纪念的皮夹克（译自《Rider's Story I》短片小说集 by 武田宗德）
纪念的皮夹克。
我的儿子，从东京的一所私立大学毕业后，要回家了。 他要在自己的家乡找一份工作，即所谓的U-turn（返乡）就业。 他的房间一直用到高中毕业，在过去的四年里已经变成了一个储藏室，这让他非常懊恼。 我的儿子明天就要回来了。 我利用假期整理了一下，以便我儿子能使用他的房间。
在过去的四年里，随着越来越多的东西加入，我把越来越多我不需要的东西归整到儿子的房间。 我儿子的房间里充满了他不使用和不需要的东西。 我决定利用这个机会彻底清理一下。 为了尽量干净地处理，把它分为扔的和不扔的两类。
要扔掉的东西，我以最快的速度带出了房间。 房间变得越来越大。 我还试图整理衣柜，所以我把我的半个身体塞进衣柜。
有一个纸箱。 我看着那个纸箱，回想起过去。 它是用胶带紧紧封住的。 这个纸箱里有一些我不需要的东西，但又不能扔掉。
我意识到，我正要用剪刀打开那个纸箱。
盒子里有一个白色的全盔。 它很脏，有刮痕。 内部也是破破烂烂的，很脏。 底下是一副手套。 它们是黑色的皮手套。 它们已经使用了很多次，有磨损和变色的迹象。 在它们旁边的一个盒子里有一双棕色靴子。 鞋底已经磨损，脚踝处也有磨损和剥落的痕迹。
我很想念它们。 20年前，当我20多岁的时候，我喜欢摩托车，骑着它们到处跑。 我的妻子现在可能都不记得了。
纸箱的底部有一个塑料袋。 我把它拿起来，看到里面有东西。 它相当重。 我不记得里面是什么。 塑料袋的口用布带紧紧封住。 我开始打开袋子。
经过一番摸索，我拿出了一件皮夹克。
就在那一刻，一系列几乎被遗忘的记忆又浮现在我眼前。 正是这件皮夹克让我远离了摩托车运动。
我有个朋友叫中岛。 他是二十年前和我一起巡演的人之一。 他比我大两岁，有一副很酷的不良少年的外貌。
他的皮夹克很适合他。
他在24岁时死于一场事故。
我猜他的朋友和他的父母知道我在他死前就想得到他的皮夹克，所以没有人抱怨，他们把它送给了我作为纪念。 然而，作为中岛的好朋友和崇拜者的我，在他死后放弃了摩托车，自然也就没有穿那件皮夹克。
我看了它好一会儿。 我把它拿在手里，仔细地看着它。 肘部和腋下有擦伤的痕迹，可能是压弯磨的。 它在当时一定是很柔软的，因为它经常被穿，但二十年后，它变得很硬。 我心想，我以前可能从未这么仔细的看过这件皮夹克。
然后我第一次把手臂伸入了袖子。 穿起来并不合身，可能是因为我从那时起变胖了。
我在衣柜后面找到一些貂皮油，开始在皮夹克上涂抹。 我发现自己在涂抹油的过程中，忘记了时间。
深夜时分，我听到了摩托车的声音。
那声音来到我房间的旁边，然后停止了。 我很惊讶。 我的儿子英治骑着一辆400cc的摩托车回家了。
'英治，你什么时候拿到驾照的？
'大概是一年前吧。 在求职正式开始之前。
妻子在睡觉。 很久以来第一次父子对话，在厨房的桌子上喝了一品脱波本威士忌。
'我给你点好东西。
我从衣柜里拿出了皮夹克。
'如果你要骑摩托车，你需要一件皮夹克。 它既会给你安全，也不会骑着很累。 给你。
我把皮夹克递给英治。
'这......，爸爸，这是Lewis Leathers Bronxes!
'那是什么，很厉害吗？
'先不说这个，......，你为什么有这个？
之后，我和英治聊到了很晚。
关于骑摩托车。
关于中岛。
'这件皮夹克与其放在衣柜里，还不如让一个现役摩托车手穿着。
我这样想，并对英治说。 英治身体紧绷，似乎感觉更紧张了，他的 "好！"比以前更有力了。
'我会珍惜使用的。 谢谢你。 ……爸爸不反对吗？ 摩托车……'
'不，我不会的。 我也是一个摩托车手，我怎么会反对呢？ 我知道摩托车有多好玩，而且我知道有很多东西要学。......，相反，我很高兴英治现在骑摩托车了。"
'爸爸，......，我不会死的。
当然不会。' 我轻轻戳了英治一下。
在远处，我感觉中岛在看着这一切。
原文：
形見の革ジャン
東京の私立大学を卒業した息子が帰ってくる。地元で就職する、いわゆるＵターン就職というヤツだ。高校卒業まで使っていた息子の部屋は、息子には悪いが、この四年間で物置と化していた。息子は明日帰ってくる。私は休日を利用して、息子が部屋を使えるように片付けをしていた。
この四年間、私は物が増えた分だけ、いらない物をどんどん息子の部屋に追いやっていた。息子の部屋は、使わないもの、いらないもので溢れている。私は、この機会に徹底的に片づけようと思った。なるべく潔く処分しようと、捨てるものと捨てないものとに仕分けしていた。
捨てるものは、どんどん部屋の外へ出した。部屋がどんどん広くなっていった。押入れも整理しようと、体半分突っ込んだ。
段ボール箱が一つあった。私はその段ボール箱を見て思い出した。ガムテープでしっかりと封がしてある。いらないけれど捨てられないものが、この段ボール箱には入っている。
私は、気づいたらその段ボール箱をカッターで開けようとしていた。二十年の封印を今、解くのだ。
白いジェット型のヘルメットが入っていた。汚れていて、傷もある。内装もボロボロで汚い。その下にグローブがあった。黒い革のグローブだ。かなり使い込んでいて、ほつれや変色が見られる。その隣の箱の中には、茶色いブーツが入っていた。ソールは減っているし、くるぶしの部分は、擦れてはげていた。
懐かしい。二十年前、私が二十代だった頃、オートバイが好きで乗り回していたのだ。そのことは、今となっては妻も覚えていないかもしれない。
ダンボールの底にビニール袋があった。手にとって見ると、中に何か入っている。かなり重い。私は、中身が何か覚えがなかった。ビニール袋の口が布テープで頑丈に閉じられている。私は、その袋を開け始めた。
多少手こずって取り出したものは、一着の革ジャンだった。
ハッとして、その瞬間忘れかけていた記憶が蘇った。私がオートバイから遠ざかったのは、この革ジャンが理由だったのだ。
中島という友人がいた。二十年前、ともにツーリングした仲間の一人だ。二つ年上で、不良っぽい感じがかっこよかった。
革ジャンが良く似合った。
彼が二十四歳のとき、事故で死んだ。
生前から、私が彼の革ジャンを欲しがっていたことを仲間も彼の両親も知っていたのか、誰からも文句を言われず、その革ジャンを形見に分けてもらった。しかし、中島と仲が良く、慕っていた私は、彼の死後オートバイを降りてしまい、当然その革ジャンに袖を通すこともなかった。
しばらく、その革ジャンを見ていた。手にとって、まじまじと観察した。こけた跡だろう、ひじの部分や脇の部分などに擦れた跡がある。当時はかなり着込んでいたから柔らかかったはずだが、二十年の時を経て硬くなってしまっている。私は、これほどちゃんとこの革ジャンを見たのは、おそらく初めてだろうと思った。
そして、初めて袖を通してみた。あれから太ったからか、とてもじゃないが着られない。
私は、押入れの奥からミンクオイルを見つけ、それを革ジャンに塗り始めた。気づいたら時間も忘れてオイルを塗っていた。
深夜、オートバイの音を聞いた。
その音は私の家の側まで来て、消えた。私は驚いた。息子の英治が４００ｃｃのオートバイに乗って帰ってきたからだ。
「英治、いつ免許取った？」
「一年位前かな。就職活動が本格的になる前にね」
妻は寝ている。キッチンのテーブルでバーボンをちびりやりながら、久しぶりの父子の会話だ。
「いいもんやるよ」
私は押入れから、例の革ジャンを取り出した。
「バイクに乗るなら、革ジャンだよ。安全だし、疲れないし。ほら」
私は革ジャンを英治に渡した。
「これ……親父、これルイス・レザーズのブロンクスじゃん！」
「それって、なんだ、すごいのか？」
「な……なんでこんなの持ってるんだよ」
そこで私は、遅くまで英治と話をすることになってしまった。
オートバイに乗っていたこと。
中島のこと。
「この革ジャンは、押入れにしまってあるより、現役のバイク乗りに着てもらったほうがいい」
私はそう思って英治に言った。英治は身が引き締まる思いなのか、ウン、と言った言葉に力が入っていた。
「大切に使わせてもらうよ。ありがとう。……親父は反対しない？ バイク……」
「しないさ。オートバイに乗っていた俺が、反対できるわけないだろう。オートバイの楽しさも知ってるし、学ぶこともたくさんあるから……逆に俺は、英治がオートバイに乗るようになってくれてうれしいんだ」
「親父……俺は死なないよ」
「当たり前だ」
私は英治を軽く小突いた。
遠くで、中島が見ているような気がした。
