【睡前故事】星の王子さま-僕-63

星の王子さま-僕-63
ところがこの井戸は,まるで村にあるような井戸だった。/可是,这口井,宛如村庄里的水井。
「不思議だね。何もかも揃っているよ。滑車(かっしゃ)も、桶(おけ)も、綱も。」/“真不可思议呢,一切都是现成的。滑轮、桶、绳索。”
王子さまは笑って綱を掴むと,滑車を動かした。/小王子笑着抓住绳索,滑轮就活动了起来。
滑車は久しぶりに風を受けた,古い風見鶏(かざみどり)のように,音を立てて軋(きし)んだ。/滑轮就像是许久才经受风吹的,陈旧风向仪一样,吱吱作响。
「聞こえる?僕たちが起こしてあげたから,井戸が歌っているよ。」/“听到了吗?因为我们唤醒了它,所以水井正在唱歌哦。”
王子さまに無理をさせたくなかったので,僕はこう言った。/我不想让小王子费劲,所以这样说道。
「やらせてよ。君には重すぎる。」/“好了好了别抓了,对你来说太重了。”
ゆっくりと桶を井戸の淵まで引き上げ,注意深く置いた。滑車の歌は続いていた。/我轻松地将桶提到水井的边缘,非常小心地将其放下,滑轮的歌声仍在继续。
震える水に反射して,太陽の光が煌いた。/反射在荡漾的水面上,阳光闪耀着。
「僕、この水が飲みたかったんだ。ねえ、飲ませて。」/“我想要喝那个水。来,给我喝点。”
「そうか。君はこれを探していたんだね。」/“是吗。原来你是在找这个啊。”
僕は王子さまの唇に桶を近づけた。王子さまは目を閉じて飲んだ。/我把水桶贴近小王子的嘴唇,小王子闭着眼睛喝了。
祝福の宴のように,甘い喜びに満ちていた。/心中满溢着享用着祝福的盛宴般,甜美的喜悦。
この水は命を長らえるためだけの,ただの飲み水ではなかった。/这水并不仅仅是为了活命的,单纯的水。
それは、星空の下の彷徨から,滑車の歌から、僕の腕の力から,生まれたものだ。/那是披星戴月走了许久,从滑轮的歌声里、经过我双手的努力而得来的东西。
だから、贈り物のように,心に喜びをもたらすのだ。/所以,它就宛如礼物般,给心灵带来的喜悦。
子供の頃、クリスマスツリーの光や,真夜中のミサの音楽や,/就如同孩提时代,圣诞树的光芒,深夜里弥撒的音乐
みんなの優しい笑顔が一つに合わさって,僕が受け取るクリスマスプレゼントに,一層の輝きを与えていたように。/以及大家温柔的笑颜,这一切令我收到的礼物,显得更为耀眼。
「この星の人たちは,一つの庭園で,五千本の薔薇を育てるのに,自分たちが探しているものを見つけられない。」/“这颗星球上的人们,都可以在一个庭园里,种植五千株玫瑰,却发现不了自己正在寻找的东西。”
「見つけられないね。」/“发现不了呢。”
「だけど、みんなが探しているものは,たった一つの薔薇や,ほんの少しの水の中にも,見つかるものなのに。」/“可是,大家正在找寻的东西,明明在一株平凡的玫瑰和微量的水里就可以找到。]
「そうだね。」/“是啊。”
「でも、目には見えないんだ。心で探さなきゃいけないんだ。」/“可是,用眼睛是看不到的,必须用心去寻找。”
僕は水を飲んだ。呼吸が楽になった。/我喝下了水,呼吸变得顺畅了。