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さよなら私のドッペルゲンガー

2023-02-24 09:34 作者:雪兰アニメ  | 我要投稿




プロローグ


 初恋の相手は、夏に消えた幽霊だった。

 瞼の裏側で描いた記憶は眩しくて、直視するにはいささか青い。けれど、絶対に忘れてはいけない日々。

 俺は感傷を振り払うように、首から下げたカメラを構えてシャッターを押下する。切り取られた如意ヶ嶽(にょいがたけ)の中腹には、たくさんの火床が大文字に並べられている。これらは数時間後に点火され、京都(きょうと)の盆の風物詩と化す。ふと耳をすませば、喧騒が遠くにあった。鴨川デルタの周辺は早くも賑わっているようだ。

 高揚感を原動力にして、俺は自転車のペダルを踏み込む。橙色(だいだいいろ)に染まった川端通(かわばたどおり)には、どこまでも夏の匂いが漂っている。

 きっと俺は、何年経ってもこの場所に帰ってくるのだ。

 そんな予感を胸に秘め、向かい風を吸い込むと、小さな虫がするりと鼻腔に侵入した。

「ンガァフッ!」

 自転車を止め激しく咳き込む。不意を突かれ、鼻の奥地まで開拓された。

 胃を吐き出す勢いでえずいていると、涙で滲(にじ)む視界に小学生とおぼしき少年を捉えた。突如豹変した俺の様子に恐怖を抱いたのか、表情が引きつっている。紳士として、若い芽に不安を覚えさせるのは本意ではない。無事をアピールすべく、鼻息で虫を吹き飛ばしてみた。

「う、うわぁぁっ!」

 少年は悲鳴をあげながら一目散に逃げていく。どうやらまだ、大人の魅力が理解できる年齢ではないらしい。ひと夏の思い出だと割り切って成長してもらうしかない。

 そんな発展途上の小さな背に暖かい眼差しを送ってから、ゆっくりと視線を空に移した。

 今の出来事も、彼女は俺が大好きな笑みで眺めているのだろう。先輩は変わってないですね、なんて生意気な評価を口にしながら。

「……そんなことはない。男子三日会わざれば刮目(かつもく)して見よってな」

 俺はにっと口角を上げてから、再び前を向く。広がる夕景は、あの頃と何も変わらない。今年もまた、大好きな季節が巡ってきたのだ。


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