日本小4课文:梧桐树【久我Masahi的日语课堂】#54

プラタナスの木(梧桐树)
作者:椎名 誠(しいな まこと)
マーちんといつも遊んでいる仲間は、背の高い花島君とハイソックスが好きなクニスケ。それに、アラマちゃんだ。本当は荒井さんと言うのだけれど、口癖が「あらま。」だから、いつの間にか、そう呼ばれるようになった。四年生になって、クラスは別々になったけれど、それまではずっと同じクラスで、家も近かったから未だに仲良しだ。(总是和小麻一起玩的伙伴是高个子的花岛君和喜欢高筒袜的国助,以及阿拉玛。其实是叫作荒井,由于她口头禅是“阿拉玛(哎呀)。”,所以不知不觉间被叫成了阿拉玛。升入四年级后,班级都不一样了,不过至今为止都是同班,家也离得很近,所以仍旧很要好。)
マーちん達が集まる所は川沿いの公園で、バスケットコートぐらいの広さしかない。公園は、何も植えられていない花壇で囲まれていて、古い大きなプラタナスの木が一本だけ生えているので、プラタナス公園と呼ばれている。中学生や幼児連れの母親などは滅多に来ないから、マーちん達は、自分達の遊びが出来た。水飲み場があるのも助かるけれど、何より嬉しいのは、この公園では、時間によってボール遊びが出来ることだった。他の公園では、ボール遊びは禁止なのだ。(小麻他们聚集在沿河的公园,公园只有大概篮球场那么大。公园被没有种植任何东西的花坛所围绕,公园内只生长了一棵巨大古老的梧桐树,因此被称作梧桐树公园。中学生和带着幼儿的母亲们很少过来,所以,小麻他们可以进行自己的游戏。多亏了还有饮水处,不过最值得高兴的是,在这个公园,可以根据时间玩球。其它的公园则是禁止玩球的。)
最近熱中しているのは、サッカー。リーダーはクニスケだ。クニスケは、サッカーをする時には、ハイソックスの中に臑当てを入れる。本格的なのだ。二人がゴールキーパーと守りになり、二人がドリブルやパスをして攻める。花壇と花壇の間に二メートルぐらいの空間があって、そこがゴールだ。(最近热衷的是足球。领队是国助。国助踢足球的时候,很正式地在高筒袜内戴上护腿。两人是守门员守门,两人进行运球传球等进攻。花坛和花坛之间有2米左右的空间作为球门。)
梅雨明けの頃からだろうか、プラタナスの木の下にある、古い小さなベンチにお爺さんがやって来て、にこにこしながら、マーちん達のサッカーを眺めているようになった。(大概是从出梅后起,一个老爷爷过来坐在梧桐树下的小旧的长椅上,笑嘻嘻地眺望着小麻他们踢足球。)
試合が白熱してくると、時々パスやドリブルのコースが外れ、プラタナスの木の下にボールが転がっていくことがある。そういう時、お爺さんは、腰を屈めてボールを大切そうに掴み、そのままじっとしている。(当比赛白热化的时候,偶尔传球和运球偏离了路线,球滚到了梧桐树下。那时,老爷爷弯下腰,小心地抓起球,然后一动不动。)
「こうしていないと、どっちかが有利になってしまうかもしれないからね。」お爺さんは、そう言って笑う。(老爷爷笑着说道:“不这样做的话,就可能对哪一方有利了。”)
そのうちに、マーちん達とお爺さんは段々親しくなり、サッカーに疲れると、皆プラタナスの木の下に集まって、お爺さんと話すをするようになった。お爺さんが「皆水をもっと沢山飲んで、少し日陰に入って休まないと熱中症になるよ。」と言ったのがきっかけだった。太陽の光が夏に向かってずんずん強くなり、大きな葉のプラタナスの木の下が、とても良い日陰になるのだ。(渐渐地,小麻他们和老爷爷越来越亲密起来,足球踢累了的时候,大家聚集在梧桐树下,和老爷爷交谈。和老爷爷变亲密的契机是老爷爷说了“大家再多喝点水,稍微到荫头里休息一下,不然的话要中暑了。“阳光渐渐接近夏日,愈加强烈起来,大叶子的梧桐树下,是很好的荫处。)
お爺さんの話はいつも面白かった。(老爷爷的话总是很有趣。)
ある日、お爺さんは不思議なことを言った。(某日,老爷爷说了不可思议的事。)
「このプラタナスの木が、逆立ちしている所を考えたことがあるかい。」(“你们有考虑过这棵梧桐树倒立吗?”)
「あらま。木が逆立ち。」アラマちゃんが、いつものように驚いた。(“哎呀。树倒立。”阿拉玛和平常一样惊叹道。)
「そう。この木が逆立ちするだろう。すると、木の幹や枝葉と同じぐらいの大きさの根が出てくるんだよ。木と言うのは、上に生えている枝や葉を支えるために、土の中でそれと同じぐらい大きな根が広がって、水分や養分を送っているんだ。」(“没错。这棵树倒立。于是,和树干以及枝叶差不多大的根会出来。所谓树,为了支撑在上面生长的枝叶,和枝叶差不多大的根在土中伸展开,并输送水分和养分。”)
「どの木も皆そうなんですか。」今度は、花島君がマーちんの頭越しに聞いた。(“哪棵树都是这样的吗?”这次花岛君越过小麻的脑袋问道。)
「大抵の木は、大きな根が地面の下にぎっしり広がっているのさ。だから、このプラタナスの木が公園全体を守っている、と言ってもいいくらいだ。もし、地上の幹や枝葉がなくなったら、根は水分や養分を送れなくて困ってしまうんだ。」(“多半的树的巨大树根在地面下满满延伸。所以,几乎可以说是这棵梧桐树守护着整个公园。如果没有了地上的树干和枝叶,树根会因为输送不了水分和养分而为难。”)
マーちんと花島君とクニスケは「ふうん。」と同じような声を出したが、アラマちゃんはやっぱり「あらま。」と言った。(小麻和花岛君以及国助异口同声道“是吗。”阿拉玛果然还是说了:“哎呀。”)
それにしても、木の根が困ってしまうなんて、初めて聞く話だ。お爺さんの話を聞いていると、お爺さんは、公園の出来るずっと前からプラタナスのことを知っているみたいだ。(话虽如此,第一次听说树根会为难。听着老爷爷的话,他似乎是在公园建成很久以前就知道梧桐树的事。)
夏休みに入るとすぐ、花島君とクニスケはお母さんの故郷に帰省し、アラマちゃんは、家族と海外旅行に出かけてしまった。一人残ったマーちんがプラタナス公園に行くと、いつものようにお爺さんがやって来て、ベンチに座った。マーちんは、自分ももうすぐお父さんの故郷に行くので、夏休みが終わったら、また皆で来るから、と言った。(一放暑假,花岛君和国助就回到母亲的故乡,阿拉玛和全家一起去了国外旅游。留下一人的小麻前往了梧桐树公园,老爷爷和平常一样来了坐在长椅上。小麻说自己也快要去父亲的故乡了,暑假结束后,再和大家一起来公园。)
「お父さんの故郷には、木がいっぱいあるだろう。皆によろしく。」お爺さんは、にっこり笑った。(“你父亲的故乡有很多树吧?代我向大家问好。”老爷爷笑道。)
夏休みも半ばという頃、マーちんは、祖父母の家にいた。家の周りには森が広がっている。森には色々な木や草が生え、鳥や蝉の声が満ちていた。森と森の間には小川が流れ、小さな魚が、時々白い腹を見せてきらりと光った。マーちんは、この森の中で毎日走り回って遊んだ。(暑假也过了一半的时候,小麻来到了祖父母家。家周边的森林延伸。森林里生长着各种草木,充满着鸟蝉的鸣声。森林之间小河流淌,偶尔看到小鱼的白腹泛着光。小麻每天走在这森林里玩耍。)
マーちんが祖父母の家に来て一週間ほど経ったある日、大きな台風が森を襲った。森は怒ったように揺れ、小川は濁流となって暴れた。鳥や蝉も、どこかに姿を消した。テレビは、今年一番の強い台風だと伝えている。早々と布団に入ったマーちんは、ゴーゴー鳴り響く台風の音を聞きながら、プラタナス公園のお爺さんの顔を思い浮かべた。最初ははっきりしていたお爺さんの笑顔が、次第にぼんやりとしていく。マーちんは、いつしか深い眠りに落ちていった。(小麻差不多在祖父母家待了一周后的某日,特大台风席卷了森林。森林好似发怒了般摇晃,小河变浊湍急流淌。鸟和蝉也不知道去了哪。电视中说这是今年最强的台风。早早钻进被窝的小麻一边听着呼啸的台风声,一边浮想起梧桐树公园的老爷爷的脸。最初老爷爷清晰的笑颜渐渐模糊了。小麻在不知不觉间陷入了深眠之中。)
一夜明けると、台風は通り過ぎていた。青く晴れ上がった空の下で、あんなに揺れていた森は、今は静かに太陽の光を受けてぴかぴか輝いている。小川はまだ濁流のままだったけれど、鳥や蝉は嬉しそうに鳴き始めている。マーちんは、お爺さんの言葉を思い出した。森の一本一本の木の下には、それと同じぐらい大きな根が広がっている。マーちんには、なぜか今、それがはっきりと見えるような気がする。だから、強い風が吹いても木は簡単には倒れたりしないし、森も崩れたりしないのだ。一本一本の木とその根が、ずっと昔から森全体を守り、祖父母の家だって守ってきたのだ。(天亮后,台风已过。晴空之下,那样摇晃的森林现在静静地沐浴着阳光,熠熠生辉。小河虽然还是浊流,不过鸟和蝉又开始高兴地鸣叫起来了。小麻想起了老爷爷的话。森林里一棵一棵的树下,有着和树几乎同样大的树根延伸着。小麻不知为何感觉现在清晰地看到了树根。因此,就算强风吹来,树也不会轻易倒下,森林也不会摧毁。一棵一棵的树及其树根,从很久以前开始就守护着整个森林,守护着祖父母的家。)
長い夏休みが終わり、新学期が始まった。(漫长的暑假结束了,新学期开始了。)
プラタナス公園の異変を最初に知らせてくれたのは、ハイソックスをずり落としながら走ってきたクニスケだった。プラタナスの木がなくなっている、というのだ。放課後、四人はプラタナス公園に走った。(最先告知梧桐树公园异变的是高筒袜一边滑落一边跑来的国助。据说梧桐树没有了。放学后,四人跑向了梧桐树公园。)
本当だった。マーちんが、お父さんの故郷で台風に遭っていた頃、当然だけれど、この公園も台風に襲われていたのだ。近所の人に聞くと、プラタナスが倒れ掛かって危険だったのだという。マーちん達がいない間に、大きなプラタナスは切り株だけ残して消えてしまっていた。その横には、強い日を浴びて、ベンチがぽつんと置かれている。(是真的。小麻在父亲的故乡遭遇到台风的时候,理所当然,这个公园也被台风席卷了。听附近的人说梧桐树快要倒下了很危险。在小麻他们不在的时候,巨大的梧桐树只留下树桩消失了。在其旁边,长椅孤零零地沐浴着强烈的日光。)
公園は、立ち入り禁止になっていた。(公园禁止进入了。)
「根は、掘られてはいないみたいだ。でも残った根っこはきっと困っているんだろうね。」花島君が、肩を落として言った。アラマちゃんは、いつもの口癖を言わずに黙っている。(“树根似乎没有被挖掉。但是留下的根肯定很为难吧。”花岛君沮丧道。阿拉玛沉默着,没有像平常那样说出口头禅。)
立ち入り禁止がとけて、また、マーちん達は、公園に遊びに行くようになった。木が切られてから、お爺さんは公園に姿を見せなくなっていた。サッカーも前ほど白熱しなくなり、マーちん達は、お爺さんがいつも座っていた、日陰のなくなったベンチに黙って座り込んだ。黙っているけれど、皆が何を考えているかは分かる。(不再禁止进入后,小麻他们又前往公园玩了。树被砍断后,老爷爷不再来公园了。足球也没有以前那样白热化了,小麻他们沉默地坐在老爷爷一直坐着的已没有树荫的长椅上。)
そんなある日、ベンチに座っていたマーちんは、思いついたように、プラタナスの切り株の上に立ってみた。今でも地下に広がっている根のことを想像していたら、そうしたい気持ちになったのだ。(某日,坐在长椅上的小麻和自己想到的那样试着站在了梧桐树的树桩上。他一想象着现在在地下延伸着的树根,就想这么做了。)
花島君が不思議そうに見ていたので、「おいでよ。何だか、根に支えられているみたいだよ。」と言うと、花島君だけではなく、クニスケもアラマちゃんも切り株に乗ってきた。(由于花岛君感到不可思议地看着自己,小麻说道:“过来呀,总觉得有种被树根支撑着的感觉。”于是,不只是花岛君,国助和阿拉玛也站到了树桩上。)
背の高い花島君を真ん中にして、両手を広げてプラタナスの切り株に乗っていると、皆が木の幹や枝になったみたいだ。(高个子的花岛君站在梧桐树树桩的中间,双手伸展开来,大家好像成为了树根和树枝。)
プラタナスは切り株だけになったけれど、僕達のプラタナス公園は変わらない。春になれば、プラタナスも芽を出すだろう。そうすれば、きっとまた、お爺さんにも会える。それまでは、僕達が幹や枝や葉っぱの代わりだ。そう思いながら、マーちんは大きく息を吸って、青い空を見上げた。(虽然梧桐树只剩下树桩了,但我们的梧桐树公园没有变。等到春天来了,梧桐树也会长出芽吧。那样的话,一定还会见到老爷爷的。在那之前,我们代替树根和枝叶。小麻这么想着,深吸一口气,然后仰视着蓝天。)

词汇
臑当て(すねあて):护胫具、护腿
屈む(かがむ):弯腰;蹲下
帰省(きせい):归省、回乡探亲
半ば(なかば):一半;正在、中途
濁流(だくりゅう):浊流
切り株(きりかぶ):(树砍后的)残株、树桩子
肩を落とす(かたをおとす):浑身无力、手提不起来、形容乏力或大失所望

作业
1.读课文
2.思考课文相关问题:

3.看图写话:

4.阅读熟语内容并完成练习:
