「言い訳する自分を自覚して」マラソン大迫傑、高校生に語った人生訓

「小さな目標を設け、毎日努力する」――。男子マラソンで2度にわたり日本記録を更新した大迫傑(すぐる)さん(30)が12日、岡山市の岡山商科大付属高校で講演した。約680人の高校生を前に、「夢をかなえるための心構え」を説いた。

自身の半生をたどる形で話を切り出した。東京で育ったが自分で各高校の練習法を調べ、指導者に会って長野県の強豪校に進学を決めたこと。高校では文武両道を目指し、猛練習後の眠気と戦うため一番前の席で授業を受けたこと。東京五輪を目指す中、新たな練習環境を求め、米国やアフリカに次々と拠点を移したこと。「ずっと、主体的に選択してきた」と振り返った。
大迫さんは司会の質問に答える形で「インターハイ優勝のような大きな目標を掲げるのでなく、1日ごと小さな目標を設けて(達成していくと)、その先に大きなゴールが見えてくる」と強調。「その過程では、目の前の結果にこだわりすぎないこと! 失敗は恐れずに、次にどう生かすかが大事」と語った。
「言い訳をしてはいけない。でも、僕もつい言い訳してしまう。そんな自分を自覚し、できなかったことを受け入れることも大事です」とも。自らと真正面から向き合い続けたトップアスリートの内面を、高校生たちに率直に披露した。
コロナ禍で思うような学校生活が送れず、将来の夢の実現に不安を抱えている高校生たちに、困難を乗り越える参考にしてほしいと高校側が講演会を企画した。
昨夏の東京五輪での6位入賞を最後に引退したが、今年2月に電撃的に復帰を表明した。全校生徒を対象にした講演のあと70人ほどの陸上部員と懇談する中で、復帰後の初めての国内レースの予定を質問されたが、笑顔で「まだ決めていないんです」と答えた。(原口晋也)