欢迎光临散文网 会员登陆 & 注册

【中日对译】辺城(二)/边城(二)

2023-06-06 18:00 作者:日语MTI  | 我要投稿




边城/辺城(へんじょう)


                         沈従文 作 /李 耀 訳


●『辺城』の言葉は沈従文が壮年期に使った言葉、最も美しい言葉である。どの文も「膨らんでいて」豊満で、水分をたっぷり含んでおり、酸いも甘いもちょうど適度で、まるで一籠の新たに摘んだ煙台メノウサクランボのようである。(汪曾祺)


●《边城》的语言是沈从文盛年的语言,最好的语言。每一句都是“鼓立”饱满,充满水分,酸甜合度,像一篮新摘的烟台玛瑙樱桃。(汪曾祺)



女の子の母親、すなわち老船頭の一人娘は、十五年前に、ある茶峒駐屯の軍人と掛け合いで山歌を歌い交わすうちに馴染みになったのち、その忠厚な父親に隠れて密かにいかがわしい関係があった。子を宿してしまったのち、結婚もできそうにないし、この駐屯兵は彼女と約束をして一緒に下流へ逃げて行こうと思った。だが逃走の行為という点から見れば、一人は軍人の責任に違背してしまうことになり、一人は必ず孤独な父親から離れざるを得ないことになるのだ。あれこれ考えたあげく、駐屯兵は、彼女には遠く逃げる勇気がないのを見て取ったし、自分も軍人としての名誉を毀損するわけにはいかないので、一緒に生きていこうにも連れ合いようがない以上、いっそ一緒に死んでいってしまうほうは、当然阻止できる人がいないはずだ、と心に思って、先に服毒自殺した。しかし女の方は、お腹の中の一塊肉を心にかけて、心を鬼にすることができず、しばらくは自分の主張を打ち出すことはできなかった。


女孩子的母亲,老船夫的独生女,十五年前同一个茶峒军人唱歌相熟后,很秘密的背着那忠厚爸爸发生了暧昧关系。有了小孩子后,结婚不成,这屯戍军士便想约了她一同向下游逃去。但从逃走的行为上看来,一个违悖了军人的责任,一个却必得离开孤独的父亲。经过一番考虑后,屯戍兵见她无远走勇气,自己也不便毁去作军人的名誉,就心想:一同去生既无法聚首,一同去死应当无人可以阻拦,首先服了毒。女的却关心腹中的一块肉,不忍心,拿不出主张。


事柄はもう既に渡し守の父親に知られたが、父親は重みのあるような字句は一つも加えていず、ただこの事柄は聞き知ったこともなかったことにしただけで、なおもいたって平静に日々を過ごしていった。娘は一方では慙愧ざんきの心を抱いていながら、もう一方では憐憫の情を抱いていて、なおも父親のそばに付き添っていたが、しかしお腹の中の子を生み落としてから、冷たい水の渓川に行ってひたすら同穴の契りのために入水して死んでいってしまった。不思議なことに一種の近似した奇跡の中で、この遺児は既に成長して大人になって、転瞬の間に十三歳にもなった。住居を挟んで向かい合った両山には篁たかむらの竹が多く、翠色も人に迫って来るばかりだったから、老船頭は随意にその一つの身近な字義を取って、この可哀相な幼い孤児に「翠翠」という名をつけた。


事情业已为作渡船夫的父亲知道,父亲却不加上一个有分量的字眼儿,只作为并不听到过这事情一样,仍然把日子很平静的过下去。女儿一面怀了羞惭,一面却怀了怜悯,仍守在父亲身边,待到腹中小孩生下后,却到溪边故意吃了许多冷水死去了。在一种近于奇迹中,这遗孤居然已长大成人,一转眼间便十三岁了。为了住处两山多篁竹,翠色逼人而来,老船夫随便给这可怜的孤雏,拾取了一个近身的名字,叫作“翠翠”。


翠翠は風雨と日光の中に育まれてきたので、皮膚がまっ黒に日焼けしていて、目に触れるのが皆青山に緑水なので、双眸は清らかで澄んでいて水晶のようだった。大自然に育まれ、かつ教化されて、彼女は人間が天真活発で、何もかもが如何にも厳然として一小獣のようだった。その上、人もそれほど利口で、山羗キョン(四つ目鹿)のように、これまで残忍な事に思い及んだこともなく、気をもんだこともなく、そして向かっ腹を立てたこともなかった。


翠翠在风日里长养着,故把皮肤变得黑黑的,触目为青山绿水,故眸子清明如水晶。自然既长养她、且教育她,为人天真活泼,处处俨然如一只小兽物。人又那么乖,如山头黄麂一样,从不想到残忍事情,从不发愁,从不动气。


日ごろ、渡し舟の上でも見知らぬ人がどこか自分に意を注ぐところがあるのに出会った時には、彼女はすぐさま炯々けいけいたる眼光でその見知らぬ人を見据えて、いつでも足を踏み出して山深く逃げ込むことができるような顔つきをしており、だがその人に機心などがないことがはっきりわかってくると、すぐにまた悠揚迫らず水辺でのびのびと遊び興じているのだった。


平时在渡船上遇陌生人对她有所注意时,便把光光的眼睛瞅着那陌生人,做成随时皆可举步逃入深山的神气,但明白了人无机心后,就又从从容容的在水边玩耍了。


老船頭は、晴雨にかかわらず、必ず舳先で舟の番をしているのだった。渡しを渡る人がいる時には、少々腰を曲げて、竹竿につけたとも綱を両手でたぐりながら、渡し舟を小渓を横切って向こう岸へ渡した。ある時は、倦み疲れていて、渓川に臨んだ大石の上に横になって眠ってしまったが、そんな時に、向こう岸で手を振って渡しを叫んでいる人がいると、翠翠は祖父を呼び起こさずに、すぐに舟に跳び下りて、非常にすばしこく祖父の代わりに、道行く人を渓川の対岸に渡した。すべて皆てきぱきしていて玄人らしく、これまで事をしくじったことはなかった。


老船夫不论晴雨,必守在船头。有人过渡时,便略弯着腰,两手缘引了竹缆,把船横渡过小溪。有时疲倦了,躺在临溪大石上睡着了,人在隔岸招手喊过渡,翠翠不让祖父起身,就跳下船去,很敏捷的替祖父把路人渡过溪,一切皆溜刷在行,从不误事。


またある時は、祖父と赤犬とともに舟の上にいて、渡しをする時に祖父とともに手を動かして綱を引っぱった。そして舟がまさに岸に近づこうとしていて、祖父がちょうど乗客に向かって「ちょい待ち、ちょい待ち」と注意している時に、今度はその赤犬が、すぐに舟の綱を口に銜くわえ、真っ先に一っ飛びで岸の上に飛び移り、さらにまた、いかにも厳然とした態度をして、どうすれば職分を尽くせるのかをよく心得ているかのように、舟の綱をしっかりと銜えたまま、舟を引いて岸に着けるのだった。


有时又和祖父黄狗一同在船上,过渡时和祖父一同动手,船将近岸边,祖父正向客人招呼:“慢点,慢点”时,那只黄狗便口衔绳子,最先一跃而上,且俨然懂得如何方为尽职似的,把船绳紧衔着拖船拢岸。



(つづく)


END



【中日对译】辺城(二)/边城(二)的评论 (共 条)

分享到微博请遵守国家法律