介護福祉士国試対策(11)苦情申立&不服申立

苦情申立
福祉サービスを受けながら、その事業者に苦情を言いたいときは、その事業所には必ず苦情受付窓口が設置されており、「苦情受付担当者」「苦情解決責任者」「第三者委員」の3者が配置されています。
苦情があればまずは苦情受付担当者に伝えて、申立者と事業所間で解決を目指します。
それでも解決できない場合は、外部の申立先である「運営適正化委員会」に申し立てます。
社会福祉法では福祉サービスの苦情申立機関として「運営適正化委員会」が都道府県社会福祉協議会に設置されており、「福祉サービスの苦情受付と解決のための斡旋を行う」とされています。
また、介護保険サービスに関する苦情については、「国民健康保険団体連合会(国保連)」があります。
ここは介護保険に限った苦情受付であることと、助言や指導の権限を持っているということです。
つまり、運営適正化委員会では苦情解決のために苦情申立者と事業者の間に入って「あっせん」を行うのに対して、国保連は助言や指導をする権限があります。
国民健康保険団体連合会(国保連)とは
国民健康保険の保険者が共同して、都道府県単位で設置される公法人です。
名称だけ見ると国民健康保険に関する業務だけをやっていそうですが、診療報酬の審査支払い業務を行っている関係で、介護保険や障害福祉サービスの報酬の審査支払い業務も行っています。
国保連の主な業務
・診療報酬の請求に関する審査支払い業務
・介護報酬の請求に関する審査支払い業務
・障害児者サービスに係る介護給付費や障害児入所給付費等の支払い業務
介護保険関係の業務
・介護保険の保険給付に関わる審査支払
・利用者からの苦情を受けて、事業者への助言や指導
・介護保険サービスの質の向上に関する調査
・介護保険サービス事業及び施設運営
・介護保険事業の円滑な運営に資する事業
不服申立
まずは「審査請求」を行うことになります。
例えば介護給付費等にかかる処分に不服がある障害児者の保護者は都道府県知事に審査請求できます。
本来処分を行った市町村長に対して異議申し立てをすることになっていますが、支給決定に係る処分は障害者等の権利利益を守る為に都道府県知事に対して行えます。
介護保険関係の不服申立(審査請求)は都道府県に設置されている「介護保険審査会」です。
要介護認定や介護給付、介護保険料に関して不服がある時にここに申し立てます。
・介護保険サービスの支給や要介護認定に不服がある時の審査請求先は「介護保険審査会」
・障害福祉サービスの支給や区分認定に不服がある時の審査請求先は「都道府県知事」
・国民健康保険の審査請求先は都道府県に設置の「国民健康保険審査会」
・生活保護の審査請求先は「都道府県知事」で、さらに再審査請求先は「厚生労働大臣」
個別の法律で「審査請求を経ないと訴訟できない」旨が書かれていれば、審査請求を飛び越えて訴訟することはできません(不服申立前置主義)。
そして、福祉関係の行政処分については、要介護認定や障害支援区分認定、生活保護の支給決定などキモとなる処分が不服申立前置主義をとっています。
介護福祉士国試 第31回 問題15
Eさん(75歳)はU事業所の訪問介護(ホームヘルプサービス)とV事業所の通所介護(デイサービス)を利用している。Eさんは通所介護(デイサービス)の職員の対応に不満があり、苦情を申し出たいがどうすればよいかとU事業所の訪問介護員(ホームヘルパー)に相談した。
訪問介護員(ホームヘルパー)の対応して、正しいものを一つ選びなさい。【 】
1.通所介護(デイサービス)の職員に注意しておくと伝える。
2.介護保険審査会に申し出るように助言する。
3.介護保険の事業所の苦情対応の仕組みを説明して、担当者に相談するように助言する。
4.しばらく様子を見てから、改めて相談に応じると伝える。
5.日常生活自立支援事業を契約して、苦情解決を援助してもらうように助言する。
社会福祉士国試 第29回 問題132
介護保険法における国民健康保険団体連合会の役割に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。【 】
1.要介護度ごとに定められる区分支給限度基準額を決定する。(厚生労働大臣)
2.利用者からの苦情を受けて、サービス事業者に対する必要な指導及び助言を行う。
3.事業者・施設の利用料金、職員研修の実績などに関する介護サービス情報の公表を行う。
これは都道府県知事の仕事です。
都道府県知事は指定する情報公表センターに情報公表事務を行わせることができます。
4.第一号被保険者の保険料の特別徴収を行い、それを各市町村に納入する。
第一号の特別徴収は18万円以上の年金受給者に天引きで市町村に納付するので国保連の役割ではありません。
5.介護保険審査会を設置し、市町村の処分に対する不服申立ての審理・裁決を行う。(都道府県)
社会福祉士国試 第22回 問題72
Jさんは、要介護1の認定を受け、現在、介護保険事業者の通所介護を週2回利用している。だがJさんは、この要介護認定に不満を感じており、また、実際に受けているサービス内容も、契約内容と違うことに不満を感じている。
事例を読んで、Jさんの対応に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。【 】
1.Jさんは、介護保険審査会に置かれている専門調査員に事業者のサービス内容について調査を求めることができる。
2.Jさんは、国民健康保険団体連合会に苦情を申し立てた上で、苦情の解決に向けて「あっせん」を行うことを同連合会に対して求めることができる。
3.Jさんは、契約どおりのサービスの履行を求めて、事業者を監督する行政庁に行政不服審査法に基づく不服申立てを行うことができる。
4.Jさんは、要介護認定の結果について介護保険審査会に審査請求をすることができる。
5.Jさんは、行政上の不服申立てを経ることなく要介護認定の取消しを求めて行政訴訟を提起することができる。