾张的原因,不禁叹了口气。
「茶器だよね、絶対」
“这肯定是茶具。”
理由は単純で東山御物に含まれる茶器や、現代に於いて国宝や重要文化財に指定されている茶器が、静子の許に集まってきているからだ。
理由很简单,因为收藏了包括东山御物中的茶器以及现代被指定为国宝或重要文化财的茶器都聚集在静子的家里。
特に現代に於いて国宝指定された曜変天目(ようへんてんもく)茶碗の3椀全てが揃っていた。最高傑作と名高い『稲葉天目』の名で知られる茶碗を信長が見過ごすとは思えない。
尤其是现代被指定为国宝的曜变天目茶碗的三碗都齐全了。被誉为最高境界的“稻叶天目”茶碗,信长不可能会忽略它。
これに信長が所有している第一の曜変天目茶碗が合わされば、日本に存在する全ての曜変天目茶碗が一堂に会することとなる。
若这个茶碗与信长所拥有的第一个曜变天目茶碗合并,则日本现存的所有曜变天目茶碗将会聚集在一起。
「うーん、あんなに渋っておられたのに、どういう風の吹き回しかな?」
“嗯,明明之前还在犹豫不决,这是怎么了?”
応接間へと向かいつつ、静子は独り言(ご)ちた。当初、静子は目録を作成するため、信長所有の曜変天目の貸出を願い出た。しかし、信長はこれを拒絶し、片時も手放さなかった。
走向客厅的途中,静子自言自语道。一开始,静子为了制作目录,请求借出信长拥有的曜变天目。但是,信长拒绝了她的请求,从未放手过。
『君台観左右帳記』の記述が正しいのか確認させて欲しいと、静子が出向くことを提案したが、それすらも却下された。
静子提议去确认『君台观左右帐记』的记述是否正确,但连这个提议都被否决了。
最終的に「他の曜変天目を蒐集出来たなら、考えても良い」となり、今に至っている。
最终变成了“如果能够收集到其他的曜变天目,也可以考虑”,并一直持续到现在。
「お待たせ致しました」
"不好意思让您久等了"
「堅苦しい挨拶は良い。今日、来た理由は分かっておるな?」
“严谨的问候是好的。你今天来的原因我知道。” (Simplified Chinese)
「勿論でございます」
当然。
信長の問いに返事をしつつ、静子は小姓へ合図した。厳重に梱包されているとは言え、一つで国が買えるとまで言わしめた茶器だけに、これを運ぶ小姓たちの足取りは重い。
当回答着信长的问题时,静子向侍从发了暗示。尽管这个茶具已经被严密地包装起来,但由于其价格能够买下一整个国家的说法,因此侍从运送它的步伐十分沉重。
無事に木箱を運び終えると、緩衝材に包まれた茶碗が見えるよう蓋を開ける。大任を果たした小姓たちは、一安心すると一礼して部屋を去った。
顺利地抬起木箱后,打开了盖子,茶碗被缓冲材包裹着显现出来。完成任务的下人们松了口气,鞠了一躬后便离开了房间。
「存分にお確かめ下さい」
请确认得充分。
静子が手ずから曜変天目茶碗に掛けられた布を取り去ると、信長の目に鮮やかな色彩を誇る茶器が飛び込んでくる。
静子亲手取下覆盖在曜变天目茶碗上的布,令信长眼前跃现出一只色彩鲜艳的茶具。
信長は薄く笑みを浮かべると、持参した木箱から自身の曜変天目を取り出した。
信长微笑着从带来的木箱中取出了自己的曜变天目。
全ての曜変天目茶碗が一堂に会した、歴史的瞬間であった。
所有的曜变天目茶碗聚集在一起,这是历史性的时刻。