【顶尖骑手对谈中文版】福永祐一X森泰斗

主持人:开场白
福永:请多关照
森泰斗:请多关照

===========================双方的印象=================================
主持人:聊聊你俩对对方的印象吧,还记得初次见面的时候吗?
森:佑一大概不记得了,10年前左右他来地方交流重赏,那是真的吓人。
主持人:吓人?
森:那个气场一出来我话都不敢说
福永:哈?你认错人了吧
森:没有没有,就是佑一
福永:em,10年前啊,那时候正好在争骑师王,我那时候气性荒,有点攻击性,所以可能有一点这种多余的可怕的感觉。
主持人:那你记得和森泰斗的初见吗?
福永:我记得那是一场一口马主的party
森:啊呀,不好意思。(笑)
福永:你还记得哦?
森:记得记得
主持人:有故事吗?
福永:虽然我也是,但森泰斗那时候喝酒喝的。好像是我们都拿了骑师王的那一年。他突然跑来“让我们加油吧!”(笑)
森:真是不好意思!
福永:你这个真是有点吓人的(笑)
森:那我不也是在争骑师王嘛,我可能也有点攻击性的呀(笑)

主持人:你俩平时都很活跃,森泰斗怎么看福永?
森:比赛和采访的时候遇到他觉得这家伙脑子是真好。然后,突然就进化了一刚。差不多10年前吧,一下子像是中邪了一样突然进化,你是进化了是吧?
福永:(笑)那时候我已经年过30了呀
主持人:具体发生啥了?
福永:我找了个教练。
主持人:找教练是怎么个情况?
福永:31、2岁左右的时候我觉得我的技术已经瓶颈了。只靠自己没有希望的,必须找人帮忙来改变。然后我就找了一个原骑师来帮我,希望能给我带来完全不同的理论。这个教练至今还在关照我。
主持人:是什么样的人?
福永:是日本马术国家队的助理教练,带过奥运会,专门给骑手做动作分析的人。
主持人:有了教练你就如虎添翼了
福永:我只是想试试的,结果3年后拿了骑师王
森:福永30岁的时候已经是顶尖骑手了。还在求上进太卷了。
福永:但那时候我又不是第一的,我那时候就在想到底怎么样才能拿下第一。
主持人:为了拿第一而求变

福永:看看我们森老师,一直就是南关东的老大。虽然我说这话有点奇怪,但原来不求变也是可以一直霸占第一的。(森泰斗从2018年到2021年连续四年南关东骑师王)
森:不不不,我觉得去年要不行了,我也觉得我再不进步就要艰难了。
主持人:是因为南关东的小朋友们给你压力了吗?
森:是的呀,笹川翼作为老大带着一帮年轻人提升技术。当然,我也希望南关东的骑师水平整体进步,所以作为船桥骑师会的副会长,我提出了船桥骑师王战的提案。现在被通过了,这样又多了一个让大家提高技术的舞台。
主持人:这是你提案的,年轻骑手的机会又多了。
森:年轻人高兴的话对我也是好事,我以前对这种事就是不停的抱怨,现在成熟一点了(笑)

主持人:福永对森太对有啥印象。
福永:交流重赏的时候遇到,也有户崎圭太的影响,不只是森泰斗,感觉地方赛马骑师的整体骑法比以前都变了很多。
主持人:怎么个变法
福永:以前的话迟钝的马比较多,深泥地所以需要更多的动起来,所以力量型的骑乘会比较多。但是现在的地方骑师越来越细腻了,像森泰斗就很少做多余的动作。一起比赛的时候你很容易察觉到“啊,这家伙是森泰斗”
主持人:是这样啊
福永:另外,泥地马也变了
主持人:你是说马儿变了吗?
福永:泥地里的速度马越来越多了,以前那种没速度所以跑泥地的马儿已经不够用了

===========================关于德比================================
主持人:2017年Higashi Will Win第一次拿下东京德比,那时候怎么样?
森:羽田杯输了,有点计划外的展开。我记得当时我担心如果东京德比也差1/2马身的话怎么办
主持人:结果领先了6个马身
森:对手是原来JRA的马,我当时就想谁要输给你这种辣鸡。
福永:果然会有这种情绪吗
森:有的,虽然可能是我多心。但是只要赢了JRA的马,我马上就会察觉到地方赛马的马迷就会瞬间融为了一伙。
主持人:确实那时候欢呼声不是盖的
森:现在回想起来,可能正是因为Captain King才会有那样的场面。
主持人:冲线时什么心情?
森:就像做梦一样,只知道开心

主持人:第二年的2018年,福永也和华格纳一起第一次拿了德比,那个时候怎么样?
福永:从我爹那一辈就时梦想,虽然中途有放弃过,我觉得可能真是没有缘分吧。但是赢了的时候我感受到超出我想象的心跳,人生不会有什么事情比那个场面更感动了。
主持人:华格纳的时候是外道吧
福永:当时看到8闸17号的时候我觉得完犊子了。
主持人:然后你从外道开始先行。
福永:这种外道要怎么赢,我模拟了很多遍。结论是只要获得某个位置,跟在先行集团后面。这马是如果跟不住的话,脚力就不行的。所以那是胜负手,如果成功的话还是有可能赢,结果挑战成功。
主持人:赢了德比有啥变化吗?
福永:那个经验真的是很重要,之后其他比赛的战术也都变了很多。赢下德比对我精神上的成长非常大。另外那场德比对我的技术成长也有很大帮助
主持人:森泰斗看过那场比赛吗?
森:当然了,电视上看的。我觉得那闸位是真的难。就像福永说的,他考虑了很多。我觉得这场能赢是天命。
主持人:之后福永又拿了德比,华格纳的经验有帮助吗?
福永:当然,帮助非常大,不仅是德比,我的骑手生涯都被华格纳改变了。

主持人:你的骑手生涯里,说道这匹马超强,你会想到那一匹?
福永:我骑了很多好马,如果你让我选一匹,那肯定是飞机云
主持人:和大震撼完成了史上第一个父子制霸,而且还是史上第三匹无败三冠。
福永:一开始觉得他应该是一匹一哩马,结果成长到菊花赏都能拿下,这个过程至今对我来说都是非常宝贵的经验。
主持人:最终战的2021日本杯你哭了,听说也不是一直很顺利。
福永:三岁拿了三冠打算挑战日本杯,结果菊花赏对蹄子的伤害太大了,之后它心灵受到伤害,就非常讨厌闸门。结果可能受此影响,大阪杯输了。我们是秋天在不安的情绪当中安排了日本杯作为退役战
主持人:结果没想到完胜
福永:真是了不起的马。赢了以后我真的为他的努力而感动。

主持人:森泰斗,说到强马,你想到谁?
森:这几年有很多从JRA转过来的马,这当中我觉得北部三日月很强,如果是泥地短距离的话我就选Love Michan
主持人:北部三日月拿了东京杯,Love Michan则是短途
森:但是,虽然有点对不起一些人。我觉得还没遇到过比如石崎(隆之)的Abukuma Polo,的场文男的Concert Boy,户崎圭太的Furioso这种级别的马。
福永:名垂青史的马是吧?
森:是的
福永:果然森泰斗拿腻了骑师王就会追求这种事了。
森:可能是的
福永:一直拿骑师王就会提升遇到好马的机会,但也不是拿了骑师王就每年都能赢德比的,这都是缘分

=======================有马纪念和东京大赏典=====================
主持人:今年有马纪念快到了,拿了那么多GI的福永,没想到最高的有马纪念居然是2011年“迈向辉煌”的第三名
福永:我跟大奖赛一直没啥缘分(笑)
主持人:中山2500米有什么攻略点吗?
福永:我就是因为不知道才没赢过呀(笑)
主持人:不好意思(笑)
福永:但有马确实是最热闹的比赛
主持人:果然欢呼和其他比赛不一样吗?
福永:完全不一样的,那个礼拜所有的体育报纸全都是有马纪念的新闻,平时的话不看赛马的人不太会注意到的。这是很特别的,所以也很想骑,很想赢
主持人:地方赛马的话就是12月29日的东京大赏典了,对森泰斗来说是怎么样的比赛?
森:梦幻比赛,是大井全年最热闹的一天。给我感觉年底了大家都很飘(笑)。在这种氛围里尽情的跑是很享受的,除了想办法赢JRA的马,如果才能培养马拿下东京大赏典也是赛马人一直思考的话题。

主持人:福永曾经骑“浑身勇气”拿下过大井2000米的帝王赏,对这条赛道有什么感觉。
福永:挺难的
森:大井的赛道看上去靠力量挺简单的,实际上完全不是。包括比赛日场地的含水量的变化,今天不能跑这块地方,会发生这类的情况。
福永:地方赛马这种事不少!
森:是的
福永:果然地利非常重要。所以一定要找当地的骑师了解情况,至于人家会不会说实话就不知道了(笑)

======================福永提问森泰斗=====================
主持人:机会难得,你们有什么要问对方的吗?
森:em。。。我想想(笑)
福永:我有问题。
主持人:请说
福永:2024年不是开始泥地三冠了嘛,要怎么才能拿下呢?
主持人:确实,2024年就开始泥地三冠了。
森:我该说实话吗?
福永:当然!
森:我说这话的前提是不想输给JRA,但是我觉得以后南关东的年轻人几乎没有什么机会能拿下德比。
主持人:原来如此
森:仅仅提高奖金,就能让其他马为了三冠来到NAR注册吗?
福永:我觉得在JRA跑不进OP组的马会来地方参加泥地经典赛,这能帮助地方的练马师大幅提高相关技术。而且,一直跑地方的赛道会有地利优势,只要马房有优秀的铲屎官,比如说我当马主的话就会先在NAR注册。这样的话,就会慢慢的提高地方马拿三冠的概率。这么考虑的话,我觉得这次调整是个好的契机。
森:这么说的话,我就有自信了。

=====================给大家的留言========================
主持人:还有很多说不完的,但是时间不够了。最后给马迷们说句话吧
森:最近是年末大热期,希望大家借给我们力量,不分JRA和NAR让赛马更热闹一些吧,拜托大家了。
福永:还没有决定骑什么马,但是在节日气氛中进行的有马纪念和东京大赏典无论如何我都想骑一下来过个好年。让我们一起热热闹闹把。
主持人:感谢福永佑一和森泰斗。阿里嘎多。

======================日语原文===================
主持人:开场白
福永佑一:よろしくお願いします。
森泰斗:よろしくお願いします。
主持人:まずお二人の対談は初めてとお聞きしましたが、お互い初めて会ったときのことは覚えていますか?
森:たぶん祐一さんは覚えていないと思うのですが、10年前ぐらいに交流重賞に乗りに来られたときにお会いしました。めっちゃ怖かったです(笑)
主持人:怖かった!?(笑)
森:すごくオーラを出されていて話しかけられなかったです!
福永:ほんまに?それ誰かと間違えてないか?(笑)
森:いやいや、祐一さんでした(笑)
福永:でも10年前ぐらいだと、ちょうどリーディング争いをしている時だったので僕自身が荒れていたというか、攻撃的だったから余計に怖く感じたかもしれないですね。
支持人:福永さんは森さんと初めて会ったときは覚えていますか?
福永:僕が覚えているのは、あれは一口馬主クラブのパーティだったかな?
森:うわぁ…すいません…(笑)
福永:覚えているの?(笑)
森:覚えています…。
主持人:何があったのですか!?
福永:僕もなんですけど森くんもけっこうお酒を飲んで出来あがっていて、ちょうどお互いリーディングを獲った年だったかな?いきなり「頑張っていきましょうね!」って(笑)
森:あのときは本当にすいません!
福永:オラオラな感じで来たからちょっと怖かった…(笑)
森:僕もリーディング争いでちょっと攻撃的になっていたかもしれません…(笑)
主持人:常日頃お互いの活躍を目にする機会が多いと思うのですが、森さんは福永さんをどういう風に見ていらっしゃいますか?
森:レースやインタビューとか拝見していてもすごく頭の良い方なんだろうなと思っています。そして、一番思うのは急に進化されたなと。それこそ10年ぐらい前だと思うのですが「何かあったのかな?」と思うぐらい急激に進化された印象があります。進化されましたよね?
福永:まぁ(笑)30歳を超えたあたりですかね。
主持人:具体的に何かあったのですか?
福永:それは騎乗を見てもらうコーチをつけたからですね。
主持人:コーチをつけるきっかけは何かあったのですか?
福永:31、2歳ぐらいで技術面での限界を感じていて…、自分の力じゃなくて他者の力を借りなければ変化していけないだろうなというのがありました。そこで元騎手の方にお願いすることも考えたんですけど、自分とは全く違う理論を持った方のほうが良いのかなと思っていた時に、今でもお世話になっているコーチを紹介してもらいました。
主持人:どういった方なのですか?
福永:障害馬術・日本代表のアドバイザーとしてオリンピックなどに帯同されていたり、騎手の動作解析に取り組んでいる方です。
主持人:コーチとの出会いが更なるレベルアップに繋がったのですね。
福永:とりあえずやってみようという感じで取り組んでみたら、3年後にリーディングを獲らせていただきました。
森:祐一さんが30歳ぐらいのときはすでにトップジョッキーのうちの一人だったじゃないですか。そこで、更に変化を求めるのが凄いなと感じますね。
福永:でも僕はそのときは一番じゃなかったから、一番になるためにはどうしたらいいかというところであの選択ができたのかもしれないですね。
主持人:一番になりたいという想いが自分の変化を生んだわけですね。
福永:逆に森くんは今、南関東でずっと一番なわけでしょ?
変な言い方だけど、大きな変化をしなくてもずっと一番を獲り続けることも可能だと思うんだけど。
※2018~2021/4年連続 南関東リーディング1位
森:いや、実は去年ぐらいから流れが変わってきたなというのを肌で感じていまして、僕も変化していかなきゃこれから難しいぞと思っています。
主持人:やはりそれは南関東の後輩騎手のみなさんの頑張りや勢いというのも大きいですか?
森:そうですね。若手でいうと笹川翼騎手を筆頭にみんなの技術は上がってきていると思います。ただ、もっと南関東騎手全体の環境を良くしていきたいとは思っていまして、所属である船橋競馬ですと騎手会の副会長として「Funabashi Jockeys Festival」(※船橋競馬所属騎手による年間王者決定戦)をご提案させていただいて、実現もできていますし、まだまだみんなが技術向上できる環境を作っていきたいと思います。
主持人:「Funabashi Jockeys Festival」は森さんのご提案だったのですね。若手騎手のみなさんにもチャンスが広がっています。
森:若手の台頭を喜べるようになったのは自分の中でも良いことなのかなとは思っています。昔だったら悔しくて、悔しくてって感じでしたけど、今は少し大人になったのかなと(笑)
主持人:福永さんは森さんに対してどのような印象をお持ちですか?
福永:交流重賞の時などに見ていると、圭太(戸崎圭太騎手)とかの影響もあると思うんですけど、森くんに限らず地方競馬の騎手の乗り方が昔からずいぶん変わったなと思いますね。
主持人:どういったところが変わりましたか?
福永:昔は今より鈍い馬が多かったと思いますし、深いダートでより動かしていかないといけないということで、パワフルな騎乗の方が多かったですよね。でも今の(地方競馬)騎手は、繊細に乗っていますよね。特に森くんは無駄な動きが少ないです。一緒に乗っていて「あ、森くんだ」ってすぐわかりますよ。
主持人:わかるのですね!
福永:あと、ダート馬も変わってきていると思います。
主持人:馬自体が変わってきているのですか?
福永:ダート馬でもスピードがある馬が増えてきていますよね。昔みたいにスピードがないからダートでというのはもう通用しなくなってきていますよ。
主持人:2017年にヒガシウィルウィンで初めて東京ダービーを制覇されました。あの時を振り返っていただけますか?
森:羽田盃で(キャプテンキングに)負けてしまったのですが、ちょっと展開が向かない部分もあったりして、東京ダービーはこの着差(1/2馬身差)なら大丈夫かなと思った記憶があります。
主持人:そして東京ダービーでは6馬身差の勝利でした。
森:正直言って、相手は元々中央所属の馬だったので、負けてたまるか!というような気持ちもありましたし。
福永:やっぱりそういう気持ちはあったんや。
森:はい、ありました。僕が勝手に思っているだけかもしれませんけど、勝ったときに地方競馬ファンが一つになった気がして(笑)あのときのスタンドの雰囲気はすごく覚えています。
主持人:確かにスタンドはものすごい歓声でしたよね。
森:でも今振り返ると、やっぱりキャプテンキングがいてくれたからこそ、あれだけ盛り上がったのだなと思います。
主持人:改めて、ゴールした瞬間はどういう気持ちでしたか?
森:ずっと夢だったので、ただただ嬉しかったです。
主持人:その翌年の2018年に福永さんもワグネリアンで初めて日本ダービーを制覇されました。あの時を振り返っていただけますか?
福永:父の代からの夢でしたし、ちょっと途中であきらめかけたときもあって、もう縁がないんじゃないかと自分を納得させようとしたときもあったんですけど、勝つことができて、自分の想像以上に心が震えました。あれを超える感動は人生においてないですね。
主持人:ワグネリアンのときは外枠でしたよね。
福永:最初に枠(8枠17番)を見たときは、やっぱり縁がないのかなと正直思いましたね。
主持人:その外枠から積極的に先行しました。
福永:この枠からどうやって勝つか、たくさんシミュレーションをしました。ある程度ポジションを取って先行集団の後ぐらいにつけて、さらに馬の後ろにつけないと脚がたまらない馬だったので、それができなければ負けるし、それができたら勝つ可能性が出てくる。そういう中でチャレンジをして成功しました。
主持人:日本ダービーを勝ったあとは何か変わりましたか?
福永:あの経験は大きかったですね。その後のレースに対する取り組み方にしてもずいぶん変わりました。日本ダービーを勝ったということは自分の精神的な部分では非常に大きな出来事でしたけど、それ以上に技術的に大きな成長をもたらしてくれたのがあの日本ダービーでしたね。
主持人:森さんはワグネリアンの日本ダービーはご覧になられていましたか?
森:もちろん、テレビで見ていました。ちょっと枠的に難しいなと思っていたのですが、先ほども言いましたがよく考えられて乗っているなと。勝つ人が勝つべくして勝ったなという印象でした。
主持人:そのあと福永さんは二度も日本ダービーを勝たれました。やっぱりワグネリアンの経験は大きかったですか?
福永:もちろん、非常に大きいです。日本ダービーに限らず、その後の騎手人生はワグネリアンを境に全然違いますね。
主持人:今までご自身が騎乗された中で、この馬はやっぱり強かったなという印象的な馬はいますか?
福永:たくさん良い馬に乗せてもらってきたので、一頭だけっていうのは挙げづらいのですが、やっぱりコントレイルですかね。
主持人:父であるディープインパクトと親子では史上初、史上三頭目の無敗の三冠馬となりました。
福永:最初のころはマイラーになりそうだなと思っていた馬が3,000mの菊花賞を勝つまでに成長してくれましたし、その過程もずっと関わらせてもらったのが自分にとって非常に大きな経験でした。
主持人:ラストランのジャパンカップ(2021年)では涙も流されていました。ずっと順調に来たわけではなかったというお話しもありましたが。
福永:3歳で三冠を獲ったあとにジャパンカップ (2020年)にチャレンジしたんですけど、やっぱり(前走の菊花賞)3,000mを走れる馬じゃないので脚元へのダメージが大きかったみたいです。その後は精神的な部分もあってゲートも悪くなりました。そういう影響もあってか大阪杯も負けてしまって、秋への不安がある中で引退レースがジャパンカップに決まりました。
主持人:その引退レースのジャパンカップ(2021年)は完勝でした。
福永:いや〜、本当に偉い馬だなと思いましたね。勝ててホッとしたとかではなくて「すごい馬だなぁ」って、馬のがんばりに感動しました。
主持人:森さんは、この馬はやっぱり強かったなという印象的な馬はいますか?
森:ここ何年かは中央から転厩してきた馬を再生する形が多いので、その中でキタサンミカヅキは強かったなと思いますし、ダートの短距離を走るならラブミーチャンは理想的だなと思いましたね。
主持人:キタサンミカヅキでは交流重賞・東京盃を、ラブミーチャンでは習志野きらっとスプリントを優勝されました。
森:ただ…、これは周りの方に失礼かもしれないですけど、例えば石崎(隆之)さんのアブクマポーロとか的場(文男)さんのコンサートボーイや圭太でいうフリオーソというようなクラスの馬にまだ出会っていないと自分では思っていまして・・・
福永:競馬史に名を残すような名馬っていう意味でね。
森:はい、そうです。
福永:やっぱりリーディングを獲り続けている森くんぐらいになると、そういう馬との出会いを求めますよね。そこがモチベーションというか…。
森:そうかもしれないですね。
福永:リーディングを獲り続けることによって名馬に出会える確率は上がるわけだけど、リーディングを獲った人が毎年のように日本ダービーを勝てるわけじゃないし、そこはやっぱり縁だよね。
主持人:今年も有馬記念(12月25日)が迫ってきました。数々のGIを勝利されてきた福永さんは意外にも有馬記念では2011年のトゥザグローリーの3着が最高です。
福永:僕はあんまりグランプリレースに縁がないんですよ(笑)
主持人:中山2,500mを攻略するにあたってどの辺りがポイントとかはありますか?
福永:わかってないから勝ててないと思うんですけどね(笑)
主持人:失礼しました(笑)
福永:ただ有馬記念は一番盛り上がるレースなのでね。
主持人:やっぱり歓声は他と違いますか?
福永:全然違いますよ。あとその週はスポーツ新聞もほとんど有馬記念の話題であったりとか、普段はあんまり競馬をやらない方も注目してくれたり、やっぱり特別な盛り上がりがありますよね。当然そこで乗っていたいし、勝ちたいという気持ちは強いです。
主持人:地方競馬でも年末といえば12月29日に東京大賞典があります。森さんにとってどういうレースですか?
森:本当、夢のようなレースです。大井競馬場が一年の中で一番盛り上がる日ですし、年末でみなさんが浮き足立っている感じも伝わってきます(笑)。その雰囲気が好きで乗っていて楽しいのですが、中央の馬が勝つことがほとんどの中で、どうしたら東京大賞典を勝てるような馬が作れるのだろうっていうのはスタッフを含めてずっと考えています。
主持人:福永さんはケイティブレイブで同じ舞台(大井2,000m)の帝王賞を勝たれていますが、このコースについてはいかがですか?
福永:う〜ん、やっぱり難しいですよね。
森:大井はコース形態だけを見ると不利なく力通り決まりやすそうなのですが、実は全然そんなことなくて、その日の馬場状態とか水の含み具合でけっこう変わりますし、ここを通らなきゃダメ!っていう日があったりするんですよ。
福永:地方競馬って、それ絶対あるよね!
森:ありますね。
福永:やっぱり地の利が一番活きるところなんですよ。だから(地元の騎手に)絶対聞くもん。まぁ、ほんまのこと教えてくれているかわからんけど(笑)
主持人:なかなかこういう機会もないと思いますので、お互いへ聞いてみたかったことなどはありますか?
森:え〜、なんだろう(笑)
福永:僕、聞いてみたいことあるんですよ。
主持人:お願いします!
福永:再来年から3歳ダート三冠競走が新たにできるじゃないですか、このことをどう捉えているのかなと思って。
主持人:2024年より、現在もダートグレード競走として行われているジャパンダートダービー(ジャパンダートクラシックに名称変更)に加え、南関東の大井競馬場で開催されている羽田盃と東京ダービーを新たにダートグレード競走とし、3歳ダート三冠競走を創設することが発表されました。
森:正直に言っていいですか…?
福永:もちろん!
森:中央の馬を負かすんだという気持ちがあるのを前提にお話させていただきますと、これから(南関東の)若い騎手たちがダービージョッキーになるチャンスが少なくなってしまうのかなと感じてしまいます。
主持人:なるほど。
森:ただ賞金が上がることによって、三冠を狙えるようなレベルの馬が地方競馬に入厩してくる可能性も高くなってくるのかなとも思っています。
福永:僕が思うのは、中央競馬ではオープンクラスに届かなかった馬が、地方競馬に転厩して再生し、ダートグレード競走を勝つこともあるので、(地方競馬の)調教技術はかなり上がっているはずなんです。しかも、普段からコースを走り慣れている点も有利になるので、優秀なスタッフがいる厩舎であれば、例えば僕が馬主だったら最初から(中央ではなく)地方に入厩させたくなる。そういう流れになってくると、どんどん地方馬が三冠レースで勝てる確率が上がっていくと思うんですよ。そう考えれば、この変更は良いキッカケになるじゃないかと個人的には思っています。
森:そういう良い素材が入ってきてもらえれば、僕たちはしっかり走らせる自信はあります。
主持人:まだまだお伺いしたいことはたくさんありますが、お時間ということで…
最後に競馬ファンの皆様にメッセージをお願いいたします。
森:年末は一番競馬が注目される時期ですし、さらにみなさんのお力をお借りして地方・中央問わず競馬を盛り上げていけたらなと思います。みなさんよろしくお願いします!
福永:まだ騎乗馬は決まっていませんけど(※11月現在)、お祭りみたいな雰囲気の中で行われる有馬記念や東京大賞典にぜひ騎乗させていただいて良い年末にしたいと思いますので、みなさんも一緒に盛り上げていただけたらなと思います!
福永祐一騎手、森泰斗騎手、本日はありがとうございました!
福永 祐一
/Yuichi Fukunaga
1976年12月9日生まれ。滋賀県出身。B型。
かつて競馬界で「天才騎手」と呼ばれた福永洋一を父にもつサラブレッド。
1996年3月2日にデビューを果たすと初騎乗初勝利を挙げる。
その年JRA賞最多勝利新人騎手賞を受賞。
1997年重賞初勝利
1999年桜花賞でGI初勝利
2001年香港マイルで海外G1初制覇
2017年武豊騎手に次ぐ2番目のスピードでJRA通算2,000勝を達成
2018年ワグネリアンに騎乗し、19度目の挑戦で悲願の日本ダービー初制覇
2020年コントレイルに騎乗し皐月賞、日本ダービー、菊花賞を制し無敗でのクラシック3冠を達成
名実ともに日本競馬界を代表するトップジョッキーとして活躍し続けている。
森 泰斗
/Taito Mori
1981年1月11日生まれ、千葉県出身。AB型。
南関東リーディングを7度、全国リーディングを5度獲得した船橋競馬所属騎手。
1998年4月18日デビューし、同年4月20日に宇都宮競馬で初勝利を挙げる
2000年に一度騎手免許を返上し引退。その後同厩舎厩務員を経て騎手免許を再取得し2001年に再デビュー
2005年に船橋競馬場・松代眞厩舎へ移籍
2010年8月26日霧島賞をテイエムヨカドーで重賞初制覇
2015年に地方競馬全国リーディング、NARグランプリ2015最優秀勝利回数騎手賞と最優秀賞金収得騎手賞を受賞
2017年にヒガシウィルウィンで初めて東京ダービーを制覇
2021年11月25日に通算3,500勝を達成
2022年9月23日に勝利し、地方競馬通算3,800勝を達成。
小堺 翔太
/Kosakai Shota
タイムリーオフィス所属。タレント、フリーアナウンサー。中央競馬全レース中継キャスターをはじめ、中央・地方問わずグリーンチャンネルの競馬番組に多数出演。