NHK新闻听写 202302262005
8時のNHKニュースです。
記録的な物価高を背景に、大企業を中心に大幅な賃上げ方針を示す企業が相次ぐ中、新年度非正規雇用で働く人達に対して賃上げを行うと答えた企業は、55%だったことが、民間の調査で分かりました。正社員を含む全体の賃上げの予定は80%に上っていて、労働者全体のおよそ4割を占める非正規に、どこまで賃上げが広がるかが課題となっています。調査は、今月全国の企業を対象に、インターネットで行われ、大企業と中小企業併せて3184社から回答がありました。それによりますと、新年度非正規雇用で働く人達に対して、賃上げを行うと答えた企業は55%でした。賃上げすると答えた企業を業種別に見ますと、割合が高い順に、農林水産鉱業が73%、製造業が62%、サービス業が54%、小売り業が53%などとなっています。賃上げの理由を複数回答で尋ねた所、人材を確保するためが74%で最も多く、最低賃金の上昇に合せてが44%、生産性を上げるためが28%などとなりました。一方で、正社員を含む全体で賃上げを行うと答えた企業は、80%に上り、非正規雇用で働く人は、それより25ポイント低い水準に留まっていて、労働者全体のおよそ4割を占める非正規に、どこまで賃上げが広がるかが課題となっています。
調査を行った東京商工リサーチの原田三寛情報部長は、「コロナ禍から経済活動が活発化し、人材の取り合いになっているが、人材を確保できず、賃上げの原資の確保が難しい状況になっている。非正規も同じように物価上昇に苦しんでいるので、経営側も皆が賃上げを享受できるような仕組みを作らないと、社会全体として豊かにならない」と話しています。
賃上げについて独自の取り組みで非正規雇用で働く人達の賃上げを行い、人材の確保に繋げようという企業もあります。長野県山ノ内町の奥志賀高原にあるスキー場に隣接するホテルでは、去年6月、およそ25人いるアルバイトなどを非正規で働く従業員の時給を100円上げることに踏み切りました。コロナ禍の間は、従業員の勤務時間を短縮するなど、最低限の人員で遣り繰りしてきましたが、去年6月からの外国人観光客の受入再開や全国旅行支援などで、需要が回復するにつれて、人手不足が大きな課題になってきました。人材派遣会社などを通じて募集をかけていますが、業界全体で獲得競争が激化しているため、好条件を示さなければ人材が集まらない状態で、時給をあげることは欠かせないと言います。賃上げの原資になっているのが、コロナ禍でも積極的に打ち出した経営戦略です。特に人気のサウナに着目して、本場フィンランドの設備を導入し、自然の中で外気浴を楽しめるようリニューアルを行ったほか、リモートで仕事ができるワーケーションルームの設置など、模索を続けてきました。こうした取り組みで、昨年度は過去最高の収益をあげ、賃上げも可能となったということです。更に、社員やアルバイトの食堂利用を無料化するなど、待遇改善にも取り組み、人材を獲得したい考えです。ホテルを経営するズイカインターナショナルの田島伸浩副社長は、「人手不足でどうしても賃金を上げざるを得ない。上げないと人が集まらないというのは事実だが、ホテル業にとって、お客樣にサービスを提供する人が根幹なので、利益をあげてそれをしっかりと従業員に還元していきたい」と話していました。
新型コロナウィルスの感染状況についてです。厚生労働省によりますと、今日の新たな感染者は、空港の検疫などを含め、1万2399人でした。この内東京都は810人で、1週間前の日曜日より183人減りました。また全国で併せて62人の死亡が発表されました。累計の死者は7万2268人です。重症者は172人で昨日より1人減りました。
この時間のニュースは末田がお伝えしました。8時5分です。